文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは以下の方針を掲げ、インターネットで何かを始めたい方のツールとして、様々なインターネットサービスを提供しております。企業理念である「もっとおもしろくできる」を通じ、個人の表現活動だけでなく、すべての企業活動において、もっとおもしろいものを自由に表現できる環境を目指します。「人類のアウトプットを増やす」というミッションのもと、ひとりひとりが持つ力や可能性をひろげるために、インターネットと表現の可能性を追求しながらサービスを運営していくこと、そして新しいものを生み出していくことで、誰もが活躍できる環境を創造してまいります。
(2)対処すべき課題
当社グループは以下を主な経営課題として認識しております。
ストック型のビジネスモデルをもつドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業やEC支援事業の各サービスを通じ獲得できる安定的で高い収益力を活かし、フロー型のビジネスモデルであるEC支援事業、ハンドメイド事業、金融支援事業などの成長性の高い事業への投資を行うほか、ブランド力、顧客基盤及び運営ノウハウを活かした新サービスやシナジー効果の高い関連企業などに資金を投入し、事業領域の拡大を図ります。
②優秀な人財の確保
エンジニア、デザイナー、ディレクターなどサービスを創り出す優秀な人財を集める環境を整備するため、給与水準の引き上げや、福利厚生の充実を図るとともに、社内教育や人事制度の整備などにおいても積極的に取り組むほか、AIを活用した業務効率化で生産性の向上を図り、そこから生まれた利益をより専門性の高い人財の確保に投資することで、企業としてのブランド及び企業価値の向上に繋げるための環境構築を図ります。
③金融支援事業における貸倒関連費用の抑制
金融支援事業は、他の事業よりも貸倒のリスクが高いため、継続取引先に対するモニタリングの強化、新規取引先に対する与信上限の引き下げ、利用条件の厳格化、回収期間の短縮、高額債権の買取停止、大型案件に特化した回収チームの組成等の施策を実行することで、貸倒関連費用の抑制を図ってまいります。
当社グループは、ユーザーの多岐にわたる表現活動をサポートする企業として、有機的に事業成長し続けるために、これらの経営課題に対し、成長スピードに応じたリスク管理体制・法令遵守体制などコーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。
(3)事業戦略
当社グループは、個人や企業向けにインターネットサービスを提供しており、事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めております。経営環境を取り巻く諸要素に鑑み、ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業、EC支援事業、ハンドメイド事業、金融支援事業の4つの事業ポートフォリオを構築し、決算説明会資料等において業績の進捗や見通しを開示しております。
②中長期の事業戦略
当社グループでは、ストック型のビジネスモデルであるドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業の「ロリポップ!」、「ムームードメイン」や、EC支援事業の「カラーミーショップ」の安定的で高い収益力を活かし、フロー型のビジネスモデルであるEC支援事業の「SUZURI」、ハンドメイド事業の「minne」のほか、金融支援事業の「FREENANCE」や新規事業など成長性の高い事業への投資を行い、中長期的な企業価値の向上を目指しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する基本的方針
当社は「もっとおもしろくできる」という企業理念のもと、インターネット事業者として事業活動を継続すること自体が社会課題の解決につながると考えております。各サービスを通じ、人類のアウトプットを増やし、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。将来にわたり企業理念「もっとおもしろくできる」を実現し続けるため、事業を通じて中長期的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、ホームページ・ブログの制作、ECサイトの構築、オリジナルグッズの販売、ハンドメイド作品の販売、フリーランスの活動をしている個人や個人事業主だけでなく、事業規模を問わないすべての表現活動を行う人々を支援しています。事業を通じて表現者を支援することで企業価値の向上を図り、持続可能な社会の実現を目指します。
(2)サステナビリティの重要課題(マテリアリティ)
当社のサステナビリティに関する3つの重要課題(マテリアリティ)に基づいた取り組みを企業ホームページにおいて記載しており、「ESG」の定量データ開示や具体的な取り組み事例等の情報開示を実施しております。
(3つの重要課題)
1.環境負荷の低減を通じた地球環境への配慮と保全
2.あらゆる人々を支援し人類のアウトプットを増やす
3.ガバナンスの強化による健全で透明性のある企業経営
(3)地球環境への配慮と保全:気候関連財務情報開示(TCFD)について
世界では気候変動をはじめとする環境課題が深刻化しています。日本国内でも異常気象による大規模な自然災害が多発するなど大きな影響をもたらし、今や気候変動は企業にとって看過できない状況となっています。
このような中、当社グループにおいても、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しており、特定した3つのマテリアリティのうち、「環境負荷の低減を通じた地球環境への配慮と保全」を重要なマテリアリティと位置づけ、TCFDの提言に準じた気候変動シナリオの分析やガバナンス/リスク管理体制の開示を進めています。
(4)TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示
TCFD提言は、すべての企業に対し、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。
当社グループは、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、気候関連情報を開示致します。
