文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(以下「NXグループ」という。)が判断したものです。
(1)長期ビジョン
NXグループは、企業理念を拠り所として、創業以来ものを運ぶことを通して、人、企業、地域を結び、社会の発展を支えてきました。この変わらぬ使命を果たすため、社会の変化をとらえ、自らを進化させ続けます。また、安全に徹し、環境に配慮し、世界を舞台に全ての力を結集して、物流から新たな価値を創造することに挑戦していきます。そして、いつの時代にも、社会から求められ、信頼されることを誇りに行動します。
この企業理念に込められた想いを実践していくために、創立100周年の節目となる2037年のありたい姿として「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」に成長することを長期ビジョンに掲げております。長期ビジョンの実現には、ロジスティクスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けるとともに、NXグループ自らが持続的な成長を果たす企業であり続けなければなりません。そのためには、多様な社員が、お客様や社会を支える仕事に誇りを持って活躍し、幸せを感じる企業であり続けられるよう邁進してまいります。
「安全・コンプライアンス・品質」に対するこだわりを基本とした現場力、企業メッセージ「We Find the Way」に表現されるお客様第一の姿勢は、大切にする価値観としてこれからも徹底的にこだわっていきます。加えて、NXグループがグローバル市場での成長を加速していくために、グループ・グローバルで全体最適やありたい姿・長期ビジョンに対するバックキャストで物事を捉えられるよう社員一人ひとりの意識と行動を変容させ、自律的で挑戦的な価値観を醸成させる企業風土への変革を進めてまいります。そのような変革を通して、NXグループが「イノベーションによる新たな価値創造」、つまり、ロジスティクスを通じてお客様や社会へ新たな価値を提供していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
そして、その先にある「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という姿を、グループ全体で共有し、その実現に向け進んでまいります。
長期ビジョンの実現に向けたステップを、上図に示しております。
グローバル市場での存在感を示すにあたり、2019年当時20%程度にとどまっていた海外売上比率を、創立100周年を迎える2037年度には50%に伸長させることをイメージして、2019年4月1日より長期ビジョン達成に向けた第一歩目となる経営計画「NXグループ経営計画2023~ 非連続な成長“Dynamic Growth”~(至2023年12月31日)」をスタートし、売上の拡大とともに収益性の向上についても目標指標を定め、諸施策の取組みを進めてまいりました。
2024年1月1日より、新たな経営計画として「NXグループ経営計画2028」がスタートしています。新経営計画の副題を“Dynamic Growth 2.0 Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~”とし、前経営計画に続くセカンドステージとして、これからも変革に挑戦し続けていくという意思を込めています。目指す姿や方向に変わりはなく、引き続き長期ビジョンの実現に向けたバックキャストの考え方に基づき、経営計画に掲げる諸施策の実施に邁進してまいります。
(2)NXグループ経営計画2023~ 非連続な成長“Dynamic Growth”~
A.経営計画の取組み
NXグループは、長期ビジョンの実現に向けたバックキャスト思考のもと、2019年4月1日より、5年間の経営計画「NXグループ経営計画2023~ 非連続な成長“Dynamic Growth”~」を策定し、グループ価値の向上を目指して取り組んでまいりました。
■重点戦略
「事業の成長戦略」
・「コア事業の成長戦略」として、当社の強みである、お客様の生産・販売サプライチェーンを支える事業をコア事業として位置付け、顧客(産業)軸、事業軸、エリア軸の3つの軸によるアプローチを強力に推進し、日本を含む世界全体で収益性の向上に取り組んでまいりました。
≪主なKPI≫
・重点産業の売上高(電機・電子産業、自動車産業、アパレル産業、医薬品産業、半導体産業)
・海上フォワーディング数量(TEU)、航空フォワーディング数量(トン)
・非日系顧客の売上高
・「日本事業の強靭化戦略」として、経営の核となる日本事業の経営体質をより強靭なものにするため、日本の各事業における収益性の向上に徹底的にこだわり、「低収益事業の抜本的改革」「営業・事務生産性の向上」に取り組んでまいりました。
≪主なKPI≫
・間接部門人員の再配置数(営業等の戦力の創出)
・事務プロセスの改革に伴う超勤時間削減による効果額、及び人材派遣費削減額
・料金改定効果額
「長期ビジョン実現のための取組み」
・「非連続な成長戦略」として、M&A戦略を明確化し、グローバル経営基盤の強化・拡充に向け取り組んでまいりました。
・「取組みを支える機能強化」として、IT戦略、DX戦略、人材戦略、広報戦略、外部企業との共創によるイノベーションを通じて、経営基盤の強化に取り組んでまいりました。
・「持続的成長と企業価値向上のためのESG経営」として、「E:環境」は「物流企業としてCO2排出量削減にこだわる」をテーマに、「S:社会」は「社員が幸せを感じる企業に変革する」をテーマに、「G:ガバナンス」は「持続的な企業価値向上を支える仕組みを構築する」をテーマに各種施策に取り組んでまいりました。
