第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、当社を取り巻く経営環境の変化のスピードが加速し、不確実性がさらに高まっていくと考えられる中で、更なる持続的な成長を実現するために、当社の目指すべき方向性及び具体的な方針として、ミッション、ビジョン、ポリシーを定めております。

・ミッション

「人と人の未来を繋ぐ先駆者となる」

当社グループは創業以来、不動産の既成概念を打ち破って成長してきました。その中で培ったノウハウを最大限に活用し、世界中と繋がりを持ち、生み出される不均衡を解消します。様々な社会課題と真摯に向き合い、社会に潤いや豊かさを提供する企業であり続けることを誓います。

・ビジョン

「自立自走」

強い意志と主体性を持ち、未来を見据えた思考・行動をとり、機動力のある会社を目指します。

「プロフェッショナル思考」

責務を全うするために、専門性を高め、あらゆる期待に応え、誇り高く仕事に取り組みます。全てのステークホルダーの安心安全を大切に、WIN/WIN/WINを実現します。

「変化を楽しもう」

どのような環境にも適応できる柔軟な感性を育み、現状を否定する勇気とポジティブな挑戦を賞賛します。あらゆる多様性を認め、時代の一歩先を進む会社を目指します。

・ポリシー

これまで社訓としてきた「中庸」「質実」「不断」を、新たにポリシーとして位置付けます。

「中庸」

世の中の動きに対応し、バランスのとれた経営を維持する。

「質実」

華美を排し、スリムな会社創りに徹する。

「不断」

永久に存続する為、八分の力で邁進する。

 

(2) 目標とする経営指標

次期(2025年12月期)の定量目標

・連結売上高 :25,650百万円

・連結営業利益: 1,910百万円

・連結経常利益: 1,600百万円

次期の見通しにつきましては、賃金の上昇により個人消費が増加するとともに、企業の設備投資も堅調な動きが継続するものの、海外経済及び情勢の不確実性、国内の物価上昇、人手不足の深刻化などに加え、日銀の金融政策の転換による金利上昇リスクも予想されることから、先行き不透明な状況が続くものと見込まれ、不動産市況の動向についても注視していく必要があります。

このような状況のもと、当社グループでは2024年8月に公表した中期経営計画(2024年8月~2027年度)を達成するため、社会課題の解決につながる事業の拡大を図り、成長軌道を描く中で、PBRの改善を目指してまいります。2025年度を推進の初年度として設定し、底地・居抜き事業の強化や派生事業の拡大を主軸とした事業戦略、財務戦略、非財務戦略を着実に実行していくことにより、計画達成の基盤を築くことに努めてまいります。

不動産販売事業につきましては、市場動向を注視しながら、引き続き慎重な目線での仕入と積極的な販売活動を行ってまいります。また、財務基盤の強化に向けて資金調達の多様化、販売用不動産の管理及び販売スケジュールの徹底を図ってまいります。

上記により、次期の連結業績見通しにつきましては、売上高25,650百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益1,910百万円(前年同期比1.4%増)、経常利益1,600百万円(前年同期比0.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,070百万円(前年同期比1.8%増)を見込んでおります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社グループは2024年8月に公表した中期経営計画(2024年8月~2027年度)に掲げる基本方針に基づき、社会課題の解決に繋がる事業の拡大を図り、収益性・効率性を両立させて成長軌道を描く中で、PBRの改善を目指し、以下の課題に対処してまいります。

① 既存事業の強化

市場環境や競合環境が緩やかに変化していく中で、当社の事業において安定的かつ継続的な成長を実現させていくためには、組織体制の強化、また単なる人員の増加に頼らない規模の拡大を推進し、競争優位性を高めていくことが必要です。そのため、過去実績やマーケットデータによる検証を基に、査定方法の強化、販売方法・販売先の拡充及び査定精度の向上等を通じて、仕入力及び販売力を強化してまいります。また、強化エリアの指定を踏まえた市場浸透・拡大戦略を推進し、権利調整メニューの拡充等に取り組んでまいります。

