当社グループは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とし、新しい学習体験を届ける事業活動を通じ、学習者に「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を得られる機会を提供しています。貧困や障がいに苦しむ子どもたち、低学力の生徒、世界中の教育格差という社会課題を、最先端技術で解決する。教育格差を根絶することが当社グループの使命であると考えています。
当社ICT教材は、従来の進学塾・予備校、人による個別指導塾や映像配信型の教材とは異なり、無学年式で、学習内容のさかのぼり、先取りを学年、学校種を超えて行える(高校生が小学校の復習に取り組むなど)特長を活かし、偏差値30~60と低学力層を含めた幅広いレンジの生徒が利用でき、一人ひとりの学力向上のみならず学習塾・学校全体の学力底上げを目指すコンテンツです。また、幅広い機能を有する学習管理機能により、教員の働き方改革への貢献も可能となります。当社は今後も、教材の開発・提供、教育現場でのEdTech活用のためのコンサルテーションならびに、学習者の学習履歴や解答情報をはじめとするビッグデータの活用や、AIのさらなる活用など、新しい教材やサービスの開発、提供を加速し、当社独自のポジションを確立していきます。
また、当社は、「不登校」、「発達障がい」、「低学力」、「貧困」の4つの社会課題に対し、どのような効果をもたらしているかを測定・可視化を実施し、インパクトマネジメントレポートとして発信しています。
インパクトマネジメントの実施は、サステナビリティの機会を注視し、管理するためのガバナンス活動として位置付けております。
わが国の教育業界においては、従来からの少子化の流れの中で、企業間競争が激しさを増しており、経営環境は依然厳しい状況で推移しています。当社グループが属するEdTech市場は、当社グループが開発したICT教材等を通じた社会課題の解決と、事業の成長の同時実現に向けて活動を行っております。
新学習指導要領が実施され、新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、学習評価の充実が図られます。新学習指導要領ではSociety 5.0の実現を目指し、主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)の視点からの学習過程の改善が行われています。情報活用能力が、言語能力、問題発見・解決能力等と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられ、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」ことが明記されるなど、今後の学習活動において、積極的にICTを活用することが想定されています。同時に文部科学省からは、「学校における働き方改革に関する緊急対策」が発表され、ICTを活用することにより教員の働き方改革を実現することも期待されています。
文部科学省では、令和5年6月に閣議決定された「新たな教育復興基本計画(計画期間2023年~2027年)」では、今後の教育政策に関する基本的な方針が発表されました。誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の促進に向け、個別最適・協働的学びの一体的充実や多様な教育ニーズへの対応が求められています。また、教育デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組み、教育データの分析や利活用の取り組みなど、教育のICT化に向けた取り組みは着実に進展し、多様化した学びに向けての活動がさらに広がっています。EdTech市場の成長は緩やかとなっておりますが、2025年以降のノートPCやタブレットなどのハードウエアの更新期に合わせて再度の成長期の到来が期待されております。
また、少子化の一方で、不登校児童生徒数は過去最多の34万人を超え、特別支援学校も増加傾向にあり、教育現場での課題の多様化が進んでいます。個別最適化された学習支援に加え、多様な学習スタイルや学びの場に対応できる教材の需要が高まっています。
3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが認識している対処すべき課題は、次のとおりであります。
① コンテンツの拡充
eラーニング事業では、「国語・算数/数学・英語・理科・社会」の主要5科目を網羅するAI×アダプティブなeラーニングコンテンツを提供しております。2024年12月期は、高校理科教材「科学と人間生活」や、国内外の外国にルーツを持つ人たちが就労・留学・生活に必要なレベルN4を習得できる日本語学習教材「すらら にほんご」を追加リリースしました。また、リスキング教材「仕事に役立つ数学基礎コース」や、個別最適化の取り組みとして、一人ひとり異なる認知特性別学習教材「すらら漢字アドベンチャー」などリリースしました。
今後も多様化する教育ニーズに対応すべく、自社開発以外にも教育関連企業等と協働して、新しい技術を活用し、新しい分野でのコンテンツの制作に邁進してまいります。
② 開発体制の構築
eラーニングコンテンツの技術革新のスピードは、非常に早く、新たなサービスや競合他社が続々と現れることが予想されます。当社が競合企業とのサービスの差別化、競争優位性の確立を図るためには、迅速な開発体制の構築が不可欠となります。当社グループはこれらを実現するために、社内開発スタッフの技術向上、グループ会社間との連携、外部からの優秀な人材の採用、最先端の技術動向の調査、ビッグデータを活かした商品開発等に継続的に取り組んでまいります。
③ 情報管理体制の強化
④ 優秀な人材の確保と育成
