当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、「制約を取り払うことで、自信と勇気を与える。」をパーパス(社会における存在意義)として掲げ、顧客・従業員・社会が抱える制約を取り払うことで、「自信」と「勇気」が満ち溢れる社会を作ることを目的として追求しております。
当社は会計分野に特化したAIソリューションサービスを提供しておりますが、技術研究を活かしたサービス開発により煩雑で複雑な経理業務を自動化して、導入いただいた企業に、正確で早い会計を実現し、社内リソースを入力や確認といった単純作業から価値の高い戦略的な経理業務へシフトさせることを支援いたします。
(2)中長期的な会社の経営戦略
基本戦略としては、①情熱を持って取り組める領域としてのエンタープライズの経理DX、②経済的原動力となる顧客単価の高さ、③マーケットシェアでNo.1になれる分野の3つを満たす領域にリソースを集中することとしております。当社は売上500億円以上のエンタープライズを顧客として高いARPAを獲得できていると考えておりますが、今後もターゲットとする市場を細分化し、経営資源を一点に集中して投下することで、マーケットシェアNo.1を目指してまいります。また、経理DX実現のため、下記の成長戦略を実行してまいります。
① 生成AIの研究とサービス化
LLM(Large Language Model)等を活用した生成AIに関連する研究開発をおこない、付加価値の高いサービス開発に努めてまいります。
現在生成AIの基礎研究に取り組んでおりますが、将来その研究成果を基にした先進的なサービスを構成する要素に関する技術の確立を目指してまいります。既存サービスに関しては、生成AIの活用によるOCR処理の精度向上に取り組んでおりますが、将来はデジタルインボイスから経理業務に関連する情報を生成し会計システム等の登録データに連携する付加価値の高いサービスを目指してまいります。さらに、現在は生成AIによる業務自動化サービスや経理業務に必要な判断業務の支援サービスの開発が進行中であり、一部サービスについては既存顧客へのオプションサービスとしての導入実績がありますが、さらなる精度向上及び判断業務の提供領域の拡大に努めてまいります。
② 請求書送付サービスの開発
Peppolの請求書送信機能を利用して、エンタープライズ経理の課題の1つである請求書送付作業の削減に寄与してまいります。現在送付機能の開発は完了し、ベータ版の利用が進んでおりますが、将来的には郵送サービスとの連携機能とPDFの請求書をメールで送信する機能の開発に取り組み、買い手の状況に応じた最適な手段での請求書送付及び請求書の送付全体の自動化の実現に努めてまいります。
③ 海外展開
サービスのグローバル化及び海外展開に向けて、外国籍人材の採用を強化しております。以前より外国籍のエンジニアは継続的に採用しておりましたが、海外で営業活動を行うために必要な営業やカスタマーサクセスの人材採用も成功しております。デジタル化に関しては、海外の請求書のフォーマットへの対応を進めておりますが、現在英語の請求書読み取りを行うためのAI学習は完了しております。海外においても国内と同様、エンタープライズを中心に事業を展開する予定であります。具体的な展開地域としてはアメリカ市場を選定しており、シカゴを拠点として営業活動を開始する予定であります。すでに営業および技術営業職の採用が確定しており、現地にて営業トレーニングを開始しております。
アメリカの外部環境として、経理担当者や米国CPAの資格保有者の人材不足が顕著であり、日本国内と同様に、経理業務の効率化に対するマーケットニーズが非常に高いと認識しております。一方で、OCR技術を提供している会社は複数存在しているため、当社としては経理業務に特化したソリューションを提供し、経理部門に受け入れられるサービスを提供することで、差別化し事業展開する予定であります。なお、売上高としては2026年度以降に計上されるものと見込んでおります。
(3)経営環境
当社が提供する会計分野に特化したAIソリューションサービスは、経理DX関連の市場に属していると考えられます。経理DXのみを対象とした市場統計はありませんが、新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、経理業務に関してもDXが進展しており、その市場規模は今後も拡大していくものと考えられます。また、日本におけるデジタルインボイスの標準規格としてPeppolが採用され、会計帳票の電子化が進む一方、依然として紙媒体の会計帳票も相当数流通すると想定されることから、今後は紙媒体、電子データの会計帳票が混在し、経理業務がより煩雑化すると考えられ、経理DXへのニーズはより一層高まるものと考えられます。特に生成AIを活用することで経理業務に実用的なサービスを開発することが肝要であり、当社としても生成AIの研究開発を継続し、その研究成果をより付加価値の高い新サービス提供に繋げていくことが出来るかが、今後の課題と認識しております。
このような状況の中、当社は経理DXの異なる段階ごとのサービス展開を実行・計画しております。デジタイゼーション(Digtization:紙などのアナログ情報をデジタルデータに変換すること)のために、紙帳票のデジタル化とデータの送受信のサービスを、デジタライゼーション(Digitalization:デジタル技術を活用して業務やビジネスプロセスを効率化すること)のために、経理の業務プロセスを自動化し、効率化するソリューションを提供いたします。
また、当社はエンタープライズ経理領域におけるソリューション提供にあたり、次の3つの要素を継続することにより、競合優位性を維持することができると考えております。
① AIプロダクトの自社内開発体制
