当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営理念
当社は、企業の生産性と幸福度を世界一に導きながら日本をもっと元気でおもしろい国にしよう! そして世界をもっとおもしろくしよう!という思いから、「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念に掲げております。
この経営理念を実現するために、顧客とのコミュニケーションを自動で記録・整理し、一元管理することのできる「カイクラ」を開発・提供しております。
「カイクラ」を通してコミュニケーションテクノロジーを進化させ、人と人のつながりを強くし、あらゆる企業のコミュニケーションエラーを解消することで、ビジネスにおけるあらゆる会話をおもしろくする。そして、顧客も社員も社員の家族も、みんな幸せになる、また、毎日が本当に楽しいと思える、そんな社会を実現したいと考えております。
(2)事業展開方針
① 短期的な方針
当社は、これまで自動車業界、不動産業界といった、顧客との継続的な関係性を重視する特定の業界をターゲットとして製品販売しておりましたが、同様のニーズを持つ新たなターゲット業界を新規開拓するとともに、より広い販売機会を求め、当社以外の企業とのアライアンス構築を行っております。さらに、大企業への「カイクラ」導入を目的としてNTTグループや大塚商会、SB C&Sとの協業を強化する一方で、拠点を多く持たない小規模な企業に対しては、「カイクラ」の一部機能を他社にOEM提供し、他社製品の一部として販売するなど、戦略的な販売活動を行っております。
また、商品戦略として、オフィスにおける固定電話でのコミュニケーションだけではなく、SMSやビデオ通話、携帯電話での通話やメールでのコミュニケーションなど、様々な種類のコミュニケーションを一元管理しておりますが、さらに別のチャネルのコミュニケーションを「カイクラ」に取り込むことにより、カイクラユーザーに対しより価値のあるサービスを提供し、コミュニケーションプラットフォーマーとしての地位を確立することを目指しております。
② 中長期的な方針
現在、「カイクラ」は固定電話や携帯電話などによる顧客とのコミュニケーションに対応しており、顧客情報やコミュニケーション履歴をデータベースで一元管理し、導入オフィスにおいて顧客対応の属人化を解消することを可能にしております。将来的には、蓄積されたデータに基づき会話の量や質、顧客とのリレーションを測定し、よりよいコミュニケーション方法を提案することで、顧客コミュニケーションの効率化と快適性の向上を図ってまいります。
また、日本のビジネス文化では、人と人との関係性を重視し会話や雑談を通じて人との距離を縮めようとする傾向がある一方で、会話によるコミュニケーション上の課題や非効率な顧客コミュニケーションが生じやすくなると考えております。当社は「カイクラ」の提供を通じ、コミュニケーションエラーや非効率を解消しながらも、会話や雑談を通じた温かみのあるコミュニケーションを拡げていきたいと考えております。
(3)経営環境
当社は「カイクラ」をクラウドサービスとして提供しております。
当社が属するクラウドサービス市場は、クラウド技術の発展・普及によって、企業内に情報システムを構築することなくデータの共有や機能の拡張ができるようになったことから、国内でクラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は、2023年時点で77.7%(出典:総務省「令和5年通信利用動向調査」)となっており、今後もその拡大が進むものと考えられております。
また、顧客ニーズの多様化により、消費者個人の嗜好に合わせたきめ細かな対応やサービスが求められる中、顧客情報管理の重要性が高まっております。CRMの活用により顧客とのコミュニケーションデータを蓄積し、失注やキャンセルといった課題を把握することで、顧客へのアプローチやサービス改善に活かすことが可能となります。また、リモートワークの普及や企業のデジタル化の促進の影響もあり、こうしたCRMを導入する企業は年々増加し、現在ではさまざまなCRMサービスが登場しております。
このような経営環境のもと、当社は「カイクラ」を開発・販売しております。顧客とのコミュニケーションは様々なチャネルを経由して行われますが、「カイクラ」を用いることにより、こうした様々なチャネルにおける顧客とのコミュニケーションを自動で記録・整理し、一元管理することが可能となります。その結果、カイクラユーザーは、顧客ニーズの分析、応答品質の向上、リスク管理といった顧客対応力を向上させることができることから、今後もそのニーズが広がるものと考えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
経営理念「ITで 世界をもっと おもしろく」の追求及び企業ミッションである「企業のあらゆる会話をおもしろくする」の実現のためには、当社のサービスであるクラウドサービス「カイクラ」の認知度向上とさらなる普及が重要であると考えております。
当社は、さらなる事業推進のため、以下の7点を重要課題として取り組んでまいります。
① 販売力強化について
当社はこれまで、営業戦略として特定の業界を深掘りするT字戦略により、主に自動車業界、不動産業界における製品販売に注力してまいりました。当該戦略は一定の成果がありましたが、引き続き事業の持続可能性を高めるため受注件数を拡大させていくことが喫緊の課題であると認識しております。具体的には、自動車・不動産業界以外の新たな注力業界を新規開拓するとともに、特定の業界において影響力の強い企業とのアライアンス構築を行います。これらに加え、NTTグループや、2024年に業務提携を開始した大塚商会、SB C&Sとの協業について強化を行い、さらなる知名度向上と収益獲得に取り組んでまいります。また、多拠点を有する中規模以上の企業への販売に焦点を当てるなど、戦略的な販売活動を継続してまいります。さらにSMS等の従量課金サービスの利用促進等により、単価を上げたサービスとして収益力を向上させます。
② 認知度向上について
