文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(以下「NXグループ」という。)が 判断したものになります。
(1)長期ビジョン
将来のNXグループのありたい姿として、2037年に迎える創立100周年に向けた新たな長期ビジョンを掲げております。
NXグループは、グループ企業理念を拠り所に、安全・コンプライアンス・品質に対するこだわりを基本とした「現場力」、企業メッセージ「We Find the Way」に表現される「お客様第一の姿勢」といった変わらぬ価値観を土台として、今日まで成長してまいりました。それはこれからも同様であり、今後もグループで共有し、諸施策を踏まえグローバルに展開してまいります。
一方で、これからNXグループが、更なるスピード感をもって世界の市場で成長していくためには、変えるべき価値観として、これまでの日本・日本通運株式会社単体中心の価値観を、グローバル基準・グループ視点にシフトしていく必要があります。NXグループが長期ビジョン実現に向けて取組む様々な施策に対し、社員一人ひとりが挑戦し、それを繰り返す中で、社員一人ひとりの意識・行動も変化し、自律的・挑戦的な価値観・企業風土に変革していけるものと考え、取組んでおります。そのような変革を通じて、NXグループが「イノベーションによる新たな価値創造」、つまり物流を通してイノベーションを起こし、お客様や社会に対して新たな価値を届けてまいります。
そして、その先に実現を目指す「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という姿を、グループ全体で共有し、その実現に向け進んでまいります。
成長イメージは、上図のとおりとなります。(日本基準に基づく金額を記載しています。)
グローバル市場での存在感を示すにあたり、2019年度当時20%程度にとどまっていた海外売上高比率を、創立100周年を迎える2037年度には50%に伸長させることをイメージしております。
2019年4月1日より開始した、長期ビジョン達成に向けた第一歩である経営計画「NXグループ経営計画2023~ 非連続な成長“Dynamic Growth”~」で取り組む諸施策では、単に売上高の拡大だけではなく、同時に収益性等についても目標指標を定め、5年間でROE10%を達成するとともに、10年以内に営業利益率5%を達成してまいります。
なお、未進出エリアや非日系顧客など、新たに踏み込んでいく市場には、最初から高い収益性を実現できない場合でも、中長期的な目線で戦略的に取り組んでいくことから、営業利益率5%の達成につきましては、成長イメージの10年目の時点に示しておりますが、達成に10年をかけるという意味ではなく、エリアや個々の業務における収益性改善には、従来以上の取組みで成果を挙げ、できる限り早期に実現してまいります。
(2)NXグループ経営計画2023~ 非連続な成長“Dynamic Growth”~
A.経営計画の取組み
NXグループは、2019年4月1日より、5年間の経営計画「NXグループ経営計画2023~ 非連続な成長“Dynamic Growth”~」を策定し、グループ価値の向上を目指して取り組んでおります。
長期ビジョンの実現に向けて持続的に成長するために必要な施策をバックキャストで考え、これらの組み合わせによって策定いたしております。
■基本的な考え方
「イノベーション(革新)」
・NXグループが挑戦するイノベーションは、長期ビジョンの実現に向けて、企業のあり方・考え方を根本から革新することである。
・イノベーションにより新たな価値を創造し、世界のお客様に選ばれ、グローバルな物流市場で存在感を持つ企業グループへ成長する。
「事業の成長戦略」
・顧客(産業)軸、事業軸、エリア軸の3軸アプローチを強力に推進し、強みである「日本」で培った顧客基盤・事業をグローバルに成長させる。
・日本国内においては、成長戦略に取り組むとともに収益性を改善し、強靭な経営基盤を構築する。
「長期ビジョン実現のための取組み」
・M&Aを活用し、グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニーへ非連続な成長を遂げる。
・グローバルな企業グループとして、IT、DX、人財、ブランド戦略、外部企業との共創やグループガバナンス改革など、経営基盤のイノベーションに取り組む。
・社会的課題解決に取り組み、持続可能な社会に貢献する。
・ワークスタイルの変革により、多様な人材が活躍し、社員が幸せを感じる企業となる。
本経営計画は、長期ビジョン実現に向けた第一歩となります。本経営計画のキーワードとして「イノベーション(革新)」がありますが、NXグループの目指すイノベーションとは、長期ビジョンの実現に向けた企業のあり方・考え方の革新と位置付けております。例えば、仕事の在り方を根本的に変革することで、社員が自律的に持つ力を最大限に発揮し、価値を創造し続ける企業を目指します。
副題の「~ 非連続な成長“Dynamic Growth”~」は、これまでの延長線上の成長から格段に加速する成長、また様々な改革に取り組み、これまでと異なる企業像で、成長を遂げていくイメージを表現しており、経営トップの変革に対する強い決意をこの副題に込めております。
また、様々な変革を完遂するために5年間の計画期間にいたしました。困難な道でもありますが、「We Find the Way」、つまりあきらめず、愚直に解決を見出していくその姿勢が重要となります。NXグループが世界の多くの皆様から認められる、物流で世界を支える企業グループになるために、社会、お客様、株主、投資家、社員の皆様と、ともに歩み、ともに新たな価値を創造してまいります。
