当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で、世界の人々に貢献します。」という企業理念のもと、農薬や肥料、あるいは独自の栽培システムなどを開発・製造・販売する過程で、作物の増収に寄与する総合的かつ包括的な技術の開発と体系化に取り組んでおります。この技術・ノウハウの蓄積を基礎に「新たな食糧増産技術」を開発していくことで、増え続ける世界人口を支えるための食糧問題を解決し、株主の皆さまやお客さまから高い信頼と評価を得られるよう、企業価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。
当社グループの持つ技術や製品の機能を広く提案し、積極的な展開を行うことにより持続的な企業価値の向上を図ってまいります。またESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))の観点も積極的に経営に取り入れてまいります。当社グループの企業活動は、持続可能な未来を社会と共に築くものであり、SDGs活動そのものであると考えております。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、国内外の農業分野向けに事業展開を行っております。
農業分野を取り巻く環境としては、世界人口の増加に伴い食料の増産・安定供給が必須課題となっており、今後益々作物生産技術の高度化や高品質化へのニーズが高まることが予想されます。また、環境保全の観点から限られた資源を有効活用する栽培技術につきましても、新たなニーズが求められると予想されます。
このような状況下において、当社グループは、食糧増産技術(アグリテクノロジー)の提供を通じ社会に貢献するとともに、企業収益を高め、企業価値の向上を図ることを基本方針とし、収益の拡大と財務体質の強化に取り組み、かつ、人や環境に優しい持続可能な農業に貢献できる企業活動を進めてまいります。
①企業価値の向上
2024年2月に発表した「新中期経営計画(2024-2026年)<さらなる挑戦への積極投資>」に記載のとおり、持続可能な農業に貢献すべくイノベーションに向けて研究開発への集中投資を行い、日本国内やグローバルにおける農業の課題を解決できるよう取り組んでおります。
また、グループ全体で操業時の環境負荷低減、持続可能な経営に取り組み、すべてのステークホルダーにとっての会社価値の向上を目指してまいります。
②研究開発の加速
当社グループにおいては、人や環境に優しい持続可能な農業に貢献するために安全性の高い新規化学合成防除資材や、天然・食品添加物由来であり、有機JAS適合農薬など使用回数に制限のない防除資材であるグリーンプロダクツ製品、植物が本来持つ免疫力を高め、耐寒性・耐暑性・病害虫耐性及び成長を促すバイオスティミュラント製品の研究開発に注力してまいります。
また、循環型社会の実現を目指したプロバイオポニックス(有機質肥料活用型養液栽培)の実証試験、施設園芸分野での省力化・効率化、センシング技術を活用したスマート農業の実践に向けた栽培トータルソリューションサービス『アグリオいちごマスター』の普及とさらなる進化にも引き続き取り組んでまいります。
2030年の「あるべき姿」を具現化するために、農業最先端技術に積極的に投資を行ってまいります。
③さらなる成長への取り組み
従前からの取り組みであります「人と環境にやさしいグリーンプロダクツ」「バイオスティミュラント事業」「施設園芸分野でのスマート農業への取り組み」「グローバル製品展開」に加え、研究開発投資の成果・イノベーションを着実に普及させ、儲かる農業を提案してまいります。
④企業文化の構築
『栽培の楽しさ・難しさを自ら体験し、世界に発信する』ことを企業文化とし、当社グループの強みである栽培技術を通して、全ての人々に『育てる喜び』『観る感動』『食べる幸せ』をお届けできるよう取り組んでまいります。
また、食糧増産技術(アグリテクノロジー)を普及することにより、人や環境に優しい持続的な農業に貢献できるよう努めてまいります。
⑤生産性の向上
インフレが進み、エネルギーや原材料などのコストが上昇する中でも、グローバルなネットワークを活用し、調達から生産・在庫・販売に至る最適化・効率化をすすめてまいります。また人材育成、職場環境改善へも引き続き投資を行い、業務の付加価値向上に取り組んでまいります。
⑥財務体質の強化
グループ全体でのキャッシュマネジメントを通じ、グループ内での資金融通など効率的かつ機動的な資金バランスを整え、有利子負債残高の減少に努めてまいります。株主還元や積極的な事業展開、研究開発投資の重要な財務指標として「新中期経営計画(2024-2026年)<さらなる挑戦への積極投資>」で設定した自己資本比率やROE達成に向け、引き続き安定した強固な財務基盤の構築を進めてまいります。
⑦営業体制の強化
グループ各社が持つ特徴的な製品をグループ他社が持つ独自の販路にも展開し、よりグローバルな普及拡大を目指します。また、農業分野の課題を真正面から受け止め解決するために、市場のニーズ及び問題点等を把握し、日々変化する課題に対して迅速に対応できる営業体制の構築に取り組んでまいります。収集した情報を製品開発に活かし、食糧増産技術(アグリテクノロジー)で世界の人々に貢献する企業を目指してまいります。
