文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループでは、私たちの使命や考え方の基盤、行動の原則をMissionを頂点に据えた「Nissha Philosophy」に定め、大切にしています。Missionは私たちの存在意義・使命を、またShared Valuesは社員一人ひとりの考え方や行動の基本指針をそれぞれ表しています。
私たちは世界に広がる多様な人材能力と情熱を結集し、継続的な技術の創出と経済・社会価値への展開を通じて、人々の豊かな生活を実現します。
Customer is Our Priority
私たちは、お客さま価値の最大化を追求します。
Diversity and Inclusion
私たちは、多様な人材能力が対等に関わり合うことにより、組織の実行力を高めます。
Commitment to Results
私たちは、成果を出すことにこだわります。
Accomplished with Efficiency
私たちは、スピード重視で仕事を完遂します。
Act with Integrity
私たちは、誠実に行動し、信頼される企業であり続けます。
当社グループは、Missionのもと、2030年のあるべき姿をサステナビリティビジョン(長期ビジョン)として示しています。多様な技術や人材能力の結集・融合により、メディカル・モビリティ・環境に関わるグローバルな社会課題の解決に貢献し、人々の豊かな生活を実現することを目指しています。その骨子は以下のとおりです。
・事業活動を通じた社会課題の解決
・医療課題の解決、安全・快適なモビリティの実現、循環型社会への貢献
・2050年カーボンニュートラルを見据え、CO2総排出量を30%削減(2020年比)
② 経済価値の創出
・売上高3,000億円(うち1,500億円がメディカル分野)
・ROE15%
・営業利益率12%
当社グループは、2030年のあるべき姿であるサステナビリティビジョンの実現に向け、第8次中期経営計画(3カ年)を2024年から運用しています。第8次中期経営計画では、安定的な成長と資本効率性の向上を志向し、これまでに構築した事業ポートフォリオの強化を通じて、利益率の向上と安定化を実現します。
医療機器、モビリティ、サステナブル資材などの市場においては、オーガニックな成長とM&Aの両面で事業を拡大し、社会課題の解決に資する製品群・サービスの拡充を目指します。IT機器市場においては、生産体制の最適化を含めた生産性・効率性の改善を追求します。
また、将来の持続的な成長を実現するために、自社開発に限らず業務提携やM&Aなどを通じて、新たな事業や製品群の開発を加速します。
定量的な計画は以下のとおりです。
サステナビリティビジョンの実現のために「事業機会の創出」「リスクの低減」「経営基盤の強化」「ガバナンスの推進」をマテリアリティとして特定しています。2030年のあるべき姿を起点にバックキャストして具体的な戦略項目、KPIを設定し、取り組んでいます。
当社グループのマテリアリティ
・事業機会の創出
・医療課題の解決
・移動・物流の安全性・快適性、環境負荷の低減に貢献
・サーキュラーエコノミーの推進
・リスクの低減
・人権の尊重
・気候変動への対応
・責任ある製品・サービスの提供
・持続可能な調達
・生成AIの普及に対応したデータセキュリティ
・経営基盤の強化
・人的資本の充実
・効率性・生産性の向上
・ガバナンスの推進
・取締役会の実効性の向上
・グローバルガバナンスの高度化
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、サステナビリティを「企業と社会の持続的な成長・発展を両立する取り組み」と捉えています。この考えのもと、社会課題を事業機会と捉え、当社の強みを活かして、その解決につながる製品・サービスを提供し続けるとともに、事業活動を支える経営基盤の強化や企業の持続性を阻害するリスクの低減、それらを適切に進めるためのガバナンスの推進に努めています。こうした活動によってMissionに掲げる経済・社会価値を創出し、人々の豊かな生活を実現します。
当社グループは、2030年のあるべき姿をサステナビリティビジョン(長期ビジョン)として定めています。多様な技術や人材能力の結集・融合により、メディカル・モビリティ・環境に関わるグローバルな社会課題の解決に貢献することで、社会・経済価値を創出するとともに、2050年のカーボンニュートラルを見据えて、2030年にCO2総排出量の30%削減(2020年比)を実現することを目指しています。
(1) ガバナンス
当社は、代表取締役社長を委員長、取締役専務執行役員(ESG推進担当)を副委員長とする、サステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会は、事業組織や主管部門およびESGタスクフォースで構成され、「事業機会の創出」「リスクの低減」「経営基盤の強化」「ガバナンスの推進」のそれぞれのテーマに関連するマテリアリティについて、連携して活動しています。
ESGタスクフォースは、マテリアリティの中でもESGの観点から特に重要と考えられる項目について設置し、それぞれの活動を推進しています。
サステナビリティ委員会は、マテリアリティごとの戦略項目、目標(KPI・アクションアイテム)について、事業組織や主管部門およびESGタスクフォースから、定期的に進捗の報告を受けて確認しています。また、その活動状況を年1回取締役会に報告しています。