当社の製品・サービスの根幹となるAIプロダクトは、社内のAIサイエンティストが研究開発すると同時に、自社内で教師データを作成できる30名(2024年12月末時点)の従業員によるアノテーション(注1)体制を構築しており、経理業務の効率化に資するAIプロダクトを数多く開発しております。特に生成AIを活用することで従来、経理業務の中で複雑な判断業務として位置付けられていた業務の一部についてもAIにより判断することが可能となっております。
② パートナーセールス体制
当社は、当社の製品・サービスをユーザー企業に販売する代理店である販売パートナーとしてコンサルティングファームやシステムインテグレーターを中心とした企業と再販売契約(注2)を締結し、エンタープライズへのRemota及びRobota導入促進及び共同でのウェビナー開催などによる集客を図っております。また、会計ソフトウエアベンダーをOEMパートナーとして選定し、当該ベンダーの製品にRobotaを組み込む形で中小企業へのサービス提供を行っております。
このようにパートナーセールス体制を構築した結果、当社は自社発の広告宣伝に依存せずに多様な企業にアプローチでき、サービス導入社数を増やせるビジネスモデルを確立できていると考えており、当事業年度の広告比率(売上高に占める広告宣伝費の割合)は約2.6%にとどまっております。
③ アナログ/デジタル両面の経理帳票への対応
当社は、2022年8月にデジタル庁よりPeppolサービスプロバイダーとして認定され、2022年10月よりサービス提供しております。今後は、デジタルインボイスの利用も進み、紙、PDF及びデジタルの異なる媒体の請求書利用が混在することが見込まれておりますが、当社のクラウド型AIプラットフォームであるRemotaはこれらの請求書をすべて処理でき、一元管理することができます。
(注)1.アノテーションとは、AIが学習する教師データを作成するため、画像等のデータに関連する情報を注釈として付与する作業です。
2.再販売契約とは、当社サービスの利用権を販売できる契約です。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の主な課題は以下のとおりとなります。
① 技術革新への対応
AI市場においては生成AIに代表されるように日々の技術革新が継続しており、当社が属する業界においても新規参入企業が増加しております。このような中、顧客ニーズの多様化に対応するためには、最先端の技術の研究が必要であり、優秀な人材の確保が必要と考えております。
しかし、優秀な技能を持つ人材の安定的な確保は、同業他社とも競合することから難しい状況となっております。当社は、採用計画に基づき安定的な人材確保が出来ておりますが、今後も継続的に国内外を問わず最先端の技術と経験を有する人材を確保するため、引き続きAIトップカンファレンスに論文が採択されるように投稿し、AI市場における知名度向上を図ることで魅力的で存在感のある企業であることを訴えかけるとともに労働環境や福利厚生の充実にも取り組んでまいります。また社内研修の強化等により人材育成にも努めてまいります。
② カスタマーサクセスの重要性
当社が提供するサービスの内容は、顧客毎の業務プロセスに適応したサービス導入が必要であり、またスキャナ保存制度や電子帳簿保存法等の法令等の改正に伴い顧客のニーズが変化するという特徴があります。そのため顧客ニーズを迅速かつ的確に捉え、より魅力的なサービスを継続的に提供することで解約を未然に防ぎ、また複数サービスの受注により顧客単価向上につながることからカスタマーサクセス(注1)の充実が重要であると考えております。今後も既存顧客等から構成されるユーザー会などを企画運営し、顧客ニーズにマッチしたサービスを提供し続けるための活動を行ってまいります。
③ 情報管理体制の強化
当社はサービスの提供過程において、機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。「ISO/IEC 27001:2022(JIS Q 27001:2023)」と「ISO/IEC 27017:2015(JIS Q 27017:2016)」に基づき、情報セキュリティ管理責任者を置き、これらを遵守するための社内規程の策定や内部監査体制の整備を行い、アクセス管理など漏洩防止等の対策を講じております。今後も社内教育・研修の実施やシステム整備等を継続して行ってまいります。
④ システムの安定性の確保
当社は顧客に対してインターネットを介したサービスを提供しているため、システムの安定稼働の確保が必要不可欠となっております。そのためアクセスが増加する月末月初は一時的にサーバを増強するとともにサーバ監視システムを導入し突発的なトラブル等が発生しても機動的にサーバを増強できる仕組みを整備することでシステムの安定性を担保しております。定期的にサーバ上でバックアップを行っておりますが、今後は顧客増加に伴うサーバ負荷増大に対応してさらなる安定性確保と効率化に取り組んでまいります。
(注)1.カスタマーサクセス:製品やサービスを通じて顧客の成功を支援することで、契約を継続してアップセルの実現やチャーンを防止することであります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社のAIソリューションサービスはサブスクリプションモデルであることから、企業価値の持続的な向上のためには、新規顧客の獲得に加え、既存顧客の複数サービス導入に伴うARPAの維持・上昇及び契約の更新に伴うグロスチャーンレート(解約率)の低減が重要であり、そのための目標とする経営指標としては、ARPA及びグロスチャーンレートであると考えております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、「制約を取り払うことで、自信と勇気を与える。」をパーパス(社会における存在意義)として掲げ、顧客・従業員・社会が抱える制約を取り払うことで、「自信」と「勇気」が満ち溢れる社会を作ることを目的として追求しております。
(1)ガバナンス及びリスク管理