■重点戦略
「事業の成長戦略」
・「コア事業の成長戦略」として、当社の強みである、生産・販売サプライチェーンを支える事業をコア事業として位置付け、顧客(産業)軸、事業軸、エリア軸の3つの軸によるアプローチを強力に推進し、日本を含む世界全体で収益性の向上に取り組んでまいります。
《主なKPI》・重点産業の売上高(重点産業:「電機・電子産業」「自動車産業」「アパレル産業」
「医薬品産業」「半導体産業」)
・海上フォワーディング数量(TEU)、航空フォワーディング数量(トン)
・非日系顧客の売上高
・「日本事業の強靭化戦略」として、経営の核となる日本事業の経営体質をより強靭なものにするため、日本の各事業における収益性の向上に徹底的にこだわり、「専門事業の収益性向上」、「営業・事務生産性の向上」、「低収益事業の抜本的改革」に取り組んでまいります。
《主なKPI》・間接部門人員の再配置数(営業等の戦力の創出)
・事務プロセスの改革に伴う超勤時間削減による効果額、及び人材派遣費削減額
・料金改定効果額
「長期ビジョン実現のための取組み」
・「非連続な成長戦略」として、M&A戦略を明確化し、グローバル経営基盤の強化・拡充に向け取り組んでまいります。
・「取組みを支える機能強化」として、IT戦略、DXの推進、人材戦略、広報戦略、外部企業との共創によるイノベーションを通じて、経営基盤の強化に取り組んでまいります。
・「持続的成長と企業価値向上のためのESG経営」として、「E:環境」は「物流企業としてCО2排出量削減にこだわる」をテーマに、「S:社会」は「社員が幸せを感じる企業に変革する」をテーマに、「G:ガバナンス」は「持続的な企業価値向上を支える仕組みを構築する」をテーマに各種施策に取り組んでまいります。
《主なKPI》・自社排出CО2の削減量
・女性社員の勤続率
・年次有給休暇取得率
・男性育児休業取得率(2022年2月14日に公表した経営計画の修正により、新たに追加しました)
B.経営計画における経営数値目標および進捗状況について
①経営数値目標
経営計画の経営数値目標については、最終年度である2023年度の最終目標を設定しております。それぞれに対する2022年度の進捗状況は、以下のとおりとなります。
(単位:億円、%)
※「海外売上高」は連結調整前数値となります。
※2021年12月期実績(RОEを除く)は、2021年1月~12月のプロフォーマベースの数値となります。
※2023年度最終目標数値は、2022年2月14日に公表した修正後の数値となります。
※日本基準に基づく金額を記載しています。
セグメント別実績 (単位:億円、%)
※連結調整前数値、億円未満切り捨てとなります。
※2021年12月期実績は、2021年1月~12月のプロフォーマベースの数値となります。
※2023年度最終目標数値は、2022年2月14日に公表した修正後の数値となります。
※日本基準に基づく金額を記載しています。
②経営計画各種戦略の実施状況及び経営成績についての評価
経営計画達成に向けた2022年度の重点戦略の取組み、及びKPIの進捗状況、それらについての分析と評価については、「3 経営者による財務状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績」をご覧ください。
③資本政策
・ROE 10.0%
・配当性向 30%以上
・総還元性向 50%以上(2019年度~2023年度累計)
・自己資本比率 35%程度
(参考)各種実績の推移
C.対処すべき課題
今後の経済動向につきましては、先進各国でのインフレ対策のための金融引締め政策の長期化による景況感の悪化や、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻長期化によるエネルギーや安全保障に関するリスクの高まり、台湾海峡を巡る地政学的なリスクの高まりなどもあり、引き続き不透明な状況が続くと予測されます。
また、物流業界におきましては、日本国内では働き方改革関連法に伴う「2024年問題」や、生産年齢人口減少に伴う労働力不足、IоT、AI、自動化・省人化機器をはじめとする先端技術の活用、デジタルトランスフォーメーションにより変化する世界への対応、加えて、気候変動への対応や人権の尊重、働き方改革など、サステナビリティを巡る多くの課題に直面しております。
NXグループは、このような経営環境のもと、5年間の経営計画である「NXグループ経営計画2023~ 非連続な成長“Dynamic Growth”~」の達成に向けて、引き続きグループ一丸となり取り組んでまいります。
「事業の成長戦略」
「コア事業の成長戦略」においては、グローバルアカウントマネジメントによる「顧客(産業)軸」における重点5産業や、非日系顧客への取組みを加速させるとともに、「事業軸」における、航空及び海運事業基盤やロジスティクス事業の強化を通じて、お客様のグローバルサプライチェーンへの貢献領域の拡大に努めてまいります。「エリア軸」においては、重点産業の強化を中心とした事業拡大と、新興エリアでの事業拡大にも取り組んでまいります。
「日本事業の強靭化戦略」においては、NXグループ事業の核となる日本国内物流事業の収益性の更なる改善と経営基盤の強化に向け、警備輸送事業の分社化による事業強化と、管理組織のスリム化や事務プロセスの更なる改革を進めると共に、関東圏や中京圏、近畿圏などの主要マーケットへの経営リソースの集中と、グループ内でまたがる事業の整理を含めた事業ポートフォリオの見直しなどを進めてまいります。
「長期ビジョン実現のための取組み」