当社グループの持続的な成長のためには、当社グループの経営理念や事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用し、開発体制、営業体制、管理体制を整備していくことが重要であると捉えており、グループ全体では前期末より4名増員いたしました。当社eラーニング事業では、特に大きく変革する教育業界において営業部門の人材が、学校や塾などの顧客の課題解決に向けての啓蒙や提案、継続的な支援を行うコンサルティング能力の向上が必要不可欠であり、そのための人材育成に注力してまいります。また、受託開発事業及びアプリ開発事業のファンタムスティック社では、専門性やスキルを有する人材の確保と育成が重要な課題であり、継続的に積極的な採用活動を行います。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、「事業を通じて、持続可能な社会を目指す」を重要課題とし、社会環境や法令等施行などに応じて実効性を高めるため、公正で透明度の高い経営体制構築を目指しています。また、監査等委員会設置会社として独立役員である社外取締役を3名選任しているとともに、企業価値を継続的に向上させるため、部門責任者を中心とした経営会議にて定期的な数値報告・協議・検討を実施し、特に重要な議題については取締役会及び監査等委員会において協議を行っております。また、取締役会は、経営の基本方針や重要事項並びに法令で定められた重要事項を決定する最高意思決定機関と位置づけております。
※当社ガバナンスデータ
人材は当社グループにとって最大の財産であります。性別、国籍、年齢等の属性に左右されない人材の多様性の確保を含む人材育成方針及び、社内環境整備方針を構築しております。
人材育成方針
当社グループは、経験値の高いキャリア採用と新卒や未経験者も採用しております。一人ひとりのキャリアをサポートし、成長性を高める充実した研修制度を導入、人材育成をすることで組織強化を行っています。
・メンター制度導入、定期的な1on1ミーティングの実施
・全社員が経営参画意識・全社最適の視点を持ち、自業務に高い視座を持って取り組めるよう、月2回の全社朝礼、年一度の全社員参加型中期経営計画策定合宿を実施
・コンピテンシーに基づく行動評価であるCC(キャリア・チャレンジ)評価と、仕事の成果・業績貢献による業績評価を組み合わせた、評価制度の整備と実施
・表彰制度
社内環境整備方針
当社グループは、社員が長期的に働きやすい環境を整備するため、以下取り組みを実施しております。
・ハラスメント、コンプライアンス研修の実施、社員が互いに尊重し合える職場づくりへの取り組み
・フレックス勤務制度、在宅勤務制度の導入、育休制度や育児勤務制度、健康促進推奨活動の実施
※当社ESGデータ
サステナビリティに関するリスクへの対応は、経営管理グループ、内部監査室を中心に、協議・モニタリングされ、その内容を監査等委員会、取締役会へ報告し、取締役会にて監督されます。
当社のミッション・ビジョン・バリューに基づく人材の育成及び社内環境整備に係る指数について、具体的な取り組みを行っているものの、本報告書提出日現在においては、当該指標についての目標を設定しておりません。その具体的な目標設定や状況の開示については、今後の課題として検討してまいります。
当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び万一発生した場合でも業績及び財務状況に与える影響を最小限にすべく対応に努める方針であります。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
近年、GIGAスクール構想の進展や教育DXの加速、生成AIなど新たな技術の導入により、日本国内におけるEdTech市場は今後も緩やかな拡大が見込めます。特に、個別最適化された学習支援やICTを活用した学習環境の整備に対する需要は一層高まっており、スマートフォンやタブレット端末の普及、オンライン学習への社会的受容の進展も追い風となっています。しかしながら、これらの市場のニーズや成長が大きく鈍化し、もしくは縮小した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
OpenAI社が開発するChatGPTをはじめとした、人工知能アルゴリズム生成AI技術の技術開発はより一層進むことが予想されます。これらの技術の進化は社会的な構造の改革を伴うことでもあり、市場環境やニーズの変化への迅速な対応、戦術的な技術投資の機会を図り、柔軟に対応できる体制を整えております。しかしながら、生成AIの急速な進化と台頭、新たな規制の導入や技術革新、その他予期せぬ要因によって、今後の競合環境に大きな変化が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
教育業界は、長期にわたる出生率低下に伴う少子化により、学齢人口の減少という問題に直面しております。少子化による影響や、子どもにかかる学習費や学習塾の事業所数が増加傾向であることも相まって、教育業界では同業間での生徒数確保に向けた競争が激化していくことが予想されます。
このような状況の下、当社グループは、子どもたちには、「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を身につけて頂くこと、当社グループのサービスを使って学習塾を独立開業される方等には、その経営を成功して頂くこと等を目指して事業展開を進める所存でありますが、今後、少子化が急速に進行し、教育市場全体が著しく縮小した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
近年、教育分野においては、グローバル化やICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)化の必要性が高まりを見せております。大学入試においても新制度導入が検討される等、今後も環境が変化し、また、子どもや保護者の教育に対するニーズも急速に多様化、個別化していくことが予想されます。
