第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、従来、新聞社を中心とした企業顧客に対して、顧客ごとにカスタマイズされた情報システムの構築、運用及び保守を提供する業務を中心に行ってまいりました。しかしながら、近年のITクラウドプラットフォームの急激な進化・拡大により、これを活用して、汎用的に利用できる情報システムを構築し、複数の顧客に提供するITサービスとして展開することが、当社グループの競争力を維持、強化する上で重要と考えております。また、当社の顧客においても、従来の大型システム投資から、クラウド化によるシステムの共通運用を図る動きが現出しており、当社としてもこうした顧客ニーズへの対応を図っていく方針であります。

当社グループは、メディア業界向けシステムの構築で培った、システム間の連携や画像処理などの知識・経験に強みがあり、また中国・武漢のオフショア開発拠点にて優秀なIT技術者を多数擁し、高品質なシステムを低コストで提供することが可能であります。

また、新聞社等のメディア領域の顧客以外に、ヘルスケア領域等の新たな領域の顧客獲得を図ります。さらに、当社グループのIT技術力を活かした顔認証システム活用事業、生成AI(※1)等を活用した新たな領域におけるクラウドサービス事業等の新規事業の展開も積極的に行っていきます。

さらに、中国にオフショア開発拠点を有している点を活用して、中国国内におけるITサービス関連事業も積極的に拡大していく方針であります。

※1 生成AI(ジェネレーティブAI)とは、大規模なデータから学習して、新しいコンテンツやアイデアを生み出す人工知能(AI)です。テキストや画像、音声、動画など、さまざまな形式のコンテンツを作成することができます。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループの経営基本方針により、顧客ごとにカスタマイズされた情報システムの構築サービスから、クラウドを活用した汎用的なITサービス提供事業への転換を図っていきます。その結果として、数年に一度大規模なシステム開発案件を受注していたものが、一定の利用料等を毎月売上計上する形態に変化していくことが予想されます。しかしながら、当該事業は汎用サービスであり、個々のシステムに係る開発費・運用保守費を要しないため、利益率は向上することが見込まれます。したがって、当社グループとしては、売上総利益率を最も重要視する経営指標として考えております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

① 本邦における新規事業と顧客基盤の拡充

当社グループの主たる顧客基盤は、新聞社を中心とした紙媒体のメディア事業者にあります。近年は、一般事業者にも顧客基盤を拡充しておりますが、更なる事業基盤の拡充と収益源の多様化を推進するため、ヘルスケア領域のシステム開発事業等の新規事業への取り組みを進めていく方針であります。ヘルスケア領域においては画像処理技術が重要であり、当社が手掛けてきた印刷関連の画像処理技術と親和性があります。その取り組みの一環として、病院のDX(※2)化の推進や、当社が手掛けてきた印刷処理技術を応用した画像処理技術等を活かし、病院等で扱う各種画像のシステム化の推進等を図っていく方針であります。

上記方針を具体化するため、当社グループは、2018年2月にEPSホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:厳浩)と資本提携を開始し、業務的にも関係を深めていく方針を確認いたしました。同社は医薬品開発支援業務の領域で国内の大手企業であり、かつ本邦における病院等にも広く顧客基盤を有しておりますので、この資本提携を通じてヘルスケア領域の顧客開拓、事業拡大を図ります。また、2022年2月にメディカル・データ・ビジョン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩崎博之)と資本・業務提携を開始しました。同社も医療情報統合システムの開発、製作、販売、保守業務等を営むヘルスケア領域の企業であり、今後同社が進めるシステム開発に当社グループが持つ画像処理技術を活かして、積極的に協力していく方針であります。

また、エンターテイメント業界におけるITサービス、IP斡旋などを事業内容とするSEVEN&EIGHT SYSTEM株式会社を子会社として2023年4月5日付けで新規設立し、さらに英語スピーキング評価AI「CHIVOX(R)」を活用したビジネスデベロップメントを事業内容とするアイード株式会社の全株式を2023年4月28日付けで取得し、子会社化いたしました。その他、当社グループで開発実績のある不動産業務システム、インターネット広告システム等については、機能を汎用化することにより複数の顧客に提供が可能であると思われるため、この領域での新規顧客獲得にも注力してまいります。

さらに、2024年11月より、新たな事業としてAI用高性能サーバー等の輸入販売及び保守サービス事業を開始しております。

※2 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応して、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確保することであります。

 

② 中国国内でのITサービス事業の拡大

当社グループの成長戦略として、中国国内でのITサービス事業の拡大を図っていく方針であります。そのため、中国国内の金融業界向けの情報システム開発事業及び香港のメディア業界向けITサービス提供事業を2024年1月にM&Aにより獲得いたしました。

 

③ 技術革新への対応/人材の確保

当社グループが主事業とする情報システム業界においては、顧客ニーズの変化が早く、それに応じた技術革新も日進月歩で進んでおります。当社グループでは、IT技術が進む中国での技術革新も取り入れつつ、顧客ニーズに応じた技術革新に積極的に対応していく方針であります。こうした方針の具現化に向けては、本邦、並びに中国における優秀な人材の確保が課題でありますが、教育研修制度の充実、技術委員会による技術解決力の向上等人事諸政策の改善等に取り組み、積極的に人員の確保に取り組んでいく方針であります。

今後、日中両国において、さらなる人員の拡充に努めながら、開発拠点の拡充を図っていく方針であります。

 

(4) 経営環境

当社グループは新聞業界を中心とした紙媒体のメディア業界向けに、組版システムなどのITサービスを永年提供している実績があります。一方で、紙媒体メディアの発行部数の減少を背景に、競合であった大手システム開発会社がこの領域に注力しなくなってきている状況にあります。当社は、組版システム事業から撤退する事業者を当社グループに組み込むことや、いわゆる残存者利益を享受し、事業の拡充・成長を成し、新聞業界等の紙媒体メディア事業者からは安定的な売上、利益を上げることができています。しかしながら、こうした紙媒体のメディア業界は中長期的に縮小していく傾向にあります。

一方で、情報通信産業の市場規模は2022年には54.7兆円(名目国内生産額ベース)(※3)であり、前年比較で1.5%の増加となっております。中長期的にも老朽化した既存システムの更新・刷新、企業のDX化推進に対するコンサルティングニーズの高まりやそれに伴うIT投資の増加、データの利活用の拡大に伴うセキュリティの強化、労働力不足を補う省人化投資への増加といった成長可能性を有する産業であります。当社グループはこうした市場ニーズをとらえ、紙媒体メディア業界向けの事業につづく新規事業を確立していくことが急務となっております。

