第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針等

①経営方針

インターネット産業及びコンテンツ産業はスマートフォンの登場以降、これまで以上に変化のスピードを速めています。特に現在は、AIの本格的な普及等により、変化のスピードはかつてないほどの水準となっております。このような最先端の情報と技術が集まる環境下で、当社は『You are my friend!』の経営理念のもとに、非連続的な変化や、はやりすたりが激しい世界において、当社とユーザー並びに顧客との強い関係性を軸に事業を運営してまいります。

 

②事業アプローチ

当社は、中核事業であるメディア事業に加えて、IP&コマース事業における店舗・地域とIPとのコラボレーション展開を軸に、業績拡大に努めております。当社が得意とするIPを利用した企画・制作・発信力を活用することで、事業的にも大規模もしくは継続性見込めるイベントの実施に取り組んでおります。また、戦略的パートナーとの協業を深めることで、既存事業の強化と新規事業の創出を進めております。当事業年度におきましては、戦略的パートナーとの連携により、メディア事業においてメディア共創企画事業を立ち上げたほか、IP&コマース事業において、夏休みやハロウィン期間を中心に、商店街や地域と連動した大型イベントを開催いたしました。これらの取組を通じて関係性を深めることができたIPとは、イベントの開催に留まらない幅広い取組を実施・計画しております。

このように、新たなコラボレーションの積極展開と戦略的パートナーとの連携の強化を通じて、多くの顧客に魅力的な商品を販売することで、収益拡大を目指してまいります。

 

(2)経営戦略等

当社は、営業利益の早期黒字化のために、メディア事業及びIP&コマース事業において売上高の拡大を図っております。まずメディア事業においては、メディアサイト「AppBank.net」をはじめとする既存事業の強化とメディア共創企画事業のさらなる拡大を軸に、売上高の獲得を進めてまいります。動画チャンネルにおいては、プラットフォームからの広告収益や有料会員収益に留まらず、プロモーション動画案件の獲得を進めてまいります。次にIP&コマース事業においては、IPコラボレーションの積極展開を軸に、売上高の拡大を目指しております。同時に、当社の資本業務提携先との連携を深耕することで、これらの取組の最大化を図ると同時に、取組から発展する形での新たな収益源の確立を目指しております。

これらの施策によって売上高と営業利益の両面での成長実現を達成していく方針です。

 

①メディア事業

メディア事業は主に、「AppBank.net」や自社動画チャンネルの運営及びメディア共創企画事業を中核とし、自社メディアへの広告の掲載並びに他社メディアの媒体枠の販売を行うことで、広告収益を獲得しております。メディア運営における具体的な経営戦略については、以下のとおりです。

 

(a)「AppBank.net」及び動画チャンネルの運営効率化と収益性の向上

「AppBank.net」及び動画チャンネルにおいて、継続的に運営体制の合理化を行い、収益性の向上を図っております。「AppBank.net」では、新運営体制のもと、PV数及び広告収益の拡大を目的として、外部ニュースメディアへの記事配信にも注力しております。動画チャンネルでは、「マックスむらい」チャンネルにおいて人気シリーズ「ドッキリ動画」の配信を行い、また、現在のユーザー層の動向を分析して、YouTubeショート動画やTikTokへの配信も強化する等の取組を行っております。このように、メディアサイト並びに動画チャンネルにおいて新たなジャンルのコンテンツを提供することで、ユーザーニーズの様々な角度からの深掘りを試みております。

 

(b)メディア共創企画事業における売上高拡大

当事業年度において、戦略的パートナーとの協業により、地方放送局等の他社メディアと事業開発を開始し、売上高及び収益面に大きく寄与いたしました。事業開発やそれに付随する営業活動を通じて、アレンジメント等によるフィー収益を獲得し、また、他社メディアにおける媒体枠の販売による広告収益を獲得しており、案件数や領域を広げる等の営業活動を強化しております。

 

このように、日々の運営効率化と同時により魅力的なコンテンツの制作を行い、また、戦略的パートナーとの連携による営業活動の強化や新規事業立ち上げを図ることで、収益拡大を目指してまいります。

 

②IP&コマース事業

IP&コマース事業は、IPとのコラボレーションを軸とした物販事業を行っており、主に和カフェ「YURINAN -ゆうりんあん-」「YURINAN はなれ」「YURINAN 鎌倉」に来店する顧客に対するコラボレーションスイーツ等の提供及び自社Webサービス」やIPコラボレーション拠点「原宿friend」等における限定グッズの販売、また、商店街や地域を連携したコラボレーションイベントの開催等により、商品販売収益を獲得しております。IP&コマース事業における具体的な経営戦略については、以下のとおりです。

 

