当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、ステークホルダーの満足度を継続的に高めることをモットーに、真価のある製品を造り、その製品を社会に納めることにより人類に貢献すると同時に企業価値を向上させながら、経営の真髄を極めるべく精進していくことを経営の基本方針としております。
この基本方針を実現するための政策として、
① 当社が培ってきた電子部品メーカーとしての技術的ノウハウ、人的ノウハウ及び国内、海外での生産で培ってきた生産ノウハウを併せ持つ社会的存在価値のあるメーカーとして常に新しい事業分野を開拓する。
② 当社が世界的にトップシェアの位置にあるセンサ分野では、更なるシェアの向上と新しい用途開発を強力に推進していく。
③ 現在当社が生産しているセンサ製品などを最大限利用した人々に優しい、便利で安全、且つ、親切な製品の開発を進める。
④ 製品の設計段階からコスト分析を徹底し、生産は国内外を問わず、その時代で競争力のある地域で行う。
⑤ 有限な資源を有効活用し、環境に過剰な負荷の掛からない事業活動を推進する。
以上を掲げて推進しております。
また、企業活動を通してCSVやSDGsなどを経営課題として認識しております。当社は創業当初から環境をよりよくするためのモノづくり、人々に安全・安心な製品を提供できるモノづくりに努めて参りました。今後も「環境」「安全」「安心」という3つの社会課題にCSV活動を通してより良い製品を提供し続けながら、持続可能な地域社会の実現にグループ全体で貢献して参ります。
(2)目標とする経営指標
自己資本比率 60%以上
経常利益率 20%以上
ROE(自己資本利益率) 9%以上
① 当社は、経済状況等外部要因が経営に与える影響が大きく、リスク等に対応するためにも迅速判断を行うため純資産はできるだけ充実させる必要があると考えております。その基準として自己資本比率60%以上という目標を掲げております。
② 当社としては経営環境が大変厳しい中、創業時のベンチャー精神に立ち戻った事業活動が必要と考えており、先ずは経常利益率20%以上という目標を掲げております。
なお、当社といたしましては自己資本の充実を目指すことで財務的安定性を確保する一方で、資本コストを考慮しROEの向上を目指して、利益配分の基本方針のもと適切な還元を行っていきたいと考えております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
快適な生活環境の市場が加速している中で、当社はサステナビリティへの取り組みについても重要な経営課題であると認識しており、当社製品を通じた環境・社会課題解決への貢献を目指しております。今後も安全、安心、省エネ、車載に関連する電子部品の需要が更に拡大が見込まれており、車載向け製品の生産能力増強を見据え、現在建設中のフィリピン拠点における新工場の増築をはじめ、今後需要が見込まれる分野へ積極的な成長投資に加え、安定的かつ機動的な株主還元及び資本政策を遂行してまいります。
ステークホルダーの満足度、企業価値の長期的な向上を図る上で、投下可能な資本をいかにしてリターンの高い分野に投下し、目標とする経営指標(自己資本比率:60%以上、経常利益率:20%以上、自己資本利益率(ROE):9%以上)の達成を目指すとともに、株価純資産倍率(PBR)、資本コスト及びキャッシュ・フローを強く意識した経営管理を行ってまいります。
具体的には、自動化設備の導入や製造工程の合理化による生産性や品質の向上、配送方法の最適化やDX化による間接部門の業務効率改善などを通じた各作業の見直しによる継続的なコスト削減、資本効率性を踏まえた用途、案件の選択と集中などに取り組むことで、収益性の向上を目指します。
また、課題である資本効率の改善を図るべく、生産管理や部材発注の精度向上による在庫の削減並びに回転期間の適正化、さらに、企業の中長期的な企業価値向上において必須である、資本政策の最適化や多様な人材の社内研修などを通じた人材育成体制の強化に努めてまいります。
1.サステナビリティ全般
当社は、CSVやSDGsなどを重要な経営課題として認識しており、当社の掲げる経営理念「真価のある製品を社会に納め人類に貢献する」や環境方針「センサで、人にやさしく、地球にやさしく」に基づき、事業や製品を通じて、環境・社会課題の解決に貢献したいと考えております。また、当社はサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ全般の課題解決に向けた対応方針や実行計画についての議論や進捗管理を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
2.気候変動
(1)ガバナンス
代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、気候変動をはじめとするサステナビリティ全般の課題解決に向けた対応方針や実行計画についての議論や進捗管理を行っております。審議結果等は取締役会へ報告され、取締役会による監視・監督体制を構築しています。
(2)戦略
当社グループでは、気候変動に係る重要なリスク及び機会として下記を認識しております。
気候変動によるリスクと機会の把握にあたっては、IPCC(気候変動政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)等が公表する複数のシナリオを参照し、1.5℃シナリオ、4.0℃シナリオの2つのシナリオで分析しました。
分類 |
内容 |
対応方針 |
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移行リスク |