※3 出典:総務省「情報通信白書令和6年版」

 

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としては以下の事項を認識しております。

① 既存顧客の深耕及び主要顧客の拡大

安定した持続的な成長を続けるためには、顧客基盤の拡大が必要だと考えております。現在の主要顧客に対しては、これまでの長年の取引によって蓄積したノウハウと信頼関係をもとに、新たな領域の受注等、更なる深耕を図ります。加えて、ヘルスケア、不動産、インターネット広告等の既存優良顧客に近い業界をターゲットに、ノウハウや実績の横展開を図り、新たな柱となる主要顧客の拡大も目指してまいります。

② 品質・サービスレベルの向上

お客様との信頼関係を構築するためには、常に安定した品質とサービスを提供し、お客様に安心して頂くことが重要になります。品質・サービスレベルの向上に向けて、社員教育、マネジメント向け教育を強化し、中核となるプロジェクトマネージャ(※4)を育成してまいります。加えて、プロジェクト管理の専門部署を通じて、受注前の見積り審査や受注後のプロジェクト進捗確認、および完成後の総括会等を行うことで、品質・サービスレベルの向上を図ってまいります。

※4 プロジェクトマネージャとは、システム開発案件における開発側の責任者のことを指します。

③ 最新技術の習得

当社グループ事業を取り巻く環境は急速に変化しており、先進性を維持することが肝要と考えております。研究開発を確実に遂行すると共に、2020年に発足させた技術委員会をより充実させ、全社の技術レベルのさらなる向上を目指してまいります。

④ プロダクト化・サービス化の推進

昨今は、1つのサービスをより多くのお客様にお届けすることが主流となっております。当社でもオーダーメイド製品からの脱却を図るべく、プロダクト化・サービス化を推進し、展開することが重要と考えております。既存取引先と取り組んでいる「新聞組版システムの共通化」を通じて、お客様のDXを牽引してまいります。また、当社自身のDXにも取り組み、ノウハウやコア技術を活用したプロダクト・サービスの展開に取り組んでまいります。

⑤ 経営管理・内部管理体制の強化

経営に対する公平性及び透明性の担保、また、会社経営を脅かす問題・違反を防止し、法令・企業理念が遵守できる組織にするために、経営管理体制・内部管理体制の強化が重要と認識しております。引き続き公平性と透明性、効率性、並びに、健全性を保つことができる組織を維持するために、コーポレート・ガバナンスの体制強化に取り組んでまいります。

⑥ 働き方改革の推進

働きやすい環境を整え、社員のワーク・ライフ・バランスやモチベーションの向上を図ることは、結果として社員の生産性や帰属性を高め、優秀な人材の確保に繋がると考えているため、働き方改革の推進を重要課題と認識しております。

ワーク・ライフ・バランスの観点からは、今まで推進してきた開発環境のクラウド化を引き続き推進し、物理的制約から社員を解放してまいります。モチベーション向上の観点としては、オンライン学習システムの導入や、中国拠点との人材交流を通じて社員のレベルアップを後押しし、達成感を感じられる職場となるよう取り組んでまいります。

⑦ M&A、事業提携の推進

既存事業の拡充、人材の獲得、関連技術の獲得及び新規事業への進出のため、M&Aや事業提携を推進してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス及びリスク管理

① ガバナンス

当社では、役員・従業員が順守すべき考え方と行動の在り方を示した「サステナビリティ経営 基本理念・基本方針」を策定しております。これに基づき、内部統制システムの整備とその適正な運用について継続して取り組んでおります。「DXを実現するITパートナーとして、変化を前向きに受け止め、変革を自ら起こし、新しい価値を創造し続ける。役員及び社員は、品行方正な企業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献する。」という基本理念のもと、サステナビリティ関連のリスク及び機会を適切に捉え、持続的に企業価値を高めて参ります。
 サステナビリティ関連のリスク及び機会の分析及び対策の体制については以下のとおりであります。

a.検討については、サステナビリティ経営・リスク管理委員会にて討議する。

b.重要事項の決定や重要性の高いリスクや機会については、執行役員会による事前審議を経た上で、取締役会で討議する。

取締役会は、サステナビリティ経営の指針となる当社グループにとって重要な事項を討議します。サステナビリティ経営への取り組みやリスク及び機会の分析及び対策の状況を把握し、執行を監督しています。

執行役員会は、サステナビリティ経営・リスク管理に関する調査及び、情報の収集、分析結果を把握した上で、重要事項においては、事前審議を行い取締役会へ提出します。

サステナビリティ経営・リスク管理委員会については、責任者は管理本部の担当役員、メンバーは部門長(事業部長、本部長、室長)であります。委員会事務局を管理本部に置いています。全社的なサステナビリティ経営・リスク管理体制の整備を行い、主管部として毎月1回、部門ごとに議論しています。また1年かけて、以下の役割を担っています。

ⅰ.本規程および関連する要領の制定・改廃の起案

ⅱ.全社的なサステナビリティ経営・リスク管理体制の整備

ⅲ.サステナビリティ経営・リスク管理に関する調査及び、情報の収集、分析等を行い、執行役員会および取締役会へ提出

ⅳ.サステナビリティ経営・リスク管理に関わる重要事項の調査、企画、立案

ⅴ.サステナビリティ経営・リスク管理に関する内部監査の計画、実施、評価、改善

ⅵ.サステナビリティ経営・リスク管理に関する教育・研修の計画、管理、実施、見直し

ⅶ.サステナビリティ経営・リスク管理に関する事項の指導、助言

ⅷ.サステナビリティ経営・リスク管理に関する問題が顕在化した場合には、対策本部の事務局として社長を補佐

ⅸ.サステナビリティ経営・リスク管理委員会での協議・決議事項については、取締役会へ報告

リスクが顕在化した場合や不測の事態が生じた場合には、社長を本部長とする対策本部を設置して、迅速な行動を行い損害の拡大を防止し、最小限にとどめるよう努めると同時に、再発防止のための適切な処置をとります。

 

② リスク管理

当社では、サステナビリティ経営・リスク管理委員会がリスク管理要領の分類を利用してリスクと機会を識別し、関連部門との議論を行い、毎月結果を執行役員会へ提出しています。
 重要事項の決定や重要性の高いリスクについては、執行役員会による事前審議を経た上で、取締役会で討議をし、評価を決定します。
 各リスクと機会への対策立案と定期的な進捗管理についても、サステナビリティ経営・リスク管理委員会が各部門とのミーティングで進捗を確認し、取り組み実績を管理します。

