第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、企業理念である「価値ある技術創造で社会を豊かにする」を実現するために、医療現場や世の中のニーズに沿う高品質なソリューションを、逸早く開発・提供していくことが不可欠であると考えます。「新しい発想・技術の探求」を基に「モノ創りの喜びを感じられる研究開発」を推進し、「お客様の期待を上回り、社会の発展に貢献する製品」を提供することを、経営の基本方針として定めております。

 

(2)経営環境

医療業界ではデジタル技術の活用が急速に進み、政府主導の医療DXプロジェクトが複数展開されています。

マイナンバーカードの健康保険証利用の開始や電子処方箋の取り組み、クラウド技術を用いたデータ連携が加速していることから、DXソリューションに対する需要は依然として高まっています。また、患者が急性期から回復期を経て自宅に戻るまで、切れ目のない医療を受けることができる環境を構築するための地域医療連携が、医療現場では求められています。一方では、医師の過重労働問題を背景に、2024年4月から施行された改正医療法により、医師の働き方改革が推進されています。このような中で、当社は今後も既存のお客様に対する追加の製品導入とリプレイス導入の獲得を目指すとともに、新しい取り組みを通じて当社製品やサービスを更に多くのお客様にご利用いただけるよう、今後も積極的な製品開発と販売を行ってまいります。

公共セクター領域では、当社のターゲットセグメントには競合が少なく、また医療業界以上にDXのニーズが年々高まっています。大小様々な規模の行政組織から当社製品へ関心が寄せられ、導入が順調に決まるなど、ビジネス環境は非常に良好なため、継続して自社製品の拡販を進めてまいります。

ヘルステック領域においては、学会や展示会などでの当社製品発表の機会が増加し、また学術誌やテレビ番組などでのメディア露出も増加しております。これに伴い、当社の視線分析型視野計「GAP」に対する認知度も向上し、多くの医療関係者からの引き合いを頂いております。「GAP」と形状が類似するヘッドマウントディスプレイ型の視野計は国内外の企業から販売されておりますが、「GAP」はその中でも独自の検査ロジックを有しており、他の製品とは一線を画しています。現在、「GAP」の検査ロジックを完全に再現した機器が市場に存在しないことが、当社の競争力の源泉となっております。

今後も協業パートナーとともにプロモーション活動をより一層強化し、「GAP」の拡販を目指します。国内外の顧客に、当製品の高い性能と独自性を理解していただくための取り組みを継続してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、以下の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に取り組んでまいります。

 

① 事業強化と企業価値向上のための人材の確保

 当社は、競争力の源泉は製品力であり、その製品力は、事業領域全般に関する深い知識と現場のニーズを把握する情報収集力、それらを基に早期に製品化する高い開発力にあると考えております。現段階において開発部門のスタッフが不足している状況にはないものの、新卒・中途採用を問わず、高いスキルと使命感を持った優秀な人材の確保に努めてまいります。営業サイドにおいても、事業拡大のスピードに合わせた適切な規模での採用が不可欠であるとの認識に立ち、事業領域全般に関する知識やスキルをバランス良く持ち合わせる人材の確保に引き続き取り組んでまいります。

 

② 隣接領域への進出

a. クラウドサービスの開発

 当社グループは創業以来、院内情報システムを中心に全国の医療機関へ製品導入を実施し、事業を拡大してまいりましたが、今後は医療に付随する外部サービスとの連携や、医療コミュニティの形成にも注力いたします。医療領域のデジタル化を推進することで環境負荷の軽減に寄与するとともに、クラウドソリューションの提供を通じ、医療機関や患者のみならず薬局や自治体、訪問看護ステーション等、様々なヒト・モノ・サービスを包括的に繋ぎ合わせ、一連の診療サイクルの利便性・効率性の向上を実現いたします。

 

b.医療機器の海外展開

 当社はこれまで、日本国内の医療機関へのシステム提供を通じて安定的に事業を維持・拡大してまいりました。今後の更なる成長には欠かせない海外展開を本格化するべく、当社開発の医療機器である視線分析型視野計「GAP」について、2023年12月よりEU地域での販売を開始し累計約100台が出荷されました。引き続き海外展開を推進するにあたり、各国薬事承認の取得へ向けた取り組みを進め、プロジェクトを精度高く運用することで、事業規模の段階的な拡大・高収益化を目指してまいります。

 

③ サステナブルな経営の推進

 当社は、公益性の高いビジネスに携わる事業体として、社会への責務を果たすことを重視いたします。国連が提唱するSDGsの実現に向けて積極的に取り組むと同時に、法令や社会的要請に適応したコーポレート・ガバナンス体制のもと、環境保護や社会的要請に配慮した事業活動や、持続可能な社会の構築に関連した外部取り組みのサポートを通じ、豊かな社会の創造に貢献いたします。

 

④ 情報セキュリティ対策の更なる強化

 当社グループは医療機関の患者情報や行政の公文書情報など、高いセキュリティレベルにて適切に管理されるべき情報を多く取り扱っております。

 一切の情報を損失、誤用や改変、そして破損から保護するために、物理的、技術的、管理的セキュリティ対策を継続して実施し、2012年8月には情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を取得いたしました。日本産業規格である個人情報保護マネジメントシステム‐要求事項(JIS Q15001)に準拠した個人情報保護マネジメントシステムを構築し社内体制の強化を図ると同時に、従業員への教育や啓蒙も随時行い、管理体制を強化しております。