このような状況の下、当社グループは、細分化された顧客ニーズに対応した商品・サービスを提供するよう、新技術の開発やノウハウの取得を推進しております。しかしながら、将来において教育環境及び顧客ニーズが当社グループにおける対応を上回る規模で急激に変化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、ICT教材サービスをはじめとする特色あるサービスの提供や機能の強化、サービスラインナップの充実、学習塾や学校法人に対する経営支援体制の強化等に継続的に取り組み、競争力の向上を図っております。しかしながら、当社グループと同様にEdTechを提供している企業や新規参入企業との競争激化による顧客の流出やコストの増加等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、教育コンテンツの提供企業との業務提携等を通じた事業の拡大に取り組んでおります。当社グループと提携先が持つコンテンツや事業運営ノウハウ等を融合することにより、大きなシナジー効果を発揮することを目的としておりますが、当初見込んだ効果が発揮されない場合、またこれらの提携が解消された場合、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループが事業を展開するEdTech業界においては、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われております。これらの変化に対応するため、当社グループは、開発スタッフの採用・育成や最先端の技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。しかしながら、かかる知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のために追加的なシステム投資、人件費等の支出が拡大する可能性があります。このような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、コンテンツ・システムのプログラミング等の一部の業務を外部に業務委託しております。当社グループは、業務委託先が開発遅延等を起こさないようにプロジェクトの進捗管理を慎重に実施しております。しかしながら、業務委託先において開発遅延、経営破綻、法令違反等が生じる等、サービス提供に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、今後の利用者数及びアクセス数の拡大に備え、システムインフラ等への設備投資を行ってまいりましたが、当社グループの計画を上回る急激な利用者数及びアクセス数の増加等があった場合には、設備投資、減価償却費負担の増加が想定され、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループeラーニング事業では、サービスを導入する校舎数・利用ID数は、広告宣伝活動や営業活動による新規導入校数の増加等により拡大傾向にありますが、学習塾の独立開業者の減少や学習塾、自治体や学校法人等における「すらら」等ICT教材の導入が進まないこと等により、新規校舎獲得数が計画を下回る場合や、解約数が当社グループの想定よりも増加する場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループeラーニング事業では、学習塾や自治体・学校法人等の導入校に対する各種経営支援を通じて生徒数増加のための取り組みを推進しており、これらの活動等によって当社グループのサービスを利用するID数は増加傾向にありますが、当社グループから導入校に対する経営支援活動を行っても導入校において生徒数が増加せず、想定どおりのID数が得られない場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループeラーニング事業では、個人塾のみならず、複数の校舎や多くの生徒を有する学習塾運営会社や学校法人等の法人顧客との契約数の増加に向けた取り組みを推進しており、これらの学習塾運営会社や学校法人等においては、「すらら」等を活用した反転授業を教育カリキュラムに組み込むこと等により、「すらら」等の継続的な活用を促しております。
しかしながら、今後において、複数の校舎や多くの生徒を有する法人顧客において、他社サービスへの切り替えやその他の理由により、当社サービスの利用契約の解約が生じた場合、校舎数及びID数が大幅に減少することが想定されるため、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、今後の更なる事業拡大を推進する上で営業部門における優秀な人材の確保及びその人材の育成が重要であると認識しており、適切な時期を見定めながら新卒や中途採用活動を実施し、また、採用した人材のモチベーションを向上させる人事諸制度の構築や教育の実施を進めております。しかしながら、現状においては、営業部門が少人数であり、一人当たりの役割が多いため、人材の新規採用が予定どおりに進まない場合や既存の人材の社外流出等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、競争優位性を高めるために、新サービスの開発や機能追加を行ってまいりましたが、サービス品質の向上や品揃えの充実のため、今後においてもソフトウエア資産の増加が見込まれます。
今後において当社グループの想定を超えるソフトウエアの開発が必要となった場合には、減価償却費の増加が利益を圧迫する可能性があるほか、想定どおりの収益を獲得できず、営業損失を計上することとなった場合等には減損損失が発生する可能性があります。また、当社グループでは一部の開発を外部委託しており、外部委託先からの納品物の品質に問題が生じた場合にはソフトウエアの改修に係る費用や損失が発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループのサービスは、情報システム及び通信ネットワークを通じて提供しております。当社グループはシステムトラブルの発生可能性を低減させるために、以下のとおり対策を講じております。
