第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、1890年(明治23年)に伊藤喜商店として大阪で創業後、大正、昭和、平成、令和と続く時代の変遷の中で、着実な足どりで日本経済の歴史とともに歩み、日本のオフィスの発展に大きな役割を果たしてきました。その間、1950年には製造部門が分離独立するなど時代に合った経営を行い発展してまいりましたが、2005年6月に新たな企業価値の創造に向けて、製販統合を行い、半世紀余ぶりにひとつの企業としての歴史を刻み始めました。

当社グループは、CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)の両立を目指した事業活動に注力し、さらに企業としての社会的責任を最大限果たすことが存在意義であると認識しております。ミッションステートメント「明日の『働く』を、デザインする。」のもと、オフィスをはじめとする様々な環境における課題解決に貢献し、新たな価値を生み出すことを目指してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、事業の成長及び収益力の向上、並びに資産の効率的な運用の観点から、

① 売上高営業利益率

② 自己資本当期純利益率(ROE)

を、重要な経営指標としております。また人財戦略の遂行の観点から、従業員エンゲージメント調査のうち「社員の会社に対する誇り」のスコアも目標値としておいています。

当社グループのビジョンステートメントである「人も活き活き、地球も生き生き」の実現に向けて、魅力ある商品とサービスを提供し続け、また継続的なコスト削減と生産性向上により、安定的かつ永続的な事業成長を目指しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社をとりまく事業環境では、ハイブリッドワーク(※1)に対する企業や働く人々の関心がコロナ禍を経て高まり、また人的資本投資が注目されることで、オフィスの在り方が経営課題の一つと言われるようになってきております。

このような環境変化を好機と捉え、さらなる事業成長を実現するため、2024年から2026年までの3ヶ年の中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」(ライズ トゥ グロース 2026)を策定、実行しております。当中期経営計画においては、「持続的な成長力を高める」ことをテーマとし、重点戦略「7Flags」及びESG戦略を掲げています。これら戦略の下に展開される施策の実現を通じて、2026年に売上高1,500億円、営業利益140億円、ROE15%の達成を目指します。また、事業成長により得た利益は中長期視点での戦略投資として活用するとともに、ステークホルダーの皆様へ計画的に還元してまいります。

当中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」の重点戦略「7Flags」及びESG戦略は以下の通りです。

 

■重点戦略「7Flags」

1. Office 1.0 / 2.0 領域(※2)

新しい働き方やその働き方を実装するオフィス空間などに対し、付加価値提案を強化し、売上と利益のベースを確保する。

2. Office 3.0 領域(※3)

オフィス家具のIoT化と空間センシングにより、データドリブンで、最適な働き方・オフィス空間を提供するサービスを開発する。

3. 専門施設領域

物流施設領域・研究施設領域において開発・エンジニアリングにリソースを重点配分し、第2の柱に育成する。

 

4. 高収益化

グループ生産供給体制の再編と社内ITインフラの刷新により生産・業務効率を高める。

5. グループシナジー

イトーキ単体で実施した構造改革プロジェクトによる成功体験をグループ会社に水平展開し、グループシナジーを追求する。

6. 人的資本

人事制度改革を軸に、社員一人ひとりの主体的かつ能動的な「創意と工夫」を啓発する。

7. 財務戦略

中長期の観点から、成長戦略投資・社員還元・株主還元を計画的に実践する。

 

■ESG戦略

・Environment

「ITOKI Ecosystem Initiative toward 2050 ~自然共生」(※4)のもと、生態系へのネガティブインパクト・ゼロ社会の実現に貢献する。

・Social

自社を「働く」環境投資の実証実験の場として発信し、本業のWork Style Designを推進することで、人的資本の最大化に貢献する。

・Governance

単体から連結視点に立った経営基盤の再構築を行い、グループ全体のガバナンス向上を図る。

 

※1:出社型オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方

※2:Office 1.0:プロダクトベースの商品販売事業 / Office 2.0:空間ベースの商品ソリューション

   提供事業

※3:Office 3.0:働き方ベースのオフィスDX事業

※4:「気候変動対応」「資源循環促進」「サステナブル素材活用」を重点領域として環境貢献活動を

   推進する社内イニシアチブ

 

■数値目標(連結) 

 

2026年度目標

売上高

1,500億円

営業利益

140億円

営業利益率

9%

ROE

15%

 

 

(4) 会社の対処すべき課題

昨今の当社グループの外部事業環境におきましては、原材料や資材、部品価格また物流2024年問題による物流費の高騰、円安の進行など、予断を許さない状況が続いています。一方、労働人口の減少を見据えた人財確保の観点から、オフィスのあり方が経営課題の一つと言われるようになり、その関心は全国に拡大しています。

足元でのこのような経営環境のなか、当社は2024年を初年度とする中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」を始動させました。本中期経営戦略に基づいた施策を着実に推し進めるために、当社はグループ経営の高度化を重要課題と捉え、重点的な取り組みを行っています。取り組みの一環として、グループ会社が保有する施工や製造などの様々な機能を連携させ、効率的な経営資源の活用を進めるとともに、グループ全体のガバナンス向上を図り、経営基盤を強化しています。グループシナジーを追求し、高収益体質な企業へと変革することで、持続的な成長力を高めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び具体的な取り組みは以下の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

当社グループではビジョンステートメント「人も活き活き、地球も生き生き」のもと、人々の「働く」を支援することで、個人の幸せ、企業の幸せ、社会の幸せへの貢献を目指し持続可能な企業活動を行っています。一方、地球温暖化、人権、少子高齢化等、社会課題は年々深刻化しており、気候変動への対応、人権の尊重、人的資本やDXへの投資等社会課題へ配慮した企業活動が従来以上に求められています。そのような背景を受け、当社グループでは、2021~2023年の3ヶ年中期経営計画「RISE ITOKI 2023」において、「ESG経営の実践」を重点方針に据え、省エネルギー化やサステナブル素材の活用、経営戦略と連動した人財戦略の遂行など、多様な観点での施策に取り組んでまいりました。

2024年度より開始した2024~2026年の3ヶ年中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」では、重点戦略「7Flags」及びESG戦略を計画の中心に据え、そのうちESG戦略は事業戦略の基盤として掲げています。

※中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」、またESG戦略については「第2 事業の状況」に記載しております。

 