組織体制につきましては、営業生産性の向上を目的としたパート社員の活用により、全社的な案件取得数の増加に加えて、営業社員が交渉・権利調整に費やす時間を十分確保するなど一定の効果を見込んでおります。また、2025年1月から新たに導入した人事制度を定着させていくことで、より一層の組織力の強化を図ってまいります。

② 派生事業及び地域活性化推進事業の拡大

2027年までは安定的な中長期の成長に重点を置き、底地・居抜き事業を核として、周辺領域への拡大を目指してまいります。そのため、これまで当社に案件情報は入ってきているもののスケール化・事業化できていない事業を「派生事業」と定義し、中期経営計画の期間内での事業基盤の確立を目指しております。派生事業は昨年から検討を重ねており、試験的に期初から物件を取得しております。また、その他の事業についても今期中に事業化の検証、社内整備を行い、物件の取得を目指します。

地域活性化推進事業においては、岩手県八幡平市、長崎県平戸市、伊豆エリアを中心に地域に密着した事業を目指してまいります。八幡平市では従来のペンション事業に加え新たに別荘地を活用した事業、平戸市では古民家の利活用、伊豆エリアでは「RIDER'S VILLA」事業に取り組み、今期中の開業を予定しております。

③ 経営基盤の強化

これまで強化してきた財務基盤につきましては、営業キャッシュ・フローおよび外部からの資金調達を原資として、成長投資・株主還元に戦略的に配分することで、事業成長および資本効率性・収益性の向上を目指してまいります。その中で、クラウドファンディングを含む既存の金融機関以外からの資金調達方法を検討してまいります。

人的資本の強化につきましては、長期ビジョンや中期経営計画の実現に向けて、人事コンセプト、人事ポリシーを新たに策定し、新人事制度を導入いたしました。今後、新人事制度に連動した人材育成の仕組みや、働きやすさを高めるための取組を拡充していくことで、従業員のエンゲージメントの向上を図ってまいります。

また、上記の取り組みに加え、IR・PR活動の強化を課題として認識しており、ブランディング戦略を構築・推進するとともに、メディアや投資家とのリレーションを強化してまいります。

④ 利益の還元

ⅰ 株主還元

当社は、株主の皆さまへの利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けております。株主の皆さまへの利益還元につきましては、収益力の向上を図り配当原資を確保することにより、継続的かつ安定的な配当の実施及び経営成績に応じた積極的な利益還元を配当の基本方針としております。株主利益の最大化を目指した経営戦略の推進によって、収益力の向上と事業基盤の拡大に努めてまいります。

2025年12月期の配当につきましては、中間配当金1株につき17円、期末配当金1株につき25円(年間配当金は1株につき42円、当期から1円の増額)を予定しております。

引き続き、株主の皆さまに対する還元を重要な経営課題として位置付け、業績に応じた株主還元の拡大に努めてまいります。

 

ⅱ 社会還元

当社は、経営戦略において重要なサステナビリティ関連のリスク・機会に適切に対処するため、持続的成長に不可欠なマテリアリティを特定いたしました。ESG経営を推進するべく課題改善に優先的に組み込み、実行していかなければならないと考えております。取り組みの透明性を確保するために定期的に内容を見直し、変化する市況に柔軟に対応してまいります。

また、従来から取り組んでおりました底地応援プロジェクトを中心とした子供支援活動と寄付・購買・勤労による支援を中心とした社会福祉支援活動につきましては、今後も引き続き進めてまいります。

ⅲ  社員還元

当社の今後の業容の拡大及び業務内容の多様化に対応するためには、優秀な人材の確保が重要となります。そのため、多様な働き方の環境整備をはじめとした職場環境のさらなる改善・整備のため、会社休日の増設及び物価上昇に対応するためのベースアップの実施をはじめとした給与・賞与などの処遇の充実を継続して行っております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、企業理念に基づき、事業活動を通じて持続可能な社会の実現を目指すサステナビリティ経営を実践してまいります。会社のミッションとして掲げている「人と人の未来を繋ぐ先駆者となる」を実現し、当社グループの存在意義を高めてまいります。サステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関する活動を促進・管理するため、2024年2月に「サステナビリティ委員会」を設置し、定期的に委員会を開催しております。サステナビリティ委員会では、変化する世の中のニーズに応えるべく組織の方針策定と実施、ステークホルダーとのコミュニケーション、リスク管理、社内教育と文化の醸成、透明性の確保などを目的として、各部署への戦略立案や指示を行っております。