当社は、電話コミュニケーションを利用する企業は「カイクラ」を利用することで企業の生産性を高めると考えておりますが、「カイクラ」の認知度は総じて低く、顧客が「カイクラ」の利便性を認識していただくまでに相当の時間を要しております。そのため、当社は「カイクラ」及び当社の認知度向上が急務であると捉えており、これまで雑誌等のメディアや講演等に加え、オウンドメディアを通じた認知度向上を図ってまいりましたが、今後はより一層、問い合わせ及び受注可能性を高めるためのプロモーション及びマーケティングを強化する必要があると考えております。引き続き、費用対効果を勘案しながら、インターネット、リアルを問わず様々な施策を検討、実施をしてまいります。
③ カスタマーサクセス強化について
当社サービスを利用したカイクラユーザーの事業の成功は、当社サービスの継続的な利用につながり、カイクラユーザーの生涯価値の向上に寄与すると認識しております。そのため当事業年度におきましては、継続的にカイクラユーザーによるカイクラ利活用を促進するとともに、長期的に良好な関係を構築するために、カスタマーサクセスグループを強化してまいりました。今後は、よりカイクラユーザーへの価値提供を行うためにアップセルを強化していく必要があるとの認識を強めております。ただし、ユーザー数が増えれば増えるほど対応コストは増大化していくため、より効率的なカイクラユーザーへの対応方法の探索にも注力してまいります。引き続きカイクラユーザーの満足度の向上を図り、当社サービスのファン化、解約防止に努めつつ、オプションサービスの追加販売に注力してまいります。
④ 商品力強化について
当社の主力商品である「カイクラ」は、通話録音機能、音声テキスト化機能、SMS送信機能、ビデオ通話機能など、固定電話や携帯電話でのコミュニケーションに多様なオプションサービスを提供し、企業の業務効率化と顧客対応の高度化を支援してまいりました。当事業年度においては、新たに通話中に発生するタスクやフォローアップ事項を自動で整理する「AIタスク抽出機能」や、カスタマーハラスメント対策として有用な「アラートワード機能」をリリースしました。これにより、従来のコミュニケーションの一元管理にとどまらず、管理した情報と顧客情報の連携を強化し、AI技術を活用することでさらなる利便性の向上を図っております。さらに、2025年1月より双方向番号ポータビリティ制度が導入され、一部地域においては電話番号を変更することなく、固定電話のクラウド化が可能となりました。この事業環境の変化に対応すべく、2025年1月にはCTI機能が標準装備されているクラウド電話サービス「カイクラフォン」をリリースいたしました。
当社は、コミュニケーションテック企業として、さまざまなコミュニケーション手段の統合が競争力の源泉であると考えております。そのため、今後も「カイクラ」をはじめとするサービス・商品の開発に関する投資を積極的に行い、より利便性の高いコミュニケーション環境の提供に努めてまいります。
⑤ 組織力強化について
当社は、事業拡大に伴う人員不足を重要な課題としており、継続的な人材採用活動を推進いたしました。この結果、当事業年度は14名を正社員として採用しました。また、コロナ禍以降、リモートワーク制度やフレックスタイム制度を取り入れ、より柔軟な勤務を可能としました。
今後は、社会環境に適応するためにこうした柔軟な勤務体系を維持しつつ、当社で働く社員が一枚岩となるために、さらなる雇用環境の整備が必要であると考えております。具体的には、当社のミッション・ビジョン・バリューの浸透、組織構成の再検討、社内教育制度の拡充、人事評価制度の整備・運用、賃金体系構築等の施策を通じて、組織強化に努めてまいります。
⑥ 内部管理体制強化について
当社は、順調に業容が拡大している状況のもと、企業としての社会的責任は益々高まっているとの認識を強めています。これまでも経営管理体制の継続的な改善を行い、ガバナンス強化を図ってまいりましたが、コーポレート・ガバナンス強化のための積極的な取り組みは、企業価値向上の近道であると考えております。そのため、引き続きより良い組織体制の整備及び社内規程・業務マニュアル見直しを推進し、さらなる管理体制強化及び統制強化による事業リスク低減に努めてまいります。
⑦ 財務基盤強化について
当社は、さらなる事業拡大のために、組織、営業、マーケティング、商品開発等様々な観点から戦略を策定しておりますが、当該戦略を遅滞なく実行するために、安定した財務基盤を確立・維持することが急務であると捉え、第三者割当増資や費用の見直しによる財務基盤強化に努めてまいりました。今後は引き続き、受注数増大のみならず、費用の見直しを定期的に実施するとともに、キャッシュ・フロー経営を推進することで、健全な財務基盤構築に努めてまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の収益拡大が経営上の最重要課題であり、「カイクラ」の利用契約数の拡大がこれに寄与すると考えております。また、当社の主な収益モデルはサブスクリプション型であるため、毎月継続的に得られる収益も重要視しております。そのため、アクティブユーザー(注)1の会社数及び拠点数、MRR(Monthly Recurring Revenue)(注)2、月次解約率(注)3及びARPA(ユーザー1拠点あたりの売上単価)(注)4を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。
(注)1.アクティブユーザー:獲得したカイクラユーザーのうち、解約によりカイクラを利用しなくなったユーザーを除いたユーザー数
2.MRR(Monthly Recurring Revenue):各月の「月額売上」と「従量課金売上」の合計
3.月次解約率:当該月に解約したユーザーに関するMRR÷前月末MRR
4.ARPA(ユーザー1拠点あたりの売上単価):当該月のMRR÷当該月末のアクティブユーザーの拠点数
当社は「ITで 世界をもっと おもしろく」の経営理念を掲げ、これを実現するにあたり、当社の株主・役職員・取引先などのステークホルダーの利益を最大化させるだけではなく、当社に対する社会からの要請やステークホルダーの価値観の変化を察知し、長期的な展望で事業拡大を行うことが重要であると考えております。そのため、環境や経済を社会全体で保ち続けることを志向するサステナビリティは、当社事業にとって本質的に重要な事項であり、当社の持続的な発展とは切り離すことができない事項であると考えております。