⑧安全対策強化
当社グループは、全ての従業員が安全に働ける環境を提供することを最優先としております。昨年発生した鳴門工場での火災事故を教訓とし、事故を未然に防ぐために必要な教育・訓練・安全対策を継続的に実施してまいります。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、2024年2月13日に公表いたしました2026年12月期を最終年度とする新中期経営計画(2024-2026年)において、目標とする経営指標として連結営業利益率12.0%、連結ROE13.8%を掲げております。
過去5年間の経営指標の推移
|
2020年 12月期 |
2021年 12月期 |
2022年 12月期 |
2023年 12月期 |
2024年 12月期 |
売上高営業利益率(%) |
7.5 |
8.8 |
12.4 |
13.0 |
10.5 |
連結ROE(%) |
12.9 |
19.2 |
23.4 |
20.0 |
13.9 |
(4)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、経営理念『食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します』のもと、「新中期経営計画(2024-2026年)」で掲げた通り、『さらなる成長への積極投資』を推し進めており、グリーンプロダクツ、バイオスティミュラント、スマート農業、グローバル展開を確固とした柱と致します。
今後も、世界の農業の発展のために研究開発を推し進め、環境への配慮と食料の安定供給の両立を目指しながら、2030年の当社のあるべき姿を追求してまいります。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
[基本的な考え方]
当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に対してその取組みを推進しており、TCFDのフレームワークに基づき、気候変動が当社グループの事業に与える影響とリスクと機会の側面を分析し、経営戦略・リスクマネジメントに反映するとともに、その進捗を適切に開示することで、社会の持続的な発展と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
2025年3月に当社HP上に『
(1)ガバナンス
取締役会は、TCFDへの対応状況を含め、全社経営に関するマテリアリティを決定してまいります。アグリビジネスを通じた社会課題の解決に向け、サステナビリティへの取組みの推進と、中長期的な企業価値の一層の向上を目指すため、取締役会の下に代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しております。
サステナビリティ推進委員会は、委員長の指示のもと、気候変動をはじめとしたサステナビリティに係る基本方針、事業活動の方針・戦略に係る企画立案について審議を行い、その結果を取締役会に付議します。また、気候変動に関連する連結会社の事業継続性・財政状態・経営成績やキャッシュフローに重要な影響を与える可能性がある事象については、リスク管理委員会においても審議を行い、全社的なリスクと合わせて取締役会へ報告します。取締役会で決議された事項は、サステナビリティ推進委員会が主導し、各事業部門と連携し全社へ展開・推進しております。
(2)戦略
当社グループは、サステナビリティ経営を推進するにあたって、気候変動が事業に与えるリスクと機会に関する影響を分析し、企業経営に分析に基づいた適切な対応が反映されることが重要だと考えています。
この考えに基づき、気候関連シナリオは気候変動対策が推進されるシナリオ(2℃未満、1.5℃含む)、対策なしの成り行きであるシナリオ(4℃)の2つの世界を想定し、抽出したリスク(移行リスク、物理リスク)と新たに想定される事業機会の側面に基づいてシナリオ分析を実施中です。
参照しているシナリオ
世界観の定義 |
シナリオ名称 |
2℃未満シナリオ (1.5℃シナリオを含む) |
IEA WEO2024「Net‐Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」 IPCC AR6「Shared Socio-economic Pathways(SSP1-2.6)」 |
4℃シナリオ |
IEA WEO2024「Stated Policy Scenario(STEPS)」 IPCC AR6「Shared Socio-economic Pathways(SSP5-8.5)」 |
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、以下の通りとなっております。
①コミュニケーションの活性化による、思いやりと活力のある組織を醸成する
当社は2010年の設立当初から社員への教育、労働環境の改善、福利厚生の充実、健康管理に取り組むとともに地域社会の発展にも尽力してまいりました。社員の幸福実現のため、働きやすさとやりがいを感じられる職場環境の構築に努めております。