政策・法規制リスク |
カーボンプライシングの導入や法規制強化に伴うコスト増加 |
・製造工程の最適化や高効率設備の導入等によるCO2排出量の削減 ・再生可能エネルギーの活用 |
規制による一部素材の価格上昇や調達の困難化 |
・調達先の分散化 ・新規サプライヤーの開拓 ・代替素材の検討・開発 |
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省エネ・再エネ投資による費用の増加 |
・計画的な投資 ・補助金の積極活用 |
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評判リスク |
対応の遅れや情報開示不足による、企業価値や販売機会の減少 |
・省エネ推進、再エネ活用による温室効果ガス排出量の削減 ・情報開示の充実とステークホルダーとの対話の強化 |
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物理リスク |
急性リスク |
急激な災害による事業拠点の操業度低下 |
・事業拠点の分散 ・原材料の供給停止等に備えた調達先の複数化や適正在庫の確保 ・BCPの策定 |
サプライチェーンの被災による操業停滞 |
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自然資源や水、電力、原材料等の供給量が不安定化 |
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慢性リスク |
慢性的な気候変動(海面上昇や気温上昇など) |
・BCPの策定 ・省エネ活動の推進 ・太陽光発電などの自家発電の推進 |
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自然資源や水、電力、原材料等の供給量が不安定化 |
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気温上昇により製造過程の精度低下、或いは温度管理の追加的コスト発生 |
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機会 |
省エネ、脱炭素化 |
省エネの推進や再生可能エネルギーの導入によるCO2排出量の削減とコストの削減 |
・製造工程の最適化 ・高効率設備や太陽光発電への投資 |
製品・サービス |
気候関連情報の開示促進による企業イメージの向上 |
・情報開示の充実とステークホルダーとの対話の強化 |
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EV市場拡大に伴う売上増加、省エネ製品への需要増加 |
・関連製品の開発投資強化、生産能力の増強 |
(3)リスク管理
当社グループは、経営会議や日々の事業部門長からの報告を通じて、各事業部及び全社的に特定された様々なリスクについて、その影響度や優先順位等の協議を行ったうえで、リスク発生の未然防止に向けた対策を講じると共に、事業に重大な影響を及ぼすと考えられるリスクについては取締役会に報告し、速やかな対応を行っております。
また、気候変動関連のリスクについては、サステナビリティ委員会と連携し、情報を共有しながら評価・管理を行って参ります。
(4)指標及び目標
当社グループは、気候関連リスク・機会を管理する指標としてCO2排出量を定めており、CO2排出量(Scope1、2)の実績及び目標は以下のとおりです。
拠点/項目 |
2021年度実績 |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
2030年度目標 |
CO₂排出量合計 (t-CO₂) |
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CO2排出量(Scope1、2)を2023年比で 30%の削減
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営業利益 (百万円) |
3,380 |
4,178 |
4,574 |
4,961 |
|
CO₂排出量営業利益原単位 (t-CO₂/百万円) |
5.32 |
2.64 |
2.35 |
2.25 |
(注)上記数値は本社(事業所、研究所含む)・中国工場・フィリピン工場の使用量より各国の係数によって算出したものです。(中国工場の昆山日セラ電子器材有限公司は2022年に生産活動撤退)
3.人的資本
(1)人材育成方針及び社内環境整備方針
当社グループは、人材の多様性とそれら人材の育成が、企業の中長期的な企業価値の向上や社会に役立つ製品開発に繋がると考えており、国籍・性別・年齢・入社形態に関係なく、人材の採用・管理職への登用を行うとともに、従業員個々の人権・人格・個性を尊重し、働きやすい職場環境の整備を目指しております。
当社は、入社間もない時から、現場で経験を積み、従業員それぞれの目標・やりがいが見つかるよう、できるだけ多くの機会・環境を提供するよう取り組むとともに、個々のスキルアップを促す観点から、社内研修会の開催や資格取得支援を実施しております。また、女性がより活躍できる職場を目指し、女性活躍推進法に基づき「一般事業主行動計画」を策定しております。さらに、育児休暇取得の推進、再雇用制度等を通じ、従業員がより働きやすい職場環境の整備に努めているほか、従業員の資産形成支援を目的として従業員持株会制度及び職場つみたてNISA制度を導入し、持株会については会員の拠出金に対して10%の奨励金を付与しております。