当社は自らの社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現を目指すために取締役が担当となる「ペパボ向上委員会」を設置し、TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析と財務インパクトの評価と検討を行った上で、年1回取締役会において、ペパボ向上委員会での活動報告を実施しております。
TCFD提言が推奨するシナリオ分析の手法により、将来の気候変動が当社事業に影響を及ぼし得るリスク・機会を特定しています。IPCCやIEA等のシナリオを参考に、当社を取り巻く自然環境や社会環境の変化を想定したシナリオを設定し、気候変動に関するリスク・機会を特定しました。
大:リスクにおいては自然災害発生によるデータセンターや工場の稼働停止、機会においては技術革新による 表現活動の変化等の可能性が広がることから、事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定されます。
中:リスクにおいてはステークホルダーからの評判や信頼の低下、機会においては消費者の嗜好の変化や表現の多様化に対応したサービス展開による事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定されます。
小:炭素税の導入に伴うコストアップや気温の上昇によるリスクがあるものの、事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定されます。
当社にとって、重要なサステナビリティを軸に3つのマテリアリティを特定しているほか、TCFDの提言に準じた気候変動シナリオ分析に基づいたリスク管理を行い、事務局管理のもとペパボ向上委員会において報告と議論を実施しております。(管理体制はガバナンスに記載の管理体制図の通り)
中長期的な温室効果ガス(GHG)の排出削減目標の達成を考慮し、Scope1,2,3についても目標設定等の開示に向けて取り組んでまいります。
(GHG排出量) (単位:t-CO2)
*1 Scope1:企業が自ら排出するGHG排出量
*2 Scope2:購入した電力・熱等の間接的な排出量、空調は地域の電力料金に基づき概算で算出
(単位:t-CO2)
*3 Scope3:当社の活動に関連する他社の排出量、サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.1)を基準に原単価を算出
(5)人的資本に関する方針及び指標
(人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略)
当社では、一緒に働いている仲間のことを「パートナー」と呼んでいます。それは、立場や職種を超えて、全員がひとつの同じ目標を達成するためのチームだからです。そんなわたしたちパートナーには、大切にしていることが3つあります。「みんなと仲良くすること」「ファンを増やすこと」「アウトプットすること」です。企業ミッションである「人類のアウトプットを増やす」ため、お客様に最高のサービスを提供し、パートナーの働く環境づくりにも積極的に取り組むことで、効率的に仕事ができることはもちろん、成長できる環境を構築し、パートナー一人ひとりが持てる強みを発揮し、企業価値の向上を目指します。
多様な人財の活用と人財の育成、環境づくりも積極的に行っており、育児や介護、障がいを持つパートナーなど、様々な人財が活躍できるよう、フレックスタイム制や評価制度などにおいては、女性だけにフォーカスすることなく、柔軟な働き方が可能な各種制度を導入しています。誰でも自身の能力を最大限発揮し活躍ができる環境を構築しています。
妊娠期間中に体調を優先しながら安心して勤務できるよう「妊婦のための特別休暇(有給)制度」を設けており、妊娠期間中のほぼ全てのパートナーが利用しています。また、体外受精等の高度な不妊治療を行うパートナーが安心して治療に専念できる環境整備のため、「不妊治療休職制度」を導入しています。
労働力不足、働き方の価値観の変化、兼業や副業といった新たなワークスタイルの浸透等により環境が大きく変わる中、当社では、パートナーが高いモチベーションを持ち、多様なキャリアパスや働き方を実現できるよう制度整備や環境構築を行っています。
今後も、人事評価制度の運用や継続的なアップデート、また仕事と育児の両立支援制度の積極的な活用を行うことにより、性別を問わず多様な人財が最大限能力を発揮できる組織を構築し、上位職者数の増加、男性育児休業取得率の向上を目指してまいります。
女性活躍推進に関して、性別を問わず多様な人財が最大限能力を発揮できる組織を構築することを目指しており、指標での目標は用いません。個人や性別の技術や能力の高さより、新しい価値観に対していかに興味を持って前向きに捉えることができるかが重要と考えています。
技術や社会情勢が変われば当然価値観も変化します。いろいろな変化を受け入れてきたその結果が、今のような多様性を認める社会となっていることから、変化や多様性を受け入れていく流れの中で、世の中の動きに対しての感度も自然に高められるマインドを持つべきであり、その中で性別に関係なく人財が活躍してくれることがあるべき姿であると考えております。
(指標及び目標)
当社は人的資本に関する指標を非財務指標(*1)として開示しております。Wevox(*2)におけるスコアアップを継続的に目指すほか、エンジニア、ディレクター、デザイナーを合算した創る人比率を中長期的に上昇させることを目標に掲げております。
*1 その他の非財務指標については
*2 従業員の声から課題を可視化させ、データとAIによって改善を目指す、エンゲージメントの可視化
によって企業価値向上を支援するサービス
以下において、本書提出日現在における当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
(1)GMOインターネットグループとの関係について
当社グループは親会社であるGMOインターネットグループ株式会社を中心とした企業集団(以下、GMOインターネットグループ)に属しており、同社は当事業年度末現在における当社の議決権の59.6%(うち2.0%は間接保有)を保有しております。当社グループは独立性、自主性に基づき企業運営を行っておりますが、GMOインターネットグループの当社グループに対する基本方針等に変更が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(GMOインターネットグループとの取引)