「取組みを支える機能の強化」においては、「IT」「DX」戦略における物流先端技術の実用化やAI、RPA等の活用を拡大し、労働力不足の解消、安全・安心で高度なオペレーションの実現を通じ、競争優位性の確保と、生産性の向上や働き方改革に繋げていくとともに、デジタルトランスフォーメーションへの対応をグループとしても推進してまいります。
「持続的成長と企業価値向上のためのESG経営の確立」においては、サステナビリティを巡る課題に対し、鉄道や船舶輸送などを組み合わせたインターモーダルサービスなどの開発と提供を通じた顧客貢献の拡大と、再生エネルギーの活用や、施設照明のLED化、車両等のEV化などを推進し、CO2排出量の削減を更に進めるとともに、社員が幸せを感じる企業への変革を目指し、従業員エンゲージメント強化のため、更なるダイバーシティ経営を推進してまいります。ガバナンス強化については、更なるグローバル・グループガバナンス体制の強化に向け、様々な施策を推進していきます。
当社グループ(以下「NXグループ」という。)の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNXグループが判断したものであります。
(1)事業環境に関わるリスク
①市場環境の変化について
NXグループは、BtoBの企業間物流を中心に事業を展開しておりますが、生産分業や多国間取引の拡大など顧客の事業活動のグローバル化はより一層進展しております。そのような中において、米中間の貿易摩擦やテクノロジーを巡る覇権争いは近年激化しており、貿易や製造業の成長の下押しの要因となりうる不確実な状況が続いており、また、アジアや東欧、中近東を中心とした紛争等による地政学リスクも高まっております。これらを背景に世界マクロ経済が後退すると、顧客企業の輸送需要の動向に影響を与えることになり、NXグループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクとなります。特に、米国、中国経済の鈍化は日本を含む多くの国々の製造業にも影響することもあり、NXグループのロジスティクス事業セグメントにおいて大きな影響を及ぼす可能性があります。
引き続き、製造業の顧客に対する生産調達物流に関わる貢献領域の拡大に取組むとともに、各国における消費財関連の販売物流領域の一層の強化、拡大や、新興エリア等への事業進出の加速などを通じて、リスク低減に努めてまいります。
また、NXグループの事業の中心は「ロジスティクス(日本)」であり、今後も事業の核となるのは強みである日本事業と日系企業との取引になると考えております。一方で、少子高齢化を背景とした需要低下の予測や、eコマースを代表としたロジスティクス物流の変化など、日本国内市場における事業環境は変化するとともにBtoBの貨物輸送需要は減少することが想定されます。
日本国内市場の輸送需要の減少は、NXグループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクとなりますが、中長期的な課題として位置付けており、当面は緩やかな減少になると考えております。引き続き、NXグループの事業の中心である日本でしっかりと収益を確保するとともに、医薬品関連産業や半導体関連産業へのロジスティクスや、グリーンロジスティクスなど、今後、日本国内で需要が拡大すると見込まれるロジスティクスのニーズを取り込んでまいります。また、成長領域である海外のロジスティクス物流市場へ更なる投資を進めることで、事業の成長につなげてまいります。
②デジタル化等のテクノロジーの進化について
IT等デジタル技術の急速な発展を背景に、あらゆる業界において新たなビジネスモデルやサービスの創造が進んでおります。特にコロナ禍を契機として、顧客ニーズやビジネスモデルの変化は加速しており、アフターコロナを見据えたビジネスの見直しは、業界を問わず急務となっております。物流業界を取り巻く環境においても、ITにより顧客と輸送業者等を結びつけるデジタルフォワーダーなど異業種からの参入を代表に、様々な変化が起こっております。このような変化は、IT等デジタル技術の活用による事業の省力化や効率化につながると考えられますが、中長期的にはNXグループが長年培ってきた強みを打ち消す、もしくは物流ニーズの低減につながるリスクとなりえると考えられます。
また、国際紛争、大都市ロックダウン、自然災害などの想定外の事態により、国境を越えて構築され、複雑化しているサプライチェーンが寸断されるリスクが生じております。この対策として、サプライチェーンやリスクマネジメントに関連するデータを、AIを用いて分析し、新たなインサイトを導出することで、代替輸送手段の提案などサプライチェーンの強靭化につながるソリューションを検討しております。
2023年までの経営計画期間内においては、これらの事業環境の変化に関する分析や異業種との共働・協創などを通じて、現在、そして今後起こりうる変化への対応や備えに努めるとともに、デジタル化を取り込み、時代の変化に対応するサービスの創出を通じて事業の成長につなげてまいります。
③法規制について
NXグループが展開する物流を中心とした事業は、多岐にわたっており、それぞれの事業分野において法的規制を受けております。NXグループは、コンプライアンス経営を最重要課題として認識し、取組みを行っておりますが、法的規制により営業活動等の一部が制限された場合、売上収益の減少、あるいは、新たな費用の増加等により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④自然災害について
