第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループは、そのパーパスである「To Make Our Lives Easier」(人々の暮らしを楽(ラク)にする技術により、持続可能な将来を築く)の実現に向け、2030年までの経営目標として「2030 Aspiration」を定め、様々な施策に取り組んでいます。今後も、その達成に向けて、以下の課題に取り組みます。

 

(1) Back to Basicsの推進
 当社グループは、事業環境に柔軟に適応して長期的な成長を実現し、「2030 Aspiration」を達成するため、これまで進めてきた事業戦略の基本に立ち返る「Back to Basics」の方針を強力に推進します。具体的には、大きく以下の3点に注力します。

① 生産性の向上

 当社グループを挙げて、事業運営の無駄を省く効率化を図りながら、30ヶ国以上に約22,000名の従業員を擁するグローバル企業としてのスケールメリットを最大限に生かした、生産性の向上を推進します。

② Purposeful investment

 当社グループのコアである組み込み半導体ソリューションと、その価値を形成・向上させるUXおよびデジタライゼーションに経営資源を戦略的に配分します。

 これまでは中長期の戦略的な取り組みと短期的な売上成長をともに優先するというアプローチを採ってきました。それは大きな成果を上げましたが、組織全体の負荷や環境の変化に鑑みて、今一度原点に立ち返ることとしました。今後は、中長期的な成長を見据え、事業の優先順位をこれまで以上に明確にしたうえで、戦略的取り組みに最大限の資源を投じていきます。

③ UX・デジタライゼーション戦略の加速

 2025年1月に、デジタルマーケティング機能やシステムソリューションの担当部門をUXグループに統合し、UXの推進体制を拡大・強化しました。

 デジタライゼーションに向けては、昨年買収したAltium社と一体となり、あらゆる規模・業種のユーザが電子機器を設計できる統合されたオープンな「電子機器設計・ライフサイクルマネジメントプラットフォーム」の構築を目指し、取り組みを進めています。その一環として、2025年1月には、Altium社によるPart Analytics社の買収を発表しました。

 今後も、新たな体制のもと、UXおよびデジタライゼーションの取り組みを最重要戦略として位置づけ、一層加速させていきます。デバイスの特定から、システム設計・生産、さらにはライフサイクルマネジメントに至るまで、一貫したデジタル化を実現するプラットフォームを提供し、世界中の顧客がより楽(ラク)に開発を進められる環境を目指します。

 

(2) サステナビリティ・ESG活動と情報開示の推進

 当社グループでは、2025年1月に、サステナビリティ・ESGに関する全社横断的な組織を発足させるとともに、監査委員会を「監査・サステナビリティ委員会」へと再編しました。これにより、サステナビリティ・ESG活動の監督とガバナンスを強化し、さらなるESGの推進を図ります。このように強化された体制のもと、カーボンニュートラル達成目標の2040年への前倒しなど、各種施策を推進します。
 また、サステナビリティ・ESG活動に関する非財務情報の開示をより一層充実させ、ESG格付けの向上や当社グループを取り巻く様々なステークホルダーに対する情報提供に努めます。

 

(3) 地政学リスクへの対応
 地政学リスクについては、短期的には、関税によるサプライチェーンへの影響に懸念があります。中期的な視点では、米国の規制緩和と中国におけるAIを中心とした選択的なテクノロジーへの投資が技術革新を加速すると考えています。
 当社グループとしては、これらの動向を的確に把握し、中長期的な競争力を強化するためのデジタライゼーションを着実に実行していきます。

 
(4) 生産構造の最適化

 当期における当社グループの前工程生産拠点の稼働率は、150mmウエハ生産工場が25%、200mmウエハ生産工場は56%、300mmウエハ生産工場は49%、全工場平均で50%でした。
 当社グループは、当期においては、当社グループの国内生産工場において一部不足製品の供給能力増強やレジリエンス向上を目的とした設備投資を実施しましたが、今後も引き続き、当社グループ製品の安定供給に向けて、グループ内の設備の増強に努めます。また、これらの設備投資に加え、急激な需要変動への対応とレジリエンスを高めるため、引き続きダイバンクの構築を推進するとともに、生産委託先での生産量の確保・拡大にも取り組みます。
 これらの積極的な投資により、当期における当社グループの設備投資額は、売上収益比7%程度となりましたが、中長期的には売上収益比5%程度にコントロールすることを目指します。

 

(5) タレント構成の最適化
 当期末現在における当社グループの各拠点地域の人員構成は、日本が40%、北米が11%、欧州が14%、アジア太平洋が35%でした。

 当社グループは、中長期的な視点から、グローバルなタレント採用チームのもとで、タレントの質やコストなどの要素も考慮しつつ、魅力のある採用活動や人材育成、さらに必要に応じてM&Aも活用しながら、グループ全体としてバランスの取れた従業員の年齢・地域・スキルのミックスを実現するとともに、ソフトウェアなどの重要分野や今後成長が見込まれる分野に従事する従業員を拡充することを目指し、様々な人事施策に取り組みます。

 

(6) 従業員エンゲージメントの向上と「ルネサスカルチャー」の浸透
 当社グループは、世界中の当社グループ組織とそこで働く従業員一人ひとりが絶えず変化する環境に迅速かつ柔軟に対応していくための行動指針として、「ルネサスカルチャー」を策定し、その定着に向けて取り組んでいます。

 当期においても、その一環として、例えば、地域・専門分野を超えた技術者相互の連携・コミュニケーションを高めるためのプロジェクト活動を推進し、社内のIPに関する検索システムの改善や、従業員サーベイのスコア向上など、大きな成果を得ることができました。現在、その活動をさらに進化させ、第2フェーズとして、検索システムの質・量の向上やAIの活用などの活動に取り組んでいます。
 当社グループは、今後もこの「ルネサスカルチャー」について、各種施策を推進し、採用、育成、評価などの人事サイクルの一つ一つに組み込みながら、従業員とさらに共有し、これを根付かせ、エンゲージメントのさらなる向上に努めます。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「2030 Aspiration」、さらに当社のパーパスである「To Make Our Lives Easier」の実現に向けた様々な取り組みの継続と同時に、環境に配慮し、企業活動を通じて持続可能な社会へ貢献することにより、一層の企業価値向上に努めていきます。「持続可能な社会の実現に向け、地球環境の保全と人々の健やかな暮らしの調和を考えた企業活動を推進する」を環境基本理念とし、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」へ貢献するため、国連が定めた17の目標のうち、13の目標に対して行動しています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社が判断したものであります。

 

(1) 気候変動への対応

① ガバナンス(サステナビリティ共通)

当社グループは、気候変動に伴う様々なリスク・機会を事業戦略上の重要な要素の一つと認識しております。主な進展としては、当社グループは、当連結会計年度中に、サステナビリティに関するガバナンスの大幅な強化に向けた準備を進め、2025年1月、これを実施しました。具体的には、サステナビリティ部門(SU)の発足によるサステナビリティ業務の集約化があげられます。同部門は、部門横断的なサステナビリティ運営チーム(SOT)によって支えられ、この集約化により、各部門間の取り組みを効率化し、サステナビリティ目標の実現に向けた責任を明確にしました。また、監査委員会を監査・サステナビリティ委員会に再編し、サステナビリティ活動を監督する責任と権限を同委員会に与えることで、ESG関連リスク・機会に対する監視体制を強化しました。気候変動に係る方針や重要事項、リスク・機会、その対応策は、CEOならびにCEOが指名する執行役員およびサステナビリティ部門により定期的に議論、見直しを行い、取締役会に対して、定期的に報告を行っております。

 

サステナビリティガバナンス体制

 


 

役割

主な責任範囲

CEO

ESGに関する戦略的リーダーシップと説明責任を有する。

監査・サステナビリティ委員会

ESGに関連するリスクの監督を含むサステナビリティに関する事項の監督に責任を負う。また、サステナビリティ戦略が企業目標や規制要件と整合していることを確認する。加えて、ESGに関する非財務情報開示への助言提供、サステナビリティ慣行の改善を指導する。

サステナビリティ部門 (SU)

ESGに関する専門知識、方針策定、規制モニタリング、報告・分析、社内コンサルテーション、従業員研修、部門横断的なサステナビリティの監督を担う。

サステナビリティ運営チーム(SOT)

サステナビリティ戦略の実行、部門横断的な調整、パフォーマンスの追跡を担う。

 

 

