文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、企業として到達したい将来像として、経営ビジョン「計測を通じ、お客様と共に社会と人の安全を実現し、安心な未来をつくる」を制定しております。経営ビジョンを実現するための5つの視点(「販売、市場」「技術、開発」「品質、生産」「人事、労務、働きがい」「業務・管理システム」)を切り口からあるべき姿・ありたい姿と現実とのギャップを課題としてとらえ、その課題を解決するために6つのミッション(「魅力あふれる製品・サービスを提供する」「新しい計測のカタチを提供する」「確かな計測技術を磨き続ける」「お客様ごとに配慮が行き届いた製品・サービスを提供する」「社員の働きがいを向上し続ける」「IT人材を確保し、時代に合うIT環境に再構築する」)を掲げ取組んでおります。
(2)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は、国内の実験研究分野向け計測器市場が成熟する一方でニーズは多様化し、幅広い顧客層を抱えるも個々の提案力が求められ、グローバル化推進についても販売体制の強化と製品のローカライズ化等対応すべき課題があります。これらの課題解決に加え、インフラ構造物に対する一層の安全意識への高まりや老朽化への維持管理等、当社グループが貢献できる領域は拡大している状況を当社グループの成長の機会ととらえ、更なる企業価値向上を目指せると判断しております。さらに、サステナビリティに対する社会の関心の高まり等により産業構造が変化しております。
当社グループは、このような事業環境の変化に適応するため、2025年度を初年度とする新中期経営計画「KYOWA Vision 2027」では、基本方針を「既存分野の深耕とサービスの拡充・創出により持続的な事業の成長を目指す」、「収益力の向上と資本効率の改善により企業価値向上を目指す」こととし、その実現に向け、次の基本戦略と重点施策の着実な実行により、持続的な成長と企業価値向上を推進してまいります。
<中期経営計画「KYOWA Vision 2027」における基本戦略・重点施策>
基本戦略①「計測事業のさらなる拡充」
・校正事業の拡大
・クラウドサービスの事業化
・生産強化に向けた投資の検討
・現地調整・点検作業等のフィールドビジネスの強化
・お客様のニーズを満足する時代に合った商品のタイムリーな提供
基本戦略②「顧客満足のさらなる向上」
・ECサイトのラインナップ拡充による販売力の強化
・デジタルの積極的な活用による提案・販売力の強化
・お客様視点に立った情報発信力の強化
・汎用製品の計測ソリューション対応力の強化
基本戦略③「変革を促す組織基盤の強化」
・IT環境の再構築
・生産性の高い組織を実現するための働きやすい環境整備への投資
・人とつながり協働するための企業風土の醸成
・収益力向上に向けた製品戦略と資産効率の改善
基本戦略④「ESGへの取り組み」
・環境負荷低減コストの吸収など、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの推進
・企業の持続的な成長に向けた人材育成、人事評価制度の再構築
・ガバナンスの実効性向上
(3)目標とする経営指標
安定的な収益確保による財務体質の強化を優先課題として、目標とする経営指標を売上高営業利益率およびROEと定め、継続的な成長軌道に乗せることを目指しております。
2025年度における主な計数目標は下表のとおりであります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、以下の通りです。なお、文中にある将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは下記「サステナビリティ基本方針」に基づき、環境・社会・ガバナンスに関連する重要課題(マテリアリティ)の解決に向け、施策・目標を設定し、当社グループを成長させつつ、お客様と共に社会課題の解決を目指し、広く社会に貢献できるよう取組んでおります。
当社グループは、サステナビリティ推進のガバナンス機能を担う組織として、「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ推進に取組んでおります。取締役社長を委員長とし、環境、人的資本、サプライチェーンなど各分野のサステナビリティを推進する責任者である執行役員を中心に構成されております。さらに同委員会の下で各執行部門が、マテリアリティの解決に向けた取組みを行っております。サステナビリティに関するマテリアリティへの取組み状況については、委員会内にて事務局が確認・取りまとめのうえ、委員長を通じて取締役会に報告しております。
取締役会においては、サステナビリティに関連する方針と年度計画の審議・決議、サステナビリティに関連する取組みテーマの遂行状況の監督などを実施しております。
