第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、経営理念として「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を掲げております。好きなコトやモノに熱中し、「瞬く間に時間が過ぎた」という経験は、誰もが有していることと思います。この誰もが経験したこと=「夢中」になるということは、今後の人生において、自身を形づくり、個性を育むことに繋がっていく大きなチカラになると当社は考えています。


 

ミッションである「子どもの夢中を育て、応援する」は、子どもの夢中に寄り添い、育て、活性化することで成長をサポートしていくための取組みであり、人は何かに夢中になる経験を通して、自分の持つ能力をさらに伸ばすことができるという考えに基づいています。

ものごとに夢中になる時は、共通して「興味」「行動」「達成」「ご褒美」の4つの要素がまわり続けることによって頭の中のサイクルがループするという法則があります。

当社では楽しいからこそ何度でもチャレンジしたくなるような、子どもに寄り添ったプロダクトを徹底して作り続けることで、子どもたちが夢中になる体験を創出していきます。

子どもが夢中になることで発せられる熱量が、家族や友達などへ思いを伝搬し、それが企業様へと繋がることで、結果としてファンの創出に繋がると私たちは確信しており、そのために、当社の社名である「キッズスター」に込められた「子どもが主役」であるとの強い思いを根幹とした事業を、引き続き展開してまいります。

 

 

(2) 経営戦略について

当社の成長戦略は、顧客数と顧客単価の最大化となります。顧客数及び顧客単価の内容は下記のとおりです。

 

<顧客数>

国内ごっこランドのパビリオン出店数

海外ごっこランドのパビリオン出店数及び展開国

 

<顧客単価>

ごっこランドEXPOの開催数、及び、ごっこランドの継続年数

ごっこランドの販売価格

 


 

<顧客数の増加:国内ごっこランド>

営業体制の拡充により、パビリオン出店数の増加を図ります。

 

・パビリオン出店数の推移(単位:店)


 

<顧客数の増加:海外ごっこランド>

ベトナム版「Gokko World」に、2024年12月に初のパビリオン出店企業が誕生しております。更なる成長に向けて、2025年12月期第2四半期に、現地法人の設立を予定しております。

 

 

<顧客単価アップ:ごっこランドEXPO>

リアルイベントの取組みにより、ごっこランドのパビリオン出店企業との関係性を強化し、パビリオン出店企業の契約継続に努めてまります。2024年12月期には、5ヶ所にて開催いたしましたが、2025年12月期には、約30ヶ所の開催を目指してまいります。

 

<顧客単価アップ:ごっこランドの月間プレイ回数の増加>

コロナ禍の巣ごもり需要によりユーザーが増加し、過去2年間におきましては、ユーザーのプレイ回数が微増の傾向でしたが、直近である2025年1月では、前年同月比23%となり、ごっこランドの販売価格改定の余地を含んでおります。

 

・月間プレイ回数の推移(単位:万回)


 

 

 

(3) 経営戦略上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、経営戦略上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、営業利益を重視しており、中期的な事業拡大と収益率の向上により企業価値の向上と株主価値の向上を図ってまいります。

また、当社のビジネスモデルを勘案した上で、成長ドライバーとなる指標は、「ごっこランド」のパビリオン出店数となります。加えて、サービス認知度を評価するため、累計ダウンロード数や、ユーザーの利用状況を評価するためのプレイ回数についても主要な指標としております。

 

(4) 経営環境について

当社の主力サービスである「ごっこランド」は、主に3歳から10歳のお子様に多く利用されているサービスであり、子どもたちが楽しみながら「社会体験(ごっこ遊び)」ができるアプリとなります。そのビジネスモデルは、子どもユーザーの利用は無料とする一方、企業・団体から出店料を収受しております。なお、「ごっこランド」は、配信開始から10年が経過しており、現在も成長し続けております。企業・団体が「ごっこランド」へ出店する理由としては、一般消費者向けのマーケティング、社内外のブランディング、広報活動、DXの取組み及びSDGs等の社会的な取組みも含めて多岐にわたっております。それらの該当する市場は複数存在するものと考えられます。その一例として、子ども関連ビジネスの市場が考えられ、株式会社矢野経済研究所が公表する「こども関連ビジネス市場に関する調査を実施(2024年)」によると、日本国内における2023年度の子ども関連ビジネスの市場規模は、10兆6,962億円と推計されており、2024年度につきましては、前年度比0.9%増の10兆7,938億円予測がなされております。また、一人当たり教育費は、参議院の調査室が発行する「経済のプリズム」によると、子ども一人当たりの年間教育費は増加傾向にあり、1990年代前半には30万円未満だった年間教育費は、2017年には37.1万円に上り、子ども一人当たりの通算の教育費は、この30年で100万円以上増加し、家計は教育費の削減においては消極的であるように考えられ、当社においては、今後もこの傾向は継続していくものと予測しております。加えて、2023年8月に、当社サービス「ごっこランド」の海外版として、「Gokko World」の配信を開始しておりますが、世界の人口規模は、総務省統計局が公表する「世界の統計2025」によると、2020年において78億人に達し、10年後の2030年には、85億人に達する見込みであり、その内の約23%が15歳未満の人口と予測されており、子育て世代をターゲットとする当社サービスの潜在的な市場規模は大きく、今後の事業拡大の余地が十分にあるものと考えております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 優秀な人材の確保と組織体制の強化