≪主なKPI≫
・自社排出CO2の削減量
・女性社員の勤続率、年次有給休暇取得率、男性育児休業取得率
B.経営計画における経営数値目標及び実績について
①経営数値目標
経営計画の最終年度である2023年度の実績及び最終目標に対する進捗状況は、以下のとおりです。
※「海外売上高」は連結調整前数値となります。
※2021年12月期実績(ROEを除く)は、2021年1月~12月のプロフォーマベースの数値となります。
※2023年12月期実績は、IFRS基準の数値を日本基準に置きなおしたプロフォーマ日本基準数値により評価しております。
※2023年度最終目標数値は、2022年2月14日に公表した修正後の数値となります。
※日本基準に基づく金額を記載しています。
※連結調整前数値、億円未満切り捨てとなります。
※2021年12月期実績は、2021年1月~12月のプロフォーマベースの数値となります。
※2023年12月期実績は、IFRS基準の数値を日本基準に置きなおしたプロフォーマ日本基準数値により評価しております。
※2023年度最終目標数値は、2022年2月14日に公表した修正後の数値となります。
※日本基準に基づく金額を記載しています。
②経営計画各種戦略の実施状況及び経営成績についての評価
経営計画達成に向けた2023年度の重点戦略の取組み、及びKPIの進捗状況、それらについての分析と評価については、「3 経営者による財務状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績」をご覧下さい。
③資本政策
≪目標数値≫
・ROE 10.0%
・配当性向 30%以上
・総還元性向 50%以上(2019年度~2023年度累計)
・自己資本比率 35%程度
≪実績の推移≫
C.対処すべき課題
今後の経済動向につきましては、世界的にインフレがピークアウトし、欧米を中心とした金融引き締め局面は転換点を迎えつつも、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢など地政学リスクの高まりにより、不透明な状況が続くことが予測されます。
物流業界におきましては、地政学リスク及び経済安全保障リスクの高まりを踏まえ、安全調達の観点から既存のサプライチェーンを見直す顧客企業への対応に加え、気候変動への対応や、慢性的な人材不足、デジタル化への対応、先端技術の導入による新たな物流サービスの開発など、業界全体として社会の持続的な成長を支える新たな価値創造産業への転換が求められております。
NXグループは、このような経営環境のもと、今後5年間の経営指針となる「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0 “Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~”」を策定いたしました。前経営計画に続くセカンドステージとして、創立100周年となる2037年にありたい姿として定めた「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という長期ビジョンの実現に向けて、これからも変革に挑戦し続けてまいります。
長期ビジョンの実現に向けて、目指すべき方向に大きな変わりはありませんが、NXグループ経営計画2028では対処すべき最重要課題として「グローバル市場での事業成長の加速」、「日本事業の再構築」、「サステナビリティ経営の推進」の3つを掲げております。
「グローバル市場での事業成長の加速」
長期ビジョンの実現のために、これまで以上にお客様志向のもと、グローバル市場におけるコアロジスティクス事業の成長を加速させてまいります。グループ全体最適によるアカウントマネジメントを推進していくことにより、お客様のグローバル・サプライチェーンにEnd to Endソリューションを提供し、事業領域の拡大を目指します。重点産業や非日系顧客への取組みを加速させるとともに、航空及び海運フォワーディングの販売拡大や倉庫を中心とした幅広いロジスティクスソリューションの提供強化にも注力してまいります。
M&Aや提携、戦略投資によるダイナミックな事業成長の実現にも引き続き取り組んでまいります。特に、過去最大のM&Aとなるcargo-partner社へのPMI早期実行により、中東欧地域でのロジスティクス基盤の補完によるグローバルネットワークの拡大など、グローバル市場における競争力の強化に取り組んでまいります。また、エリア戦略として、中長期的な視点で、更なる経済成長が見込まれるインドでの事業拡大にも挑戦してまいります。
「日本事業の再構築」
マザーマーケットである日本では、明確な事業ポートフォリオと役割分担のもと、各事業の強靭化による収益力の向上に取り組むとともに、低収益事業については、事業の整理や入替も視野に入れ、収益力の高い組織への変革に取り組んでまいります。
東名阪の大都市圏では、グローバル市場での事業成長の起点として、カスタマーイン・マーケットイン視点のもと、経営資源の再配置を進めてまいります。その他の地域では、将来性を踏まえ、収益性と資本効率の向上に取り組んでまいります。これらを踏まえ、日本事業の中核となる日本通運では、マーケットの特性に応じて、各エリアの役割を明確にし、経営の自由度を高めていくことを目的として、社内カンパニー制導入の検討を進めております。
また、専門ロジスティクス事業については、NXグループの事業ポートフォリオにおける存在意義を明確にし、専門性の向上と品質の強化に努めるとともに、物流サポート事業においては、ロジスティクス・トータル・ソリューションの展開によるグループ全体の競争力強化に取り組んでまいります。
「サステナビリティ経営の推進」