持続的な企業の発展のためには、好奇心と行動力で新しい価値を生み出すことのできる、チャレンジ精神と創造的思考力を持った社員の育成が重要です。
2024年には、執行役を含む全役員14名のうち女性役員が2名となりました。現在の女性管理職比率は12.8%ですが、20%を目標に、女性社員を業務改善運動のまとめ役に任命する等して、意識向上を図っています。職場を円滑に運営するために、リーダーシップやコミュニケーション力のある女性管理職の育成を進めていきます。
また、食糧増産技術(アグリテクノロジー)の開発をより加速させることを目的に、社内で栽培技術を極めたい有志の公募を行いました。選抜された社員は、研究開発部配属となりましたが、従来と職種が全く変わった社員も少なくありません。立場の異なる様々な人材が多様な経験を積み、eメールやWEB会議だけでなく、直接対話も含めた様々なコミュニケーションを活性化することで社員の成長及び柔軟で思いやりと活力のある組織を目指していきます。
②業務効率の改善とDX技術の導入
2023年に一部業務で業務効率改善プロジェクトを立ち上げ、2024年には全社的な業務効率改善運動を開始しました。各部門でリーダーを選抜し、業務内容の見直しや負担軽減を図り、無駄を削減するための具体的な改善策を策定しました。今後この取り組みの実効性を確保するためには、AIとDX技術の活用が不可欠です。現在はこれらの技術を業務効率改善運動に加え、事業変革までデザインできる人材の育成が急務となっております。2025年には、改善方針を実行段階に移し、更なる効率化を進めていきます。
③ライフステージに応じて活躍できる職場環境づくり
当社は社員が仕事と家庭生活を両立できる働きやすい職場づくりを推進しています。仕事と育児や介護を両立させるため、導入済の在宅勤務や時差勤務を柔軟に運用することにより、社員一人一人のライフスタイルに合わせたサポートが出来るよう検討しております。
男性の育児休暇取得率向上にも積極的に取り組んでおり、2023年には男性育児休暇取得率が33%に達し、2024年には50%へと大きく向上しました。この取り組みは、女性活躍推進にも繋がり、社会全体に対しても大きく貢献できていると考えます。
また、持続的成長に向けて、キャリアを自律的に考える人材の育成を重要視しています。若手社員向けには、キャリア形成をテーマにした階層別研修を実施し、社会情勢・経済情報の収集方法を学ぶ機会も提供しています。
さらに、シニア世代のライフプラン形成にも取り組んでいます。少子高齢化がもたらす、社会環境・経営環境の変化に対し、財政負担問題、労働力人口の減少が深刻化しています。対策として企業における総合的な人材戦略が重要となり、特に中高年齢層の労働意欲に対する意識改革を促すためには、早い時期からライフプランを立てることが必要であると考え、45歳以上の社員を対象に、「働き方・生き方セミナー」を実施しました。キャリアの棚卸とこれからの働き方の計画、社会保険のしくみと基礎知識、将来を考えつついかに働き続けるか等を参加者が考えるという内容です。初めての試みでしたが、今後も継続していきたいと考えています。
当社は、社員がそれぞれのライフステージに応じて活躍できる職場環境を作り、幅広い世代の社員が力を合わせ、共に成長し続けることで、柔軟で活力のある組織を目指しています。これらの取り組みによって、当社は多様な人材が力を発揮し、より良い未来を共に作り上げていきたいと考えています。
(3)リスク管理
全社的なリスク管理体制を構築するために定期的にサステナビリティ推進委員会にて当社グループが直面する、あるいは将来発生する可能性のあるリスクを識別・評価を行い、優先順位付けしたうえでリスク対応計画を策定し、その進捗を確認してまいります。
特定された気候関連リスクと同様に新たに想定される事業機会においても、その影響とその対応策を、定期的(年1回以上)に取締役会に報告・提言することで全社的リスクマネジメントにおいても統合されるように体制を整えてまいります。
(具体的なプロセス)
・グループ全体におけるサステナビリティに関するリスクの識別と評価
・審議と必要に応じた再評価の指示、 対応策の再設計
・対応策の決定
・決定された対応策の各部署での展開とその実行
・進捗状況の確認と報告
(4)指標及び目標
当社グループ主要15社(注1)の当期における温室効果ガス排出量実績は以下の通りです。
|
2024年12月期実績 |
Scope 1 |
|
Scope 2 |
|
Scope 3(注2) |
|
(注1)OATアグリオ株式会社、旭化学工業株式会社、OAT&IIL India Laboratories Private Limited、Asahi Chemical Europe s.r.o.、PT. OAT MITOKUAGRIO、潤禾(舟山)植物科技有限公司、LIDA Plant Research、株式会社インプランタイノベーションズ、クリザールグループ主要6社(Chrysal International B.V.、Chrysal Colombia S.A.、Everflor Ecuador S.A.、Chrysal Africa Ltd.、Chrysal USA Inc.、クリザールジャパン株式会社)、株式会社養液土耕栽培研究所