② リスク管理

当社グループでは、気候変動によるリスクや機会を事業戦略上の重要な要素観点として認識し、カーボンニュートラルの実現に向けた目標を設定し、「ルネサス エレクトロニクスグループ リスクおよび危機管理規則」に基づき、グループ全体でリスクマネジメント体制を構築しております。気候変動によるリスクを含め、ビジネス上のリスクを定期的に抽出したうえで、その種類や特性に応じて危機管理担当部門を決定し、日常的にリスク管理を行っております。また、当社グループのリスクマップに、現実的に想定されるリスクをあらかじめ特定し、一元化すると同時に、リスクの未然防止策、リスク発現時の体制や対応方針を策定するなど、不測の事態に備えております。さらに、全社における緊急事態が発生した場合には、CEOを本部長とした緊急対策本部を速やかに設置し、情報の一元化や対策の検討を行い、損失を極小化するためにその対応にあたります。 また、これらのリスク管理体制の整備に加え、環境負荷の低減と持続可能な社会実現を目指す具体的な対策として、オゾン層の保護や環境関連法規への対応にも積極的に取り組んでおります。

 

■オゾン層の保護

当社グループでは、モントリオール議定書の附属書に掲げられているCFC(※1)やHCFC(※2)といったオゾン層破壊物質(ODS:※3)については、製造工程での使用を全廃しています。さらに、冷凍機や冷蔵庫、エアコンなどで使用されている冷媒用のフロンについても、同議定書の規制にあわせて計画的に使用量の削減や代替物質への切り替えを推進するとともに、対象機器の廃棄時にはODSを回収し、破壊処理の実施を徹底しています。冷媒用途についても、CFCを使用した機器は、大型の冷凍機から小型の冷蔵庫類に至るまで計画的に低破壊係数の冷媒を使用した機器への更新を図り、当連結会計年度で全ての処分が完了しています。

※1 CFC:Chlorofluorocarbons

※2 HCFC:Hydrochlorofluorocarbons

※3 ODS:Ozone-depleting substances

■環境関連法規への対応

当社グループの半導体製品は、多くの製品に搭載され、世界各国で使用されます。このため、製品に係る環境関連法規を遵守すべく主要国の法規制の情報を入手し、当社グループ製品に反映させるとともに、顧客に対し、タイムリーに化学物質の含有情報などを展開しています。

国際的に準拠が求められているPOPs条約(※4)の付属書に掲載されている物質については、日本では「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)等の法律にも反映され、POPs条約の適用が担保されています。当社グループでは、POPs条約で付属書A(廃絶)に指定された物質が化審法の第1種特定化学物質として反映された段階で随時、当社グループが定める「ルネサス管理化学物質」区分における「禁止」事項に指定し、グローバルに共有するとともにその遵守を徹底しています。

※4 POPs条約:Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)

③ 戦略

気候変動は、当社グループにとって重要な課題であります。当社グループは、気候関連のリスクと機会が当社グループの事業、戦略および財務計画に及ぼす影響の把握、ならびにそれに対する対応策を検討するために、シナリオ分析を実施しております。

このシナリオ分析により、当社グループにとっての主要なリスクと機会、その対応策は以下のとおりであります。

 

   (a) リスク

· 事業を行っている各国でカーボンプライシングが導入されることにより生じる可能性のある対応のためのコストの増加、炭素集約度の高い原材料コスト・生産委託料の上昇などのリスク

· 省エネが要求される市場や製品で開発遅延が発生した場合や、顧客から求められる脱炭素への要求に十分に応えられなかった場合において生じる可能性のある販売機会の損失や売上減少リスク

· 異常気象の増加により製造拠点や物流網が影響を受けた場合において生じる可能性のある売上高減少や復旧費用の発生リスク

   (b) 機会

· 脱炭素・低炭素化に対応した製品・ソリューションの需要が大幅に増加する機会。特に、自動車向け事業では、EV(Electric Vehicle)の市場拡大に伴う関連製品の需要拡大、産業・インフラ・IoT向け事業では、低炭素・脱炭素技術関連(風力・FA (Factory Automation) など)の需要拡大が見込まれる。

· 気候変動に伴う顧客の嗜好や関心の変化に対応することで新たな市場を獲得する機会

      (c) 対応策

· 温室効果ガス排出量削減目標の達成に向けた施策の着実な実施およびサプライヤの温室効果ガス排出量の把握や削減施策の働きかけにより炭素税増加リスクへ対応する。

· 各国の省エネ基準変更の事前察知を通じた開発着手の前倒しや柔軟に機能変更を可能とする開発手法の導入によりタイムリーな市場投入を可能にする。

· 顧客や投資家が要求する脱炭素の取り組みに応えるよう環境活動の推進・加速およびコミュニケーションを促進する環境情報を積極的に開示する。

· 製品およびソリューションのラインアップの拡充や高速・高機能・高効率化などを実現する次世代技術獲得など、エネルギー効率の高い製品の開発を加速する。

· ビジネスの多様化、消費者の嗜好の変化など、新市場拡大機会への対応に向けた研究開発へ継続的に投資を実施する。

 

■分析・対応策の詳細

各リスクと機会が発現する時期について、シナリオ分析などを基に想定し、2022年から2030年までの9年間を「短期」、「中期」および「長期」に分類し、開示しています。「短期」は3年以内、「中期」は3年超~6年以内、「長期」は6年超を想定しています。

 

<リスク要因に対する財務影響評価および対応策>

 

カテゴリ

想定される財務影響

期間

対応策

移行
リスク

法規制の強化

脱炭素化に向けて各種法規制が強化され、対応のためのコストが増加する。

 

短中期

・中長期の温室効果ガス削減目標達成に向けた計画的な施策の実施

・サプライヤによる排出量の把握、削減施策の働きかけ

・グローバルでの継続的な3R(削減、再利用、再資源化)への取り組み

テクノロジー・
市場の変化

省エネが要求される市場・製品での開発遅延により、販売機会が損失し、当社利益が減少する。

短中期

・省エネ基準変更の事前察知、開発着手の前倒し

・柔軟な機能変更を可能とする技術の導入

・研究開発への継続的な投資

・ICE用途からxEV、ADAS用途IC、ディスクリートへの開発資源の集中およびクロスドメイン対応MCUの開発

当社のサプライヤに課せられた炭素税が部材単価に反映されると、生産コストの増大が想定される。

中期

・サプライヤによる温室効果ガス排出量の把握、モニタリング

・サプライヤとの目標共有、削減施策推進の働き掛け

ステークホルダー評価の変化

顧客からのサプライチェーンにおける脱炭素要求に当社が応えられなかった場合に売上が減少する。また、ESG投資の拡大による資金調達への影響が想定される。

中期

・顧客の環境調達規程を充足する当社の環境活動の推進・加速

・ステークホルダーへの積極的な環境情報開示と、相互理解のためにコミュニケーション促進

・環境目標への達成進捗を役員の評価に追加

物理
リスク

異常気象による
災害の増加

異常気象による災害の増加により、自社拠点およびサプライヤ拠点が罹災する。復旧までの期間の売上が減少し、復旧費用が必要となる。

中長期

・BCMに基づき、拠点別のリスク評価および対応策を実施済み

・現在ハザードマップ外にある拠点を含めた継続的な情報収集

・継続した分散調達および代替品の検討・準備

 

 

<機会に対する財務影響および対応策>

 

カテゴリ

想定される財務影響

期間

対応策

資源の効率利用

事業所、生産拠点における資源(エネルギー、水)の効率利用が進みコストが削減される。

短期

・投資効果を考慮した計画的な省エネ施策の実施

・水リサイクル率35%を目標とした水の効率的使用の推進

・PPAの活用拠点の拡大

低炭素
排出商品・
サービス

xEV
ソリューション
市場拡大

自動車部門での脱炭素化が進展し、xEV用ソリューション市場が拡大する。

 

短中期

・BMS向け製品の開発加速・低電力化

・製品レパートリーの拡充

・顧客の開発期間を短縮する開発キットの提供

・製品ポートフォリオの充実

・AD/ADAS向け製品の開発加速、高機能・高性能化

産業用
ソリューション
市場拡大

 

産業・インフラ・IoT部門での脱炭素化が進展し、関連する産業用ソリューション市場が拡大する。

短中期

・DDR5と以降のDDRメモリ規格に準拠した製品の開発加速、低電力・低負荷化

・5G向けミリ波ビームフォーマー・ソリューションの開発加速、低消費電力・高効率化

・FA向け製品、BA向け製品の開発加速、高機能化、RF機能強化

・IGBTの開発加速と先端プロセスによる高効率化および生産能力増強

・次世代パワー半導体の採用の加速

顧客の嗜好、
関心の変化への対応

気候変動に伴う顧客の関心の変化(エネルギー効率化、IoT、センサ、高度気象予報など)に対応することで売上が拡大する。

短中長期

・低消費電力製品やエネルギー効率を改善するソリューション提供に向けた製品開発の促進、及び研究開発への注力

・製品レパートリーの拡充、高速・高機能・高効率化

新市場
への進出

 