当社はこれからも、株主・役職員・取引先などのステークホルダーだけではなく、我々の環境や社会も尊重し、サステナビリティを重要視した経営を行ってまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は現在成長途上の会社であり、適切なガバナンスを整備することで、株主・役職員・取引先などのステークホルダーや社会に対して経営の透明性を担保しながら事業規模の拡大を行うことが重要であると考えております。
その実現のために、当社は「
(2)戦略
当社は、サステナビリティを重視するためには適切な人材教育や、役職員が安心して働ける環境を整備することが重要と考えております。そのため、人事評価において仕事の成果だけではなく、当社の掲げるValue(行動指針)をどれだけ体現しているかを評価基準としており、中長期的な従業員の教育を図っております。
また、フレックスタイム制の採用やリモートワーク体制の確保など、従業員が柔軟に働ける環境作りを行っております。さらに、コンプライアンス研修やコンプライアンス管理体制の整備を通じてハラスメント防止策を講じるなど、従業員が安心して働き、自らの能力を最大限発揮することができるような就業環境を整備しております。
(3)リスク管理
当社は、「
(4)指標及び目標
当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある主要なリスクは以下のとおりであります。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしてまいります。
また、当社として必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極開示の観点から記載しております。当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)市場環境について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 中長期)
当社は、クラウドサービスである「カイクラ」をSaaS形態によりサービス提供しております。当社が属するクラウドサービス市場におきましては、2023年のクラウドサービス利用企業の割合は77.7%となり(出典:総務省「令和5年通信利用動向調査」)、クラウドサービス利用や投資は継続して拡大基調にあります。しかしながら、今後、経済情勢や景気動向により同市場の拡大が鈍化、縮小するような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、2025年1月より双方向番号ポータビリティ制度が導入され、固定電話の番号を変えることなくクラウド電話への切り替えが可能となりました。当社は、このような新制度に関する動向を常に注視し、制度の変更に対応した新サービスの提供に努めております。こうした取り組みの一環として、2025年1月にCTI機能を標準搭載したクラウド電話サービス「カイクラフォン」をリリースいたしました。しかしながら、今後の市場環境の変化や新制度のさらなる導入等により、当社の競争優位性が低下する可能性があります。その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合他社の動向について(顕在化の可能性 中、影響度 大、発生時期 中長期)
当社は、大手上場企業や中小企業、店舗等に対して、クラウドサービス「カイクラ」を提供しております。「カイクラ」は、オフィスの固定電話着信時に顧客の属性や会話履歴をポップアップ表示する機能に加え、通話録音機能、音声テキスト化機能、SMS送信機能、メール連携機能、携帯電話でのコミュニケーションの統合・一元管理を実現するサービスです。また、2025年1月にCTIが標準装備されたクラウド電話「カイクラフォン」をリリースし、今まで以上に幅広いサービスを提供しております。
なお、「カイクラ」が提供する固定電話でのコミュニケーション支援機能、通話録音機能、音声テキスト化機能、SMS送信機能、メール連携機能、携帯電話録音機能等の各機能については、競合他社が存在しており、また、新規参入による競争激化の可能性もあります。「カイクラフォン」においても、同様のクラウド電話サービスを提供する競合他社との競争が想定されます。
当社は、技術動向を把握するとともに、カイクラユーザーのニーズを的確に捉えながらサービス開発を推進し、大口ユーザーには契約数に応じたボリュームディスカウントなどを行うことで、サービス面及び価格面での優位性を維持する方針です。しかしながら、同様のシステムを提供する競合他社の参入により競争環境が激化し、当社の優位性が低下する場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)技術革新について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 中長期)
当社が事業を展開しているクラウドサービス市場は、技術革新が速く、当社の優位性を維持するためには、技術革新に即座に対応する必要があります。当社では、各種イベントやセミナーへの参加、社内の定期的な勉強会等を通じて、技術革新の動向を把握し社内で情報共有するとともに、それに対応した新サービスの提供ができるよう努めております。しかしながら、当社が技術革新に対応できないような場合、または、当社が対応できないような技術革新が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)システム障害について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし)