当社は、今後の更なる事業拡大のためには、優秀な人材の確保及び当社の成長に応じた組織体制の強化が重要な課題であると認識しております。

人材の確保においては、中途採用を中心に、当社の事業に対する興味、意欲を持ちつつ、当社が求める資質を兼ね備え、企業風土に合致した人材を採用・登用する方針であります。また、従業員同士が連携し、最大限のパフォーマンスを発揮できるように、教育体制の整備を進め、人材の定着と能力の底上げを行っていくことで、組織体制の強化に取組んでまいります。

 

② 内部管理体制の強化

当社は成長段階にあり、業務効率の向上やコーポレート・ガバナンスの強化を図るためには、更なる内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。当社は、ファミリー層に向けたビジネス展開を実施する事業の性質上、社会的信用を得ることは必要不可欠と考えております。そのためにも健全性の高い組織を構築し、永続的に維持していくことが、会社存続のために重要であると認識しており、今後も引き続き、経営の透明性・健全性を確保するために、内部管理体制の整備・充実に努めてまいります。

 

 

③ 新サービス・事業の確立

当社は、子どもの夢中に寄り添い、育て、活性化することで子どもの成長をサポートしていくことを目的として、「子どもの夢中を育て、応援する」をミッションに掲げており、「インターネットメディア事業」として、「ごっこランド」を中心としたファミリー向けデジタルコンテンツの開発及び提供をしておりますが、インターネットに触れる機会が今後も増す状況下においては、当社の事業及びサービスと関係する市場の需要と供給に、急速な変化がある可能性があり、新サービス・事業の確立についても積極的に検討する必要があると認識しています。当該検討に関しては、人材の採用、外部リソースの活用及び研究開発等の活動を実施してまいります。

 

④ 最新技術の利用

近年では急速な技術革新が行われており、経済及び社会に大きな変化を引き起こしつつあります。当社としても最新技術を取り入れた事業を積極的に展開しておりますが、AR(拡張現実)、メタバース(仮想空間)及び人工知能(AI)といった最新のデジタル技術を業務プロセスやサービスに組み込むことは、今後の事業拡大のためには必要不可欠であると捉えており、最新技術に対する調査研究は継続的に実施していく予定です。

 

⑤ 財務上の課題

当社においては、本書提出日現在、事業運営に必要な手許資金は確保されており、対処すべき財務上の課題はありません。ただし、今後の事業拡大に備えて、引き続き財務体質の強化を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社は「子どもの夢中を育て、応援する」をミッションに掲げており、ファミリー層に向けたビジネス展開を実施する事業の性質上、社会的信用を得ることが必要不可欠と考えております。経営の透明性・公正性・迅速性の維持・向上を図り、社会的信頼性の確保に取組んでまいります。詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照下さい。

 

(2) 戦略

当社のサービス「ごっこランド」は、「子どもたちの身の回りにある商品、サービス、社会インフラ」を、当社においてコンテンツ化し、スマートデバイス上のアプリを提供することで、子どもたち自身が「ごっこランド」を通じて社会体験をするものです。当該サービスを支える人材は、当社の持続的な成長や企業価値の向上を実現していく上で、重要な経営資源であると考えており、フレックスタイム制度やリモートワーク制度を導入し、個々人が適切に能力を発揮できる環境整備に努めております。また、人材採用においては、男女の区分なく中途採用を進めており、多様な人材の受け入れに注力しております。

 

(3) リスク管理

当社では、コンプライアンスの確保とリスク管理を一体として推進することを目的として、コンプライアンス・リスク管理規程を定めております。当社のリスクを把握・評価し、当該リスク対応について経営判断すると共に、法令、社内規程、取引に関する契約等、社会的規範の遵守を目的としております。日常的なリスクに関しては、定期的に開催する経営会議において、協議・報告しております。また、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、事業に関連する法令等につき、協議・報告を行い、全社的なリスクマネジメント体制を構築しております。

 

(4) 指標及び目標

当社では、上記「(2)戦略」に記載したとおり、社内環境の整備に努めておりますが、現時点では定量的な指標及び目標は設定しておりません。なお、2024年12月末時点では、従業員に占める女性比率が約半数となり、多数の女性が活躍しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社が、本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、当社では、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断をする上で、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示することとしており、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が記載することが妥当であると判断したものです。また、将来において発生する可能性のあるリスクを全て網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 業界の動向について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