世界各地で昨今発生する自然災害はその頻度を増し、また、規模を拡大しており、NXグループ及び顧客の事業活動にとって大きなリスクとなっております。NXグループは、鉄道、自動車、船舶、航空機等、多岐にわたる輸送手段を有しておりますが、自然災害により輸送障害が発生した際、代替手段による輸送を実施したとしても、顧客企業の生産や販売活動への影響を低減しきれない場合、また、自然災害によるNXグループ施設への被害が発生した場合、NXグループの経営成績及び財政状態への悪影響を回避できない可能性があります。
加えて、NXグループの輸送する商品には、特に「ロジスティクス(日本)」において、農作物の一次産品、飲料水、アパレル等、輸送需要が季節により変動し、天候に大きく影響を受けるものを含んでおります。大規模自然災害はもちろんですが、冷夏、暖冬、少雨等の異常気象が発生した場合、顧客の生産や需要が減少し、売上収益の減少等、NXグループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方で、NXグループの強みである需給調整のための在庫保管業務の需要を取り込むとともに、輸送需要の異なる幅広い顧客基盤の構築に取り組み、リスクの軽減に努めてまいります。
⑤感染症について
NXグループは、日本を含む世界49ヶ国(提出日時点)で事業を運営しており、各国においてサービスを提供しております。一方で、グローバル経済の浸透により人の往来が活発になる中で、現在も流行が収束していない新型コロナウイルス感染症のように、感染症の急速かつ世界的な拡大や新たな感染症の発現などのリスクが高まっております。NXグループの事業活動が行われる国において感染症が発生した場合、お客様の事業活動の停止や、輸送インフラの停止などが想定され、従業員や協力会社に大量の病欠者が出た場合は、事業継続に影響を及ぼす可能性もあります。
NXグループは、引き続き感染症拡大の防止と安全確保を最優先に、NXグループ危機管理要領の整備などリスクマネジメント体制の構築や顧客に対する代替輸送提案等を通じて、リスク拡大への対処を進めてまいります。
(2)経営戦略の推進・事業拡大に関わるリスク
①M&A及び事業投資について
NXグループは、グローバルロジスティクス企業としての成長に向けた経営資源の最適化を図るため、グループ内における経営管理を徹底し、選択と集中を進めると共に、事業領域の拡大、もしくは必要な機能の取得及び拡充に向けて、M&Aをその選択肢の一つとしております。M&Aの実施にあたっては、対象企業の財務内容や契約内容等について綿密な事前審査を行い、リスクを把握したうえで決定しておりますが、デューデリジェンスでは確認しえなかった買収先のリスクが残る可能性があります。また、例えば新型コロナウイルス感染症拡大などのように、買収後に予想しえなかった事業環境の変化がおこる可能性もあります。これらの要因等により当初想定した事業展開が進まず、事業計画どおりの成果が得られない場合には、対象企業の業績悪化やのれんの減損損失等、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②人財の確保・育成について
高度な物流ソリューションを提供し、急速に変化する経営環境へ柔軟に対応していくためには優秀な人財の確保が重要となります。
そのため、多様な人財が活躍し、社員の成長を支援する仕組みや社員が能力を存分に発揮できる環境の整備が重要であるとの認識に立ち、各種研修制度の拡充、社員の挑戦を促す人事施策を推進しております。同時に、高い専門性や事業経験を有するプロフェッショナル人財の確保についても、グローバルレベルで取組みを進めております。
しかし、優秀な人財の確保が世界各国、各業界において共通の課題となっていることから、必要となる人財を確保することが困難となった場合には、NXグループの企業価値が十分に高められず、事業運営や経営計画の遂行に支障をきたし、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、実運送を主体としている日本国内のグループ会社においては、今後加速する労働力人口の減少に対応すべく、労働環境・諸制度の改革や、省力化、省人化を実現する最先端技術の導入、データの利活用など物流の高度化を推進しております。
ところが、こうした取組みの効果が発揮できず、事業の継続に必要となる人財を確保することが困難となった場合は、事業の継続に支障をきたし、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③財務に関わるリスクについて
NXグループの主要な資金需要は、利用運送費、燃油費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備の新設、改修等に係る投資であり、これらの資金需要に対し、一部を金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
金利の変動リスクに晒されている借入金については、一部、金利スワップ取引等のヘッジ手段を利用してリスクを低減しておりますが、大幅な金利の変動等があった場合、また、格付け機関によるNXグループの信用格付けの引き下げ等の事態が生じた場合、資金調達コストが増加し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、NXグループは、日本国内、海外各国に数多くの物流拠点を有しております。設備投資あるいは長期にわたる賃貸借契約にあたっては、投資効果の算定、キャッシュ・フローの回収見込み等、長期的な観点から十分に検討したうえで実施しておりますが、今後の経済動向、顧客企業の動向等により、当初計画よりも早期に処分、返還等を行い、一時的な損失が発生する、または減損損失が発生する等、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業運営に関わるリスク