当社は、サステナビリティに関する特別の組織を設けておりませんが、四半期に一度、事業を取り巻くリスク全般を管理するリスク管理会議及びコンプライアンスについて協議する取締役会を開催しており、リスク及び機会の早期発見に努めております。
(2)戦略
当社は、従来多くの紙と人手を用いて行われてきた経理業務をDX化する事業を行っております。経理業務をDX化することにより、企業の経理部門の業務が大幅に効率化され、紙の利用も削減することができることから、当社の事業を推進することが、環境負荷の低減につながる活動となると考えております。
また、人材の育成に関する方針及び社内環境整備については、現時点では当社の規模が小さいため、プロフェッショナル人材の中途採用を中心とする方針を採用しております。優秀な人材を採用していくために、就業しやすい環境の整備、多様性を重視した人材の登用を行ってまいります。
育児休業の取得推進や、社内で英語によって業務ができる環境の整備を進めることで男女格差はもちろん、国籍差なく広く就業できる環境を作っております。
(3)指標及び目標
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)競合について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の基幹技術であるAI-OCRを利用した会計帳票の読み取り技術は、類似のサービスが多く存在しており、中でも昨今はAIを利用したサービスも増えつつあることから価格競争による売上単価の減少リスクがあります。当社は会計帳票に特化することで、読み取り精度や、読み取り結果を仕訳に反映するシステムなど特異性のある技術をいち早く確立し、さらにこれらの技術に関連した経理業務の効率化に関連する特許を集中取得することで、技術的優位性を確保しております。また、生成AIの独自開発を推進することにより、人と同等以上のレベルでの経理判断を可能とする「経理シンギュラリティ」を実現することで、従来のOCRとは大きく差別化を図ってまいります。しかしながら、競合他社に比して優位な価格を提供できない場合、または、技術的優位性を確保できなくなった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)情報セキュリティについて
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が取り扱うお客様の会計データは、機密となる情報を含むことも多く、外部からの不正アクセス等によりこれらの情報が外部に流出した場合には、当社は損害賠償責任を負担するほか、他のお客様からの信頼失墜に直結し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社では、国際規格である情報セキュリティマネジメントシステム「ISO/IEC 27001:2022(JIS Q 27001:2023)」、およびクラウドセキュリティ認証「ISO/IEC 27017:2015(JIS Q 27017:2016)」を取得しており、このマネジメントシステムを適切に運用することで、これらのリスクの最小化を図ってまいります。
(3)技術革新等への対応について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が属するAI業界の技術は、国内外を問わず研究開発が進められており、その結果、常に新しい技術が生み出され、その技術がサービスの一部として提供されております。当社のAIソリューション事業(経理AI事業)の競争力の源泉は技術力であるため、最新の技術の収集及び優秀な人材確保に努めてまいりますが、急速な技術革新への対応が遅れた場合、新規契約が伸びず、また既存顧客の解約が発生することで当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)解約リスクについて
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
クラウドサービスの契約期間は通常1か月から数年の設定となっておりますが、当社の2024年12月末における顧客の平均契約締結期間は28ヶ月となっております。当社は、顧客満足度を高めるために、顧客ニーズを迅速かつ的確に捉え、ニーズを充足するための機能開発に努めております。また、当社が提供するサービスが顧客の業務フローに円滑に組み込まれるためのカスタマーサクセス体制の構築にも取り組んでおります。しかしながら、主要取引先について契約期間の満了時に契約が更新されない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)販売パートナー、OEMパートナーとの取引について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の販売体制としては、当社の営業担当が直接顧客にアプローチするダイレクト営業のほか、再販売契約等を締結した販売パートナー、OEMパートナー経由で顧客にアプローチするパートナー営業があり、2024年12月期においてパートナー経由の売上高割合は約5分の3となっております。現状、いずれのパートナーとも良好な関係を築くよう努めておりますが、今後パートナーとの契約が解約または更新されなかった場合やパートナーの販売方針の変更等により、パートナー経由の売上が著しく落ち込んだ場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)知的財産権の侵害について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が提供するサービスが他人の特許等の知的財産権を侵害することで訴訟に至り業績に重要な影響を及ぼすリスク、及び事業の継続に支障を来すリスクがあります。