(注2)以下の項目を算定から除外しております。
対象全社におけるカテゴリ8,10,13,14,15:事業との関連がない
株式会社養液土耕栽培研究所のScope 3全カテゴリ:排出量が小さい
クリザールグループ6社のカテゴリ4荷主の出荷輸送:流通経路が複雑で算定に必要な活動量の取得が困難
当社グループは、温室効果ガスについて「2050年に温室効果ガス排出量ネットゼロ」を目標にし、カーボンニュートラルの実現を目指しております。これらの目標達成のため、再生可能エネルギー導入や製造設備・空調設備の省エネ機器への切り替えに積極的に取り組みます。またScope 3排出量算定の精度向上、排出量の多いカテゴリ1の削減方法検討等、目標達成に向けて取り組んでいきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。
当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も合わせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
重要なリスク
(1)農業市場の動向に係るリスク
当社グループの主要な製品である、農薬・肥料の最終消費者は農業従事者となります。このため、農業市場の動向により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
近年における国内の農業市場は、国内人口の減少、農作物の販売価格の下落や、農業従事者の高齢化・後継者不足により漸減傾向が続いております。今後の国内市場の動向としましても、政府の農業政策の方針によっては、依然として不透明な環境が継続すると予想されます。
政府が公表している計画、戦略の主なものは、以下のとおりであります。
食料・農業・農村基本計画 (2020年3月 農林水産省) |
主な講ずべき施策 ・グローバルマーケットの戦略的な開拓 ・農業担い手の育成 ・農業生産・流通現場のイノベーションの促進 ・環境政策の推進 |
みどりの食料システム戦略 概要 (2021年5月 農林水産省) みどりの食料システム法 (2022年7月 施行) 「みどりの食料システム戦略」に基づく取組の進捗状況 (2023年12月 農林水産省) |
KPIと目標設定(2030年、2050年) ・Co2ゼロエミッション ・低リスク農薬への転換、総合的な病害虫管理体制の確立・普及等を図ることに加え、従来の殺虫剤に代わる新規農薬等の開発により化学農薬の使用量(リスク換算)を50%低減 ・輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減 ・耕地面積に占める有機農業の面積を25%(100万ha)に拡大 |
当社グループは、創業当時の企業理念及び当社の事業に係る政府の農業政策等も考慮し中期経営計画を策定しております。2024年2月に改訂した「新中期経営計画(2024‐2026年)<さらなる成長への積極投資>」においても、基本方針は前年の中期計画を踏襲して、さらなる成長への取り組みとして「人と環境にやさしいグリーンプロダクツ」「バイオスティミュラント事業」「施設園芸分野でのスマート農業への取り組み」「グローバル製品展開」を引き続き行うことにより持続的な成長ができるものと判断しております。しかしながら、政府の農業政策変更等に伴う外部環境の変化、農業後継者不足等に伴う市場縮小などの要因等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法規制によるリスク
当社グループの主な事業は、国内外での農薬・肥料の生産及び販売活動であり、農薬や肥料、登録制度などに関する法令のさまざまな規制を受けております。当社グループでは、社内の管理体制の構築やコンプライアンス推進活動等によりこれらの法令遵守に取り組んでおりますが、今後、これらの法令に違反する行為が行われた場合、もしくは、法令の改正又は新たな法令の制定が行われた場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
法規制による主なリスクは以下になります。
①当社グループが取り扱う製品は、原料調達、製造、輸出、販売、使用の全ての過程において法規制されております。法令改正により、既存の製品や開発中製品の原料調達、製造、販売、使用ができなくなる、輸入販売ができなくなる、また追加の試験研究費が発生する可能性があります。
②当社グループが取り扱う製品の製造場所・保管場所においても法令の制限を受け登録が必要となります。法令改正により製造場所・保管場所の機能に支障が発生する可能性があります。
③海外大手企業の新規市場参入制限の緩和、競合品の市場参入により販売価格が下落する可能性があります。
当該リスクの発生する時期は、法令制定及び改正が施行された時期となり、時期を特定することが困難であります。そのため、当社としては、事業活動においては、関係法令の動向を確認し、最新の法規制を理解して活動する、製品については、研究活動による既存製品の改善・改良、新製品の開発、成長ドライバーへの取組み活動、製造場所及び保管場所については、取引先の代替を確保する活動を行い、当該リスクの軽減化に努めてまいります。