しかしながら、以下のようなシステム障害が発生した場合、当社グループのサービスは停止する可能性があり、業績に影響を与える可能性があります。
・電力供給不足、災害や事故等により通信ネットワークやサーバーが利用できなくなった場合
・コンピューターウイルス、不正アクセスによる被害にあった場合
・ソフトウエアや機器に不具合・欠陥が生じた場合等
当社グループは、「個人情報の保護に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「電気通信事業法」等による法的規制を受けております。
社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備・強化しておりますが、不測の事態により、万が一当該規制等に抵触しているとして何らかの行政処分等を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化され、もしくは新たな法令等が定められ当社グループの事業が制約を受ける場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、当社のサービスを利用する生徒、取引先、従業員、株主等に関わる個人情報を有しております。当社グループは社内規程の整備、従業員への教育指導等、2021年2月にはISMS(JIS Q 27001)を取得し、個人情報の管理には万全を期しております。しかしながら、何らかの事情により個人情報が外部に漏洩した場合は、当社の社会的信用の失墜により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう、調査可能な範囲で対応を行っております。しかしながら、当社グループの事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している場合、又は、今後当社が属する事業分野において第三者の権利が成立する場合には、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性及び権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があり、また当社グループの知的財産が侵害された場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
代表取締役である湯野川孝彦は、当社の創業者であり、創業以来当社の代表取締役を務めております。同氏は、EdTechをはじめとする新規事業の立ち上げや顧客に対する経営支援に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。
当社グループは、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は、本書提出日現在、取締役2名、監査等委員である取締役3名、従業員約100名と小規模組織にて運営しており、内部管理体制もこれに応じたものとなっております。今後の事業の拡大及び多様化に対応して、人員の増強と内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの利益配分につきましては、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を維持することを基本方針としております。
しかしながら当社グループは、成長過程にあり、今後の事業発展及び経営基盤強化といった、内部留保の充実を図るため、配当を行っておりません。現時点において当社グループは、内部留保の充実を優先しておりますが、将来的には、業績及び財務状態等を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。しかしながら、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。
② M&A等について
当社グループでは、新規事業やサービスの拡大のため、M&Aを有効な手段のひとつに位置付けており、今後も必要に応じてM&Aを実施する方針です。
M&Aに際しては、対象企業の事業内容や財務内容及び法務等について、詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスクの低減を図る方針です。しかしながら、これらの調査段階で想定されなかった事象が、M&A実行後に発生する場合や、事業展開が計画通りに進まず業績への効果が得られないと判断し、実施後の業績未達等によるのれん等の減損が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、本書提出日現在において具体的に計画している企業買収や資本提携等の案件はありません。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループにおいては、従来からの少子化の流れの中で企業間競争が激しさを増しており、経営環境は依然厳しい状況で推移しています。当社が属するeラーニング事業は、令和5年6月に閣議決定された「新たな教育復興基本計画(計画期間2023年~2027年)」をふまえ、当社が開発したICT教材を通じた社会課題の解決と、事業成長の同時実現に向けて活動を行っております。さらに、将来的な競争力強化と市場拡大に向けて、AI技術やビッグデータ分析を活用した次世代教育プラットフォーム開発に着手しています。
eラーニング事業を行っているすららネットでは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念としています。他社に先駆けた様々な取り組みに挑戦し続けています。
当連結会計年度における新たな取り組みとして、新市場への進出を目指し、リスキリング教材「仕事に役立つ数学基礎コース」をリリースしました。また、「すらら」高校理科教材に「科学と人間生活」を追加しました。