サステナビリティ経営を推進していくにあたり、企業価値の向上と社会課題の解決のために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を、「サステナブル・ソリューションの開発・強化」「グローバル・サプライチェーンの強靭化」「気候変動への対応強化」「イノベーションを生む人財力の向上」「人権の尊重と責任ある企業活動の実現」の5つに再特定しております。
サステナビリティは、物事を考えるうえでの、全てのベースとなる観点となります。事業を通じて、社会課題の解決に貢献することは、これまでもNXグループが果たしてきた役割であり、今後もこれまで以上に積極的に取り組んでいくことで、顧客・社会・株主・社員から選ばれる企業グループへ変革してまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(以下「NXグループ」という。)が判断したものです。
(1)サステナビリティ全般
NXグループは、企業理念を体現することにより、サステナブルな社会の実現と持続的な成長、企業価値向上に向けて、これまで進めてきたサステナビリティ経営をより深化させ、実効性の高い施策をグループ一丸となって遂行するために、サステナビリティ方針及びビジョンを策定し、サステナビリティへの取組みを進めています。
NXグループは、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社において設置されたサステナビリティ推進部を中心にサステナビリティ経営に取り組んでいます。
また、NXグループのサステナビリティ推進を担うサステナビリティ推進委員会では、当社の執行役員を中心に気候変動問題を含むサステナビリティ全般の取組みを推進しています。
NXグループにおける重要課題(マテリアリティ)(以下「マテリアリティ」という。)は、4つのステップを経て特定しています。STEP1では主要なサステナビリティフレームワークから候補テーマをリスト化し、STEP2、3では国際標準や規制動向、主要なステークホルダーからのフィードバック、外部有識者や社内関係者へのヒアリングを行い、NXグループが取り組むべき課題を抽出しています。特定したマテリアリティについては、定期的に再評価を行い、NXグループが取り組むべき課題の見直しを行っています。
③リスク管理
NXグループでは、社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、NXグループ全体でのリスク管理体制の整備に努めるとともに、NXグループにおけるリスク管理に係る活動については、リスクマネジメント委員会に定期的に報告されています。
2023年度は、NXグループ各社のリスクの棚卸・評価・重要リスクの特定を実施し、その結果をリスクマネジメント委員会で協議いたしました。2024年度も、NXグループ各社のリスクの棚卸・評価・重要リスクの特定の取組みを継続的に実施するとともに、NXグループ各社のリスク対応策についてのフォロー、フィードバックなどを推進していくこととしています。
④指標と目標
NXグループは、サステナビリティ経営にて、マテリアリティにおける具体的な取組みを進めています。
※2022年度実績。2023年度実績は、2024年6月発刊予定の統合報告書にて開示予定。
(2)気候変動への取組みとTCFDへの対応
①ガバナンス
■経営者及び取締役会の役割
NXグループでは、サステナビリティ経営を推進するため、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社において設置されたサステナビリティ推進部を中心にサステナビリティ経営に取り組んでいます。また、NXグループのサステナビリティ推進を担うサステナビリティ推進委員会は、代表取締役社長(CEО)を委員長とし、当社及び主なグループ会社の執行役員で構成されており、気候変動問題を含むサステナビリティ全般の取組みを推進します。そして取締役会では、四半期に一度、同取組みについて協議しています。
②戦略
NXグループでは、2024年よりスタートする新経営計画において、長期ビジョン実現のための取組みとして「事業を通じた持続可能な社会への貢献の実現」を掲げており、1.5℃目標の実現に向けてCO2排出量の削減施策を実行しています。また、事業のレジリエンスを高めるために気候変動により想定されるさまざまなリスクや機会の把握に努めています。
■気候関連リスク・機会の特定
NXグループは、物流事業を核として、グローバルで物流関連事業を展開しています。気候変動がNXグループの各種事業に与える影響を把握するため、TCFDのカテゴリーに沿ってリスク・機会を特定しています。
■シナリオ分析
特定した気候関連リスク・機会について、気候変動によってもたらされる影響を評価するため、シナリオ分析を行っています。分析対象のシナリオ※1として、NXグループが目指す1.5℃シナリオに加え、脱炭素の取組みが現状から進まない4℃シナリオを用いました。
また、特に気候変動による影響を大きく受ける内容について、詳細に分析を行いました。2023年は、2022年に分析した炭素コストの見直し、及び物理リスク(急性リスク)、機会(製品・サービス)について詳細分析を行いました。今回詳細分析を行った項目以外のリスク・機会に対しても、今後も対応策の検討を深め、定量的な影響の評価をさらに進める予定です。
③リスク管理
NXグループでは、グループ全体のリスク管理・危機管理を推進するため、リスクマネジメント本部コンプライアンス・リスク統括部を中心に、リスクマネジメントに関する取組みを強化しております。
また、気候変動リスクは、長期ビジョン実現に向けた環境分析において重要課題と特定しており、毎年開催されるリスクマネジメント委員会及びサステナビリティ推進委員会において、リスクの把握と対応状況をモニタリングし、長期的な視点でNXグループ事業への影響を確認しています。