①安全品質に関するリスクについて
NXグループにおいて、事業の根幹を支える「安全・コンプライアンス・品質」の徹底は経営の重要課題であり、従業員の価値観となります。しかし、これらの徹底が不十分である場合、またはNXグループもしくは協力会社において重大な貨物事故や交通事故等が発生した場合、NXグループの品質への信頼の失墜、ブランドの棄損とともに訴訟や事業停止などにつながるリスクになります。このようなリスクが顕在化した場合、NXグループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②カントリーリスクについて
NXグループは、世界各地で事業展開しており、各国の政治・経済・社会・法規制の変化や暴動、テロ及び戦争の発生による経済活動の制約、国際輸送への制約などにより、NXグループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③情報システム及び情報セキュリティについて
昨今の情報通信技術の目覚ましい発展により、情報システムの戦略的な活用は事業運営に不可欠であり、システムの可用性や情報の適切な取扱いは、NXグループにおいても経営の重要課題であり、また、企業として果たすべき社会的責任でもあります。NXグループにおいては、ITシステム部門の統合によるIT戦略の立案と実施をグループ一体で推進するとともに、「システムリスク管理規程」「NXグループIT基本方針」「NXグループサイバーセキュリティ基本方針」を整備し、適切な利用環境の構築、及びeラーニング等を利用した従業員への教育や外部からの攻撃や非常事態を想定した定期的な訓練に努めております。
しかしながら、想定を超えた水準の情報システムや通信における障害、近年、規模や頻度が拡大し巧妙化を続けるサイバー攻撃などによる機密情報の破壊・窃盗などは、NXグループの事業活動に深刻な影響を及ぼすだけでなく、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)気候変動について
《気候変動への対応方針》
気候変動への取組みは持続可能な社会の実現に向けて重要な要素であり、気温上昇を産業革命時期比+1.5℃に抑えることが求められています。
NXグループは、企業理念にのっとり、物流を通して持続可能な社会に貢献し、豊かな未来を創るために、1.5℃目標の実現を目指し、CО2排出量削減に積極的に取り組みます。本取組みは、NXグループの持続的成長と企業価値向上につなげるうえで必要となる、経営上の重要課題と捉えており、これらの社会変化に対応していくことで、リスクを最小化し、新たなビジネスチャンスの創出につながると考えています。
そのため、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言への賛同を2022年5月に表明するとともに、その提言内容に基づき、気候変動対応を推進しています。
■ガバナンス
《経営者、及び取締役会の役割》
NXグループにおけるサステナビリティ経営を推進するため、 2022年1月、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社において、サステナビリティ推進部を設置するとともに、グループ全体のサステナビリティ推進を担う中核組織としてサステナビリティ推進委員会を設置しました。サステナビリティ推進委員会は、代表取締役社長(CEО)を委員長とし、当社の執行役員で構成されており、気候変動問題を含むサステナビリティ全般の取組みを推進しています。
《リスク管理》
NXグループでは、グループ全体のリスク管理・危機管理を推進するため、2022年1月にリスクマネジメント本部及びコンプライアンス・リスク統括部を設置し、リスクマネジメントを強化しています。気候変動リスクは、長期ビジョン実現に向けた環境分析において重要課題と特定しています。毎年開催されるリスクマネジメント委員会において、気候変動リスクを含む、リスクの把握と対応状況をモニタリングし、長期的な視点でNXグループ事業への影響を確認しています。
■指標と目標
NXグループでは、気候変動をグローバルな社会課題として認識しており、日本通運株式会社では、CО2排出量の削減実績を踏まえ、2030年度を期限としていた“CО2排出量35万t(2013年度比30%相当の削減)”という目標を2023年度に前倒ししました。
また、NXグループのCО2排出量をScope 1、2、3のそれぞれについて公表しており、CО2排出量削減に向けた取組み状況を積極的に開示しています。今後はカーボンニュートラルに挑戦すべく、NXグループにおける2030年や2050年の目標設定、及びそのための道筋について継続的に検討し、対応策を講じていくことが重要であると認識しています。
■戦略
NXグループでは、「NXグループ経営計画2023」において、長期ビジョン実現のための取組みとして、「持続的成長と企業価値向上のためのESG経営の確立」を掲げており、1.5℃目標の実現に向けてCО2排出量の削減施策を実行しています。また、経営のレジリエンスを高めるために、気候変動により想定されるさまざまなリスクや機会の把握に努めています。
シナリオ分析
分析対象のシナリオは、NXグループが目指す1.5℃シナリオに加え、4℃シナリオの世界が訪れた際にもレジリエンスを発揮すべく、2種のシナリオ*1に対してリスク・機会の特定を行っています。これらのリスクがNXグループの事業に与える財務影響を定性・定量的に評価を行い、対応策の検討を行っています。特定したリスクの影響に対しては、今後も対応策の検討を深めていくとともに、定量的な影響の評価をさらに進める予定です。