 また、昨今はサイバー攻撃の頻度が高まると同時にその手口も巧妙化し、組織運営に大きな影響を与える事件も頻発しています。医療機関や行政組織のサイバーセキュリティやリスクコンサルティングサービスに対する需要が高まる中で、当社は引き続き最適なセキュリティ対策を顧客へ提供し、サイバーレジリエンスの向上をサポートいたします。

 

⑤ M&Aの推進

 当社グループの事業補強と拡大を目的とした企業買収・経営統合を、重要な中長期経営戦略の一つとして位置付けております。引き続き効果的な投資先企業の選定を行い、積極的な資本活用を進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、一定の前提条件の下で当社グループが判断したものであり、様々な要因で大きく異なる結果となる可能性があります。

 

当社グループは、公益性の高いビジネスに携わる事業体として、社会への責任を果たすことを重視いたします。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD、2023年10月に解散)の提言へ賛同するとともに、国連が提唱するSDGsの実現にも積極的に取り組みます。環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮した事業活動を通じ、豊かな社会の創造を目指します。環境への取り組みにおいては、デジタル化・効率化による紙の削減や、ESG投資枠の設定、CO2排出量の削減やクリーンエネルギーの推進などを通じて環境保護に貢献いたします。また社会への取り組みにおいては、医療現場の業務タスクの削減貢献や医療格差の縮小、従業員エンゲージメントを高める健全な就労環境の構築・維持に取り組んでおります。

 

●ガバナンス

当社グループは、従業員を含む全てのステークホルダーからの期待に沿う公正・適正な事業活動、気候変動をはじめとした地球規模の環境問題への配慮、人権の尊重など、社会や企業のサステナビリティを巡る課題解決を事業機会と捉え、これらに向けた取り組みを推進するため「サステナビリティ委員会」を設置しています。当委員会は、代表取締役を委員長とし、管理部長・執行役員を委員として構成しています。当委員会は年2回開催され、サステナビリティ課題の現状確認、課題解決に向けた協議・対策、施策の検討・策定・評価を行います。当委員会では、当社のサステナビリティ課題への対応について共有・監督を行い、報告された関連リスク及びそれに対する対応方針について討議し最終決定がなされます。討議決定された対応方針はサステナビリティ委員会からサステナビリティ事務局を通じて各部署の事業活動に反映され、対応状況がモニタリングされます。

 

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●リスク管理

当社グループは、持続可能な成長と企業価値の長期的な向上を目指し、企業活動に伴う様々なリスクを識別、評価、監視し、それらに効果的に対処することに重点を置いております。ESGに関連するリスクを、市場動向、法規制の変化、技術革新、社会的要求の変化など、外部環境から広範囲に分析し、内部からのフィードバックや従業員の意見もリスク評価に組み込んでおります。

リスク管理の進捗状況と効果は、サステナビリティ委員会にて定期的に監視され、経営層および関係者に報告されます。気候変動に関するリスク管理は、「①気候変動に対する考え方と取り組み」、その他のリスクに関する詳細は、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

① 気候変動に対する考え方と取り組み

当社グループはプライム市場のコーポレートガバナンスコードに則り、TCFDの提言に基づいた気候変動が事業に及ぼすリスクと機会に対するシナリオ分析を実施し、関連する情報を開示しました。今後は分析範囲を拡大するとともに、経営戦略への反映を進め、財務的な影響について情報開示の充足に努めます。ソフトウェア業界は操業による温室効果ガスの排出量が少ない産業ではありますが、当社は、気候変動問題に対し適切な体制の下で事業リスクや機会を把握・監視し、課題へ対応することは、持続可能な社会の形成を目指すにあたり、非常に重要な取り組みであると考えます。また、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)の開示システムへの回答を実施しております。引き続き脱炭素社会形成に貢献すべく、TCFDの後継的役割を果たすISSB(国際サステナビリティ委員会)の動きを注視しつつ、より一層の気候変動対策を推進してまいります。

 

●ガバナンス

 当社グループは強固なガバナンス体制の下、最重要テーマのひとつである気候変動対策に取り組んでいます。ステークホルダーに対しては、取り組み状況について積極的に情報開示を行い、継続的な改善を図っています。また、社内の管理プロセスを通じて取り組みを推進し、進捗状況を把握するとともに、マネジメントレビューを実施することで、より効果的な対応に努めています。

 

●戦略

当社グループは、気候変動のリスクと機会を適切に把握するため、2つのシナリオを設定し、「気候変動対策が進まず成行きのまま気温が上昇し、それによる物理的リスク・機会が発生するシナリオ」を4℃シナリオとして「急性」「慢性」について分析を行いました。一方「温暖化防止に向けて様々な活動が実施され、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会が発生するシナリオ」を1.5℃シナリオとして「政策・規制」「市場」「評判」について分析を行いました。

 

〈シナリオの設定〉

気候関連リスク・機会の分析においては国際的に認められた複数の気候変動シナリオを参照しています。

1.5℃シナリオ

脱炭素社会の実現へ向けた政策・規制が実施され、世界全体の産業革命前からの気温上昇幅を1.5℃未満に抑えられるシナリオ。移行リスクは高いが、物理リスクは4℃シナリオと比較すると低く抑えられる。