④指標と目標
NXグループでは、気候変動をグローバルな社会課題として認識しており、NXグループ全体のCO2排出量削減に関する中長期目標として、2030年目標をCO2自社排出量の50%削減、2050年目標をカーボンニュートラル社会の実現への貢献と設定しました。2030年、2050年目標の達成に向けて、各種施策を進めていきます。また、パリ協定が掲げる1.5℃目標に整合するために、2023年5月には、SBTイニシアチブ(SBTi)に対し、コミットメントレターを提出しました。
(3)人的資本
①戦略
・人財ポリシーの策定
NXグループでは、社員と会社がお互いに対等で、尊重し合える関係であることを前提に、社員は財産=「人財」と位置づけ、社員と会社が持続的に成長する必要があると考えております。そのため、グループの「人財」に関する考え方や方針について、グループ・グローバルにおける様々な人財の課題に対応し、グループの人財戦略について一貫性を保つ共通基盤として、昨年、「NXグループ人財ポリシー」を新たに策定いたしました。
・新中期経営計画
NXグループは、過去から物流に関するそれぞれの事業に携わる社員の力を結集した人財の「総合力」により、お客様にソリューションを提供してまいりました。新中期経営計画においても、「NXグループ人財ポリシー」の実現に向け、多様で優秀な人財一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮し、インクルーシブな職場風土の中、組織的に結集することによる人財の「総合力」を生かし、企業価値の向上に取り組んでいきたいと考えております。「優秀な人財の確保・育成」、「Well-beingの充実」、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進」という人財戦略における取組みを強力に推進することにより、企業価値向上に繋がる従業員の強い帰属意識と目標達成に向けた自発的な貢献意欲を示す成果指標である「NXコアエンゲージメントスコア」の向上を目指します。
②指標及び目標
グループの総合力の発揮に繋がる人的資本KPIとして、成果指標である「NXコアエンゲージメントスコア」に加え、3領域の人財戦略骨子に対応する指標を設定しております。
2023年度の数値を基準値として、今後、経年比較により各施策の効果を測定していきたいと考えています。
(注) 1 対象範囲:NXグループ主要15社(海外会社を含む)
2 対象範囲:国内主要6社
3 特例子会社の12月実績または目標
当社グループ(以下「NXグループ」という。)の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNXグループが判断したものであります。
(1)事業環境に関わるリスク
①市場環境の変化について
NXグループは、B to Bの企業間物流を中心に事業を展開しておりますが、生産分業や多国間取引の拡大など顧客の事業活動のグローバル化はより一層進展しております。そのような中において、米中間の貿易摩擦やテクノロジーを巡る覇権争いは近年激化しており、貿易や製造業の成長の下押しの要因となりうる不確実な状況が続いており、また、アジアや東欧、中近東を中心とした紛争等による地政学リスクも高まっております。これらを背景に世界マクロ経済が後退すると、顧客企業の輸送需要の動向に影響を与えることになり、NXグループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクとなります。特に、米国、中国経済の鈍化は日本を含む多くの国々の製造業にも影響することもあり、NXグループのロジスティクス事業セグメントにおいて大きな影響を及ぼす可能性があります。
引き続き、製造業の顧客に対する生産調達物流に関わる貢献領域の拡大に取組むとともに、各国における消費財関連の販売物流領域の一層の強化、拡大や、新興エリア等への事業進出の加速などを通じて、リスク低減に努めてまいります。
また、NXグループの事業の中心は「ロジスティクス(日本)」であり、今後も事業の核となるのは強みである日本事業と日系企業との取引になると考えております。一方で、少子高齢化を背景とした需要低下の予測や、eコマースを代表としたロジスティクス物流の変化など、日本国内市場における事業環境は変化するとともにB to Bの貨物輸送需要は減少することが想定されます。
日本国内市場の輸送需要の減少は、NXグループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクとなりますが、中長期的な課題として位置付けており、当面は緩やかな減少になると考えております。引き続き、NXグループの事業の中心である日本でしっかりと収益を確保するとともに、医薬品関連産業や半導体関連産業へのロジスティクスや、グリーンロジスティクスなど、今後、日本国内で需要が拡大すると見込まれるロジスティクスのニーズを取り込んでまいります。また、成長領域である海外のロジスティクス物流市場へ更なる投資を進めることで、事業の成長につなげてまいります。
②デジタル化等のテクノロジーの進化について
IT等デジタル技術の急速な発展を背景に、あらゆる業界において新たなビジネスモデルやサービスの創造が進んでおります。特にコロナ禍を契機として、顧客ニーズやビジネスモデルの変化は加速しており、アフターコロナを見据えたビジネスの見直しは、業界を問わず急務となっております。物流業界を取り巻く環境においても、ITにより顧客と輸送業者等を結びつけるデジタルフォワーダーなど異業種からの参入を代表に、様々な変化が起こっております。このような変化は、IT等デジタル技術の活用による事業の省力化や効率化につながると考えられますが、中長期的にはNXグループが長年培ってきた強みを打ち消す、もしくは物流ニーズの低減につながるリスクとなりえると考えられます。