抽出した重要リスクの中で、2021年度はカーボンプライシングの導入によるコスト増加について財務インパクト評価を行いました。1.5℃シナリオにおける2030年の炭素税価格を約13,000円/t-CO2、電気単価を約10.2円/kWhとして試算した結果*3 、カーボンプライシングによる影響額は2030年に約90~110億円程度になると算定されました。 1.5℃シナリオでは炭素税をはじめとする規制や市場の影響によるコストが発生する一方で、気候変動に伴う機会の獲得による事業拡大も見込んでいます。
*1:1.5℃シナリオにおいては、IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)、IPCC 特別報告書(SR15) などを参照
(1.5℃シナリオの情報がない場合は、2.0シナリオの情報により補完)
4℃シナリオにおいてはIEA Stated Policies Scenario (STEPS)、IPCC RCP8.5などを参照
*2:各シナリオにおけるNXグループへの財務影響を大・中・小の三段階で評価。
1.5℃シナリオは2030年、4℃シナリオは2050年時点
*3:2030年度におけるCO2排出量は「地球温暖化対策計画」における運輸部門の削減目標(△35%)を達成するものとして設定。
炭素税価格及び電気単価はNGFS(Network for Greening the Financial System)による1.5℃シナリオの数値を使用
(2030年における炭素税価格:約13,000円、電気単価:約10.2円/kWh)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(以下「NXグループ」という。)が判断したものになります。
当社は、2022年1月4日に日本通運株式会社の単独株式移転により、日本通運株式会社及びその子会社の純粋持株会社として設立されました。当有価証券報告書は設立第1期として提出するものであるため、前連結会計年度との対比は行っておりません。
(1)経営成績
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」のまん延により、一部の国や地域で経済活動に制限が課されたことでサプライチェーンに影響を及ぼすと共に、高いインフレ圧力などへの対応を迫られた米国を含む先進各国での長らく続いた量的緩和政策の転換と財政・金融経済対策の縮減により、それまでは緩やかな景気回復に向かっていた世界経済にブレーキをかける状況となりました。加えて、2月に発生したロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、世界的なエネルギーや食品原材料などの大幅な価格上昇と調達への懸念、それによる更なる物価上昇に伴う消費マインドの冷え込みなどにより世界的な景気後退への懸念が高まった事で、先行き不透明な状況の中、総じて厳しい経営環境となりました。
このような経済情勢の中、物流業界においても、全体として緩やかな景気回復による荷動きの回復が見られた前年の状況から徐々に変化が現れ、企業の設備投資に伴う生産用機械、ロックダウンに伴う反動増などの影響があった電気・情報通信機器などの一部を除き、力強さに欠ける状況で推移しました。また、自動車産業に関しても、前年より続く世界的な車載半導体不足や、ロックダウンによる海外などからの部品調達の停滞により、期待された本格的な回復には至らず、個人消費に関しても、インフレなどに伴う消費者物価の上昇や日本国内ではまん延防止等重点措置による外食などの需要低迷により、足踏み状態となったことから、全体的な荷動きは弱含みな状況で推移しました。
また国際海上輸送においては、当年度前半にはロシア向け海上輸送の停止に伴う欧州主要港でのコンテナ滞留や、中国上海地区におけるロックダウンに伴う一時的な需給バランスの崩れなどもあり大きな影響がありました。加えて、国際航空輸送においても、コロナ影響による旅客需要の回復遅れにより充分に復便していないなか、ロシア上空の飛行制限に伴う飛行ルート変更による減便などが加わり、更なる影響を受ける状況となりました。その結果、海上輸送、航空輸送ともに、前年から続く運賃高騰の状況が継続する形で推移しましたが、当年度後半からは、いずれも需給緩和の状況が一部で見られるようになり、燃油費高止まりの状況は継続しているものの、全体としては運賃高騰の状況は解消に向かう傾向が顕著になってまいりました。
NXグループは、このような経済環境のもと、2019年4月にスタートいたしました5年間の経営計画「NXグループ経営計画2023~非連続な成長“Dynamic Growth”~」における4年目となり、足元の経営基盤を強化しながら、2023年最終目標に定めた各種指標の達成と、2037年の創立100周年に向けたありたい姿として掲げる「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という長期ビジョン実現に向け、グループ一丸となって取り組んでまいりました。
[事業の成長戦略]