取締役会は、サステナビリティ委員会の活動状況を監督するとともに、サステナビリティ委員会からの報告内容について議論し、必要に応じて改善を指示しています。
(2) リスク管理
当社グループは、サステナビリティビジョン(長期ビジョン)を実現するために特に重要性の高い項目をマテリアリティとして特定し、2030年を起点にバックキャストして具体的な戦略項目、目標(KPI・アクションアイテム)を設定し取り組んでいます。マテリアリティは「事業機会の創出」「リスクの低減」「経営基盤の強化」「ガバナンスの推進」の視点で、「社会・ステークホルダーにとっての重要度」と「当社グループにとっての重要度」の2軸を用いて分析し優先順位付けを行っています。その結果の妥当性をサステナビリティ委員会で議論・検証し、取締役会での審議および決議を経てマテリアリティを特定しています。
サステナビリティ委員会は、年1回総会を開催し、取締役会で決議されたマテリアリティを推進する事業組織や主管部門およびESGタスクフォースが設定した戦略項目、目標(KPI・アクションアイテム)を承認します。
事業機会の創出にかかる活動は、事業組織が担当し、月次で開催される会議(ビジネスレビュー)において、代表取締役社長に対して報告し、代表取締役社長は事業戦略の進捗をKPIに基づいて確認し、必要なアクションを指示しています。
リスクの低減、経営基盤の強化、ガバナンスの推進にかかる活動は、主管部門およびESGタスクフォースが担当し、サステナビリティ委員会で承認された目標(KPI・アクションアイテム)に基づいて活動し、その状況を四半期ごとにサステナビリティ委員会に対して報告しています。
① 気候変動への対応
(ⅰ) 戦略
当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言の枠組みを活用し、気候変動に関するリスクと機会が当社事業に与える財務的影響について分析しました。シナリオ分析は、当社が展開する主要な3事業について行いました。短期・中期・長期の時間軸でリスクと機会を抽出し、脱炭素化がより進展する「1.5℃シナリオ」と気候変動の対策が進展しない「3℃シナリオ」を用いて、気候変動が2030年時点の当社事業に与える財務的影響について分析しました。いずれのシナリオにおいても、気候変動の影響による重大なリスクは現段階では識別されませんでしたが、引き続き、洗い出されたリスクに対して適切な対応策を実施していきます。また、気候変動の影響による機会については、当社の事業機会につながりうる需要の高まりを確認しました。今回、分析に追加したメディカルテクノロジー事業は、その他の事業と比較して、気候変動に伴うリスクやその財務への影響度が小さいことを確認できました。このことにより、サステナビリティビジョン(長期ビジョン)を踏まえて当社グループが取り組むメディカル市場での事業拡大という成長戦略は、当社グループの気候変動リスクの低減にも資するものになると考えています。
リスクの分析結果
※1 リスクの大きさの評価軸:
売上高減少(年間)大:-200億円~、中:-50~200億円、小:- ~50億円 利益減少(年間) 大:-30億円~、中:-10~30億円、小:- ~10億円
※2 シナリオにおいて当該リスクが発現しない場合は「―」を記載
※3 物理リスクについては、財務への影響度に発生頻度を考慮して評価
機会の分析結果
※1 機会の大きさの評価軸:
売上高増加(年間) 大:+200億円~、中:+50~200億円、小:+~50億円 利益増加(年間) 大:+30億円~、中:+10~30億円、小:+~10億円
※2 シナリオにおいて当該機会が発現しない場合は「―」を記載
(ⅱ) 指標と目標
当社は、気候変動に関連するリスクの評価・管理指標をCO2総排出量としています。サステナビリティビジョンでは2050年のカーボンニュートラルを見据え、2030年におけるCO2総排出量(スコープ1および2)を30%削減(2020年比)することを目指しています。
② 人的資本・多様性
(ⅰ) 戦略
《サステナビリティビジョンと人事基本方針》
2024年度から運用が始まった第8次中期経営計画(2024年~2026年)における人事戦略は、昨年までと大きな変更はありません。当社は中期的な人事戦略を考える際には、常に以下に示す長期的に会社が目指す姿(サステナビリティビジョン)と当社が大切にしている人事の基本的な考え方(人事基本方針)に立ち返ることにしており、そのいずれについても変更がないためです。当社は引き続き事業環境の変化を成長機会と捉え、具体的にはIT機器市場からメディカル、モビリティ、サステナブル資材の3市場に事業ポートフォリオを組み換えながら成長していくことを志向しています。そしてその原動力は多様な人材能力と情熱であり、当社は会社と社員がともに成長することを目指しています。
《人事戦略の全体像(戦略マップ)》
当社が中期的に取り組む人事戦略を可視化したものが次に示す人事の戦略マップです。日々展開される個別具体的な人事施策の一つひとつを点として捉えることなく、人事戦略という大きなストーリーに内在する構成要素であると捉えるために、当社は戦略マップを有効なフレームワークと考えています。当社が展開する人事戦略の目指すところは、これまでと同様、お客さまへの価値提案を向上させる人材能力を育成することに尽きますが、サステナビリティビジョンが示す通り、事業ポートフォリオ戦略に従ってお客さまの集合体である対象市場が変化していくことを強調するために、今回「事業ポートフォリオの組み換えによる企業価値の向上」と「価値提案の向上」を明確に紐づけることにしました。
