文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の方針
当社グループは、明治初頭以来、真摯にタイルづくり一筋に励んで参りました。この輝かしい伝統を背景に
1 ものづくり理念
・人と地球環境に優しい製品づくり
・お客さまの立場に立ち、企業として自信のもてる、語れる製品づくり
2 お役立ち理念
・タイルのある快適な暮らしをご提案します
・タイルに関するトータルサービスをご提供し、お客様に安心をお届けします
をグループ共有の企業理念として、長年培ってきた独自の技術を活かし、省エネルギーやリサイクルによる資源の有効利用と環境保全に心がけ、豊かな生活空間を創造しながら、いつまでも社会に貢献し、お客さまに満足をお届けする企業を目指して積極的に取り組んでおります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、タイル建材を取り巻く厳しい環境下において、各種施策の実施により業績回復に努めており、継続した利益の出る企業体質確立を目指しております。その指標として「営業利益」「経常利益」などの損益項目を重視しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
2025年の日本経済は、雇用状況の改善、インバウンド及び消費需要の増加等、引き続き緩やかな景気回復が期待される一方で、賃金の上昇や物価の高騰に伴う企業収益への圧迫、欧米における高金利水準の継続に伴う影響に加え、今後の米国政権の政策動向等、先行き不透明な状況が予想されます。
建設業界においては、新設住宅着工戸数は減少傾向と予測され、燃料・原材料等の高騰、資材の不足、建設業界全般の職人不足等に加え、急激な円安、物流コストの増加等のリスク要因から、タイル事業を取り巻く環境は依然厳しい状況にあると思われます。このような環境下、さらなる価格体系の見直しを行いつつ、引き続き指定力向上と高付加価値商品の拡販に取り組み、さらに環境に配慮した商品開発やSDGsに向けた取り組みを進めると同時にWEB・SNSを活用した施策によるブランドイメージの向上や当社製品の認知活動を推進し、また、淡路島工場で開発・製造のこれまでに無い斬新かつ挑戦的なデザインと高い品質の新ブランド「A.a.Danto(Alternative Artefacts Danto)」の販売をさらに推し進め、国内外に広く情報発信することで販売機会を増やして参ります。
不動産事業としましては、日本の不動産投資に積極的な姿勢は、当面継続すると見込まれますが、2025年の米国のトランプ政権の発足により世界経済の先行きの不透明感が増しております。金利上昇リスクや物価上昇によるインフレリスクの懸念から、安定収益よりも賃貸収益の上昇が見込めるアセットタイプへと投資家のニーズも変化しております。このような環境の中、引き続き既存のアセットマネジメント事業の運用資産残高の積み上げによる安定的な収益の確保に努めながら、事業セグメントを拡大するために昨年から新規事業として着手した不動産DX事業や収益不動産等への戦略投資事業については、今後の成長のドライバーとして、新たな収益源として寄与すべく事業化を進めて参ります。また、宇都宮工場跡地の開発につきましては、2024年3月に用途地域の変更と地区計画の都市計画決定を受けて、本格的に開発事業を進めて参ります。
連結子会社ダントーテクノロジーズ株式会社におきましては、ワールドワイド・イノベーションテクノロジーの可能性を持つ、日本のベンチャーキャピタルの発掘と育成、特にその資金面でのサポートを目的とした新規事業であるワールドワイド・イノベーションファンド事業に取り組んでおり、当該事業については、連結子会社タッチストーン・キャピタル・マネージメント株式会社との協業で引き続き推し進めて参ります。
連結子会社ダントーパワー株式会社(旧社名:株式会社日本高分子材料研究所)におきましては、予てより推し進めて参りました非常用LPガス発電機事業において、大手通信企業グループ及び大手通信建設会社、大手物流総合商社との販売代理店契約を締結し、全国規模の販売網の構築に努めました。次期はこれらの販売網を活用し、従来の発電機に対する優位性をアピールしながら、売上の拡大を目指して参ります。
2024年7月4日付で設立いたしました連結子会社ダントーソーラー株式会社におきましては、新規事業として、発電施設、蓄電施設開発等、将来のエネルギー問題解決に寄与するため、再生可能エネルギー事業に取り組んで参ります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは企業理念であるBUILDING ON TRADITION FOR A NEW FUTURE「1885年創業以来培ってきた歴史と伝統を礎として、時代時代の環境に柔軟に対応しながら、これからも末永く存続できる企業体制を構築することで、社会に貢献していく。」のもと、事業活動を通じて、持続可能な社会の実現のために、サステナビリティに関する課題に取り組んでおります。
また、当社グループのタイル事業においては、SDGsの17のゴールに向け
・安心安全な製品を提供するために
・環境に配慮した製品づくり
・製造工場としての責任
・働きやすい環境への取り組み