(2)指標及び目標
人的資本に関する指標の目標及び実績は以下のとおりです。
2024年度の実績の算出においては、管理職定義の見直しを行っており、定義の見直しに伴い目標についても変更しております。
指標 |
2024年度実績 |
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(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。女性管理職比率は「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある従業員の合計に占める女性管理職の割合を集計しております。
2.連結グループの主要な事業を営む会社において関連する指標のデータ管理及び具体的な取り組みが行われているが、連結グループに属する全ての会社では行われておらず連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社における指標及び目標、実績を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループの製品は家電業界や自動車業界などの顧客企業を通じ全世界へ供給されます。また海外顧客への販売並びに海外子会社による生産など、当社グループの事業活動はグローバルに展開されているため世界各国、地域の自然災害・疫病等、天災、人災、政治経済状況の変化に伴う影響、個人消費動向、大幅な為替変動などの影響をうける可能性があります。
(2)当社グループでは全ての事業活動において環境を重視し、企業をとりまく様々な法令に従っております。これらの法令等に違反した場合は当社グループの信用を失うだけでなく、業績、財務状況に悪影響を及ぼす場合があります。
(3)当社グループで研究開発によって得られた成果については、特許、その他の知的財産権によって保護を進めておりますが第三者からのその権利を侵害された場合、或いは当社が第三者の所有する知的財産権を侵害した場合は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす場合があります。
(4)当社グループでは新製品の開発、生産能力の増強のため、研究開発、工場建設、生産設備等への投資を進める必要がありますが、これらにより、経費、減価償却費負担が増加します。また、これらの投資計画は当社グループ製品の高度化や顧客企業の開発計画の長期化などにより量産までの期間が長期化する先行投資的な状況にあり、投資による費用負担と量産品による売上回収期間にずれが生じることにより当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)当社グループの主要な原材料は、セラミックなどの素材原料、電子部品などであります。為替や資源価格の変動により原材料価格も常に変動しており、当社グループでは、これらを極力コストダウンなどにより吸収していく計画でありますが、これら原材料価格の動向が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(6)当社グループの製品をより多くの企業、分野において使用して頂けるよう事業活動を行っておりますが、利用範囲が拡大するに従い競合会社との企業競争が激化する製品分野も存在し販売価格の下落を伴う可能性があります。当社グループでは、採算の取れるアイテムの選択、新材質の開発等により採算を確保していく方針ですが、予測し難い業界動向による製品価格の下落が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)当社グループは、製造業として欠陥のある製品を世に送り出すことはあってはならないという考えから厳密な品質管理や検査などを行い、必要であれば顧客企業と詳細な仕様を合意のうえで製品を生産出荷しておりますが、将来において全ての製品に欠陥は一切なく、製品の欠陥に基づく顧客企業からの損害賠償請求も発生しないという保証はありません。万が一リコールや損害賠償請求などが発生した場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、欧米においては個人消費が底堅く推移し、インフレも徐々に減速したことで利下げ局面に移行するなど景気は持ち直しの動きが見られたものの、中国経済は不動産不況の影響などにより足踏み状態となり、今後についても中東やウクライナ情勢をはじめとした地政学的リスクの高まりや、米中対立の激化、米国におけるインフレの再燃リスクなど、予断を許さない状況が続いております。
わが国経済は、企業収益や雇用・所得環境が堅調に推移したものの、海外経済の失速や米国新政権の政策動向、不安定な為替相場など、景気の下押しリスクに注意する必要があります。
この様な状況の中で当社グループでは、家電向け製品や照明向け製品が顧客の在庫調整や住宅市場の低迷などの影響で出荷が減少したほか、環境対応車向け製品が中国市場における収益性確保を優先したことで減収したものの、ADAS向け車載安全製品やセキュリティ向け製品が受注の拡大などにより、堅調に推移したこと、為替が円安に進行したことなどから、前期比で増収となりました。また、生産工程の合理化・自動化や、配送手段の見直しなどによるコスト削減に取り組むと共に、生産管理や部材発注の精度向上による在庫の削減をはじめとした資本効率の改善に注力してまいりました。
