当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
国内環境は、景気の緩やかな回復基調が続く一方で、世界的な物価上昇の影響を受け、日本でも物価が上昇しており、賃金上昇は緩やかで物価上昇を上回らず家計への負担が増大しています。また国際情勢においては、米国経済が堅調な内需により高めの成長を維持する見通しのなか、中国経済も25年は大規模な経済対策が下支え要因となることから、底堅い成長が続くとみられます。ただし、トランプ政権が掲げる「米国第一」の政策次第で世界経済の成長率は上下に振れる可能性があり、加えて、中国は不動産問題、欧州は政治不安を抱えております。またウクライナ情勢の長期化や米国との関係性など不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、米国の一段の保護主義化による貿易紛争が拡大すれば貿易コストが高まる可能性もあり、依然として予断を許さない状況が続いております。
このような状況のなか、移動体通信分野では、世界各国で第5世代移動通信方式(5G)の商用サービスが開始され、移動体通信の高速化・大容量化、サービス品質の向上に向けての研究開発及び設備投資が継続し、国内においても2020年3月から5Gの商用サービスが開始され、契約数の順調な拡大に伴い基地局数も増加、5Gサービスの拡大と更なる進化に向けた研究開発及び設備投資が継続的に行われておりました。しかし、2023年度以降のモバイルキャリア4社の設備投資は、近年一部増加は見込まれるものの当社事業への即時的な影響は少なく、受注、売上ともに前年比を下回る状況が続いておりました。2025年7月期はお客様の設備投資の回復傾向が見られますが、予断を許さない状況に変わりはありません。
今後は、自動車を始めとする様々な分野での5G活用に向けた研究開発や、ローカル5G領域での5Gネットワークの構築に向けた取り組み、さらに通信事業者におきましては、次世代の通信規格である6Gに向けた検討も進んでいくものと思われます。また、5Gの基地局市場では現在、無線アクセスネットワーク(RAN)のオープン化に取り組むO-RANアライアンスによる活動が行われております。これまで各メーカー独自仕様のインタフェースで構成されていた基地局装置に対してO-RANの標準仕様を適用することで、マルチベンダー化による柔軟なRANの構築が可能となるため、世界各国の通信事業者によるO-RAN導入の検討が注目されており、キャリア様による各国政府との提携が決定するなど、今後の拡がりに期待が持てます。
固定通信分野では、光ファイバの普及による超高速伝送技術の実用化が進み、ブロードバンドサービスが定着し、NetflixやAmazonプライム・ビデオ等のビデオストリーミングを中心としたデータトラフィックが急速に増加していることに加え、クラウドサービスの高度化、生成AIの普及拡大によるデータトラフィック急増に対応するために、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。通信事業者は、急増する多種多様な通信トラフィックに柔軟に対応するため、ネットワークの負荷低減に向けた投資や、ネットワーク処理のソフトウエア化、AIの利活用等を急速に進めながら、通信インフラの更なる高速化・大容量化を推進しております。
これらの技術や新サービスの導入に伴い、研究開発投資や設備投資の需要が引き続き見込まれる一方で、通信事業者間の加入者獲得競争等によるサービスの低価格傾向は継続しており、通信業界全体の投資意欲に関しましては国内外の政治経済の状況を見極めつつ、選別的な姿勢が継続されるものと予想されます。
このような状況の中、当社グループでは、主に以下の営業、マーケティング及び研究開発活動を行いました。
(ⅰ) 4G/5Gに対応する製品の開発、販売、保守並びにテストサービスの受託
(ⅱ) O-RAN、基地局シェアリングなどの顧客ニーズへの対応
(ⅲ) 欧州、北米、中国、韓国、インド等の海外市場における5G対応製品の市場開拓及び販売
(ⅳ) 次世代ネットワーク及びネットワーク・セキュリティ等に対応した製品開発及び商材開拓並びに販売
(ⅴ) ローカル5G等の通信分野における新事業に向けたマーケティング活動等
その結果、当中間連結会計期間におけるセグメント別の経営成績は以下のとおりとなりました。
(物販セグメント)544,607千円(前年同期比43.9%減)
当セグメントの売上高は、544,607千円となりました。当社では、5Gのフラッグシップ製品となる「DuoSIM-5G」についてはキャリア様・ベンダー様のvRAN基地局開発における評価が始まり、製品の機能エンハンスのライセンス売上などが計上されましたが、当中間連結会計期間におきましても、引き続き国内の通信事業者及び基地局メーカーに販売注力することに加え、FPGA搭載SmartNIC「Griffin」等の新製品販売注力しつつ、ネットワーク・セキュリテイ分野の商材開拓及び販売等を行い、新分野における製品開発及び販売を展開するとともに、開発及びサポート体制の強化を図り、5G向け製品の海外向け販売活動を積極的に展開して参ります。