・地域に愛される企業
の5つの方針を持って取り組んでおります。
現時点においてサステナビリティに特化した組織を設置しておりませんが、当社は当社グループにおけるサステナビリティについての基本方針の策定・実施及びグループ各社の実施状況を管理監督する立場にあり、サステナビリティに係るリスクを含む課題の解決に向けた体制づくりを進めて参ります。
当社は、人材は当社グループの持続的な成長を支える最も重要な資本であると考え、それぞれの社員の個性、特性を尊重し、働きがいをもって仕事に取り組める環境整備に努めております。また、社員一人ひとりのポテンシャルを最大限に活かさせるための目標管理制度及び人事評価制度によって、人的資本の強化に努めております。
なお、当社グループの2023年における育児休業を取得した社員は100%でありますが、2024年における育児休業を取得した社員はいるものの、2024年内に職場復帰した社員がいないため職場復帰率を算出しておりません。(2023年実績1名、2024年実績なし)
人的資本に係る指標については、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業内容は、主として建設用陶磁器とその関連製品の製造・販売・施工であります。このため、住宅着工戸数の減少、厳しい価格競争の激化及び個人消費の動向の変化等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製造過程において使用されるエネルギー、重金属など原材料の価格変動について、急激に高騰した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製品の品質については、滑り抵抗など社内基準、ISO品質マネジメントシステムを登録・活用して製造しております。製造物責任賠償保険に加入しておりますが、万一、製品事故の発生及び品質の問題が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多品種(色数×形状)の製品を取扱うため、品目ごとに標準在庫を設定し運営しております。販売予測と実際の乖離が生じ滞留在庫が多量に発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、外貨建資産を所有しております。急激な為替相場の変動が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、地震等の自然災害が発生した場合、従業員が被災するリスク、生産拠点における設備及び棚卸資産等に大きな被害が発生するリスクがあります。また、感染症等が流行した場合、従業員が感染するリスクがあります。
自然災害が発生した場合及び感染症が流行した場合、操業停止により生産及び出荷が遅延し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループには、将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりますが、これは9億8千7百万円の営業損失及び8億9百万円の営業活動によるキャッシュ・フローの減少を計上しているためであります。
このような状況の中、当社グループの取り組みといたしましては、タイル事業につきましては、販売体制の強化を図り、指定力向上に努めるとともに、高付加価値商品の拡販による利益率の改善に努め、生産工場におきましては、稼働率の改善による原価低減を図って参ります。
不動産事業につきましては、引き続き新規顧客の開拓による更なる事業拡大に努め、タイル事業への相乗効果を高めるとともに、遊休不動産の活用も引き続き進めることにより赤字体質からの脱却を目指し、当連結会計年度計上の営業損失9億8千7百万円を早期に解消し、営業黒字体質の構築に取り組む所存であります。
宇都宮工場跡地開発につきましては、引き続き開発事業を進めて参ります。
なお、資金面に関しては、急激な市場環境等の変化に対応するための資産を有しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等による経済活動の活発化や好調なインバウンド需要を背景に緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、物価の上昇による個人消費や企業への影響は今後も継続するものと考えられ、不安定な国際情勢や世界的なエネルギー・原材料価格の高騰や急激な為替変動等、国内経済に与える影響については、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境下、当社グループは、タイル事業につきましては、引き続き高付加価値商品の拡販に努め、WEB・SNS等によるプロモーションの強化、施主・設計事務所等に対する川上営業活動を充実させて参りました。しかしながら、建設業界において建築資材や人件費の高騰等が建設予算に大きく影響し、タイルの施工面積が当初の設計段階より減少する傾向にあり、廉価品や他部材への変更等の影響を受けましたが、売上高はほぼ前連結会計年度並みの結果となりました。