4℃シナリオ

パリ協定における国別目標など、公表済み目標が達成されることを前提としたシナリオ。新たな政策・規制は導入されず、世界のエネルギー起源CO2排出量は継続的に増加する。移行リスクは低いが、物理リスクは高くなる。

 

〈シナリオ分析手順〉

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〈シナリオ分析結果〉

シナリオ分析においては、当社の主要事業に対して具体的な検討を行い、2030年時点における主要なリスク及び機会による定性的な分析を行いました。

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※影響度 大:1億円~ 中:1,000万円~1億円 小:~1,000万円

 

 

●リスク管理

[気候関連リスクの識別・評価プロセス]

〈リスク識別プロセス〉

気候関連リスクについては、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会において、年2回各部署から集約された情報を元に洗い出しを行い、「頻度」と「当社の事業に及ぼす影響度」の2軸で評価し重要度を決定します。

〈リスク対応の優先順位付けプロセス〉

影響度と頻度を掛け合わせ、「重要度」と「対応難易度」の2軸にて対応の優先順位をつけたうえで、特定された重要なリスクに対しては対応方針を策定しております。

下図は、今回のシナリオ分析におけるリスク分析の結果です。

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[気候関連リスクの管理プロセス]

サステナビリティ委員会において識別・評価された気候関連リスク及びそれに対応する方針は、少なくとも年2回以上、必要に応じて取締役会に報告されます。

取締役会は、報告された気候関連リスク及びそれに対する対応方針について討議し、最終決定をします。取締役会において討議決定された対応方針は、サステナビリティ委員会からサステナビリティ事務局を通じて各部署の事業活動に反映され、対応状況がモニタリングされます。

 

 

●指標と目標

当社は、2030年までにScope1、2の排出量をSBT1.5度目標に準じ、前年度比でGHG排出量4.2%削減を、Scope3のGHG排出量については売上原単位目標ベースで50%の削減を目指しております。これらの進捗を定期的に管理するとともに、脱炭素社会の実現に向けた貢献をより確かなものにするために、取り組みを推進しております。

 

 Scope1、Scope2及びScope3におけるGHG排出量の算定結果(2023年度)

Scope1

13 t-CO2

Scope2

177 t-CO2

Scope3

3,962 t-Co2

合計

4,152 t-CO2

 

② 人的資本に対する考え方と取り組み

近年の企業経営において、多様性を尊重した組織構築は急務とされております。その範疇は従来の女性活躍推進のみに留まらず、国籍や宗教、性的マイノリティへの対応等多岐にわたります。当社グループはこのような新しい時代の課題にも真摯に取り組み、多様性に配慮した職場環境の構築・維持や、インクルーシブな採用を推進してまいります。

また、当社は社員一人ひとりが健康でいきいきと働ける環境を整えることも重要な経営課題と捉えております。その取り組みの一環として、仕事と子育ての両立支援や健康経営の推進に注力し、ワークライフバランスを重視した就労環境の改善及び従業員の健康維持・増進を支援する各種施策を実施してまいりました。その結果、厚生労働省より「くるみん」の認定、経済産業省より「健康経営優良法人」の認定をそれぞれ取得いたしました。今後も、従業員が心身ともに健康で活躍できる企業文化を醸成し、持続的な企業成長に向けた人的資本の強化に努めてまいります。

参考リンク:https://findex.co.jp/ir/management/health.html

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●戦略

〈人材育成方針〉

人材登用においては、当社は性別・国籍・年齢を問わず、本人のこれまでの成果や希望に応じて、社員を積極的に要職へ登用しております。また、権限委譲も活発に行われ、新規事業の検討や新規領域の開拓など、チャレンジの機会を多く創出しております。当社の役員、管理職のうち、約98%は中途採用者です。今後は、生え抜き社員の管理職への登用により、管理職に占める中途採用者の比率は低下していく可能性はありますが、依然として高い水準での推移が見込まれることから、中途採用者の管理職登用について、自主的かつ測定可能な目標は設定してはおりません。外国人の管理職への登用については、今後、当社のビジネス展開を踏まえ、必要に応じて外国人を採用するとともに、管理職へ登用すること並びに自主的かつ測定可能な目標を設定することは、今後の課題だと認識しております。女性活躍推進法に基づく当社の行動計画では、管理職に占める女性の割合を2030年までに18%へ引き上げる目標を設定しております(2024年12月末:15.4%)。管理職への登用を希望する女性社員を対象に研修やe-ラーニングの機会提供を行うなど、具体的な施策を進めながら、2023年3月より毎年効果測定を行い、目標の達成を図ってまいります。

以下に、人材育成方針に関する施策を記載いたします。

- 内部教育体制の充実と、流動的な人材配置

- 社員本人の希望するキャリアパスに沿った配置転換を基本に、成長可能性を最大化

- 多様性に配慮した採用や人材登用を推進し、外部環境の変化に耐え得る組織風土を醸成

 

〈社内環境整備方針〉

当社グループでは、従業員が快適に働ける環境の整備を重要な経営課題と捉えています。良好な職場環境は、従業員の満足度を高め、生産性の向上に直結します。これにより従業員の健康と幸福を支えるとともに、長期的な企業成長に寄与することを目指しております。