(a)積極的なコラボレーションの実施

当事業年度において、近年非常に盛り上がりを見せる「推し活」市場での収益拡大を目指し、主に自社店舗や商店街を舞台にしたIPコラボレーション事業の立ち上げに注力してまいりました。2022年4月下旬の第1号案件を皮切りに、アニメ、アイドル、ゲーム、キャラクター等、様々なIPとのコラボレーションを実施いたしました。案件の実施に伴い、グッズ製造、集客、運営等、多くの面で社内にノウハウを蓄積しております。

営業活動は順調であり、また、新型コロナ感染症の5類移行に伴い、人流の回復と訪日観光客の増加が進んでいることから、今後も多くのファンに愛されるIPとのコラボレーションを多数実施することに加え、コラボレーション実施地域の特性を生かした魅力的なイベントや商品の企画や、コラボレーション実施地域の拡大等も目指してまいります。

 

(b)戦略的パートナーとの協業

当事業年度において、戦略的パートナーと連携し、大型コラボレーションイベントの横展開(開催地域の拡大)を行いました。これまでは、自社店舗が出店している原宿地域でのイベント開催が中心でしたが、2024年7月と8月に浅草商店街でのイベント開催を実施しております。今後も、イベント開催地域の拡大並びに事業モデルの横展開に取り組んでまいります。

 

このように、新たなコラボレーションの積極展開と戦略的パートナーとの連携の強化を通じて、多くのユーザーに魅力的な商品を販売することで、収益拡大を目指してまいります。

 

③企業価値向上に関する当社の考え

当社は、企業価値向上のためには売上高の増加並びに営業利益の早期黒字化が最重要であると考えております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、「(2)経営戦略等」に記載のとおり、売上高の増加と営業利益の早期黒字化を最重視しております。適切なコストコントロールの継続を前提に、メディア事業を中心とした売上高拡大による売上総利益の成長を図ると同時に、事業運営の最適化による営業利益率の改善を図り、早期黒字化を目指してまいります。その上で、各事業の状況や事業環境を鑑み、創出された利益の再投資による売上総利益の拡大を行い、企業価値の拡大を図る方針です。

 

当社が経営管理上、重要視している中期財務目標は、2023年12月期の業績をもとに、売上高においては2026年12月期までに年間CAGR+70%の達成と、2026年12月期における営業利益率の必達目標値8.0%、努力目標値15.0%です。

 

(4)経営環境

当社は、メディア事業、IP&コマース事業が対面する事業環境を以下のように認識しております。

 

①市場規模

当社の対面する市場は、主にメディア広告市場とキャラクタービジネス市場と位置づけております。メディア広告市場は、6兆1,594億円(2020年)から7兆3,167億円(2023年)に拡大しております(注1)。

当社の事業領域でもある国内インターネット広告市場の成長が牽引する形で、日本全体の広告市場は拡大を続けております。また、国内キャラクタービジネス市場は、版権市場・商品化権市場を合わせて2.5兆円まで拡大しており、今後の成長も期待されております(注2)。

(注1)出所:総務省「令和6年度版 情報通信白書」、(注2)出所:矢野経済研究所「キャラクタービジネスに関する調査(2023年)」

 

②ユーザー基盤の拡充

当社のユーザー基盤拡大を軸に、収益化機会の最大化と市場創出に取り組む方針です。「AppBank.net」や「マックスむらいチャンネル」等の更なる認知拡大やシステム面の機能向上を通じて、ユーザーに満足度の高いコンテンツを提供していくことを目指しております。

「AppBank.net」においては、従来のユーザーのサイト回遊性を向上させると同時に新たなユーザーの獲得を目指して、カジュアルフードやYouTuberNEWS等の、個人のライフスタイルや趣味に関わるコンテンツの拡充を進めてまいります。

これらメディア事業で獲得したユーザー並びにトラフィックが、IP&コマース事業のユーザー基盤にもつながると考えております。それに加えて、メディア事業で培った広告運用ノウハウを活用したマーケティング施策を実施することで、IP&コマース事業のユーザー基盤の拡充を図ってまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社の対処すべき課題としましては、主にメディア事業における売上の向上並びに中長期的な成長に資する体制整備が重要であると認識しており、特に下記を重要課題として取り組んでおります。

 

① 事業の売上拡大

当社は、早期黒字化達成のために売上高と売上総利益額の増加が必要となっています。そのためには、当事業年度でセグメント黒字化を達成したメディア事業の成長加速と、IP&コマース事業における売上高と収益性の拡大を目指すことが重要な課題であると認識しております。当事業年度において、メディア事業においては、株式会社PLANAとの連携により、メディア共創企画事業の立ち上げがスムーズに進んだことで、セグメント黒字化の達成に寄与いたしました。また、IP&コマース事業の本格立ち上げにあたり、案件実績を積みながらPDCAサイクルを回すことで、より魅力的なサービスを提供するための企画力の強化とIPコラボレーション運営体制の改善を進めました。また、自社店舗「YURINAN -ゆうりんあん-」のリニューアルを行い、インバウンド分野という新たな需要の取り込みも図ることで、店舗売上高の増加を達成しております。IPコラボレーションにおいては、自社での営業を行うと同時に、社外のパートナーとの連携による営業体制の構築にも努めました。今後は、インバウンド及びIPコラボレーション両面での営業と運営体制の強化、並びにコスト構造の見直しによる収益性の向上を進めることで、IP&コマース事業における売上高と売上総利益額を拡大させていく方針であります。