 

 

(2) 戦略並びに指標及び目標

① 戦略

サステナビリティに関する重要な指標に対し、目標達成のために取り組んでいる施策のうち、現在重点的に取り組んでいるものの一例は以下のとおりであります。

サステナビリティ

重要課題

リスク

機会

目指す姿

具体的な目標

海外展開および国際活動

・文化や規制法制度の違いによって、中国拠点(開発センター)との連携ができなくなるリスク

・多くの競合他社が存在し、競争が激しい

・日本でのDXやクラウドサービスへのニーズ増加により、中国拠点(開発センター)の技術力活用機会がある

・継続的に人材の確保をすることで、多様な文化や視点を持つチームを形成できる

・中国拠点(開発センター)との連携を強化し、複数拠点での利点や多様性を活かし、競合企業との差別化を図ったサービスを展開する

・生成AIなどDX推進サービスを市場に供給することによる貢献

・機能安全を追求したサービスの開発供給による貢献

IT業界での事業展開

・顧客業界の斜陽化

・IT・顧客市場の変化が激しい

・新たな市場への参入

・日中の技術交流によるイノベーション

・顧客企業への最新技術や新規サービス提供による、新たな業界開拓

・受託システム開発によって得たノウハウをサービス化し、市場へ供給

・DX推進のためのサービス供給

セキュリティ

・データ漏洩

・サイバー攻撃

・各国の法規制の変更

・セキュリティ向上

・トレーニングの注目度向上

・持続可能なセキュリティインフラを構築し、最新の技術とベストプラクティスを取り入れることで、常に進化する脅威に対応できる状態

・定期的なセキュリティ教育やトレーニングを通じて、従業員のセキュリティ意識を高め、適切な対策を実行できる

 

 

② 指標及び目標

当社が特定したサステナビリティ重点課題において、それぞれに目標を設定しています。目標および実績は以下のとおりです。

1.海外展開および国際活動

取り組み背景・課題

中国拠点(開発センター)を中国武漢に置いているため、日中での連携が困難となるリスクや開発リソースの不足の問題が生じる可能性があります。しかし、それと同時に、日本及び中国での人材採用を強化し、人材育成にも注力して、多様な人材の確保に努めています。この多様な人材と技術交流を活かし、サステナビリティ経営の実現を追求してまいります。

目標

中国拠点(開発センター)との連携を強化し、複数拠点での利点や多様性を活かし、競合企業との差別化を図ったサービスを展開します。

実績

・中国拠点(開発センター)年間増加人数 65名 (臨時雇用9名)

2023年12月時点 開発人材 172名(3名)

2024年12月時点 開発人材 237名(12名)

 

・中国拠点(開発センター)からの転籍人数 4名増加

2023年1名

2024年5名

 

 

2.IT業界での事業展開

取り組み背景・課題

業界の特徴として技術革新が日々進展し、市場ニーズも変化し続けています。新しい技術や市場ニーズを取り入れ、持続可能なビジネスモデルを構築することが重要だと捉えております。

目標

顧客企業への最新技術や新規サービス提供による、新たな業界開拓。

実績

・生成AIローコード開発プラットフォーム「imprai」

2024年9月リリース

・「無人店舗ソリューション」

2024年導入実績 三洋堂書店への8店舗

 

 

 

3.セキュリティ

取り組み背景・課題

社内・顧客・取引先情報等の機密情報の漏洩やサイバー攻撃、各国の法規制の変更等により、サステナビリティ経営において、情報の取り扱いは社会的信用に影響を及ぼすリスクだと捉えております。

目標

持続可能なセキュリティインフラを構築し、最新の技術とベストプラクティスを取り入れることで、常に進化する脅威に対応できる状態

実績

・ISMS認証の取得

・定期的なセキュリティ教育やトレーニングを通じて、従業員のセキュリティ意識を高め、適切な対策を実行できる

 

 

(3) 人的資本に関する「戦略」並びに「指標及び目標」

・人材育成方針「一人ひとりの能力の最大化と多様性による相乗効果の発揮」

日進月歩で技術が進化している業界において、従業員一人ひとりが日々学び続けることが不可欠です。また顧客ニーズや技術トレンドを読み、提案していく人材が当社の競争力とも比例し、最も重要な経営資源であります。

日々学び続ける従業員にさまざまなバックボーンがあることにより生まれた「和して同ぜず」の文化にも表れているように、多様性を事業に生かし、顧客提供価値を高めてまいります。

・社内環境整備方針「対面コミュニケーションの環境整備と柔軟な働き方」

当社は2023年6月から、改めて対面でのコミュニケーションの充実を図り、在宅勤務規定を改定しました。原則出社としつつ、育児や業務都合などに対応する柔軟な働き方もできます。

2022年からHOUSEI CAFEを隔週で実施しております。HOUSEI CAFEは、休憩室を活用し、他部署の従業員とも気軽に会話できるような場です。2023年からは、各部署が企画運営を担う機会も作り、2024年にはライトニングトーク回を作り、従業員の新たな一面を知ることができる場ともなっています。

 

① 人的資本に関する戦略

リスク・機会を下記のとおり評価したうえで、「日中での採用活動強化」「人材育成強化」「多様な人材の活躍」の3つの人材戦略に取り組んでいます。

人的資本に関する戦略

リスク

機会

日中での採用活動強化

 

・人材不足による事業遂行上の障害発生

・人材不足による事業遂行上の障害発生による、成長機会の逸失と財務的損失

・人材の投入による事業成長

・日中間の採用連携を強化し、人材や技術の交流の活性化、多様な人材によるチーム形成を通じたイノベーション創出

人材育成強化

・個人能力の伸び悩みによる人材不足、事業遂行上の障害発生

・学びの意欲や成長への期待へ応えられないことでの従業員のモチベーション低下、離職の増加

 

・開発拠点を含む中国人材への教育による人材確保

・やりがいや成長機会の提供に対して従業員が成長を自ら実感することによるモチベーション、エンゲージメントの向上

・個人能力の向上による事業成長の加速

多様な人材の活躍

・従業員のモラルやコンプライアンス違反の発生、倫理観の欠如等による信頼の失墜

・ハラスメントの発生、様々な人権侵害のリスク

 