インターネットメディア、非対面型・非集合型の教育サービス市場の市場規模はスマートフォン、タブレット端末等の普及による生活の変化もあり、従来より拡大傾向にありましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大が契機となり、コロナ禍における事業活動の体制が整ったこと、また一般消費者の生活スタイルや習慣、行動、意識について多様化が進んだことで、世界規模のより一層のデジタル化が進むと予測されます。

一般生活においても、幼少期から老年期に至るまで、インターネットに触れる機会が今後も増す状況下において、利用に関する制約等の事項を含む法規制、人々のオンラインサービス、取引に関する意識改革に伴う需要の変化、プライバシーや精神的な問題を含む安全性への意識の変化等により、当社の事業及びサービスと関係する市場の需要と供給に、急速な変化があった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、これらに起因する事象は重要なリスクと認識しているものの、現在のところ顕在化の可能性は高くないと考えられ、当社としては、顕在化する際に備えるため、市場及び業界の動向を常に把握し、必要な対策、体制を常に検討し、リスクの回避に努めてまいります。

 

② 競合企業によるリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

内閣府公表の「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、子どもの30%以上が、自宅や学校から配布・指定されたパソコンやタブレット端末等を通じて、勉強・学習・知育アプリや、その他インターネットサービスを利用して勉強しており、近年は、学習塾運営会社による知育アプリのリリースや、従来、教育市場に参入していなかった大手通信会社が教育市場参入する等、当社を取り巻く競争環境は激化していると考えられます。

今後も同業他社のみならず、異業種からの新規参入等が相次いで起こり、類似サービスとの明確な差別化が困難となり、ユーザーのニーズを適切に捉えて、サービス品質の向上等ができなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 技術革新によるリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

インターネットを通じて、デジタル化されたサービス等が数多く生まれ、流通する中、近年では急速な技術革新が行われており、経済及び社会に大きな変化を引き起こしつつあります。AR(拡張現実)、メタバース(仮想空間)及び人工知能(AI)といった最新のデジタル技術を業務プロセスやサービスに組み込むことは、当社として、今後の事業拡大のためには必要不可欠であると捉えており、最新技術に対する調査研究は継続的に実施していく予定です。

しかしながら、当社として予期しない技術革新による大きな需要等の変化があった場合、当社が、当該環境変化に適用できなかった場合は、技術的優位性やサービス競争力が低下し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ プラットフォームへの依存について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は、ユーザーに対して、Apple Inc.及びGoogle LLCが運営するアプリストア等のプラットフォームを通じてアプリを提供していること、また、コンテンツの開発においては、Unity Software Inc.が提供している開発エンジンを利用していることから、これらを運営する事業者の動向、事業戦略、規約等の変更により、従来のサービスの提供方法が大きく変化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、リアルにおけるイベントの開催等、現在利用しているプラットフォームのみに依存することなく、ファンや収益の獲得等を検討してまいります。

 

(2)当社事業に関するリスク

① 特定のサービスへの依存について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

当社の収益は、主要サービスである社会体験アプリ「ごっこランド」の運営により顧客から収受する出店料が収益全体の約8割を占めております。また、今後もマーケティング及びセールス活動の拡大、認知度向上等を通じて当該サービスに係る収益は拡大していくものと考えております。当社では、事業規模の拡大並びに特定のサービスへの依存度の低減を目的として、新規事業の検討を含めその他主要サービスの拡充は継続していく方針ではありますが、今後新たな法規制の制定、改正、その他予期せぬ要因により、収益構造に重大な変化が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 顧客との関係継続に関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は、顧客との関係を強化し、ブランディング戦略の一環として当社の提供するサービスが活用されることで顧客の事業上のパートナーとしてあり続けることを目指しております。しかしながら、顧客ニーズの変化による予算縮小又は顧客からの要望の変化に対応できず、顧客と当社との間の契約に影響を与える場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、カスタマーサービス等の拡充等により、顧客の需要に応える体制を構築し、関係継続に努めてまいります。

 

③ 顧客の信用リスクについて

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社は、与信管理規程に基づき、新規取引開始時の与信限度額の設定及び既存取引先に対する与信限度額の見直しを図り、徹底して売上債権の回収に関するリスクを低減するよう努めております。

本書提出日現在、重大な信用リスクのある顧客はおらず、また、当社の取引の大部分を占めるような特定の顧客は存在せず、また、そのような顧客に対する債権も存在しないため、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える兆候は、現時点では存在しないと考えております。しかしながら、今後の顧客の収益及び財政状態の急激な悪化等が重なることにより、大規模な売上債権の回収遅延又は回収不能が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ プロジェクトの採算及び売上高計上時期の相違に関するリスク