当社が提供する「カイクラ」は、その基盤をインターネット通信網に依存しております。このため、大規模な自然災害やテロ、戦争その他予期せぬ原因によりインターネット通信網が使用できない状態が生じた場合は、サービス提供の継続が困難となります。また、想定を超えるアクセス増加その他予期せぬ事象によるサーバダウンや当社が提供するサービスの予期せぬ不具合の発生等により、サービス提供が停止する可能性があります。このような事態を避けるため、システムやサーバの冗長化、稼働状況の監視やデータのバックアップ体制の整備、品質管理体制の強化等の対策を講じておりますが、将来においてこれらのような事態が発生した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)特定のサービスへの依存について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし)
当社の売上高は、2024年12月期において、「カイクラ」によるものとなっております。当社では「カイクラ」を、より幅広いコミュニケーションを一元管理することでその競争力の維持・強化に努めておりますが、「カイクラ」の売上高が著しく減少した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報セキュリティ及び個人情報等の漏えいについて(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし)
当社は、主力サービスである「カイクラ」サービスを提供するにあたり、個人情報その他さまざまな機密情報をカイクラユーザーより受領する場合があります。
当社が取り扱う機密情報及び個人情報について、漏えい、改ざんまたは、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえず、何らかの要因からこれらの問題が発生した場合には、カイクラユーザーまたは顧客からの損害賠償請求や信用失墜等により、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、情報セキュリティに関連する各種規程類を整備するとともに、外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入防止等についてシステム的な対策を講じて情報セキュリティ事故の未然防止に努めております。さらに、従業員に対しては、入社時及び年次で個人情報保護に関する研修を行うとともに、個人情報を取り扱う業務委託先に対しては、当社が預ける個人情報を適切に取り扱っているかどうかの確認を行い、情報管理への意識を高め、内部からの情報漏えいを防いでおります。
また、個人情報保護法への対応を推進し、プライバシーマークを取得して個人情報マネジメントシステムに則り、安全管理に努めております。
(7)法的規制について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし)
当社は、基本的な企業活動に関わる法的規制に加え、電気通信事業法、クラウドサービスにおけるセキュリティ、個人情報及びプライバシー保護等の法的規制を受けております。また、「コンプライアンス規程」、「リスク管理規程」、「反社会的勢力対策規程」、「内部者取引防止規程」やその他企業活動に関わる社内の規程やマニュアルを整備・運用することで、法令及び社内規程等の違反に係るリスク軽減を図っております。これら当社に適用される法的規制が改正・厳格化されることにより、サービス提供内容に制約が生じ、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産権について(顕在化の可能性 小、影響度 中、発生時期 特定時期なし)
当社が開発するシステムにかかる知的財産権について、第三者の知的財産権に抵触しないよう細心の注意を払っており、これまで第三者から侵害訴訟を提起されたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないと認識しております。しかしながら、当社がそれと認識せずに第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償の請求、当該知的財産権の使用に対する対価の支払いまたはサービスの停止等が発生する可能性があり、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、第三者の知的財産権を侵害しないよう、必要に応じて弁護士や弁理士などの専門家と連携を取りリスクの軽減を図っております。
(9)アダプターの設置と確保について(顕在化の可能性 中、影響度 中、発生時期 特定時期なし)
当社が提供する「カイクラ」は、カイクラユーザーの拠点にアダプターを設置することでサービスの提供が可能となり、収益認識が開始されます。この設置工事が計画どおりに進まないような事態が発生した場合、またはカイクラアダプターが計画どおりに確保できなかった場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、自社において設置工事を行える従業員を確保するとともに、外部の設置工事業者に設置工事を委託できる体制を整えることで、設置工事が遅延するリスクの軽減を図っております。さらに、カイクラアダプターについてはその市場の需給を確認しながら必要十分な量を確保するとともに、次世代アダプターの探索を継続的に行うことで、アダプターが不足するリスクに備えております。
(10)人材の確保と育成について(顕在化の可能性 中、影響度 中、発生時期 特定時期なし)
当社サービス提供の継続、発展、成長のためには、高い専門性を備えた人材(事業開発、エンジニア、コーポレート管理等)の採用、育成、維持が重要であると認識しております。当社が必要とする人材の確保が計画どおりに進まずに事業上の制約要因になる場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、今後も事業規模の拡大に応じて、専門技術や知識を有する優秀な人材の中途採用に努めるとともに、教育制度の充実、人事評価制度の見直し、インセンティブの付与、労働環境の整備等、従業員の働きがいを向上させる取り組みを強化していく方針であります。
(11)特定人物への依存について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし)