人事戦略の全体像(戦略マップ)
当社は全ての事業において、お客さまが展開する製品またはそれを構成する重要なパーツをカスタマイズで手掛けています。お客さまのニーズを的確に捉え、当社の加工技術を組み合わせた設計と開発に落とし込み、最後は安定した製品品質を実現する生産工程を作りこみ量産に入ります。こうしたお客さま価値を実現する一連の提案力と課題解決力を有した人材能力とチームワークが必要となります。私たちの仕事は、国や地域を超えてグループ会社が連携し、多様な人材能力が協力することで成立しています。現在の当社のお客さまはモビリティやメディカル、IT機器、家電など多岐に渡りますが、事業ポートフォリオの転換とともにメディカルやモビリティなどのウエイトが大きくなっていくことが想定されます。お客さまへの価値提案を向上させるためには、専門性や得意分野の異なる多様な人材が結集しチームとして活躍する必要があり、同時に彼ら個々人が高いモチベーションを保持していることが重要です。したがって私たちの人事戦略は「事業ポートフォリオと連動した価値提案の向上」、「多様な人材の活躍」、「社員エンゲージメントの向上」を起点とし、それを実現するために社内のプロセスはどう進化すべきか(内部プロセスの視点)、人事制度や組織風土はどう変化すべきか(学習と成長の視点)、といった因果関係を意識した施策にブレイクダウンされていきます。今回、学習と成長の視点には健康経営の取り組みを人事戦略の枠組みに取り込んでいるため「社員の健康」を加えています。それぞれの施策にはその進捗を可視化するためのKPIや具体的なアクションアイテムが設定されています。
(ⅱ) 指標と目標
《多様な人材の活躍》
当社グループは、国籍・性別・年齢などに関わらず、すべての社員が持てる能力を十分に発揮できることを目指しています。社員の行動原則であるShared Valuesの一つとして「Diversity and Inclusion」を掲げており、多様な人材能力が対等に関わり合うことにより、組織の実行力を高めることを宣言しています。当社グループでは多様性の象徴の一つとして女性管理職比率をKPIに設定しています。当社のグループ会社はグローバルに広がっており、その社員構成はそれぞれが属する国や地域、さらには販売や生産などその会社が担当する役割の違いなどの影響を受けることを理解する必要があります。したがって当社ではグループ全体に一律に女性管理職比率の目標値を設定するのではなく、グループ会社それぞれの女性社員比率に近づけることを目標にしています。海外のグループ会社と比べると日本(NISSHA単体)の女性管理職比率が相対的に低い水準に留まっていますが、戦略マップに示されている社員のワーク・ライフ・バランスの重視や柔軟な働き方を可能にする各種制度、学習と成長の機会の充実などの取り組みを通じて、女性管理職の比率は着実に増加しています。
《社員エンゲージメントの向上》
グローバルベースでの社員エンゲージメントサーベイは昨年から経年変化を確認できるようになりました。2024年の結果は総じて高い肯定的回答率を維持しており、こうした社員の高いエンゲージメントを維持、向上していくことが重要です。具体的には、それぞれの回答は会社や職場の単位でフィードバックを行い、改善に繋げるための取り組みを各職場の状況に合わせて検討し、実施しています。引き続き、設問に対する肯定的回答率の割合とそれを高めるためのアクションをトレースしていきます。
《学習と成長の機会充実》
当社は経営基盤の強化を目的に、「人的資本の充実」をマテリアリティとして特定しています。その戦略項目の一つとして「経営・戦略人材研修の充実とローテーション」を掲げ、教育研修を充実させるとともに、研修受講者への実践機会を提供しています。当社グループの企業内大学「Nissha Academy」では広範な研修プログラムを用意しています。選抜型研修の「Business School」は経営戦略の立案と実行に関わる知識とスキル習得に重点を置いた当社のオリジナルプログラムで、初級編・中級編・上級編の3コースが設置されています。特に、職場のリーダークラスから管理職補佐クラスを対象とした初級編・中級編の修了者には、重要プロジェクトや中期経営計画の立案への参画など、学んだことを実践する場を積極的に提供しています。KPIは「リーダー候補者の選抜率」とし、2030年までにNISSHA単体で一般社員の半数がBusiness School(初級編または中級編)を受講することを目指しています(選抜率50%)。2024年度は58名が中級編を受講しました。日本での取り組みを参考にして、北米、欧州、中国などの地域においてもNissha Academy海外版が動き出しています。
また、当社グループでは、学びを生かして成果を出した社員へのさまざまな表彰制度を設けています。グローバル連結業績への多大な貢献を称える社長賞、事業部長賞を始めとするNISSHA全社表彰は最も権威のあるもので、1年間の事業活動を踏まえて毎年12月に対象者が決定します。成果を出した社員を称える意味を込めたグローバルなタグライン「Performance Champion」を制定しており、当社グループ内のいずれの表彰も統一した考え方・ビジュアルのもと運用されています。このように「Nissha Academy」を通して教育研修を受けた社員が、学びを職場で実践し、優れた成果を出した社員を「Performance Champion」として称えることで成長を後押しし、会社と社員がともに成長していく姿を目指しています。