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社が提供するサービス「ごっこランド」におけるゲーム等のデジタルコンテンツの開発は、開発の開始から約6ヶ月間をかけて開発が完了し、リリース後から契約終了日までの対価を受領しております。プロジェクトごとに開発工数や開発費用に、特筆すべき大きな乖離は存在せず、開発進捗は月次で確認を実施しており、本書提出日現在まで大幅な開発遅延等が発生した実績はないものの、今後予期せぬ不具合の発生等により、開発工数が大幅に増加した場合、顧客からの追加要望により、大規模な改修の必要性が生じた場合には、当初見積もった売上原価を超過する可能性や、予想される売上高の計上時期に遅延が生じ、当社の経営成績、財政状態及び業績予想に影響を及ぼす可能性があります。上記のとおり、一定のリスクは存在するもののプロジェクト管理の体制拡充を含め、リスクの軽減に努めてまいります。

 

 

⑤ 外注先等の確保に関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社は、各案件の開発において基盤・コアとなる業務以外の表層箇所部分への対応については、必要に応じて協力会社、業務委託者(以下、「外注先等」)に外注しております。現状では、技術的に依存している外注先等は存在しておらず、既存の外注先等とは、長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、何らかの要因により、急遽、外注先等の要員に不足が発生し、代替先の手配又は社内リソースの確保が困難な場合には、受注活動の抑制及び開発活動が遅延し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 海外展開に関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は、2023年8月に、当社サービス「ごっこランド」の海外版として、「Gokko World」の配信を開始しており、2025年1月の取締役会にて、ベトナム社会主義共和国に子会社を設立することを決議しております。中長期的に、アジア諸国への更なる展開を検討しておりますが、各国における政情不安の発生、当社事業に関連する法規制の成立又は改正等が生じた場合には、当社の事業運営に影響を及ぼし、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社では、現地企業又は現地の情勢、動向に相当の知見を有する外部専門家と適宜情報共有を図り、また、社内においても現地特有の情報の共有を図りつつ、必要な場合は専門人材の拡充も含め、適切に対応してまいります。

 

⑦ 新規事業に関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は、インターネットメディア事業の単一セグメントでありますが、今後の事業の拡大のため、更なる中長期的な収益源の確保を目的として、既存事業の拡大のみならず、積極的な新規事業の検討、展開が必要であると考えております。そのため、当社では、社内に新規事業開発に係る組織を設置し、新規事業及びサービスの企画、開発を実行しておりますが、今後新規に展開した事業及びサービスが、予測不能な外部環境の変化により、投資に見合わず、期待どおりの成果をあげられない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)経営管理体制に関するリスク

① 内部管理体制の整備について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社は、企業価値を継続的かつ持続的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスに沿った企業運営が必要不可欠であると認識しており、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するために、内部統制基本方針及び財務報告に係る内部統制の基本方針を制定しております。それらに準拠した内部統制システムの整備・運用を実行している他、法令及び諸規程の遵守を徹底しており、現時点では、一定の内部管理体制を構築しているものの、今まで経験したことのない事象等の発生により、適切な内部管理体制の構築が遅延する場合、当社の事業運営に影響を及ぼし、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 小規模組織であること

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社は、2024年12月末日時点において従業員数59名(臨時従業員含む)の小規模な組織であり、各業務遂行において各役職員への依存度が高い傾向にあります。今後、会社規模に応じて個人に依存しない事業運営体制を構築していく予定ではありますが、役職員が予期せず退任又は退職した場合や内部管理体制や事業運営体制の構築に遅延が生じた場合には、当社の事業活動に影響を及ぼし、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ コンプライアンス・法改正等に関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社は、インターネットメディア事業を運営する会社であり、主にソフトウエア開発業務を中心に、下請法、労働関係法令、個人情報保護法及び知的財産権等関係法令が適用されます。また、アプリ上のプロダクト説明及びWEBメディアにおける商品紹介においては、不当景品類及び不当表示防止法による規制が適用される可能性があります。

そのため、当社では、コンプライアンス・ポリシーを制定している他、関係法令に関して、コンプライアンス・リスク管理委員会において、各法令の留意点と当社の対応状況、課題について、適宜議論を行い、適用法令一覧表として整備することにより、法改正への対応や新規に適用される法令の有無について、定期的に確認を実施しております。コンプライアンスの強化については、全社にて対応を図っておりますが、今後、事業又はサービスを直接的に制限する新しい法令等の制定や、既存法令の改正が行われた場合には、当社の事業内容、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、今後も引き続き、関係法令の動向を注視すると共に、法規制の遵守のために社内教育や体制の整備を図ってまいります。

 