「コア事業の成長戦略」については、ワンストップ営業、アカウント営業を推進してきた結果、グローバルな営業体制が整いつつあり、営業戦略の中核に「グローバルアカウントマネジメント」を据え、営業体制、組織の更なる強化に取り組んでおります。「お客様の考える価値」を見極め、お客様のニーズにあった商品やサービスを提供することで、顧客(産業)軸アプローチを強化し、併せて事業軸、エリア軸の強化に繋げていくことで、コア事業の成長に繋げてまいりました。GDPなどの高い品質管理が求められる医薬品産業や、各国で国家事業として産業強化が図られる半導体産業、CASEを始めとした環境変化の中でSCM改革を進める自動車メーカーを中心としたモビリティ産業など、今後の拡大や変化が見込まれる産業のサプライチェーン領域に新たな成長を求め、継続的な事業強化を続けてまいりました。また、7月には更なるグローバル事業の拡大を目指し、それまで日本通運株式会社が所管していたグローバル事業の統括機能をホールディングス会社のグローバル事業本部(GBHQ : Global Business Headquarters)に移管、グローバル事業に関する統括機能の統合と強化を行いました。
その結果、世界的なサプライチェーンの混乱や見直しに伴う変化もありましたが、特に国際フォワーディング事業と海外事業は好調に推移いたしました。一方、日本国内においては一部産業の生産停滞やまん延防止等重点措置などの影響もあり、全体としての貨物輸送需要は力強さに欠ける状況で推移し、一部事業で復調の兆しはあるものの取扱数量は、総じて低調に推移いたしました。
「顧客(産業)軸」「事業軸」に関する各種KPIの進捗は以下のとおりです。
※国内実績、KPI数値は、日本通運株式会社分のみ。
※1.実績、増減率は四捨五入し記載
※2.GAMとは、Global Account Managementの略。GTAとは、Global Target Accountsの略。
「日本事業の強靭化戦略」につきましては、NXグループ事業の核となる日本国内物流事業の収益性の更なる改善と経営基盤の強化に向け、間接部門人員の再配置を進めるとともに、主には倉庫オペレーション現場における先端技術の導入や、中核人財の育成、オペレーション改善活動による業務効率化や生産性の向上に努めるとともに、鉄道輸送における専用列車「NXトレイン」の運行やクロスモードセールスの強化も進めてまいりました。また、支店作業会社の再構築による経営基盤強化や、グループ内作業戦力の最大活用による外注費抑制など、徹底したコストコントロールにも努めてまいりました。
「日本事業の強靭化戦略」に関する各種KPIの進捗は以下のとおりです。
[長期ビジョン実現のための取組み]
「取組みを支える機能の強化」における「広報戦略のイノベーション」では、グローバルでの競争優位を築くためのブランディング戦略の第一歩として、2022年1月より導入したグループブランドシンボル「NX」によるグローバルな浸透と認知向上を目指したブランディング戦略を推進いたしました。
「IT戦略のイノベーション」ではグローバルな情報セキュリティ強化やグループ・グローバルなコミュニケーション基盤整備などを推進いたしました。
「持続的成長と企業価値向上のためのESG経営」については、純粋持株会社(ホールディングス)体制への移行初年度として、グループ経営体制強化のため、グローバル・グループガバナンス体制の実現とその実効性強化、リスクマネジメントや危機管理の強化に取組むとともに、NXグループの持続的成長と持続可能な社会への貢献に向け、NXグループとして、様々なサステナビリティ課題に取組む体制構築と、サステナビリティ経営の推進を進めてまいりました。特に「気候変動への取組み」を重要課題(マテリアリティ)の一つとして位置づけ、「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures 、TCFD)への賛同を表明するとともに、その提言内容に基づいた気候変動への対応を推進しています。
また、長期ビジョン実現に向け、人財こそが競争力の源泉と考え、「社員が幸せを感じる企業に変革する」ことを掲げており、その一つとしてグループとしてのダイバーシティ推進方針を策定し、「意識改革」「風土改革」「働き方改革」「行動改革」に向けた取組みを進めるとともに、グローバル成長を見据えた人財戦略として、多国籍人財の採用や、法務や会計など高い専門性が求められる領域での経験者採用なども進めてまいりました。
この結果、売上収益は2兆6,186億円、営業利益は1,555億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,083億円となりました。
報告セグメントの業績概況は以下のとおりであります。
(売上収益の明細)
(セグメント利益の明細)
①日本(ロジスティクス)
燃油単価の高騰等があるものの、航空貨物、海運貨物は販売単価の上昇が継続し、売上収益は1兆4,509億円、セグメント利益は714億円となりました。
②米州(ロジスティクス)
航空貨物、海運貨物は自動車関連や医療関連を中心に取扱が堅調に推移し、売上収益は1,620億円、セグメント利益は137億円となりました。
③欧州(ロジスティクス)
ロシアによるウクライナ侵攻の影響はあるものの、航空貨物、海運貨物は販売単価の上昇が継続し、売上収益は2,157億円、セグメント利益は125億円となりました。
④東アジア(ロジスティクス)
上海地区のロックダウンの影響はあったものの、中国国内の他地域や他国での取扱が堅調に推移し、売上収益は2,415億円、セグメント利益は128億円となりました。
⑤南アジア・オセアニア(ロジスティクス)
航空貨物、海運貨物は自動車関連、電機・電子関連の取扱が堅調に推移したほか、運賃高騰による販売単価の上昇等により、売上収益は2,218億円、セグメント利益は200億円となりました。
⑥警備輸送
設定便、集配金業務は減少したものの、各種コスト削減等の効果により、売上収益は680億円、セグメント利益は31億円となりました。
⑦重量品建設