セグメント損益につきましては、142,452千円の営業損失(前年同期は52,087千円の営業損失)となりました。研究開発投資は主に減収の影響により、前年同期で減少いたしました。
(サービスセグメント)607,349千円(前年同期比6.6%増)
当セグメントの売上高は、607,349千円となりました。当社が培ってきたモバイル通信の技術をベースにテストサービスの受託や保守サービスの獲得及び新分野における付加価値の高いサービスを提供し、T3Cを活用したvRAN基地局評価のテストについてのご要望に対応して、試験系設備の準備も進めてまいります。
セグメント損益につきましては、増収の影響もあり、168,804千円の営業利益(前年同期比112.5%増)となりました。
以上の結果、当中間連結会計期間におきましては、売上高1,151,956千円(前年同期比25.2%減)、営業利益26,351千円(前年同期比3.7%減)、経常利益94,390千円(前年同期比283.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益49,344千円(前年同期は104,109千円の親会社株主に帰属する中間純損失)となりました。
②財政状態の状況
当中間連結会計期間末における流動資産は3,954,297千円であり、前連結会計年度末に比べ3,734,150千円減少いたしました。売掛金及び契約資産が295,909千円増加した一方で、現金及び預金が4,031,570千円減少したことが主な要因であります。
当中間連結会計期間末における固定資産は4,575,349千円であり、前連結会計年度末に比べ3,339,000千円増加いたしました。投資有価証券が3,403,925千円増加したことが主な要因であります。
なお、投資有価証券については、資金の運用効率の向上を図るため、安全性の高い国債及び社債を購入しております。
当中間連結会計期間末における流動負債は1,534,775千円であり、前連結会計年度末に比べ12,497千円減少いたしました。買掛金が21,151千円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が27,974千円減少したことが主な要因であります。
当中間連結会計期間末における固定負債は333,848千円であり、前連結会計年度末に比べ53,872千円減少いたしました。社債が30,000千円、長期借入金が44,518千円減少したことが主な要因であります。
当中間連結会計期間末における純資産は6,661,023千円であり、前連結会計年度末に比べ328,779千円減少いたしました。親会社株主に帰属する中間純利益49,344千円を計上した一方で、配当金の支払いにより利益剰余金が182,618千円、その他有価証券評価差額金が99,080千円減少したこと、自己株式の取得により自己株式が96,482千円増加したことが主な要因であります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による支出158,337千円、投資活動による支出3,886,479千円、財務活動による支出386,656千円により、当中間連結会計期間末の資金残高は2,023,560千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前中間純利益94,390千円に対し、減価償却費55,636千円、受取利息及び受取配当金75,245千円、売上債権及び契約資産の増加額295,909千円、法人税等の還付額30,841千円等があった結果、営業活動によって減少した資金は158,337千円(前年同期は55,545千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
定期預金の預入による支出400,000千円、投資有価証券の取得による支出3,497,405千円等があった結果、投資活動によって減少した資金は3,886,479千円(前年同期は141,418千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の返済による支出72,492千円、自己株式の取得による支出97,270千円、配当金の支払額182,141千円等があった結果、財務活動によって減少した資金は386,656千円(前年同期は409,678千円の支出)となりました。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループの対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当中間連結会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、370,527千円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。