独立監査人の監査報告書

 

 

 

2024年5月29日

株式会社ティムス

 

 

取締役会 御中

 

 

 

仰星監査法人

 

 

東京事務所

 

 

 

指定社員

業務執行社員

 

公認会計士

福田 日武

 

 

指定社員

業務執行社員

 

公認会計士

小川 聡

 

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ティムスの2023年3月1日から2024年2月29日までの第20期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ティムスの2024年2月29日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

1.研究開発費の期間帰属

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、アカデミア等の研究機関等の研究開発成果を基盤とした医薬品候補物質の研究開発を行い、グローバルの医薬品市場に展開することを主要事業内容とした、創薬型バイオベンチャー企業である。

会社の基本的な事業モデルは、医薬品開発における研究段階から早期臨床段階までを会社が行い、後期臨床段階からは国内外の製薬会社と連携して開発製造販売権を付与し、提携先製薬会社から開発一時金(マイルストーン)及びロイヤリティ収入等を得るものである。

会社の当事業年度における研究開発費は607,278千円であり、営業費用の64.4%を占めている。さらに、【注記事項】(損益計算書関係)に記載の通り、研究開発費のうち外注費が370,829千円であり、研究開発費の61.0%を占めている。

会社の研究開発費の多くを占める外注費は会社外部との間に取り交わした研究開発に関する業務委託契約に基づく費用である。これらの契約には、委託内容が異なる多数の業務が含まれる場合があり、それらの完了時期が異なっている。そのため、委託した業務単位で完了時期を認識する必要があり、完了時期の認識を誤ることによって、研究開発費の期間帰属を誤る可能性がある。

以上から、当監査法人は、研究開発費の期間帰属が当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

当監査法人は、研究開発費の期間帰属を検討するにあたって主として以下の監査手続を実施した。

・外注費を含む研究開発費の計上に係る内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価するため、サンプルにより抽出した取引について内部統制の実施状況の記録を閲覧した。

・研究開発活動の進捗状況を理解するため、経営者等への質問を実施するとともに、取締役会議事録及び関連資料を閲覧した。

・委託した業務ごとの研究開発費の発生状況を把握した上で、業務の進捗に応じて研究開発費が計上されていることを質問により確かめた。

・研究開発費について、金額的な重要性等に基づいて抽出した取引に関する請求書や納品書、報告書といった証憑を閲覧した。

・研究開発に関する業務を委託している取引先から一定の基準に基づいて抽出し、委託した業務が完了しているかどうかを確かめるために確認を実施した。

 

 

 

2.TMS-007に関するオプション契約変更に伴い無償で取得した市場価格のない株式の会計処理

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

【注記事項】(収益認識関係)に記載の通り、会社は当事業年度において、TMS-007に関するオプション契約変更のアップフロントとして、Ji Xing Pharmaceuticals Limited(以下、「JIXING」という。)の普通株式1,483,503株を無償取得している。

当該取引は、TMS-007に関するオプション契約に基づく米国バイオジェン社の契約上の地位がJIXING に譲渡されるのと同時になされたオプション契約の内容の変更に伴うものであり、株式の無償取得だけではなく、オプション契約におけるマイルストーン及びロイヤリティの金額の変更、TMS-007の日本での開発販売権の無償取得、JIXINGが保有していたJX09の日本での開発販売権の無償ライセンス、およびJIXING株式の80%以上を保有するRTW Investments, LPが運用するファンドを割当先とする第三者割当増資を含む、複数の取引の一環としてなされている。

適切な会計処理を行うためには、取引の経済的な実態を適切に把握することが求められる。

さらに、会計基準では収益の対価が現金以外の場合は時価による算定を求めているが、JIXINGから取得している同社株式は非上場株式であり市場価格のない株式であることから、時価の算定にあたっては、評価技法や算定に用いるインプットの選択に経営者による主観的な判断を伴う場合があり、さらには適切なインプットの入手が困難となる可能性も否定できない。

以上から、当監査法人は、当該事項が当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

 

当監査法人は、監査上の主要な検討事項に対して主として以下の監査手続を実施した。

・当該取引を含めた資本業務提携の経済的な実態を適切に把握するため、経営者への質問及び会社が外部から入手した情報を含む各種資料を閲覧するとともに、その実在性を確かめるため、オプション契約変更の合意書、株式割当契約書及び第三者割当増資の入金記録等の関連資料を閲覧した。

・当該取引が適切な機関によって意思決定されたものであることを確かめるため、取締役会の議事録を閲覧するとともに、監査役に対して質問を実施した。

・取得した市場価格のない株式の時価の妥当性を確かめるため、会社が作成した資料の閲覧に加えて経営者へ質問を行うことにより時価の算定方法の合理性を検討するとともに、選択した算定方法において利用されたインプットの妥当性を、関連する資料を閲覧することにより検討した。

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

 

以 上

 

 

 

 (注)1.上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E37069-000 2025-03-14