GMOインターネットグループとの取引については、取引条件の経済合理性を保つため定期的に契約の見直しを行っており、今後発生する取引等につきましても、市場原理に基づいて取引の是非を判断してまいります。しかしながら、GMOインターネットグループの当社グループに対する取引方針や条件等に大きな変更が生じた場合や、取引が困難となった際の代替事業者の確保に時間を要した場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(GMOインターネットグループとの人的関係について)
本書提出日現在における当社の取締役(監査等委員である取締役を除く。)6名のうち、取締役会長である熊谷正寿は、GMOインターネットグループ株式会社の代表取締役グループ代表 会長兼社長執行役員・CEOでありますが、その豊富な経験をもとに当社の事業に関する助言を得ることを目的として招聘しております。
(GMOインターネットグループとの取引)
GMOインターネットグループとの取引については、取引条件の経済合理性を保つため定期的に契約の見直しを行っており、今後発生する取引等につきましても、市場原理に基づいて取引の是非を判断してまいります。しかしながら、GMOインターネットグループの当社グループに対する取引方針や条件等に大きな変更が生じた場合や、取引が困難となった際の代替事業者の確保に時間を要した場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(GMOインターネットグループとの人的関係について)
本書提出日現在における当社の取締役(監査等委員である取締役を除く。)6名のうち、取締役会長である熊谷正寿は、GMOインターネットグループ株式会社の代表取締役グループ代表 会長兼社長執行役員・CEOでありますが、その豊富な経験をもとに当社の事業に関する助言を得ることを目的として招聘しております。
(GMOインターネットグループとの事業の棲み分けについて)
GMOインターネットグループの主な事業は、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業及びインキュベーション事業です。
その中で、グループ企業数社と当社グループにおきましては、サービス形態が一部類似しておりますが、当社グループは主に個人の創作活動や趣味を通じた自己表現やコミュニケーションツールとしての利用、また、個人事業主、小規模法人など低価格でのビジネスニーズに対して提供しているのに対し、当社グループ以外のGMOインターネットグループ企業は、法人をターゲットにインターネットを通じたビジネス展開や企業情報の発信のための高性能で多機能なサービスを提供しており、ターゲット・価格帯・基本性能が異なることから、事業の棲み分けがなされております。
(ブランドに対するリスク)
GMOインターネットグループにおいて業務遂行上の第三者とのトラブル、役職員による不正行為の発覚、事実と異なる風評報道などがあった場合には、当社グループを含むGMOインターネットグループの信用が毀損され、企業イメージの悪化などにより、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)事業内容、事業環境について
(競合と市場状況について)
ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業の事業領域であるレンタルサーバー、ドメインの分野においては、利用者ニーズの多様化、高度化も含めた市場規模の拡大が今後も進むと考えております。しかし、代替となるサービスの発生やレンタルサーバー以外の形態によるインターネット利用の拡大等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、同事業領域は複数の同業他社が存在しております。そのような中において、「ロリポップ!」は個人向けのレンタルサーバーサービスで国内最大規模であると認識しておりますが、「ロリポップ!」と同価格帯のサービスも多数存在しており、競争状態にあります。
その対策として、当社グループは、ターゲットや価格帯を変えた複数のサービスブランドを展開しており、それらをあわせて総合的にシェアを拡大していく戦略をとっております。しかしながら、今後の技術開発競争、価格競争や新規参入により更なる競争の激化が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
EC支援事業の事業領域である電子商取引(EC)の分野においては、市場規模の拡大が続いております。当社グループでは今後もEC市場が拡大することを想定しており、販売する側も大企業から中小企業、個人商店から個人へと裾野が広がると考えております。
しかしながら、電子商取引を取り巻く法規制や、トラブル等により、当社グループの期待どおりにEC市場が拡大しない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
EC市場が拡大した場合にも、競合他社及び新規参入業者に技術開発競争、価格競争、ブランディングにおいて優位性を保てない場合には、想定通りの成長が見込めない可能性があります。
スマートフォンの普及などを背景に個人間の電子商取引(CtoC)の市場は年々拡大を続けております。それに伴い、手芸や趣味工芸を中心とするハンドメイドマーケットについても、引き続き市場が拡大するものと考えております。
しかしながら、作家と購入者間のトラブル等の発生により、取引方法やCtoCサービスの運営に対する新たな規制が導入された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、競合他社及び新規参入業者に技術開発競争、価格競争、ブランディングにおいて優位性を保てない場合には、想定通りの成長が見込めない可能性があります。
ツールの進化や働き方改革の推進などにより、フリーランス人口が年々増加していることを背景にフリーランス向けのファクタリング市場も年々拡大を続けるものと考えております。