※サステナビリティに関するガバナンス体制については、「コーポレートガバナンス体制の模式図」参照
※サステナビリティ推進体制については、「サステナビリティ推進に関するマネジメントサイクル図」参照
<サステナビリティに関するガバナンス状況>
●取締役会:
〔役割〕
・サステナビリティに関連する方針と年度計画の審議・決議
・サステナビリティに関連する取組みテーマの進捗状況の確認/監督
〔メンバー〕
・議長:取締役社長
・取締役
〔頻度〕
・サステナビリティに関連する案件に応じて随時
●サステナビリティ委員会:
〔役割〕
・中長期的なサステナビリティリスク及び機会、マテリアリティの特定
・サステナビリティ取組みテーマ及び目標の設定、進捗管理
〔メンバー〕
・委員長:取締役社長
・執行役員
〔頻度〕
・年2回以上
●各執行部門
〔役割〕
・サステナビリティ委員会により設定されたマテリアリティ各項目の目標に従ったPDCAの推進
・サステナビリティ委員会への報告
〔マテリアリティ各項目の執行部門〕
・サステナビリティ全般 :サステナビリティ・CSR部門
・環境関連 :品質・製品関連部門、技術部門
・人的資本関連 :経営管理部門
・製品の安定供給・品質向上:品質・製品関連部門
・ガバナンス :経営戦略部門
当社グループは、サステナビリティに関する国際基準等の最新動向を視野に入れ、サステナビリティに係る関連法令を遵守し、計測機器・アフターサービスの提供を通じて、お客様と共に地球環境保全、社会と人の安全に貢献する活動を進めております。
また、環境・社会等に係るサステナビリティ課題の様々なリスク及び機会を踏まえて、中期経営計画において「ESGへの取組み」として以下を掲げ、持続可能な企業経営に努めております。
①サステナビリティ関連のリスクについて
サステナビリティ関連のリスクについては、サステナビリティ基本方針、リスク管理基本規定に基づき、環境・社会・ガバナンスに関するマテリアリティを網羅的に抽出し、発生頻度、時間軸を可視化し、事業への影響、リスク軽減可否、財務への影響度などを評価しております。評価を基に当社グループにとって重要な環境・社会に係るリスクを特定し、サステナビリティ委員会内にて事務局が確認・取りまとめのうえ、委員長を通じて取締役会に報告しております。
②当社グループの全社リスク(総合的リスク)について
当社グループの全社リスク(総合的リスク)については、「リスク管理基本規定」に基づき、リスク管理委員会が中心となり、リスクマネジメント体制の整備と運用に取組んでおります。毎年、次年度施策の策定時、事業の特性や外部環境の変化を踏まえ、当社グループにおけるリスク項目を網羅的に洗い出し、発生頻度と影響度を評価し、リスクマップやリスク管理プログラム等に反映させ、更新しております。特に重要なリスクについては、リスク管理委員会を経て取締役会に報告すると共に、当社グループ全体でのリスク低減に取組んでおります。
なお、リスク管理における内部監査部門の役割は、各部門及び関係会社のリスクが適切に管理されているか、独立・客観的な視点で個別にヒアリングし、その結果について取締役社長を通じて取締役会に報告することとなっております。
③全社リスク(総合的リスク)とサステナビリティ関連のリスクとの関係
上記①のサステナビリティ関連のリスクについては、上記②の当社グループの全社リスクに統合し、当社グループの全社リスクマネジメントの対象としております。サステナビリティ関連のリスク管理手法は、当社グループの全社リスク管理手法と統一させております。
ESG経営をさらに進めるため、気候変動関連や人的資本・多様性に係る進捗度を測定する指標及び目標を設定しております。サステナビリティ推進の具体的活動として更に活性化させる仕組みの構築を目指しております。
※なお、指標及び目標の内容については、「(5)気候変動関連」「(6)人的資本・多様性関連」を参照。
当社グループの気候変動に関する考え方及び取組みは、以下の通りです。なお、文中にある将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
また、気候変動に関するガバナンス及びリスク管理については、サステナビリティに関する考え方及び取組みに取り込まれております。
①戦略
当社グループは、気候変動に伴う重要度の高いリスク及び機会を経営上のマテリアリティとして認識しております。使用資源の省資源化、製品の省エネルギー化、環境汚染物質の排除への取組み等により、環境負荷の少ない製品開発に取組むほか、新技術の進展を踏まえた気候変動を含むマテリアリティの解決を進めております。
移行リスクとしては、炭素税の導入や石化由来エネルギーの燃料費高騰による電力コストの上昇、部材・物流コストの増加が見込まれることから、再生可能エネルギーや省エネ設備の導入、原材料・生産体制の見直しに取組みます。