以下に、社内環境整備方針に関する施策を記載いたします。

- 従業員エンゲージメントの高い、健全な職場環境の構築と維持

- 地方・海外拠点を効率的に増やし就労可能性を広げる

- 柔軟なワークスタイルの確立

- 社内施策を通じ、従業員本人の意向に沿ったスキルアップを支援し、昇進の為の環境整備を充実させる

- サバティカル休暇の取得を通じたリスキリングの奨励

 

 ●指標と目標

当社では、従業員の可能性を最大限に引き出し、持続可能な成長を達成するために、人的資本に関する指標と目標を設定しています。以下に、具体的な施策を記載いたします。

- 2030年までに管理職に占める女性労働者の割合を18%へ引き上げる

- 職種変更を含めたジョブ型人材マネージメントを2023年から開始

- 2025年までに、社内インターン制度で他部署経験を深めるキャリアアップ支援を社員の20%に実施

 

 

2023年実績

2024年実績

2025年の目標

従業員サーベイ回答率

96.0%

94.0

96.0

従業員エンゲージメント

3.2

3.4

3.5以上

ストレスチェック回答率

86.0%

92.1

100

離職率)*2

9.7%

5.6

4.0

短時間勤務制度の利用者数

8人

9

25

外国籍雇用比率)*1

0.98%

1.5

1.5

独立社外取締役構成比率

37.5%

37.5

44.4

資格取得奨励金申請数)*2

18件

24

24

有給休暇取得年間平均日数)*2

18.8日

18.7

21.0

月間平均残業時間時間

17.5時間

16.8時間

16.5時間

管理職に占める女性労働者の割合)*2

8.6%

15.4%

15.0%

*1 当社グループの数字です。

*2 単体・正社員の数字です。

上記以外の数値は、単体・全社員(パートタイム・有期労働者含む)です。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)情報セキュリティに関する事件・事故について

当社は、病院の患者情報や行政の公文書情報など、高いセキュリティレベルにて適切に管理されるべき情報を多く取り扱っております。一切の情報を損失、誤用や改変、そして破損から保護するために、物理的、技術的、管理的セキュリティ対策を継続して実施しております。2012年には、大規模病院へ向けた医療情報システムメンテナンス業務について、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得しました。その後は順次認証対象を拡大し、現在では全ての情報システムメンテナンス業務に対してISMS認証を取得しています。日本産業規格である個人情報保護マネジメントシステム‐要求事項(JIS Q 15001)に準拠した個人情報保護マネジメントシステムを構築し社内体制の強化を図り、従業員への教育や啓蒙も随時行っております。

また、昨今はサイバー攻撃の頻度が高まると同時にその手口も巧妙化し、組織運営に大きな影響を与える事件も頻発しています。医療機関や行政組織のサイバーセキュリティやリスクコンサルティングサービスに対する需要が高まる中で、当社は最適なセキュリティ対策を顧客へ提供し、サイバーレジリエンスの向上をサポートしております。

しかしながら、不測の事態により情報セキュリティ事故等が発生した場合、当社グループの信用が失墜し、企業イメージの低下を招き、ISMS認証取消の可能性があると同時に、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)個人情報に関する事件・事故について

当社は、医療機関への医療システムの導入サービスを行う際に、当該医療機関の保管する個人情報を一時的に預かることがあります。当社は個人情報の取り扱いに関する重要性及びリスクを十分に認識し、個人情報を適切に管理するため、個人情報保護規程を整備しております。当社のホームページにて個人情報保護方針を公開し、これら規程及び方針に準拠した行動指針やガイドラインを制定するとともに、教育、研修を通じて管理を徹底しております。なお、当社は2008年1月にプライバシーマークの認証を受けております。

しかしながら、情報管理の過程等において、不測の事態により個人情報の漏洩等が発生した場合、当社への多額の損害賠償請求やプライバシーマークの認証取消処分又は罰金等が課せられる可能性があるとともに、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)訴訟等の発生について

当社グループにおいて、現在係争中の業績に重要な影響を及ぼす訴訟等はありませんが、以下に記載する①・②等、何らかの理由により訴訟等が発生し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。(ただし、対象の損害賠償保険への加入により、当社のIT事業に係る賠償損害や費用損害のリスクへ備えております。)

 

① 当社グループの製品において、当社グループの過失によって生じた不具合等により、ユーザーに損害が発生した場合、金銭的賠償や信頼喪失により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当社では、医療機関に製品の導入を行う際、データ移行作業のために患者の個人情報を含む医療機関情報を預かることがあります。万が一、内部情報管理体制の瑕疵等によって外部に情報が流出した場合、金銭的賠償や社会的信用の失墜により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品・サービス等の陳腐化について

当社グループは、開発部門において、既存製品の改良と新製品等の研究開発に取り組んでおりますが、万一、当社グループが想定していない新技術及び新サービスが普及等した場合には、当社グループの製品が陳腐化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、マーケット内の競争激化による製品価格の引き下げは、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)特定役員への依存及び人材の確保、育成について

① 特定役員への依存について

当社代表取締役社長である相原輝夫は、当社経営の最高責任者であり、営業活動、開発活動に深く関与しておりますが、現在は業務分掌や職務権限の委譲が進み、同氏への依存度は低下しております。しかしながら、今後何らかの理由で同氏が当社での業務を継続することが困難になったとき、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

② 人材の確保、育成について

当社グループの従業員には、医療とITに関する高度な知識と提案力が要求されます。今後も継続的な採用活動と教育育成プログラムにより人員拡充に努めてまいりますが、計画的な採用、育成ができなかった場合、事業拡大及び将来性に影響を与える可能性があります。