 

サステナビリティ推進体制


 

(2) 戦略

当社グループの経営戦略において重要なサステナビリティ関連のリスク・機会に適切に対処するため、マテリアリティを特定しております。透明性を確保するため、定期的に内容を見直し、変化する状況へ柔軟に対応してまいります。

 

カテゴリー

マテリアリティ

個別課題

環境(E)

環境への負荷、災害リスクの低減を目指す活動の推進

廃棄物削減とリサイクル

自然災害からステークホルダーを守る取組の推進

社会(S)

取引に関わる全ての関係者のWin-Win-Winの実現

安心安全な社会への貢献

権利調整による不動産の再生

地域活性化

社会(S)

多様な価値観の人材育成と働きやすい職場環境

事業成長・顧客満足度を高めていくための人材獲得・育成

従業員の健康

働き方の多様化・ワークライフバランス

ガバナンス(G)

ガバナンスをより重視した経営による持続的な成長

法的コンプライアンスの遵守

BCPを重視したリスク管理

 

 

① 環境への負荷、災害リスクの低減を目指す活動の推進

地球温暖化による近年の異常気象に対し、環境負荷を減らす企業活動が求められている中で、当社グループは事業活動の中で環境負荷の低減に取組んでおります。また、従業員や借家人等のステークホルダーの安全・安心を確保するためのシステムや仕組みの導入を行っております。

② 取引に関わる全ての関係者のWin-Win-Winの実現

当社グループは、権利調整業務を通じて、不動産に関する諸問題を解決し、ステークホルダーへ住まいの安全を提供できるよう取り組んでおります。当社の事業は、複雑な権利関係が存在することで価値が毀損した不動産を、当社の権利調整によって不動産本来の価値を取り戻すことで、持続可能で快適な住環境づくりに貢献していることから、社会貢献性の高い事業であると考えております。また、権利調整のリーディングカンパニーとして、約50年に及んで培ってきたノウハウと豊かな経験を活かし、ステークホルダーがWin-Win-Winとなる関係を目指して企業活動にも注力してまいります。

地域活性化事業は、人口流出による過疎化等で空き家の増加が課題となっている現状に対し、特に観光資源を有する地域に点在する空き家を利活用する(歴史的建造物・別荘等の遊休資産を再生しながら不動産の魅力を引き出す)ことにより、地方自治体が抱える問題解決の一翼を担ってまいります。

③ 多様な価値観の人材育成と働きやすい職場環境の実現

当社グループにおいて、人的資本は会社の中核をなし、競争力や持続可能な成長基盤を築くものと考えており、従業員のスキルやモチベーション向上に投資し、人的資本を最大限に活用することを目指しております。

人的資本の強化の一環として、2025年から新たな人事制度を導入いたしました。当社が100年続く企業であるために、個人だけでは目指せない領域にチャレンジするために個人の強みを融合し、チームで協力する組織となることが必要と考え、人事コンセプト及び人事ポリシーを新たに策定いたしました。また、会社が社員への期待と約束することを明確にし、社員はその期待に応えることで成長し、社員一人当たりの生産性の向上を促進してまいります。今後は、新制度を定着させ、最終的には従業員エンゲージメントの向上に繋げてまいります。

また、2024年にサンセイ従業員持株会を割当先として、譲渡制限付株式を付与しております。対象従業員の財産形成の一助とすることに加えて、当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを対象従業員に与えるとともに、当社の株主との一層の価値共有を進めること、さらには従業員エンゲージメントの向上に寄与することを目的としております。

 

④ ガバナンスをより重視した経営による持続的な成長

コンプライアンス委員会を定期的に開催し、テーマに沿った社内コンプライアンス研修を企画、全社でコンプライアンス意識を醸成しております。想定される重大なコンプライアンス違反を社内研修で事前に共有することで未然に防止しております。また、内部通報窓口を通常用、匿名用及び女性専用の3種類を設置し、実効性を高めております。