 ① サステナビリティにおけるガバナンス

気候変動や人権などサステナビリティに関連するリスク/機会の管理及び戦略については、企画部門の取締役常務執行役員が管掌しています。マテリアリティ(重要課題)をはじめとしたサステナビリティに係る重要な方針施策は、経営企画部門の配下に設置されたサステナビリティ推進部門が立案し、管掌役員を経て適宜常務会で審議・報告され、取締役会による監督を受ける体制となっています。またサステナビリティの取り組みの進捗状況も、各部門からサステナビリティ推進部門が報告を受けてとりまとめ、適宜管掌役員への報告を行っています。さらに、2024年からは社外取締役2名・取締役1名からなる「サステナビリティ・アドバイザリーボード」を発足させました。サステナビリティについて集中的に議論する場であり、方針・戦略に関する提言が行われています。

※取締役会及び監査役会の状況については「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」及び「統合報告書」の「コーポレート・ガバナンス」項目に記載しております。

 

 ② リスク管理

当社グループは、事業活動全般にわたって生じ得るさまざまなリスクを想定した対策を立て、リスクの発生可能性や影響の低減を図るなど、適切な管理を行うとともに、万一リスクが顕在化した場合の被害・損害の極小化と再発防止のためのリスクマネジメントに取り組んでいます。さまざまな要因を想定して洗い出したリスクに対して、その発生可能性、影響度をそれぞれ4段階で分類し、これらを掛け合わせた点数(1点~16点)により評価を行います。

当社グループでは、「イトーキグループリスク管理基本規程」に基づき、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスクマネジメントの実効性を確保しております。リスク管理委員会は、リスク管理方針の策定とリスク評価、対策レベルの決定を行い、下位に位置するコンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会や主管部門に具体的な対策を指示します。

当連結会計年度においては、リスク評価に基づき、特に点数が高い8つのリスク項目(12点以上)をリスク管理委員会で重点的に取り上げるべきリスクとして選定して、それぞれのリスクに対する対策の実効性を高めています。

サステナビリティに関するリスクは企業の中長期的な成長に多大な影響を与えるため、特に注視すべき「ビジネスと人権リスク」及び「気候変動リスク」についてはリスク管理シートを作成し、全社リスク管理体系の中で管理しています。リスク管理シートには、具体的なリスク詳細、対策、関連部門・法規などを明記することで、リスクの未然回避と問題発生時の迅速な対応に役立てています。

※リスクマネジメントの状況については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

③戦略

当社グループでは、将来に亘って働く場を取り巻くさまざまな社会課題を解決するため、2018年よりマテリアリティ(重要課題)を掲げています。2022年には、社会課題の変化を受け、経営層との対話を重ね「社会と人々を幸せにする」「会社と社員が幸せになる」という2つの大きなマテリアリティで課題を整理し、重点テーマを見直しました。

2024年には、中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」の策定に合わせ、マテリアリティの位置づけを3か年の中期経営計画より先を見据えるものとして明確化するとともに、重点テーマを6つに絞り込みました。マテリアリティに基づいた様々な活動の進捗は中期経営計画の進捗(KPI)と同一に管理しています。

※マテリアリティについては「統合報告書」の「企業価値とマテリアリティ」項目に記載しております。

 

(2) 気候変動

当社グループは気候変動への対応を重要な経営課題の一つと捉え、2020年6月、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言へ賛同を表明しました。TCFDの提言に基づき、気候変動が事業にもたらす影響を分析しています。

 

    ① 気候変動におけるガバナンス

  気候変動におけるガバナンス体制は(1)サステナビリティ全般 と共通です。

 

② 気候変動におけるリスク管理

気候変動におけるリスクや機会については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、サステナビリティ推進部門にて事業上の課題や、環境マネジメントシステム(EMS)を通じた環境側面の影響評価、またステークホルダーからの要望・期待などを総合的に勘案して重要なリスクと機会を特定し、影響度と発生可能性の2軸で評価しています。2024年からは気候変動関連の課題を「気候変動リスク」として、その他の事業等のリスクと同様に全社リスク管理体系の中で管理しています。気候変動におけるリスクとして当社グループが認識しているのは以下の通りです。

・移行リスク: 炭素税が導入された場合のコスト増やステークホルダーの行動変容への対応遅れなどがインパクトの大きいリスクとして特定されました。これらには再生可能エネルギーの活用や環境配慮型製品の開発・設計といった対応策をとることにより、管理してまいります。

・物理的リスク:異常気象の発生頻度が増した場合にサプライチェーンが分断されるリスク等を認識しております。環境変化に応じて事業継続計画を見直していくことで対応してまいります。

※特定したリスクと機会の詳細は、当社ウェブサイトに開示しております。

サステナビリティサイト E(環境) → https://www.itoki.jp/sustainability/envreport/

 

③ 気候変動における戦略

長期的に予想される気候変動について、IPCC(※)が公表する複数の既存シナリオを参考に3つのシナリオ(サステナビリティ進展・標準・停滞シナリオ)を定義し、分析を行いました。その結果、気候変動は政策・法規制リスクをはじめとして、短期・中期・長期で当社グループの事業に大きな影響を及ぼす可能性が明らかになりました。すでに顕在化している異常気象の頻発化・大型化以外にも、炭素税の導入や、調達コストの増加、既存市場の縮小などが挙げられます。

当社グループでは気候変動を重要な経営課題と捉え、マテリアリティの中に「カーボンニュートラル社会の実現に貢献する」「資源循環を促進し、生態系保全に寄与する」という重点テーマを定めております。この重点テーマのもと、中長期CO2排出量削減目標を策定し、DXの推進やお客様の働き方改革の支援を通じたCO2排出量の少ない働き方の促進、また自社内でもその達成に向けて再生可能エネルギーの導入や環境配慮型製品の開発・設計などの取り組みを行ってまいります。さらに、これらの活動はPDCAを着実に回すことにより、目標の達成に向けて歩みを進めます。

※IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル

 

    ④指標及び目標

当社グループでは、気候変動への対応として中長期CO2排出量削減目標を策定し、具体的な行動計画に落としこんで取り組みを進めています。2023年より、従来定めていた2030年までのCO2排出量削減目標を見直し、Science Based Targets initiative(SBTi)が示す1.5度水準を視野に入れた新たな目標値を定めました。

なお、当社グループのCO2排出量の多くはScope3カテゴリー1「購入した製品・サービス」が占めるため、今後サプライヤーの皆様とさらなる協働体制を構築し、本数値集計の精緻化を推し進め、CO2削減への取り組みを進めてまいります。