この様な状況、活動の結果、売上高は25,037百万円(前期比2.4%増)となりました。利益面では、売上高の増加や原価改善などにより営業利益は4,961百万円(前期比8.5%増)、経常利益は為替差益の増加などにより5,844百万円(前期比10.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,162百万円(前期比12.7%増)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ153百万円減少し45,772百万円となりました。その主な要因は、棚卸資産が788百万円減少したことなどによります。固定資産は、前連結会計年度に比べ579百万円増加し12,574百万円となりました。これらにより資産合計は、前連結会計年度末に比べ426百万円増加し58,347百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ810百万円増加し6,099百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ384百万円減少し52,247百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益5,902百万円、減価償却費1,370百万円、棚卸資産の減少による892百万円などのキャッシュ増加要因がありましたが、売上債権の増加による552百万円や、法人税等の支払額1,456百万円などのキャッシュ減少要因により全体で6,545百万円の収入(前連結会計年度は5,192百万円の収入)となりました。前連結会計年度と比べて1,353百万円の収入増となりましたが、その主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加632百万円や、法人税等の支払額が1,043百万円減少したことなどであります。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、定期預金の払戻などによる純額10,211百万円の収入、有形固定資産の取得による1,557百万円の支出などにより全体で8,649百万円の収入(前連結会計年度は154百万円の支出)となりました。前連結会計年度末と比較して8,804百万円の収入増加となりましたが、その主な要因は定期預金の払戻による収入が純額で8,953百万円増加したことなどであります。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、自己株式の取得による3,953百万円の支出、配当金の支払いによる2,358百万円などにより全体で6,425百万円の支出(前連結会計年度は3,082百万円の支出)となりました。支出額が前連結会計年度末に比べ3,343百万円増加しましたが、その主な要因は自己株式の取得による支出が3,923百万円増加したことなどによります。
以上の項目に換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は9,069百万円増加し残高は24,806百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、電子部品並びにその関連製品の製造販売を主たる目的とした単一事業であるため、セグメント別の記載を省略しております。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
|
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
電子部品並びに関連製品の製造販売(百万円) |
24,971 |
106.0 |
合計(百万円) |
24,971 |
106.0 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
|
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
電子部品並びに関連製品の製造販売 |
24,102 |
103.8 |
4,563 |
83.0 |
合計 |
24,102 |
103.8 |
4,563 |
83.0 |
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
|
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
電子部品並びに関連製品の製造販売(百万円) |
25,037 |
102.4 |
合計(百万円) |
25,037 |
102.4 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
㈱中外 |
3,998 |
16.36 |
5,670 |
22.65 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は25,037百万円で前連結会計年度に比べ587百万円の増収となりました。売上総利益は、前連結会計年度に比べ349百万円増益の7,189百万円となりました。なお、売上原価率は71.3%で前連結会計年度に比べ0.7ポイント減少しました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて37百万円減少し2,227百万円となりました。
経常利益は、営業利益が387百万円増加したことなどにより前連結会計年度に比べ531百万円増加し5,844百万円となりました。
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ632百万円増加し5,902百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ468百万円増加し4,162百万円となりました。
