第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針・コアバリュー・事業コンセプト

 当社グループは、2015年3月19日に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、2016年12月21日に東京証券取引所市場第一部へ市場変更いたしました。そして、2022年4月には東京証券取引所スタンダード市場に移行いたしました。Webマーケティングの分野においては、独自の特許技術に基づく自社製品を数多くリリースし、多くの素晴らしいお客様とのご縁をいただきました。

 そして2019年1月から、「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」をコアバリューとし、商号を株式会社ショーケースとして新たなスタートを切りました。また、ステークホルダーの皆様に事業戦略がより伝わりやすいよう、ビジネスコンセプトを「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」に一新いたしました。

 2022年1月には日本テレホン社(現:ReYuu Japan株式会社)と資本業務提携を行い、同年2月に連結子会社化いたしました。また、2024年11月にはAIフュージョンキャピタルグループ株式会社と資本業務提携を行い、同年12月に当社は同社の連結子会社となりました。Webマーケティング企業としては勿論のこと、多様な人々のニーズに応え課題解決が可能なテクノロジーカンパニーとして、パフォーマンスの高いサービスを開発・提供し、顧客からの信頼を向上させ、収益基盤をより強化する必要があると認識しております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標達成状況を判断するために、売上高成長率を重要な経営指標として位置付け、各経営課題に取り組んでおります。営業利益及び当期純利益については、経営上の目標達成のための戦略的投資や外部環境変化に応じて経営をコントロールするための指標として位置付けるとともに、中長期的な拡大を目指しております。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 そのために、当社グループは、以下の7点を主な経営の課題として認識しております。

 

① 既存事業の収益の拡大

 当社グループは、インターネットを通じてのサービス提供や、リユーススマートフォンの売買等を主な収益基盤の事業としており、これらの事業の安定的・持続的な発展が不可欠なものであると考えております。そのためにも継続的なユーザビリティの改善や、安定的なサービス提供及び調達環境が必須であります。これらの実現のため、既存事業においては、機能面の継続的な改善や保守管理体制の強化に加え、組織・営業体制の再構築と強化を図ることで信頼性を向上させ、顧客獲得増加を目指します。また、新規事業・新商品開発においては、業界動向の注視とクライアントの潜在需要の迅速な把握に努め、商品戦略の確立やパートナー企業との連携による新ビジネスの創出を積極的に推進します。これらの取り組みを通じて、事業規模の拡大と新たな収益源の確保を図ることで、収益基盤の拡大を行ってまいります。

 

② 認知度の向上

 当社グループは、収益基盤強化のため、オンライン手続きプラットフォームサービス「おもてなしSuite」、Webマーケティングの最適化サービス「NaviCastシリーズ」やオンライン本人確認サービス「ProTechシリーズ」、その他サービスの認知度の向上を図ることが必要であり、これらの認知度向上は新規の顧客開拓や優秀な人材の確保に寄与するものと考えております。当社グループとしましては、広報活動やセミナーのほか地方金融機関や自治体を対象としたマーケティングを継続して実施することにより認知度向上を目指してまいります。

 

③ アライアンスによるシナジー創出

 当社グループは、急激な事業環境の変化に対応し、競合他社に比べて更なる収益の拡大を図るために、事業規模の拡大と新たな収益源の確保が必須であると考えております。そのため、業界の動向を注視しつつ、また、クライアントの潜在需要をいち早く読み取り、商品戦略の確立や、パートナー企業との提携による新たなビジネスの創出等、新規事業及び新商品開発に積極的に取り組むことで、更なる収益基盤の拡大を推進してまいります。

 

④ 情報セキュリティ体制の強化

 当社グループは、インターネットを通じてサービスを提供することを主な事業としております。強固なセキュリティを確保しつつ安定的なサービスを維持・継続するには、サービス提供に係るシステムの安定的な稼働が重要であると認識しております。今後も引き続き、技術的セキュリティ向上のみならず、組織全体のマネジメント体制も含め、情報セキュリティ体制の継続的な改善に努めてまいります。

 

⑤ 技術革新への対応

 当社グループは、生成AIやインターネットサービス、スマートフォン等の技術革新に対して適時に対応を進めることが、事業展開上重要な要素であると認識しております。業界内の主要ベンダーや技術コミュニティから発せられる最新情報を定期的に入手するほか、クライアントの潜在需要を自社製品に迅速に反映することでサービスの先進性や安定性を確保していく方針であります。また、グループ企業をはじめとするパートナー企業との連携強化や、アライアンスへの取り組みに注力することで、技術革新に対応できる体制強化に取り組んでまいります。

 

⑥ 人材の確保

 当社グループが今後更に事業を拡大していくためには、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると考えております。特に技術者の採用においては、他社との獲得競争が激しさを増し、今後も安定した人材確保には厳しい状況が続くものと思われます。採用市場における認知度向上により、競争力の強化を図るとともに、魅力のある職場環境を構築し、社員の能力やモチベーション向上に資するため、研修制度の強化、福利厚生の充実、人事制度の整備・運用を進めてまいります。

 