当社の代表取締役社長である江尻高宏は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。江尻高宏は、当社サービスの営業戦略及び開発に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、遂行に極めて重要な役割を果たしております。当社では、幹部職員の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築等により、経営組織の強化を図り、特定人物に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により江尻高宏の業務遂行が困難となった場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)訴訟、係争の可能性について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし)
当社では、本書提出日現在において業績に影響を及ぼす訴訟や紛争は生じておりません。しかしながら、今後何らかの事情によって当社に関連する訴訟、紛争が行われる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過または結果によっては、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)財務報告に係る内部統制に関するリスク(顕在化の可能性 小、影響度 中、発生時期 特定時期なし)
当社では、内部統制報告制度のもとで、財務報告の信頼性に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題の一つとして位置づけ、整備・運用状況の評価及び改善に取り組んでおります。しかしながら、当社の財務報告に係る内部統制に重要な不備が発見される可能性は否定できず、将来にわたって常に有効な内部統制を整備及び運用できる保証はありません。さらに、内部統制には本質的に内在する固有の限界があるため、今後当社の財務報告に係る内部統制が有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)内部管理体制について(顕在化の可能性 小、影響度 中、発生時期 特定時期なし)
当社の継続的な成長には、倫理観を共有し、適切なコーポレート・ガバナンスを整備し、内部管理体制を整えることが重要であると認識しております。しかしながら、当社の事業成長に比べて内部管理体制の構築が間に合わない場合、適切な経営管理が行えず、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期)
当社は、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しており、2024年12月末時点における付与数は370,840株であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は、11.7%となります。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が発行され、既存株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
(16)配当政策について(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期)
当社は、株主に対する利益還元については経営の重要課題の一つと位置付けておりますが、当社は現時点において配当を実施しておりません。今後におきましては、経営成績、財政状態、事業計画の達成状況等を勘案しながら、株主への利益配当を検討していく方針であります。しかしながら、当社の事業が計画どおり推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。
(17)ベンチャーキャピタルの株式保有割合について(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期)
2024年12月末時点における当社の発行済株式総数は3,164,320株であり、このうち1,091,720株(発行済株式総数の34.5%)についてはベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合が保有しております。
一般的に、ベンチャーキャピタルが未上場会社の株式を取得する場合、上場後には保有する株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的の一つであり、当社におきましても、今後、ベンチャーキャピタルにより株式が売却される可能性があります。そのような場合には、短期的に需要が悪化し当社の株価が低下する可能性があります。
(18)調達資金の使途について(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期)
当社が2024年3月26日に実施した公募増資による調達資金は、当社サービスを開発するエンジニアや営業人員などの新規採用に伴う人件費、及びカイクラの認知を広げ販売機会を拡大するための広告宣伝活動に充当する予定であります。しかしながら、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。
また、市場環境の変化により、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性が発生した場合には、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
(19)業績に関するリスクについて(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期)