リスクマネジメント委員会を定期的に開催し、社内で報告されたリスクに関して評価分析し、社内周知することでリスクに関する意識の浸透を図っております。また、自然災害、感染症及び情報漏洩等に関するBCPを策定し、有事の際に備えております。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、組織目標を達成する上で潜在的な障害や損失を最小限に抑え、持続可能な成長を促進するため、リスクマネジメント委員会、コンプライアンス委員会及びサステナビリティ委員会にてリスク評価と分析を行っております。

BCPを重視したリスク管理をマテリアリティにも掲げており、事業の安定継続のため、自然災害、感染症、サイバー攻撃などのリスクに備えております。

 

(4) 指標及び目標

当社グループは、多様な価値観の人材育成と働きやすい職場環境を推進するため、性別に関わらず活躍できる職場づくりに取り組んでおり、女性活躍にも注力しております。その一環として、すでに取得済の「くるみん」の認定に加え、2027年までに「プラチナくるみん」の認定取得を目指し、以下の指標及び目標を掲げております。また、育児休業等の取得・子育てをする女性が就業を継続し活躍できるよう、能力向上やキャリア形成のための支援等の取組の計画を策定・実行してまいります。

 

指標

2027年度までの目標

2024年度実績

男性の育児休業等取得率

2027年まで50%以上を維持

 50%

女性の育児休業等取得率

2027年まで75%以上を維持

100%

育児休業復帰率

2027年まで90%以上を維持

100%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

以下には、当社グループの事業及び経理の状況等に関して、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても投資判断上、重要と考えられる事項について、投資家に対する積極的情報開示の観点から以下に記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生が考えられる事項に対し、十分な認識をした上で、リスク回避あるいは発生後の迅速な対応に努める所存でありますが、当社株式に対する投資判断は、本項記載内容等を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済情勢の変動について

当社は、底地及び居抜きを主な対象とした権利調整を伴う不動産販売事業を行っております。当社グループの属する不動産業界におきましては、景気動向及び金利動向等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や金利の大幅な上昇等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、経済情勢の変化により土地の公示価格の下落等が発生した場合には、当社の収益が圧迫され、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、権利調整におきましては、売買対象となる底地及び居抜きの買取価格及び賃料収入は、土地の実勢価格に基づいて算定されており、不動産価格と事業損益は密接に関係しているため、景気動向の影響を受ける傾向にあります。従いまして、当社の想定を超える国内外の社会情勢や経済情勢の変動が起こった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) 所有不動産の価格下落リスクについて

当社は、在庫として保有する販売用不動産や収益性のある賃貸不動産を所有しており、当該不動産の販売価格や稼働率、賃料等は、景気動向や不動産市況、不動産税制の変更、近隣の賃貸需給関係等の影響を受けやすい傾向があります。

当社グループにおきましては、販売用不動産については、上記のリスクを注視しながら計画に基づいた販売を推進するとともに、賃貸不動産については、稼働率を高めて安定した賃料収入を確保するため、テナントの入退居状況や賃料の未収状況を常にチェックし、また不動産そのものの価値を高めるよう努力してまいります。しかしながら、上記の理由等により、販売価格が下落した場合や稼働率や賃料が低下し、保有する収益不動産から得られる賃料収入が減少した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

また、首都圏直下型の大地震等の自然災害、火災、事故等により、保有している不動産が毀損及び滅失する可能性があります。当社グループでは原則として、所有する不動産に対しては、火災保険や賠償責任保険等を付保しておりますが、保険金の限度額を上回る損害が発生する可能性や、保険でカバーできない災害や事故が発生する可能性を否定することはできません。また、保険金が支払われた場合におきましても、災害発生前の状態に回復させることができない可能性があります。この場合、当社グループの財政状態及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 不動産に関する権利関係の複雑性及び不動産登記に公信力がないことについて