④ 労務に関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社は、ファミリー向けのデジタルコンテンツを提供している会社として、業務以外の時間も重要視しており、各個人のライフスタイルに合わせた適切な労働環境の提供を図っております。優秀な人材の確保及び定着率の向上のため、労働基準法第32条の3に定めるフレックスタイム制による勤務形態を導入しており、子育てや介護を含む各従業員の生活環境やライフスタイルに合わせた勤務が可能となっております。また、希望者はリモートワークにおける就業が可能なため、通勤による負担の軽減、働きやすい環境の実現、育児や介護の両立を促進しております。

当社は、従業員の労働環境や勤務状況については、最大限の配慮を実施しているものと認識していますが、これらに関連する重大な訴訟等が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 人材の確保及び育成に関するリスク

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社では、優秀な人材の確保、育成及び定着は、今後の持続的な事業成長を実現させるための重要課題であると認識しております。このため、積極的な採用活動及び労務管理体制の整備に努め、優秀な人材を確保すると共に、社内研修及び社外研修の積極的な実施や人事制度の改善、柔軟な働き方を実現することで、人材の育成や定着率の向上を図っております。

しかしながら、景気の動向や採用市場に大きな変化があり、当社が求める人材を計画どおりに確保できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 情報及び情報システムに関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は、情報セキュリティ管理規程及び情報システム管理規程の整備、コンプライアンス・リスク管理委員会における議論の他、情報システムリスク一覧表を整備し、リスクの把握及び防止のための社内体制の整備に努めております。

各デバイスの利用状況及びセキュリティ状況を厳密に管理するため、MDMツール(※)を導入することでデータにアクセス可能なデバイスの制限、インストールの制御・管理、アクセス方法の制限をすると共に、サイバー攻撃対策ソフトの導入及びそのポリシーを周知並びに準拠させることで、厳格なセキュリティ体制を構築しており、またID及びパスワード管理においても、パスワードマネージャーを用いることにより、各システムへのログイン及びアクセスできる条件を設定し、外的要因による情報の漏洩に対して、可能な限りの備えをしております。

しかしながら、ヒューマンエラーや、その他予期せぬ要因等による情報漏洩の発生、悪意を持った外部者からのシステム環境の破壊等により、情報の破損等が発生した場合、損害賠償責任を負う可能性やユーザー及び顧客からの信用を失墜する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(注)MDMとは、Mobile Device Managementの略であり、MDMツールとは、主に業務で利用するノートパソコンやスマートフォンといったモバイルデバイスを管理するためのツールを指します。

 

⑦ 知的財産権等に関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は、知的財産等管理規程を整備しており、商標権の取得の他、事業に関連する知的財産権の獲得に努めており、第三者の知的財産権の侵害を防止するために、社内及び社外の専門家による調査等を適宜実施しており、本書提出日現在において、当社は第三者の知的財産権を侵害していないものと認識しております。

当社は、可能な限りの知的財産侵害等の防止体制を構築しているものと判断しておりますが、全ての第三者の知的財産権の状況を完全に把握することは困難であり、万一、当社が第三者の知的財産権を侵害していると公的機関に判断された場合には、損害賠償や差止請求等を受ける可能性があり、当社のサービス内容、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① 配当政策について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社は、株主に対する利益還元を経営上の課題の一つと認識しておりますが、当社は現在、成長過程にあるため、事業基盤の整備を優先し、事業の継続的な拡大を行うことが株主価値の最大化に資するとの考えにより、その原資となる資金の確保を優先する方針です。内部留保資金については、事業拡大に向けて、サービスや人材等に継続的に事業投資を実施し、資金を有効活用してまいります。

なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本としておりますが、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。また、剰余金の配当に関する決定機関は、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会として定めております。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社は、当社の役員及び従業員等に対するインセンティブを目的として、新株予約権(ストック・オプション)を付与しており、今後、これらの新株予約権が権利行使された場合、1株当たりの株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、2024年12月末日時点における、これらの新株予約権による潜在株式数は101,250株であり、発行済株式総数2,537,500株の3.99%に相当しております。

 

 

③ 資金使途について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、当社事業の更なる拡大のため、既存サービスの機能の追加・拡充のための人件費や採用費、開発活動に関する外部リソース活用資金、サービスの認知拡大のための販売促進費や広告宣伝費及びその他企業運営全般に関する運転資金を想定しております。

しかしながら、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定どおりの投資効果を得られない可能性がある他、市場環境の変化が激しく、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する必要性が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟等のリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は、コンプライアンスを経営の最重要事項として位置付けており、コンプライアンス・リスク管理規程を制定し、また必要に応じて啓発活動や研修を継続的に実施することにより、コンプライアンス意識の啓発を行い、当社の役職員が、法令及び定款等を遵守することを徹底しております。また、重要な訴訟等が提起された場合は、法務担当部門である経営管理部門が弁護士等と連携をとりながら、慎重かつ迅速に対応することとしております。