新規事業

既存事業で培った技術の低炭素社会における新産業への転用

短中期

・自動車/産業・IoT分野製品のセキュリティ強化

新興国市場

脱炭素ニーズの広がりによりIGBT、5G向けミリ波ビームフォーマー・ソリューションの新興国向け売上げが拡大する。

短中期

・新興国市場への拡販推進、IGBTの高性能・高効率

 

 

シナリオ分析の前提や対応策の詳細については、当社サステナビリティサイト/TCFD提言への対応(https://www.renesas.com/jp/ja/about/company/sustainability/tcfd)をご参照ください。

 

④ 指標および目標

当社グループの温室効果ガス削減にかかる目標は、次のとおりです。また、これらの削減目標については、SBT (Science Based Target)の認定を取得しております。

· 温室効果ガス排出量(Scope1, Scope2)削減目標:2030年までに38%削減(2021年対比)

· 温室効果ガス排出(Scope1, Scope2)カーボンニュートラル:2050年まで

· 水総使用量売上高原単位目標:2030年までに33%改善(2021年対比)

· グローバル生産拠点水リサイクル率:2030年までに35%を達成

· 廃棄物リサイクル比率:90%(リサイクル量を分子、総廃棄物排出量を分母とした比率)を達成

 

 

*2024年度の実績は、2025年6月下旬発行予定のサステナビリティレポート(https://www.renesas.com/ja/about/sustainability/report2024)にて開示を予定しております。

 

目標の達成に向け、エネルギー消費の多い生産拠点を中心に、国内の電機・電子業界目標や省エネ法におけるエネルギー原単位の削減目標の達成、温室効果ガスの中でも特に環境負荷の高いPFCガスの排出削減および再生可能エネルギーの使用拡大など、様々な活動を継続的に推進しております。

 

また、Scope3についても「Scope 3のCategory 1における温室効果ガス排出量の70%に相当するサプライヤ(生産委託を含みます。)が、科学的根拠のある温室効果ガス削減目標を2026年までに設定」という新たな目標を設定し、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減にも努めていきます。

 

詳細は当社サステナビリティサイト「環境活動/環境保全の目標」(https://www.renesas.com/jp/ja/about/company/sustainability/protection-goals)、

「環境活動/気候変動への取り組み」

(https://www.renesas.com/jp/ja/about/company/sustainability/climate-change)をご参照ください。

 

(2) 人的資本およびダイバーシティに関する取り組み

① 戦略

当社グループは、多様な人材一人ひとりが自分の強みを持ち、能力・スキルを最大限に発揮することのできるよう、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I:多様性、公平性、包括性)を強化しています。当社グループは、地域や分野を超えたコラボレーションを強化するグローバルな枠組みを構築しています。異なる製品グループや拠点間のコラボレーションを向上させることは、組織やシステムが孤立し、互いに連携が取れていない状況を解消することになり、チームの専門知識を結集するうえで極めて重要です。さらに、人事部門が支援するダイバーシティ・ネットワークを通じて、あらゆるダイバーシティを尊重し、インクルージョンを推進する職場文化を醸成しています。

世界20ヶ国以上の従業員を擁する当社グループの従業員は、国籍、文化、言語、信条、性別、年齢など、幅広いバックグラウンドを有しています。当社グループは、DE&Iを取り入れることが、イノベーションと持続可能な成長を促進するものと信じています。一人ひとりが活躍できる環境を整えることで、グローバルチームにおける個々人の潜在能力を最大限に引き出します。

 

   (a) Renesas Cultureの推進

 当社グループでは、変化の激しいビジネス環境において、全従業員がグローバルに価値を創造していくための指針「ルネサスカルチャー」を2020年に導入しています。当社グループの5つの価値観「Transparent、Agile、Global、Innovative、Entrepreneurial」を体現する人材を育成するために、従業員がそれぞれの強みを伸ばし、可能性を最大限に発揮できるよう支援する人事施策を強化しています。また、従業員が地域や組織の枠を超えて貢献できるような制度も導入しています。

 当社グループでは、「ルネサスカルチャー」を従業員に定着させるため、2020年以降、全従業員を対象としたサーベイを年1回以上実施しています。定期的にサーベイを行うことにより、その進捗状況を把握するとともに、改善すべき重要な点を特定し、そして、CEOによるリーダーシップのもと、より従業員のエンゲージメントを高めるための具体的な行動計画へとつなげております。

 

   (b) グローバルに活躍できるリーダー人材の育成

 当社グループは、会社の成長と安定を確保するため、将来のリーダーを継続的に育成しています。当社グループの戦略は、重要な役割を果たす後継者の育成とキャリアアップを強化するためのリーダーシップ開発に重点を置いています。当社グループ全体で、重要なポジションを特定のうえ、後継者を選抜し、タレントマネジメントを強化するために、それぞれに合った研修計画を策定しています。

 

   (c) 従業員が主体的に学習する仕組み

 日本では、自己啓発支援プログラムにより、100以上のスキルアップコース、専門技術セミナー、語学クラスから選択することで、従業員が自分のキャリアを形成できるようになっております。また、多くの研修プログラムをオンライン化し、遠隔地にいる従業員も受講できるようにするとともに、これまで以上に柔軟に専門的知識を取得できる環境を実現します。

 

   (d) 海外リモートワーク制度の推進

 当社グループでは、海外リモートワーク(RWA)制度を導入しており、従業員が勤務国以外の国で、12ヶ月連続で最大30営業日まで働くことができる環境を提供しております。

 

   (e) 公正な報酬

 当社グループは、従業員が会社の成長への貢献に対して公正かつ衡平な報酬を受けられるよう最善を尽くしています。

 当社グループは、従業員が良好な生活の質を維持できるよう、生活賃金を提供することを約束し、事業を展開している国の生活賃金水準の包括的な見直しを実施する予定です。2025年12月までに、当社グループの報酬が一般的な生活賃金基準を満たしていることを証明できるようにするための戦略的計画を策定する予定です。

 

   (f) 従業員リソースグループ(ERGs)およびダイバーシティ推進グループ(DPGs)の立ち上げ

 当社グループでは、インクルーシブを促進し、ダイバーシティを尊重するために、従業員リソースグループ(ERGs)およびダイバーシティ推進グループ(DPGs)を立ち上げています。当社グループでは、すべての従業員がダイバーシティに関する責任を負っていることを認識するとともに、多様な意見を理解し、尊重するためのオープンな対話を推奨しています。毎年10月には、「ダイバーシティ推進月間」として各種イベントや活動を実施しています。

 当連結会計年度においては、職場における無意識の偏見やジェンダーの固定観念、ウェルビーイングに関する17の意識的なインクルージョンを実践するためのイベントを実施しました。2025年においては、人事のDE&Iチームは、これらのグループに体制・資金・パートナーシップへのアクセスを提供することで、これらのグループに力を与え、自立できるようにします。これにより、これらのグループは、全社におけるDE&Iの優先事項と密接に連携しながら、自らの思い描いた変化を確実に推進できるよう、そのアイデアとイニシアチブを主導します。

 

 

② 指標および目標

当社グループでは、組織・人材の活性化およびダイバーシティの観点から、それぞれ中長期的に目標を定め、管理しております。当社グループの指標および目標ならびに実績は、次のとおりです。

指標および目標

実績(当連結会計年度)

· 取締役会の女性比率        :30%以上

40%

· 新卒採用に占める女性比率(日本) :20%以上

19%

 

 

 詳細は、当社サステナビリティサイト「人材マネジメント/従業員の成長とエンゲージメント」

(https://www.renesas.com/jp/ja/about/company/sustainability/engagement)、

「人材マネジメント/ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」

(https://www.renesas.com/jp/ja/about/company/sustainability/diversity)をご参照ください。

 

(3) 人権に関する取り組み

① ガバナンスおよびリスク管理

当社グループは、「ルネサスグループ人権方針」を策定し、グローバルで一体となって人権尊重の取り組みを推進すべく、執行役員兼CHRO(最高人材責任者)を責任者とした人権推進体制のもと、効率的な管理制度を導入し、意思決定プロセスを確保することで、人権の擁護に取り組んでいます。

当社グループは、人権問題に関する懸念事項の報告やエスカレーションについて明確な手続を定めており、取締役会および監査・サステナビリティ委員会がこれを検討する際に人権リスクを考慮します。

当社グループは、従業員その他のステークホルダーが人権、いじめ、ハラスメントを含むコンプライアンスに関する懸念を通報できるホットライン制度を設けています。この独立した第三者が運営するホットラインは、従業員その他のステークホルダーが人権に関する懸念を通報し、それらの懸念が迅速かつ効果的に対処される仕組みとして機能しています。

