当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、1930年の創業以来「顧客のニーズにより新製品を開発し、堅牢、優美にして廉価な製品づくりで社会の信頼に応える」を経営の基本に据え、歯科医療分野、外科医療分野及び一般産業分野において、常に新しいニーズを的確に把握し新製品の開発を行い、国内はもとより世界135ヵ国以上でご愛顧いただいております。
また品質基本方針として、「品質第一を基本とし全員参加の品質管理により顧客の満足と信頼に応える」を掲げ1997年にISO9001(品質マネジメントシステムに関する国際規格)の認証を取得すると共に1999年にはISO14001(環境マネジメントシステムに関する国際規格)の認証も取得し、全社員による徹底した品質保証体制と顧客満足を第一とする設計開発・製造・サービス体制を図っております。更に製品の生産、使用、廃棄に至るまでの各段階において地球にやさしい環境への配慮をし、また、欧州の廃棄電気・電子機器(WEEE)指令、電気電子機器含有特定危険物質制限(ROHS)指令に適応させると共に、欧米における販売・サービスの強化を図り、今後も世界のナカニシとしてブランド力のアップへと邁進してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、創業100周年を迎える2030年に向け、歯科・外科のグローバル市場において、革新的「削るテクノロジー」による新製品を次々と生み出し、全世界の人々の健康寿命の延伸に大きく貢献できるONLY ONEの医療機器メーカーになることを目指しています。
当社グループの長期ビジョンにおける事業展開のキーワードは、「超高齢化」です。超高齢社会において、「健康寿命の延伸」が最重要課題であり、その解は「歯の健康」と「体の健康」にあります。また、超高齢化により「労働人口の減少」が、日本、欧州、中国などの経済成長のボトルネックになりつつあり、その解の一つは「工場の自動化」にあると考えています。これらの社会ニーズに対して、ナカニシの“革新的「削るテクノロジー」”により、革新的な新製品とサービスを生み出し、大きく社会に貢献し、企業価値を高めて参ります。
また、当社グループは、長期ビジョンVISION2030に基づき、持続的な成長を実現するために、2020年より中期経営計画NV2025+(2020年~2025年)をスタートさせております。NV2025+では、以下の重点施策を推進しています。
1.歯科事業のグローバル市場における戦略的拡大
・歯科用回転機器の競争力を強化。シェア№1の堅持と拡大
・インプラント関連・オーラルハイジーン関連の製品ラインアップ強化とシェア拡大
・需要拡大する滅菌・メンテナンス用機器のシェア拡大
・米州・中国市場での事業拡大、欧州市場のシェア底上げ
・グローバルアフターサービス体制の充実
・部品・消耗品等、ライフサイクル事業の拡大
・ブランド力と販売力のさらなる強化
2.超高齢化のニーズに応える新規事業の育成
・外科事業の製品ポートフォリオを拡大
・外部経営資源の活用
3.スピーディな開発とダントツのコスト競争力を実現する経営基盤づくり
・グローバル展開に最適な開発・生産体制の構築
・グローバル薬事体制の強化・クラスⅢ品質マネジメントシステムへの対応
・サプライチェーンの改革(新ERP導入)
(3)目標とする経営指標
当社グループでは、中期経営計画NV2025+において売上高550億円、営業利益165億円、営業利益率30%、ROE11%、総還元性向50%、手元流動性比率12カ月を収益目標及び指標に掲げております。
(4)経営環境及び会社の対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、世界的なインフレはピークを迎えつつあるものの、依然として物価は高い水準を維持しており、また、金利上昇による大型設備投資減少等、将来の不確実性は増しております。
このような経営環境の中で、当社グループは、国内外の経済動向を注視しつつ、グローバルな競争に負けない体制をより一層強固なものにしてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティに関する事項について各委員会、マネジメントシステム及び担当部門において各施策に取り組み、管理部門が統括管理を行っております。取締役会は各取り組み状況について報告を受け、サステナビリティを含む事業全般のリスク及び機会について監督するとともに、重要性が高い事項の審議及び意思決定を行っています。
(2)戦略
当社はグループの価値観「Our Core」において、「革新的『削るテクノロジー』による『美しい進歩』の創造」をミッションに掲げており、新しい技術を生み出すことで医療の発展や人々の豊かな暮らしの実現に貢献することを目指しています。超高齢化という世界的な潮流において「健康寿命の延伸」は人類共通の課題となりました。この「健康寿命の延伸」の解のひとつは「歯の健康」であり「体の健康」であると当社は考えます。また、超高齢化に伴う労働人口減少の解のひとつは「工場の自動化」であると考えています。当社は事業活動を通じてこれらの社会課題に対するソリューションを提供するとともに、持続可能な社会の実現にも貢献していくために、以下のサステナビリティ重点テーマを特定し、各施策を実行しています。
(3)リスク管理