しかしながら、取引先等との第三者との間で予期せぬ訴訟、紛争等が発生した場合、内容及び結果によっては、損害賠償請求の発生や社会的な信用力の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、本書提出日現時点において、訴訟、紛争等は生じておりません。

 

⑤ 自然災害等によるリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社では、自然災害等の経営危機が発生した場合のために、危機管理マニュアルにおいて代表取締役を対策本部長とする対策本部の業務内容等について規定しており、有事の際に円滑に事業を再開、継続できるよう備えております。しかしながら、当社の事業は、インターネットや第三者が提供するアプリストア等のプラットフォームに依存しており、これらを提供する事業者に被害をもたらす自然災害等が発生した場合には、当社は事業を継続することができないこと又は事業を縮小する等の支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 資本関係について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社の主要株主である穐田誉輝氏(以下、「同氏」)は、当社の支配株主に該当いたします。同氏は、2024年12月末日時点において、当社の親会社である株式会社くふうカンパニーホールディングス(以下、「同社」)の議決権の過半数を所有しており、同社(議決権比率34.20%)と同氏(議決権比率27.59%)が所有する当社株式数を合計すると、その議決権比率は、当社株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の過半数となることから、同氏は、当社の支配株主に該当いたします。

同社と同氏は、同社が当社を連結子会社化する意向により、同社が決定した内容と同一の内容の議決権行使が可能となる株主間協定書を締結しており、同社は当社の親会社となりますが、同協定書の解除により、同社が当社の親会社に該当しない可能性があります。同協定書の解除要件として、同社及び同氏の当社株式の議決権を合算して過半数に満たない場合等が明記されております。また、その議決権の行使に当たり、株主共同利益を追求すると共に少数株主の利益にも配慮する方針を有しておりますが、将来的に何らかの事情によって、同社又は同氏が当社株式を売却することとなった場合には、当社株式の市場価格及び流動性に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑦ 親会社との関係について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

株式会社くふうカンパニーホールディングス(以下、「同社」)は、2024年12月末日時点において、当社株式の34.20%を所有しており、緊密な者又は同意する者の議決権27.59%を加えると、61.79%となり親会社に該当いたします。

現時点において、当社の事業と同社の事業の競合性が想定される事象は発生しておらず、また、役員の兼務、従業員の派遣、出向及び受け入れ出向等の人的関係はなく当社の事業戦略、人事方針等について、何ら制約等も受けていないため、経営の独立性は確保されていると認識しております。

しかしながら、将来において同社の事業戦略や、当社の位置付け等に著しい変更が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、2024年5月15日に公表の同社の2024年9月期第2四半期決算において、当社の所属セグメントが毎日の暮らし事業から投資・インキュベーション事業に変更となっておりますが、本件は同社が対象事業領域における事業を㈱ロコガイド及び㈱くふうAIスタジオに絞り、グループの経営リソースの集中と一体運営の徹底を図るため実施されたものであり、当社が同社の連結子会社であることに変更はありません(㈱ロコガイド及び㈱くふうAIスタジオは2025年1月1日付で統合し、統合会社の社名が㈱くふうカンパニーに変更されております。)。

また、今後同社と取引を行う必要性が生じた場合には、少数株主の利益を損なうことのないよう、取引理由及びその必要性、取引条件及びその決定方法の妥当性等について、取締役会において十分に審議した上で意思決定を行うこととしております。

 

⑧ 当社株式の流動性について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

当社は、2024年9月26日付で東京証券取引所グロース市場へ上場いたしましたが、流通株式比率は2024年12月末日時点において28.34%となっております。今後はストック・オプションの行使等による流通株式数の増加により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 新型コロナウイルス感染症等に関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

新型コロナウイルス感染症(以下、「同感染症」)の影響は限定的になりつつありますが、新規の感染症の発生可能性もあり、感染症に関する今後の影響については不透明であると考えられます。今後再び、大規模な行動制限といった生活環境の変化が発生し、景気の悪化を背景とした顧客の広告費及び販促費等の抑制により、受注の減少、売上の減少や利益率の低下、売上債権の回収遅延等が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社は、希望する者はリモートワークが可能な環境であり、リモートワークの実施による各部門における業務上の支障がないよう各システムや労働環境を整備しているため、同感染症の影響による行動制限等が発生した場合においても、事業の継続に影響を及ぼす大きな支障はございません。

 

⑩ 世界情勢に関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

ロシアによるウクライナ侵攻から始まった対ロシア制裁、またロシアにより非友好国として認定された日本国を含む各国の報復措置等の影響によるエネルギーや穀物等の価格の高騰が続く中、加えて、中東情勢の緊迫化の影響により、中東が主要な産出地である原油の価格のみならず、食糧や素材も含めて、物流の停滞が更なる価格の高騰を招きかねず、一部の事業者には未だ業績へのマイナス影響が懸念されております。