当社では、知的財産分野に強みを持つ弁護士及び弁理士と顧問契約を締結し、新規の技術やサービスについてはサービス検討と並行して随時当該弁護士等に第三者による権利化の有無を調査依頼し、知的財産戦略上、当社の競争優位性を得られるものについては自社技術の権利化に努めるとともに、第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制をとっております。しかしながら、他人の特許等の知的財産権を侵害している旨の訴えがあった場合、または当社が保有する知的財産権が第三者により侵害された場合には、法的措置を含めた対応が想定され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)システム障害への対応について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社サービスは、インターネットを利用してお客様へサービス提供を行ういわゆるSaaSビジネスであり、システムの安定的な稼働が不可欠となります。一時的なアクセスの急増によるアクセス障害や、ネットワーク機器・サーバの動作不良、ネットワーク障害や自然災害などが生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社では、サーバ監視システムの導入、システムの随時バックアップや冗長化を行うほか、「ISO/IEC 27001:2022(JIS Q 27001:2023)」に準拠した内部監査を含むマネジメントシステムの運用により、これらのリスクの最小化を図ってまいります。
(8)法令について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の提供しているAI-OCRサービスについては、電子帳簿保存法をはじめとした法令の要件を満たすようサービス設計を行っておりますが、今後、法令の改正により現状のサービスが法令の要件に適合しないこととなる恐れがあります。当社では、電子帳簿保存法その他主要な関連法令について、顧問弁護士や顧問税理士等と随時情報共有を行い、いち早く改正の動きをキャッチできる体制を整えております。
また、2023年10月に開始されたインボイス制度をきっかけとして請求書等の電子化が進み、将来的にはAI-OCR 技術が利用されなくなる可能性が考えられます。当社は、国内のデジタルインボイスの標準規格である「Peppol」を用いてデジタルインボイスを送受信するためのアクセスポイントも提供しており、その他の新規事業についても積極的な検討を行っております。
しかしながら、これらの法令の改正等による事業環境の変化に当社サービスが適切に対応できない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)人材の採用及び育成について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の事業領域は、進化の早いAI領域であることに加え、多様化するエンタープライズを中心とした顧客ニーズに対応するためには、最先端の技術と経験を有する優秀な人材の確保が必要と考えております。当社は継続して採用活動を行っておりますが、必要な人材を獲得できない場合及び十分な人材育成が進まなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)内部管理体制について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は少人数であり、現段階の事業規模にあわせた内部管理体制をとっております。今後、事業規模の拡大に伴い、人材の採用、育成を行うことにより現状の内部管理体制をより強固にしていく方針ではありますが、この体制強化が事業規模の拡大に追いつかない場合には、内部管理体制が有効に機能せず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)訴訟及び係争事件について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
現段階で、顧客、パートナーや取引先及び株主などのステークホルダーとの間で訴訟等はなく、その可能性も把握しておりませんが、将来これらが生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(12)自然災害について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、サービスシステムをクラウドサーバに置いており、当該クラウドサーバにおいても、複数のデータセンターにおける常時バックアップ体制等により洪水や地震等の大規模災害のサービス提供への影響を最小限に抑える対策を講じておりますが、想定を超える自然災害が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)特定人物への依存について
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の代表取締役社長である森啓太郎は、当社のサービスモデル及びビジネスモデルの考案、事業戦略の立案に加えて、営業活動をはじめとする事業推進においても中心的な役割を担っております。当社では今後の事業拡大に備え、外部人材の登用、社内人材の育成など代表取締役へ過度に依存しない体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により代表取締役が職務遂行をできなくなった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)小規模組織であることについて