 

 

② 人材の確保及び育成

当社が主に事業を営んでいるインターネットサービスやIP関連及び物販小売市場は、事業開発が目覚ましいスピードで進み、多種多様なサービスが生まれております。このような中、当社の成長の源泉は、成長をけん引する人材であり、優秀な人材の確保は、競合他社に対する優位性を左右する大きな要因となると考えています。このため、人事制度の整備とリモートワークの導入等、働き甲斐のある仕事環境の整備によって、優秀な人材の確保と在籍中の人材の継続的な育成を図ってまいります。

 

③ 「AppBank行動規範」の共有

当社は、2016年7月に継続的な企業価値向上に向け「AppBank行動規範」を制定いたしました。当社が長期にわたり持続的に競争力や影響力を持ち続け、発展していくため、「AppBank行動規範」を基に、経営理念である「You are my friend!」を全体で共有し、更に高い倫理観と社会的良識の定着に向け一層の理解と浸透に努めてまいります。

 

④ 継続的な新規事業の創出

インターネット、IP関連及び物販小売にかかわる事業領域は、製品やサービスの新陳代謝が著しい分野であり、このような環境の中で、継続的な成長を実現するためには、既存事業の成長及び強化を図るだけでなく、様々な新規事業の創出やサービスの立ち上げに取り組み続けることが重要であると認識しております。当社においては、中長期の競争力確保につながる事業開発を継続的かつ積極的に行い、様々な市場でインターネットとコンテンツを軸とした事業開発に取り組むことで、将来にわたる持続的な成長に繋げてまいります。

 

⑤ 内部管理体制、コーポレート・ガバナンス機能の強化

当社は、事業の継続的な発展を実現させるためには、内部管理体制とコーポレート・ガバナンス機能の強化を通じた経営の透明性の向上と経営監視機能の強化が不可欠であると認識しております。

まず、内部管理体制に関しては、当社の業務における不具合や不正行為等を未然に防止する観点から、相互チェック機能を強化し、内部監査室による定期的なモニタリングも実施しております。また、法令違反や各種ハラスメント等に対する牽制機能と未然防止の観点から、内部通報窓口を社内と社外にそれぞれ設置するとともに、より一層の倫理観と社会的良識の浸透を目的に社員教育に努めてまいります。

次に、コーポレート・ガバナンスに関しては、監査等委員会による取締役の業務執行に対する監視機能の充実を図るとともに、内部監査室、監査法人との連携を定期的に実施し、意見・情報交換を基に透明性と公正性を確保しております。

当社は、ステークホルダーとも良好な関係を築き、長期安定的な成長を遂げていくよう、迅速な経営の意思決定ができる効率化された組織体制の構築に向けて更に体制の強化に取り組んでまいります。

 

⑥ コーポレートブランド価値の向上

当社は、事業の継続的な発展のためには、ユーザーからの信頼を基盤に、ユーザーから支持される事業を展開していくことが不可欠と認識しております。当社は、ステークホルダーに対して経営の透明性の向上や健全性の確保を図り、併せて適切な情報開示と、積極的な広報活動等を行うことにより、コーポレートブランド価値の向上を図ってまいります。

 

⑦ 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況の存在を解消

当社は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (4)継続企業の前提に関する重要事象について」に記載のとおり、当該事象を解消するための対応策を実施しているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認めらないものと認識しております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社ではサステナビリティに関して、当社に重大な影響を及ぼし得る要素及びその影響の程度、ならびに当該事項に対する当社の活動状況について、主として取締役会を通じて適宜、必要な監督を行っております。

 

(2) 戦略

現時点では当社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ情報を識別していないため、重要な戦略について記載事項はありません。

(人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略)

当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針については、採用及び人事登用において人材の多様性を尊重し、様々な経験や背景を持つ人々を受け入れる企業文化を構築する考えであります。企業の更なる発展のため、年齢や性別、出身、学歴、性格、価値観など、様々な要素による差別を排除し、多様な個性がその力を最大限発揮できる職場環境を整えてまいります。

 

(3) リスク管理

当社では、現時点においてサステナビリティに関する基本方針を定めていないことから、サステナビリティに関するリスク管理については、現在把握しているその他の事業上のリスクと同様、リスク管理規程に基づき、管理体制を構築しております。