⑦ ガバナンス体制の強化

 当社は、子会社に東証スタンダード上場のReYuu Japan株式会社を有しており、少数株主の保護の観点から、子会社の独立性を確保することが重要であると考えております。さらに、2024年12月には東証スタンダード上場のAIフュージョンキャピタルグループ株式会社が親会社となりました。こうした状況から、各事業会社の事業運営における独立性は担保しつつも、グループ内のガバナンス強化や子会社への経営監視を十分に行うことで、株主価値向上を目的としたグループ一丸となった経営戦略の遂行に努める方針です。具体的な取り組みとして、子会社のReYuu社において、少数株主の利益を保護するため、支配株主との利益相反リスクについて適切に審議・検討することを目的として、2025年1月30日より特別委員会を設置いたしました。今後も、企業の社会的責任を果たすための取り組みや、企業経営のリスクに対応するための内部統制システムの構築及び運用についても、一層の強化を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、経営の効率性及び透明性を高めながら、株主をはじめとした多くのステークホルダーの利益を最大化し、企業価値を向上させるために、コーポレート・ガバナンスの確立が重要な経営課題の一つであると考えております。そのような状況を踏まえ、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応しながら、関係諸法令を遵守し、経営組織体制を整備運用してまいります。

 当社グループは、経営環境の変化に対応した競争優位性の高い戦略を実践し、迅速な意思決定を行うため、取締役会を月1回開催し、緊急を要する場合には、書面決議による取締役会を開催しております。取締役会には社外取締役及び社外監査役も出席し、専門的な知見をもとにした助言などにより取締役会の監督機能を高めるとともに、活発な議論が交わされるように努め、公正・迅速な意思決定を行っております。

 また、事業リスク等の認識及び対応や、コンプライアンス体制の構築を図るべく、当社の代表取締役社長を委員長とし、取締役、監査役及び顧問弁護士等で構成された「コンプライアンス委員会」を年に6回開催しております。コンプライアンス委員会では、全社に対して法令・定款・規程等違反をはじめとしたコンプライアンス違反を未然に防止するとともに、違反が生じた場合でも速やかに対応をすることで被害を最小限に留めるよう情報の収集や意見交換を行うとともに、社員教育の徹底を行っております。

 

(2)戦略

 当社グループは、「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」というコアバリューに基づき、社会の「不」を解消するサービスを通じて、中長期的な企業価値向上を目指すため、サステナビリティの取り組みを検討・推進しております。また、その取り組みにより、ステークホルダーの期待を知り、その期待を上回る幸せを提供することで持続可能な社会の実現を目指してまいります。

 当社グループは、未知の感染症や気候変動による異常気象などによる影響を低減させ、事業継続を図るためにも業務のデジタル化を始めとするDXを推進しており、そのDX推進を通じて、顧客企業の事業成長を支援し、継続的な発展に貢献することで持続可能な社会の実現に寄与するものと考えております。

 人材の多様性の確保を含む人材育成方針として、当社グループは「すべての社員が誠実に仕事に向き合い、挑戦を続け、社員と会社が共に成長できる環境創り」を人事ビジョンとして掲げており、本ビジョンを実現するために、性別や国籍等を問うことなく、また、新卒や中途採用等に関わらず、個人の持つパーソナリティが当社グループの多様性と組織力向上に寄与するかを方針と定めております。

 社内環境整備においては、テレワークの推進を筆頭に、フルフレックス勤務や法定以上の年次有給休暇の付与、副業の許可等、社員が働きやすい勤務形態や環境整備を継続的に実施しております。

 

(3)リスク管理

 サステナビリティに関するリスク管理については、リスク管理規程及びコンプライアンス規程を定めるとともに、取締役会において、中長期的な事業継続に関するリスクの一環として検討がなされている状況であります。その主な内容は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りでありますが、サステナビリティ推進の観点からも、継続したリスク管理の体制を実践してまいります。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、多様な人材を活かし、その能力を最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造が可能となる環境構築が、当社グループの持続的な成長に重要であることを認識しております。多様性の確保という観点から、女性従業員や外国人等の採用、また、女性管理職の登用等、当社グループで活躍できる環境整備を充実し、中長期的な企業価値向上を目指しておりますが、現時点で測定可能な目標設定や状況の開示には至っておりません。しかしながら多様な人材にとって働きがいがあり、多様性が活かされる組織になることで、持続的な成長を実現してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を以下に記載しております。以下の記載のうち将来に関する事項については、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 なお、物価上昇に伴う原価高騰、不安定な為替相場や米国の政策動向等、今後の状況の経過により当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(1)関連市場及びサービスに関連するリスクについて

 当社グループは、Webマーケティングに関連したDXクラウド事業、広告・メディア事業、投資関連事業、情報通信関連事業を展開する企業です。当社グループはインターネット上におけるサービス提供を中核事業としており、事業の拡大においてはインターネット関連市場の更なる拡大が必要であると考えております。しかしながら、インターネット関連市場に対する新たな規制や技術革新等の要因により、市場の拡大が困難となった場合や新規参入企業との競争が激化した場合、知的財産権の侵害等があった場合には、当社グループの収益力等が低下し経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 自社で蓄積したノウハウや、サービスの技術的開発力、市場ニーズをいち早く汲み取ること等によって、サービスの優位性を強化しリスク低減に努めております。

 また、サービスを安定的に供給するために、クラウドサービスへのサーバーの設置、定期的なバックアップ、稼働状況の常時監視及び脆弱性診断等により、システムトラブルの事前防止及び回避に努めております。

 これらの対策に努めているものの、自然災害や事故などにより通信ネットワークの遮断又は障害が生じた場合、急激なアクセス増加による負荷の増大によってサーバーが停止した場合には、当社グループがサービスを提供することができなくなり、売上高の減少、システムコストの増加、信頼性の低下等の可能性があります。

 