(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は現在のところ、高い能力を有する少数の従業員による小規模組織体制で業務運営を行っております。そのため、大規模な組織と比べると業務が属人化しやすく、人員減少への耐性も低いといえ、業務の標準化やマニュアル化を進めておりますが、従業員の大量退職が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、役職員の意欲を高め、経営への参加意識を醸成するため、役職員に対してストック・オプションとして新株予約権を発行しており、その総数は2024年12月末時点における発行済株式総数の8.8%に相当します。これらの新株予約権が行使された場合には、既存株主の株式価値及び議決権比率が希薄化する可能性があります。
(16)海外進出について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、海外での販売活動を開始する予定でありますが、当社が進出を検討している各国において政治、経済、社会的混乱などが内在している可能性があり、また、進出後においても様々な政府規制や法規制の適用による影響を受けることで事業継続が困難となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)配当政策について
(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つと認識しておりますが、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としており、今後の配当性向は法定実効税率による税金費用を前提として20%とする予定であります。しかしながら、当社の業績が計画どおりに進捗しない場合には、配当を実施できない可能性があります。
(18)繰延税金資産の回収可能性について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金について、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を検討し、繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得については、企業内外の経営環境の変化等を踏まえ、適宜、見直しを行っておりますが、その結果、繰延税金資産の全額又は一部に回収可能性がないと判断した場合、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べて340,227千円増加し、1,719,726千円となりました。この主な要因は、新規案件の受注が順調に推移したことにより現金及び預金が300,756千円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は、前事業年度末に比べて475,032千円増加し、714,365千円となりました。この主な要因は、学習用サーバの購入に伴い工具、器具及び備品94,738千円増加したこと、本社移転に伴い建物附属設備等が70,239千円増加したこと及び繰延税金資産の回収可能性を見直したことに伴い繰延税金資産が314,938千円増加したこと等によるものであります。この結果、資産合計は、前事業年度末に比べ815,260千円増加し、2,434,092千円となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べて288,281千円増加し、1,003,022千円となりました。この主な要因は、契約社数の増加に伴い契約負債が212,039千円増加したこと及び業容拡大に伴い営業債務である未払金が75,138千円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べ17,764千円増加し、39,156千円となりました。この主な要因は、借入金の繰上返済等によって長期借入金が18,062千円減少した一方、本社移転に伴い新たに資産除去債務を39,156千円計上したこと等によるものであります。この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて306,045千円増加し、1,042,179千円となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて509,214千円増加し、1,391,913千円となりました。この主な要因は、配当金8,175千円を支払った一方、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ26,358千円増加、また当期純利益465,191千円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと等によるものであります。なお、当事業年度末における自己資本比率は57.1%となり、前事業年度末に比べて2.7ポイント増加しております。
② 経営成績の状況
(売上高)
当事業年度の売上高は、1,707,072千円(前事業年度比38.5%増)となりました。この主な要因は、企業のリモートワーク化と経理業務のデジタルトランスフォーメーション(経理DX)が促進される中で、従来のAPIソリューションサービスである『Robota』シリーズに加え、会計帳票の入力業務及び確認作業を効率的に実施できるクラウド型AIプラットフォームである『Remota』が引き続き好調に推移したことによるものであります。