<中長期CO2排出量削減目標>

2030年目標

Scope1+2

42.7%削減(2022年比)

Scope3

25%削減(2022年比)

2050年目標

Scope1+2

ネット・ゼロ

 

<CO2排出量実績(単位:t-CO2)>

 

Scope1

Scope2

Scope3

合計

2022年(基準年)

6,081

8,397

318,343

332,821

2023年

5,278

7,588

229,458

242,324

 

(注) 2024年度のデータは現在集計中のため本年度発行の統合報告書にて開示予定です。

 

(3) 人的資本・多様性に関する取り組み

当社は『明日の「働く」を、デザインする。』をミッションステートメントに掲げる企業として、まずは自社から、社員一人ひとりがやりがいを持ってイキイキと働き、最大のパフォーマンスを発揮できる職場づくり(組織・制度・風土)、安心・安全に働ける環境づくりを進めています。

社員が成長し能力を発揮できる環境づくり、社員一人ひとりの多様な働き方を支える取り組みの詳細については、以下、当社ウェブサイトに開示しております。

サステナビリティサイト S(社会)→ https://www.itoki.jp/sustainability/social/

 

① 戦略

イトーキは経営戦略の目標達成には、連動した人財戦略の遂行が不可欠であると考えています。この考えに基づき、事業戦略を見据えた採用を含む人員計画の策定、求める人財像、キャリアに応じた社員一人ひとりの成長を支援する教育体系、社員の成長と働きがい向上を踏まえた人事制度を整備しています。なお、人財を「コスト消費の対象」ではなく「資本・投資の対象」と捉え、人財への投資によって事業価値を高めてまいります。さらに、ダイバーシティに配慮した人財育成、ポストコロナ時代の働き方に合った人事制度を早期に導入するなどして、経営戦略の目標達成を人財戦略で後押ししていきます。


 

◆ 人財育成方針/事例

イトーキは、求める人財像に基づき、キャリアに応じた社員一人ひとりの成長を支援する教育体系を軸に、さまざまなカリキュラムを実施。また、個人での面談や各種研修では、内容に応じてオンラインとリアルを使い分け、全体の質の向上に取り組んでいます。

 

―当社の人財育成に関する取り組み事例―

・管理職研修

社員のマネジメントに従事する管理職の役割は非常に大きく、特にファーストラインマネジャーの意識改革に注力しています。

事例)ビジョン策定・浸透研修

直近2か年実施してきた1on1研修等を振り返り、エンゲージメント調査上でマネジメント肯定回答が高まっていることを確認しました。更なる発展として1on1の個人軸だけでなく、ビジョン浸透などの組織軸での研修実施を行い、組織として同じ方向を向き、業務に取り組むことで、エンゲージメントの質の向上を目指しております。

事例)評価者研修

評価制度が変わったタイミングにおいて、制度理解の促進を目的に全評価者に実施。部下の成長につながる評価の実践をサポート。

・選択型研修

社員の自主的なキャリア形成支援のため、幅広いカリキュラムを用意し、自律的に学ぶ機会を提供しています。

事例)ビジネス基礎研修

ロジカルシンキング・ファシリテーション研修・ビジネスライティング・説得力の鍛え方など、ビジネスを遂行する上で、ベースとなる研修を展開。

事例)異業種交流研修

自身が目指すリーダーシップをテーマに、異業種4社で、6回に渡るセッションを実施し、最終日に発表。

事例)Eラーニング

グロービス学び放題・Udemy Businessなど、自身が強化したいスキルをオンラインで習得して、行動変容に繋げる。

・部門別研修

部門ごとに必要となるスキルカリキュラム(マーケティング、ネゴシエーション、経営戦略等)を、部門単位で受講することで更なる専門性の強化に繋げております。

 

◆ 採用方針/事例

イトーキの仕事はさまざまな人と関わり、チームでプロジェクトを進めています。一人ひとりが自分には何が求められているか、自分が何をすれば、お客さま、社会、自社に貢献できるかを考え、自分を取り巻く周囲の人々を巻き込み、失敗を恐れず、最後まで責任を持ってやり遂げることができる人財を採用すべく活動しています。

 

□新卒採用

就職活動中の学生の方々とは、イトーキでどのように成長して自己実現をしたいのか、また、どのようなキャリアアップを目指すのかなど、エントリーシートだけでは把握できない部分は、採用過程において一人ひとり時間をかけてお互いの理解を深めていくことを重視しています。また、業界理解、会社理解を深めて頂くためにインターンシップを積極的に開催しました。さらに、リファーラル採用の推進も行っており、新卒社員から入社決定事例も出てきております。

 

□経験者採用

今後のイトーキの変革と成長を加速させるため、外部から新しい知見を持った人財を採用しています。これまでの経験や実績に加え、求める人財像への適性を見極めながら、採用活動を行っています。各オフィスでの会社説明会や、ミートアップという社員と求職者の接点を設ける、新しい取り組みも行ってまいりました。

 

 

□グローバル採用

海外高度人財の採用に力を入れており、ベトナムでの採用活動を積極展開しております。ベトナム出身で既に入社して活躍中の人財も多数おり、2025年も複数名の内定者を迎えております。

 

―当社の採用に関する取り組み・表彰等の事例―

・社員からの紹介によるリファーラル採用を2022年7月のスタート、25名の採用につながっている(2024年10月時点)

・海外高度人財の採用に力を入れており、ベトナムのハノイで開催され、日本企業と現地学生のマッチング を目的とした「SEKISHO JOB FAIR」に3年連続参加(2024年)

 

◆ DE&I(Diversity Equity & Inclusion)方針/事例

イトーキは、トップコミットメントのもと、さまざまな年齢、性別、性的指向、性自認、国籍、障がい、雇用形態や働き方、習慣、価値観などを持つ仲間を「多様な人財」と捉え、一人ひとりが「活き活き」とその特性を活かし、持てる力を発揮することを目指しています。

 

―当社のDE&Iに関する取り組み・表彰等の事例―

・ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業を認定する「D&I Award 2023」にて「D&I AWARD賞」を受賞、最高ランクの「ベストワークプレイス」に3年連続認定(2024年)

・職場におけるLGBTQへの取り組みの評価指標である「PRIDE指標2024」にて 「ゴールド」を受賞、さらにPRIDE指標「ゴールド」を受賞した企業の中から、国や自治体などとのセクターを超えた協働を推進する企業に与えられる「レインボー認定」を取得(2024年)