しかしながら、フリーランス向けファクタリングに関連する新たな法規制やトラブル等の発生により当社グループの想定通りに市場が拡大しない場合には当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、市場が拡大した場合にも競合他社及び新規参入業者に技術開発競争、価格競争、ブランディングにおいて優位性を保てない場合には、想定通りの成長が見込めない可能性があります。
加えて、ファクタリングの回収状況や請求書買取先等の信用状況を踏まえて、必要と認める額を貸倒引当金として計上していますが、想定以上の経済状況の悪化や請求書買取先等の財政状態の悪化等が発生した場合には、貸倒引当金の積み増しが必要となり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(情報セキュリティについて)
当社グループは、第三者による当社グループのサーバー等への侵入に対して、ファイヤーウォールや対策機器などのシステム的な対策を施すほか、専門のチームを設置することにより組織的な情報セキュリティ対策強化を推進しております。
しかしながら、ハッカー等の悪意をもった第三者の攻撃等により顧客情報及び顧客の有する重要な情報を不正に入手されるといった機密性が脅かされる可能性、顧客サイトの改ざん等のデータの完全性が脅かされる可能性、及びいわゆるサービス不能攻撃によってサービス自体が提供できなくなる等のシステムの可用性が脅かされる可能性は否定できません。
このような事態が生じた場合には、当社グループに対する法的責任の追及、企業イメージの悪化等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(システムトラブルについて)
当社グループの事業においては、24時間365日安定したサービスを提供する必要がありますが、当社グループのサービスを構成しているプログラム及びシステムは、通信ネットワークに依存しております。
サービスのシステム監視体制やバックアップなどの対応策をとっておりますが、災害や事故等の発生により通信ネットワークが切断された場合、急激なアクセスの増大によりサービスの稼働するサーバーが一時的に作動不能となった場合、及びサーバーハードウェアに不具合が発生した場合には、安定したサービスが提供できなくなる可能性があります。
この場合、顧客への利用料金の返金等の直接的な損害が生じる可能性があるほか、信用低下やブランドイメージの毀損などにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(外注先について)
当社グループの運営するサービスは、サーバー及びサーバーを設置するラックの供給を外注先に依存しております。この外注先は、入退室時の情報管理等の管理体制が整備され防災措置・安全対策等を行っているデータセンターを運営する信頼性の高い業者に限定しております。
しかしながら、予期せぬ自然災害や不法行為などが生じ、当該外注先の役務提供の遅れや提供不能などの事態が生じた場合には、当社グループもまたサービス提供の遅れや提供不能などの事態が生じるおそれがあり、その場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、外注先の経営悪化等により予期せぬ取引の解消が生じた場合には、サーバーの撤去費用又は他のデータセンターへの移転費用が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
なお、主な外注先は、GMOインターネットグループ株式会社、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社であります。
(インフラコスト、為替変動について)
当社グループの事業活動においてサービス提供に伴うサーバー及びサーバーを設置するラックの調達や、ドメインの仕入れ等を適宜実施しております。そのため、為替や資源・エネルギー価格の高騰に伴うインフラ価格の高騰や為替変動に伴う調達コストの増加など当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(3)法的規制等について
(法的規制について)
当社グループでは、会社法等の一般法令のほか、「電気通信事業法」「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」といった各事業領域に関連する法令、監督官庁の指針及びガイドライン等による規制を受けております。
現在もインターネット及び電子商取引を取り巻く法的規制については、議論が続いている状態であり、今後、これらの法令等の改正又はインターネットの利用者や関連事業者を規制対象とする法令等の制定若しくは自主規制が求められる場合に備え、迅速な対応が行えるよう常に情報収集に努めております。
しかしながら、新たに制定された法令等に対応するためのコスト負担が重く、対応困難となるような場合には、当社グループの事業が制約を受ける可能性があり、この場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。
(サービス利用者の違法行為について)
当社グループの運営するサービス上において、出店者や購入者などのサービス利用者が法禁物の取引を行うこと、詐欺などの違法行為を行うこと、他人の所有権、知的財産権、プライバシー権などの権利を侵害する行為を行うこと、法令や公序良俗に反するコンテンツの設置を行うことなどの危険性が存在しております。かかる事態が生じることを防止すべく、当社のカスタマーサポートが随時、利用状況の監視や、利用規約に基づく警告・違法情報の削除などを行っております。
しかしながら、万が一、かかる事態が生じることを事前に防止することができなかった場合には、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループについても取引・表現の場を提供する者として責任追及がなされるおそれがあり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、サービスの利用者が違法行為を行った場合において、警察や裁判所等の公的機関に対して、捜査協力としてサーバーに残されたデータやログ・ファイルを提出することがあります。現在では多くの場合、CD-R等の情報媒体にサーバーからデータを複写して提出しておりますが、サーバーやハードディスクそのものの提出が必要とされた場合や今後法的規制が強化され、該当する設備が全て差し押さえられるようなことになった場合には、サーバーの利用ができなくなり、サービスの提供が中断する可能性があります。