(2)技術革新について

 当社グループが事業を展開する上での土台となるIT及びインターネット関連業界は、極めて早いスピードで技術革新が続いております。それに応じた業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するため、当社グループにおきましては、それらの技術革新による急速な変化に対応すべく、先端技術の知見やノウハウの蓄積、更には優秀な技術者の採用を推進する等、積極的な対応に努めております。

 これらのリスクの顕在化を未然に防ぐため、先端技術の台頭や動向に十分留意するとともに、継続的なシステム投資及び技術者の能力向上に努めておりますが、技術革新への対応が遅れ、当社グループの技術的優位性やサービス競争力の低下を招いた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制及びコンプライアンス体制に関するリスクについて

 当社グループの事業を規制する主な法規則として、「電気通信事業法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等、また個人情報の取扱いなどについては、「個人情報の保護に関する法律」等があります。インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の規制や既存法令等の解釈変更がなされた場合には、当社グループの事業が制約を受ける可能性があります。これらの規制等に従うため、コンプライアンス体制の整備、運用及び改善に努めております。また、プライバシーマーク及び情報セキュリティマネジメントシステム「ISO27001」、「ISO27017」の認証を取得・更新しており、当該公的認証に準拠した規定・マニュアルの整備・運用を行うことで、情報管理体制の強化に努めております。引き続き、細心の注意を払い、関連諸法令遵守に努め、情報漏洩防止に取組み、リスクの低減に努めてまいります。これらの対策に努めているものの、コンプライアンス体制の整備の遅れ等によって適切に対応ができず、これらの規制等への違反・抵触が生じ、監督官庁等から処分や指導を受け、当社グループの社会的信用の失墜又は損害賠償請求の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報セキュリティについて

 当社グループの事業においては、サービス利用において、ユーザー企業等にかかる個人情報や機密情報が含まれており、これらの情報にかかるデータ等を取り扱っております。

 当社グループは、役職員に対する個人情報取扱いにおける研修の実施、システム上のセキュリティ対策やアクセス権限管理の徹底に加え、プライバシーマーク及び情報セキュリティマネジメントシステム「ISO27001」、「ISO27017」の認証を取得・更新しており、当該公的認証に準拠した規定・マニュアルの整備・運用を行うことで、情報管理体制の強化に努めております。

 なお、当社グループでは、第三者からの不正アクセス攻撃に備えて、サーバーシステム及びソースコードに対するセキュリティ対策を講じることで、情報の漏洩防止にかかわる強化を図っております。また、様々な事業上の各種情報の管理・保管等に関して、規定の策定、社内ネットワークの監視、業務従事者に対する教育、役職員からの誓約書の提出、業務委託先企業に対する管理監督、その他情報セキュリティの確保を継続的に行っております。

 しかしながら、このような対策をとっているものの、万が一、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、その他想定外の事態の発生により情報等が社外に流出した場合、当社グループの社会的信用の失墜又は損害賠償請求の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)経営体制に関するリスクについて

 当社の代表取締役社長である平野井順一を筆頭に、監査等委員である取締役を含めて、経営陣は当社の事業運営に必要なスキルを持ち合わせた人材を取締役に選任しております。今後も事業環境や、成長戦略にあわせた人材登用をすすめていく予定ではありますが、何らかの理由により、当社の経営陣による事業運営が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)人材の確保に関するリスクについて

 当社グループが今後の更なる事業拡大を図るためには、営業、開発、管理をはじめとする各部門において、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると認識しております。

 当社グループにおいては、積極的な採用活動への注力及び社内教育体制の構築等、優秀な人材の確保と育成を行いリスク低減に努めているものの、計画どおりに人材の採用や育成、又は、事業拡大に応じた管理体制の構築が進まなかった場合、想定どおり事業拡大ができない可能性、採用コストの増加の可能性等があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)自然災害・未知の感染症に関するリスク

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症や未知の感染症が発生した場合には国内外経済に悪影響が及び、当社グループの経営成績及び財政状態へも悪影響を及ぼす可能性があります。

 その他、大地震等の自然災害及び火災等により、設備の損壊や電力供給の制限等の不測の事態が発生した場合や予期できない経済又は社会活動の行動変容が起こった場合、当社グループの事業継続、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの感染症リスクへの社内対策として、新型コロナウイルス感染症拡大以降、出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッド勤務など、従業員の健康を守りつつ、非対面営業体制の確立やデジタルマーケティング等の生産性の向上につなげるための施策を講じております。当社グループとしましては、今後もこれまでの常識にとらわれない、新たな働き方を模索し、最適解を見つけ出してまいります。また、災害対策におきましては、BCPに則り災害時の対策フローを確立し、災害時にも事業継続ができる対策を講じ、リスクの低減に努めております。

 

(8)継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは、複数の事業を運営している中で、情報通信関連事業において新型コロナウイルス感染症の拡大により調達難等の影響を受けたことで、2022年12月期の連結会計年度から継続して営業損失を計上し、当連結会計年度においても引き続き営業損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループは、このような状況を解消するため、情報通信関連事業においては、これまでの調達力強化や販売チャネル拡充の施策を通じて拡大しており、当連結会計年度においては外部顧客への売上高4,718,874千円(前期4,080,760千円)となりました。また、コストの大幅な低減も相まって、当連結会計年度のセグメント損失は116,963千円となり、前期の244,624千円から127,660千円の改善を実現いたしました。