・ベトナムのハノイ工科大学と友好交流及び高度人財に関するパートナーシップ締結(2023年)

・性別を問わず育児休業を取得した直接雇用社員全員に、取得期間に応じて支援金を支給する、「育児休業復職支援金制度」導入(2023年)

・事実婚や同性のパートナー、及びその子、親に対し、法律上の配偶者や家族と同様に福利厚生や規程を適用する「パートナーシップ制度」導入(2023年)

・全社員向けに「DE&I×WORKPLACEセミナー」、「仕事と介護の両立支援セミナー」、「LGBTQ研修」を実施

・障がいへの理解浸透を目的に、地域の障がい者就労施設と提携し社内で手作りお菓子販売会を実施

・全管理職向けに「アンコンシャスバイアス研修」を実施

・エグゼクティブ層向けに「DE&I×WORKPLACEセミナー」「障がい者雇用促進セミナー」を実施

・育児休業中の社員に向けて「仕事と育児の両立支援セミナー」を実施

 

□ 女性活躍推進コミュニティSPLi(サプリ)

あらゆる多様性が融合し活性することで、大きな変革と成長につながると考え、多様な人財が活躍できる環境整備をしております。中でも女性のリーダーシップ開発は経営上の重点施策と置き、様々な取り組みを展開しております。

SPLiは、自分らしさや多様な個性を活かしながら、リーダーシップを発揮するために必要な知識・スキルの習得や、継続的なキャリアデベロップメントをサポートする女性活躍推進コミュニティです。

グループ会社を含め、約150名のメンバーが自主的に集まり、様々な活動を行っております。

 

□ グローバル活躍推進コミュニティAPI(アピ)

国内外のイトーキグループメンバーが、言葉や考え方、習慣の違いなどあらゆる壁を超え、「自主的に、相互に学び、グローバルに活躍できる人財に育つ」ためのプラットフォーム、ITOKI Global Initiative“API”(アピ)を発足しました。国ごとの文化や宗教・慣習など、その違いを本質的に深く理解することで、ダイバーシティ、そして、真の「グローバル」に対する理解、考え、意識の向上を目指します。グループ会社含め、約130名のメンバーが参加しております。

 

 

◆ エンゲージメント向上の取り組み

イトーキでは2016年より、社員のモチベーションの状態やその影響要因について把握するために、エンゲージメント調査を実施しています。調査結果は経営の重要指標の一つとし、組織のエンゲージメント向上の取り組みにつなげることで、社員一人ひとりが輝く、活力あふれる豊かな会社へ変革をするために活用をしています。

数ある指標の内、「イトーキは誇りを持って働ける会社である」の肯定回答率を最重要指標として経営目標の1つに掲げ、経営層が主体となり各部門にてエンゲージメント向上の取り組みを行っております。直近の3年間ではイトーキ全体としては18.9ポイントの改善があり、80%台に到達しました。2025年はエンゲージメントの更なる質の向上をキーワードとして、中期経営計画最終年度2026年85%以上を目標に掲げ、取り組みを継続しています。

 

② 指標と目標

◆ 従業員エンゲージメント重要指標スコア 

<目標>2026年85%以上  <実績>2022年63.6%  2023年74.7%  2024年82.5%


 

◆ 女性管理職比率

<目標>2026年13% <実績(※)>2022年10.7%   2023年10.3%  2024年10.7%

(※)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。

 

 

◆その他、人的資本・多様性に関する取り組みに係る実績指標(※1)

<男女間の賃金差に係る指標>

 

 

2021年

2022年

2023年

2024年

男性の賃金に対する女性の賃金の割合

全労働者

(%)

70.3

69.8

70.4

74.2

(内正規雇用者)

(%)

(69.2)

(68.1)

(68.6)

(72.6)

(内パート・
有期労働者)

(%)

(71.9)

(73.1)

(83.9)

(86.4)

 

<休暇に係る指標>

 

 

2021年

2022年

2023年

2024年

育児休業取得率(※2)

男性

(%)

26.3

45.7

70.0

75.0

女性

(%)

100.0

100.0

100.0

100.0

有給休暇取得率

全労働者

(%)

51.6

59.0

63.1

60.0

 

<採用に係る指標>

 

 

2021年

2022年

2023年

2024年

新卒採用数

合計

(名)

34

29

63

49

(内女性比率)

(%)

(41.2)

(48.3)

(54.0)

(67.3)

経験者採用数

合計

(名)

15

53

130

132

(内女性比率)

(%)

(40.0)

(37.7)

(33.8)

(28.0)

海外人財採用数

(名)

0

4

3

4

 

<人財育成に係る指標>

 

 

2021年

2022年

2023年

2024年

従業員1名あたりの年間教育訓練費
(※3)

(千円/名)

32.14

64.07

72.93

84.85

 

(※1)目標及び実績は、提出会社の従業員の状況となります。

(※2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。

(※3)従業員1名あたりの年間教育訓練費には交通費を含みます。

 

また、イトーキは働く環境づくりをリードする企業として、従業員が働きやすい環境整備、すなわちファシリティ投資は企業が人的資本経営で取り組むべき重要事項と認識しており、自社においてその実践を行っております。生産性の高い、安心・安全なオフィスづくりに継続して投資していくことで、人的資本経営に寄与するものと考え、これまでに下表に示すリターンを得ております。

 

◆ 自社ファシリティ投資件数

<2024年実績>東京本社をはじめとするオフィス計5拠点の改修・移転を実施。

 

◆ オフィス投資(人的資本投資)のリターン


(注) 上記資料は、提出会社の中期経営計画掲載資料の抜粋です。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。

なお、下記記載のリスク項目は、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。また本項における将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日(2025年3月26日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

<当社グループのリスクマネジメント体制>

当社グループは、事業活動全般にわたって生じ得るさまざまなリスクを想定した対策を立て、リスクの発生可能性や影響の低減を図るなど、適切な管理を行うとともに、万一リスクが顕在化した場合の被害・損害の極小化と再発防止のためのリスクマネジメントに取り組んでいます。さまざまな要因を想定して洗い出したリスクに対して、その発生可能性、影響度をそれぞれ4段階で分類し、これらを掛け合わせた点数(1点~16点)により評価を行います。

当社グループでは、「イトーキグループリスク管理基本規程」に基づき、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスクマネジメントの実効性を確保しております。リスク管理委員会は、リスク管理方針の策定とリスク評価、対策レベルの決定を行い、下位に位置するコンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会や主管部門に具体的な対策を指示します。