この場合には、当社グループの企業イメージが傷つく可能性や、他の顧客からの損害賠償請求が生じる可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(情報管理と情報漏洩について)
当社グループは「個人情報の保護に関する法律」において、個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社グループでは個人情報を取り扱う役職員を限定し、個人情報へのアクセスにあたってはパスワード管理を行い、個人情報へのアクセスをログ管理する等、プログラム、運用両面から厳格な情報管理を継続して行う社内体制を構築しており、今後もより一層の体制強化を図っていく予定です。
また、個人情報の格納されているサーバーについても24時間のセキュリティ管理のあるデータセンターで厳重に管理されております。しかしながら、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社グループに対する信用の低下により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4)知的財産権について
(当社グループ保有の知的財産権について)
当社グループでは「ペパボ」「ロリポップ!」「ムームードメイン」「minne」「SUZURI」等の社名及び各サービス名について商標登録を行っており、各サービスの商標出願を積極的に行っております。今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定ですが、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決のために要する時間や費用により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(当社グループによる第三者の知的財産権侵害について)
当社グループによる第三者の知的財産権の侵害については可能な範囲で調査を行い対応を行っておりますが、当社グループの事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループの事業領域において第三者の知的財産権が確立している可能性や第三者の特許が成立する可能性は否定できません。
この場合には、当社グループに対する損害賠償請求やロイヤリティの支払要求等が行われることにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(ドメイン紛争について)
当社グループではドメインサービスにおいて、Whois(注) 情報代理公開というサービスを行っております。これは顧客の個人情報をWhois情報としてインターネット上に公開する代わりに当社グループ情報をWhois情報として公開するものであり、これにより多くの個人顧客が個人情報開示の心配なくドメインを利用することが可能になっております。この場合にWhois情報代理公開を利用した特定ドメインに対し、第三者から商標権の侵害等の通知を当社グループが受けることがありますが、通常は本来の顧客に対して連絡を行い、Whois情報代理公開を中止し、当事者間で紛争の解決をはかることを想定しております。しかしながら、顧客に連絡がつかない場合等に、当社グループを当事者としてドメイン使用の差止請求、損害賠償請求等の要求が生じる可能性があります。
このような事態が生じた場合には、解決のために多くの時間や費用がかかる等、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(注)Whoisとは、IPアドレスやドメイン名の登録者などに関する情報を、インターネットユーザーが誰でも参照できるサービスです。
(5)当社グループの事業体制に関するリスク
(人的資源について)
当社グループの中長期的な成長のためには、適切な時期に優秀な人材を確保し雇用を維持する必要があります。
また、当社グループでは継続的に人材の確保と育成に注力しておりますが、人材の確保が計画通り進まなかった場合や既存の多くの優秀な人材が社外に流出した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(新規サービスや新規事業について)
当社グループは、今後のさらなる事業拡大と収益源の多様化を図るため、引き続き、積極的に新サービスや新規事業に取り組んでいく考えであります。これにより人材、システム投資や広告宣伝費等の追加投資的な支出が発生し、利益が減少する可能性があります。
また、新サービスや新規事業を開始した際には、その新たなサービスや新規事業での固有のリスクが加わり、当初想定とは異なる状況が発生することにより収益計画どおりに進まない等、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(6)その他
(災害紛争リスク)
地震、台風、津波、長時間の停電、火災、疫病の蔓延、その他の予期せぬ災害又はテロリズム等の紛争等が発生した場合、当社グループの事業の運営または継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、あらゆる事態を想定して事業継続のための計画策定などを進めておりますが、これらのリスクの発現による人的、物的損害が甚大な場合は当社グループの事業の継続自体が不可能となる可能性があります。
(投資に係るリスク)
当社グループは、事業シナジー効果等を期待してインターネット関連の企業に対して投資を実施しておりますが、これらの投資について回収ができない可能性があります。
投資先企業の事業が計画どおり進捗しない場合、また、想定した事業シナジー効果が得られない場合等は、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社は「人類のアウトプットを増やす」というミッションのもと、表現活動を支援するためのさまざまなウェブサービス及びスマートフォンアプリを提供しています。