・多様な人材の視点・発想によるイノベーション創出環境の醸成

・優秀な人材の確保

・多様な人材が働きやすい環境の整備によるエンゲージメントの向上

 

 

 

② 人的資本に関する指標及び目標

当社は、人材戦略「日中での採用活動強化」「人材育成強化」「多様な人材の活躍」それぞれに目標を設定し、主要な施策についても目標を明確にするとともに、進捗状況を管理しています。

戦略

指標

実績

目標

2022年

2023年

2024年

日中での採用活動強化

中途採用人数

7名

8名

15

毎年10名以上を継続

新卒採用人数

8名

16名

15

毎年15名以上

中国からの転籍人数

1名

1名

5

毎年1名以上

人材育成強化

資格取得状況

35件

81件

77

毎年取得件数 前年比10%UP

多様な人材の活躍

管理職女性比率

14.3%
(4名/28名)

14.8%
(4名/27名)

10.7
(3名/28名)

2030年に向けて30

男性育児休業取得率

50.0%
(1名/2名)

20.0%
(1名/5名)

100.0
(3名/3名)

2025年度50

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があるリスク要因として考えられる主な事項には、以下のものがあります。必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業及び事業環境に関するリスク

① 特定の取引先・業界の市場動向について

当社グループの連結売上高の41%は新聞社及び通信社から得ております(2024年12月期)。新聞業界はネット専業メディアとの競争により販売部数、広告収入とも減少傾向にあり、新聞社及び新聞社を顧客とする通信社は、中長期的には縮小していく業界であると予想されております。このような状況のもと、同業他社が事実上撤退していく方向にあるため、残ったプレイヤーである当社の新聞業界からの売上は増加傾向にありますが、中長期的には業界の縮小の影響を受けて売上が減少するリスクがあります。当社としては、新聞業界以外の顧客の開拓を通じて新聞業界からの売上比率を減少させ、新聞業界縮小のリスクを回避する方針でありますが、この他業界顧客開拓が想定通り進行しなかった場合、当社グループの売上高が減少するリスクがあります。

② 経済情勢及び市場動向に係るリスク

当社グループの事業は日本国内を主要市場としており、国内景気の低迷、経済情勢の変化等により、企業のIT投資及びDX投資の動向、競合状況等が変化し、大型案件の受注の成否、個別案件の進捗状況・採算性等が影響を受ける可能性があります。当社では新聞業界以外の顧客開拓にあたり、特定の業界に拠らない顧客基盤の開拓に努め、景気動向等による影響を低減させる方針でありますが、景気動向、投資意欲の減退等様々な要因により顧客からの需要が当社グループの想定するとおりに伸張しない場合、あるいは競合等により当社の顧客基盤が弱まる場合には、当社グループの業績・財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

③ 中国での事業展開について

当社グループは中国・武漢にシステム開発子会社を有しており、顧客から受託したシステム開発の重要部分を中国子会社に開発委託しております。中国のシステム開発子会社に開発委託することは、品質、納期、コストの面で当社グループの競争優位性の源泉でありますが、将来の中国政府の政策変更により開発したシステムの輸出に規制がかかった場合や、日本側の顧客の方針により中国へのオフショア開発委託ができなくなった場合等には、当社グループの事業運営に支障が出るリスクがあります。

仮に開発したシステムの輸出や中国へのオフショア開発委託ができなくなったとしても、開発工程のほとんどを中国の開発拠点に依存しているということはなく、日本国内の開発パートナーで代替は可能であります。また、そのような場合には中国子会社の開発リソースが空いてしまう可能性があるため、それに備えて中国国内でのシステム開発案件の獲得を積極的に行っていく方針であります。

連結財務諸表を作成するにあたっては現地通貨を円換算する必要があり、換算時に使用する為替レートによっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、為替相場の変動は中長期的には平準化されるものと考え、為替予約等は行っておりません。

④ プロジェクトに関する採算性

情報システム構築ビジネスは、一般的には請負契約によって受託することが多く、納期までに顧客の要求に沿ったシステムを完成・納品する完成責任を負っております。システムへの要求が一層高度化かつ複雑化すると共に、短納期の完成・納品が求められる中、開発作業の過程において、仕様の変更や何らかのトラブル等が発生し、予め見積もっていた作業時間を超える作業が発生した場合には、その超えた分の費用を当社グループが負担しなければならない場合があり、また、開発したシステムの検収完了後に不具合が発生した場合においても、その解消を当社グループの費用負担で行わなければならない場合があります。したがって、これらの事象が発生した場合には、予め見積もった費用を超える費用を当社グループが負担し、システム開発案件の採算性が悪化することとなります。さらに、顧客からの損害賠償請求、当社グループの信用失墜等の事態を招き、当社グループの業績に一定の影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。

当社グループは、契約上でリスク回避に努めると共に、契約前にプロジェクトのリスク洗い出し、適切な進捗管理を行うことでトラブルや赤字発生の抑止に努めております。

また、請負契約においては、原則として一定の期間にわたり充足される履行義務として、進捗度に基づき売上を計上しておりますが、一部の案件については一時点で充足される履行義務として、顧客の検収に基づき売上を計上しております。当社グループは、プロジェクトごとに進捗管理を行い、計画通りに検収が行われるよう努めております。しかし、プロジェクトの進捗状況により、顧客の検収時期が当初計画と乖離した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 競合について

当社グループでは、新聞業界以外への顧客開拓を進め、また新規事業として、生成AI活用アプリケーションを容易に開発することができる生成AIローコード開発プラットフォーム「imprai」、AI顔認証ソリューションシステム等の製品開発等に注力しております。当社グループでは、中国国内のグループ会社リソースを活用して、コスト面、納期面、品質面等において差別化を図る方針であります。しかしながら、当社グループと同様の情報システム構築サービスを提供する事業者の参入や、当社が企図する業界への大手事業者の参入、競合事業者の価格競争力、サービス開発力、新たな技術やビジネスモデルの参入等により、当社グループのサービス内容や価格・技術に優位性がなくなった場合、当社グループの事業や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。

また、新聞業界の分野においても、引続き顧客ニーズに応え、サービス展開を図っていく所存ですが、今後他社が参入し、当社の技術優位性やコスト優位性がなくなる等の事象が生じた場合には、当社グループの事業や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。