 一方で、資金面においては、2024年11月14日付でAIF社と資本業務提携契約を締結し、2024年12月13日付で第三者割当増資により677,418千円の払込手続きが完了しております。さらに、各金融機関と良好な取引関係を維持していることから、当面の間、十分な資金を維持することが可能と認識しております。

 以上のことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

(9)子会社の経営状況に関するリスク

 当社は2022年1月にReYuu Japan株式会社と資本業務提携を行い、同年2月に連結子会社化いたしました。ReYuu社において、以下8つのリスクがあると考えております。

 なお、2025年2月28日付で公表しました「連結子会社(ReYuu Japan株式会社)の株式の売却及び特定子会社の異動並びに特別利益の発生に関するお知らせ」に記載のとおり、ReYuu社は、2025年3月24日開催の第29期定時株主総会の決議の結果、同年3月25日をもって当社の連結の範囲から除外され、当社の特定子会社ではなくなる見込みです。

 

① ReYuu社の収益構造について

 ReYuu社の第37期有価証券報告書の「3 事業等のリスク」に記載の通り、当事業年度における同社の事業部門別の売上高構成比は、リユース関連事業が98.7%、その他の事業が1.3%と、リユース関連事業の売上構成比が高いものとなっております。このため、当該事業への依存度が高いことによって、当該事業の業績が悪化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 利益面から見た場合においても、リユース関連事業においては、為替変動等の外部要因による調達価格の高騰や、メーカーや移動体通信事業者による新品価格の値下げ等によりリユースモバイル端末の価格優位性が損なわれる等、利益率が低下する可能性があります。

 

② リユース関連事業の運営上のリスクについて

(i)同事業の事業モデルについて

 当事業は、スマートフォン、タブレット、パソコン等の通信端末機器について、リユース品を中心として売買する事業です。これらの機器が不要となった消費者や国内外の法人企業から同端末機器を買取り、ReYuu社のモバイルリファビッシュセンターにおいて、商品査定、データの消去処理や外装のクリーニング等の処理を施した後、リユースモバイル端末として販売しております。同事業においては、リユースモバイル端末を国内のMVNO事業者や国内外の卸売業者、一般法人企業等へ向けて販売するとともに、ReYuu社運営サイトおよび外部ECモールにおいて、個人向けのオンライン販売を実施しております。

 

(ⅱ)需要の減少について

 リユースモバイル端末の需要は、高価格なスマートフォンの普及や円安に伴って価格が上昇している新品端末機器への買替えを躊躇する顧客層に対してデザインや機能面において遜色のないリユースモバイル端末を低廉な価格で供給することや、低価格帯の通信サービスと組み合わせて2台目としての利用や法人利用を目的とした顧客層に対して低価格で実用的なリユースモバイル端末を提供することで成り立っております。同事業においては、リユースモバイル端末の流通量に応じて調達価格が影響を受けることから、端末メーカーの生産量や移動体通信事業者の販売量の減少の影響からリユースモバイル端末の流通量が減少し、調達価格が高騰することによってそれが販売価格に転稼され、その結果により販売価格が上昇した場合や、移動体通信事業者や端末メーカーによって新品端末機器の大幅な値下げが実施されることでリユースモバイル端末の価格優位性が著しく損なわれ需要が減退し、同事業の事業モデルにより得られる売上高や収益が減少することにより、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(ⅲ)リユースモバイル端末の仕入について

 リユースモバイル端末の仕入は、国内外のパートナー企業やエンドユーザーからの買取を実施しております。しかしながら、商品の特性上、安価で安定的かつ継続的にReYuu社にリユースモバイル端末が供給されることが保証された環境ではなく、特定のパートナー企業に依存した仕入を実施した場合や、国外からの仕入に依存した場合、パートナー企業の調達状況、為替や国際情勢の状況、資源価格の高騰や半導体不足による仕入価格の高騰等の影響により、合理的な価格でリユースモバイル端末を確保できないことから販売に支障を来すことにより、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。また、各移動体通信事業者の販売施策において、次回の買替え時に移動体通信事業者が下取りをすることを前提とした契約の普及等により、リユースモバイル市場への端末機器の流通量が大幅に低下する恐れがあり、その場合、顧客の需要に応じたリユースモバイル端末を確保できないことから販売に支障を来すことにより、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(ⅳ)主要な販売先について

 同事業の主要な販売先は下記のとおりとなっており、株式会社インターネットイニシアティブ、株式会社オプテージの2社への売上高が相対的に大きいものとなっております。これら2社ともに、各社が要望する商品と、ReYuu社の提供可能商品が一致したため、売上が拡大し、売上比率が高まったものであります。

相手先

第37期

(自 2023年11月1日

  至 2024年10月31日)

金額(千円)

割合(%)

株式会社インターネットイニシアティブ

1,260,749

26.6

株式会社オプテージ

1,031,449

21.8

 

③ 法的規制等について

 ReYuu社ではリユース関連事業およびその他の事業を行うにあたって、以下のような法令やガイドライン等の規制を受けており、ReYuu社はこれらの法的規制等を遵守し企業活動を行っております。

 しかし、将来においてこれらの法的規制等が改正された場合、又はReYuu社がこれらの法的規制等に抵触した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

関係する事業

法的規制等

リユース関連事業その他の事業

電気通信事業法

消費者契約法

携帯電話不正利用防止法

電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(総務省告示)

オンラインショップを介して商品を提供する場合

特定商取引に関する法律

電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律

リユース品の売買

古物営業法

商標法

事業全般

個人情報の保護に関する法律

 