当社グループは、サステナビリティビジョンの実現のために取り組むべき重要な機会・リスクをマテリアリティ(重要項目)として特定し、具体的な戦略項目、KPI・アクションアイテムを設定し取り組んでいます。また、リスク管理基本方針のもと、事業運営を阻害するリスクを一元的に管理し、リスクを把握・分析・評価した上で、重要なリスクを選定し、モニタリングによりリスクの回避・低減に取り組んでいます。
当社は、代表取締役社長を委員長、取締役専務執行役員(ESG推進担当)を副委員長とする、サステナビリティ委員会を設置しています。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) ガバナンス、(2) リスク管理」をご参照ください。
当社は、リスク管理基本方針のもと、取締役専務執行役員(法務担当)を委員長とする、リスク管理・コンプライアンス委員会を設置しています。同委員会は、円滑な事業運営に関連するリスク(事業戦略および事業内容に関するリスク、財務に関するリスク、グループ横断リスク)を一元的に管理しています。また、リスクを管理する事業組織、主管部門、部会と連携し、リスクを把握・分析・評価し、重要なリスクの選定・見直し、モニタリングすることによりリスクを回避・低減する取り組みを行っています。
両委員会は、四半期ごとに目標(KPI・アクションアイテム)の進捗を確認し、活動状況を年1回取締役会に報告しています。
<事業等のリスク>
経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言の枠組みを活用し、気候変動に関するリスクと機会が当社事業に与える財務的影響について分析を行っています。
世界全体が低炭素社会に移行する場合、温室効果ガス排出規制、エネルギー効率規制、炭素税など環境関連の法規制の強化やお客さまなどからの要請への対応が必要となり、追加費用が発生する可能性や、要求水準を満たさないことによる機会損失のおそれがあります。また、気候変動に伴う自然災害の影響により、工場の生産能力の低下、サプライチェーンの寸断による原材料の供給停止などが発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
気候変動への対応としては、サステナビリティビジョン(長期ビジョン)のなかで、2050年カーボンニュートラルを見据えて、当社グループの事業活動によって発生するCO2総排出量(スコープ1および2)の30%削減(2020年比)を目標として掲げており、グローバルで再生可能エネルギーへの転換を進めることに加え、費用の削減が見込める省エネルギー施策も進めています。
当社グループは、継続的な企業活動を行う上で人権を尊重した事業活動が必要不可欠と認識しています。当社グループおよびサプライチェーン上で、児童労働、強制労働、外国人労働者の差別等の人権にかかる問題が生じた場合は、当社グループの社会的な信用が低下し、お客さまとの取引停止、訴訟や賠償金の支払いが発生するおそれがあります。
当社グループは、関連法令や国際規範を順守するとともに、国際的な行動規範であるRBA(Responsible Business Alliance)を参照した「労働・人権に関する基本方針」を定め、全社員に展開しています。
また、「人権の尊重」について、サステナビリティ委員会において、労働・人権リスク発生の高い地域(中南米、東南アジア、中華圏)における1次サプライヤーの児童労働・強制労働の発生件数0件をKPIとして取り組んでいます。対象サプライヤーに対してアンケート調査し確認するとともに、2024年度はそのうち10社に対して実地監査を行いました。
当社グループは、国内外の生産拠点において多様な製品を生産・販売しており、その中にはモビリティ(自動車)市場向けやメディカル市場向けなど、高い安全性が要求される製品も含まれています。想定外の事象を原因とする大規模な品質問題が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、品質基本方針に従い、2030年のあるべき姿を示したサステナビリティビジョンにおいて重点市場として位置付けるメディカル、モビリティ、サステナブル資材それぞれに合わせた品質管理体制の構築を着実に進めています。
特に医薬品市場向けにおいては、製品の品質管理には万全を期していますが、何らかの原因による品質不良、設計不良、あるいは予期せぬ副作用などが発生した場合、製品回収や販売中止、健康被害に関する賠償責任等が生じることで、当社グループの業績および財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループは、最高品質・生産責任者(CQPO)が管轄する品質統括部門に薬事グループを設置するとともに、重大品質事故への対応規程を整備し、リスクの最小化に向けた体制を整えています。
当社グループでは人種・国籍・性別にかかわらず、さまざまな伝統や文化を持つ社員が働いています。その多様性を尊重し、社員の個性や強みを活かし、当社グループのビジョンを実現することを目指しています。一方で当社の事業ポートフォリオの組み換えに沿った人材を十分に確保・育成ができない場合、ビジョンの実現が困難となり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、人事基本方針に基づき、会社とともに成長しビジョンの実現に資する人材を育成する人事制度の策定、女性活躍の推進や研修によるリーダー・幹部候補の育成に取り組んでいます。また、第8次中期経営計画で定める重点市場に向けた教育研修プログラムにより、社員の能力の拡充を図るなど、リスクの最小化に努めています。