当連結会計年度の売上高は、フロー型ビジネスの「SUZURI」や「minne」の流通額が伸び悩んだほか、金融支援事業において大型債権の買取を抑制したため請求書買取額が減少したものの、レンタルサーバーサービス「ロリポップ!」やドメイン取得代行サービス「ムームードメイン」などのストック型ビジネスの価格改定効果が継続していることや、高単価プランの契約比率が上昇し、好調に推移したことから、前期比で増収となりました。
利益面では、金融支援事業における滞留債権に対する貸倒関連費用が減少したほか、AI活用によりカスタマーサービスコストが減少した結果、大幅増益となりました。
その結果、当連結会計年度における業績は、売上高10,922,830千円(前期比0.2%増)、営業利益829,146千円(前期は営業損失340,988千円)、経常利益937,349千円(前期は経常損失246,730千円)、親会社株主に帰属する当期純利益591,632千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失628,787千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当連結会計年度より当社のセグメントのうち「ホスティング事業」については、事業内容をより明確に表現するため「ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業」に名称を変更いたしました。名称のみの変更であり、セグメントの区分方法に変更はございません。
また、「調整額」に含まれていた各事業ごとのカスタマーサービス部門をドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業、EC支援事業、ハンドメイド事業へそれぞれ区分変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後のセグメント区分に基づいております。
(ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業)
ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業には、個人からビジネスまで幅広い用途にご利用頂けるレンタルサーバーサービス「ロリポップ!」及びドメイン取得代行サービス「ムームードメイン」等が属しております。
「ロリポップ!」におきましては、高単価プランの契約件数が増加しているものの、低単価プランの契約件数が減少し、契約件数は405,185件(前期末比1.8%減)となりました。顧客単価は、2024年8月に実施した価格改定に伴い523円(前期比4.8%増)となりました。
また、サーバーの専門知識がなくても簡単にマルチプレイ専用のサーバーが立てられる「ロリポップ! for Gamers」では、対応ゲームを順次拡充し、現在では「Minecraft(統合版・Java版)」、「Palworld / パルワールド」をはじめとした15タイトルに対応しております。
「ムームードメイン」におきましては、2023年に比べ2024年は円安で推移したことからドメイン単価が上昇しました。一方で、新規契約数が減少したことから、登録ドメイン数は1,055,194件(前期末比4.3%減)となりました。
利益面においては、上述のとおり価格改定の効果により売上高が増加したほか、AI活用によるカスタマサービスのコストの減少により増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高6,096,728千円(前期比5.9%増)、セグメント利益は1,918,696千円(前期比5.7%増)となりました。
(EC支援事業)
EC支援事業には、月額制ECサイト構築サービス国内店舗数No.1の「カラーミーショップ」及びオリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」が属しております。
「カラーミーショップ」におきましては、従来よりも大規模なECサイト運営を支援する「プレミアムプラン」の契約件数が堅調に推移しました。全体の契約件数は、新規契約件数が伸び悩むも、解約件数が減少し、50,006件(前期末比0.7%減)となりました。また、月額有料プランの顧客単価は高単価プランの契約比率が高まり5,842円(前期比11.5%増)となりました。売上高はIT導入補助金を活用した制作代行案件が増加したほか、高単価プランの契約比率が高まったことにより前年を上回る実績となりました。
「SUZURI」におきましては、2024年7月にクリエイターがオリジナルイラストや似顔絵などの作品の企画を立て、オーダーを受付できるコミッション機能「SUZURIコミッション」と、画像1枚でTシャツの3Dモデルが作成・販売可能になる「3Dグッズ作成ツール」を提供開始したことから登録会員数は201万人(前期末比23.2%増)となりました。当連結会計年度における来訪者数は増加しているものの、購入率が減少したことから流通金額は20.9億円(前期比13.9%減)となりました。
利益面においては、「カラーミーショップ」、「SUZURI」ともにAI活用によってカスタマーサービスコストが減少しました。
以上の結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は2,965,565千円(前期比1.1%減)、セグメント利益は777,799千円(前期比18.5%増)となりました。
(ハンドメイド事業)
ハンドメイド事業には、国内最大級のハンドメイドマーケット「minne」が属しております。
「minne」では、2024年5月より作家・ブランドの販促・マーケティング活動を支援するためのサブスクリプション型プラン「minne PLUS 作家スタンダードプラン」を提供開始しました。また、作品の販売機会拡大を狙い、2024年11月に「minneのハンドメイドマーケット2024」を開催しました。作家・ブランド数は93万人(前期末比3.6%増)となりました。一方で、当連結会計年度における流通金額は115.6億円(前期比10.4%減)となりました。
利益面においては、作家向けの販促活動を支援するminne広告の運用によって利益率が改善しました。
以上の結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は1,401,914千円(前期比5.9%減)、セグメント利益は62,380千円(前期比185.6%増)となりました。
(金融支援事業)