不動産については様々な権利義務が存在します。日本の不動産登記には公信力(公示を信頼して取引した者には、公示どおりの権利状態があったのと同様の保護を与える力)がないことから、登記を信頼して取引した場合でも保護されない場合があります。特に当社が主に取り扱う底地については、権利関係が不動産登記に正確に反映されていないために登記から事前に正確な権利関係を完全に把握できない場合や、権利関係の発生時期が古く度々相続が発生し権利が複雑化しているために、正確な権利関係の把握に時間を要する場合があります。従いまして、当社が取得した権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受け、あるいは第三者の権利を侵害していること、当社が借地権者等の権利者と判断した相手先以外に権利者が存在すること等が後になって判明する可能性があります。当社は、仕入に際して登記内容を確認することに加えて不動産仲介業者・税理士等の物件情報提供者を通じ、土地所有者より権利関係に関する情報を可能な限り入手しており、また物件取得後において新たな権利関係等が判明した場合はそれに応じた権利調整方法を再度立案することにより対応を行っておりますが、対応困難な事態が現実に発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 不動産に係る権利調整の成否による業績の変動について

当社の不動産販売事業においては、収益化するにあたり権利調整を行う場合が大半を占めております。従いまして、底地において借地権者が底地の販売交渉に応じないことから販売交渉が進展しない場合、居抜きにおいて借家権者が明渡し交渉に応じないために売却に至らない場合など、権利調整における交渉が順調に進捗せず収益化に至らない場合には、当社グループの業績に変動が生じる可能性があります。

 

(5) 不動産物件の仕入について

当社の不動産販売事業においては、物件の仕入の成否が販売に直結するため、情報収集先の拡大等により物件仕入の確保に努める方針であります。しかしながら、不動産市況の変化、物件の取得競争の激化等により優良な物件を仕入れることが困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 不動産物件の引渡し時期及び決済条件の変更等による業績の変動について

当社の不動産販売事業にかかる売上計上方法は、物件の売買契約を締結した時点ではなく、物件の引渡しを行った時点で売上を計上する引渡基準によっております。そのため、顧客都合による決済日の変更や決済条件の変更等により、物件の引渡し時期、規模及び利益率等の変更が生じた場合、当社グループの業績に変動が生じる可能性があります。

 

(7) 法的規制について

当社グループの属する不動産業界には、「宅地建物取引業法」「建築基準法」「都市計画法」「国土利用計画法」「借地借家法」等の法的規制があります。当社グループは、それらの規制を受け、宅地建物取引業法に基づく免許を取得して不動産販売等の業務を行っております。これらの法的規制の大幅な改廃や新法の制定により、事業計画見直しの必要が生じる等の法的規制の強化や緩和が行われた場合、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

なお、宅地建物取引業免許は、当社グループの主要な事業活動に必須の免許であります。現時点において、グループ各社には、宅地建物取引業法に定める免許または登録の取消事由・更新欠格事由に該当する事実は存在しておりません。しかしながら、今後、何らかの理由により免許及び登録の取消・更新欠格による失効等があった場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたし、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの有する免許、許可は以下のとおりであります。

会社名

法令等名

免許・許可の内容

有効期限

㈱サンセイランディック

宅地建物取引業法

宅地建物取引業者免許
(国土交通大臣(5)第6282号)

2027年5月17日

 

 

(8) 税制の変更等による業績の変動について

当社グループの属する不動産業界において、不動産関連税制の変更が生じた場合には、資産の保有・取得・売却コストの上昇、顧客の購買意欲の減退等により当社グループの業績に変動が生じる可能性があります。また、当社が主に取り扱う底地については、土地所有者における相続の発生が当社の物件仕入の要因となる場合が多いことから、相続税制において規制の強化・緩和等がなされた場合には、当社グループの業績に変動が生じる可能性があります。

 

(9) 訴訟等について

当社グループは、当連結会計年度末現在において、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありませんが、万が一将来において、借地権者及び借家権者との交渉に伴うトラブルが生じた場合、これらに起因する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10)有利子負債への依存と資金調達について