また、製品販売面の移行リスクとして、気候変動を念頭においたお客様の需要変化による販売減少が見込まれ、消費電力の少ない製品開発やお客様のニーズを取り込んだ環境負荷の少ない製品づくりと共に、効率的な物流体制の構築に取組みます。
物理的リスクについては、自然災害の激甚化による生産・物流体制への影響が想定されるため、BCP整備、サプライチェーンの見直し等、レジリエンス対応の強化に取組みます。
機会としては、脱炭素社会への移行過程において、風力発電や水素技術など脱炭素に向けた需要増加が見込まれるため、省資源・省エネルギーの効果のある、環境負荷の少ない製品にて組成された計測手法をトータルソリューションの提供として販売推進することにより、お客様や社会のニーズに対応しております。
A.シナリオ分析
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)等が発表した、「世界の平均気温が4℃以上 上昇する」や「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満(一部1.5℃以内)の上昇に抑える」といったシナリオを使って、気候関連のリスク・機会が当社グループの事業、戦略、財務にどの様な影響を与えるかなどの、分析及び評価の実施については、「気候変動に関する主なリスク及び機会」(下記B、C)に反映させております。
B.気候変動に関する主なリスク
〔リスク〕
※時間軸 :気候変動の影響が発生する時期を短期:3年以内、中期:3~10年、長期:10~30年に区分。
※経営重要度:各リスク及び機会の発生頻度(大,中,小)と影響度(大,中,小)の合計で、◎大,○中,△小にて評価。
C.気候変動に関する主な機会
〔機会〕
※時間軸 :気候変動の影響が発生する時期を短期:3年以内、中期:3~10年、長期:10~30年に区分。
※経営重要度:各リスク及び機会の発生頻度(大,中,小)と影響度(大,中,小)の合計で、◎大,○中,△小にて評価。
②指標及び目標
当社グループは、温室効果ガス(CO2)排出量の削減率をモニタリング指標として、事業活動による環境負荷低減に取組んでおります。中長期的な目標として2030年度までにCO2排出量を2015年度比46%削減する目標を立て取組みを進めた結果、2024年度にて前倒しで達成致しました。
新たな目標として2030年度までに2015年比60%削減の目標を立てております。
今後、「2050年カーボンニュートラル」社会への移行を見据え、継続的な取組みの拡充を図ってまいります。
現状の取組みとしては、自社の直接排出(Scope1 ※注1)の継続な削減と、他社から供給されたエネルギーによる間接排出(Scope2 注2)の削減に重点的に取組むことで、気候変動リスクの低減に努めております。なお、Scope2については、2024年度より山形共和電業にて太陽光発電設備の稼働を開始し、電力会社との再生可能エネルギー電力の供給契約と合わせ、排出量の削減に取組んでおります。
また、サプライチェーンにおけるCO2排出(Scope3 注3)の算定については、サプライチェーンの排出量の精査など対応を実施し、今後、開示を予定しております。
(注)1 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃料、工業プロセス)
2 Scope2:他社から供給された電気・熱・蒸気の使用にともなう間接排出
3 Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
(現状の取組み)
(CO2排出量)(単位:t-Co2) ※基準年:2015年 4,871
(注)当社グループにおけるCO2排出量の集計は、2024年度までは調布・本社工場と、当社グループの生産工場である山形共和電業、甲府共和電業を集計対象としております。
2025年度より子会社を含めた国内全事業所を集計対象とする予定です。
なお、2030年の目標排出量算定数値は、上記国内全事業所を集計対象とした場合2015年排出量の60%削減としております。
また、SCOPE1,2の排出量に係る環境データについては、2024年4月以降、当社グループのホームページにて公開しております。
(CO2削減の短中期取組み施策)
当社グループの人的資本・多様性に関する考え方及び取組みは、以下の通りです。なお、文中にある将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
また、人的資本・多様性に関するガバナンス及びリスク管理については、サステナビリティに関する考え方及び取組みに取り込まれております。
①戦略