プラント関連工事は減少したものの、風力発電関連工事や産業機械関連工事の取扱が伸長し、売上収益は445億円、セグメント利益は63億円となりました。
⑧物流サポート
石油部門の取扱増及び販売単価の上昇等があり、売上収益は4,216億円、セグメント利益は164億円となりました。
なお、NXグループの取り扱う輸送手段は多岐にわたるとともに、実運送や利用運送も行っており、セグメント情報に関連付けて、輸送手段ごとの販売実績の的確な表示を行うことは困難であります。
このため、生産、受注及び販売の状況につきましては、上記セグメントの業績に示しており、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は2兆751億円となりました。
その主な内訳は、現金及び現金同等物2,766億円、営業債権及びその他の債権4,977億円など、流動資産が9,078億円、有形固定資産5,354億円、使用権資産3,054億円など、非流動資産は1兆1,673億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、1兆2,960億円となりました。
その主な内訳は、営業債務及びその他の債務2,573億円、リース負債848億円など流動負債が6,959億円、リース負債2,818億円、退職給付に係る負債1,056億円など非流動負債が6,001億円となりました。
当連結会計年度末の資本は7,791億円となり、親会社所有者帰属持分比率は36.5%となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、2,766億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,952億円の収入となりました。これは主に、税引前利益によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億円の収入となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,632億円の支出となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出によるものです。
NXグループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、NXグループの主要な資金需要は、利用運送費、燃油費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びにNXグループの設備の新設、改修等に係る投資であります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金の一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満を切り捨てて記載しております。
要約連結損益計算書
要約連結包括利益計算書
③ 要約連結株主資本等変動計算書
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(連結の範囲の変更)
当社の設立に伴い、日本通運株式会社が完全子会社となったことから、同社及びその連結子会社について新たに連結の範囲に含めております。
また、新規設立によりNXグローバルオーシャンネットワーク株式会社以下3社を新たに連結の範囲に含めております。一方、清算により日通和歌山運輸株式会社以下7社を、合併により日通名古屋運輸株式会社以下3社を、株式の売却により備通物流株式会社を連結の範囲から除外しております。
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(のれんの償却)
日本基準において、のれんはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却しておりましたが、IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが求められております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」が817百万円減少しております。
(退職給付に係る費用)
日本基準において、数理計算上の差異は、発生時にその他の包括利益で認識し、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数で償却しておりましたが、IFRSにおいては、数理計算上の差異等の確定給付制度の再測定をその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金に振り替えることが求められております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価が1,813百万円、販売費及び一般管理費が129百万円減少し、その他の包括利益が22,240百万円増加しております。
(リース)
日本基準において、借手のリースはファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っておりました。IFRSでは借手のリースについての分類を行わず、短期リース及び原資産が少額であるリースを除く全てのリースについて使用権資産及びリース負債を認識することが求められております。
この結果を含め、IFRSでは日本基準に比べて、使用権資産及びリース負債がそれぞれ219,261百万円及び276,994百万円増加しております。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。