金融支援事業には、連結子会社であるGMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営するフリーランス向けファクタリングサービス「FREENANCE」が属しております。
「FREENANCE」におきましては、前年第2四半期より大型債権の買取を抑制した影響により、当連結会計年度の請求書買取額は、53.4億円(前期比37.0%減)となりました。
利益面では、滞留債権に対する貸倒関連費用が大幅に減少しました。
以上の結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は452,981千円(前期比30.9%減)、セグメント損失は43,493千円(前期のセグメント損失は1,064,650千円)となりました。
(その他)
その他には、習い事やチーム・教室運営における連絡や集金をクラウド上で一元管理できるサービス「GMOレンシュ」のほか、2024年3月に提供開始したお問い合わせ対応のノウハウとAI導入の専門知識を組み合わせ、会話型AIの導入から運用までを支援する、お問い合わせ対応AIの導入支援サービス「GMO即レスAI」や、2024年10月に提供開始した配信者やVTuberの配信ハードルを下げ、専門知識や技術、機材がなくても誰もが簡単に動画・ライブ配信といった表現活動を実現できる、配信者やVTuber向けの配信画面作成サービス「Alive Studio」が属しております。
当連結会計年度におけるセグメント売上高は5,640千円(前期比294.3%増)、セグメント損失は60,407千円(前期のセグメント損失は42,591千円)となりました。
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は9,252,820千円(前連結会計年度末比683,973千円増)となりました。これは、主に未収入金が99,217千円及び貸倒引当金が90,541千円減少した一方で、関係会社預け金が500,000千円、売掛金が146,416千円及び現金及び預金が56,718千円増加したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は2,166,045千円(同140,095千円減)となりました。これは、主に投資有価証券が33,037千円増加した一方で、リース資産が80,286千円及びソフトウエアが77,313千円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は8,169,883千円(同256,352千円増)となりました。これは、主に、契約負債が94,478千円、未払金が69,778千円及び賞与引当金が56,434千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は859,848千円(同290,441千円減)となりました。これは、主に社債が200,000千円及びリース債務が103,252千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は2,389,135千円(同577,966千円増)となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴い利益剰余金が591,632千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ556,718千円増加し、4,917,059千円となりました。各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は1,210,289千円となりました。
これは、主に税金等調整前当期純利益937,349千円、減価償却費526,590千円による増加の一方で、売上債権の増加額146,416千円、貸倒引当金の減少額123,187千円による減少の結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は292,178千円となりました。
これは、主に投資事業組合からの分配による収入72,378千円による増加の一方で、有形固定資産の取得による支出180,458千円及び無形固定資産の取得による支出128,599千円による減少の結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は361,392千円となりました。
これは、主に社債の償還による支出200,000千円及びファイナンス・リース債務の返済による支出160,926千円による減少の結果であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、インターネットを利用したドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業、EC支援事業、ハンドメイド事業、金融支援事業に加えて、その他の事業の提供を行っており、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
当社グループでは、概ね受注から役務提供開始までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財務状態の分析
当連結会計年度末の財政状態は、流動資産9,252,820千円、固定資産2,166,045千円、流動負債8,169,883千円、固定負債859,848千円、純資産2,389,135千円となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。
b. 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」、国内最大級のハンドメイドマーケット「minne」の流通額が前年を下回ったものの、レンタルサーバーサービス「ロリポップ!」やECサイト構築サービス「カラーミーショップ」などのストック型ビジネスが価格改定の効果により堅調に推移したことから、10,922,830千円となりました。
売上原価は、ムームードメインのドメイン登録手数料等の支払手数料が3,253,696千円になったこと、人件費(賃金・法定福利費・退職給付費用)が723,718千円となったこと等により、5,144,140千円となりました。