⑥ 技術革新について

当社グループが属する情報システム業界では、技術革新や顧客ニーズの変化の速度が非常に速く、極めて激しい開発技術競争や販売競争が行われております。当社グループが予期しない技術革新や顧客ニーズの急激な変化への対応が遅れた場合や、想定を上回る速度での技術革新や新技術が現出した場合、あるいは当社グループが提供する技術力・サービスが陳腐化した場合には、当社グループの競争力の低下を引き起こし、当社グループの事業や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、常に最新の技術動向や市場動向を分析し、新技術や製品の研究開発に努め、製品サービスの競争力向上に取り組むことで、技術や顧客ニーズの変化に対応しております。

⑦ 新規事業

当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、ヘルスケア領域のシステム開発事業等の新規事業への取り組みを進めていく方針であります。これにより、人材の確保や情報システムへの投資など追加投資が発生し、損益が悪化する可能性があるほか、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。当社グループでは、新規事業の開始や投資に当たっては、事業性の検証、投資回収方針等を吟味したうえで計画・方針を策定しておりますが、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当初の計画通りに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法令諸規則に関するリスク

① 許認可事項について

当社は、本邦での事業活動を行うにあたり、個人情報保護法のほか、労働者派遣法第5条に基づく労働者派遣事業許可を受けて事業展開を行っております。当社グループでは、社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備しているとともに、規制当局の動向及び既存の法規制の改正動向等を踏まえ、適切に対応していく予定でありますが、かかる動向を全て正確に把握することは困難な場合もあり、当社グループがこれに適時適切に対応できない場合や、規制等の新たな制定又は改定が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 知的財産権について

当社グループは知的財産権の取扱いについて、第三者の知的財産権に抵触しないよう、外部専門家との連携を行う等の細心の注意を払っており、知的財産権の侵害を行っていないと認識しております。しかしながら、第三者の知的財産権の状況を完全に調査することは極めて困難であり、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償の請求、当該知的財産権の使用に対する対価の支払いまたはサービスの停止等が発生する可能性があり、その際には当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう、必要に応じて専門家と連携を取りリスクの軽減を図っております。

③ 情報セキュリティ、個人情報保護について

当社グループでは、社内基準に従い個人情報をはじめとする顧客の重要情報を管理し、その情報の外部漏洩防止に関して、情報資産に対するセキュリティ管理、情報管理に関する従業員への教育、外部委託先との機密保持契約等を行い、当社グループからの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。こうした情報管理体制構築に際しては、システム管理や個人情報保護に係る社内規程の整備や、内部監査における運用状況の監査を行うほか、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証取得並びに運用を図り、情報管理体制の強化に努めております。また、コンピュータウイルスの感染による情報の漏洩、人的被害についても、当社グループでは社内にシステム管理業務を行うセクションを設置し、開発環境面におけるコンピュータウイルス感染防止ソフトウエアの導入をすると同時に、最新ウイルス情報の配信、定期的なウイルスチェック等の対策をとっております。しかしながら、こうした対策にもかかわらず、当社グループから万一顧客の重要情報が漏洩したり、不正使用されたり、さらにはそれに伴う損害賠償責任が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 当社製品・サービスの不具合の発生、及び開発案件に係る瑕疵担保責任について

当社グループのシステム開発事業における製品及びサービスの提供につきましては、当社グループが開発したシステムが良好に運用され、機能が維持できることが前提となっております。当社グループの責に帰すべき事由で、当社グループが開発したシステムに不具合(誤作動、バグ、納期遅延等)が生じた場合、原則として損害賠償額の上限を開発委託料とする契約を締結しております。しかしながら、かかる損害賠償責任の発生やユーザーの当社グループに対する信頼喪失により、当社グループの将来の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループはシステム開発において、顧客との間で主に請負契約を締結しております。当該契約には、一般に顧客による受入検査に基づく検収の後にも必要に応じて一定期間無償で不具合(いわゆるバグ)の補修のための役務の提供を実施する旨を約した瑕疵担保条項が含まれております。このような売上計上後の追加費用の最大の発生要因である不具合は完全に解消することは困難であり、当社グループとしては不具合発生の低減のために、開発の進捗管理体制を強化し、品質維持及び向上に注力しておりますが、実際のプロジェクトで発生した不具合等の補修費用が見積額を超える場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 財政状態に関するリスク

① 売上収益の下期偏重について

当社の情報システム開発業務においては、受注時期や顧客への納期のタイミング等により、売上が下期(特に第4四半期)に偏る傾向があります。また、年間を通じて固定的に発生する費用等は上期にも発生するため、利益についても下期(特に第4四半期)に偏重する傾向があります。

当連結会計年度においては、売上の29%を第4四半期連結会計期間に計上しております。また、利益面では第3四半期連結累計期間で赤字だったこともあり、営業利益の153%、経常利益の116%、親会社株主に帰属する当期純利益の116%を第4四半期連結会計期間に計上しております。

② 固定資産(有形固定資産、のれん)の減損について

当社グループでは、璞華国際科技(武漢)有限公司の事業所用建物、クラウドサービス基盤の事業用資産等のほか、2018年1月に中国および日本で譲り受けたシステム開発事業に係るのれん及び2023年4月に日本で子会社化したアイード株式会社の英語スピーキング評価AIを活用したビジネスデベロップメント事業に係るのれん、並びに2024年1月に中国で譲り受けた中国国内の金融業界向け情報システム事業に係るのれん及び方正環球科技有限公司の子会社化に係るのれんを保有しております。固定資産については、適切な評価を行っておりますが、固定資産の損傷、事業活動の悪化等が生じた場合には多額の減損処理を必要とする場合があり、その場合には当社グループの事業活動や業績、並びに財政状態に影響を与える可能性があります。

③ 税務上の繰越欠損金について

2024年12月31日現在において、税務上の繰越欠損金が存在しております。当社グループの事業が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の基準に基づく法人税、住民税、事業税が計上されることとなり、当社グループの業績、キャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(4) 会社組織に関するリスク

① 特定の人物への依存度について

当社の代表取締役社長である管祥紅は、当社設立以来一貫して当社グループの代表を務めており、当社グループの経営方針及び経営戦略全般の決定、経営管理及び利益計画の推進等、会社運営の各方面の業務に大きく関与しております。当社グループでは、特定の人物への依存度を低下させるべく、事業責任者、開発責任者等に30~40代の若手を抜擢し、若手への権限委譲を通じて管祥紅への依存度を低下させるなど組織的な業務体制の整備に努めてはおりますが、近い将来に管祥紅が完全に当社グループの経営から離れた場合又は業務を遂行できないような事態となり、他の人的資源によって代替できない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