 

(6)販売パートナーとの関係について

当社グループは、研究開発型企業として製品を供給し、パートナーを通じ販売を拡充する方針をとっております。当社グループは、販売パートナーとの間に良好な関係を維持しておりますが、今後、販売パートナーの経営戦略の変更や他社製品への取り扱いの変更、その他何らかの理由で良好な関係が維持されず、代理店契約等が解除された場合には、当社グループの営業拠点から離れた地域のユーザーへのサポート等に係る金銭的又は時間的な負担が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)特許権等の知的財産権について

当社グループは、国内外において特許権等の知的財産権を取得することにより、独自に開発したロジックや製品等の保護に努めております。しかし、第三者から異議申し立てを受け、無効になる、又は回避される可能性があり、これらの特許権等により競争上の優位性が保証されるものではありません。

当社グループは、現時点において、当社グループの特許に対する無効申し立てや、当社グループの事業活動に影響を与えるような特許権、商標権、著作権等その他の知的財産権が他組織により取得されているという事実は確認しておりません。しかしながら、ソフトウエアに関する技術革新の顕著な進展により、当社グループのソフトウエアが第三者の知的財産権に不時に抵触する場合や、当社が認識していない特許権が成立している場合、当該第三者が知的財産権の侵害を主張し、損害賠償及び使用差し止め等の訴えを提起される可能性並びに当該訴訟に対する金銭的な負担を余儀なくされる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(8)感染症流行の影響について

感染症の流行は、当社の主要顧客である医療機関の操業へ大きな影響をもたらします。万が一その影響が深刻化する様相となった場合には、医療機関へのシステム導入の長期化や延期等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当期の経営成績の概況

当社グループは、企業理念である「価値ある技術創造で社会を豊かにする」を実現するために、医療用のソフトウエアや医療機器、行政組織のDXを推進するソリューションを中心とした製品・サービスを開発・提供しております。「新しい発想・技術の探求」を基に「モノ創りの喜びを感じられる研究開発」を推進し、「お客様の期待を上回り、社会の発展に貢献する製品」を提供することを、経営の基本方針として定めております。世の中に求められる画期的なシステムで新しい社会インフラの構築を担い、医療や人々の健康を支える企業として、社会的責任を果たしてまいります。

 

また、当社グループはサステナビリティに関する取り組みを強化しております。環境への取り組みとしては、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)の質問書への回答や、TCFDのフレームワークに沿った開示など、国内外のイニシアティブへの対応を積極的に行っております。社会への取り組みとして、女性管理職比率の向上を実現するために、女性活躍推進法に基づき策定した当社の行動計画に従い、キャリアパスのヒアリングや研修の導入など様々な施策を展開しております。2024年3月には時間外労働の削減やノー残業Dayの実施、男性の育児休暇取得の推奨等の取り組みにより、「子育てサポート企業」として厚生労働省の「くるみん」認定を取得しました。加えて、2025年3月には健康経営への取り組みが評価され、「健康経営優良法人」の認定も取得しております。そのほか、所定労働時間の短縮や国内遠隔地・海外居住者を対象としたフルリモート勤務制度を設定するなど、柔軟かつ多様な働き方を支援することで、従業員のQOL向上を図っております。こうした職場環境の整備や社内制度の充実による積極的な人材投資を実施することで、サステナブルな経営を推進しております。

 

2024年の連結業績は、以下のとおりです。

(単位:千円)

 

2023年12月期

2024年12月期

増減額

増減率

通期業績予想

達成率

売上高

5,191,735

5,841,379

649,643

12.5%

101.0%

営業利益

1,496,570

1,525,418

28,847

1.9%

96.9%

経常利益

1,527,453

1,544,705

17,251

1.1%

97.1%

親会社株主に帰属する当期純利益

1,059,140

1,162,365

103,225

9.7%

106.0%

 

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高5,841,379千円(前年同期比12.5%増)、営業利益1,525,418千円(同1.9%増)、経常利益1,544,705千円(同1.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,162,365千円(同9.7%増)となりました。医療ビジネス及び公共ビジネスの好調を主因に、売上・利益ともに前年同期の業績を上回りました。

 

2024年12月期のセグメント別(連結)の経営成績は、以下のとおりです。

 

≪医療ビジネス≫

(単位:千円)

 

2023年12月期

2024年12月期

増減額

増減率

売上高

4,935,926

5,494,943

559,017

11.3%

営業利益

1,625,997

1,653,229

27,231

1.7%

 

医療ビジネスセグメントの主力製品は、医療機関のDXを支援する画像ファイリングシステム「Claio」や診療記事記載システム「C-Note」、文書作成システム「DocuMaker」です。

 

当連結会計年度では、病院案件53件、診療所案件119件の新規導入・追加導入及びシステム更新を実施しました。また、保守サービスやコンサルテーションサービスも順調に推移しました。結果、当セグメントの経営成績は、売上高5,494,943千円(前年同期比11.3%増)、営業利益1,653,229千円(同1.7%増)となりました。大型案件の貢献による増収効果がありましたが、昇給や人員増に伴う人件費の増加などがあり、営業利益は小幅な増加となりました。

 