当連結会計年度においては、リスク評価に基づき、特に点数が高いリスク項目(12点以上)から次の8つをリスク管理委員会で重点的に取り上げるべきリスクとして選定して、それぞれのリスクに対する対策の実効性を高めています。

 

・重要品質問題の発生に関わるリスク

・人権問題の発生に関わるリスク(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、差別的行為等)

・情報漏洩、サイバー攻撃の発生に関わるリスク

・重大労働災害の発生に関わるリスク

・災害や事故による業務停止の発生に関わるリスク

・サプライチェーンに関わるリスク(商品供給の遅れ)

・情報システムの計画外停止の発生に関わるリスク

・グループ会社管理の不備に関わるリスク

 

 

また、来期においては、上記の8つに加えて独占禁止法違反に関わるリスクも追加して、当社グループのリスクマネジメントのさらなる強化を図ります。


 

<事業等のリスク>

当社グループが展開する事業に関わるリスクのうち、当連結会計年度において、リスク管理委員会で重点的に取り上げるべきリスクとして選定したリスクの詳細は以下の通りです。

 

(1) 重要品質問題の発生に関わるリスク

当社グループは、社内で確立した厳しい品質基準をもとに製品を製造しておりますが、予期せぬ事情によりリコールが発生する可能性や、当社グループが提供する、製品・サービスにおいて不測の事象やクレームが発生する可能性があります。当社グループは、重要品質問題が発生した場合への対応として、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、損失額をすべて賄える保証はなく、結果として当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。またこのことにより、当社グループの製品に対する信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、品質問題の発生を重大なリスクと捉え、品質保証領域に対して必要な経営資源を配し、検査やパトロールの強化による品質管理体制の維持や品質教育の徹底等により品質問題の予防に努めております。また、万一問題が発生した場合には迅速に対応しその影響を最小限にとどめられるような管理体制を維持してまいります。

 

(2) 人権問題の発生に関わるリスク(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、差別的行為等)

当社グループは、「イトーキグループ行動規範」を制定し、従業員の人権を尊重するとともに、人格・個性と多様性を重視し、一人ひとりが活き活き働き、能力を最大限に発揮できる制度と環境づくりを行い、社会に誇れる企業倫理を確立するとともに、コンプライアンス重視の経営を推進するために充実した内部管理体制の確立に努めております。しかしながら、これらの活動が適切に推進できなかった場合は当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 情報漏洩、サイバー攻撃の発生に関わるリスク

当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の個人情報並びに当社グループ内の個人情報を有しております。情報セキュリティの一環として厳重な管理を行い、規程類の整備や各種対策の実施、従業員への教育などを実施し、内部監査を含めたマネジメントサイクルを運用することで個人情報の保護の徹底を図っておりますが、想定を超えた技術によるサイバー攻撃等の予期せぬ事態により流出する可能性があります。このような事態が生じた場合は、当社グループのブランド価値低下を招くとともに、多額の費用負担が発生する可能性があります。

 

(4) 重大労働災害の発生に関わるリスク

当社グループは、労働災害の発生を防止するため、安全診断の実施、改善活動及び安全衛生教育の推進など安全管理に関わる取り組みを実施しておりますが、重大な労働災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 災害や事故による業務停止の発生に関わるリスク

当社グループは、災害等によって事業活動が停止しないよう安全衛生面を含めた災害防止活動、設備点検等の対策を行っておりますが、予想を超える大規模な災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対して、当社グループとしては安全衛生、事業継続の両面からサプライチェーンを含めた対策の実施及び災害対策体制の構築により、災害等のリスク低減を図っております。

 

(6) サプライチェーンに関わるリスク(商品供給の遅れ)

当社グループは、事故、災害及び倒産などによる突然の供給停止のリスクに備え、調達先の評価や突然の供給停止に備えた代替取引先の整備などを行っておりますが、取引先が事故、災害、倒産などにより当社製品に用いる原材料の供給が停止した場合に、商品供給が適切なタイミングで行うことができなくなり、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 情報システムの計画外停止の発生に関わるリスク

当社グループは、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害等偶然な事由によりネットワークの機能が停止した場合、商品の受発注や生産、物流をはじめとした事業活動に影響が生じる可能性があります。また、外部からの不正な手段によりコンピュータ内へ侵入され、ホームページ上のコンテンツの改ざん・重要データの不正入手、コンピュータウィルスの感染により重要なデータが消去される可能性もあります。

当社グループでは、ITシステムに特化した事業継続計画(IT-BCP)をはじめとした情報セキュリティの取り組みにより、自然災害や外部からのサイバー攻撃に対しても影響が最小限となるよう努めておりますが、このような状況が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) グループ会社管理の不備に関わるリスク

当社グループは、グループ各社において、情報の適切な取り扱いやコンプライアンス重視を徹底すべく管理体制の整備や推進を図っておりますが、これらの活動が適切に推進できなかった場合は、当社グループのブランド価値低下を招くとともに、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対して、当社グループとしてはセキュリティ対策を含めたITガバナンス強化の技術的な対策や、教育・研修等の人的及び組織的な対策等をグループ会社各社にも展開し、リスク低減を図っております。

 

上記のほか、当社グループが、リスク軽減策を継続的に実施している主なリスクは以下の通りです。

 

(1) 市場環境の変化、市場競争の激化

当社グループの売上高は、国内市場に大きく依存しており、国内の設備投資動向に大きな影響を受けます。このことにより、国内景気の後退による民間設備投資及び公共投資の減少に伴い需要が減少した場合は、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また当社グループは、先進のデザイン・機能性を備えた商品とトータルソリューション提案力でお客様の快適な環境づくりをサポートすることで高い評価をいただいております。しかしながら、市場では激しい競争に直面しており、特に価格面においては必ずしも競争優位に展開できる保証はなく、結果として当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対し、当社グループとしては、景気動向や競合他社の動向にかかわらずお客様に選択いただける高付加価値の商品・サービスの開発を目指すとともに、環境変化に沿った適切な事業ポートフォリオ維持のための経営資源の最適化を図ってまいります。

 

(2) 原材料の価格変動、商品仕入価格の上昇

当社グループで生産している製品の主要原材料である鋼板等については市況価格の変動リスクを有しております。また、グループ外から仕入れる商品の価格につきましても、今後鋼材や原油価格等の原材料の価格が上昇し、仕入先からの仕入価格上昇圧力が強まった場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対しては、製造原価の低減活動や、諸経費の圧縮で対応していく考えでありますが、自社内の取り組みだけでは吸収できない場合には、販売価格の見直しを行うなど、コストと価格の適正化に努めてまいります。