世界情勢の変化や事業のグローバル化などにより事業を取り巻く環境は急速に変化しており、事業活動に影響を及ぼすリスクも多様化しています。このような状況のなか、当社では、サステナビリティ関連のリスクを含めた、事業活動に重大な影響を与えるリスクの最小化に向けた取り組みを適宜実施しています。リスク管理規程に基づき、代表取締役社長執行役員を委員長としたリスク管理委員会においてリスクアセスメント、リスク管理、モニタリングを行い、リスク管理について取締役会に報告しております。また、重要なリスクについては個別のマネジメントシステム、委員会、会議体を設置し、リスクの把握と適切な対処に取り組んでいます。経営に重大な影響を与える可能性のある不測の事態が発生した場合は速やかに経営陣に報告され、各責任者が関連部署と連携して適切に対応する体制を構築しています。
(4)人的資本
① 戦略
イ)人財育成
企業は人の集まりであり、当社に集う人たちの総合力こそが、当社の力の源泉です。人的資源は、当社にとって最も重要な資源であり、一番価値のある財産だと考えています。人的資源は当社の可能性を実現するそのものであり、価値交換の質は人的資源の質にかかっています。当社は、当社のスタイル(流儀)である、「エキサイティング・クオリティ・オープン・オネスト」を貫き、常にワクワク感や充実感、また、達成感や喜びを共に分かち合えるダイナミックなチームを形成しながら、楽しく、思う存分自分の価値を発揮する人たちの集まりです。
当社は、従業員一人ひとりが常に心掛け行動をするあり方である「私たちのモットー自分の価値を高めよう」を人財育成の基本方針とし、自分の価値を最大化する人財育成に日々取り組んでいます。
ロ)多様性と機会均等
当社は多様な個性の集まりです。個性は一人ひとりがもつ特性であり、国籍、文化、年齢、性別、学歴、仕事歴、ライフスタイルなどさまざまな背景からなる個性を結集し切磋琢磨しながら融合させ、未知なるパワーへと変えていくことができれば、どのような状況も乗り越えていくことが可能となります。当社は、文化・習慣・言語・民族などの多様性を尊重するとともに、性別や年齢、障がいの有無などに関わらず、公平な人財の登用や活用を積極的に推進し、『「思いと努力の共有」と「個性の結集」でブレイクスルーするダイナミックなチーム』を通じて、誰もが活躍できるための取り組みを進め、新しい価値の創造を目指し続けています。
ハ)働きやすい職場環境
ナカニシ長期ビジョンVISION2030に掲げる“ダントツの「最優良グローバル医療機器メーカー」になること”を念頭に、当社で働く誰しもが、いきいきと働き、職場で活躍し続けることができるよう、職場環境の改善や人事制度の整備を進め、“ダントツに働きがいのある職場”の実現に取り組んでいます。
二)安全衛生
当社は、企業理念において「安全性は生産性や効率性に優先する」を掲げ、従業員や当社の業務に協力するために勤務する人々の安全と健康が確保された快適な作業環境を形成することを目的とした「安全衛生管理規程」を策定しています。職場環境の改善、心身にわたる健康増進を積極的かつ継続的に進め、災害や疾病のない明るく活気ある職場づくりを推進しています。同規程に基づき、作業者の負担低減と働きやすさの向上に向けた改善活動を進めています。
ホ)健康経営
当社では、健康経営を推進するうえでの理念である「ナカニシ健康経営宣言」に基づき、健康増進活動をより積極的に推進するに当たり「歯」・「体」・「心」の健康に着目し、健康課題を設定し展開しています。
② 人的資本に関する指標及び目標
指標 |
目標 |
2024年度実績 |
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法定雇用率以上 |
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胃/肺/大腸 70.0% 子宮/乳 66.6% 前立腺 69.2% |
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注1.連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
注2.障がい者雇用率は毎期6月1日時点のものを記載しております。
注3.う歯精検受診率及びがん早期発見につながる精密検査受診率は、前年度の対象者に関する2024年3月31日時点の精検受診率を記載しております。
(5)気候変動
① ガバナンス
当社では、気候変動をはじめとするサステナビリティ関連の重要課題に関し、代表取締役社長執行役員が適切に監督を行うための体制を構築しています。特に、気候変動や資源循環などの重要課題(経営上のリスク・機会)については、環境推進事務局を主管する担当役員や全社環境活動を横断的に統括する環境管理責任者、並びに推進事務局のEMS課から、経営陣に適宜報告を行い、重要事項の審議・決定が行われ、経営戦略に反映されています。今後も、気候変動を含む課題についての議論を行いながら、経営にかかわる重要事項については、定期的に経営陣が参加する関連会議の中で審議・決定していきます。
② 戦略
当社は、環境中期計画「グリーンプラン2030」を策定し、国内生産拠点で2030年度を目標に自社で直接消費する温室効果ガス排出量を、2019年比で100%削減することに取り組んでいます。
気候変動に対する2℃シナリオ(移行的変化)では、温室効果ガスの削減が加速し、エネルギー規制の強化が進むことや、エネルギーコストの高騰によるリスクが想定される一方で、省エネ設備や製品への移行、脱炭素エネルギー技術などの需要拡大、EV車の普及加速という機会も期待できます。4℃シナリオ(物理的変化)では、地球温暖化が進むことによって、特に洪水や台風などの災害発生による物理リスクが大きくなることが想定されます。一方、事業機会では環境に配慮した製品に関連した製品・サービスの創出や、工場操業における資源の効率的利用を挙げています。
これらの想定されるリスクと事業機会については、中長期視点で推測し、当社の事業戦略・事業活動に活かしていきます。
③ リスク管理
当社の気候変動に関するリスク管理は、推進事務局のEMS課で定期的にリスクの検討・評価を行いながら、具体的な運用(リスクの発見・情報伝達・評価・対応の仕組みなど)に取り組んでおります。