④ 個人情報の取扱いについて

 ReYuu社では、リユース関連事業においてはリユースモバイル端末の買取等を行う場合やオンラインショップでの販売を行う場合、その他の事業においてはレンタルサービスの申込みを受ける場合において、顧客の氏名、生年月日、住所等の個人情報を取り扱っております。

 個人情報の記載された書類としては申込書等があり、また社内のサーバー内や委託先のクラウド環境、各通信事業者から貸与されている端末には個人情報がデータとして保存されておりますが、ReYuu社では個人情報が記載された書類等について必要時以外はキャビネットの中に入れて施錠をする、また電子データについてはパスワード管理を行う等、厳重に管理を行っております。またReYuu社においては、プライバシーマークおよび情報セキュリティマネジメントISO27001認証(モバイルリファビッシュセンター)取得をしており、セキュリティの強化に努めております。

 しかしながら、書類が盗難等される場合や第三者がネットワークへ不正侵入する等により、個人情報の記載された書類や電子データ等が社外に流出し、個人情報が漏洩する可能性については否定できません。

 その場合、顧客から損害賠償訴訟の提起や賠償金の請求、また既存顧客の信用や社会的な信用の失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 海外の事業展開について

 ReYuu社は、企業として一層の成長を図るため、国内だけではなく、海外での商品の販売と調達の拡大へ積極的に取り組む方針であります。

 しかしながら、取引先相手国における政情、経済、法規制等のカントリーリスクや現地企業に対する信用リスク、為替の影響等、これらのリスクの発生によりReYuu社の方針が奏功せず、係るリスクが顕在化した場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 対処すべき課題に対する対応について

 ReYuu社は、同社の第37期有価証券報告書の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、ReYuu社の事業の進展のために克服すべき当面の課題が認識されており、係る課題を早期に克服すべく対応を行ってまいりますが、これらの施策が奏功する保証はなく、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 新型コロナウイルス感染症の流行について

 新型コロナウイルス感染症については、感染症法上の位置づけが5類感染症となり、経済社会活動の正常化が進みました。しかしながら、今後も同様の感染症の拡大等があった場合、営業活動が制限され、リユースモバイル端末の調達および販売が減少することによって売上高、収益ともに減少し、当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

⑧ 継続企業の前提に関する重要事象等

 ReYuu社は、新型コロナウイルス感染症の影響による調達難等により2022年4月期に営業損失を計上し、その後も継続して営業損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 しかしながら、同社の第37期有価証券報告書の「3 事業等のリスク」に記載の通り、これまでの調達力強化や販売チャネル拡充の施策を通じて、ReYuu社のリユース関連事業は着実に拡大しており、当事業年度においては売上高4,670百万円(前期3,737百万円)となりました。また、コストの大幅な低減も相まって、当事業年度の営業損失は64百万円となり、前期の185百万円から121百万円の改善を実現いたしました。

 なお、資金面におきましても、2024年2月および同年4月に実施した長期借入により調達した資金にて、十分な流動性を確保しております。現在の売上の状況、改善傾向にある利益構造などから、今後1年間の資金繰り見通しについても安定して推移することが見込まれ、引き続き財務基盤は安定しているものと判断しております。

 以上のことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善傾向の下、緩やかな回復の動きが見られました。一方で、物価上昇に伴う原価高騰、不安定な為替相場や米国大統領選挙による政策転換の可能性等により、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループでは、「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」をコアバリューに据え、「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」をコンセプトに事業を推進しています。

 昨今の新型コロナウイルス感染症拡大以降、リモートワーク等の働き方改革、デジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」という)、不正口座利用問題によるオンライン本人確認(eKYC等)やマイナンバーカードを利用した公的個人認証サービス、多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)ニーズ等を受け、非対面取引に関する市場が急拡大しております。

 当社グループが事業展開する主要マーケットの1つである、国内デジタルマーケティング市場は、2020〜2025年にCAGR(年平均成長率)7.2%の6,102億円(※1)と高い成長率が見込まれます。また、国内DX市場規模は、2030年には8兆350億円に拡大する見通しである一方(※2)、DXに「既に取り組んでいる」と回答した中小企業は2024年時点でわずか18.5%であり(※3)、中小企業を中心としたDXには大きな伸びしろがあると考えております。

 また、2023年に広く認知されたChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)により、AI関連市場が大きく変化を遂げております。LLMを活用した対話AIサービスは2027年度までに市場規模は約6,905億円に成長する見通しであり(※4)、現在も業界やサービスを問わず、その連携領域を広げています。

 今後も、これらの成長市場に対して、当社グループの培ったユーザビリティの高い技術を活用し、社会の“不”を解消する価値の高いサービスを積極的に提供してまいります。

 

 なお、連結子会社は投資関連事業を行う株式会社Showcase Capitalと情報通信関連事業を行うReYuu Japan株式会社(東証スタンダード:9425 以下、「ReYuu社」という。)の2社となります。

 

※1 IDC 国内デジタルマーケティング関連サービス市場 セグメント別/産業分野別予測、2020~2025年より

※2 富士キメラ総研『2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編』より

※3 独立行政法人 中小企業基盤整備機構『中小企業のDX推進に関する調査(2024年)』より

※4 株式会社シード・プランニング『2023年版 対話AIビジネスの現状と将来展望~ChatGPT・GPT-4を含む大規模言語モデル(LLM)がもたらす新市場~』より

 