 

(3) 海外事業

当社グループは、海外における事業展開は、地政学リスクを含め展開先地域のリスクを把握したうえで進めております。しかし、予期しない法律・規制の変更や経済環境の変化等のリスクが存在するほか、戦争、テロリズム、紛争又はその他の要因による社会的又は政治的混乱等の発生の可能性や、為替相場の変動により当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、当該リスクを踏まえた地域ごとの管理体制を構築し現地と密接なコミュニケーションが取れる体制を敷くことにより、リスク低減を図ってまいります。

 

(4) 企業買収

当社グループは、企業買収に当たっては、対象企業のリスクを把握したうえで決定しております。しかしながら、事業環境等の変化等により、当初想定した買収による効果が得られない場合には、のれんの減損などが発生し、業績に影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、買収・提携前のデューデリジェンスを通じてリスクの洗い出しを徹底しております。また、事業環境の変化にいち早く対応できる体制を構築し、業務効率の向上に資する活動を推進しています。

 

(5) 繰延税金資産

当社グループでは繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。しかし、今後将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合には繰延税金資産の取崩が発生し、その結果当社グループの業績及び財政状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(6) 法令遵守・公的規制に関するリスク

当社グループは、事業の許認可、輸出入に関する制限や規制等の適用を受けております。また、公正取引、消費者保護、知的財産、環境関連、租税等の法規制の適用も受けております。当社グループは、法令遵守、企業倫理を確立するために「イトーキグループ行動規範」を制定し、コンプライアンス重視の経営を推進するために委員会を設置し、充実した内部管理体制の確立に努めております。しかしながら、これらの規制を遵守できなかった場合は当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの規制の改廃や新たな公的規制の新設等がなされ、当社グループが対応困難となった場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社が物流業務を委託している事業者(以下「委託先物流事業者」)に対し、①納品場所以外での業務を無償で行わせている、②運送業務に係る付帯業務を無償で行わせている疑いがあるとして公正取引委員会の調査を受けてきたところ、2024年11月28日、当該行為が「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」(いわゆる物流特殊指定)第1項第6号に該当し独占禁止法第19条の規定に違反するおそれがあるとして行政指導(警告)を受けました。今回の行政指導(警告)を極めて重く受けとめており、委託先物流事業者との取引適正化に向けた取り組みを全社をあげて推進し、適切な関係の構築を推進しております。これを受け、委託先物流事業者による過去の実働部分に係る対価相当分の支払いとして154百万円を特別損失に計上しております。

加えて、当社の連結子会社であるTarkus Interiors Pte Ltdは、2024年12月20日、シンガポール競争・消費者委員会より、競争法違反行為を行ったとして制裁金S$5,113,918の支払いを命じられました(同社は、2024年5月23日、シンガポール競争・消費者委員会より、当該事案に関し暫定的認定通知書を受領)。これを受け、同社において今後発生すると見込まれる制裁金の支払いに備えるため、574百万円(期中平均レート112.36円で円換算)を計上しております。

 

(7) 有価証券の時価変動リスク

当社グループは、売買を目的とした有価証券は保有しておりませんが、様々な理由で、主要取引先、取引金融機関の株式等の売却可能な有価証券を保有しております。これらの有価証券のうち、時価を有するものについては、全て時価にて評価されており、定期的に保有の合理性判断を行い時価変動リスクが小さくなるよう努めておりますが、市場における時価の変動が、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当社グループは中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」の初年度となる当期において、重点戦略7Flagsに基づいた各種施策を推進しております。当連結会計年度は、持続的な成長力を高めるため、新しい働き方やその働き方を実装するオフィス空間などに対する付加価値提案、価値向上に重点を置いた営業活動の展開などにより、売上・利益の拡大を図ってまいりました。

なお、新中期経営計画と併せて、従来報告セグメントとしていた「IT・シェアリング事業」を再編し、報告セグメントを「ワークプレイス事業」と「設備機器・パブリック事業」の2セグメントに変更して記載しております。

 

(単位:百万円)

 

2023年12月

2024年12月

増減額

増減率

売上高

132,985

138,460

5,475

4.1%

売上総利益

52,240

55,200

2,960

5.7%

販売費及び一般管理費

43,717

45,123

1,405

3.2%

営業利益

8,523

10,077

1,554

18.2%

営業外収益

481

624

143

29.7%

営業外費用

448

698

249

55.6%

経常利益

8,555

10,004

1,448

16.9%

特別利益

186

1,178

992

532.3%

特別損失

363

1,111

748

205.8%

税金等調整前当期純利益

8,378

10,071

1,692

20.2%

法人税等合計

2,471

2,848

376

15.2%

当期純利益

5,907

7,223

1,316

22.3%

親会社株主に帰属する

当期純利益

5,905

7,183

1,277

21.6%

 


(ⅰ)売上高

 前期と比較して54億75百万円4.1%)増収の1,384億60百万円となりました。なお、3期連続の増収、過去最高の売上高を更新しました。

・ワークプレイス事業は、ハイブリッドな新しい働き方にあわせたリニューアル案件やオフィス移転などを中心に好調に推移しました。

・設備機器・パブリック事業は、研究施設向け設備における需要が好調に推移したものの、物流施設向け設備における資材高騰を背景とした期ズレに加え、前期に好調だった博物館、美術館の展示ケース等の公共施設向け設備等における想定内での需要反動減により、減収となりました。

 

(ⅱ)売上総利益

 前期と比較して29億60百万円5.7%)増益の552億円となりました。

・ワークプレイス事業は、原材料価格高騰の影響を見込みつつ、増収効果や提供価値の向上による利益率の改善により、増益となりました。

・設備機器・パブリック事業は、研究施設向け設備における需要拡大、販売強化による増収効果はあるものの、物流施設向け設備における期ズレに加え、博物館、美術館の展示ケース等の公共施設向け設備の想定内の減収により、減益となりました。

 

(ⅲ)販売費及び一般管理費

 人的資本投資の一環としての賃上げや専門人財の採用に加えて、ショールーム兼本社オフィス(ITOKI DESIGN HOUSE)の戦略的リニューアルオープン 、DX推進のためのIT基盤強化等の将来の飛躍に向けた戦略的支出を計画通りに実行したことにより 、前期と比較して14億5百万円3.2%)増の451億23百万円となりました。

 