当社グループは、通報者またはその調査に協力した者に対する報復を固く禁じています。

 

② 戦略ならびに指標および目標

当社グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デューディリジェンスを毎年実施しております。人権デューディリジェンスにより、当社グループやサプライチェーンにおける潜在的な人権リスクを特定し、その是正に向けた取り組みの検討および実行、さらにモニタリング、情報開示等のプロセスを継続的に推進し、人権尊重の実現に向けた取り組みを進めております。

当社グループでは、人権に関する国内外の動向調査、人権関連のNGO等の報告書および専門家からの助言等を通じて、当社グループにおける潜在的な人権リスクや配慮すべきステークホルダーを特定し、当社グループ内やサプライチェーン上において重点的に取り組むべきと考えられる人権課題として以下の6項目を設定しております。

(1) 労働安全衛生

(2) 児童労働・強制労働の禁止(子どもの権利に対する方針)

(3) 労働時間

(4) 責任ある鉱物調達

(5) 結社の自由(労使関係)

(6) 人権教育

当社グループは、これらの重要度が高い課題に対して、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、リスクの抽出・予防・軽減のため具体的な取り組みを進めていきます。

詳細は、当社サステナビリティサイト「人材マネジメント/人権」

(https://www.renesas.com/jp/ja/about/company/sustainability/human-rights)をご参照ください。

 

3 【事業等のリスク】

  当社グループの事業その他に関するリスクとして、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在において入手し得る情報に基づいて当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市況の変動

 当社グループは、世界各国の景気循環、最終顧客の製品の需要の変化などに起因する、半導体市場の市況変動の影響を受けております。当社グループでは、常に市況の動向を見極めながら事業活動を遂行しておりますが、その影響を完全に回避することは困難であるため、市況が下降した局面においては、製品需要の縮小、生産・在庫数量の増加および販売価格の低下を招く可能性があります。その結果、当社グループの売上の減少や、工場稼働率の低下に伴う売上総利益率の悪化につながり、収益が悪化する可能性があります。

 

(2) 為替相場および金利の変動

 当社グループは、世界各地域において様々な通貨を通じて事業活動を行っております。当社グループは、為替変動のリスクをヘッジする取組みを行っておりますが、為替相場が大きく変動した場合、外貨建取引の売上高、外貨建の資材コスト、海外工場の生産コストなど当社グループの業績および財政状態が影響を受ける可能性があります。また、当社の外貨建の資産・負債を日本円に換算表示すること、さらに、海外子会社における外貨表示の財務諸表を日本円に換算表示することによっても、当社グループの資産・負債および収益・費用は変動します。

 また、金利の変動により、当社グループの事業運営に係る経費、資産および負債の価値が影響を受けるため、これにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 自然災害など

 地震、津波、台風、洪水などの自然災害、火災、停電、システム障害などの事故、テロ、戦争、感染症をはじめとした予測困難な事由が発生した場合、当社グループの事業活動が悪影響を受ける可能性があります。特に、当社グループは、地震が発生する確率が世界の平均より高いと考えられる地域に重要な施設・設備を保有しており、地震の発生時に、その影響により当社グループの施設・設備が損傷を受け、操業を停止せざるを得ないなど、多くの損害が発生する可能性があります。また、地震以外の自然災害、火災、停電、システム障害などの事故、テロ、戦争、感染症などによっても同様の事態が生じる可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクに備えて、各種事前対策、緊急対策などを定めたBCP(事業継続計画)などを策定・運用するとともに、各種保険に加入しておりますが、想定を上回る事態が発生する可能性は否定できず、それらの対策によっても、リスクを完全に回避することは困難であり、また、全ての損害を補填できるという保証もありません。

 

(4) 競争 

 半導体市場は熾烈な競合状態にあり、当社グループは、製品の性能、構成、価格、品質などの様々な面で、国内外の多くの同業他社との激しい競争に晒されております。とりわけ、近年において、同業他社間による買収、統合、業務提携などが行われており、今後もその可能性がありますが、その結果、当社を取り巻く競争環境はさらに激化する可能性があります。当社グループでは、競争力の維持強化に向けて、先端技術の設計、開発のプラットフォーム化、原価低減の推進、第三者との戦略的提携やさらなる企業買収の可能性の検討などの様々な施策に取り組んでおりますが、これらの施策を適時適切に行えなかった場合、製品のマーケットシェアが低下し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、熾烈な市場競争により、当社グループ製品の販売価格が急激な下方圧力に晒され、それを価格交渉や原価低減などの様々な収益性改善のための施策では補いきれずに、売上総利益率の悪化に見舞われる可能性があります。さらに、売上総利益率が低い当社グループ製品について、顧客において他の製品への移行が困難または一定の期間を要する場合などには、当社グループは、適時に生産の中止・減少が行えない可能性があり、その結果、当社グループの収益性を低下させる可能性があります。 

 

(5) 事業戦略の推進 

 当社グループは、急激に変化する経営環境下で、収益基盤を強化するため、中期成長戦略の策定、当社グループ内における組織体制の改編など様々な事業戦略および構造改革を遂行しております。これらの事業戦略および構造改革には一定の費用が伴う一方で、経済・事業環境の変化、将来の不確実な要因、予期できない要因などにより、その遂行が困難になる可能性や当初計画していた効果を得られない可能性がある他、当初の見込みを上回る費用が発生する可能性があり、その結果、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 

 

(6) グローバルな事業展開

  当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますが、潜在的な顧客と現地企業との間の長期に亘る関係などの障壁、投資、輸出入に関する制限、関税、公正な取引などの各種規制、各国の貿易政策の変更、貿易障壁および貿易摩擦の高まりを含む政治的・社会的・経済的リスク、疾病またはウイルスの流行または感染、為替変動、賃金水準の上昇、物流障害などの様々な要因により悪影響を受ける可能性があります。その結果、当社グループは、グローバルな事業展開に関する当初の目的を達成できず、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 戦略的提携および企業買収

 当社グループは、事業拡大や競争力の強化などを目的として、重要な技術や製品の研究開発、生産などの分野において、第三者との間で、共同出資関係を含む戦略的提携や企業買収を実施することがあり、例えば、2024年8月には、米国のソフトウェア企業で、豪州証券取引所に上場していたAltium社を買収しております。しかしながら、今後も当社グループにとって適切な提携先・買収先候補が見つかるとは限らず、また、適切な提携先・買収先があった場合にも、当社にとって受入れ可能な条件で合意に至ることができない可能性があります。また、提携先・買収先との合意に至った場合であっても、買収資金を調達できない可能性、提携先・買収先の株主承認等が得られない可能性、必要な許認可が取得できない可能性、法令その他の理由による制約が存在する可能性があり、買収を実行できる保証はありません。

 さらに、当社グループでは、これらの提携や買収にあたって、投資回収や収益性などの可能性について様々な観点から検討していますが、事業遂行、技術、製品、人事、システム、関連当局の独占禁止法(競争法)への対応などの面で統合に時間と費用を要することに加え、資金調達、技術管理、製品開発などの経営戦略について提携先・買収先と不一致が生じたり、提携先・買収先において財務上その他の事業上の問題が生じた場合などに、提携関係・資本関係を維持できない、または買収時に想定していた投資回収や収益性を実現できなくなる可能性があります。また、提携先・買収先の主要顧客や主要人員を維持・確保できないことなどにより、想定していたシナジーやメリットが実現できない可能性があるなど、提携や買収が当初の期待どおりの目的を達成できる保証はありません。

 

(8) 資金調達

当社グループは、事業資金を金融機関からの借入や社債の発行などにより調達しておりますが、新製品を発売し、事業・投資計画を実行し、生産能力を拡張し、技術もしくはサービスを取得し、または負債を返済するため、将来、追加的に資金を調達しなければならない可能性があります。半導体業界の事業環境の悪化、金融・証券市場の環境の悪化、貸手側の融資方針の変更などにより、当社グループが必要な資金を適時に調達できない、または資金調達コストが増加する可能性があることなどにより、当社グループの資金調達が制約される可能性があります。また、当社は、企業買収を実施する際の買収資金についても金融機関からの借入などにより調達する可能性があります。例えば、当社は、2024年7月に、Altium社の買収資金に充当するため、金融機関との間で締結したシンジケートローン契約に基づき総額9,380億円の借入を実行し、その後、同年9月に、その一部である1,490億円につき、他の金融機関と締結したタームローン契約に基づき、借り換えを実行しました。これらの金融機関からの借入などの実施により、当社は有利子債務を負担することになるところ、実施した借入について想定していた長期資金への切り替えができない場合や当初想定したキャッシュ・フローの創出が実現しない場合には、当社グループの財務内容が悪化し、信用格付けが引き下げられる可能性があり、その場合にも、資金調達コストの増加や、当社グループの資金調達が制約される可能性があります。なお、当社グループが金融機関と締結している借入に係る契約の一部には財務制限条項が定められております。万一、当社グループの財務内容などの悪化により同条項に抵触し、上記借入について期限の利益を喪失する場合、当社グループの事業、業績および財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 急速な技術革新など 