当社グループは、“共和電業グループで働くすべての人たちが常に意識し共有したい基本的な心構えや行動”について「KYOWA WAY」を制定し、「働く人たち同士が信頼と尊重でつながる」「働く人たちが仕事にやりがいと誇りをもち、自ら考え行動できる」「常に挑戦し、継続的な成長を追求する」ことを具現化できる人材を当社グループの求める人材像と位置づけ、以下の方針の下、多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境の整備に取組んでおります。
A.人材育成方針
経営方針に基づき、経営ビジョン・意識改革の実現や「社員の働きがいを向上し続けること」を主目的に、社員と会社が共に成長できる人材育成体系を構築すべく、次の事項を人材の育成方針と定め、下記の重点施策を実施しております。
〔人材育成方針〕
●法律や社会のルールを正しく理解し、社是・信条を念頭に置き、誠実で公正かつ倫理的な行動を実践出来る社員の育成
●会社の理念やビジョンを理解し、目標達成に向けて意欲的に行動するために必要な態度・知識・技術・技能を身につけたプロフェッショナル社員の育成
●事業の永続的な発展のために、次代を担う人材の育成
〔4つの重点施策〕
(注)施策実施にあたり、社員アンケート等の活用とモニタリングの実施による効果測定、継続的施策遂行への繁栄を実施。
B.社内環境整備方針
多様かつ有能な人材を安定的に確保することが、当社グループの持続的成長や将来の事業継続に関わるマテリアリティと認識しております。また、人事評価や処遇の改善を通じた従業員エンゲージメントの向上やワークライフバランスに配慮した働きやすい職場環境の整備、風通しの良い職場環境を実現すべく、次の事項を社内環境整備方針と定め、下記の重点施策を実施しております。
〔社内環境整備方針〕
●多様な価値観をもった人材の働きやすさとやりがいの向上
●従業員の成長と共に会社が成長できる仕組みと環境の構築
●従業員が前向きな気持ちをもってチャレンジできる企業風土の醸成
〔4つの重点施策〕
(注)キャリアパス制度構築や社員のキャリアパス支援については、社内環境の整備の一環として取組みを継続して実施。
②指標及び目標
当社では、多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する主な指標を以下の通り定めております。各指標に応じた具体的な数値目標等は今後設定してまいります。
(注)当社グループにおける人的資本経営の取組みについては、関連する指標のデータ管理と共に、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①市場リスク
当社グループはその製品・サービスを、官公庁、大学の研究部門をはじめ、自動車、電気機器、一般機械、鉄鋼等の幅広い分野にわたって販売しており、比較的安定した需要を確保しておりますが、主要市場である国内の経済環境や設備投資の動向が大幅に悪化した場合には、製品受注の減少、在庫の陳腐化等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業の海外展開を進めております。そのため、海外売上高の増加に伴い、海外各国の経済環境や為替相場の変動、法的規制の変更等が業績に影響を及ぼす可能性があります。
②技術開発リスク
当社グループは、ひずみゲージをコアスキルとして各種のセンサ関連機器、測定器関連機器を研究開発し、応力測定分野の幅広い顧客ニーズに対応できるところに特徴があります。しかしながら、産業を下支えする計測機器業界の技術進歩は目覚しく、応力計測分野の総合メーカーとして広範囲に技術優位を確保することは困難となる場合があります。
技術部門へ経営資源を優先的に投入し、常に技術動向に注意を払い、技術開発・製品開発に取組んでおりますが、急激な技術進歩や予期しない代替技術の出現により、需要が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③競争リスク
当社グループは、応力計測に関する長い経験とノウハウ及び高いスキルを持つ技能者によって、高品質・高性能な製品を市場へ送り出しておりますが、中国をはじめとするアジア諸国の品質・技能の向上は目覚しく、今後品質面での競争力を失った場合に、これら諸国の賃金格差と相俟って一部製品の価格競争が激化し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④人材リスク
当社グループの製品は、各種の生産設備及び試験設備を利用し、定められた製造手順を順守し生産されておりますが、多品種少量生産のため一部労働集約的な生産形態もあり、技能者のスキルに負う部分は少なくありません。熟練技能者の高齢化や退職に備え、伝承スキルを顕在化させ、後継者の計画的育成に努めておりますが、これらの問題に対応できない場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤調達リスク