販売費及び一般管理費については、従業員の増加や待遇改善に伴う人件費(給料手当・賞与・賞与引当金繰入額・法定福利費・退職給付費用)が1,955,506千円、EC関連サービスを中心としたプロモーションコスト(広告宣伝費及び販売促進費)が1,017,945千円、サービス利用料金回収代行業者への支払手数料等が864,440千円になったこと等により、4,949,544千円となりました。
また、営業外収益は、投資事業組合運用益が67,717千円であったこと等により、142,498千円となりました。営業外費用は、投資事業組合運用損が22,080千円であったこと等により、34,295千円となりました。
これに法人税、住民税及び事業税325,212千円及び法人税等調整額20,503千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は591,632千円となりました。
c. キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、4,917,059千円となりました。
詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」において記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループは、今後も更なる収益基盤の安定化及び持続的な成長を図るために、自社による新規事業の創出及び拡大のみならず、既存サービスのブランド力、顧客基盤や運営ノウハウとのシナジーが見込める業務提携、M&A等を積極的に取り組んでいく方針であります。
そのため、当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及びM&Aになります。また、当社グループの資金の源泉は、主として、営業活動によるキャッシュ・フローによるものです。なお、新規サービスの急拡大やM&Aなどにより、資金が必要となった場合には銀行借入に加え、親会社GMOインターネットグループ株式会社のCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)からの調達など、資金調達の多様化を図っております。
d. 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループ経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めております。
当社グループの経営環境をとりまく諸要素に鑑みますと、ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)、EC支援及びハンドメイドの事業領域における市場環境は消費動向の変化による影響を受けているものの、いまだ活況であり、今後も新規参入及び価格競争激化の可能性がございます。また、金融支援事業におきましても、引き続きフリーランスを中心とした経済規模の拡大が期待されます。当社グループといたしましては、高付加価値のサービスを提供し続ける企業として、市場での確固たるポジションを確立するために、経営効率の向上と適切な経営判断に努めてまいります。
e. 事業等のリスクに記載した重要事項等の分析及び検討内容並びに対応策
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性がありますが、当社グループは、当該状況を解消及び改善すべく、以下のとおり対応してまいります。
当社は、創業時よりドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業への依存度が高くなっておりますが、近年は、EC支援事業及びハンドメイド事業領域において、集客力の強化と流通額の拡大に注力しております。また、連結子会社であるGMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営するフリーランス向けファクタリングサービス「FREENANCE」が属しております金融支援事業が新たな事業として成長しております。
技術革新の分野においては、AIの利活用にも積極的に取り組んでおり、新たな事業分野としてAIを活用した新サービスの提供も予定しております。WEBアプリケーションのみならず、モバイルアプリケーション分野の技術力を向上させるための活動への支援や、開発体制の強化による継続的な運用が可能な体制づくりを行っております。また、システムトラブルへの対策については、サーバー再構築や恒常的な構成改善によってシステムトラブル発生の軽減に努めており、引き続きサービスの安定的な提供のための対策を進めてまいります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
当社が運営する研究開発組織「ペパボ研究所」では、「事業を差別化できる技術を生み出す」ことをミッションとし、「なめらかなシステム」を実現することをビジョンに掲げて、アカデミックな水準における新規性・有効性・信頼性を追求する研究を行っております。さらに、研究開発した技術を実際のシステムとして実装及び提供することにより、事業貢献に繋げております。
当連結会計年度において、OpenAI社のChatGPT登場以来ますます重要性を増しているAI分野(機械学習・自然言語処理)により一層注力し、体制強化を行っております。主な取り組みとして、当社で研究開発したAI基盤の全社的な導入を進めていることが挙げられます。minneやSUZURIといったECサイトにおける、販売者と購入者のマッチングをより効率化することに寄与すると考えております。
また、横浜国立大学・太田研究室、東京大学・鳥海研究室との共同研究に引き続き取り組むとともに、当社パートナーが独立行政法人情報処理推進機構(IPA)2024年度も引き続き未踏ターゲット事業に採択される等、社外機関と継続的に取り組みを進めています。これらの技術を用いて、当社の既存事業を差別化することはもとより、新しい分野での事業創出にも繋げていきたいと考えております。
AI技術の爆発的な発展が世界的に注目される中、当社としても引き続き研究開発体制をAI分野(機械学習・自然言語処理)に注力し、既存サービスにおける収益の増加、新規事業の創出を狙います。さらには、当社の事業領域にとって未知の分野に対しても研究開発に積極的に取り組み、世の中にない真に新しい技術によって、より一層の成長に寄与したいと考えております。