 当社グループが事業を展開している半導体市場は、急速な技術変化と技術標準の進展などを特徴としております。そのため、当社グループがこうした変化について、研究開発などにより適切に対応できなかった場合、当社グループ製品の陳腐化、代替製品の出現などにより、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(10) 製品の生産

① 生産工程 

 半導体製品は、非常に複雑な生産工程を経て生産されております。当社グループは、歩留り(材料当たりの製品良品率)を改善するため、生産工程の適切な管理および改良に継続して取り組んでおりますが、この生産工程に何らかの問題が発生した場合は、歩留りの悪化による製品出荷の遅延や出荷数量の減少、最悪の場合は出荷停止の結果を招く可能性があります。

 

② 原材料、部品、生産設備などの調達 

 半導体製品の生産にあたっては、その生産に必要となる原材料、部品、生産設備などを適時に調達する必要があります。当社グループは、これらの調達に関連する問題の発生を回避するため、複数の供給者との緊密な関係構築に努めておりますが、原材料などの中には特定の供給者からしか入手できないものも含まれているため、需給が逼迫した場合や、供給者において自然災害や事故、テロ、戦争、経営状況の悪化、事業撤退などの事象が発生した場合、これらを適時に調達できず、また調達できる場合でも調達価格が大幅に上昇する可能性があります。また、調達した原材料や部品に欠陥が存在した場合、当社グループの生産工程に悪影響が生じる可能性や当社グループにおける追加の費用負担が発生する可能性があります。

 

③ 外部への生産委託

 当社グループは、半導体製品の生産の一部を外部のファウンドリ(受託生産専門会社)などに委託しております。これらの外注先の選定にあたっては、技術力や供給能力などについて、あらかじめ厳しく審査を行い、信頼できる会社を選定しておりますが、外注先の責による納入の遅延や製品の欠陥をはじめとした、生産面でのリスクが生じる可能性を否定できず、外注先の生産能力不足や自然災害による外注先の操業停止などにより、当社グループが十分な製品供給を行えない可能性があります。

 

④ 適切な水準での生産能力の維持

 半導体市場は市況変動の影響を受けやすく、また、将来の製品需要を正確に予測することは困難であるため、必ずしも当社グループの生産能力を製品需要と見合った適切な水準に維持できるとは限りません。また、製造工場における火災、停電、システム障害などの事故の発生といった予期せぬ事由により、当社グループの生産能力が一定期間において大きく低下する可能性があり、さらに、生産能力増強のための設備投資を行う場合であっても、通常、実際に当社グループの生産能力の増強に寄与するまでには一定期間を要します。

 そのため、特定の製品に関する需要が、ある時点における当社グループの生産能力を大幅に超過し、かかる需要超過の状態が継続した場合であっても、顧客が希望する製品供給を適時適切に行うことができず、当該製品に関する販売機会の喪失、競合他社製品への切り替えによるマーケットシェアの低下、当該顧客との関係悪化などを招く可能性があります。

 他方、特定の製品に関する製品需要の高まりに応じて設備投資を行い、生産能力の増強を図った場合であっても、当該設備投資により実際に生産能力が増強される時点以降において当該製品に関する需要が維持される保証はなく、実際の製品需要が想定を下回った場合などにおいて当該設備投資について見込んだ収益による投資の回収が行えない可能性があります。

 

(11) 品質問題

 当社グループでは、様々な施策を通じて、当社グループ製品の品質向上に取り組んでおりますが、これらの製品に用いられる技術の高度化、顧客における製品の使用方法の多様化、外部調達した原材料や部品における欠陥などにより、出荷時に発見できない欠陥、異常または故障が製品に存在する可能性があり、顧客への出荷後にそれらが発見される場合があります。この場合、製品の返品や交換、損失の補償、製品の採用打ち切りなどの結果につながり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。こうした事態に備えて、当社グループでは、生産物賠償責任保険(PL保険)、生産物回収費用保険(リコール保険)などの保険に加入しておりますが、それにより損失を全額補填できるという保証はありません。

 

(12) 製品の販売

① 主要顧客への依存

 当社グループは、当社グループ製品の顧客に対する売上高の多くを特定の主要顧客に依存しております。これらの主要顧客が当社グループ製品の採用を中止し、または著しくその発注数量を減らした場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

② 顧客固有の仕様に基づいた製品に係る顧客からの計画の変更など

 当社グループは、顧客からその顧客固有の仕様に基づいた製品の開発を受注することがあります。しかし、受注後に、発注元の顧客がその製品を搭載する予定であった最終製品の市場への投入を延期または中止した場合や、その製品の機能・性能が顧客の要求に満たない場合には、その製品の採用を中止する可能性があります。また、顧客は、その製品を組み込んだ最終製品の売れ行きが芳しくない場合、その製品の発注数量を減少させ、または納入期日を延期することがあります。

 こうした特定顧客向け製品に係る顧客からの製品計画の変更、発注の減少や延期などは、当社グループの売上や収益性を低下させる可能性があります。

 

③ 販売特約店などへの依存

 当社グループは、日本国内およびアジア地域では、多くの当社グループ製品を特定の主要な販売特約店などを通じて販売しております。当社グループがこれらの販売特約店などに対して、競争力ある販売報奨金やマージンを提供できない場合または販売特約店などにとって適切な売上数量を確保できない場合、販売特約店などは当社グループ製品の販売体制縮小などの見直しを行い、その結果、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(13) 人材の確保

 当社グループは、事業を展開していくうえで、経営、技術開発、営業その他において優秀な人材の確保に努めております。しかしながら、こうした優秀な人材は限られているため、かかる人材を求める競争は熾烈であります。そうした状況下で、当社グループが優秀な人材を確保することができない可能性があります。

 

(14) 確定給付制度債務

 当社グループが計上している退職給付に係る資産や負債は、割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されております。金利変動や株式市場の下落などにより、数理計算上の前提と実績に乖離が生じ、確定給付制度債務が増加もしくは年金資産が減少した場合、退職後給付制度における積立不足が増加し、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(15) 設備投資と固定費比率

 当社グループが営む半導体事業は、多額の設備投資を必要とする事業であり、当社グループは、継続的に設備投資を行っておりますが、かかる設備投資に伴い償却費用を負担する必要があります。また、市場環境の変化に伴い需要が減少し、想定した販売規模を達成できない場合、あるいは供給過剰により製品の単価が下落した場合、こうした設備投資の一部または全部について、回収することができない、あるいは回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があり、その結果、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの費用の大部分は、上記の設備投資に伴う償却費用に加えて、工場の維持等に伴う生産コスト、研究開発費用といった固定費で占められているため、主要顧客からの受注の減少、製品需要の減少等による売上の減少や、工場稼働率の低下等が生じた場合であっても、それらの事象に対応した固定費の削減を行うことが困難であり、その結果、比較的小規模の売上の減少等が当社グループの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 固定資産の減損

 当社グループは、工場設備などの有形固定資産に加えて、過去の企業買収に伴う多額ののれんなどの無形資産を含む多くの固定資産を保有しております。これらの固定資産については、減損の兆候がある場合、固定資産から得られる将来のキャッシュ・フローによる資産の帳簿価額の回収可能性を検討しております。その結果、当該資産が十分なキャッシュ・フローを生み出さない場合には、減損を認識しなければならない可能性があります。

 

(17) 情報システム

 当社グループの事業活動において、情報システムの重要性が増大しております。当社グループでは、情報システムの安定的運用に努めておりますが、自然災害、事故、コンピューターウイルス、不正アクセスその他の要因により情報システムに重大な障害が発生した場合、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(18) 情報管理

 当社グループは、事業活動の遂行に関連して、多数の秘密情報や個人情報を有しております。これらの情報については、法令や社内規則に基づき管理しておりますが、予期せぬ事態により情報が流出するおそれがあり、そのような事態が生じた場合、営業秘密の流出による競争力の低下や、顧客の信用や社会的信用の低下を招き、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 法的規制

 当社グループは、事業を展開する国および地域において、事業や投資の認可、独占禁止法(競争法)上の制限、輸出制限、関税、会計基準・税制、環境法令をはじめとする様々な規制の適用を受けております。今後、法的規制の強化などに伴う事業活動の制約、コストの増加などにより、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
 当社グループは、法令遵守や財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し、運用していますが、内部統制システムは本質的に内在する固有の限界があるため、その目的が完全に達成されることを保証するものではありません。従って、将来にわたって法令違反等が発生する可能性が皆無ではありません。当社グループが法令等に違反した場合には、課徴金等の行政処分、刑事処分もしくは損害賠償請求の対象となり、または当社グループの社会的評価が悪影響を受け、その結果、当社グループの事業や業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(20) 環境問題