経理DXを推進するエンタープライズを中心に、経費精算や会計帳票の入力業務及び突合業務に加え、メールで受け取った請求書を正確かつ効率的に処理し、また郵送で受け取った請求書と二重支払いにならないようなチェック機能も搭載することで、ユーザーにとって投資効果が得られる提案を行ってまいりました。また、会計ソフトウエアベンダが提供する会計システムへの機能追加や、生成AIを活用した経理業務の判断支援サービスを開始しました。この結果、導入社数が前事業年度末の110件に対して140件と順調に推移し、売上高が大幅に増加しました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、506,676千円(前事業年度比9.5%増)となりました。この主な要因は、開発体制強化のための積極的な採用に伴い給料及び手当が21,516千円増加(前事業年度比9.9%増)となった一方、サーバ構成を見直し効率化を達成したことにより通信費は6,368千円増加(前事業年度比5.3%増)に留まりました。この結果、売上総利益は1,200,396千円(前事業年度比56.0%増)、また売上総利益率は70.3%となり、前事業年度に比べて7.9ポイント改善しております。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、1,018,642千円(前事業年度比58.4%増)となりました。この主な要因は、営業体制の強化や業容拡大に対応した採用に伴い給与及び手当が128,177千円増加(前事業年度比68.5%増)、学習用サーバを購入したことに伴い減価償却費が62,940千円増加(前事業年度は4,188千円)、また採用等に伴う支払手数料が33,873千円増加(前事業年度比50.2%増)したこと等によるものであります。この結果、営業利益は181,753千円(前事業年度比43.8%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度の営業外収益は違約金収入等を計上したことに伴い2,050千円(前事業年度は2千円)、また営業外費用は229千円(前事業年度は9,013千円)となりました。この結果、経常利益は183,575千円(前事業年度比56.4%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度において特別損益は発生しておりません。法人税、住民税及び事業税33,323千円(前事業年度は21,779千円)を計上した一方、繰延税金資産の回収可能性を見直した結果、法人税等調整額を314,938千円計上したことにより、当期純利益は465,191千円(前事業年度比270.1%増)となりました。
なお、セグメントについては、当社はAIソリューション事業(経理AI事業)の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末より300,756千円増加し、1,603,250千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、530,196千円(前事業年度は292,989千円の獲得)であります。この主な要因は、税引前当期純利益183,575千円、減価償却費120,354千円、及び契約負債の増加額212,039千円があったこと等によるものであります。契約負債が増加した理由は、契約社数が増加したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、245,585千円(前事業年度は162,953千円の使用)であります。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出170,726千円、無形固定資産の取得による支出53,968千円、及び差入保証金の差入による支出29,862千円があったこと等によるものであります。有形固定資産の取得による支出の主な内容は、学習用サーバの購入及び本社移転に伴い発生したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果得られた資金は、16,145千円(前事業年度は568,666千円の獲得)であります。この主な要因は、長期借入金の返済による支出27,878千円、及び配当金の支払額8,175千円があった一方、新株予約権の行使による株式の発行による収入52,267千円があったこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
AIソリューション事業(経理AI事業) |
1,707,072 |
138.5 |
合計 |
1,707,072 |
138.5 |
(注)1.当社の事業セグメントは、AIソリューション事業(経理AI事業)事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。
2.AIソリューション事業(経理AI事業)の販売実績の増加は、企業のリモートワーク化と経理業務のデジタルトランスフォーメーション(経理DX)の推進に伴い、導入社数が増加したことによるものであります。
3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当事業年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社ラクス |
128,935 |
10.5 |
- |
- |
4.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先については記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、国内外の経済動向、技術革新への対応状況、競合他社の状況、及び当社の事業活動に影響を及ぼす法改正並びに過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち特に重要なものは以下のとおりであります。