また、その中で経営に大きな影響を及ぼす案件については、事業遂行上の経営判断において、当社の持続的成長や企業価値への影響、許容できるリスク範囲などの考え方に基づいて、適宜経営層と環境推進事務局を主管する担当役員、推進事務局であるEMS課で検討を進めながら対応策や予防措置の検討を行っています。
当社では、自然環境に恵まれた地域でものづくりを行っており、気候変動に対する方策を講じなければ、原価上昇や事業機会の損失、自然災害などにより事業継続に大きな「リスク」があると考えています。一方で、これらに先手を打って対応することで「機会」を生み出すこともできると考えています。気候変動を含む環境リスク案件については、経営層、環境推進事務局を主管する担当役員、関連部門長と環境推進事務局間で情報を共有し管理していきます。
④ 指標及び目標
当社は、国内生産拠点の事業活動から排出する温室効果ガス排出量を捉え、2030年を目標達成年度として位置づけ、スコープ1とスコープ2の温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。事業活動による温室効果ガス排出(スコープ1・スコープ2)は、再生可能エネルギーの導入や操業時におけるエネルギーの効率的利用などを推進することで、2019年度比で2030年までに「カーボンニュートラル」にすることを目指します。
今後は、現地法人を含むエネルギー使用実績の把握や、生産委託先に対する温室効果ガス削減のお願い、サーキュラエコノミーへの対応を進めながら、事業活動以外での間接的な温室効果ガス排出量(スコープ3)の削減に向けた、施策を模索していきます。
指標 |
目標 |
2024年度実績 |
国内生産拠点の温室効果ガス排出量スコープ1・スコープ2 |
2030年 カーボンニュートラル |
カーボンニュートラル達成 |
有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があるリスクの一部を以下に挙げていますが、全てのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現時点では未知であったり、特筆すべき又は重要と認識していない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
なお、以下に挙げた事項は、当連結会計年度末現在入手し得る情報に基づいて当社が判断したものであります。
(1)輸出比率が高いことによるリスク
当社グループの海外売上高の比率は、前連結会計年度84.1%、当連結会計年度87.9%と、高い比率となっております。当社グループの外貨建取引及び外貨建資産等は、連結財務諸表作成時に円換算するため、為替レートの変動は、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制
当社グループの主力製品である医療機器は、日本国内では医薬品医療機器等法、欧州ではMDR(欧州医療機器規則)、米国ではFDA(米国食品医薬品局)規制といったように、各国にて医療面および環境面などにおける法的規制を受けております。従いまして、今後これらの規制が変更された場合に、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)品質問題
当社グループは、製品の特性に応じて最適な品質を確保できるよう、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001に基づいた品質保証体制を確立し、更に医療機器につきましては、ISO13485(医療機器に関する品質マネジメントシステム)やGMP(製造管理及び品質管理規則)などの規格にも対応し、厳格な品質管理のもと生産活動を行っております。しかしながら、将来的に予期せぬ不具合が発生する可能性は皆無ではなく、この場合において、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)企業買収に関するリスク
当社グループでは、事業の持続的な成長の実現のために、既存事業とのシナジー効果が期待できる企業に対するM&Aを実施しております。M&Aにあたっては、市場動向や顧客のニーズに加えて、対象企業の財務内容や契約関係等について、詳細なデュー・ディリジェンスを通じた事前調査を行い、十分にリスクを検討した上で決定しておりますが、事業環境の悪化等により予想どおりの収益が得られない場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)訴訟に関するリスク
当社グループにかかわる訴訟リスクとして大きく分けて知的財産にかかわるリスクと医療事故・製造者責任にかかわるリスクがあり、それらを通じて財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
知的財産に関しましては、自社の知的財産を権利化することにより第三者から防護するとともに、情報セキュリティを推進し、秘匿すべきノウハウ等の社外への流出防止を図る一方、第三者の知的財産権については、継続的に調査を行うことにより侵害の予防に努めておりますが、以下に掲げるようなリスクがあります。
・特定の国、地域においては、知的財産権に対する意識の欠如などの固有の理由により、第三者の侵害行為を効果的に取締まることができず、これによる売上低下、価格競争など、当社グループの業績及び財務状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループの製品について、予期しない第三者から知的財産権の侵害を理由に訴訟を提起され、当社グループの主張が認められなかった場合、当社グループは多額の損害賠償金、製造差止めなどの不利益を受ける可能性があります。