新たな個別最適化の取り組みとして、一人ひとり異なる認知特性に着目し、それに応じた学習方法を診断する「Surala LIFT」や、認知特性別学習教材シリーズ第一弾「漢字アドベンチャー」をリリースしました。
国内外で日本語学習のニーズも高まる中、2023年にリリースしましたICT教材「すららにほんご」は、「第21回日本e-Learning大賞」の「日本語教育特別部門賞」を受賞しました。国内外の教育機関や企業への導入も始まり、今後も国内外で日本語学習の可能性を広げてまいります。
学校マーケットでは、日本最大級の学校数を展開する専門学校グループとの新規契約や新たな自治体などとの契約が進み、補助金を除く契約校舎数は増加しております。一方で、3月年度末に大口の自治体契約が終了したことや、新規自治体案件の獲得が目標に届かなかったことから、売上は前期末と比較し減少しました。こうした状況を受け、今後も人員を補強し、専門性の高いコンサルティングやサポート人員の育成と体制の強化を構築し、今後の成長基盤の構築を目指しています。
塾マーケットでは、放課後デイサービスは堅調に推移しており、ローカル中堅大手塾での導入も着実に進んでおります。その結果、期末での契約校舎数及び利用生徒ID数は増加しましたが、期中での独立開業及び既存塾での利用生徒数減少の影響により、売上は前期末と比較し減少しました。
BtoCマーケットでは、学習習慣の定着に課題がある、不登校・発達障がいなど悩みや不安の大きい保護者支援として、「ほめビリティ・ペアレンティング」サービスを開始しました。一方で、競合他社が増えたことにより、前年と比較し減少しました。
海外マーケットでは、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」に、エジプトの数学力強化を目的とした新デジタル教材コンテンツ開発事業が採択されました。また、大型パイロット事業の終了に伴いKPIは一時的に減少しました。一方で、2024年12月、経済産業省の令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」において、カンボジアでのEdTechを活用した子どもたちの数学力向上と、教員育成を目的とする実証事業に採択しました。新たな市場展開への期待が高まっております。
その結果、すららネット経営指標である、課金対象導入校数と利用ID数の当期末時点における導入校数は2,609校(前年同期比13校増加)、利用ID数は249,407ID(前年同期比178,714ID減少)となりました。
業容の拡大に向けて、新コンテンツ・システムへの開発投資等、引き続き積極的に取り組んでまいりました。
当連結会計年度第2四半期では、ファンタムスティック社受託開発事業において、内部間取引以外での新規案件獲得目標を達成することができなかったことを理由に、のれん減損損失計上を行いました。
その結果、当社グループ全体の当連結会計年度における売上高は1,947,983千円(前年同期比9.2%減)、売上原価は688,261千円(前年同期比8.7%増)、販売費及び一般管理費は1,048,206千円(前年同期比6.8%減)となりました。
当社グループ全体の当連結会計年度における営業利益は211,515千円(前年同期比45.4%減)、経常利益は221,589千円(前年同期比43.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は72,896千円(前年同期比76.0%減)となりました。
なお、当社グループの事業セグメントは、eラーニング、受託開発、アプリ開発ではありますが、受託開発及びアプリ開発の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、セグメント毎の記載を省略しております。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
(a)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて71,635千円減少し、2,637,020千円となりました。
企業の安全性を示す自己資本比率は、前連結会計年度末82.0%に対し、当連結会計年度末は85.0%となり、3.1ポイント増加となりました。また、支払能力を示す流動比率は、前連結会計年度末357.0%に対し、当連結会計年度末は399.2%となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて144,492千円減少し、1,446,639千円となりました。これは主に現金及び預金が93,610千円、売掛金及び契約資産が66,277千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べて72,856千円増加し、1,190,381千円となりました。これは主に、ソフトウエア仮勘定が142,467千円増加した一方、のれんを90,253千円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて83,288千円減少し、362,357千円となりました。これは主に、未払法人税等が36,293千円、前受金が32,967千円減少した一方、未払金が16,447千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べて83千円減少し、11,316千円となりました。これは主に、株式給付引当金が83千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて11,736千円増加し、2,263,346千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を72,896千円計上したことと、自己株式の取得が49,965千円あったことによるものであります。