 

(4) 指標及び目標

当社では、現時点においてサステナビリティに関する基本方針を定めていないことから、重要性のあるサステナビリティ関連指標及び目標は定めておりません。

当社は関連法令による公表義務の対象ではないため、「第1企業の概況 5従業員の状況 (3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」の記載を省略しております。

 

3 【事業等のリスク】

 当社の経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには下記のようなものがあります。
 なお、文中における将来に関する事項につきましては、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業環境等のリスク

① 市場環境について

現在、当社はキャラクタービジネス市場及びインターネット関連市場を対面市場としております。当該領域は技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が極めて速く、それらに基づく新機能や新サービスの導入が相次いで行われる変化の激しい市場です。このような環境の中で、当社は、データ解析やユーザートレンドの動向調査等、最新技術や最新のマーケティング手法の導入を率先して行うとともに、優秀な人材の確保に取り組んでおります。

しかしながら、今後何らかの革新的な技術が開発され、当社の対応が遅れた場合や、そのような革新的な技術に対応するために多額のシステム開発費用が追加的に発生する場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 他社との競合について

当社の事業領域においては、現時点で競合他社が多数存在しているほか、参入障壁も高くないことから新規事業者の参入が相次いでおります。新規事業者の参入は、IPコラボレーションや「YouTube」を中心に多くの競合が確認されております。これにより、競合他社との競争が激化し、他社との比較で優位性を保てなくなった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応として、メディア事業の主幹サービスである「AppBank.net」や「マックスむらいチャンネル」において培ってきたコンテンツ制作能力をさらに向上させ、ユーザー基盤を盤石にすることが、新規事業者に対する競争優位になると考えております。

IP&コマース事業においては、当社独自のIPコラボレーション企画力、運営ノウハウ等により、競争力のあるサービスを提供できていると考えております。一方で、類似のサービスを提供する競合他社は存在し、今後の競合他社との動向並びに競争の激化により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応として、営業体制の強化によるコラボレーションIPの安定的な獲得、コラボレーションの企画・運営能力の向上によるサービスのブラッシュアップ、あわせて当社独自の発信力の向上を図ることで、競合他社に対する競争優位を確立してまいります。

 

③ 感染症等の影響について

感染症の流行等を原因とする国内経済の景気悪化やそれに伴う広告市場の停滞、人流の減少、消費の落ち込みが長期化する場合には、当社の業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社としましては、従業員や取引先に感染が広がり事業活動を縮小する事態の発生を避けるため、リモートワークの導入を進める等、感染症等が与える事業運営リスクを可能な限り低減しております。

 

④ 法的規制及び法的リスクやレピュテーションリスクについて

当社の事業に関連する法令として、「個人情報の保護に関する法律」、「電気通信事業法」「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「著作権法」、「商標法」、「意匠法」、「不正競争防止法」、「食品衛生法」等が存在しております。

近年インターネット関連事業を規制する法令及び知的財産権に関する法令が整備されてきておりますが、今後、新たな法令等の規制や既存法令等の解釈変更がなされた場合には、当社の事業が制約を受け、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

a. 著作権の侵害

当社のクリエイターが制作する動画や、著作権を保有する動画について、弁護士等の専門家からの助言を得ながらリスクの最小化を図っておりますが、第三者から意図せずに著作権を侵害される可能性や第三者の権利を侵害してしまう可能性があります。このような場合には、当社の事業が影響を受ける可能性があります。

 

b. 動画内容に不適切な内容が入ることによるレピュテーションリスク

当社では、公序良俗違反や他者の権利侵害につながるような動画は公開しないとの方針の徹底に努めておりますが、当社の想定外で、事後的に社会的に不適切な評価を受け得る動画等を公開してしまう可能性があります。その結果、当社のレピュテーション低下につながることで、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 風評被害について

ソーシャルメディアの普及と情報を半永久的に記録されるというウェブサイトの特性とが相まって、インターネット上の書き込みや、それを要因とするマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散した場合には、当社のブランド訴求力、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業運営に関するリスク

① 新規事業・新規サービスについて

当社は、今後も事業規模の拡大と競合他社との差別化、収益源の多様化を実現するために、積極的に新規事業・新規サービスの立ち上げに取り組んでいく方針であります。これにより体制の整備、人材確保、システム投資・広告宣伝費等に係る追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。

また、新規事業・新規サービスの立ち上げについては、新規市場の創出や新規参入の分野であることから不確定要素が多く存在する可能性があり、新規事業等の展開が予想どおりに進まない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 動画チャンネル運営事業における依存について

当社におけるメディア事業においては、「YouTube」及び「ニコニコ」等の動画プラットフォームサービスに依存して独自のチャンネルを運営しております。動画プラットフォームサービス運営者において、市場動向の急激な変化や法的規制・緩和等の影響による経営方針の変更、ビジネスモデルの変更が発生した場合、当社が想定する収益の見通しに相違が生じる可能性もあることから、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ プラットフォームサービス事業運営者への依存について