(3)減損会計及び子会社株式評価に関するリスク
当社グループは、事業の拡大に向け積極的に外部の経営資源を獲得してまいりました。そのため多額の固定資産を有しております。
当該リスクは、景気変動、天候変動、世界的災害等が生じたときに発生すると考えており、これらの影響により今後の事業計画との乖離等によって期待されるキャッシュ・フローが生み出されない場合には、固定資産の減損リスクが発生いたします。また、当社が保有する子会社株式の評価基準は原価法によっておりますが、市場価格のない株式については財政状態の悪化等により実質価額が著しく下落した場合、子会社株式の減損処理が必要となり、個別財務諸表の業績に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の固定資産については、当該リスクが顕在化する可能性や経営成績及び財務状況の影響については、現時点では認識しておりませんが、定期的にモニタリングし監督機能の強化を行い、更に、グループ各社と協力したシナジー効果による業績向上を目指した経営を行ってまいります。
(4)地政学リスクについて
ウクライナ情勢等による地政学的リスクやそれに伴うエネルギー・原材料価格の高騰等が懸念されます。当社は、調達先の検討や原価削減の徹底を図っておりますが、予想以上の急騰や長期にわたって高騰が続くことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、紅海周辺で起きている船舶への攻撃によって海上輸送の遅れや輸送費高騰等が懸念され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)為替変動について
当社グループでは、輸出入取引の一部を米ドル、ユーロ、インドルピー建てで行っておりますが、外貨建てによる輸出額と輸入額のバランスを保つように努めております。また、外貨取引において為替変動によるリスクが生じる恐れのある場合には、社内規程に基づいた所定の手続きを行い、為替予約等によるリスク回避を行っております。但し、これにより当該リスクは完全な回避、低減を保証するものではありません。
さらに、当社グループは、海外子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しております。現地通貨建ての項目は、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、海外連結子会社が多いことから円安基調が連結業績に好影響をもたらします。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、一時的に景気の停滞感があったものの回復基調を維持しました。日経平均株 価が史上最高値を更新したことや労働者の賃金上昇率の大幅な伸びも特筆すべき点として挙げられます。好調なインバウンド需要や企業の設備投資等は今後も継続していくと考えられますが、インフレ経済への突入、不安定な為替や慢性的な人手不足、世界情勢の動向等を踏まえると、今後も先行きは不透明な状況です。
このような経営環境のもと、当連結会計年度の売上高は297億73百万円(前連結会計年度比7億85百万円増加、同2.7%増)、営業利益31億14百万円(前連結会計年度比6億51百万円減少、同17.3%減)、経常利益32億42百万円(前連結会計年度比5億58百万円減少、同14.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益20億77百万円(前連結会計年度比4億10百万円減少、同16.5%減)となりました。
当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントでありますが、各分野の状況は次のとおりであります。
農薬分野においては、国内市場では、当社主力製品の病害虫防除資材「ハチハチ」や、当社注力製品である(注1)グリーンプロダクツ「サフオイル」および「トアロー」等各種の販売が堅調に推移しました。しかしながら、病害虫防 除資材「オンコル」や「ダニサラバ」、「カリグリーン」等が前年同期比で減少しました。海外市場におきましては病害虫防除資材「ガッテン」が好調な売上を維持し、「カリグリーン」等のグリーンプロダクツも好調に推移しました。一方で「ダニサラバ」は、主に下半期に順調な推移を見せましたが前年比では減少となりました。それらの結果、農薬分野全体の売上高は110億75百万円(前連結会計年度比8億9百万円減少、同6.8%減)となりました。