当社は、前事業年度より当期純利益について黒字を計上しておりますが、それ以前の期間においては、売上高及び売上総利益は継続的に増加していたものの、サービスの開発・改良、顧客基盤の拡大を重視し、多額の開発人件費やマーケティング費用を計上し、その結果、営業損失及び当期純損失を計上してまいりました。今後もサービス向上のための開発人件費や顧客基盤拡大のためのマーケティング費用を費消し売上を拡大させていく見込みですが、想定していた効果を上げられない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20)社歴が浅いことについて(顕在化の可能性 大、影響度 小、発生時期 短期)
当社は2014年1月に設立された社歴の浅い会社であります。前々事業年度までの期間においては、事業の立ち上げ段階であったことなどから、営業赤字及び営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスを計上しておりました。これまでの事業活動の結果、前事業年度において当期純利益の黒字を計上いたしましたが、当社は現在成長過程にあると認識しており、今後も当社の成長のための投資が必要となり、損失を計上する可能性があります。
当該状況についての分析・検討内容及び解消・改善するための対応策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、当社の属するIT業界を取り巻く環境はスピードが速く流動的であるため、当社における経営計画の策定には不確定事象を含まざるを得ない状況にあります。当社は今後もIR活動などを通じて経営状態を積極的に開示していく方針でありますが、過年度の経営成績のみでは、今後の当社の業績や成長性を判断するためには不十分である可能性があります。
(21)投融資について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 中長期)
当社は、現在において他社への投融資を行ってはおりません。しかしながら、今後の事業拡大のために、国内外を問わず出資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。
投資判断においては、当社との事業シナジー、投資先候補企業の事業計画、当社の財務状況や投資先候補企業への影響力等を考慮し、投融資額が適切な水準であることを慎重に確認し、投資判断を行う予定です。ただし、実行した投融資について当初想定した効果や収益が得られない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(22)過年度の経営成績及び税務上の繰越欠損金について(顕在化の可能性 中、影響度 中、発生時期 中長期)
当社は、過年度において当期純損失を計上していたため、当事業年度末において税務上の繰越欠損金が存在しております。一般的には、繰越欠損金を課税所得から控除することにより、税額を減額することができます。しかし、繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合には、課税所得からの控除が受けられなくなることから、通常の税率に基づく法人税等が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(23)既存カイクラユーザーの継続維持について(顕在化の可能性 小、影響度 大、発生時期 特定時期なし)
当社は、「カイクラ」をサブスクリプション型で提供しており、カイクラユーザーが継続して「カイクラ」を利用することで月額利用料及び従量課金売上が継続的に発生します。そのため、当社の継続的な成長のためには、新規顧客の獲得のみならず、顧客満足度を高めることで既存カイクラユーザーを維持することが重要であると考えております。
既存のカイクラユーザーを維持するため、当社は商品開発に際してカイクラユーザーの要望を取り入れて商品開発を行っております。また、「カイクラ」導入時のオンボーディング活動やユーザーフォローアップなどのサポート活動を充実させることにより継続率の維持・向上を図っております。
また、予算及び中期経営計画は、過去の解約率実績を基に、一定率の解約が発生することを見込んで作成されておりますが、当社サービスの魅力の低下、競争力の強い競合他社の発生、当社サポート活動に対する満足度の低下等により、当社の想定を大幅に超える解約が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(24)固定資産の減損に関するリスク(顕在化の可能性 小、影響度 中、発生時期 特定時期なし)
当社は事務所設備、工具、器具及び備品やソフトウエア等の固定資産を保有しております。これらの固定資産について「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の兆候が識別され、減損損失を計上すべきと判定された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(25)販売パートナーとの関係に関するリスク(顕在化の可能性 小、影響度 中、発生時期 特定時期なし)
当社の販売パートナーは、当社に見込み客の紹介を行い、または当社を代理して「カイクラ」の販売を行っております。販売パートナーの事業展開や事業方針の変更などにより当社と販売パートナーとの関係性が大幅に悪化し、当社が想定するような見込み客の紹介や販売代理活動が行われなくなったり、販売パートナーに対する手数料が大幅に値上げするなどの事態が発生した場合には、当社の収益性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が和らぎ、雇用・所得環境の改善等もあり緩やかな回復基調となりました。一方で、中東地域をめぐる情勢やウクライナ情勢の長期化、世界的な資源・エネルギー価格の高騰、円安基調の経済情勢等を背景とした物価の上昇や金利上昇圧力の高まりなど、先行きが不透明な状態が続いております。