② 人材の確保について

システム開発事業で要求される技術はますます多様化・複雑化することが予想され、優秀な技術者を確保することは当社グループの事業の成長にとり極めて重要であります。当社グループの業容拡大には、今後とも高い技術水準を有し経験豊富な技術者を多数確保する必要があります。しかしながら、日中双方において先進的な技術者の獲得を巡る競争は厳しく、かつ当社グループが要求する技術レベルを有する技術者は限られていることから、必要な技術者の確保が困難となる可能性があります。当社グループといたしましては、報酬、福利厚生等の充実、インセンティブプラン導入や、先進技術の導入による技術者の知的満足の充足等に努め、常に優秀な技術者の確保と定着化を図る方針でありますが、今後当社グループの人員計画どおり技術者が確保できない場合や、技術者の大量の離職が生じこれに代わる技術者の代替確保ができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、中国ソフトウエア業界への発注量増加によって中国ソフトウエア技術者の人件費が高騰する傾向も見られ、今後も国内外問わず優良な外注先を安定的また継続的に確保できない場合、あるいは人件費が高騰した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

③ 海外展開について

当社グループは、当連結会計年度末現在、中国武漢市に子会社1社、中国蘇州市に孫会社1社、香港に孫会社1社を配置しております。中国をはじめとした海外における事業展開にあたっては、現地の法令諸規則を遵守して事業展開を行っておりますが、現地の法令諸規則の制定または改正が行われた場合、政治情勢により事業運営に支障を来す事象が生じた場合、自然災害や伝染病が発生した場合、急激な為替変動が生じた場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、海外展開のリスクに関して、迅速な情報収集と適切な対応を検討するリスク管理体制を構築し、リスクの軽減を図っております。

④ 北大方正集団との関係について

北京大学系の企業集団として知られる北大方正集団は、当社の親会社でありましたが、2014年に当社の代表取締役社長である管祥紅がマネージメント・バイ・アウトを行って当社の100%株主となったため、当社と北大方正集団との資本関係は現在では解消されております。現在では、北大方正集団傘下の会社から中国語フォントの仕入取引を行っているほかは事業上、営業上の取引はなく、人的関係もありません。

また、管祥紅は前述のマネージメント・バイ・アウト時に蘇州方正璞華信息技術有限公司(現璞華科技有限公司)を設立し、同社が当社の親会社でありました。しかし現在では直接の資本関係は解消されております。同社とはソフトウエア製品の仕入取引、AI等の開発外注取引等を行っているほかは、特に重要な事業上または営業上の取引はなく、人的関係もありません。

 

 

(5) その他

① 新型コロナウイルス等感染拡大に関するリスク

新型コロナウイルス等感染症の拡大蔓延が長期化することで、顧客企業への訪問制限による商談機会の喪失、市場の環境悪化を背景とした顧客企業の新規投資抑制等により、受注の減少、売上の減少や利益率の低下、回収サイトの長期化等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼし、成長スピードが鈍化する可能性があります。また、当社グループ内での感染拡大が発生した場合は、プロジェクトの遅延等、事業運営の一部に支障をきたす可能性があります。

当社グループでは、在宅勤務等の推奨や、社内でのソーシャルディスタンスの確保といった感染防止に向けた施策を講じることにより、事業継続に支障のない体制を整えております。

② 自然災害等について

当社グループは、主に日本国内、及び中国国内で事業を展開しており、地震・台風等の自然災害の影響や、火災、その他予期せぬ災害や、政変、戦争、テロリズム等による影響を受ける可能性があります。事業展開地域において大規模災害等が発生し、当社グループが人的及び物的被害を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが直接に被災しない場合においても、外部協力事業者への被災や、電力・交通などの社会インフラの喪失・能力低下、並びにそれらによる経済活動の停滞による顧客企業の事業活動低下等により、当社事業や業績に影響を与える可能性があります。

③ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について

当社グループでは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、当社グループの役員及び従業員等に対して新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。また、今後においても当社グループ役員及び従業員の士気向上や優秀な人材の確保を図るため、継続的にストック・オプションの発行を実施していく予定であります。2025年2月28日現在において、これらの新株予約権による潜在株式数は202,200株であり、発行済株式総数7,094,200株の2.9%に相当します。今後、これら新株予約権が行使された場合には、将来的に既存株主が保有する株式価値の希薄化や需給関係に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績

当連結会計年度における当社グループ全体の売上高は、4,918,699千円(前年同期比279,113千円増、同6.0%増)となりました。売上総利益についても1,528,992千円(前年同期比297,904千円増、同24.2%増)となりましたが、積極的なM&Aに伴いのれん償却費が増加したこと、中国元高の進展により中国子会社の費用が日本円建てで増加したこと、新プロダクト・新サービスの営業展開のために人員を増強したことなどにより、販売費及び一般管理費が前年同期比で375,031千円増加し、営業利益は78,655千円(前年同期比77,126千円減、同49.5%減)となりました。中国子会社で補助金収入及び中国元高に伴う為替差益を営業外収益で計上したことなどにより、経常利益は128,244千円(前年同期比76,064千円減、同37.2%減)となりました。子会社の24ABC株式会社を6月末で当社が吸収合併し、それに伴い同社向けに積んでいた貸倒引当金を税務上の損金として計上したことなどにより、当社の法人税等の納税額が減少し、親会社株主に帰属する当期純利益は125,997千円(前年同期比21,034千円減、同14.3%減)となりました。

 

セグメント別内訳は次の通りです。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

a 国内IT事業

国内IT事業は当社、アイード株式会社及びSEVEN&EIGHT SYSTEM株式会社で展開しております。越境EC事業を縮小した影響などにより、売上高は4,218,435千円(前年同期比302,029千円減、同6.7%減)、営業利益は58,222千円(前年同期比80,527千円減、同58.0%減)となりました。なお、越境EC事業を行っていた24ABC株式会社は2024年6月30日付で当社に吸収合併いたしました。

 

b 海外IT事業

海外IT事業は璞華国際科技(武漢)有限公司、璞華供給鎖(蘇州)有限公司及び方正環球科技有限公司で展開しております。M&Aにより売上高は700,264千円(前年同期比581,142千円増、同487.9%増)、営業利益は48,218千円(前年同期比35,530千円増、同280.0%増)となりました。

 

 

② 財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、5,134,910千円と前連結会計年度末から418,262千円増加しました。

流動資産は、主に契約資産が574,022千円、仕掛品が65,317千円それぞれ増加した一方で、受取手形及び売掛金が518,390千円、その他が97,298千円それぞれ減少したことなどにより25,138千円増加して3,108,447千円となりました。