・当社グループの保有する知的財産権が、第三者から異議申立てなどの法的手段により無効にされ、第三者が同一事業分野へ参入してきた場合、当社グループの売上低下、価格競争など、業績及び財務状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループは、第三者が、当社グループの保有する知的財産権を侵害した場合、訴訟等に多額の費用を費やす可能性があるとともに、当社グループの主張が認められなかった場合、以後の事業展開に大きな影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループの製品の中には、第三者から許諾された特許の使用を前提にした製品がありますが、今後も、当社グループが許容できる条件で、第三者から使用許諾を受けられる保証はなく、不利な条件で和解したり、事業展開に大きな影響を及ぼす可能性があります。
医療事故訴訟、製造者責任にかかわる訴訟リスクに関しましては、当社グループは医療機器の設計、開発、製造段階で製品の安全性の確保に全力で努めておりますが、使用時の偶発的な不具合などにより他者に損害を与え賠償責任を請求されるリスクがあります。将来的に法令もしくは規制による訴訟等のリスクにさらされることも考えられ、その際も当社グループの経営成績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報セキュリティに関するリスク
当社グループでは情報セキュリティ基本方針を策定し、情報セキュリティ管理のための組織体制を構築するとともに、各リスクへの対策を運用し、情報セキュリティの確保と維持に努めております。さらに、従業員への教育を継続的に実施し、情報セキュリティへの意識向上に取り組んでおります。しかしながら、これらの取り組み及ばず、サイバー攻撃やウイルス感染等による業務システムの停止、情報の漏洩、情報システムの障害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)大規模な自然災害・感染症等に関するリスク
当社グループでは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害及び新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等の感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行し、当該地域の工場及び事務所の稼働が長期にわたって困難になった場合及び顧客の属する業界に影響を及ぼした場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
2023年10月30日に株式を取得した桂林市鋭鋒医療器械有限公司については、暫定的な会計処理を行っておりましたが、第2四半期連結会計期間に確定しました。前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、アメリカでは、個人消費は堅調に推移しているものの、消費者物価指数は下げ渋りが鮮明になっております。また、ヨーロッパでは、消費者心理の低迷により消費回復の足かせになっております。
一方、国内においては、名目賃金は増加しておりますが、消費は依然として弱く、また、人手不足等の懸念があります。
このような事業環境の中、売上高については、機工事業は減収となったものの、他の3つの事業は増収となりました。また、利益面については、EBITDA、営業利益及び経常利益は増益となりましたが、特別損失の計上等により親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、77,041,446千円(前年同期比29.1%増)、EBITDAは、20,460,365千円(前年同期比15.3%増)、営業利益は、14,596,193千円(前年同期比2.4%増)、経常利益は、17,283,081千円(前年同期比0.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、8,577,872千円(前年同期比62.4%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
(歯科事業)
歯科事業の売上高については、国内及びアジアで減収となったものの、北米及び欧州において増収となり、前年同期に比べて増収となりました。利益面については、セグメントEBITDAは増益となったものの、セグメント営業利益は前年同期に比べて減益となりました。
この結果、売上高は、46,527,008千円(前年同期比4.9%増)、セグメントEBITDAは、19,337,617千円(前年同期比2.0%増)、セグメント営業利益は、17,081,396千円(前年同期比0.6%減)となりました。
(DCI事業)
DCI事業の売上高については、需要の弱含みが続いたものの、最大手ディーラーのサイバー攻撃被害沈静化に伴う反動需要、円安等により、前年同期に比べて増収となりました。
この結果、売上高は19,454,753千円、セグメントEBITDAは2,444,976千円、セグメント営業利益は90,106千円となりました。
(外科事業)
外科事業の売上高については、国内、北米、欧州及びアジアで増収となり、前年同期に比べて増収となりました。利益面については、セグメント営業利益及びセグメントEBITDAともに、前年同期に比べて増益となりました。
この結果、売上高は、4,321,679千円(前年同期比14.6%増)、セグメントEBITDAは、2,379,154千円(前年同期比17.9%増)、セグメント営業利益は、2,250,531千円(前年同期比17.0%増)となりました。