当社におけるメディア事業では、Apple Inc.が運営する「App Store」、及びGoogle LLCが運営する「Google Play」といった大手プラットフォームサービス事業運営者のアプリストア上において各社のサービス規約に従いサービスを提供しております。当社は、当該プラットフォームサービス事業運営者に対して、回収代行手数料、システム利用料等の支払を行っておりますが、これらの料率の変更が生じた場合や、また、新たな法令等の規制や既存法令等の解釈が変更された場合、事業戦略の転換並びに今後のプラットフォームサービス事業運営者の動向によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 動画コンテンツ等の出演者への依存及びユーザーの嗜好の変化について

当社におけるメディア事業においては、メディアサイト「AppBank.net」及び動画サービス事業における動画コンテンツは当社内で企画制作しております。現在、動画コンテンツや各演者のパフォーマンスに依拠して事業を運営しておりますが、各演者が病気、事故、不祥事等の理由により当社の動画コンテンツ等に出演できなくなった場合、また、市場環境の変化や嗜好の変化等でユーザー数が減少することによる売上の減少、販売不振等が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ システムトラブルについて

当社は、スマートフォン関連におけるサイト運営事業を行っており、事業の安定的な運用のためにシステム強化及びセキュリティ対策を行うにあたり、2017年1月にISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証を取得いたしました。その後、現状の組織規模や費用対効果を考慮し、2020年11月より、ISMSと同水準の運用を担保できることを確認の上で、自社で定めたISMSに準じる規定に則る形で、サーバーの安定稼働を目的とした分散化・定期的バックアップ・稼働状況の監視等を行い、システムトラブルの事前防止又は回避に努めております。

しかしながら、予期せぬ自然災害や不慮の事故により当社が管理するコンピューターシステムで障害が発生した場合や、想定を超える急激なアクセス増等の一時的な過負荷やシステム障害によってコンピューターシステムが動作不能に陥った場合、サービスが停止する可能性があります。また、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入等の犯罪やスタッフの過誤等によって、当社が提供するコンテンツ等の書き換え等の発生や、重要なデータが消失又は流失した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 知的財産権について

当社は、運営するサイトの名称及び当社に関連するサービス、ブランドについて商標登録を行っており、今後、新たな事業を展開する際にも、関連する名称については商標登録を行っていく方針です。

また、「マックスむらい」の商標権は、創業以来の事業推進者である村井智建が個人名義で取得しており、村井智建より本商標権及び肖像等に係る権利一切の使用許諾等を得て契約が締結され、当社にて管理しておりますが、何らかの理由により「マックスむらい」の商標使用について許諾が得られなくなった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

更に、他社の著作権、肖像権、特許権、実用新案権等を侵害しないよう運営サイト上に掲載する画像やグッズ制作にあたり版権元から提供された画像等については監視・管理を行うなど、当社により第三者への知的財産権を侵害しないよう努めておりますが、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが発生し、提訴された場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 配当政策について

当社は経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指すため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は、内部留保の充実を図る方針であります。

しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への利益配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針でありますが、現時点において、配当実施の可能性及び実施時期等については、未定であります。

 

(3) 組織体制に関するリスク

① 特定人物への依存について

当社の創業者であり、創業以来の事業推進者である村井智建は、当社の事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定等、当社の事業活動全般において、極めて重要な役割を果たしております。

当社では過度に当該個人に依存しないよう、経営体制の強化、経営幹部役職員の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築等により、経営組織の強化に取り組んでおりますが、何らかの理由により当該個人による業務遂行が困難となった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保・育成について

当社が、今後更なる事業拡大を図るためには、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に加え、人材の社外流出を防止することが重要な課題と認識しています。そのため、採用による人材の獲得を積極的に行うとともに、モチベーションを向上させるストックオプション制度によるインセンティブプランの導入や、職場環境の安全性を確保するためにリモートワークを基本とした事業運営体制の移行等により、魅力ある職場とするための施策を行っております。

しかしながら、当社が必要な人材を十分に確保できなかった場合、又は社内の重要な人材が社外に流出した場合、社員の充足及び育成が計画どおりに進まなかった場合には、事業規模に応じた適正な人材配置が困難になることから、事業拡大の制約要因となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 個人情報のセキュリティによる保護・管理について