このような中、当社が属するクラウドサービス市場においては、デジタル化の進展とともに企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が加速し、クラウド技術の活用が一層拡大しています。総務省「令和5年通信利用動向調査」によると、国内でクラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は年々増加しており、企業の業務効率化やデータ活用の高度化が進んでいます。さらに、政府においても「ガバメントクラウド」の整備が進められ、各府省庁が共同で利用するクラウド基盤の拡充が進行しており、今後もクラウドサービスの普及は一層進むものと予測されます。
このような状況のもと、当社は、「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念とし、当社サービスである「カイクラ」を提供してまいりました。「カイクラ」はもともと固定電話への着信時に顧客情報をポップアップ表示するCTI機能が中心でしたが、現在ではそれに加えて通話録音機能や音声テキスト化機能、SMS送信機能、ビデオ通話機能などを有し、また固定電話だけではなく携帯電話も含めた様々なチャネルのコミュニケーションを一元管理し、顧客情報と自動で紐づけを行っております。さらに現在「カイクラ」はAIを活用したテキストの自動要約、感情ラベリング等の機能を有しており、顧客とのコミュニケーションをよりきめ細かに分析することができるようになりました。
当事業年度においては、生成AIを活用し、通話中に発生する多様なタスクやフォローアップ事項を自動で整理する「AIタスク抽出機能」や、顧客対応業務におけるカスタマーハラスメント対策として有用な「アラートワード機能」をリリースいたしました。これにより、カイクラは、顧客コミュニケーションの改善や顧客満足度の向上に寄与するとともに、従業員のエンゲージメント向上にも貢献できるようになりました。
こうした「カイクラ」の継続的な開発を通じて、企業の顧客対応力の向上、業務効率化、リスク管理の高度化を支援し、クラウドサービス市場の成長とともに、当社の事業拡大を図ってまいります。
営業面では、前事業年度に引き続き、自動車業界や不動産業界などユーザーニーズの高い業界に対する「カイクラ」の営業に注力し、その結果大型拠点を獲得できたことなどにより、アクティブユーザーを継続して増加させることができ、当事業年度末のアクティブユーザー数は会社数で2,889社(前事業年度末比11.0%増)、拠点数は5,648拠点(前事業年度末比25.3%増)となりました。
以上の結果、当事業年度における当社の経営成績は、売上高1,232,218千円(前事業年度比18.5%増)、営業利益78,065千円(前事業年度比23.0%減)となりました。さらに、上場関連費用や本社オフィスの移転に関する事務所移転費用を営業外費用に計上した結果、経常利益は48,758千円(前事業年度比50,3%減)、当期純利益は16,073千円(前事業年度比85.2%減)となりました。
なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産合計は1,105,847千円となり、前事業年度末に比べ666,466千円増加いたしました。これは、主に現金及び預金が652,512千円増加したことなどによるものであります。
当事業年度末における固定資産合計は123,109千円となり、前事業年度末に比べ25,738千円増加いたしました。これは、主に有形固定資産合計が25,538千円増加、無形固定資産合計が35,146千円増加、投資その他の資産合計が34,946千円減少したことなどによるものであります。
この結果、資産合計は1,228,956千円となり、前事業年度末に比べ692,205千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債合計は250,944千円となり、前事業年度末に比べ128,007千円増加いたしました。これは、主に短期借入金が90,000千円増加、未払法人税等が24,927千円増加、契約負債が14,188千円増加、未払消費税等が23,333千円減少したことなどによるものであります。
当事業年度末における固定負債合計は、前事業年度末に比べ21,875千円減少したことにより残高なしとなりました。これは、長期借入金が21,875千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は250,944千円となり、前事業年度末に比べ106,132千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は978,011千円となり、前事業年度末に比べ586,073千円増加いたしました。これは、主に東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴う新株発行等による資本金284,999千円の増加及び資本剰余金284,999千円の増加によるものであります。
この結果、自己資本比率は79.6%(前事業年度末は73.0%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、972,053千円となり、前事業年度末に比べ652,512千円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、101,623千円(前年同期は146,663千円の収入)となりました。これは、主に税引前当期純利益48,758千円の計上、減価償却費及びその他の償却費25,218千円、前渡金の減少額18,942千円により増加したこと、売上債権の増加額24,298千円、未払消費税等の減少額23,333千円により減少したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、64,918千円(前年同期は35,077千円の支出)となりました。これは、主に基幹システムの開発などに伴う無形固定資産の取得による支出43,317千円、本社オフィスの移転などに伴う有形固定資産の取得による支出41,106千円、敷金及び保証金の回収による収入17,108千円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、615,807千円(前年同期は10,560千円の支出)となりました。これは、主に東京証券取引所グロース市場への新規上場等に伴う株式の発行による収入569,999千円、短期借入れによる収入90,000千円などによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社は、カイクラ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を収益区分別に示すと、次のとおりであります。