固定資産は、主にのれんが326,089千円、ソフトウエアが33,366千円、敷金及び保証金が23,173千円、有形固定資産が21,703千円それぞれ増加したことなどにより393,123千円増加して2,026,462千円となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末から301,778千円増加して1,831,751千円となりました。

流動負債は、主に支払手形及び買掛金が155,721千円、その他が127,764千円それぞれ増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が76,038千円、短期借入金が35,386千円、未払法人税等が33,947千円それぞれ減少したことなどにより151,606千円増加して1,287,590千円となりました。

固定負債は、主に長期借入金が156,897千円増加したことなどにより150,172千円増加して544,161千円となりました。

 

(純資産)

純資産の部では、利益剰余金が104,714千円、為替換算調整勘定が99,123千円それぞれ増加した一方で、自己株式を85,473千円取得したことによる減少などにより、当連結会計年度末における純資産の部は116,483千円増加して3,303,158千円となりました。

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フロー収入が361,143千円、投資活動によるキャッシュ・フロー支出が88,870千円、財務活動によるキャッシュ・フロー支出が83,852千円となり、現金及び現金同等物に係る換算差額20,643千円を調整して、840,288千円(前連結会計年度末比209,064千円増加)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は361,143千円でありました。収入の主な要因は売上債権の減少額524,577千円、のれん償却額167,265千円、税金等調整前当期純利益133,998千円、仕入債務の増加額138,372千円などであり、支出の主な要因は契約資産の増加額574,022千円、棚卸資産の増加額54,967千円などであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は88,870千円でありました。収入の主な要因は定期預金の払戻による収入210,550千円、敷金及び保証金の回収による収入61,046千円などであり、支出の主な要因は事業譲受による支出202,625千円、敷金及び保証金の差入による支出86,973千円、無形固定資産の取得による支出52,800千円などであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は83,852千円でありました。収入の主な要因は長期借入による収入500,000千円、短期借入による収入200,000千円などであり、支出の主な要因は長期借入金の返済による支出419,140千円、短期借入金の返済による支出250,188千円、自己株式の取得による支出92,111千円などであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

国内IT事業

2,075,218

△16.4

海外IT事業

979,029

51.1

合計

3,054,247

△2.4

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.金額は、製造原価によっております。

 

b 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

国内IT事業

267,680

△2.5

海外IT事業

67,737

5,582.0

合計

335,417

21.6

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

c 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

国内IT事業

4,099,486

△14.7

1,911,940

12.7

海外IT事業

700,264

487.9

合計

4,799,751

△2.6

1,911,940

12.7

 

(注) セグメント間取引については相殺消去しております。

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

国内IT事業

4,218,435

△6.7

海外IT事業

700,264

487.9

合計

4,918,699

6.0

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社読売新聞東京本社

423,275

9.1

768,814

15.6

株式会社朝日新聞社

547,453

11.8

109,322

2.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ② 財政状態」をご覧ください。

 

b 経営成績
(売上高、売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上高は4,918,699千円と前年同期と比べ279,113千円6.0%)の増収となり、売上原価は3,389,707千円と前年同期と比べ18,791千円0.6%)減少いたしました。その結果、売上総利益は1,528,992千円と前年同期と比べ297,904千円24.2%)増加いたしました。

セグメントごとの状況及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 

(国内IT事業)

当セグメントにおきましては、越境EC事業を縮小した影響などにより、外部顧客への売上高は4,218,435千円(前年同期比302,029千円減、同6.7%減)となりました。セグメント間の内部売上高又は振替高を含む売上高は4,257,243千円(前年同期比323,983千円減、同7.1%減)となりました。売上高の減少に伴い、売上原価は3,214,320千円(前年同期比371,133千円減、同10.4%減)となりました。その結果、売上総利益は1,042,923千円(前年同期比47,150千円増、同4.7%増)となりました。

 

(海外IT事業)

当セグメントにおきましては、中国本土において金融業界向けのITサービスを提供する事業を譲り受けたことなどにより、外部顧客への売上高は700,264千円(前年同期比581,142千円増、同487.9%増)となりました。セグメント間の内部売上高又は振替高を含む売上高は1,670,504千円(前年同期比620,823千円増、同59.1%増)となりました。増収に伴い、売上原価は1,086,968千円(前年同期比370,514千円増、同51.7%増)となりました。その結果、売上総利益は583,536千円(前年同期比250,309千円増、同75.1%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費については、人員増により給料手当及び賞与が91,848千円、のれん償却額が64,246千円、その他が227,030千円増加したことなどにより、1,450,336千円(前年同期比375,031千円増、同34.9%増)となりました。

その結果、営業利益は78,655千円(前年同期比77,126千円減、同49.5%減)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益については、主に人民元高による武漢子会社の日本円建て借入金などに係る為替差益25,413千円及び補助金収入30,115千円を計上したことなどにより、60,199千円(前年同期比5,012千円増9.1%増)となりました。

営業外費用については、支払利息が増加したことなどにより、10,609千円(前年同期比3,951千円増、同59.3%増)となりました。

その結果、経常利益については、128,244千円(前年同期比76,064千円減、同37.2%減)となりました。

(特別利益、特別損失、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益については、投資有価証券売却益計上により、6,127千円(前年同期比6,127千円増)となりました。

特別損失は373千円(前年同期比58千円減、同13.5%減)となりました。

法人税等合計については、子会社の24ABC株式会社を6月末で当社が吸収合併し、それに伴い同社向けに積んでいた貸倒引当金を税務上の損金として計上したことなどにより、当社の法人税等の納税額が減少し、8,191千円(前年同期比63,931千円減、同88.6%減)となりました。

その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は125,997千円(前年同期比21,034千円減、同14.3%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フロー」をご覧ください。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、売上原価に係るもののほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらの資金については、基本方針に基づき、主に金融機関からの長期借入金及び社債によって調達することとしておりますが、負債と資本のバランスに配慮して調達額を決定してまいります。なお、一時的な資金の不足については、12億円の当座貸越枠を設定し、必要資金を適時に確保する体制を整えております。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

a 貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

 

b 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

c 受注損失引当金

当社グループは、ソフトウエア請負契約における将来の損失に備えるため、将来の損失が確実に見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについて、将来の損失発生見込額を計上しております。予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。