 当社グループは、地球温暖化、大気汚染、水質汚濁、産業廃棄物、有害物質、土壌汚染などに関する様々な環境法令の適用を受けております。当社グループは、これらの規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、過失の有無にかかわらず、環境問題に対して法的もしくは社会的責任を負う可能性があり、そのような事態が生じた場合、その対応のために多額の費用負担が発生する可能性や当社グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。

 

(21) 知的財産権

 当社グループは、知的財産権の確保に努めておりますが、その国や地域などによっては知的財産権に対する十分な保護を得られない可能性があります。また、当社グループ製品には第三者からライセンスを受けて開発・製造・販売しているものがありますが、今後、第三者から必要なライセンスを受けられない可能性や、ライセンスを受けられるとしても従前よりも不利な条件でしかライセンスを受けられない可能性があります。さらに、当社グループの製品に係る知的財産権に関して、当社グループまたはその顧客が第三者から特許侵害訴訟等を提起され、その結果によっては、当社グループの当該製品が、一定の国・地域で製造・販売できなくなる可能性や、当社グループが第三者や当社グループの顧客に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

 

(22) 法的手続

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 37.コミットメント及び偶発債務 (5)その他」に記載のとおりであります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。

 

(1) 重要性がある会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針および将来に関する仮定および報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。

 

(2) 財政状態の状況

   (単位:億円)

 

前連結会計年度末
(2023年12月31日)

当連結会計年度末
(2024年12月31日)

前連結会計年度末比
増(減)

資  産  合  計

31,670

44,904

13,234

資  本  合  計

20,056

25,423

5,367

親会社の所有者に帰属する持分

20,016

25,374

5,358

親会社所有者帰属持分比率(%)

63.2

56.5

△6.7

有 利 子 負 債

6,677

14,228

7,551

 D/Eレシオ(倍)

0.33

0.56

0.23

 

 

 当連結会計年度末の資産合計は44,904億円で、前連結会計年度末と比べ13,234億円の増加となりました。これは、主にAltium社の買収によりのれん、無形固定資産が増加したことなどによるものであります。

  資本合計は25,423億円で、前連結会計年度末と比べ5,367億円の増加となりました。これは、自己株式の処分による増加、為替相場の変動による在外営業活動体の換算差額などのその他の資本の構成要素の増加、および当期利益により利益剰余金が増加したことなどによるものであります。

 親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末と比べ5,358億円増加し、親会社所有者帰属持分比率は56.5%となりました。有利子負債は、主に借入金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ7,551億円の増加となりました。これらの結果、D/Eレシオは0.56倍となりました。

 

(3) 経営成績の状況

当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP」)およびIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しております。

Non-GAAP売上収益、Non-GAAP売上総利益ならびにNon-GAAP営業利益は、IFRSに基づく売上収益、売上総利益および営業利益(以下それぞれ「IFRS売上収益」、「IFRS売上総利益」および「IFRS営業利益」)から、非経常的な項目やその他特定の調整項目を一定のルールに基づいて控除もしくは調整したものであります。当社グループの恒常的な経営成績を理解するために有用な情報と判断しており、当社グループはNon-GAAPベースで予想値を開示しております。具体的には、企業買収に伴い、認識した無形資産の償却額およびその他のPPA(取得原価の配分)影響額、株式報酬費用や当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などを控除もしくは調整しております。

当社グループは、「自動車向け事業」および「産業・インフラ・IoT向け事業」から構成されており、セグメント情報はこれらの区分により開示しております。なお、当連結会計年度における組織変更に伴い、報告セグメントの集計方法について、従来の製品軸による集計方法から、売上収益を実際の用途に基づき集計する方法に変更しております。これにより、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の集計方法に基づき作成したものを開示しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」をご参照ください。

 (注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照しておりますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。

 

 

① 当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)の業績(Non-GAAPベース)

(単位:億円)

 

前連結会計年度
(2023年1月1日
2023年12月31日)

当連結会計年度
(2024年1月1日
2024年12月31日)

前期比増(減)

Non-GAAP売上収益

14,697

13,485

△1,212

△8.2%

 

自動車

6,604

7,028

424

6.4%

 

産業・インフラ・IoT

7,993

6,368

△1,626

△20.3%

 Non-GAAP売上総利益

(率)

8,374

(57.0%)

7,563

(56.1%)

△812

(△0.9pt)

△9.7%

 

自動車

3,485

(52.8%)

3,678

(52.3%)

193

(△0.4pt)

5.5%

 

産業・インフラ・IoT

4,855

(60.7%)

3,858

(60.6%)

△997

(△0.1pt)

△20.5%

Non-GAAP営業利益

(率)

5,016

(34.1%)

3,979

(29.5%)

△1,037

(△4.6pts)

△20.7%

 

自動車

2,294

(34.7%)

2,225

(31.7%)

△69

(△3.1pts)

△3.0%

 

産業・インフラ・IoT

2,684

(33.6%)

1,734

(27.2%)

△950

(△6.3pts)

△35.4%

米ドル為替レート(円)

140

151

11

ユーロ為替レート(円)

151

164

13

 

(注)1 上記表の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」をご参照ください。

2 為替レートは、収益・費用の換算に用いた各月のレートを平均したものであります。

 

当連結会計年度における業績は、以下のとおりであります。

 

(Non-GAAP売上収益)

当連結会計年度のNon-GAAP売上収益は13,485億円となり、前連結会計年度と比べ1,212億円(8.2%)の減少となりました。これは、主に円安効果、流通在庫拡充により自動車向け事業の売上収益が増加した一方、市場の軟化により、産業・インフラ・IoT向け事業の売上収益が減少したことによるものであります。

 

(Non-GAAP売上総利益 (率))

当連結会計年度のNon-GAAP売上総利益は7,563億円となり、前連結会計年度と比べ812億円(9.7%)の減少となりました。これは、上記のとおり産業・インフラ・IoT向け事業の売上収益の減少とそれに伴う工場の稼働率の減少、および収益性の高い産業・インフラ・IoT向け事業における売上減少による製品ミックスの悪化などによるものであります。その結果、当連結会計年度のNon-GAAP売上総利益率は、56.1%となり、前連結会計年度と比べ0.9ポイントの減少となりました。

 

(Non-GAAP営業利益 (率))

当連結会計年度のNon-GAAP営業利益は3,979億円となり、前連結会計年度と比べ1,037億円(20.7%)の減少となりました。これは上記の売上総利益の減少および研究開発費の増加などによるものであります。その結果、当連結会計年度のNon-GAAP営業利益率は、29.5%となり、前連結会計年度と比べ4.6ポイントの減少となりました。

 

当連結会計年度における各セグメントの業績は以下のとおりであります。

 

<自動車向け事業>

自動車向け事業には、自動車のエンジンや車体などを制御する半導体を提供する「車載制御」と、車内外の環境を検知するセンサリングシステムや様々な情報を運転者などに伝えるIVI・インストルメントパネルなどの車載情報機器に半導体を提供する「車載情報」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoC、アナログ半導体およびパワー半導体を中心に提供しております。
 当連結会計年度における自動車向け事業のNon-GAAP売上収益は7,028億円となり、前連結会計年度と比べ424億円(6.4%)の増加となりました。これは、主に円安効果、流通在庫拡充に伴う増収などによるものであります。

当連結会計年度における自動車向け事業のNon-GAAP売上総利益は3,678億円となり、前連結会計年度と比べ193億円(5.5%)の増加となりました。これは、主に売上収益の増加によるものであります。

連結会計年度における自動車向け事業のNon-GAAP営業利益は2,225億円となり、前連結会計年度と比べ69億円(3.0%)の減少となりました。これは、売上総利益の増加の一方、研究開発費が増加したことによるものであります。

 

<産業・インフラ・IoT向け事業>

産業・インフラ・IoT向け事業には、スマート社会を支える「産業」、「インフラストラクチャー」および「IoT」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoC、アナログ半導体およびパワー半導体を中心に提供しております。
 当連結会計年度における産業・インフラ・IoT向け事業のNon-GAAP売上収益は6,368億円となり、前連結会計年度と比べ1,626億円(20.3%)の減少となりました。これは、円安効果があった一方、主に産業・IoT向け市場の軟化に伴う減収などによるものであります。

当連結会計年度における産業・インフラ・IoT向け事業のNon-GAAP売上総利益は3,858億円となり、前連結会計年度と比べ997億円(20.5%)の減少となりました。これは、主に売上収益の減少などによるものであります。