当社の会員等の個人情報につきましては、当社のISMSに準じた規定に基づき、個人情報に関する社内でのアクセス権限の設定や個人情報保護に関する社内規程の整備、外部データセンターでの厳重な情報管理等、管理面及び物理的側面からもその取扱いには注意を払って管理に努めております。また、外部からの不正アクセスができないように、ファイアウォール等のセキュリティ対策を講じております。更に、社内での個人情報保護に関する教育啓蒙を行っており、個人情報保護の重要性の認識について周知徹底を図っております。しかしながら、これらの個人情報を含むデータの漏洩等があった場合には、当社の信用低下を招きかねず、損害賠償の請求を受けるおそれもあり、その結果、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 継続企業の前提に関する重要事象等について

当社は、当事業年度におきまして、235,096千円の営業損失を計上しており、9期連続の営業損失となることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

しかしながら、これらを解消し、業績回復を実現するため、以下の対応策を進めております。

 

・事業収益の改善

2025年12月期事業年度においては、資本業務提携先であるクオンタムリープ株式会社、株式会社PLANA、SUPER STATE HOLDINGS株式会社からの協力を受け2024年3月に発足した新経営体制の元、引き続き、当社の中核事業であるメディア事業及びIP&コマース事業の成長とコストの見直しにより、売上高及び粗利益の増加を図り、早期の黒字化を目指してまいります。

具体的には、メディアサイト「AppBank.net」においては、合理化された運営体制を維持し、業務効率の改善を進めることで、記事制作体制の強化及び収益性の高い記事ジャンルへの注力を行います。それにより、PV数とPV数あたり広告売上高の向上を図り、売上高の獲得を目指します。

「マックスむらいチャンネル」等の動画チャンネルにおいては、当社が培ってきた動画制作ノウハウ及び最新トレンドの研究を反映した魅力的な動画を作成することで、動画視聴回数並びに広告収益の向上を図ります。また、引き続き、成長分野であるショート動画の制作も行っており、YouTubeに加えてTikTokでの配信にも取り組んでおります。「マックスむらいチャンネル」の動画シリーズ、が好きな従来のファン、また、TikTok等の動画を通じて獲得できた新たなファンに対して、魅力的な動画を提供すると同時に、IP&コマース事業への送客や採用面での連携等、他事業とのシナジー効果の獲得を進めてまいります。

あわせて、外部パートナーと連携して、新たな収益の獲得を目的としたサービスの立ち上げも進める方針であります。既に当事業年度において、メディア共創企画事業を開始し、業績に寄与しております。また、K-POPグループ等の海外アーティスト向けの日本国内における活動支援も開始いたしました。今後、メディア共創企画事業と海外アーティストの活動支援の営業強化を行うことで、当該事業からの収益拡大を図ると同時に、「IP×地方創生×インバウンド」を軸とした新規事業の創出にも取り組んでまいります。

IP&コマース事業では、IPコラボレーション並びにインバウンド需要の取り込みを軸に売上高の拡大を目指しております。現在は、原宿竹下通りと鎌倉小町通りの4店舗、及びECサイトを運営しており、「YURINAN」は和カフェとして、インバウンド観光客の利用が増加しております。IPコラボレーションの拠点として「YURINAN はなれ」「原宿friend」を運営しており、「はなれ」及び「原宿friend」でのコラボレーションスイーツやIPの公式グッズ並びに当社オリジナルグッズの販売も順調に推移しております。また出店先の商店街等、特定地域と協力してIPとのコラボレーションイベントを企画運営することで、店舗単体の収益性を超えた売上高の獲得を実現しております。このように、IPコラボレーションやインバウンド需要の取込により事業の拡大を図ると同時に、地域と連携したコラボレーションイベントを開催することで、より大きな売上高の拡大を目指しております。加えて、多くのIPとの取組を実施する中で獲得したノウハウや企業ネットワークを活用し、パートナー企業との新たな商品開発や販路開拓を実現しております。今後は、原宿における取り組みをモデルケースとして他地域への横展開を進める他、資本業務提携先を始めとするパートナー企業との連携による新たな商品開発及びIPコラボレーションの拡大やECサイトを通じた販売強化に取り組むことで、売上高の向上を図ってまいります。

これまでに公表いたしましたSUPER STATE HOLDINGS株式会社、クオンタムリープ株式会社及び株式会社PLANA、株式会社CANDY・A・GO・GOとの資本業務提携は、これらの施策の実効性を高めるものと考えております。上述の既存事業の選択と集中及び新事業への取組により、新たな事業の方向性が定まり、再成長軌道に入ったと考えております。これらの施策を着実に実行していくことで、売上高の拡大と早期黒字化を目指してまいります。

 