当社では、不動産の取得資金を主に金融機関からの借入金により調達しているため、有利子負債への依存度が比較的高い水準にあります。今後は、資金調達手段の多様化に取り組むとともに、自己資本の充実に注力する方針でありますが、金融情勢の変化等により金利水準が変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の資金調達の方法については、特定の金融機関に依存することなく個別の案件毎に融資の打診をしておりますが、金融政策の変化、当社の信用力の低下等により資金調達に制約を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

《有利子負債残高の推移》

期別

項目

2022年12月

2023年12月

2024年12月

有利子負債残高    (千円)

16,399,010

16,878,850

18,505,674

総資産額       (千円)

28,976,914

30,976,423

33,107,247

有利子負債比率     (%)

56.6

54.5

55.9

 

 

(11)感染症の感染拡大に伴うリスク

当社グループは、新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等の感染症の流行等、公衆衛生上の危機が発生した場合には、不動産販売事業において不動産売買の遅延及び取引の見合わせ等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)個人情報等の管理について

当社グループは、土地所有者や借地権者の顧客情報等の多数の個人情報や、当社グループの様々な経営情報等の内部情報を保有しております。これらの情報管理については、その管理に万全を期するため、管理体制の構築、社内規程の整備、システム上のセキュリティ対策の強化など、その管理に万全を期しております。しかしながら、万が一これらの情報が外部流出した場合、あるいは不正使用された場合には、信用の失墜や損害賠償等が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)人材の確保と育成について

当社は、底地及び居抜きを主な対象とした権利調整を伴う不動産販売事業を行っており、業務を行うためには、不動産に係る幅広い法令や業務に関する知識が求められ、また、土地所有者、借地権者と交渉を進めるにあたって高いコミュニケーション能力が求められます。したがって、今後の業容の拡大及び業務内容の多様化に対応して、優秀な人材を適切な時期に確保する必要があります。しかしながら、人材の確保・育成が計画通り進まない場合や、社外流出等何らかの事由により既存の人材が業務に就くことが困難になった場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から2,130百万円増加し、33,107百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から1,449百万円増加し、20,348百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末から681百万円増加し、12,758百万円となりました。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度の経営成績は、売上高25,620百万円(前年同期比10.1%増)となり、営業利益1,882百万円(前年同期比12.6%減)、経常利益1,585百万円(前年同期比10.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,050百万円(前年同期比11.2%減)となりました。

 当連結会計年度における販売実績及び仕入実績は次のとおりであります。

 

ⅰ 販売実績

区分

件数

前年同期比(%)

売上高(百万円)

前年同期比(%)

底地

290

△0.7

10,233

+24.0

居抜き

79

△11.2

12,977

△1.2

所有権

16

△20.0

1,923

+29.2

その他の不動産販売事業

485

+25.0

合計

385

△4.0

25,620

+10.1

 

(注)1.「件数」については、売買契約の件数を記載しております。

2.底地・居抜き・所有権の「区分」については、仕入時の区分により記載しております。仕入後に権利調整により底地から所有権に変わった区画等に関しては、仕入時の区分に基づき底地に含めて記載しております。また、底地・居抜き・所有権が混在する物件については、底地を含む物件は「底地」に、居抜きと所有権のみが混在する物件は「居抜き」に含めて記載しております。

3.「その他の不動産販売事業」は、地代家賃収入、仲介手数料による収入、業務受託手数料収入等であります。

 

販売におきましては、居抜きの販売が減少したものの、底地及び所有権の販売が増加したことにより、売上高は前年同期比で増加いたしました。

 

ⅱ 仕入実績

区分

区画数

前年同期比(%)

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

底地

383

△12.8

6,839

△31.1

居抜き

60

△28.6

9,910

+36.0

所有権

16

△23.8

2,494

+77.3

合計

459

△15.6

19,244

+3.4

 

(注)1.「区画数」については、底地の場合は借地権者の人数など、物件の仕入時に想定される販売区画の数量を記載しております。

2.底地・居抜き・所有権が混在する物件の「区分」については、底地を含む物件は「底地」に、居抜きと所有権のみが混在する物件は「居抜き」に含めて記載しております。

 