当社グループは、製品に使用する原材料および部品等を当社グループ外の供給業者から調達しております。電子部品等の原材料の長納期化は一部で継続しており、今後、調達環境が更に悪化した場合は、当社グループの生産活動および業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは製造工程の一部を外注化しており、生産活動に支障をきたすことのないよう生産管理及び品質管理面において適切な指導を実施しておりますが、外注先およびその仕入先の倒産等が発生した場合は、生産活動に影響を及ぼす可能性があります。
⑥品質リスク
当社グループは、品質システムの国際規格であるISO9000シリーズが要求する品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。全ての製品および商品について欠陥が発生しないよう品質管理を行っておりますが、予期せぬ事情によりリコール等が発生した場合は、信頼性を毀損し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、万一に備え、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険により最終的に負担する賠償額が全額カバーされる保証はありません。
⑦売掛債権管理におけるリスク
当社グループは、取引先の財務諸表等を基に与信枠を設定し与信管理を行っておりますが、取引先の急激な財務状態の悪化等により不良債権が発生し、業績に影響を与える可能性があります。
⑧資産の保有リスク
当社グループは、有価証券等の金融資産を保有しているため、時価の変動により、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが保有する工場設備等の固定資産は、今後収益性の低下や時価の変動により、業績に影響を与える可能性があります。
⑨自然災害等に関するリスク
当社グループの事業所および生産拠点は、大規模な地震、台風、洪水等の自然災害や火災等の突発的な事故の発生により重大な被害を受ける可能性があります。これらの結果、生産および出荷の遅延等により営業活動が影響を受けた場合、また破損した設備の復旧や修復等に多大な費用が発生した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、取引先の情報や、当社の開発情報等の内部機密、当社事業に関連した重要な情報を保持しております。情報の保護・管理について情報セキュリティの対応策を策定し、取り組んでおります。しかしながら、不測の事故等により情報の流出等が発生した場合は、損害賠償請求や社会的信用の低下などによって、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪気候変動に関するリスク
第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 に記載しております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益が総じて好調を維持する中で雇用や所得環境の改善等により景気が回復基調にある一方、エネルギー価格や原材料価格等の諸物価の上昇、各国の金利政策に伴う不安定な為替相場など依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社顧客におきましては、全体として設備投資意欲は継続して底堅いと見られるものの、一部顧客で設備投資繰延べの動きが見られる等、景況感はまだら模様となっております。
このような事業環境のなか、当社は中期経営計画の最終年度として、全社員の意識改革とお客様視点に立ったものづくりの原点に立ち返り、重点取組施策の確実な実行による新たな成長に向けた土台づくりを推進いたしました。
当連結会計年度における受注高は、高速道路向け設置型車両重量計や高速鉄道向け台車温度検知装置等の大口受注により、15,529百万円(前期比5.6%増)となりました。
売上高につきましては、部品供給遅れに伴う汎用品の生産停滞解消が一層進み、自動車試験関連分野をはじめ、幅広い分野で販売増となったほか、保守・修理も堅調に推移し、15,350百万円(前期比3.0%増)となりました。
利益につきましては、売上高の増収および原価率の改善により、営業利益は1,356百万円(前期比22.5%増)、経常利益は1,460百万円(前期比24.9%増)となりました。また、タイ販売子会社株式の一部譲渡に伴い関係会社株式売却益を特別利益に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は1,066百万円(前期比18.7%増)となりました。