また、国際紛争、大都市ロックダウン、自然災害などの想定外の事態により、国境を越えて構築され、複雑化しているサプライチェーンが寸断されるリスクが生じております。この対策として、サプライチェーンやリスクマネジメントに関連するデータを、AIを用いて分析し、新たなインサイトを導出することで、代替輸送手段の提案などサプライチェーンの強靭化につながるソリューションを検討しております。
2023年までの経営計画期間内においては、これらの事業環境の変化に関する分析や異業種との共働・協創などを通じて、現在、そして今後起こりうる変化への対応や備えに努めるとともに、デジタル化を取り込み、時代の変化に対応するサービスの創出を通じて事業の成長につなげてまいります。
③法規制について
NXグループが展開する物流を中心とした事業は、多岐にわたっており、それぞれの事業分野において法的規制を受けております。NXグループは、コンプライアンス経営を最重要課題として認識し、取組みを行っておりますが、法的規制により営業活動等の一部が制限された場合、売上収益の減少、あるいは、新たな費用の増加等により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④自然災害について
世界各地で昨今発生する自然災害はその頻度を増し、また、規模を拡大しており、NXグループ及び顧客の事業活動にとって大きなリスクとなっております。NXグループは、鉄道、自動車、船舶、航空機等、多岐にわたる輸送手段を有しておりますが、自然災害により輸送障害が発生した際、代替手段による輸送を実施したとしても、顧客企業の生産や販売活動への影響を低減しきれない場合、また、自然災害によるNXグループ施設への被害が発生した場合、NXグループの経営成績及び財政状態への悪影響を回避できない可能性があります。
加えて、NXグループの輸送する商品には、特に「ロジスティクス(日本)」において、農作物の一次産品、飲料水、アパレル等、輸送需要が季節により変動し、天候に大きく影響を受けるものを含んでおります。大規模自然災害はもちろんですが、冷夏、暖冬、少雨等の異常気象が発生した場合、顧客の生産や需要が減少し、売上収益の減少等、NXグループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方で、NXグループの強みである需給調整のための在庫保管業務の需要を取り込むとともに、輸送需要の異なる幅広い顧客基盤の構築に取り組み、リスクの軽減に努めてまいります。
⑤感染症について
NXグループは、日本を含む世界各国で事業を運営しており、各国においてサービスを提供しております。一方で、グローバル経済の浸透により人の往来が活発になる中で、今後も、感染症の急速かつ世界的な拡大や新たな感染症の発現などのリスクが依然として高まっております。NXグループの事業活動が行われる国において感染症が発生した場合、お客様の事業活動の停止や、輸送インフラの停止などが想定され、従業員や協力会社に大量の病欠者が出た場合は、事業継続に影響を及ぼす可能性もあります。
NXグループは、引き続き感染症拡大の防止と安全確保を最優先に、NXグループ危機管理要領の整備などリスクマネジメント体制の構築や顧客に対する代替輸送提案等を通じて、リスク拡大への対処を進めてまいります。
(2)経営戦略の推進・事業拡大に関わるリスク
①M&A及び事業投資について
NXグループは、グローバルロジスティクス企業としての成長に向けた経営資源の最適化を図るため、グループ内における経営管理を徹底し、選択と集中を進めると共に、事業領域の拡大、もしくは必要な機能の取得及び拡充に向けて、M&Aをその選択肢の一つとしております。M&Aの実施にあたっては、対象企業の財務内容や契約内容等について綿密な事前審査を行い、リスクを把握したうえで決定しておりますが、デューデリジェンスでは確認しえなかった買収先のリスクが残る可能性があります。また、例えば新型コロナウイルス感染症拡大などのように、買収後に予想しえなかった事業環境の変化がおこる可能性もあります。これらの要因等により当初想定した事業展開が進まず、事業計画どおりの成果が得られない場合には、対象企業の業績悪化やのれんの減損損失等、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②人財の確保・育成について
高度な物流ソリューションを提供し、急速に変化する経営環境へ柔軟に対応していくためには優秀な人財の確保が重要となります。
そのため、多様な人財が活躍し、社員の成長を支援する仕組みや社員が能力を存分に発揮できる環境の整備が重要であるとの認識に立ち、各種研修制度の拡充、社員の挑戦を促す人事施策を推進しております。同時に、高い専門性や事業経験を有するプロフェッショナル人財の確保についても、グローバルレベルで取組みを進めております。
しかし、優秀な人財の確保が世界各国、各業界において共通の課題となっていることから、必要となる人財を確保することが困難となった場合には、NXグループの企業価値が十分に高められず、事業運営や経営計画の遂行に支障をきたし、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、実運送を主体としている日本国内のグループ会社においては、2024年問題や今後加速する労働力人口の減少に対応すべく、労働環境・諸制度の改革や、省力化、省人化を実現する最先端技術の導入、データの利活用など物流の高度化を推進しております。