当連結会計年度における産業・インフラ・IoT向け事業のNon-GAAP営業利益は1,734億円となり、前連結会計年度と比べ950億円(35.4%)の減少となりました。これは、主に売上総利益の減少によるものであります。

 

当社グループは2020年2月17日に中期の戦略および財務モデルを公表しております。当社グループでは、注力市場に経営資源を集中投下することで、Long-term targetとして市場を上回る売上成長率を実現し、生産効率の最適化、製品ミックスの改善および買収した企業との統合シナジーの発現を目指しております。2024年5月16日には財務モデルを更新し、Non-GAAPベースで売上総利益率55%に、営業利益率30%とすることを目標に掲げました。

なお、中期の戦略および財務モデルで各目標は、提出日現在における当社グループの長期的な経営目標であり、その達成を保証するものではなく、「3 事業等のリスク」に記載された事項を含む多くのリスク要因その他外部環境等の変化により、その結果が左右される可能性があります。

 

 

 ② Non-GAAP売上総利益からIFRS売上総利益、およびNon-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整

 


 

 

(単位:億円)

 

前連結会計年度

2023年1月1日
  2023年12月31日

当連結会計年度

2024年1月1日
  2024年12月31日

Non-GAAP売上総利益

(率)

 8,374

(57.0%)

7,563

(56.1%)

売上収益段階までの調整項目(注1)

△3

無形資産および固定資産償却費

△10

△10

株式報酬費用

△15

△28

その他非経常的な項目

および調整項目(注2)

△3

△26

IFRS売上総利益

(率)

8,343

(56.8%)

7,498

(55.6%)

 

 

 

Non-GAAP営業利益

(率)

5,016

(34.1%)

3,979

(29.5%)

売上収益段階までの調整項目(注1)

△3

無形資産および固定資産償却費

△1,058

△1,224

株式報酬費用

△233

△363

その他非経常的な項目

および調整項目(注2)

185

△162

IFRS営業利益

(率)

3,908

(26.6%)

2,230

(16.5%)

 

(注)1 PPA(取得原価の配分)実施に伴う調整であります。

2 その他非経常的な項目および調整項目には企業買収関連費用や当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などが含まれております。

 

③ 当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)の業績(IFRS)


 

 

 

(単位:億円)

 

前連結会計年度

2023年1月1日
  2023年12月31日

当連結会計年度

2024年1月1日
  2024年12月31日

前期比増(減)

売上収益

14,694

13,485

△1,209

△8.2%

売上総利益

(率)

8,343

(56.8%)

7,498

(55.6%)

△845

(△1.2pts)

△10.1%

営業利益

(率)

3,908

(26.6%)

2,230

(16.5%)

△1,678

(△10.1pts)

△42.9%

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品群であっても、その性能、構造、形式などは必ずしも一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いことなどから、品目ごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため、生産、受注および販売の状況については「第2  事業の状況 4  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における売上収益のセグメントに関連付けて示しております。なお、主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

 

   関連する報告セグメント名

  前連結会計年度

  当連結会計年度

金額

 (百万円)

比率(%)

金額

 (百万円)

比率(%)

萩原エレクトロニクス㈱

自動車および産業・インフラ・IoT

126,960

8.6

171,375

12.7

WT Microelectronics

Co.,Ltd.

自動車および産業・インフラ・IoT

81,787

5.6

170,954

12.7

 

(注)上表金額には消費税等を含んでおりません。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

(単位:億円)

 

前連結会計年度
2023年1月1日

  2023年12月31日

当連結会計年度
2024年1月1日

  2024年12月31日

営業活動によるキャッシュ・フロー

4,966

3,405

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,675

△12,841

フリー・キャッシュ・フロー

2,291

△9,436

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,812

6,773

現金及び現金同等物の期首残高

3,361

4,347

現金及び現金同等物の期末残高

4,347

2,292

 

(注)フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

  当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、3,405億円の収入となりました。これは主として、税引前利益を2,638億円計上したこと、および減価償却費などの非資金項目を調整したことなどによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、12,841億円の支出となりました。これは主として、Altium社やTransphorm社の株式を取得したこと、Wolfspeed, Inc.への貸付による支出および有形固定資産や無形資産の取得による支出などによるものであります。

 

  この結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、9,436億円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、6,773億円の収入となりました。これは主として、Altium社の買収に必要な資金の調達を目的として主要取引先銀行から新たに借入を行ったことなどによるものであります。

 

 

(5) 流動性および資金の源泉

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保すること、および健全なバランスシートを維持することを基本方針としております。

当社は、旧IDT社の買収に必要な資金の調達、および中長期的な運転資金の確保を目的とした既存借入金の借り換えのため、2019年1月15日付で主要取引銀行である㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行および三井住友信託銀行㈱等との間で、総額8,970億円のシンジケートローン契約を締結しました。このうち、2019年3月に6,980億円の実行可能期間付タームローンの借入を実行しました。また、2019年6月に既存のタームローンの借入の一部を返済するとともに、1,490億円のタームローンの借入を実行し、2024年6月に全額返済しました。また、2024年3月に、2019年1月15日付コミットメントライン設定契約に基づいて、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、三井住友信託銀行㈱を借入先とする300億円の短期借入を実行し、2024年6月に全額返済しました。

当社は、2021年8月31日付で、Dialog社の買収に必要な資金を調達するため、㈱三菱UFJ銀行および㈱みずほ銀行から総借入額2,700億円のタームローンの借入を実行しました。

また、2021年12月23日付で、既存借入2,700億円のうち、既に返済済みの300億円を除いた2,400億円について、中長期性の資金に借り換えることを目的として、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行および三井住友信託銀行㈱等との間で、総借入額960億円のシンジケートローン契約を締結し、㈱国際協力銀行との間で、総借入額1,440億円のJBICローン契約を締結しました。これらの契約に基づいて、2021年12月30日に総額2,400億円の借入を実行しました。

当社は、2021年11月19日付で、複数トランシェによる米ドル建無担保普通社債の発行を決定し、2024年満期米ドル建無担保普通社債500百万米ドルおよび2026年満期米ドル建無担保普通社債850百万米ドルを発行し、総額1,350百万米ドルの資金を調達しました。また、2024年11月に、2024年満期米ドル建無担保普通社債500百万米ドルを償還しました。

当連結会計年度末における当社債の残高の円換算額は1,343億円となっております。

また、2022年6月28日付で、今後の事業展開における資金需要への対応、運転資金の柔軟な調達手段の確保を目的として、バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ東京支店との間で、総額200百万米ドルのタームローン契約を締結し、2022年6月30日付で、㈱三菱UFJ銀行との間で、総額200億円のタームローン契約を締結しました。これらの契約に基づいて、2022年6月30日に総額471億円の借入を実行しました。

当社は、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、三井住友信託銀行㈱との間で、2024年6月25日付でタームローン契約を締結し、2024年6月28日に2,500億円の借入を実行しました。

また、Altium社の買収に必要な資金を調達するため、当社は、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、三井住友信託銀行㈱、他5金融機関との間で、2024年5月30日付でローン契約を締結し、2024年7月24日に総借入額7,880億円の借入を実行しました。

当社は、㈱国際協力銀行との間で、2024年9月30日付でJBICローン契約を締結し、2024年9月30日に1,490億円の借入を実行しました。

また、2024年5月30日付ローン契約に基づいて、2024年7月に、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行を借入先とする1,500億円の短期借入を実行し、2024年9月に全額返済しました。

当連結会計年度末における借入金の残高は1兆2,664億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,292億円となっております。

 

(6) オフバランス取引

当社グループは、資産効率を高めるために、特定の売上債権等の流動化を適宜行っております。当連結会計年度末における流動化残高は80億円であります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社グループの事業遂行上、重要な契約とその内容は、次のとおりであります。

 

  (1) 技術援助契約およびこれに類する契約

契約および相手方の名称

契約締結日

契約の概要

①  Texas Instruments Incorporated

との特許クロスライセンス契約

2011年3月2日

半導体に係る特許権のクロスライセンス(子会社を含む。)

②  Arm Limitedからの技術導入契約

2015年12月22日

半導体の設計に係る技術の導入

 

 