セグメント別の状況は、次のとおりであります。
(計測機器セグメント)
計測機器セグメントの受注高は、汎用品が幅広い分野で増加し、特注品関連機器(特定顧客向け製品)も道路・鉄道分野を中心に大口受注を獲得したことから、受注高は14,153百万円(前期比6.1%増)となりました。
売上高につきましては、汎用品において部品供給遅れに伴う生産停滞解消が一層進み、幅広い分野で販売増となったほか、特注品関連機器(特定顧客向け製品)において自動車試験関連分野で販売増となりました。
また、保守・修理部門も堅調に推移したことから、計測機器セグメントの売上高は13,928百万円(前期比2.2%増)となりました。
この結果、セグメント利益(売上総利益)は5,370百万円(前期比4.6%増)となりました。
(コンサルティングセグメント)
コンサルティングセグメントは、鉄道分野における各種計測業務の増加により、受注高は1,376百万円(前期比1.0%増)、売上高は1,421百万円(前期比11.6%増)となりました。また、セグメント利益(売上総利益)は644百万円(前期比19.6%増)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は24,097百万円となり、前連結会計年度末に比べ558百万円の減少となりました。
流動資産は16,513百万円となり、前連結会計年度末に比べ676百万円の減少となりました。その主な要因は、現金及び預金が404百万円、棚卸資産が201百万円それぞれ増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が1,014百万円、有価証券が367百万円それぞれ減少したことによるものです。
固定資産は7,584百万円となり、前連結会計年度末に比べ117百万円の増加となりました。その主な要因は、有形固定資産が145百万円減少した一方で、無形固定資産が128百万円、投資有価証券が114百万円それぞれ増加したことによるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は5,941百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,055百万円の減少となりました。
流動負債は4,078百万円となり、前連結会計年度末に比べ918百万円の減少となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が386百万円、短期借入金が500百万円それぞれ減少したことによるものです。
固定負債は1,863百万円となり、前連結会計年度末に比べ136百万円の減少となりました。その主な要因は、退職給付に係る負債が25百万円、その他に含まれる長期未払金が84百万円それぞれ減少したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は18,155百万円と、前連結会計年度末に比べ496百万円の増加となりました。その主な要因は、利益剰余金が、配当により666百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益1,066百万円の計上等により、差し引きで395百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度の現金及び現金同等物は、5,934百万円と前連結会計年度末に比べ144百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少371百万円、棚卸資産の増加221百万円、法人税等の支払385百万円等の支出があった一方で、税金等調整前当期純利益1,488百万円、減価償却費の計上482百万円、売上債権の減少855百万円等の収入により全体では1,617百万円の収入となりました(前連結会計年度は256百万円の支出)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の減少139百万円等の収入があった一方で、有形固定資産の取得213百万円、無形固定資産の取得172百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却39百万円の支出により、全体では314百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ56百万円の支出減少(△15.3%)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少500百万円、配当金の支払665百万円等の支出により、全体では1,226百万円の支出となり、前連結会計年度末に比べ243百万円の支出増加(24.8%)となりました。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は標準販売価格によっております。