ところが、こうした取組みの効果が発揮できず、事業の継続に必要となる人財を確保することが困難となった場合は、事業の継続に支障をきたし、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③財務に関わるリスクについて
NXグループの主要な資金需要は、利用運送費、燃油費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備の新設、改修等に係る投資であり、これらの資金需要に対し、一部を金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
金利の変動リスクに晒されている借入金については、一部、金利スワップ取引等のヘッジ手段を利用してリスクを低減しておりますが、大幅な金利の変動等があった場合、また、格付け機関によるNXグループの信用格付けの引き下げ等の事態が生じた場合、資金調達コストが増加し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、NXグループは、日本国内、海外各国に数多くの物流拠点を有しております。設備投資あるいは長期にわたる賃貸借契約にあたっては、投資効果の算定、キャッシュ・フローの回収見込み等、長期的な観点から十分に検討したうえで実施しておりますが、今後の経済動向、顧客企業の動向等により、当初計画よりも早期に処分、返還等を行い、一時的な損失が発生する、または減損損失が発生する等、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業運営に関わるリスク
①安全品質に関するリスクについて
NXグループにおいて、事業の根幹を支える「安全・コンプライアンス・品質」の徹底は経営の重要課題であり、従業員の価値観となります。しかし、これらの徹底が不十分である場合、またはNXグループもしくは協力会社において重大な貨物事故や交通事故等が発生した場合、NXグループの品質への信頼の失墜、ブランドの棄損とともに訴訟や事業停止などにつながるリスクになります。このようなリスクが顕在化した場合、NXグループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②カントリーリスクについて
NXグループは、世界各地で事業展開しており、各国の政治・経済・社会・法規制の変化や暴動、テロ及び戦争の発生による経済活動の制約、国際輸送への制約などにより、NXグループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③情報システム及び情報セキュリティについて
昨今の情報通信技術の目覚ましい発展により、情報システムの戦略的な活用は事業運営に不可欠であり、システムの可用性や情報の適切な取扱いは、NXグループにおいても経営の重要課題であり、また、企業として果たすべき社会的責任でもあります。NXグループにおいては、ITシステム部門の統合によるIT戦略の立案と実施をグループ一体で推進するとともに、「システムリスク管理規程」「NXグループIT基本方針」「NXグループサイバーセキュリティ基本方針」を整備し、適切な利用環境の構築、及びeラーニング等を利用した従業員への教育や外部からの攻撃や非常事態を想定した定期的な訓練に努めております。
しかしながら、想定を超えた水準の情報システムや通信における障害、近年、規模や頻度が拡大し巧妙化を続けるサイバー攻撃などによる機密情報の破壊・窃盗などは、NXグループの事業活動に深刻な影響を及ぼすだけでなく、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(以下「NXグループ」という。)が判断したものです。
(1)経営成績
当連結会計年度の世界経済は、一部の国や地域で内需の底堅さがみられ、資源価格の高騰にも一服感がみられるなど緩やかな回復基調にあるものの、欧米を中心とした政策金利の高止まりが経済活動の下押し圧力となるなど、本格的な経済回復は道半ばの状況となりました。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル・ハマス紛争、米中間の対立などの地政学リスクや経済安全保障リスクが高まっており、先行き不透明な状況下において、総じて厳しい経営環境となりました。
このような経済情勢のなか、物流業界におきましても、国際物流では、在庫調整の一巡などにより、荷動きが回復している地域や産業が一部ではみられるものの、総じて低調に推移し、コロナ禍以来続いていた航空輸送や海上輸送における需給逼迫状況も大幅に緩和され、サプライチェーンの正常化が進みました。国内物流では、訪日外国人観光客の回復などによる小売やサービス分野での改善や、車載用半導体不足の緩和による自動車生産の回復など、一部では動きがみられるものの、世界経済の減速とも連動する製造業での生産の落ち込みの影響が大きく、全体としての荷動きは力強さに欠ける状況で推移いたしました。引き続き、地政学リスクや経済安全保障リスクに加え、国内では物価高や円安に伴う各種調達コストの上昇、物流業界における2024年問題など、今後の動向に注視が必要な状況にあります。
NXグループは、このような経営環境のもと、2019年4月にスタートいたしました5年間の経営計画「NXグループ経営計画2023~ 非連続な成長“Dynamic Growth”~」の最終年度となる当連結会計年度も、大きな方向性を変えることなく、足元の経営基盤を強化しながら、最終目標に定めた各種指標の達成と、「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という長期ビジョンの実現に向け、グループ一丸となって取り組んでまいりました。