また、依然として続く運賃やエネルギー資源の高騰、急激な円安は、製造コストや建築物の建設費にも大きく影響を及ぼし、今後も厳しい環境が続くものと予想され、今後のタイル販売数量の大幅な増加は期待できず、いかに高付加価値品や高利益品を商品開発して拡販していくかが重要と考えております。そのため前連結会計年度より国内外の著名なデザイナーとのコラボレーションによる新製品開発をはじめ、2024年4月にはイタリア・ミラノデザインウィークへの出展、2024年11月には新事業部を開設し販売を開始する等、新しいブランド「A.a.Danto(Alternative Artefacts Danto)」の立ち上げと商品開発を推し進めて参りました。これまでに無い斬新かつ挑戦的なデザインと高い品質の製品を淡路島工場で開発・製造し、国内外に広く情報発信することで需要を開拓し、今後のタイル事業の柱として育てていく方針であります。製造コストの高騰に対しては、引き続き価格改定を実施することで適正な利益の確保、営業体制の刷新による拠点の集約や在庫圧縮による倉庫の縮小等のコストダウンを実施したことにより、タイル事業のより一層の収益改善に取り組んで参ります。当社グループは、本年8月に創業140周年を迎えるに当たり、創業時の精神に立ち返り、連結子会社東日本ダントータイル株式会社は、2025年1月1日付で創業時の社名である株式会社淡陶社へ商号を変更いたしました。
不動産事業につきましては、円安を背景とした海外投資家の日本の不動産への投資意欲は旺盛で、これまで同様に安定収益が見込める東京都心のオフィスや賃貸住宅の取引は堅調に推移しており、インバウンドを背景とした観光業の回復により、ホテルへの投資需要も高まりました。また、建築費の高騰も継続しており、開発用地の確保が厳しい状況で不動産売買市場の需給は逼迫しており、投資家の日本の不動産投資に積極的な姿勢は、当面継続すると見込まれます。このような環境下、当連結会計年度におきましても、受託資産の拡大に努め、複数の追加のアセットマネジメント業務を受託する一方で、マーケット環境が堅調なことから欧州の投資家が保有する東京都心のオフィスビルの売却も実施致しました。また、戦略投資事業として東京都内のホテルの再生事業とその他のアドバイザリー業務を受託いたしましたが、不動産の媒介業務等が伸び悩み、売上高は前連結会計年度を下回る結果となりました。
また、前連結会計年度より、新規事業として、自己資金によるエクイティ投資や収益不動産の取得等の事業を開始しましたが、具体的な案件の獲得による投資実行に向け検討を進め、早期の事業確立を目指して参ります。
連結子会社ダントーテクノロジーズ株式会社において、ワールドワイド・イノベーションテクノロジーの可能性を持つ、日本のベンチャー企業の発掘と育成、特にその資金面でのサポートを目的としたワールドワイド・イノベーション事業に取り組んでおり、環境問題となっている難処理廃棄物を処理する水プラズマ発生装置、世界中に無数にある小規模排熱を電気エネルギーに変換することでCO2削減と地球温暖化に貢献する超小型バイナリー発電装置、次世代バッテリー、海水淡水化装置及び水素発生装置の開発等に支援を行いました。今後もこれらの事業化の実現と他にも有望な技術を持つ企業の発掘と投資を進めて参ります。なお、当該事業については、連結子会社タッチストーン・キャピタル・マネージメント株式会社との協業で推し進めて参ります。
連結子会社ダントーパワー株式会社(旧社名:株式会社日本高分子材料研究所)において、予てより推し進めていた非常用LPガス発電機事業につきましては、大手通信企業グループ及び大手通信建設会社、大手物流総合商社との販売代理店契約を締結し、全国規模の販売網の構築に努めました。今後はこれらの販売網を活用し、従来の発電機に対する優位性をアピールしながら、売上の拡大を目指して参ります。
新規事業として、発電施設、蓄電施設開発等の将来のエネルギー問題解決に寄与するため、再生可能エネルギー事業への取り組みを目的とし、2024年7月4日付で連結子会社ダントーソーラー株式会社を設立いたしました。
また、2024年4月3日付で連結子会社Danto Investment Management,Inc.の全株式(所有割合100.0%)を譲渡したことに伴い、Danto Investment Management,Inc.及び同社が所有する持分法適用関連会社SRE Technologies Inc.(所有割合20.6%)は、当社の連結の範囲から除外されることとなりました。
当社グループといたしましては、2024年5月15日付で連結子会社であるタッチストーン・キャピタル・マネージメント株式会社及びダントーテクノロジーズ株式会社におけるエクイティ投資資金及び事業戦略における運転資金の調達を目的として、第三者割当による新株予約権の発行及びその行使による資金調達を行う新株予約権の買取契約を締結いたしましたが、2024年9月13日公表の「第1回新株予約権(行使価額修正条項付)の取得及び消却に関するお知らせ」のとおり、本買取契約を合意解約し、残存する本新株予約権を取得日である2024年10月1日において全部を取得し、取得日において消却いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は53億1千5百万円(前年同期55億5千4百万円)、営業損失9億8千7百万円(前年同期8億6千万円)、経常損失9億9千1百万円(前年同期9億5千4百万円)、固定資産売却益6億1千1百万円及び関係会社株式売却益3億1千5百万円等を特別利益に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益3千3百万円(前年同期9億5千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