(ⅳ)営業利益

 以上の結果、営業利益は、前期と比較して15億54百万円18.2%)増益の100億77百万円となりました。

なお、5期連続の増益、2期連続で過去最高益を更新しました。

・ワークプレイス事業は、賃上げ・専門人財の採用やDX推進のためのIT基盤強化等の戦略的な支出の増加はあるものの、増収効果や提供価値の向上による利益率の改善により、増益となりました。

・設備機器・パブリック事業は、研究施設向け設備等の増収効果及び販管費の抑制の効果はあるものの、物流施設向け設備における期ズレに加え、博物館、美術館の展示ケース等の公共施設向け設備等の想定内の減収により、減益となりました。

 

(ⅴ)営業外収益

 受取保険金の増加等により、前期と比較して1億43百万円29.7%)増加し6億24百万円となりました。

 

(ⅵ)営業外費用

 借入金増加に伴う支払利息及び支払手数料の増加等により、前期と比較して2億49百万円55.6%)増加し6億98百万円となりました。

 

(ⅶ)経常利益

 以上の結果、経常利益は、前期と比較して14億48百万円16.9%)増加し100億4百万円となりました。なお、5期連続の増益、2期連続で過去最高益を更新しました。

 

(ⅷ)特別利益

 固定資産売却益の増加等により、前期と比較して9億92百万円532.3%)増加し11億78百万円となりました。

 

(ⅸ)特別損失

 競争法関連損失引当金繰入額の計上等により、前期と比較して7億48百万円205.8%)増加し11億11百万円となりました。

 

(ⅹ)親会社株主に帰属する当期純利益

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比較して12億77百万円21.6%)増加し71億83百万円となりました。なお、4期連続の増益、3期連続で過去最高益を更新しました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

   (単位:百万円)

セグメントの名称

2023年12月

2024年12月

増減額

増減率

ワークプレイス

事業

売上高

94,546

102,261

7,714

8.2%

営業利益

6,226

8,047

1,820

29.2%

設備機器・

パブリック事業

売上高

36,839

34,572

△2,267

△6.2%

営業利益

1,906

1,857

△48

△2.6%

報告セグメント計

売上高

131,386

136,833

5,447

4.1%

営業利益

8,132

9,904

1,771

21.8%

その他

売上高

1,598

1,626

27

1.7%

営業利益

390

172

△217

△55.7%

合計

売上高

132,985

138,460

5,475

4.1%

営業利益

8,523

10,077

1,554

18.2%

 

 

 

 

②財政状態の状況

(単位:百万円)

 

2023年12月

2024年12月

増減額

増減率

資産の部

117,437

120,521

3,083

2.6%

負債の部

62,437

71,178

8,741

14.0%

純資産の部

54,999

49,342

△5,657

△10.3%

 

 

(資産の部)

総資産は、DX投資による無形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて30億83百万円増加し、1,205億21百万円となりました

 

 (負債の部)

負債合計は、自己株式取得のための短期借入金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて87億41百万円増加し、711億78百万円となりました。

 

(純資産の部)

純資産は、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ増加したものの、自己株式の取得により、前連結会計年度末に比べて56億57百万円減少し、493億42百万円となりました。なお、自己資本比率は前連結会計年度末か5.9ポイント減少し40.9%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ21億70百万円の減少があり、214億94百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

 

(ⅰ)営業活動によるキャッシュ・フロー

増収による資金の増加はありましたが、仕入債務の支払の増加(一過性の増加)及び給与・賞与支給額の増加等により、営業活動による資金の減少は10億円前期は63億21百万円の増加)となりました。

 

(ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー

ERPパッケージの導入及び物流子会社株式取得による支出の増加等により、投資活動による資金の減少は71億7百万円前期は40億12百万円の減少)となりました。

 

(ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー

短期借入金の増加等により、財務活動による資金の増加は59億5百万円前期は41億48百万円の減少)となりました。

 

当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下の通りであります。

 

2023年
12月期

2024年
12月期

自己資本比率(%)

46.8

40.9

時価ベースの自己資本比率(%)

52.0

67.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

3.2

-

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

46.0

-

 

※2024年12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオに 

 ついては、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

④生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

                                          (単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前期比

ワークプレイス事業

45,935

87.7%

設備機器・パブリック事業

8,049

99.0%

報告セグメント計

53,984

89.2%

その他

986

106.8%

合計

54,971

89.5%

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

 b. 受注実績

当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。

 

 c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

                                          (単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前期比

ワークプレイス事業

102,261

108.2%

設備機器・パブリック事業

34,572

93.8%

報告セグメント計

136,833

104.1%

その他

1,626

101.7%

合計

138,460

104.1%

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りについては、継続的な評価を行っております。見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

当連結会計年度における経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載しております。

b. 財政状態の分析

当連結会計年度における財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

c. キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性の分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料、商品等の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものです。なお、重要な設備の新設等の計画はありません。

運転資金及び投資資金の調達については、自己資金又は銀行借入で賄う方針であります。

当社は運転資金の効率的な調達を行なうため、取引金融機関14社と12,900百万円の貸出コミットメント契約を締結しております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、事業の成長及び収益力の向上、並びに資産の効率的な運用の観点から、売上高営業利益率、自己資本当期純利益率(ROE)を、重要な経営指標としております。達成に向けた施策、また当連結会計年度における取り組みにつきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略及び(4)会社の対処すべき課題」に記載しています。

当社の経営理念である「時代の先端を切り開き、グローバル社会に貢献する高収益企業」の実現に向けて、魅力ある商品とサービスを提供し続けること、並びに継続的なコスト削減と生産性向上により、安定的かつ永続的な成長を目指してまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 技術導入契約等

当社グループが締結している技術導入契約等は、次のとおりであります。

契約先

国名

内容

対価

期限

KRUEGER INTERNATIONAL,INC.