肥料・バイオスティミュラント分野において、国内市場では(注2)バイオスティミュラント剤「ポテトール」や「リダバイタル」「アルガミックス」「フルボディ」が売上を伸ばしました。しかしながら、上半期において流通過程における過剰在庫の影響があったこともあり、ハウス肥料や養液栽培用肥料等の販売が前年比で減少しました。海外市場においては、主力製品「アトニック」の売上が好調に推移しました。オランダの関連会社Blue Wave Holding B.V.や スペインのLIDA Plant Reserch, S.L.も好調で、国内子会社である旭化学工業株式会社、株式会社インプランタイノベ ーションズ等も前年比で増収増益となりました。これらの結果、肥料・バイオスティミュラント分野等全体の売上高は186億98百万円(前連結会計年度比15億94百万円増加、同9.3%増)となりました。
一方、人件費や研究開発費等が昨年比で増加した影響もあり、販売費及び一般管理費は113億27百万円(前連結会計年度比11億46百万円増加、同11.3%増)となりました。
当社グループは、経営理念『食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します』のもと、「新中期経営計画(2024-2026年)」で掲げた通り、『さらなる成長への積極投資』を推し進めており、グリーンプロダクツ、バイオスティミュラント、スマート農業、グローバル展開を確固とした柱と致します。
今後も、世界の農業の発展のために研究開発を推し進め、環境への配慮と食料の安定供給の両立を目指しながら、2030年の当社のあるべき姿を追求してまいります。
(注1)グリーンプロダクツ:農薬登録を有する天然・食品添加物由来又は有機JAS適合農薬など使用回数に制限のない安心安全な環境に優しい防除資材
(注2)バイオスティミュラント:植物が本来持つ免疫力を高め、耐寒性、耐暑性、病害虫耐性及び成長促進を促す物質や技術の総称
また、2024年10月7日に発生しました当社鳴門工場における火災事故により、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。二度とこのような事故を起こさないよう、全社一丸となって安全対策の励行および再発防止に努めていく所存であります。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
アグリテクノ事業 |
13,735 |
97.6 |
②商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績は以下のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
アグリテクノ事業 |
874 |
106.9 |
③受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載を省略しております。
④販売実績
当連結会計年度の販売実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントのため分野別に記載しております。
分野別の名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
農薬 |
11,075 |
93.2 |
肥料・バイオスティミュラント |
18,487 |
109.2 |
その他 |
210 |
122.1 |
合計 |
29,773 |
102.7 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
金額 (百万円) |
割合(%) |
金額 (百万円) |
割合(%) |
|
丸善薬品産業株式会社 |
4,943 |
17.1 |
4,895 |
16.4 |
(3)財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の総資産は346億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億63百万円増加しました。その内訳は、流動資産が10億83百万円増加、固定資産が4億20百万円減少したことによるものであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は206億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億83百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が7億93百万円増加、売掛金が7億33百万円増加、商品及び製品が5億3百万円減少、原材料及び貯蔵品が5億81百万円減少、仕掛品が4億15百万円増加、その他が1億61百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は139億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億20百万円減少しました。その主な要因は、機械装置及び運搬具が1億5百万円増加、リース資産が99百万円増加、ソフトウェアが39百万円減少、のれんが4億40百万円減少、投資有価証券が37百万円減少したことによるものであります。
② 負債の部