・営業費用の適正化

当事業年度において、前事業年度までに削減した販売費及び一般管理費について、引き続き、現在の事業規模に見合う適正な水準でのコストコントロールを進めてまいりました。あわせて、当事業年度末までに削減した事業部門における費用について、適正な水準でのコストコントロールを行いました。具体的には、2023年12月18日の取締役会にて決定した3bitter株式会社(DXソリューション事業を構成しておりました)の全株式譲渡、及び2024年1月31日の取締役会にて決定したメディアサイト「AppBank.net」の人員削減を含む運営体制縮小と合理化により、大幅な費用の削減を実施しております。その他の事業部門につきましても、継続的に費用の見直しとコントロールを図ってまいります。特に、セグメント赤字が続くIP&コマース事業において、事業拡大のために実施してきた投資の内容やコスト面の見直しを行うことで、収益性の改善を実施してまいります。

 

・運転資金の確保

当社は、2023年4月10日の取締役会にて第12回新株予約権及び新株式の発行決議を行っており、第1四半期会計期間末までに第12回新株予約権の未行使分の全部が行使され、8,550千円の調達を行いました。また、2024年2月16日の取締役会にて総額854,622千円となる第13回新株予約権及び新株式の発行決議を行っており、第13回新株予約権の一部行使及び新株式の発行により、当事業年度末までに226,472千円を調達しております。当事業年度において、累計235,022千円を調達しており、現時点で未行使の第13回新株予約権が全部行使された場合の調達金額は628,150千円となっております。

当事業年度末において、70,832千円の現金及び現金同等物を有し、上記の資金調達とあわせて当面の事業資金を確保できている状況であることから、資金繰りの懸念はありません。

 

以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社は、2024年1月1日付で連結子会社であった3bitter株式会社の全株式を譲渡いたしました。これにより、当事業年度より非連結決算に移行したことから、従来連結で行っておりました開示を個別開示に変更いたしました。なお、当事業年度は単独決算初年度にあたるため、セグメント別の前年同期の数値及びこれに係る増減率等の比較分析は行っておりません。

 

当社は、メディア事業とIP&コマース事業の2種のセグメントを軸に事業を展開しております。

なお、事業内容をより適正に表示するためにセグメント名称の変更をしており、従来の「ストア事業」を「IP&コマース事業」へ名称を変更しております。

当事業年度における当社を取りまく経営環境としまして、足元では雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されております。しかしながら、不安定な世界情勢等により物価上昇が継続するほか、急激に進行した円安の流れも継続する等の要因から、個人消費の停滞を始めとして、当社を取り巻く経営環境は不透明な状況が続いております。

このような環境下において、当社は、2024年3月29日の第12回定時株主総会での承認を得て発足した新経営体制の元、業績及び株主価値の向上に務めております。特に、上場後10年経過後から適用される東証グロース市場の上場維持基準の1つである時価総額40億円以上の早期達成を強く意識しております。当事業年度においては、資本業務提携先であるPLANA社、クオンタムリープ社及びSUPER STATE HOLDINGS社からの協力を受ける形で、「IP×地方創生×インバウンド」を軸に、既存事業の強化や新サービスの立ち上げに注力いたしました。

メディア事業においては、サイト運営、インターネット動画配信、これらと連動する広告枠販売等のビジネス、BtoBコンテンツ提供事業、メディア共創企画事業を行っております。サイト運営では、メディアサイト「AppBank.net」を運営しております。動画配信の分野では、「YouTube」、「ニコニコ」及び「TikTok」を通じて動画コンテンツの提供・公開を行っており、うちYouTubeでは、チャンネル登録者が約141万人の「マックスむらいチャンネル」等を提供・公開しております。また、第2四半期より、新たにメディア共創企画事業を開始しております。

IP&コマース事業においては、実店舗の「YURINAN -ゆうりんあん-」「YURINAN はなれ」「原宿friend」を起点として、他社が保有するコンテンツ・IPとのコラボレーション(以下、「IPコラボレーション」)を行っております。IPコラボレーションでは、「YURINAN」や「YURINAN はなれ」でコラボレーションスイーツ等を提供する他、「原宿friend」にてグッズの販売を行っております。また、地元商店街などの特定地域と連携したコラボレーションイベントの企画運営を行っております。

当社では、前事業年度において成長事業の選択と集中を実施し、特にIP&コマース事業に注力する方針としております。当事業年度においては、メディア事業でメディア共創企画事業の売上高が増加し、IP&コマース事業では様々なIPとのコラボレーションを実施したほか、鎌倉小町通りに「YURINAN 鎌倉」を出店いたしました。一方、当事業年度では、前事業年度と比べてIP&コマース事業における大型IPコラボレーションの売上高が下回っており、また、メディア事業の体制縮小やDXソリューション事業を構成していた3bitter社の株式譲渡による売上高の減少がありましたが、全体として売上高は増加いたしました。営業赤字も継続しておりますが、メディア事業の売上高の増加とコスト削減に伴うセグメント黒字化等の効果もあり、赤字幅は前年同期比で縮小いたしました。今後、既存事業の成長と新規事業の立ち上がりによる売上高拡大とコスト削減効果の持続により、損失は縮小するものと考えております。あわせて、特にセグメント赤字となっているIP&コマース事業における投資の内容について適宜見直しを行うことで、収益性の向上にも早急に取り組んでまいります。