当社は、インターネットメディア事業を運営する事業者であり、直接的に本情勢による影響のある取引等はございませんが、世界情勢の不安定化による影響が長期化することで、市場環境や景気の悪化を背景とした顧客の広告費及び販促費等の抑制により、受注高及び売上高の減少や利益率の低下、売上債権の回収遅延等が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態

(資産)

当事業年度末における流動資産は2,302,397千円となり、前事業年度末に比べて1,737,538千円増加しました。これは主に、現金及び預金が1,671,250千円増加したことによるものです。固定資産は291,697千円となり、前事業年度末に比べて84,550千円増加しました。これは主に、ソフトウエアが49,737千円、ソフトウエア仮勘定が32,603千円増加したことによるものです。

繰延資産は、株式交付費を13,114千円計上いたしました。

これらの結果、総資産は2,607,210千円となり、前事業年度末に比べて1,835,203千円増加しました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は428,403千円となり、前事業年度末に比べて75,422千円増加しました。これは主に、前受収益が67,751千円、未払法人税等が13,084千円増加したことによるものです。

固定負債を2,081千円計上した結果、総負債は430,484千円となり、前事業年度末に比べて75,425千円増加しました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は2,176,725千円となり、前事業年度末に比べて1,759,778千円増加しました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資による資本金の増加824,600千円及び資本準備金の増加824,600千円、当期純利益の計上により利益剰余金が104,916千円増加したことによるものです。

この結果、自己資本比率は83.4%となりました。

 

② 経営成績の状況

当事業年度(2024年12月期)における当社の運営状況は、ファミリー向け社会体験アプリ「ごっこランド」におきましては、当事業年度末に累計ダウンロード数が750万を突破いたしました。累計ダウンロード数の増加は、「ごっこランド」の媒体価値の向上を示すものと考えております。パビリオン数は、当第4四半期会計期間(2024年10月~12月)に新規出店が相次ぎ、当初の計画通り当事業年度末において88店となりました。

また、2024年7月より「ごっこランド」のリアル版である「ごっこランドEXPO」を開始いたしました。「ごっこランドEXPO」は、大規模なモールや商業施設におけるファミリー向けイベントであり、アプリで慣れ親しんだ世界観を、全国各地で体験できる場所となります。ひと目で「ごっこランド」と感じられる装飾を施した会場で、子どもたちが楽しみながら学べるワークショップの開催、クイズラリー及びフォトスポット等を提供しております。これにより「ごっこランド」のパビリオン出店企業は、アプリのみならず、リアルな世界において、自社サービスや商品とのタッチポイントと良質な原体験を創出することができ、更なるファン作りに繋がることが可能になるものと考えております。なお、当事業年度においては、5ヶ所・7社の出店にて開催し、その参加者数は1万人を突破いたしました。

「ごっこランド」の海外版である「Gokko World」におきましては、アジア向けに展開するにあたり、2023年8月に、第1弾として、ベトナム版の配信を開始し、当事業年度末には累計ダウンロード数が120万を突破いたしました。日本国内と同様に、ユーザーは無料で利用できること、かつ、企業から出店料を収受するビジネスモデルを強みに、今後、子ども世代の人口増加が期待され、経済成長により潜在顧客となり得る企業の増加が大いに期待されるアジアを中心に、「ごっこランド」の海外展開を行ってまいります。なお、2024年12月には初のパビリオン出店企業として、キユーピー株式会社のグループ会社であるKEWPIE VIETNAM CO., LTD.(キユーピーベトナム)が出店いたしました。

次に、他企業との共同した取組みである事業開発支援・サービスデザインにおきましては、トヨタ自動車株式会社と当社の間における共同開発の取組みが進行し、2024年12月6日に、お子様とのクルマ移動を楽しくする位置情報ゲームアプリ「ポニット ポケットアドベンチャー」の配信を開始いたしました。

これらの結果、当事業年度の売上高は908,174千円(前年同期比18.7%増)、営業利益は169,032千円(前年同期比7.1%増)、経常利益は168,511千円(前年同期比8.2%増)、当期純利益は104,916千円(前年同期比4.4%減)となりました。

なお、当社は、インターネットメディア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前事業年度末に比べ1,671,250千円増加し、2,168,673千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果得られた資金は229,756千円となりました。これは主に税引前当期純利益162,827千円、減価償却費111,618千円の計上、前受収益の増加67,751千円があった一方で、売上債権の増加60,751千円、法人税等の支払額45,313千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果使用した資金は198,637千円となりました。これは無形固定資産の取得による支出198,637千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果得られた資金は1,640,130千円となりました。これは主に株式の発行による収入1,649,200千円があったことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社は、インターネットメディア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。

a 生産実績

当社が提供するサービスの性質上、生産実績に該当するものが存在しないため、記載を省略しております。

b 受注実績

当社が提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

c 販売実績

当事業年度における販売実績は次のとおりです。なお、当社はインターネットメディア事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を行っておりません。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