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は135億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億円減少しました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が55百万円増加、短期借入金が14億23百万円減少、その他が1億18百万円減少したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は40億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億32百万円増加しました。その主な要因は、長期借入金が92百万円増加したことによるものであります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産の部は171億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億31百万円増加しました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上20億77百万円、剰余金の配当5億65百万円、為替換算調整勘定が7億15百万円増加したことによるものであります。
(4)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7億65百万円増加し、当連結会計年度末には44億81百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は37億62百万円(前連結会計年度は17億89百万円の収入)となりました。これは主として収入面では、税金等調整前当期純利益32億17百万円、減価償却費11億26百万円、のれん償却額7億30百万円等に対して、支出面では、売上債権の増加額4億62百万円、仕入債務の減少額18百万円、法人税等の支払額13億70百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は5億55百万円(前連結会計年度は5億85百万円の支出)となりました。主な収入要因は、定期預金の払戻により収入2億80百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入48百万円等によるものです。また、主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出4億85百万円、定期預金の預入による支出2億82
百万円、有価証券の取得による49百万円、無形固定資産の取得による支出56百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は24億82百万円(前連結会計年度は10億52百万円の支出)となりました。主な収入要因は、短期借入金の純増加額6億93百万円、長期借入による収入20億45百万円であります。また、主な支出要因は、長期借入金の返済による支出41億41百万円、自己株式の取得による支出2億52百万円、配当金の支払額5億65百万円等によるものであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び商品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は115億92百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は44億81百万円となっております。
(6)経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標に照らした分析、検討内容
当社グループの経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度においては、2024年2月に策定・公表いたしました「新中期経営計画(2024-2026年)」に掲げた企業活動を実践してまいりました。主な活動は以下のとおりであります。
①さらなる成長への積極投資
・グリーンプロダクツ、バイオスティミュラント、スマート農業に積極的に投資し、研究開発費は27億31百万円、売上比9.2%となりました。
②グリーンプロダクツの普及・拡大
・国内りんご・柑橘市場において「アカリタッチ」、「サフオイル」の販売量が拡大しました。海外では、米国において「カリグリーン」の有機認証OMRIを取得しており、ぶどうを中心に販売を拡大しております。
③バイオスティミュラント製品の普及・拡大
・インドや中国市場等において適用作物の拡大を進め、現地Farmers meeting開催などの普及活動を通じて販売の基盤を強固にしております。日本国内においても、気候変動に対応したバイオスティミュラント製品の周知活動を強化し、普及・拡大に努めております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は297億73百万円(前連結会計年度比7億85百万円増加、同2.7%増)、営業利益は31億14百万円(前連結会計年度比6億51百万円減少、同17.3%減)、売上高営業利益率は10.5%(前連結会計年度比2.5%減)、連結ROEは13.9%(前連結会計年度比6.0%減)となり、「新中期経営計画(2024-2026年)」で定めた2024年の経営指標のうち、営業利益と売上高営業利益率を除く各指標は達成いたしました。研究開発投資の加速により、営業利益はやや計画を下回りました。