イ.建設用陶磁器等事業
当連結会計年度において建設用陶磁器等事業の売上高は46億7千6百万円(前年同期46億7千4百万円)、営業損失は10億4千万円(前年同期10億5百万円)となりました。
ロ.不動産事業
当連結会計年度において不動産事業の売上高は7億3千1百万円(前年同期9億8千7百万円)、営業利益は5千4百万円(前年同期1億4千9百万円)となりました。
ハ.住宅金融事業
当連結会計年度において、住宅金融事業の事業会社であるSRE Technologies Inc.を所有するDanto Investment Management,Inc.の全株式を譲渡したため、住宅金融事業の売上高を計上しておりません。営業損失は0百万円(前年同期2百万円)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産の売却による収入6億1千6百万円、無形固定資産の売却による収入3億2千万円及び減価償却費2億7百万円等が加算されるものの、固定資産売却益6億1千1百万円、関係会社株式売却益3億1千5百万円及び投資不動産の取得による支出2億5千2百万円等が減算されたことにより、前連結会計年度末に比べて1億3千3百万円減少し、3億6千万円となりました。
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、8億9百万円となりました。これは、主に、減価償却費2億7百万円及び売上債権の減少額1億4百万円等が加算されるものの、固定資産売却益6億1千1百万円、関係会社株式売却益3億1千5百万円及び法人税等の支払額6千4百万円が減算されたこと等によるものであります。
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は、5億6千7百万円となりました。これは、有形固定資産の売却による収入6億1千6百万円、無形固定資産の売却による収入3億2千万円及び投資有価証券の売却による収入1億5千1百万円等が加算されるものの、投資不動産の取得による支出2億5千2百万円及び有形固定資産の取得による支出1億8千6百万円等が減算されたこと等によるものであります。
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、1億1千2百万円となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入1億7千万円等が加算されるものの、短期借入金の減少額4千4百万円及びファイナンス・リース債務返済による支出1千1百万円が減算されたこと等によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、外注製品受入高(2,120百万円)を含めております。
(注) 金額は、販売価格によっております。
受注生産品は、僅少であるため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
イ.経営成績の分析
当連結会計年度の建設用陶磁器等事業につきましては、引き続き高付加価値商品の拡販に努め、WEB・SNS等によるプロモーションの強化、施主・設計事務所等に対する川上営業活動を充実させて参りました。しかしながら、建設業界において建築資材や人件費の高騰等が建設予算に大きく影響し、タイルの施工面積が当初の設計段階より減少する傾向にあり、廉価品や他部材への変更等の影響を受けましたが、ほぼ前連結会計年度並みの結果となりました。
不動産事業につきましては、円安を背景とした海外投資家の日本の不動産への投資意欲は旺盛で、これまで同様に安定収益が見込める東京都心のオフィスや賃貸住宅の取引は堅調に推移しており、インバウンドを背景とした観光業の回復により、ホテルへの投資需要も高まりました。また、建築費の高騰も継続しており、開発用地の確保が厳しい状況で不動産売買市場の需給は逼迫しており、投資家の日本の不動産投資に積極的な姿勢は、当面継続すると見込まれ、当連結会計年度におきましても、受託資産の拡大に努め、複数の追加のアセットマネジメント業務を受託する一方で、マーケット環境が堅調なことから欧州の投資家が保有する東京都心のオフィスビルの売却も実施致しました。また、戦略投資事業として東京都内のホテルの再生事業とその他のアドバイザリー業務を受託いたしましたが、不動産の媒介業務等が伸び悩み、売上高は前連結会計年度を下回る結果となりました。
ワールドワイド・イノベーションテクノロジーの可能性を持つ、日本のベンチャー企業の発掘と育成、特にその資金面でのサポートを目的としたワールドワイド・イノベーション事業に取り組んでおり、環境問題となっている難処理廃棄物を処理する水プラズマ発生装置、世界中に無数にある小規模排熱を電気エネルギーに変換することでCO2削減と地球温暖化に貢献する超小型バイナリー発電装置、次世代バッテリー、海水淡水化装置及び水素発生装置の開発等に支援を行いました。今後もこれらの事業化の実現と他にも有望な技術を持つ企業の発掘と投資を進めて参ります。