a.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、取締役会で承認された事業計画を基礎として見積られた将来の課税所得に基づき、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の解消時期をスケジューリングし、将来の税金負担額を軽減すると認められる繰延税金資産の金額を計上しております。課税所得の見積りの基礎となる事業計画における主要な仮定は売上高であります。売上高は、販売経路別に過去の受注実績や商談中の案件の状況等を踏まえた上で新規受注案件の金額を見積もり、また過去の解約率の推移と今後の契約更新の状況から予測解約率を設定した上で見積もっておりますが、経済環境等に大幅な変化が生じたこと等により、売上高が当該事業計画の予測を大幅に下回った場合、新規受注案件の金額及び予測解約率等に見直しが必要となり、その結果、翌事業年度以降の繰延税金資産の回収可能性に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況 ② 経営成績の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社はARPA及びグロスチャーンレートを経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として重視しております。ARPAは概ね1百万円程度で推移しておりますが、ARPAの向上のためには、エンタープライズに特化した営業及び開発戦略を実行するとともに、提供可能なサービスを拡充することで複数サービスの導入を達成することが重要であると考えております。また、グロスチャーンレートは、2023年12月期は第4四半期で大型案件の解約があったため上昇しておりましたが、当該解約が算定期間から外れたこと及び2024年12月期は大型案件の解約がなかったことから低減しております。今後より一層低減させるためには法令改正等によって変化する顧客ニーズを適時に識別し、サービスの機能強化または品質向上により顧客満足度を向上させるようなカスタマーサクセス体制を構築していくことが重要であると考えております。
期別 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
||||||
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
|
ARPA(千円)(注1) |
1,016 |
999 |
1,031 |
1,003 |
1,095 |
1,054 |
1,053 |
1,073 |
グロスチャーンレート(%) (注2) |
0.6 |
0.6 |
0.5 |
1.3 |
1.4 |
1.3 |
1.3 |
0.7 |
(注)1.ARPA:1アカウント当たりの売上高で、「当月末のMRR/当月末のアカウント数」で算定しております。
2.グロスチャーンレート:月次解約率で、「当月失ったMRR/前月末のMRR」を直近12ヶ月分単純平均して算定しております。
サービス導入当初はMRRが小さい顧客も多い傾向にあるものの、サービス利用が進むにあたってアップセルによってMRRが増加したり、他の機能をクロスセルすることでMRRが増加する顧客が多い傾向にあります。2023年12月末時点におけるサービス導入時期別のARPAの推移は以下のとおりとなっております。
導入期 |
2024年12月期 (1年未満) |
2023年12月期 (1年以上2年未満) |
2022年12月期以前 (2年以上) |
ARPA(千円) |
605 |
614 |
1,511 |
なお、当社の四半期末毎の導入社数の推移は以下のとおりとなっております。
期別 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
||||||
第1 四半期 |
第2 四半期 |
第3 四半期 |
第4 四半期 |
第1 四半期 |
第2 四半期 |
第3 四半期 |
第4 四半期 |
|
導入社数(社) |
91 |
99 |
107 |
110 |
114 |
125 |
135 |
140 |
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の主な運転資金需要は、新規機能及びサービス拡充のための開発、営業人員等の人件費のほか、関連する外注費が中心となっております。当社は、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、これらの運転資金需要に対しては自己資金にて充当する方針でありますが、より安定的な資金供給のためには、銀行借入等も含め柔軟に検討を行う予定であります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
該当事項はありません。
当社は、領収書や請求書などの会計帳票に特化したAI-OCR技術の向上および日常の経理業務の効率化を実現するため、生成AIやLLM(Large Language Model)をはじめとする最新技術の研究開発に取り組んでおります。社内の体制としては、FA Researchという研究チームを創設し、コンピュータサイエンスおよび関連分野の博士号を持つAI研究者を中心に構成されております。メンバーはいずれも、大手企業での研究開発職や大学でのディープラーニング研究に携わるなど、高い専門性を有しております。研究チームの発足により、長期的な技術投資を進めるとともに、技術的に競争力の高い国際学会での論文採択を目指し、技術の洗練を図りながら、その研究成果を製品開発へと活かしております。
当事業年度における研究開発活動としては、経理業務に特化したLLMの構築や、ドキュメント解析のためのマルチモーダルLLMの研究開発を推進しております。また、既存の領収書や請求書の読取精度向上に向けた追加開発、明細読取などの付帯サービスの拡充、外国語帳票を含む証憑の読取範囲拡大に向けたアルゴリズム開発などにも取り組んでおります。
当事業年度の研究開発費の総額は94,658千円となっております。なお、当社の事業はAIソリューション事業(経理AI事業)の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。