当社グループが主に事業を展開する農業業界においては、国内販売におきましては、農業生産額の減少などにともない市場は縮小傾向にあり、事業環境としてはやや厳しい状況が続くものと考えられます。また、海外販売におきましては、食料の安定供給や作物生産技術の高度化や高品質化など、中長期的には拡大傾向で推移するものと予想しております。
このような中、当社グループは、「新中期経営計画(2024-2026年)」に基づいた重要課題に引き続き取組み、2026年12月期には売上高317億円(当連結会計年度比6.5%増)、営業利益38億円(当連結会計年度比22%増)、連結ROE13.8%を達成し、持続的成長軌道に乗せるよう目指してまいります。
(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、主として発生日以降5~15年間で均等償却しております。その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初予想していた収益が見込めなくなった場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(棚卸資産の評価)
当社グループは、販売目的で保有する棚卸資産は収益性の低下等により期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額の算定に当たっては、直近の販売価額、市場環境等を勘案しておりますが、これらの前提条件や仮定に変更が生じ、正味売却価額が減少することになった場合には、評価損計上の処理が追加で必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(1)当社における経営上の重要な契約等 |
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契約会社名 |
契約相手先 |
相手先の 所在地 |
契約期間 |
契約内容 |
当社 |
全国農業協同組合連合会 |
日本 |
2010年10月18日~ 2011年10月17日 (1年毎の自動更新の定めあり) |
全農が取り扱う農薬・資材の売買についての基本契約 |
当社
|
全国農業協同組合連合会 |
日本 |
2010年12月16日~ 2011年12月15日 (1年毎の自動更新の定めあり) |
全農が取り扱う肥料の売買についての基本契約 |
当社 |
大塚化学㈱ |
日本 |
2010年9月28日~ 2040年9月27日 |
当社鳴門事業所敷地の借地にかかる賃貸借契約 |
当社 |
丸善薬品産業㈱ |
日本 |
2020年2月28日~ 2023年2月27日 (1年毎の自動更新の定めあり) |
当社製品の販売における業務提携契約
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(2)当社連結子会社における経営上の重要な契約等
該当事項はありません。
当社グループでは、2024年2月に新中期経営計画(2024-2026年)〈さらなる成長への積極投資〉を策定し、2030年にあるべき姿「人や環境に優しい持続可能な農業を発展させ、経営理念である食糧増産を実現し、育てる喜び・観る感動・食べる幸せを届ける企業」を具現化するために、研究開発へさらなる成長のための投資を加速させています。当連結会計年度における研究開発費の総額は
天然・食品添加物由来の防除資材であるグリーンプロダクツにおいて、発病すると株ごと枯れてしまうトマト青枯病に対してトマトが本来持つ病害抵抗性を誘導することにより発病を抑制する新規剤を開発しました。また、近年大雨の頻度が増加し、降雨による薬剤の効果低下も問題となっておりますが、当社では、食品添加物由来の有効成分を用いて耐雨性展着剤も開発しました。
植物が本来持つ免疫力を高め、耐寒性・耐暑性・病害虫耐性及び成長を促すバイオスティミュラント製品については、植物由来の有効成分によって気孔の開き具合を調整することにより光合成を促進し、ばれいしょ・かんしょの増収効果が期待できる「ポテトール」を上市し販売拡大を行っております。また、スペインのLIDA Plant Resarch S.L.と共同で新製品の開発及び作用機作の解明に積極的に取り組むとともに市場動向やニーズに基づいた新製品の開発、既存製品の改良を行い、登録国や適用拡大を進めております。
「施設園芸分野でのスマート農業の推進」については、徳島県鳴門市の栽培研究センター及び宮崎農場にてAIを活用した栽培トータルソリューションサービス『アグリオいちごマスター』をセンシング技術によりさらに進化させ、「儲かる農業」を実現すべく研究開発を加速させております。また、循環型社会の実現を目指したプロバイオポニックス(有機質肥料活用型養液栽培)による葉菜類、トマト、メロンなどの栽培に成功いたしました。慣行農法よりも優れた収量・品質、社会実装に耐えうる技術に仕上げるために実証実験に取り組んでおります。