また、「人的資本の充実」について、サステナビリティ委員会において、女性管理職比率やリーダー候補者の選抜率をKPIとして取り組んでいます。
当社グループは、グローバルに事業展開を行っています。ガバナンスや内部統制が機能しなかった場合、子会社等の役員・社員による不正行為や、経営方針に従わない取引や判断が抑止できず、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は執行役員制度を採用し、取締役会が担うべき戦略策定および経営監視機能と、執行役員が担うべき業務執行機能との機能分化を図っています。独立性が高い社外取締役を3分の1以上選任し、社外取締役はそれぞれの経験や知見から、有益な指摘や意見を述べ、取締役会の議論は活性化しています。また、取締役会の実効性評価を年1回実施し、取締役会の機能のさらなる向上に努めています。当社のコーポレートガバナンス体制の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
グローバルガバナンスについては、事業組織に基づく縦のレポートラインを軸とし、海外グループ会社ごとに月次もしくは四半期でビジネスレビューを実施し、業績や事業活動に関する内容について、本社のマネジメント層がチェックする体制を構築しています。加えて、グループで統一したルールで内部統制システムのチェックや事業活動におけるリスク管理の体制を整備しています。その内容を本社で集約することで、グループ全体のガバナンス状況の把握、必要に応じた迅速な施策の立案・実行に活用しています。引き続き、グローバルリスクマネジメント体制を拡充し、グループ会社のリスク管理の支援とともにモニタリングの強化を図っていきます。
その他、持続可能な調達、生成AIの普及に対応したデータセキュリティ、効率性・生産性の向上に関連するリスクが生じた場合、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、成長戦略として事業ポートフォリオの強化に取り組んでいます。医療機器、モビリティ、サステナブル資材などを重点市場として、社会課題の解決に資する製品群・サービスの拡充による成長を目指しています。市場環境・社会の動向、技術トレンドの変化、法令・規制の改正などの影響により、成長戦略が想定通りに進捗しない可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、中期経営計画の進捗状況を取締役会で定期的にレビューし、1年ごとに事業環境の変化を反映させたローリングプランを策定し、事業環境の変化に迅速に対応することで、中期経営計画の達成に向けた取り組みを強化しています。
当社グループは、売上高に占める特定のお客さまの割合が比較的高い状況にあります。こうした重要なお客さま向けの販売は、当該お客さまの製品需要の増減や仕様の変更、営業戦略の変更など当社グループによる管理が及ばない事項を理由として変動する可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループはこうした状況に対して、第8次中期経営計画において医療機器、モビリティ、サステナブル資材などの複数の重点市場で成長戦略を遂行し、特定のお客さまの需要変動に関するリスクの最小化を図っており、売上高に占める特定のお客さまの割合は低下傾向となっています。
当社グループは、産業資材、ディバイス、メディカルテクノロジーなどの事業を展開し、グローバルに調達・生産・供給体制を構築しています。当社グループの海外売上高は8割以上を占めており、政治的、経済的要因、法律または規制の変更、関税・課税・その他の税制の変更などのリスクが顕在化する場合、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループはこうした状況に対して、生産拠点を適切に分散させるとともに、現地の政策・法制の動向に細心の注意を払い、これらに適時適切に対処すべく努めています。
当社グループは、事業ポートフォリオの組み換え・最適化のための成長戦略としてM&Aを積極的に活用しています。そのため、当連結会計年度末においてのれんを33,732百万円計上しています。市場環境や競争環境がM&A実行時の想定から大きく変化し買収先会社の業績が悪化した場合、また、経済状況や金利変動等の外部環境の変化により使用価値の算定に使用する成長率および割引率が著しく変動し使用価値が減少した場合、のれんの減損損失が発生する可能性があります。
M&Aの実行にあたっては事前にデュー・ディリジェンス(対象企業の調査)を徹底するとともに、買収後の経営統合を促進する体制を構築することでリスクの最小化を図っています。
当連結会計年度における当社グループの海外売上高比率は89.2%です。これらは外貨建取引が中心であり、急激に為替レートが変動した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループはこのような状況に対して、生産の現地化や為替予約取引などにより為替リスクを最小化するように努めています。