2023年度につきましては、低調な荷動きや、エネルギー、人件費をはじめとしたコスト上昇などの外部環境の影響を受け、最終年度目標に対していずれの目標も未達という結果になりました。一方、コロナ禍前の2019年度と比較すると、厳しい外部環境にあるなか、売上収益、営業利益ともに上回る結果となっており、経営計画での取組みの成果が着実に現れていると捉えております。
[事業の成長戦略]
「コア事業の成長戦略」につきましては、グローバル事業本部(GBHQ:Global Business Headquarters)を中心に、営業戦略の中核に「グローバルアカウントマネジメント」を据え、グローバルな営業体制、組織の更なる強化に努めてまいりました。顧客(産業)軸アプローチでは、電機・電子、自動車、アパレル、医薬品、半導体関連の5つを重点産業として捉え、継続的に顧客へのアプローチに取り組むとともに、新たな顧客基盤を構築するため、グローバル市場においてプレゼンスを持つ非日系顧客の開拓にも取り組んでまいりました。事業軸アプローチでは、航空および海運フォワーディング事業に加えて、コントラクト・ロジスティクスの拡販を強化し、顧客サプライチェーンをカバーするソリューションビジネスの提供が可能な販売体制の構築を図ってまいりました。
「顧客(産業)軸」「事業軸」に関する各種KPIの進捗は以下のとおりです。
※実績、KPI数値は、日本通運、NXキャッシュ・ロジスティクス対象事業分の合計値。
※1.実績、増減率は四捨五入し記載
※2.GAMとは、Global Account Managementの略。GTAとは、Global Target Accountsの略。
「日本事業の強靭化戦略」につきましては、NXグループの核となる日本国内物流事業の収益性の更なる改善と経営基盤の強化に向け、間接部門人員の再配置を進めるとともに、先端技術の導入やロジスティクス人財の育成による倉庫オペレーションの強化、オフィス業務の自動化・簡素化による生産性の向上に取り組んでまいりました。また、CO2削減や2024年問題に伴う輸送力不足など、今後の物流を取り巻く課題解決に有用な輸送モードである鉄道や内航船を活用したモーダルシフトの推進、自然災害時のバックアップ輸送体制の構築に取り組むなど、ネットワーク商品の強化にも努めてまいりました。
「日本事業の強靭化戦略」に関する各種KPIの進捗は以下のとおりです。
[長期ビジョン実現のための取組み]
「非連続な成長戦略」として、M&A戦略を前提に、ホールディングス体制での変革を加速し、グローバルな 成長を実現できる体制や、より強固なグループ経営を行う体制の構築に取り組んでまいりました。過去最大の投資となるcargo-partner社のM&Aを通じて、今後、欧州域内の生産拠点として成長が見込まれる、中東欧地域のロジスティクス基盤を補完し、グローバルネットワークの更なる拡大に努めてまいります。
「取組みを支える機能の強化」につきましては、グローバルでの競争優位を築くためのブランディング戦略として、NXグループブランドの浸透・強化に努めてまいりました。また、世界最高峰の野球大会である「2023 World Baseball Classic TM」のグローバルスポンサーとして、グループの認知度向上を推進いたしました。
「持続的成長と企業価値向上のためのESG経営の確立」につきましては、持続的な成長とステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指すなか、サステナビリティ経営を一層推進するため、2023年1月にサステナビリティ方針・ビジョンを策定いたしました。その取組みの一環として、カーボンニュートラル社会実現への貢献と地球環境の保全を目指し、CO2排出量削減について新たな中長期目標を設定いたしました。今後も気候変動への取組みを進めていくとともに、積極的に取組内容の情報開示を行ってまいります。
また、長期ビジョンの実現に向け、「社員が幸せを感じる企業に変革する」ことを掲げ、日本国内では、「ダイバーシティ」「働き方の改善」「ワークスタイルイノベーション」を柱に、「意識改革」「風土改革」「働き方改革」「行動改革」の4つの改革を推進するとともに、グローバル成長を見据えた人財戦略として、多国籍人財の採用や、法務・会計など高い専門性が求められる領域での経験者採用などを進めてまいりました。
当社グループの当連結会計年度の業績は、国際物流における需給逼迫状況の大幅な緩和による販売単価の正常化や輸送数量の減少影響を受けたこと、国内物流においても低調な荷動きであったことから、売上収益は2兆2,390億円と前年同期に比べ3,796億円、14.5%の減収となり、営業利益は600億円と前年同期に比べ954億円、61.4%の減益、税引前利益は612億円と前年同期に比べ989億円、61.8%の減益となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は370億円と前年同期に比べ712億円、65.8%の減益となりました。
報告セグメントの業績概況は以下のとおりであります。
(売上収益の明細)
(セグメント利益の明細)
①日本(ロジスティクス)
国内物流が継続して低調に推移し、航空貨物、海運貨物の取扱いが減少したことに加え、販売単価の下落の影響があり、売上収益は1兆2,565億円と前年同期に比べ1,944億円、13.4%の減収となり、セグメント利益は485億円と前年同期に比べ228億円、32.0%の減益となりました。
②米州(ロジスティクス)
倉庫配送は好調を維持したが、航空貨物、海運貨物の取扱いが減少したことに加え、販売単価の下落の影響があり、売上収益は1,512億円と前年同期に比べ107億円、6.7%の減収となり、セグメント利益は92億円と前年同期に比べ44億円、32.6%の減益となりました。
③欧州(ロジスティクス)