以上の結果、目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は下記のようになりました。
指標 |
当連結会計年度 |
目標値 |
自己資本比率 |
85.5% |
60%以上 |
経常利益率 |
23.3% |
20%以上 |
ROE(自己資本利益率) |
8.3% |
9%以上 |
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ153百万円減少し45,772百万円となりました。その主な要因は、棚卸資産が788百万円減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ579百万円増加し12,574百万円となりました。その主な要因は、建設仮勘定が523百万円増加したこと、株価の上昇により投資有価証券が381百万円増加したことなどによります。
これらにより資産合計は、前連結会計年度末に比べ426百万円増加し58,347百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ810百万円増加し6,099百万円となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が323百万円増加したことなどによります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ384百万円減少し52,247百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の増加468百万円、剰余金の配当の減少591百万円により1,802百万円増加、自己株式が取得により3,953百万円増加、また、為替換算調整勘定が1,319百万円増加したことなどによります。
今後の経済見通しにつきましては、各国におけるインフレの鎮静化と金融緩和が景気の押し上げ材料になる一方、米国におけるインフレの再燃や新政権の政策が経済に与える影響、地政学的リスクの高まりなど依然として今後の先行きは不透明な状況ではありますが、様々な環境変化に柔軟に対応し、更なる業績向上に努めてまいります。
当社グループとしては、快適な生活環境の市場が加速している中で、サステナビリティへの取り組みについても重要な経営課題であると認識しており、当社製品を通じた環境・社会課題解決への貢献を目指しております。今後も安全、安心、省エネ、車載に関連する電子部品の需要が更に拡大が見込まれており、車載向け製品の生産能力増強を見据え、現在建設中のフィリピン拠点における新工場の増築をはじめ、今後需要が見込まれる分野へ積極的な成長投資に加え、安定的かつ機動的な株主還元及び資本政策を遂行してまいります。
また、ステークホルダーの満足度、企業価値の長期的な向上を図る上で、投下可能な資本をいかにしてリターンの高い分野に投下し、目標とする経営指標(自己資本比率:60%以上、経常利益率:20%以上、自己資本利益(ROE):9%以上)の達成を目指すと共に、株価純資産倍率(PBR)、資本コスト及びキャッシュ・フローを強く意識した経営管理を行ってまいります。
具体的には、自動化設備の導入や製造工程の合理化による生産性や品質の向上、配送方法の最適化やDX化による間接部門の業務効率改善などを通じた各作業の見直しによる継続的なコスト削減、資本効率性を踏まえた用途、案件の選択と集中などに取り組むことで、収益性の向上を目指します。
また、課題である資本効率の改善を図るべく、生産管理や部材発注の精度向上による在庫の削減並びに回転期間の適正化、さらに、企業の中長期的な企業価値向上において必須である、資本政策の最適化や多様な人材の社内研修などを通じた人材育成体制の強化に努めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用及び人件費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主として生産能力の拡充や効率化、新製品開発などに必要な設備投資や、研究開発に対する投資によるものであり、加えて事業の買収資金等も投資資金として位置付けております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は営業キャッシュ・フローによる自己資金によって賄うことを基本としており、大型の投資案件や長期運転資金の必要性が生じた場合は自己資金を基本としつつ市場からの調達或いは金融機関からの借入などその時の経営環境に応じて柔軟に対応していく方針です。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社(提出会社)が中心となって行っております。当社での研究開発体制は、各製品の技術部署において主として省エネ用途として需要を見込んでおります家電業界向け赤外線センサやLED照明用モジュール品、自動車業界向け超音波センサや電流センサの開発・改良、当社のセンサ素子やセラミック素材を利用した応用製品の開発を継続的に行っており、これら製品に属する開発活動に伴う発生費用は、原価処理を行っております。また、今後の事業拡大のための新製品の研究開発は研究所や開発テーマ毎に設定したプロジェクトグループにおいて行っており、これらを販売管理費の研究開発費として処理をしております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は原価及び販売管理費において費用計上された金額を合わせた