その他、営業債権の貸倒れ、棚卸資産の陳腐化などが発生した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性がありますが、適正な管理体制の強化に努めており、リスクの最小化を図っています。
2024年度に重要なリスクの1つとして選定された天災(地震・台風・洪水等)や火災などに関するリスクについては、経営層を含むBCP(事業継続計画)訓練の定期的な実施、国内全拠点への安否確認システムの導入などにより、継続的にリスクの最小化に努めています。
それぞれの事業において、情報漏えい、独占禁止法や業法その他の各種法令違反が生じた場合に事業活動の継続が困難になることから、公正な事業活動に関するリスクを重要なリスクとして選定し、経営層も対象とする研修等により、リスクの顕在化を抑止しています。
その他、環境保全、知的財産権、貿易管理、資産管理、人的資本の充実に関連するリスクが生じた場合、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクについても、主管する部門や部会が目標(KPI・アクションアイテム)を設定し、これに基づく教育や仕組みづくりなどの活動を通じてリスクを低減しています。
当社グループでは、上記に加え内部通報窓口(ホットライン相談窓口)を設置し、不適切な行為の早期発見、早期是正に取り組んでいます。国内は公益通報者保護法に基づき、グループ会社の全社員(派遣社員等を含む)を対象に設置しています。海外は北米・欧州・中国・東南アジアの主要な拠点の社員を対象に設置しています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当社グループはMissionに、「人材能力とコア技術の多様性」を成長の原動力として、高い競争力を有する特徴ある製品・サービスの創出によりお客さま価値を実現し、「人々の豊かな生活」の実現に寄与することを掲げています。
このMissionのもと、2030年のあるべき姿をサステナビリティビジョン(長期ビジョン)として定め、多様な技術や人材能力の結集・融合により、メディカル・モビリティ・環境に関わるグローバルな社会課題の解決に貢献することで、社会・経済価値の創出を目指しています。また、サステナビリティビジョンを起点にバックキャストして、2024年から2026年までの3年間で目指すべき中期計画とそこに至るための戦略を第8次中期経営計画として定め、運用しています。安定的な成長と資本効率性の向上を志向し、これまでに構築した事業ポートフォリオの強化を通じて、利益率の向上と安定化を実現します。
当期のグローバル経済情勢は、景気持ち直しの動きとなりました。アメリカでは、個人消費などが底堅く推移し、景気が拡大しました。ヨーロッパでは、外需の低迷などにより生産活動が停滞し、景気は足踏みの動きとなりました。中国では、不動産不況などを背景に景気の弱さが継続しました。わが国の経済については、設備投資などが堅調に推移し、景気回復が緩やかに進みました。
このような状況の下、当期の業績については、産業資材事業の加飾分野の需要が底堅く推移し、同事業のサステナブル資材、ディバイス事業のタブレットおよび業務用端末(物流関連)向けなどの需要が前期の低迷から回復しました。メディカルテクノロジー事業においては、需要が堅調に推移するとともに、企業買収による業績貢献が始まりました。
これらの結果、当期における連結業績は、売上高は1,955億98百万円(前期比16.6%増)、利益面では営業利益は54億86百万円(前期は38億17百万円の営業損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益は38億62百万円(前期は29億88百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
産業資材
産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ、家電製品などに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブル資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。
当期においては、加飾分野のモビリティ向けおよび家電向けの需要は底堅く推移し、サステナブル資材分野の蒸着紙の製品需要は前期の低迷から着実に回復しました。これら需要動向に加え、為替変動の影響などにより、売上高は前期比で増加しました。売上高の増加に加え、生産性および効率性の改善などにより、営業利益は前期比で増加しました。
その結果、当期の連結売上高は740億90百万円(前期比7.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は49億円(前期比5,131.3%増)となりました。
ディバイス
ディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でタブレット、業務用端末(物流関連)、モビリティ、ゲーム機などに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。
当期においては、前期に低迷したタブレット向けおよび業務用端末向けの需要が回復しました。これらの需要動向に伴い、売上高は前期比で増加し、営業利益は黒字に転じました。