航空貨物、海運貨物の取扱いが減少したことに加え、販売単価の下落の影響があり、売上収益は1,926億円と前年同期に比べ230億円、10.7%の減収となり、セグメント利益は98億円と前年同期に比べ26億円、21.5%の減益となりました。
④東アジア(ロジスティクス)
航空貨物、海運貨物の取扱いが半導体関連、自動車関連を中心に減少し、販売単価の下落の影響もあり、売上収益は1,576億円と前年同期に比べ838億円、34.7%の減収となり、セグメント利益は37億円と前年同期に比べ90億円、70.6%の減益となりました。
⑤南アジア・オセアニア(ロジスティクス)
航空貨物は半導体関連の取扱いが減少し、海運貨物は販売単価の下落の影響を受け、売上収益は1,408億円と前年同期に比べ810億円、36.5%の減収となり、セグメント利益は83億円と前年同期に比べ117億円、58.5%の減益となりました。
⑥警備輸送
設定便の減少等により、売上収益は678億円と前年同期に比べ1億円、0.3%の減収となったものの、各種コスト削減の効果等により、セグメント利益は33億円と前年同期に比べ2億円、8.9%の増益となりました。
⑦重量品建設
風力発電関連、産業機械関連の取扱いが堅調に推移し、売上収益は511億円と前年同期に比べ65億円、14.7%の増収となり、セグメント利益は65億円と前年同期に比べ1億円、2.0%の増益となりました。
⑧物流サポート
整備製作部門の取扱いの増加等により、売上収益は4,258億円と前年同期に比べ42億円、1.0%の増収となったものの、石油部門、LPガス部門の取扱いの減少及び販売単価の下落により、セグメント利益は138億円と前年同期に比べ25億円、15.8%の減益となりました
なお、NXグループの取り扱う輸送手段は多岐にわたるとともに、実運送や利用運送も行っており、セグメント情報に関連付けて、輸送手段ごとの販売実績の的確な表示を行うことは困難であります。
このため、生産、受注及び販売の状況につきましては、上記セグメントの業績に示しており、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は2兆1,071億円となり、前連結会計年度末に比べ319億円、1.5%増となりました。
流動資産は8,960億円で前連結会計年度末に比べ117億円、1.3%減、非流動資産は1兆2,110億円で前連結会計年度末に比べ436億円、3.7%増となりました。
流動資産減少の主な要因は、営業債権及びその他の債権の減少等によるものです。
非流動資産増加の主な要因は、使用権資産の増加等によるものです。
流動負債は5,910億円で前連結会計年度末に比べ1,048億円、15.1%減、非流動負債は6,982億円で前連結会計年度末に比べ980億円、16.3%増となりました。
流動負債減少の主な要因は、営業債務及びその他の債務の減少等によるものです。
非流動負債増加の主な要因は、社債及び借入金の増加等によるものです。
当連結会計年度末の資本合計は8,178億円で、前連結会計年度末に比べ386億円、5.0%増となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、3,150億円となり、前連結会計年度末に比べ383億円増となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは1,857億円の収入となり、前年同期に比べ1,095億円収入が減少しました。その主な要因は、税引前利益が減少したこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは592億円の支出となり、前年同期に比べ633億円支出が増加しました。その主な要因は、有形固定資産の売却による収入が減少したこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,001億円の支出となり、前年同期に比べ631億円収入が増加しました。その主な要因は、長期借入れによる収入が増加したこと等によるものです。
NXグループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、NXグループの主要な資金需要は、利用運送費、燃油費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びにNXグループの設備の新設、改修等に係る投資であります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金の一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(cargo-partner社の取得)
当社は、2023年5月12日に締結したCargo-Partner Group Holding AG並びにその子会社であるMulti Transport und Logistik Holding AG、Safer Overseas Transport Holding GmbH、Cargo-Partner GND GmbH及びCARGO-PARTNER US HOLDINGS INC.の5社(以下「売主」という。)との株式譲渡契約に基づき、当社の欧州持株子会社NIPPON EXPRESS EUROPE GMBHの完全子会社である特別目的会社を通じて、売主が中東欧を主たる拠点として世界各地でロジスティクスサービスを展開する複数の子会社の全株式を2024年1月4日(オーストリア時間)に取得し、子会社化の手続きを完了しました。
なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 39.後発事象」をご参照ください。
特記すべき事項はありません。