 当連結会計年度における売上高は情報通信関連事業の伸長により増収となり、営業損失においても情報通信関連事業の赤字幅縮小により改善いたしました。親会社株主に帰属する当期純損失は2024年11月14日に開示した「減損損失の計上及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」に記載の通り、DXクラウド事業に係る固定資産(ソフトウェア)の減損損失が影響し、赤字幅が拡大する結果となりました。

 

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(a)財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ25,057千円増加し、3,486,185千円となりました。当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ240,126千円増加し、2,191,295千円となりました。当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ215,069千円減少し、1,294,889千円となりました。

 

(b)経営成績

 当連結会計年度における売上高は6,211,422千円(前年同期比9.3%増)、営業損失は165,842千円(前年同期は営業損失285,557千円)、経常損失は243,821千円(前年同期は経常損失298,419千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は742,757千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失117,980千円)となりました。

 

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

<DXクラウド事業>

 DXクラウド事業は、企業のWebサイト分析・解析支援を行う「NaviCastシリーズ」「ProTechシリーズ」「おもてなしSuite」のSaaS事業と、DX支援開発を行うクラウドインテグレーション事業で構成されております。

 NaviCastシリーズについて、当社の基盤サービスであるEFOツール「FormAssist」は、入力フォーム最適化市場:ベンダー別売上金額シェアで10年連続(2014~2023年度予測)No.1を獲得しました(※5)。NaviCastシリーズは売上高前期比3.2%増を達成し、MRRの成長にも貢献いたしました。

 

※5 ITR「ITR Market View:メール/Web/SNSマーケティング市場2024」入力フォーム最適化市場規模推移および予測(2014年~2023年度予測・売上金額)

 

 ProTechシリーズについて、オンライン本人確認/eKYCサービス「ProTech ID Checker(プロテック アイディー チェッカー)」の利用企業はメガバンクをはじめとする金融機関、中古品買取事業者等の古物商、法律事務所、レンタルショップ、通信キャリア、シェアリングエコノミー関連、マッチングアプリ、暗号資産取引サービス、Web3.0関連サービスなど多岐に亘っており、累計の導入社数は250社を突破いたしました。特に、携帯電話や電話転送サービスの契約時においては非対面の本人確認手法をマイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化し、対面ではマイナンバーカード等のICチップ情報の読み取りを義務付けるという犯罪対策閣僚会議(※6)への対応として、通信キャリアへの運転免許証やマイナンバーカードなどのIC チップを活用した本人確認の導入も進んでおります。また、2024年7月にはあらゆる書類の読み取りが可能な「ProTech AI-OCR」をリリースしており、順調に販売を拡大しております。ProTechシリーズは売上高前期比33.3%増を達成しており、更に多くの“不”を解消できるように、推進してまいります。

 

※6 令和6年6月18日 犯罪対策閣僚会議『国民を詐欺から守るための総合対策』より

 

 おもてなしSuiteについて、「kintone」連携機能強化のため、提供元であるサイボウズ株式会社(東証プライム:4776)との取り組みを進めてまいりました。2024年10月にはショーケースLLM Labsによりkintoneでの業務をサポートするAIアシスタント機能「Associate AI Hub for kintone」が追加されました。kintoneの連携機能を活用し自治体等からの受注を行ったほか、日々の業務のDXを実装する様々な案件を通じて課題解決を行いましたが、前期比で減収となりました。

 SaaS事業全体としては提供開始から時間が経過したサービスが影響しアカウント数が低下傾向であるものの、ARPA(1アカウントあたりの利用金額)は増加傾向となっております。

 クラウドインテグレーション事業では、当連結会計年度においては、これまでに受注したサービスの運用費用としてストック収益は堅調に積み上がり、新規案件の創出についても順調に進んだものの、受注までのリードタイムが想定より長期化し、前期比で減収・減益となりました。

 

 以上の結果、DXクラウド事業全体における売上高は1,156,943千円(前期比7.8%減)、セグメント利益(営業利益)は343,635千円(前期比30.4%減)となりました。

 

<広告・メディア事業>

(オウンドメディア)

 主力となるスマートフォン情報メディアをはじめとして、複数のライフスタイル情報等の比較メディアを中心に、様々なSEOメディアを運用しております。当連結会計年度におきましては、一部のメディアにおいてGoogleのアルゴリズム変更の影響が続いておりましたが、2024年7月に新たに立ち上げた「ショーケース プラス」への複数メディアの統合により、主力であるスマートフォン関連メディアを中心に回復傾向にあります。毎年秋の新型iPhoneの発売シーズンに向け準備を行っておりましたが、本シーズンの売上は昨年より回復し、売上に貢献いたしました。一方で、上期に発生したGoogleのアルゴリズム変更の影響を取り返すには至らず、昨年度よりも売上・利益ともに減少する結果となりました。

 

(広告関連サービス)

 広告関連サービスについては、従来から提供してきた運用広告関連サービスに加え、顧客のニーズに合わせたSNS広告運用サービス等の提供により、安定的に売上貢献をしております。

 

 以上の結果、広告・メディア事業全体における売上高は330,252千円(前期比3.5%減)、セグメント利益(営業利益)は60,064千円(前期比9.3%減)となりました。

 

<投資関連事業>

 資関連事業を手掛ける株式会社Showcase Capitalは、スタートアップと事業会社やVC・CVCをオンラインでマッチングするプラットフォーム「SmartPitch(スマートピッチ)」等を通じて、スタートアップ・エコシステムの形成の一助となる活動に取り組んでおり、スタートアップの登録数は500社を突破いたしました。また、事業会社等の投資家側も240社以上が登録されています。更に、投資有価証券の評価益や売却益により、売上が拡大いたしました。