その結果、当期の連結売上高は675億42百万円(前期比23.1%増)となり、セグメント利益(営業利益)は17億98百万円(前期は15億80百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
メディカルテクノロジー
メディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。幅広い診療領域で使われる低侵襲医療用の手術機器や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を手がけており、現在は欧米中心に大手医療機器メーカー向けの開発製造受託(CDMO)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。
当期においては、主力の医療機器CDMOの堅調な需要や企業買収による業績貢献に加え、為替変動の影響などにより、売上高および営業利益は前期比で増加しました。
その結果、当期の連結売上高は456億22百万円(前期比26.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は23億88百万円(前期比60.0%増)となりました。
当連結会計年度末における総資産は2,507億80百万円となり、前連結会計年度末(2023年12月期末)に比べ329億26百万円増加しました。
流動資産は1,286億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ212億25百万円増加しました。主な要因は、現金及び現金同等物が131億15百万円、営業債権及びその他の債権が63億20百万円増加したこと等によるものです。
非流動資産は1,221億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ117億1百万円増加しました。主な要因は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動および売却等によりその他の金融資産が81億80百万円減少した一方、有形固定資産が33億6百万円、新規連結等によりのれんが134億93百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債は1,352億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ282億57百万円増加しました。
流動負債は639億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ173億89百万円増加しました。主な要因は、営業債務及びその他の債務が35億19百万円、借入金が91億35百万円増加したこと等によるものです。
非流動負債は712億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ108億68百万円増加しました。主な要因は、社債及び借入金が81億12百万円、新規連結等によりその他の金融負債が56億24百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における資本は1,155億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ46億69百万円増加しました。主な要因は、新規連結等により資本剰余金が43億33百万円減少した一方、為替換算等の影響によりその他の資本の構成要素が22億24百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により利益剰余金が68億97百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ131億15百万円増加し、509億70百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
営業活動の結果得られた資金は123億12百万円(前期比728.1%増)となりました。これは税引前利益62億13百万円の計上に対して、主に、営業債権及びその他の債権の増加額として39億34百万円計上した一方、減価償却費及び償却費として95億13百万円、営業債務及びその他の債務の増加額として18億52百万円計上したこと等によるものです。
投資活動の結果使用した資金は114億31百万円(前期比42.5%増)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入として81億85百万円計上した一方、有形固定資産の取得として67億10百万円、子会社の取得として113億20百万円支出したこと等によるものです。
財務活動の結果得られた資金は91億47百万円(前期は126億29百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出として25億34百万円、リース負債の返済による支出として21億16百万円、長期借入金の返済による支出として27億3百万円、親会社の所有者への配当金の支払として24億24百万円計上した一方、短期借入れによる収入として111億34百万円、社債の発行による収入として89億53百万円計上したこと等によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 金額は、販売価格によっています。