(b)経営成績
当連結会計年度の売上高は1,947,983千円(前年同期比9.2%減)、営業利益は211,515千円(前年同期比45.4%減)、経常利益は221,589千円(前年同期比43.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は72,896千円(前年同期比76.0%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末に比べ93,610千円減少し、1,061,132千円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
営業活動の結果取得した資金は372,846千円(前年同期は475,542千円の収入)となりました。その主な内訳は税金等調整前当期純利益135,083千円、減価償却費257,884千円、減損損失86,359千円により増加した一方で、法人税等の支払により102,061千円減少したものであります。
投資活動の結果使用した資金は414,898千円(前年同期は433,831千円の支出)となりました。その主な内訳は無形固定資産の取得による支出414,762千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は51,685千円(前年同期は220,512千円の支出)となりました。その主な内訳は自己株式の取得による支出50,185千円であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a)生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社グループの事業セグメントは、全セグメントの売上高の合計額、営業損益の合計額に占めるeラーニング関連事業の割合がいずれも90%を超えているため、記載を省略しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
連結損益計算書の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(a)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は2,637,020千円となりました。
詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
(b)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は1,947,983円となりました。
詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
業容の拡大に向けた営業・開発人員の増強、社内体制強化、コンテンツやシステムへの開発投資、サーバー増強において、積極的に取り組んでまいりました。一方、広告宣伝費など一部の経費については減少しております。その結果、当社グループの当期における売上原価は688,261千円、販売費及び一般管理費は1,048,206千円となりました。
この結果、営業利益は211,515千円、経常利益は221,589千円、親会社株主に帰属する当期純利益は72,896千円となりました。
(c)キャッシュ・フローの分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。当社グループの資金需要の主なものは、コンテンツ・システムの開発費、人件費及び販売活動のための広告宣伝費等の運転資金であります。これらの資金需要に対して、営業活動により必要となる資金を調達しており、資金の流動性は十分に確保されております。今後新たな資金需要が出てきた場合には、金融機関からの借入や新株の発行等により、最適な方法による資金調達にて対応する方針です。
(d)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
(e)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、設立以来、インターネットを通じてタブレットやPCで学ぶことができるeラーニングサービス関連事業を展開してまいりました。
当社eラーニング事業における契約数は、コンテンツや機能の追加・拡充、教育現場の課題解決に向けたコンサルテーションやサポートの強化、他社とのコラボレーションによるコンテンツや機能の強化等の施策により堅調に推移しております。
当社グループは今後、上記の強みを活かしながら社会に発生する様々な教育課題を解決するために、既存ルートの深耕と、新分野の開拓を進めていく方針であります。
(f)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念として事業を展開しております。世の中には、学力や所得、地域の格差などによって十分な教育を受けることができない子どもたちがいます。当社グループは、どんな境遇や環境下の子どもたち一人一人に合った新しい学習体験を届け、この学習体験を通じて、子どもたちが「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を身に付ける支援をしております。当社グループはこれらを実現するために、新しい学びの形を、学習塾や学校、その他の教育機関と共に築いてまいります。さらに「不登校」「発達障がい」など次々に発生する社会課題をテクノロジーで解決すべく、技術開発とサービスの品揃えに注力します。これらの取り組みを世界に拡げ、教育格差の負のスパイラルという社会の問題を解決することをビジョンとしております。当社グループは、このようなビジョンに基づいて事業を展開し、業績の向上を図るとともに、株主利益や社会貢献に十分に配慮し、企業価値の向上に努める所存であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。