(機工事業)
機工事業の売上高については、北米において円安の影響により増収になったものの、国内、ヨーロッパ及びアジアで減収となり、前年同期に比べて減収となりました。利益面についても、セグメントEBITDA及びセグメント営業利益ともに、前年同期に比べて減益となりました。
この結果、売上高は、6,738,004千円(前年同期比11.1%減)、セグメントEBITDAは、1,434,329千円(前年同期比16.9%減)、セグメント営業利益は、825,250千円(前年同期比29.8%減)となりました。
② 資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産の残高は、158,299,542千円で、前連結会計年度末に比べ17,530,900千円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が14,333,062千円、並びに、建物及び構築物が5,392,951千円増加したこと等によるものです。
負債の残高は、37,100,181千円で、前連結会計年度末に比べ9,496,361千円増加いたしました。主な要因は、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)が4,616,611千円、並びに、短期借入金が2,443,895千円増加したこと等によるものです。
純資産の残高は、121,199,361千円で、前連結会計年度末に比べ8,034,539千円増加いたしました。主な要因は、為替換算調整勘定が5,384,936千円、並びに、利益剰余金が4,282,208千円増加したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ9,088,977千円増加し、さらに新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額162,270千円を加味した結果、35,224,056千円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、15,302,565千円の収入(前年同期は8,557,326千円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益13,660,057千円の計上により資金が増加した一方で、法人税等の支払額5,475,308千円により資金を支出したこと等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,941,650千円の支出(前年同期は19,149,217千円の支出)となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出4,826,223千円等であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、598,510千円の収入(前年同期は3,406,227千円の収入)となりました。主な収入は、短期借入れによる収入13,510,515千円であります。主な支出は、短期借入金の返済による支出11,100,000千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
歯科事業(本) |
2,365,747 |
67.7 |
DCI事業 (台) |
8,234 |
- |
外科事業(本) |
13,151 |
105.8 |
機工事業(本) |
79,961 |
97.1 |
合計 |
- |
- |
(注)1 生産実績は、生産本数及び台数で表示しております。
2 当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
歯科事業 |
44,534,394 |
119.5 |
6,458,705 |
76.4 |
DCI事業 |
19,176,143 |
- |
1,377,225 |
83.2 |
外科事業 |
4,250,884 |
110.6 |
266,886 |
79.0 |
機工事業 |
6,594,982 |
101.4 |
384,751 |
72.9 |
合計 |
74,556,405 |
- |
8,487,568 |
77.4 |
(注) 当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
歯科事業(千円) |
46,527,008 |
104.9 |
DCI事業 (千円) |
19,454,753 |
489.5 |
外科事業(千円) |
4,321,679 |
114.6 |
機工事業(千円) |
6,738,004 |
88.9 |
合計(千円) |
77,041,446 |
129.1 |
(注)1 当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
Henry Schein, Inc. |
4,214,743 |
7.1 |
12,439,142 |
16.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループ経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針及び見積りについては、第5[経理の状況]-1[連結財務諸表等]-(1)[連結財務諸表]-[注記事項]-「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。
② 経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は、77,041,446千円(前年同期比29.1%増)となりました。