予てより推し進めていた非常用LPガス発電機事業につきましては、大手通信企業グループ及び大手通信建設会社、大手物流総合商社との販売代理店契約を締結し、全国規模の販売網の構築に努めました。今後はこれらの販売網を活用し、従来の発電機に対する優位性をアピールしながら、売上の拡大を目指して参ります。
新規事業として、発電施設、蓄電施設開発等の将来のエネルギー問題解決に寄与するため、再生可能エネルギー事業に取り組んで参ります。
これらの結果、売上高は53億1千5百万円となり、前連結会計年度を2億3千9百万円下回る結果となりました。
営業損失につきましては、商品構成の再構築を行い、製品の除却及び評価損を計上により在庫の圧縮を実施し、また、生産数量の減少に伴う稼働率の悪化等による製造原価の上昇などにより9億8千7百万円となりました。
経常損失につきましては、持分法による投資損失3千万円を営業外費用に計上したことなどにより9億9千1百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、固定資産売却益6億1千1百万円及び関係会社株式売却益3億1千5百万円等を特別利益に計上したことにより、3千3百万円となりました。
ロ.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、経済情勢の変動や各種法規制等による影響、自然災害の発生が外的要因として挙げられます。また、内的要因としては、組織体制が機能しない場合の影響、生産効率の悪化、棚卸資産の過剰在庫などが挙げられます。詳細につきましては、「第2 事業の状況 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループにおける資金需要の主なものは、建設陶磁器等事業における製造費用及び設備投資資金、また、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金であります。当社グループの資金の源泉は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、自己資金であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する会計方針や、連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益費用の報告金額に影響を及ぼす見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。
・棚卸資産の収益性の低下
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
・固定資産の減損
当社グループでは、減損損失の認識及び測定を行う単位としての資産のグルーピングを行い、減損損失を認識する必要のある資産又は資産グループについて、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減少額を減損損失として計上しております。減損損失の認識及び測定にあたっては、その時点における合理的な情報等を基に将来キャッシュ・フローの見積りを行っておりますが、事業計画や市場環境等の変化により、見積りの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、すべて建設用陶磁器等事業に係るものであり、東日本ダントータイル株式会社(現 株式会社淡陶社)の商品開発方針に基づいて行われ、総合企画室、商品センター、淡路島工場及び技術研究所が連携して研究開発活動を推進しております。その内容といたしましては、主に新商品及び新製法の研究開発となります。
当連結会計年度の研究開発活動といたしましては、2022年に発足した新規ブランディングプロジェクトによって2023年に立ち上げた新ブランド:Alternative Artefacts Danto(オルタナティブアーティファクツダントー、以下A.a. Dantoと記載)品の初期生産に取り組み、生産ラインの改良や製造方法の開発を行ってまいりました。福良事業所においては、高意匠及び機能性のある高付加価値商品の開発を中心課題とし、特注品の対応を積極的に受け入れ、中でも福良事業所の窯の特徴を活かすことによって、これまで使用困難であった淡路島産の瓦粘土を使用した特注品の開発を行いました。さらに、A.a. Danto品のうち海外コラボレーターであるインディア・マダヴィさんのシリーズにラインアップされている「マイセリウム」という製品は、陶芸の釉薬技術としてよく見られる結晶釉の技法であり、通常のトンネル窯やローラー窯では製造不可能な製法を技術研究所による基礎試験を重ねることで製造条件を追求し、新製品として開発することができました。
このように新たな原料や製法について積極的に取り組むことで技術力向上に努めてまいりました。
なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は