 

 以上の結果、投資関連事業全体における売上高は38,667千円(前期比195.1%増)、セグメント損失(営業損失)は16,777千円(前期はセグメント損失(営業損失)43,241千円)となりました。

 

<情報通信関連事業>

 情報通信関連事業を手掛けるReYuu社におきましては、中古スマートフォンの販売を中心としたリユース関連事業を展開しております。

 

 当連結会計年度におきましては、調達力の強化を重点戦略として掲げ、当期より新設した調達専門部署を中心に調達営業活動を推進してまいりました。事業の基盤となる良質な商品の安定確保を目指し、新規調達先の開拓及び法人向けの買取提案営業に注力した結果、当期の調達量が増加するとともに、来期以降の更なる業績向上を見据えた調達網の整備が進展いたしました。一方で、一部の契約締結や調達先との調整に想定以上の時間を要したことから、営業損失の改善はしたものの、黒字への転換には至りませんでした。

 国内法人向け営業戦略につきましては、販売・買取・レンタル・商品保証・キッティングを一体化した総合的な端末サービスを強みとして、既存取引先への深耕営業及び新規顧客の開拓に取り組んでまいりました。その中でもReYuu社が優位性を持つMVNO事業者チャネルにおいては、既存取引先への深耕営業により販売機種のラインナップが拡充いたしました。その他の国内取引先である通信事業者、携帯販売代理店、卸業者、小売業者、一般企業といったチャネルにつきましては、堅実に取引が拡大いたしました。

 グローバルチャネルにおいては、海外ビジネスに精通した人材を積極的に活用した結果、販売と調達の両面で取引ルートの整備が進行し、取引高が増加いたしました。個人向けオンラインチャネルにおいては、メイン商材のスマートフォンやノートパソコンにとどまらず、スマートウォッチやデスクトップコンピュータ等、ReYuu社の調達ルートを活かした商品ラインナップの充実に取り組んでまいりました。また、販売促進施策の実施とお客様目線での顧客対応により、外部ECモールでの店舗評価が高まりました。

 

 以上の結果、情報通信関連事業全体における売上高は4,732,562千円(前期比15.7%増)、セグメント損失(営業損失)は116,963千円(前期はセグメント損失(営業損失)244,624千円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、1,233,814千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、672,970千円(前年同期は181,986千円の使用)となりました。主な増加要因は、減損損失528,024千円、減価償却費161,484千円、のれん償却額89,185千円であります。主な減少要因は、税金等調整前当期純損失773,029千円、棚卸資産の増加額324,427千円、売上債権及び契約資産の増加額242,836千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、193,353千円(前年同期は51,630千円の獲得)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出219,662千円等により資金を使用したことによるものであります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は、811,202千円(前年同期は215,926千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出332,669千円等により資金を使用した一方で、株式の発行による収入663,047千円、長期借入れによる収入500,000千円、短期借入金の純増加額100,000千円等により資金を獲得したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

(1)生産実績

 当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 当社グループのサービスは、受注から納品までの期間がきわめて短いため、記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

DXクラウド事業

1,154,944

92.3

広告・メディア事業

308,052

91.2

投資関連事業

29,550

226.4

情報通信関連事業

4,718,874

115.6

合計

6,211,422

109.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先については、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社インターネットイニシアティブ

1,118,026

19.7

1,260,749

20.3

株式会社オプテージ

1,031,449

16.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りに与える影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、3,486,185千円(前連結会計年度末比25,057千円の増加)となりました。これは主に、ソフトウエア仮勘定が271,391千円、のれんが216,178千円減少した一方で、商品が316,254千円、売掛金が240,154千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、2,191,295千円(前連結会計年度末比240,126千円の増加)となりました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定含む)が167,331千円、短期借入金が90,002千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、1,294,889千円(前連結会計年度末比215,069千円の減少)となりました。これは主に、第三者割当増資等により資本金が338,859千円、資本剰余金が318,377千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失742,757千円を計上したことにより利益剰余金が742,757千円、非支配株主持分が129,549千円減少したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は22.8%(前連結会計年度末は25.5%)となりました。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、中核事業であるDXクラウド事業のストック売上(サブスクリプション売上)の向上、既存顧客へのコンサルタントによる追加提案売上、オンライン本人確認/eKYCサービス「ProTech ID Checker」や企業と顧客をつなぐプラットフォーム「おもてなしSuite」の販売数増加、DX支援開発による受託開発案件の納品、「ショーケース プラス」の販売送客アフィリエイト収益、リユースモバイルの販売・レンタル等により、6,211,422千円(前年同期比9.3%増)となりました。

 

(営業利益)

 売上原価は、4,704,636千円(前年同期比15.3%増)、販売費及び一般管理費は1,672,628千円(前年同期比11.5%減)となりました。販売費及び一般管理費の主な減少要因は、2024年12月期第3四半期会計期間に計上した減損損失によるものであります。

 この結果、営業損失は165,842千円(前年同期は営業損失285,557千円)となりました。

 

(経常利益)

 貸倒引当金戻入額2,405千円、支払利息19,353千円、株式交付費26,594千円、公開買付関連費用23,900千円等が発生したことにより、経常損失は243,821千円(前年同期は経常損失298,419千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 減損損失528,024千円等が発生したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は742,757千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失117,980千円)となりました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