収益区分 |
当事業年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
初期売上 |
190,532 |
125.9 |
月額売上 |
871,850 |
116.6 |
従量課金売上 |
164,620 |
118.5 |
その他 |
5,215 |
213.7 |
合計 |
1,232,218 |
118.5 |
(注) 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(1)経営成績の分析
(売上高)
前事業年度に引き続き、自動車業界や不動産業界などユーザーニーズの高い業界に対する営業や通話録音オプションの販売に注力いたしました。これにより、アクティブユーザーを継続して増加させることができ、当事業年度末のアクティブユーザー数は会社数で2,889社(前事業年度末比11.0%増)、拠点数は5,648拠点(前事業年度末比25.3%増)となりました。また、ARPA(ユーザー1拠点あたりの売上単価)は17,503円(前事業年度末比1.0%増)となりました。
さらに、獲得したユーザーのオンボーディング活動や、「カイクラ」の追加機能の開発にあたりユーザーの声を反映するなどの取り組みを継続することにより、当事業年度の月次解約率(年度平均)は前事業年度と同率の0.33%を維持することができました。
この結果、初期売上は190,532千円(前年同期比25.9%増)と前年同期から増加し、月額売上が871,850千円(前年同期比16.6%増)、従量課金売上が164,620千円(前年同期比18.5%増)と大きく伸長し、当事業年度の売上高は1,232,218千円(前年同期比18.5%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
カイクラアダプターの仕入やサーバ利用料などにより、売上原価は216,348千円(前年同期比25.3%増)となりました。アクティブユーザー数、アクティブ拠点数の増加やARPAの向上によりサブスクリプション収入が増加し、売上総利益率は82.4%(前年同期は83.4%)となりました。この結果、当事業年度の売上総利益は1,015,869千円(前年同期比17.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当社の販売費及び一般管理費は、主に人件費、広告宣伝費、その他の経費で構成されております。今後の成長に備えた体制整備に伴い人件費が増加、また、一過性の事務所移転関連費用を計上した結果、当事業年度の販売費及び一般管理費は937,804千円(前年同期比22.4%増)となりました。この結果、当事業年度の営業利益は78,065千円(前年同期比23.0%減)となりました。
(営業外収益・営業外費用、経常利益)
保険返戻金等の計上により営業外収益は1,724千円(前年同期比252.6%増)、上場関連費用や事務所移転費用の計上により営業外費用は31,032千円(前年同期比717.6%増)となりました。この結果、当事業年度の経常利益は48,758千円(前年同期比50.3%減)となりました。
(特別利益・特別損失、法人税等、当期純利益)
前事業年度に引き続き、特別利益及び特別損失の発生はありません。主に法人税等調整額を17,704千円(前年同期は△12,123千円)計上した結果、当事業年度の当期純利益は16,073千円(前年同期比85.2%減)となりました。
(2)財政状態の分析
財政状態の状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資本の財源及び資金の流動性については、内部留保の充実を図るとともに、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させることと、株主への利益還元を考慮し実施していくこととしております。
当社の資金需要の主なものは、主たる事業であるカイクラ事業に係る仕入原価のほか、販売費及び一般管理費の人件費等の事業に係る運転資金であります。
当社は必要となった資金については、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによるものを活用しておりますが、安定的な財源確保のため、株式の発行による資金調達を行っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社は、急速に技術革新が進んでいる社会において、競争優位性を維持するために、継続的な研究・開発が重要であると認識しております。「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念に掲げ、人と人のつながりを強くし、あらゆる企業のコミュニケーションエラーを解消することで、ビジネスにおけるあらゆる会話をおもしろくする。そして、顧客も社員も社員の家族もみんな幸せになる、また、毎日が本当に楽しいと思える社会の実現を目指し、「カイクラ」に係る研究・開発を日々積み重ねております。
研究開発体制については、社外アドバイザーと連携を行いながら当社開発部が中心となり、技術革新の最新動向を収集し社内で情報共有するとともに、それに対応した新サービスを研究・開発しております。当社が目指す社会の実現に向け、引き続き研究開発活動に取り組んでまいります。
当事業年度の研究開発活動は、ITに関する技術調査や「カイクラ」の新規オプション開発に取り組んでまいりました。その結果、当事業年度において当社が支出した研究開発費の総額は
なお、当社はカイクラ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。