当セグメントでは、従来のオンプレミス型製品に加え、新たな医療DXのニーズを取り込む「PiCls」ブランドを代表とするクラウドサービスの拡充や拡販、R&Dを推進しております。また、クラウドソリューションと医療AI技術の提供を主業とする子会社のフィッティングクラウド株式会社は、生成AIを活用し医師業務の省力化を図るソリューション「CocktailAI」の拡販を目指し、新機能追加、当社製品並びに他社製品との連携を進めています。2024年10月にはGoogle Cloudが主催する「第2回生成AI Innovation Awards」において、革新性と実用性が高く評価された「CocktailAI」が優秀賞を受賞しました。

 

≪公共ビジネス≫

(単位:千円)

 

2023年12月期

2024年12月期

増減額

増減率

売上高

187,405

289,548

102,142

54.5%

営業利益

41,364

101,202

59,837

144.7%

 

公共ビジネスセグメントの主力製品は「DocuMaker Office」です。公共セクターのDXを支援する公文書管理・電子決裁システムと、医療機関事務部門の書類を作成・管理するシステムがあります。

 

当連結会計年度では、自治体向けパッケージ12件、医療機関向けパッケージ4件が稼働し、これによる当セグメントの経営成績は、売上高289,548千円(前年同期比54.5%増)、営業利益101,202千円(同144.7%増)となりました。なお、自治体向けパッケージは月額利用のストック型ビジネスです。導入ユーザー数の増加に伴い、月額利用料収入が安定的に推移し、増収増益となりました。

 

自治体向けパッケージは、県庁などの導入実績が好材料となり、第4四半期中に代理店案件2件を受注しました。次年度稼働案件も複数進行中であり、大規模案件を中心に他システムとの連携を含めた追加案件の獲得にも注力しています。医療機関向けパッケージも導入作業が複数進捗し、順調に稼働へと進んでおります。また、系列病院間での利用を想定した案件を受注するなど、今後の更なる発展が期待されます。

 

サービス開始以来、自治体向けパッケージは累計39件、医療機関向けパッケージは累計9件が稼働しており、総利用者数は約34,000人に達しております。このうち、月額課金の利用者数は2023年度末比34%増の7,650人です。今後もこの増加傾向は続き、安定的に利益が拡大していく見込みです。また、サービス開始以来の解約数は0件を維持しており、順調に顧客基盤を築いています。

 

≪ヘルステックビジネス≫

(単位:千円)

 

2023年12月期

2024年12月期

増減額

増減率

売上高

68,403

56,887

△11,516

△16.8%

営業損失(△)

△170,791

△229,013

△58,221

-

 

ヘルステックビジネスセグメントの主力製品は、視線分析型視野計「GAP」(注1)及び「GAP-screener」(注2)です。

 

「GAP」及び「GAP-screener」は、従来の検査手法とは全く異なるアプローチを用いて視野を測定することで可用性を高めた、安価で画期的なウェアラブルデバイスであり、初期の自覚症状に乏しい緑内障などの網膜疾患の早期発見率の向上に寄与します。本製品はこれまで検査の際に必須であった暗所の確保を不要とし、検査時間の短縮や患者の負担軽減を実現しました。更に、健診施設での利用を通じて網膜疾患初期の視野データを取得・分析し、それらを国内外の研究開発機関と共有することで、製薬や生命保険領域など様々なフィールドでの技術・サービス革新への寄与が期待されます。

 

当連結会計年度の製品販売台数は、海外出荷品を含め合計60台となりました。これによる当セグメントの経営成績は、売上高56,887千円(前年同期比16.8%減)、営業損失229,013千円(前年同期は営業損失170,791千円)となりました。本製品の出荷台数は前年度実績と同数であるものの、前年度にあった研究プロジェクト関連の売上計上が当連結会計年度はなかったことから減収となりました。減益の主な要因は給与の引き上げに伴う人件費の増加及び原材料の評価損計上によるものです。

 

当セグメントでは、全国各地の眼科医療機器販売代理店を通じて眼科病院・クリニックへ向けては「GAP」を販売するとともに、健診施設へ向けては「GAP-screener」を販売しております。論文掲載やマスメディアへの露出を通して製品の認知度が高まり、学会出展や医療従事者へのデモンストレーションも積極的に実施した結果、多数の引き合いをいただいております。

 

(注1) GAP:ゲイズ・アナライジング・ペリメーター、医療機器製造販売届出番号 38B2X10003000002

(注2) GAP-screener:ゲイズ・アナライジング・ペリメーター、医療機器製造販売届出番号 38B2X10003000003

 

(2)財政状態

(単位:千円)

 

2023年12月期

2024年12月期

増減額

資産合計

5,934,285

6,684,103

749,818

負債合計

1,088,925

1,076,912

△12,012

純資産合計

4,845,360

5,607,191

761,831

 

(資産)

当連結会計年度末における資産の残高は6,684,103千円となり、前連結会計年度末より749,818千円増加しました。

流動資産は、現金及び預金の減少958,769千円、受取手形の減少114,069千円、及び売掛金の減少203,298千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高3,582,463千円(前連結会計年度末比1,424,491千円減)となりました。

固定資産は、有形固定資産の減少9,042千円に対し、無形固定資産の増加20,469千円及び投資その他の資産の増加2,162,882千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高3,101,640千円(前連結会計年度末比2,174,309千円増)となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債の残高は1,076,912千円となり、前連結会計年度末より12,012千円減少しました。