② 資金需要

 当社グループの主な運転資金需要は、今後の成長基盤となる開発人員・営業人員に対する投資及び開発に係る業務委託や広告宣伝費などであります。また、主な投資資金需要は、外部リソースを積極的にグループに取り入れるためのM&Aやベンチャーキャピタル投資における新規案件への投資に係るものであります。

 

 

③ 財務政策

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保すること、将来の不確実性に備えて比較的厚めのキャッシュポジションとすることを基本方針としております。そのうえで、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を、投資資金や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入や第三者割当増資による調達を行う方針であります。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、外部要因と内部要因に大別されます。

 外部要因としては、自然災害によるサーバー停止、インターネット関連市場の新たな規制や技術革新、競合他社との競争激化、法的規制の変化等により影響を受ける可能性がありますが、このような環境下において、当社グループの売上は堅調に推移しております。

 内部要因としては、システム障害、コア事業であるDXクラウド事業への依存、特定人物への依存、優秀な人材の確保や育成、情報漏洩による情報セキュリティの管理等の影響を受ける可能性がありますが、組織体制の整備及び内部管理体制の強化により、これらのリスク要因に対応するよう努めてまいります。

 

(5)経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、収益拡大のためには既存事業の拡大及び認知度の向上のための広報活動やマーケティング、新規事業及び新商品の開発や投資事業によるシナジー創出が必要不可欠であると認識しております。そのためには、優秀な人材の確保や組織体制の整備をこれまで以上に強化し、これらの課題に対して企業価値向上を図るべく、当社グループ経営陣は最善の事業戦略を立案するよう努めてまいります。

 

(6)経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、企業のWebサイト分析・解析支援を行うDXクラウド事業を中心に、広告・メディア事業、オンライン本人確認/eKYCやDX支援開発などの新規事業を通じて、企業価値の向上に取り組んでおります。全社としては堅調に推移しておりますが、広告・メディア事業に関しては、Googleのアルゴリズム変更の影響を取り返すには至らず、前年同期で減収・減益となっております。

 また、2024年11月14日付でAIフュージョンキャピタルグループ株式会社と資本業務提携契約を締結し、2024年12月に当社は同社の連結子会社となりました。

 さらに、2025年2月28日付で公表しました「連結子会社(ReYuu Japan株式会社)の株式の売却及び特定子会社の異動並びに特別利益の発生に関するお知らせ」に記載しましたとおり、ReYuu社は2025年3月24日開催の第29期定時株主総会の決議の結果、同年3月25日をもって当社の連結の範囲から除外され、当社の特定子会社ではなくなる見込みであります。当社グループとしての売上高は減少となりますが、資本業務提携や売却益を活用して、成長に向けた投資をすすめるほか、グループシナジーの創出を図ることで、中長期での企業価値向上に向けて取り組んでまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

資本業務提携契約(ReYuu Japan株式会社)

契約会社名

相手方の名称

契約期間

契約内容

株式会社

ショーケース

ReYuu Japan

株式会社

契約締結日(2022年1月26日)から両社が合意した日又は当社がReYuu社の株式を保有しなくなった日のいずれか早い日まで

(資本提携)

・ReYuu社が当社に対し、普通株式を第三者割当の方法により発行

(業務提携)

①「eKYC」に関する技術を利用したReYuu社のオンライン買取サービス、買取プラットフォームおよびAIを利用した自動査定・買取システムの構築・導入

②ReYuu社の法人向けレンタルサービスにおけるサブスクリプションモデル強化

③リユースモバイル事業全体のDX推進

④その他、両社が別途協議し合意する事項

(その他)

・当社はReYuu社の取締役の構成員の総数に対して当社が指名した取締役の数が過半数となるよう、取締役候補者を指名する権利を有する

 

資本業務提携契約(AIフュージョンキャピタルグループ株式会社)

契約会社名

相手方の名称

契約期間

契約内容

株式会社

ショーケース

AIフュージョンキャピタルグループ株式会社

契約締結日(2024年11月14日)から、両社が合意した日又はAIF社が株式会社ショーケース株式を保有しなくなった日のいずれか早い日まで

(資本提携)

・AIF社に対し、当社普通株式を第三者割当の方法により発行

(業務提携)

(ⅰ)AIF社及び当社それぞれが強みを持つ、DX関連技術の開発と導入、相互の商品、ブランド、及び事業の展開

(ⅱ)経営管理機能の共有、グループ間の顧客の連携

(ⅲ)その他AIF社及び当社が合意した事項

 

株式譲渡契約(Seacastle Singapore Pte. Ltd)

 当社は、2025年2月28日開催の取締役会において、会社法第467条第1項第2号の2に基づき、2025年3月24日開催の第29期定時株主総会(以下、「本株主総会」という。)で承認可決されることを条件として、当社の連結子会社であるReYuu社の株式の一部を、Seacastle Singapore Pte. Ltd(以下、「Seacastle社」という。)に譲渡すること(以下、「本件株式譲渡」という。)を決議し、2025年2月28日付で、Seacastle社との間で株式譲渡契約を締結いたしました。

 本件株式譲渡は、本株主総会において承認可決され、2025年3月25日に実行される予定であります。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)(事業分離(子会社株式の譲渡))」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、急激な事業環境の変化や、競合他社に比して更なる収益の拡大を図るために、利用者ニーズの急激な変化をいち早く察知し、新たな技術・サービスを提供することが必須であると考えております。そこで、当社グループでは、この急激な変化に柔軟に対応しつつ顧客満足度の向上を目指すため、研究開発活動を行っております。

 

 以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,340千円となりました。