 

d 固定資産の減損損失

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

④ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の分析

経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおり、売上総利益率を経営指標として重視しております。売上総利益率を重視する理由は、ソフトウエア開発における競争力を表す指標であるためであります。当社単体の売上総利益率は2017年12月期22.2%、2018年12月期25.5%、2019年12月期27.7%、2020年12月期27.9%と順調に改善してまいりましたが、2021年12月期は、売上総利益率の低いハードウエア販売案件等による売上高の比率が高くなったため、24.7%と悪化しました。2022年12月期は一部の開発プロジェクトで赤字が発生したため、23.0%とさらに悪化しておりました。2023年12月期については24.6%と改善傾向にありましたが、2024年12月期は利益率の低い大型案件があった影響と円安元高によるオフショア開発費の上昇などにより、再び23.3%と悪化しております。連結上は2020年12月期31.2%から2021年12月期は26.8%に悪化しました。2022年12月期は27.1%と若干改善したものの、2023年12月期は26.5%と再び悪化しております。2024年12月期は31.1%となり、2020年12月期の水準にまで改善しました。

今後につきましては、顧客に汎用的に提供できるクラウドサービスやプロダクトなど、初期開発費用が発生するものの、それ以降の費用の発生が少なく、売上総利益率の高くなるサービスやプロダクトの売上比率を上げていくことにより、売上総利益率の改善を図ってまいります。なお、初期開発費用は研究開発費として計上しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

(連結子会社による事業譲受)

当社は、2023年12月21日開催の取締役会において、当社連結子会社である璞華国際科技(武漢)有限公司がWEB及びソフトウエア開発及びシステムコンサルティング事業を展開する璞華科技有限公司より、中国国内の金融業界向け情報システム事業を2024年1月1日付で譲り受けることを決議し、同日付で事業譲渡契約を締結しております。

詳細は「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」「注記事項」(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(取得による企業結合)

当社は、2024年1月26日開催の取締役会において、当社の連結子会社である璞華国際科技(武漢)有限公司が、北京璞華互連技術有限公司と契約を締結することにより、同社が100%の持分を保有する璞華供給鎖(蘇州)有限公司(以下「璞華供給鎖」といいます。)の実質的支配権を取得し、連結財務諸表に関する会計基準等における支配力基準に基づいて璞華供給鎖を連結子会社化(孫会社化)することを決議し、2024年1月29日付けで契約を締結しております。

詳細は「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」「注記事項」(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(取得による企業結合)

当社は、2024年1月26日開催の取締役会において、当社の連結子会社である璞華国際科技(武漢)有限公司が、方正環球科技有限公司の100%持分を取得し、子会社化(孫会社化)することについて決議し、同日付で持分譲渡契約を締結しております。

詳細は「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」「注記事項」(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(連結子会社の吸収合併)

当社は、2024年4月5日開催の取締役会において、2024年6月30日を効力発生日として、当社の特定子会社かつ完全子会社である24ABC株式会社を吸収合併することを決議いたしました。

詳細は「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」「注記事項」(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度(2024年12月期)の研究開発活動は、前連結会計年度に続き顔認証、新聞・出版業界向けに汎用的に利用可能な情報システム、及び、新しい試みとして生成AIに関わる開発等を中心に行ってまいりました。

研究開発体制は、当社の研究開発機関である子会社の璞華国際科技(武漢)有限公司の担当部門と密接な連携・協力関係を保ちながら、効果的かつ迅速な活動を推進しております。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は161,386千円であります。

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1) 国内IT事業

① 生成AI(※1)ローコード開発プラットフォーム(※2)

2022年後半より爆発的な進化を続ける生成AIに対する取り組みとなります。ビッグテックが取り組んでいる生成AI自体を開発するのではなく、次々に発表される新しいモデルに対して、これらをいかに活用するかという視点から、ローコスト/スキルレスで業務担当者自身が使えるローコード/ノーコード開発プラットフォームの研究開発を推進しております。

② 顔認証関係

顔認証端末を生かしたソリューション提供のため、周辺機器との連携、情報集中管理のクラウド化を継続して推進しております。これらに加え、ネットワークカメラの映像から人間や車両を発見し、指定領域への侵入検知や安全帽未装着、喫煙などを見つけ出すことが出来る仕組みの開発にも着手しております。

③ メディア関係

新聞社・出版社向けのコンテンツ管理システムについてインテリジェント化・オートメーション化を進め、効率的で高精度なコンテンツ管理ソリューションをめざした研究開発を継続しております。写真・動画・音声のコンテンツ管理について特化したサービスの開発も継続しております。また、創業時から研究開発を進めてきた自動組版エンジン(※3)にも取り組んでおります。

 

以上のような研究開発活動の成果により、国内IT事業における研究開発費の金額は91,384千円であります。

 

※1 生成系AIとは、「Generative AI:ジェネレーティブAI」とも呼ばれ、学習済みのデータを活用して新たなデータを生み出せるAIを指します。生み出すデータは、テキストだけでなく、画像・音声・動画など様々なものに対応出来ます。2022年末からブレークしたChatGPT(OpenAI)、Gemini(Google)等が代表的なサービスとなります。

※2 ローコード/ノーコード開発プラットフォームとは、簡単にいうと「ソースコードを記述しなくともプログラムが作れる環境」のことを指します。

※3 自動組版エンジンとは、載せるべき情報と雛形を準備し、自動的に印刷物の版(レイアウト)を作成する仕組みのことです。商用の自動組版では、商品の写真・売価・商品名・商品説明文のようなデータベースと基本の雛形だけを準備するだけで、スーパーのチラシのような複雑な印刷物まで生成することができます。

 

(2) 海外IT事業

① メディア関係

国内向け同様にコンテンツ管理系ソリューション、および、組版関係の研究開発を実施しております。データ容量や速度の問題からオンプレミスが中心であった組版のクラウド化を推進、さらに低帯域幅ネットワーク環境への適応能力を強化することでシステムの柔軟性と拡張性を向上させております。

② 包装業界関係

包装パッケージの自動化ツールの研究開発を推進しております。従来の数学的な処理に加え、AI技術を統合しグラフィック関係のアルゴリズムや平行線処理の最適化を図っております。

③ 金融関係

株式投資業界向けに、投資管理ソリューションの研究開発を進めております。自動化処理を通じた投資決定と包括的なデータ分析とリスク評価を通じて、投資家が投資リスクを効果的に管理できるよう支援する仕組みの開発を進めております。

 

以上のような研究開発活動の成果により、海外IT事業における研究開発費の金額は70,001千円であります。