流動負債は、買掛金の増加27,910千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高774,270千円(前連結会計年度末比1,424千円増)となりました。

固定負債は、当連結会計年度末残高302,641千円(前連結会計年度末比13,436千円減)となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、5,607,191千円となり、前連結会計年度末より761,831千円増加しました。これは主に利益剰余金の増加749,474千円によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

(単位:千円)

 

2023年12月期

2024年12月期

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

842,844

1,898,767

1,055,923

投資活動によるキャッシュ・フロー

△296,937

△2,434,993

△2,138,056

財務活動によるキャッシュ・フロー

△270,494

△412,543

△142,049

現金及び現金同等物の増減額

275,413

△948,769

△1,224,182

現金及び現金同等物の期首残高

2,287,747

2,563,160

275,413

現金及び現金同等物の期末残高

2,563,160

1,614,390

△948,769

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,614,390千円(前連結会計年度末比37.0%減)となり、前連結会計年度末に比べて948,769千円減少しました。各キャッシュ・フローの状況と増減要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,898,767千円(前連結会計年度比1,055,923千円増)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益が1,542,760千円、売上債権の減少額373,926千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は2,434,993千円(前連結会計年度比2,138,056千円増)となりました。これは主として、無形固定資産(主に市場販売目的のソフトウエア)の取得による支出271,585千円、投資有価証券の取得による支出2,128,770千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、配当金の支払いを要因として412,543千円となりました(前連結会計年度の配当金支払いは270,494千円)。

 

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

主な資金需要は、研究開発に係る人件費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

運転資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローにより賄われておりますが、状況に応じて直接金融並びに間接金融を利用していく方針であります。

① 有利子負債

該当事項はありません。

 

② コミットメントライン

当社は、取引銀行との間でコミットメントラインの設定はしておりません。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、成長性・収益性については売上高経常利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、企業価値を最大限に高めるべく努めております。

今後も当社グループでは、「価値ある技術創造で社会を豊かにする」という企業理念のもと、経営の効率性、健全性及び透明性を確保し、事業資本の最大化及び株主の皆様や顧客をはじめ社会から高い信頼と評価を得る会社の実現を目指してまいります。

 

(7)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

医療ビジネス

1,525,591

108.1

公共ビジネス

91,951

125.7

ヘルステックビジネス

160,469

106.9

合計

1,778,012

108.7

(注)金額は当期総製造費用によるものであります。

 

② 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

医療ビジネス

3,219,026

84.4

1,247,735

74.3

公共ビジネス

274,899

139.2

167,736

174.3

ヘルステックビジネス

55,843

95.2

11,818

84.9

合計

3,549,769

87.2

1,427,290

79.8

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

医療ビジネス

5,494,943

111.3

公共ビジネス

289,548

154.5

ヘルステックビジネス

56,887

83.2

合計

5,841,379

112.5

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

<医療ビジネス>

(1)研究開発活動に関する基本方針

当セグメントでは、病院情報システム・医療ネットワークシステムに特化した研究開発型企業として当社の企業価値を高めるとともに、現場のニーズに迅速かつ的確に対応しながら、次世代の医療情報インフラとなる革新的な技術を研究開発しております。数年先を見越した製品開発の根幹にあるものは、当社が今まで蓄積してきた医療情報技術の知見に加えて、他社には追従の難しい難易度の高い研究です。これを突き詰め、医療を通じて健康で安全な社会を実現する、基盤の一部となる研究を行うことを基本方針としております。

 

(2)研究開発体制及び管理体制

当セグメントでは、当連結会計年度末現在において、担当取締役を管理者に以下63名(従業員比率20.3%)が研究開発に関わっております。医療システム開発においては、医療政策の方向性や医療を取り巻く技術革新から、今後必要とされるであろう製品やサービスを、コンサルティング部を中心として、多くのステークホルダーとともに検討のうえ、研究テーマを策定しております。

研究開発に関するテーマの選定、プロジェクト編成、予算等は取締役会にて討議・決定され、その後の研究開発における進捗状況は案件ごとに取締役会に報告されるとともに、研究開発活動の継続・中止が検討・決定されます。

 

(3)当連結会計年度における研究開発活動

当セグメントでは、病院情報システムのパッケージ製品の機能強化に加え、大規模病院でのシステム運用において、オンプレミス型からクラウド型への切り替えを促進する製品の研究開発を行いました。また生成AIを活用した各製品への新機能実装、上市も実現いたしました。

 

<公共ビジネス>

(1)研究開発活動に関する基本方針

当セグメントでは、当連結会計年度末現在において、担当取締役を管理者に以下6名(従業員比率1.9%)が研究開発に関わっております。自治体や公的企業、省庁外郭団体向け公文書管理及び決裁システムの製品機能に関する研究開発を進めております。公的施設で安全かつ安定したサービスを提供するという観点からは医療業界と同様であり、当該研究開発が社会インフラの一部を形成することを念頭に、永続性のある技術を研究開発していくことを基本方針としております。

 

(2)研究開発体制及び管理体制

当セグメントでは、これまで多くの研究開発資源が投入されてきた院内文書管理システム「医療版DocuMaker」を骨格とする、「DocuMaker Office」に関連する新たな技術開発を実施しております。営業コンサルティングチームが、マーケットのニーズを逸早く吸収し、研究テーマを随時検討しております。