当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度において当社グループは売上高15,700百万円、営業利益1,200百万円、経常利益1,250百万円、親会社株主に帰属する当期純利益900百万円を目標に掲げ、業績予想達成に注力してまいりました。外部環境につきましては、企業収益が総じて好調を維持する中で雇用や所得環境の改善等により景気が回復基調にある一方、エネルギー価格や原材料価格等の諸物価の上昇、各国の金利政策に伴う不安定な為替相場など先行き不透明な状況が続きました。
このような事業環境の中、部品供給遅れによる汎用品の生産停滞解消が進み、自動車試験分野をはじめとした幅広い分野での販売増による売上高の増加、原価率の改善による利益増加、またタイ販売子会社株式の一部譲渡に伴う関係会社株式売却益の特別利益計上などがございました。結果として、当連結会計年度の経営成績は売上高15,350百万円、営業利益1,356百万円、経常利益1,460百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,066百万円となり、当初の業績予想を売上高を除き達成いたしました。
今後につきましては、雇用状況の改善、消費需要増加および良好な企業業績により景気回復が引き続き期待される一方で、賃金上昇や諸物価の高騰に伴う企業収益の圧迫、地政学リスクによるさらなる原材料価格高騰および新たな米国政権による政策等先行き不透明な状況が予想されますが、2025年度から新たにスタートする「KYOWA Vision 2027」に掲げる基本戦略と重点施策を着実に実行することにより、持続的な成長と企業価値向上につなげてまいります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造に関する材料等の購入費や営業費用であります。設備投資資金需要の主なものは生産機器、開発用機器、試験機および情報機器等に関する設備投資であります。運転資金需要および設備投資資金需要の財源につきましては、自己資金および金融機関からの借入等を基本としております。また、借入枠2,000百万円のコミットメントライン契約により資金調達の効率化および安定化をはかっております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は837百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,934百万円となっております。
該当事項はありません。
当社グループは、「新たな市場への挑戦と事業基盤の強化により、応力計測のリーディングカンパニーを目指す」という企業ビジョンの実現に向けて、応力計測に軸足を置き、要素技術・製品技術および計測技術についての研究開発活動を行っております。
当社グループの研究開発活動は提出会社に集約されております。当連結会計年度における研究開発費は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1)計測機器
センサ開発部門では、センサに関する基礎研究、ひずみゲージ・ひずみゲージ式変換器の製品開発、計測機器開発部門では、測定器・データロガー・アナライザの製品開発、これらを組み合わせたシステム開発を行っており、市場ニーズに対応した製品開発を行い、タイムリーに市場へ投入しております。常に時代を先取りした新しいセンサ・計測機器の開発に取り組んでおります。
自動車関連計測機器では、ホイール6分力計測システムや自動車衝突試験計測機器をはじめとし、自動車の性能試験、安全性確認、乗り心地、居住性の調査などに関連するセンサ・システムの開発を顧客密着型で行っております。
道路・交通システム関連計測機器では、高速道路のETC化に伴い、本格的な動的軸重計測(WIM;weigh-in-motion)に対応すべく軸重計測の高速化対応を行っており、個別の顧客要望に応えると共に、システムの精度向上に取り組んでおります。
インフラ分野では、安全な施工管理のためのシステム開発および提案を行ってまいりました。今後も、当社の保有する技術をベースに安全な施工管理および大型設備の健全性監視のためのシステム開発を進めてまいります。
当社グループは、顧客に密着した効率的な開発体制と、次世代の製品に適応すべき先行技術の開発体制を構築し、組織強化を行っております。引き続き、グローバル化をキーワードにして、計測と制御に関する独自の情報・技術・ノウハウを活かした「安全と安心」を提供できる付加価値の高い製品開発を進めてまいります。当連結会計年度における研究開発費は
(2)コンサルティング
特筆すべき研究開発活動はありません。