インターネットメディア事業

908,174

118.7

合計

908,174

118.7

 

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

トヨタ自動車株式会社

84,850

11.1

113,185

12.5

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。また、財務諸表の作成にあたっては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについて、合理的であると判断される指標を基に算出しておりますが、一定の不確実性が伴うことから、実際の結果については、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、財務諸表を作成するにあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析・検討内容については、次のとおりです。なお、財政状態の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態」に含めて記載しております。

 

(売上高)

当事業年度における売上高は、前事業年度と比べて143,377千円増加し、908,174千円(前年同期比118.7%)となりました。これは主に、社会体験アプリ「ごっこランド」の出店数が、前事業年度末における73店から当事業年度末においては88店に増加したこと、他企業との共同企画・開発の取組みが寄与し、事業開発支援や受託開発が増加したことにより、企業からの収益が増加したことによるものです。

 

(売上原価・売上総利益)

当事業年度における売上原価は、前事業年度と比べて51,912千円増加し、341,951千円(前年同期比117.9%)となりました。これは主に、社会体験アプリ「ごっこランド」の新規出店企業に係るデジタルコンテンツの開発が増加したこと、事業開発支援や受託開発に係る費用が増加したことによるものです。これらの結果、当事業年度における売上総利益は、前事業年度と比べ91,465千円増加し、566,222千円(前年同期比119.3%)となりました。

 

(販売費及び一般管理費・営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べ80,291千円増加し、397,190千円(前年同期比125.3%)となりました。これは主に、事業拡大に伴い、採用活動を強化したことにより、事業年度末において従業員数(臨時従業員含む)が8名増加し、人件費が増加したことによるものです。これらの結果、当事業年度における営業利益は、前事業年度と比べ11,174千円増加し、169,032千円(前年同期比107.1%)となりました。

 

(営業外損益・経常利益)

当事業年度における経常利益は前事業年度と比べ、12,798千円増加し、168,511千円(前年同期比108.2%)となりました。これは主に、助成金収入等を営業外収益に2,237千円、上場関連費用等を営業外費用に2,758千円計上したことによるものです。

 

 

(特別損益・当期純利益)

当事業年度において特別利益は新株予約権戻入益23千円を計上しております。特別損失はソフトウエアの除却に伴い5,707千円を計上しております。また、法人税等を57,910千円を計上した結果、当事業年度における当期純利益は、前事業年度と比べ4,787千円減少し、104,916千円(前年同期比95.6%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

当社の主な資金需要は、ソフトウエア開発のための開発費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、これらにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当する方針です。

しかしながら、今後更なる投資が必要となった場合には、必要に応じて、金融機関からの借入等による資金調達を実行する可能性がございます。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、今後も着実な業容拡大を維持しつつ、当社の社名である「キッズスター」に込められた「子どもが主役」との強い思いを根幹とした事業を構築・拡大していくためには、経営課題を解消することが最優先であると認識し、今後も最善の事業戦略を常に検討し、適切な対応を実行できるよう努めてまいります。

 

⑤ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の当社の経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、営業利益を重視しており、中期的な事業拡大と収益率の向上により企業価値の向上と株主価値の向上を図ってまいります。なお、2022年12月期の営業利益は104,078千円、2023年12月期は157,858千円、2024年12月期は169,032千円となります。

また、当社のビジネスモデルを勘案した上で、成長ドライバーとなる指標は、「ごっこランド」のパビリオン出店数となります。企業・団体が「ごっこランド」へ出店する理由としては、一般消費者向けのマーケティング、社内外のブランディング、広報活動、DXの取組み及びSDGs等の社会的な取組みも含めて多岐にわたっていると分析しております。なお、一定の退店がありつつも、新規出店が堅調に推移し、また、同一企業から複数出店する事例も発生しております。パビリオン出店数の推移は、2022年12月末時点は63店、2023年12月末時点は73店、2024年12月末時点は88店となります。

加えて、サービスの認知度を評価するため、累計ダウンロード数についても主要な指標としております。2022年12月末時点は540万ダウンロード、2023年12月末時点は631万ダウンロード、2024年12月末時点は751万ダウンロードとなります。また、ユーザーの利用状況を評価するためプレイ回数についても主要な指標としております。2022年12月期は2.3億回、2023年12月期は2.4億回、2024年12月期は2.5億回であり、月間のプレイ回数は、2,000万回を超える規模となります。なお、パビリオン出店数の推移と共にコンテンツの多様化が進み、それに伴いユーザーが「ごっこランド」を楽しむ機会が増加し、ダウンロード数及びプレイ回数が、堅調に推移していると分析しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。