研究開発に関するテーマの選定、プロジェクト編成、予算等は取締役会にて討議・決定され、その後の研究開発における進捗状況は案件ごとに取締役会に報告されるとともに、研究開発活動の継続・中止が検討・決定されます。

 

(3)当連結会計年度における研究開発活動

当セグメントでは、公文書管理・電子決裁システム「DocuMaker Office」について、お客様からも好評であるViewer機能に意思伝達のためのユーザーフレンドリーなインターフェースの追加や、起案作成時の作業時間短縮化を進めました。また、財務会計システムや電子申請システムとのシームレスな連携を行い、他システムを含めた文書決裁フローの効率化を実現しました。

 

 

<ヘルステックビジネス>

(1)研究開発活動に関する基本方針

当セグメントでは、当連結会計年度末現在において、担当取締役を管理者に以下14名(従業員比率4.5%)が研究開発に関わっております。メディカルエンジニアリング・人工知能・データ分析技術を活用したヘルスケアサービス企業としての企業価値を高めるとともに、新たな市場を創出し、人々の健康・Quality of Life(QOL)の向上や、企業・組織の生産性向上に資する研究開発活動に注力しております。

海外展開も実現した革新的な製品・サービスとして、市場に提供することができる基礎技術研究を、社内に加え国内外の医療機関や研究機関とともに取り組むことを、基本方針としております。

 

(2)研究開発体制及び管理体制

当セグメントでは、事業戦略室を中心にR&Dチームが構成され、全国の拠点で研究開発に従事し、先鋭的な領域での基礎研究に加え、製品へ実装するためのコア技術の開発を行っております。週1回開催される定期ミーティングでの報告に加え、検討が必要な場合には在宅や拠点間でタイムリーに会議が開催できるよう常時接続型のバーチャルオフィス環境を導入しております。また医療機関等との共同研究は、AMED等との連携の下、実施及び成果管理を行っております。

研究開発に関するテーマの選定やプロジェクト編成、予算等は、取締役会において討議・決定され、その後の研究開発における進捗状況は案件ごとに取締役会に報告されるとともに、研究開発活動の継続・中止が検討・決定されます。

 

(3)当連結会計年度における研究開発活動

当セグメントでは、視線分析型視野計「GAP」へのコントラスト感度測定など新機能実装に取り組むと同時に、MCI(早期認知障害)の診断に関する本機器の応用研究を、AMED予算取得のうえ京都大学と共同で進めております。

 

上記の研究開発活動の結果、当連結会計年度は医療ビジネスにおいて研究開発費29,321千円、公共ビジネスにおいて1,100千円、ヘルステックビジネスにおいて10,008千円、総額40,430千円を計上しております。

 

 

知的財産権について

 

特許権者

登録番号

出願国

出願日

特許の概要

 

当社

第4390222号

日本

2008年11月28日

タイムスタンプを利用した電子データ認証

 

当社

第5469985号

日本

2009年10月6日

データベース間のデータ受け渡し(光学文字認識)

 

当社

第4917667号

日本

2010年12月7日

スクリプトによるローカルアプリ制御

 

 

当社

第6339312号

9,280,253号

2869195

日本

米国

欧州

2012年6月28日

2012年8月3日

2012年8月3日

アプリケーション連携(起動ランチャー)

 

当社

第6080586号

9,639,970号

第2024127号

430486

11201506275X

MY-173006-A

日本

米国

韓国

インド

シンガポール

マレーシア

2013年2月13日

2013年3月29日

2013年3月29日

2013年3月29日

2013年3月29日

2013年3月29日

画面上文字認識(ドットパターン認識)

 

当社

第6660193号

日本

2016年1月29日

劣化サイン筆跡画像を用いた電子サイン管理システム

 

当社/

国立大学法人

京都大学

第6474090号

日本

2018年9月26日

患者の関与する文書を電子的に扱うシステム

(当社が50%権利保有)

 

当社/

国立大学法人

愛媛大学

第6606264号

日本

2018年12月25日

視野検査装置

(当社が70%権利保有)

 

当社/

国立大学法人

京都大学

第7129064号

日本

2019年1月22日

患者の関与する文書を電子的に扱うシステム

(当社が50%権利保有)

 

当社

第7246044号

日本

2019年3月6日

視認判定システム(仮想球)

(注)

当社

-

202180040186.1

17/937,780

PCT

中国

米国

2021年4月27日

2022年12月2日

2022年10月4日

中心暗点被験者用の視野検査装置

 

当社

第7574985号

-

21888921.0

202347033652

18/305,325

日本

PCT

欧州

インド

米国

2020年11月5日

2021年9月13日

2023年4月21日

2023年5月12日

2023年4月22日

視線の動きによる特性検査システム

(注)

当社/

国立大学法人

愛媛大学

特願2022-007923

日本

2022年1月21日

機械学習を用いた視野検査装置

(注)

当社

特願2021-210070

PCT/JP2022/041472

22910632.3

202447051089

18/743,015

日本

PCT

欧州

インド

米国

2021年12月24日

2022年11月8日

2024年6月3日

2024年7月3日

2024年6月13日

視認フィードバック機能付き視野検査装置

(注)

当社

特願2024-094092

日本

2024年6月11日

レンズホルダーの形状

 

フィッテングクラウド株式会社

第7624261号

日本

2024年5月14日

生成AIを利用した医療文章作成支援技術

(注)審査中であるため、登録番号の欄に出願番号を記載しております。