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しています。
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、売上高は、前連結会計年度に比べ16.6%増加し1,955億98百万円となりました。このうち、海外売上高は1,744億53百万円であり、連結売上高に占める割合は89.2%です。海外売上高は主として産業資材、ディバイスおよびメディカルテクノロジーによるものです。また、売上原価は前連結会計年度に比べ12.4%増加の1,518億円、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ12.5%増加の371億26百万円となりました。売上原価、販売費及び一般管理費、その他の費用に含まれる減価償却費及び償却費は前連結会計年度に比べ4.1%増加の95億13百万円となりました。その他の収益・費用については、前連結会計年度は政府補助金収入などを主としたその他の収益を6億98百万円計上する一方で、のれんの減損損失などを主としたその他の費用を38億94百万円計上したのに対して、当連結会計年度では受取補償金などを主としたその他の収益を4億39百万円計上する一方で、遊休資産諸費用などを主としたその他の費用を12億93百万円計上しました。
これらの結果、営業利益は54億86百万円(前期は38億17百万円の営業損失)となりました。
なお、セグメント別の経営成績につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
金融収益・費用については、前連結会計年度は為替差益などを主とした金融収益を28億97百万円計上する一方で、支払利息などを主とした金融費用を18億42百万円計上しました。また、当連結会計年度においても、為替差益などを主とした金融収益を25億39百万円計上する一方で、支払利息などを主とした金融費用を18億12百万円計上しました。
その結果、税引前利益は62億13百万円(前期は27億62百万円の税引前損失)となりました。
法人所得税費用は、前連結会計年度に比べ767.1%増加の21億85百万円を計上しました。
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益38億62百万円(前期は29億88百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。また、基本的1株当たり当期利益は80円15銭(前期は61円13銭の基本的1株当たり当期損失)となりました。
財政状態の分析につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの主な資金需要は、事業上必要な運転資金や設備投資、M&Aによる投資です。これらの資金需要については調達規模や調達市場環境に応じて自己資金および金融機関からの借入や社債の発行等により対応します。また、金融コストの最小化と資金効率の向上のため、日本国内のグループ会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、当社への資金フローの集約により一元的な管理を行っています。
当社グループは、2030年のあるべき姿であるサステナビリティビジョンの実現に向け、第8次中期経営計画(3カ年)を2024年1月から運用しています。第8次中期経営計画では、安定的な成長と資本効率性の向上を志向し、これまでに構築した事業ポートフォリオの強化を通じて、利益率の向上と安定化を実現します。
医療機器、モビリティ、サステナブル資材などの市場においては、オーガニックな成長とM&Aの両面で事業を拡大し、社会課題の解決に資する製品群・サービスの拡充を目指します。IT機器市場においては、生産体制の最適化を含めた生産性・効率性の改善を追求します。
また、将来の持続的な成長を実現するために、自社開発に限らず業務提携やM&Aなどを通じて、新たな事業や製品群の開発を加速します。
第8次中期経営計画で目指す業績計画は以下のとおりです。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎(4)重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断」に記載しています。
該当事項はありません。
当社グループは「印刷」「コーティング」「ラミネーション」「成形」「パターンニング」「金属加工」を6つのコア技術と定義し、特徴ある製品群を創出するとともに、対象市場の多様化、グローバル市場への進出などを通じて事業領域を拡大してきました。
お客さまのニーズに対応する中期的な製品開発は事業部内の開発部門が担い、より長期的な視点に立った研究開発・製品開発は事業開発室が担う体制となっています。
事業部内の開発部門は、お客さまの要望に基づく開発を中心に行い、事業の継続・発展に寄与しています。事業開発室は、当社グループの事業領域の拡大を目指し、開発テーマの調査・企画および新製品の開発・事業化を推進する一方、コア技術の拡張に取り組んでいます。また、開発拠点をグローバルに配置し、地域固有の市場環境やお客さまニーズに対応した製品群の創出を目指しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、各セグメントに配分できない当社の事業開発室および事業部の開発部門で行っている基礎・応用費用