 (2) 借入契約

借入先

契約締結日

契約の概要

①  ㈱三菱UFJ銀行

   ㈱みずほ銀行

    三井住友信託銀行㈱等

2021年12月23日

既存借入れについて中長期性の資金に借換えることを目的とした総額276億円のシンジケートローン

② ㈱国際協力銀行

2021年12月23日

既存借入れについて中長期性の資金に借換えることを目的とした総額415億円のタームローン

③ バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エ

  イ東京支店

2022年6月28日

今後の事業展開における資金需要への対応、運転資金の柔軟な調達手段の確保を目的とした総額154百万米ドルのタームローン

④ ㈱三菱UFJ銀行

2022年6月30日

今後の事業展開における資金需要への対応、運転資金の柔軟な調達手段の確保を目的とした総額154億円のタームローン

⑤  ㈱三菱UFJ銀行

   ㈱みずほ銀行

    三井住友信託銀行㈱等

2024年5月30日

買収に必要な資金の調達を目的とした総借入限度額7,683億円のシンジケートローン

⑥  ㈱三菱UFJ銀行

   ㈱みずほ銀行

    三井住友信託銀行㈱

2024年6月25日

中長期的な資金として既存借入金の借り換えと、運転資金の確保、財務基盤の安定性向上に向け、機動的な資金調達手段の確保を目的とした総額4,000億円のシンジケートローン(タームローン総額2,500億円および総借入限度額1,500億円のコミットメントライン)

⑦  ㈱国際協力銀行

2024年9月30日

買収資金の一部借り換えを目的とした総額1,453億円のタームローン

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

(1) 研究開発活動の体制および方針

当社グループの研究開発活動は、現在から近い将来にかけて必要とされるデバイス、ソフトウェアおよびシステムなどの開発において、自動車向け製品、産業・インフラ・IoT向け製品を、それぞれを担当する事業本部(注)が担当して取り組んでおります。デバイス・プロセス技術、実装技術、設計基盤・テスト手法などの部門横断的な共通技術については、各事業本部と生産本部とが協力しながら担当する体制としてまいりました。
  加えて、コンソーシアムや外部研究機関などへの研究委託や、幅広い分野やお客様へ最適なサポートを行うためのサード・パーティの活用など、自社の研究開発リソースのみならず社外のリソースも必要に応じて活用しております。
  家電製品や自動車などあらゆるモノがネットワークに繋がり、相互に情報交換しサービスが提供される超スマート社会では、これまで当社が強みとしてきたマイコンやSoCといったデジタル製品が担う演算機能、アナログ製品が得意とする人の目・耳・鼻などに相当するセンシング機能、さらにパワー製品が得意とするモータ等を動かすためのアクチュエータ機能が有機的に繋がり連携する必要があります。当社グループは、センシングからアクチュエータ機能まで幅広くサポートするための製品ポートフォリオを拡充し、アナログ製品とデジタル製品を組み合わせたソリューション(ウィニング・コンビネーションと呼称)を強化するとともに、アプリケーションごとに共通して使用できるIP(設計資産)やOSなどのソフトウェアをプラットフォームとして提供するための研究開発活動を行うことにより注力する市場での成長を実現していきます。

(注)当社グループは、2024年1月1日付で組織体制の変更を発表し、技術分野に基づく4プロダクトグループを発足しております。

 

(2) 主な研究開発の成果

 ① 最先端の3nmプロセス技術を採用した車載用マルチドメインSoC 「R-Car X5H」を発表

当社グループは、第5世代R-Carシリーズの第一弾製品として、ADAS、IVI、ゲートウェイなど多用途に対応する車載用SoC「R-Car X5H」を発表しました。

本製品は、最先端の3nmプロセス技術を採用し、業界最高レベルの高性能と低消費電力化を実現しています。ユーザは、セントラルコンピューティングECU(電子制御ユニット)に本製品を使用することで、将来を見据えた効率的なシステム開発が可能です。

また、本製品は、最大400 TOPS(注1)のAIアクセラレータと最大4TFLOPS(注2)のGPU(画像処理用半導体)を搭載し、従来製品と比べて、性能が大幅に向上しています。さらに、半導体の相互接続に関する標準規格UCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)とAPI(注3)を提供することで、チップレット(注4)のチップ間の接続や他社製半導体との相互運用性を確保しています。これにより、ユーザはシステムを柔軟に設計・カスタマイズし、製品開発のプラットフォーム全体の性能向上や将来的なアップグレードに対応できます。

本製品は、2025年上期を目処に一部の自動車顧客向けにサンプル出荷を開始し、2027年下期頃に量産を開始する予定です。

当社グループは、次世代の自動車技術の進展を見据えて、最先端かつ多様な性能・機能を有する製品・ソリューションを提供することにより、安心・安全なクルマ社会と自動車の早期開発に繋がる「シフトレフト」の実現に向けて、業界をリードしていきます。

(注)1.TOPS:コンピュータの処理速度を表す単位の一つで、1秒間に実行できる演算回数を1兆回単位で表したものです。

2.TFLOPS:コンピュータの処理速度を表す単位の一つで、1秒間に実行できる浮動小数点演算の回数を1兆回単位で表したものです。

3.API:Application Programming Interfaceの略称で、ソフトウェア、プログラム等を繋ぐインタフェースです。

4.チップレット:複数の小さな半導体チップを組み合わせて単一のパッケージに組み込む技術で、規模回路と同等の機能を実現することができます。

 

② データセンタ向けに業界初の第2世代DDR5 MRDIMM用メモリインタフェースチップセットを発表

 近年、AIやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)をはじめとするデータセンタの用途において、膨大なデータを高速かつ効率的に処理することが求められており、その中でも特に、コンピュータに使用されるメモリの最新規格「DDR5」は、より高速なデータ転送速度と低消費電力を実現する規格の一つとして、国内外で普及しています。そして、第2世代DDR5 MRDIMM(マルチプレックスランクDIMM)の転送速度は最大毎秒12.8ギガバイトで、そのメモリ帯域幅は第1世代の1.35倍に拡大しています。

 このようなニーズに対応するため、当社グループは、データセンタ向けに最適化された次世代のメモリモジュールとして、業界で初めて、第2世代DDR5サーバ用MRDIMM向けにトータルメモリインタフェースチップセットを発表しました。

 本製品は、MRCD(マルチプレックス・レジスタード・クロックドライバ)、MDB(マルチプレックス・データバッファ)およびPMIC(パワーマネジメントIC)から構成され、第1世代より約45%もの消費電力を削減でき、優れた電力効率も実現しています。これらにより、本製品を使用するデータセンタの効率性と処理能力を大幅に向上することができます。

 当社グループでは、DDR5用温度センサなども既に提供しており、ユーザは本製品と組み合わせて使用することで、高性能なデータセンタを効率的に構築・開発できます。

 当社グループは、これからもCPUやメモリのプロバイダをはじめとする業界のリーディング企業と連携し、ハイパフォーマンスシステムのトレンドの最先端で次世代の技術・仕様を開発していきます。

 

③ 独自開発の32ビットRISC-V CPUコアを搭載した第一弾マイコンを発売

  当社グループは、独自開発の32ビットRISC-V CPUコアを搭載した汎用マイコン「R9A02G021」を発表し、量産を開始しました。

  RISC-Vはオープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)を採用しており、近年、多くのマイコンメーカーがRISC-V製品の開発を推進しています。当社グループでは、この分野でいち早く同技術を実現する独自のRISC-V CPUコアを開発し、テストを重ね、マイコン製品として市場に投入しました。また、必要な開発環境や量産体制も整備し、今回の市場投入に至りました。

  これにより、ユーザは、IoT機器や産業機器などの幅広い用途において、消費電力とコストを重視して製品開発する際に、RISC-Vを有力な選択肢の一つとして活用でき、当社グループとそのパートナー企業が提供する開発環境とあわせて本製品を利用すれば、開発工数やコストの削減が可能となります。

  本製品は、最大48MHzの動作周波数という高い性能を持ちながら、スタンバイ時の消費電力が0.3µAという非常に低い電力設計を実現しています。また、128キロバイトの高速フラッシュメモリや16キロバイトのSRAM、4キロバイトのデータ保存用フラッシュメモリを搭載しており、マイナス40℃から125℃までの広範な温度環境でも安定して動作することができます。さらに、A/DコンバータとD/Aコンバータを内蔵し、標準的なシリアル通信インタフェースを備えているため、センサやディスプレイなどの外部モジュールと、迅速かつ確実に接続することが可能です。

  当社グループのRISC-Vマイコンは、省電力でコストパフォーマンスに優れた幅広い製品に対応する革新的な選択肢をユーザに提供するものであり、当社グループは、本製品に続き、RISC-V CPUコアを搭載したマイコンを増やしていく予定です。

 

(3) 研究開発費

当社グループでは開発費の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費は2,498億円となり、前連結会計年度の2,335億円と比べ164億円増加しました。これは主に、製品設計、システム開発、デバイス開発、プロセス技術開発、実装技術開発に使用しました。

なお、当社グループの研究開発は、大半が自動車向け事業および産業・インフラ・IoT向け事業の双方に係るものであるため、セグメントごとの記載は省略しております。