仕入におきましては、底地の仕入が減少したものの、居抜き及び所有権の仕入が増加したことにより、仕入高は前年同期比で増加いたしました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,365百万円(前期比60.8%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は1,143百万円(前年同期は11百万円の支出)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,585百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額870百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は714百万円(前年同期6.6%減)となりました。

収入の主な内訳は、定期預金の払戻による収入668百万円、拘束性預金の減少による収入391百万円であり、支出の主な内訳は、賃貸不動産の取得による支出900百万円、定期預金の預入による支出667百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動の結果得られた資金は1,222百万円(前年同期304.1%増)となりました。

収入の主な内訳は、長期借入れによる収入6,777百万円であり、支出の主な内訳は、短期借入金の減少による支出1,832百万円、長期借入金の返済による支出3,318百万円、配当金の支払額403百万円であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

なお、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、以下のとおりであります。

(販売用不動産の評価)

当社グループは、販売用不動産の評価について、個別法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)によっており、収益性の低下した販売用不動産については、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。

国内経済の変化により、不動産市場が悪化したこと等により正味売却価額が下落した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

ⅰ 財政状態の分析
(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末から1,111百万円増加し、30,633百万円となりました。現金及び預金1,242百万円の増加、その他流動資産100百万円の減少が主な要因であります。

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末から1,018百万円増加し、2,473百万円となりました。賃貸不動産881百万円の増加が主な要因であります。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末から600百万円減少し、15,145百万円となりました。短期借入金1,832百万円の減少、1年内返済予定の長期借入金1,467百万円の増加、未払法人税等348百万円の減少が主な要因であります。

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末から2,049百万円増加し、5,203百万円となりました。長期借入金1,991百万円の増加が主な要因であります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末から681百万円増加し、12,758百万円となりました。利益剰余金646百万円の増加が主な要因であります。

 

ⅱ 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は25,620百万円(前年同期比2,351百万円増)となりました。

売上高が増加した主な要因は、底地及び所有権の販売が増加したことによるものであります。

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は6,302百万円(前年同期比39百万円減)となりました。

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は4,419百万円(前年同期比232百万円増)となりました。これは、給与手当の増加80百万円、地代家賃の増加41百万円、修繕費の増加37百万円、租税公課の増加50百万円及び支払手数料の増加22百万円によるものであります。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は1,882百万円(前年同期比272百万円減)となりました。前述の売上総利益の減少、販売費及び一般管理費の増加によるものであります。

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は1,585百万円(前年同期比179百万円減)となりました。営業外収益は84百万円であります。営業外費用は381百万円であり、主な内容は支払利息280百万円、支払手数料49百万円によるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は1,585百万円(前年同期比170百万円減)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は534百万円(前年同期比38百万円減)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,050百万円(前年同期比132百万円減)となりました。

 

ⅲ キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、4,365百万円(前年同期比1,651百万円増)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が1,585百万円(前年同期比170百万円減)、棚卸資産の減少による収入が31百万円(前年同期は1,707百万円の支出)、契約負債の増加による収入が120百万円(前年同期は82百万円の支出)、法人税等の支払額が870百万円(前年同期比787百万円増)となったこと等により、1,143百万円の資金の増加(前年同期比1,154百万円増)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出103百万円(前年同期比103百万円増)、賃貸不動産の取得による支出900百万円(前年同期比900百万円増)等により、714百万円の資金の減少(前年同期比50百万円減)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済による支出が1,832百万円(前年同期比2,949百万円減)、長期借入れによる収入6,777百万円(前年同期比3,776百万円増)、長期借入金の返済による支出が3,318百万円(前年同期比319百万円減)、配当金の支払額が403百万円(前年同期比175百万円増)となったこと等により、1,222百万円の資金の増加(前年同期比920百万円増)となりました。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの事業活動における主な資金需要は、不動産販売事業における不動産の取得資金であります。資金需要に対しては、主に金融機関からの借入金により調達しており、特定の金融機関に依存することなく個別の案件毎に調達を行うことにより、安定的な資金の確保に努めております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

  該当事項はありません。