アメリカ

事務用収納扉の技術、製造、販売権の許与

 一時金及び
ロイヤリティ

2025年12月31日

WALDNER Laboreinrichtungen GmbH&Co.KG

ドイツ

実験用家具の技術、製造、販売権の許与

 一時金及び
ロイヤリティ

2027年1月28日

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、新たな価値を提供する活動を継続・促進するため、研究開発活動に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は、2,509百万円であります。

ワークプレイス事業領域においては、人的資本投資、持続可能な社会という大きな社会的ニーズの流れをうけ、オフィスに求められる価値観の変化や新たな課題解決に対応した新製品やソリューションの開発、並びに先行技術の開発を行っています。

中央研究所では長期的な視点でオフィスづくりとオフィス家具づくりをとらえ、①流動的に運用できるオフィスづくりの手法、②プラスチックをマテリアル・リサイクルする技術、③新しい設計手法としてのパラメトリック・デザイン、④多品種少量生産に対応するアディティブ・マニュファクチュアリングの技法、⑤IoTの活用で使用状態を可視化する手法、の5テーマを研究しています。これらの研究テーマを統合し、将来のビジネスを指し示すものとして独自のビジョンを発表しました。

また、明日の「働く」をデザインする上で重要な次世代の「学ぶ」環境のデザインを、文科省等の政策ビジョン、教育DXニーズに応じた企画・開発研究を行い、『イトーキ・スマートキャンパス・ソリューション』提案として社会実装を進めております。加えて先進的な生成AIや3Dメタバース等デジタル技術の応用を大学研究室やメーカーと産学連携で実証研究を行っています。

 

[ワークプレイス事業]

オフィス家具の分野では、ハイブリッドワークの定着で増加したWeb会議の音声環境問題や、慢性的な会議室不足の課題に対応するため、オープンスペースでも音を気にせずWeb会議ができるボックス型ソファ「sound sofa(サウンドソファ)」にコンパクトな片面タイプを追加、クローズドブースにはより多人数で使える六角形の大型個室ブース「ADDCELL Hexa(アドセルヘキサ)」を追加し、大掛かりな工事を必要とせずオフィスのニーズにフレキシブルに対応できる製品ラインアップの充実を図りました。

また、これからのオフィスに期待される創造性やエンゲージメントの向上において、重要な役割を果たすコワークエリア(執務席や他活動との兼用の席など)を「人が集まり思い思いに過ごせるオフィスの中心地」と改めて捉え直し、多様な空間設計に対応する製品群開発の強化をしています。その第一弾として、個人ワークとコミュニケーションを自然につなげるビッグテーブル「Centra(セントラ)」や、柴田文江氏がデザインした「CONOS(コノス)」を発売しました。

デザイン領域においては、昨年発売した柴田文江氏デザインの木の温もりとエルゴノミクスを両立させた「vertebra03 WOOD(バーテブラ03ウッド)」が国際的に権威あるデザイン賞の一つであるドイツの「Red Dot Design Award 2024(レッドドット・デザインアワード)」のプロダクトデザイン部門において、特に優れたデザインに贈られる「Best of the Best」をイトーキとして初めて受賞しました。加えて、デザイン性の高い海外ブランドとの協業も積極的にすすめております。

建材分野におきましては、天然木で居心地のよいデザインに応える木質系不燃パーティション「Feels(フィールス)」に、2連引分け引き戸を中心としたラインナップを追加発売し、オフィス空間の木質化ニーズに対応する天然木を使った製品群の拡充を図っております。

オフィス3.0と位置付けるデータサービス領域においては、AIによるデータ分析・活用の基盤となる「ITOKI OFFICE A/BI(イトーキ・オフィス・エー/ビーアイ)プラットフォーム」を構築し、各種サービスの開発、AIスタートアップ他様々なパートナー企業と連携したプロジェクトを進めております。

2024年2月にはこれらデータ基盤を活用してお客様のオフィス構築とその運用を支援する「Data Trekking(データトレッキング)」の提供を開始しました。オフィス内に設置した各種センサーが捉える環境の状態や人の位置情報を、エンゲージメント等のデータと突合した上で、働き方や環境の状態を可視化、コンサルタントが専門的観点から分析を行い施策提言するコンサルティングサービスです。

この他に、アジャイルなオフィス構築にむけてオフィスデザインを瞬時にシミュレーションできる自動生成AIの開発を株式会社燈と、RFID位置特定技術を活用したオフィス家具のIoT化と高度なアセットマネジメントを支援するアプリケーションの開発をRFルーカス株式会社と、マーケットデザインの知見を応用して会議室不足を解決する新ソリューション「Reserve Any(リザーブエニー)」の開発を東京大学エコノミックコンサルティング株式会社とすすめ、それぞれ発表しました。「Reserve Any(リザーブエニー)」は2025年春のローンチに向けて開発を進めております。

 

家庭用家具分野におきましては、累計販売数7万脚以上を販売した「スマートロッキング」などの独自の機能で、長時間学習中の子供の正しい姿勢をサポートする高機能な学習チェアの新モデル「KS32」「KS5」をモデルチェンジしました。

なお、研究開発費の額は1,665百万円であります。

 

設備機器・パブリック事業

物流機器分野におきましては、物販系のEC市場拡大や物流の2024年問題を背景とした物流倉庫における課題に対して、シャトル式立体自動倉庫SAS-R(システマストリーマ)の機能拡充による倉庫内でのGTP(Goods To Person:歩行レスピッキング)システムへの対応並びにAI・機械学習による予防保全の強化でトラブルを未然に防止する予知保全システムの開発・実証実験を強化するとともに、物流クライシスによるコールドチェーンへの影響など低温物流倉庫の市場環境を見据えた冷凍対応SAS-CRの機能強化にも注力しております。

新規市場開拓として、既に業界実績のある薬剤監査支援システム企業と調剤薬局向け薬剤自動ピッキングシステム「DAP(Drug Automatic Picking system)with MediMonitor」の共同開発を手掛け、「使いやすさ」と「省スペース化」を追求することで薬剤ピッキング業務の過誤防止と薬剤師の人手不足解消に貢献いたします。

また、中長期的な新たな市場を開拓すべく、防災・防衛等を想定した手動で開閉可能な地下シェルター向け特殊扉「BOUNCEBACK(バウンスバック)」を開発し、特定非営利活動法人 日本核シェルター協会のモデルルームに設置しております。防災・防衛機能として耐衝撃・気密水密・放射線遮蔽性能を有し、天災やテロなどの様々な脅威から人命や社会生活基盤となるデータ機器などを防護・遮断いたします。

公共施設分野におきましては、美術館・博物館向けの新型展示ケースとして、建築施設や展示品と調和した高い意匠性、展示品本来の色味や姿を忠実に再現した高い演色性、展示品の保護や展示空間の環境維持機能を兼ね備えた商品「Artivista(アルティビスタ)」のラインナップ拡充として壁面タイプを開発、よりフラットなデザイン性と最大開口を両立したモデルを追加することでハイエンドな展示空間をご提案いたします。

なお、研究開発費の額は844百万円であります。