当社グループの海外売上高の比率は、前連結会計年度84.1%、当連結会計年度87.9%と、高い比率となっております。そのため、為替の変動が当社グループの経営成績に影響を及ぼします。当社グループが採用した前連結会計年度の平均為替レートは、1米ドル140.54円、1ユーロ152.27円であり、当連結会計年度の平均為替レートは、1米ドル151.44円、1ユーロ163.80円であり、それぞれ、10.90円の円安(前年同期比7.8%円安)、11.53円の円安(前年同期比7.6%円安)となっております。この影響により、当社グループの当連結会計年度の売上高は、4,210,065千円増加しております(前年同期比7.1%増の影響)。
下記は、実績レートと前連結会計年度の平均為替レートを採用した場合の比較であります。
(実績レートの売上高)
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (千円) |
当連結会計年度 (千円) |
増減 (千円) |
前年同期比 (%) |
歯科事業 |
44,366,504 |
46,527,008 |
2,160,504 |
4.9 |
DCI事業 |
3,974,204 |
19,454,753 |
15,480,548 |
389.5 |
外科事業 |
3,770,645 |
4,321,679 |
551,033 |
14.6 |
機工事業 |
7,581,013 |
6,738,004 |
△843,009 |
△11.1 |
合計 |
59,692,369 |
77,041,446 |
17,349,077 |
29.1 |
(前連結会計年度の平均為替レートを採用した場合の売上高)
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (千円) |
当連結会計年度 (千円) |
増減 (千円) |
前年同期比 (%) |
歯科事業 |
44,366,504 |
44,129,241 |
△237,263 |
△0.5 |
DCI事業 |
3,974,204 |
18,054,483 |
14,080,278 |
354.3 |
外科事業 |
3,770,645 |
4,188,961 |
418,315 |
11.1 |
機工事業 |
7,581,013 |
6,458,693 |
△1,122,320 |
△14.8 |
為替の影響 |
- |
4,210,065 |
4,210,065 |
- |
合計 |
59,692,369 |
77,041,446 |
17,349,077 |
29.1 |
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
当社グループの資金運営は、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、当社グループは、事業活動を行うための資金の調達に際し、低コストで安定的な資金の確保を重視しております。
なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は、18,728,511千円であります。
また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、35,224,056千円であります。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、2025年12月を最終年度とする中期経営計画「NV2025+」を推進しており、同計画において売上高55,000,000千円(当連結会計年度は77,041,446千円)、営業利益率30%(当連結会計年度は18.9%)の達成を目指してまいります。
該当事項はありません。
当社グループは、歯科医院、技工所、研究機関及びユーザーからの多様なニーズに対応するため、新製品、製造技術、管理技術及び製造設備等の研究開発を行っております。
当社グループの研究開発は当社が中心となり、市場にあった製品開発を積極的に行っております。当連結会計年度における研究開発費は、
(歯科事業)
歯科用エアータービンやコントラアングルなど従来からある高速回転切削機器だけでなく、現在、予防歯科治療において中心的な役割を果たしている超音波スケーラーや歯面清掃器など、非回転系新技術を活用する製品分野においても積極的な研究開発により、ラインナップの充実を図っております。また、口腔外科用としても、超音波技術を活用した骨切削機器を開発し、インプラント治療の効率アップに大きく貢献しております。さらに、当社グループのキーテクノロジーである精密マイクロモーターでは、長年の技術の蓄積のある電子駆動回路により、歯科の様々な分野において、製品開発を行っております。
(DCI事業)
創業以来培った歯科機材パーツメーカーとしてのノウハウを活かし、歯科用チェアユニット、歯科機材パーツ等の製品開発を行っております。また、ナカニシ技術の優位性を生かした新製品の開発、製品改良にも取り組んでまいります。
(外科事業)
外科用製品は、コアテクノロジーである超高速回転を用いて、脳神経外科をはじめとする外科領域で必需品となっている骨切削機器の研究開発を中心としています。幅広い診療科での使用ニーズや患者の負担を軽減する低侵襲手術に対応するため、既存製品の性能強化や刃具も含めたラインナップの拡充などを中心に行っています。また、骨手術に関連した手術手技の発展のため、当社が有する技術とノウハウを用いた探究も行っています。
(機工事業)
機工事業製品は、小型、精密化する電子・医療機器等の小型精密部品加工に対して、最適な加工条件を提供できる、高精度、高回転及び顧客要望特注スピンドルの製品開発を行っております。