当事業年度における業績は、売上高994,440千円営業損失235,096千円経常損失241,270千円当期純損失239,323千円となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 各セグメントの経営成績数値にはセグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

(メディア事業)

メディア事業においては、主に検索エンジン経由の集客減少による「AppBank.net」のPV数及び広告売上高の減少を前提とした運営体制の最適化に取り組んでまいりました。当事業年度末までに運営体制の最適化は一巡しており、今後は、PV数の増加やPV数あたり広告単価の高い記事ジャンルへの注力、記事広告案件の獲得を通じて、売上高の向上を図ってまいります。一方で、「マックスむらいチャンネル」等の動画メディアにおいては、2023年10月末から人気シリーズ「ドッキリ動画」を中心とした制作体制に変更した結果、再生回数並びにチャンネル登録者数が堅調に推移しております。また、第2四半期より開始したメディア共創企画事業が順調に立ち上がっております。

営業面では、検索エンジンのコアアップデートの影響及びメディア運営体制の縮小に伴ってサイトのPV数が大幅に減少し、「AppBank.net」の広告売上高が前年同期と比べて減少いたしました。一方、メディア共創企画事業の開始により、売上高が大きく増加いたしました。

利益面では、メディア共創企画事業の開始による売上高及び粗利益の増加と、「AppBank.net」運営体制の最適化によって製造原価が減少したことにより、当事業年度においてセグメント黒字化を達成いたしました。

以上の結果、当事業年度におけるセグメント合計では、売上高は785,287千円セグメント利益は38,236千円となりました。

 

(IP&コマース事業)

IP&コマース事業においては、IPとのコラボレーションを多数実施し、実店舗「YURINAN」「YURINAN はなれ」「原宿friend」におけるコラボレーションスイーツ等の提供や、コラボレーショングッズの販売等を行いました。また、2024年9月には、「YURINAN」の新店舗となる「YURINAN 鎌倉」を出店いたしました。

営業面では、IPコラボレーションにおいて、主に株式会社サンリオの人気キャラクターとの年間を通じた連続コラボレーションを実施いたしました。また、原宿竹下通り商店街で大人気の2.5次元アイドルグループ「すとぷり」及び「Knight A - 騎士A -」等とのコラボレーションイベントを実施したほか、「地域×IPコラボレーション」事業モデルの横展開として、有名アニメ作品「ラブライブ!スーパースター!!」と浅草・かっぱ橋本通り公西会商店街、花川戸助六商店街とのコラボレーションイベントを実施いたしました。このように、営業活動が順調に進んだ一方で、前年同期と比べて、大型IPコラボレーションの売上高が減少した影響で、売上高は減少いたしました。

以上の結果、当事業年度におけるセグメント合計では、売上高は209,153千円セグメント損失は103,590千円となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は70,832千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

なお、当事業年度より非連結決算に移行した事から、キャッシュ・フローの状況について、前年同期との比較は行っておりません。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果支出した資金は227,539千円となりました。主な要因は、「買掛金の増加」102,932千円があったものの、「税引前当期純損失」が237,567千円、「売掛金の増加」122,799千円、があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果支出した資金は14,680千円となりました。主な要因は、「有形固定資産の取得による支出」12,161千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果増加した資金は236,830千円となりました。主な要因は、「株式の発行による収入」231,307千円があったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

ⅰ 生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

ⅱ 受注実績

  当社で行う事業は、受注生産形態をとらない事業であることから、当該記載を省略しております。

 

ⅲ 仕入実績

当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

IP&コマース事業

55,850

 

(注)当事業年度より非連結決算に移行したことから、前年同期比は記載しておりません。

 

ⅳ 販売実績

  当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

メディア事業

785,287

IP&コマース事業

209,153

合   計

994,440

 

(注)1.当事業年度より非連結決算に移行したことから、前年同期比は記載しておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度
(自  2023年1月1日
 至  2023年12月31日)

当事業年度
(自  2024年1月1日
 至  2024年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社プラナコーポレーション東京

367,414

36.9

株式会社プラナコーポレーション大阪

362,576

36.5

 

(注)当事業年度より非連結決算に移行したことから、前事業年度は記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 」に記載のとおりであります。

その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社の当事業年度の経営成績は以下のとおりであります。

 売上高は994,440千円となり、前事業年度に比べて522,458千円の増加となりました。主な要因は、メディア共創企画事業が順調に進捗し増加したものであります。売上原価は950,329千円となり、前事業年度に比べて533,784千円の増加となりました。主な要因は、メディア共創企画事業の売上高増加によるものであります。販売費及び一般管理費は279,207千円となり、前事業度に比べて60,228千円の減少となりました。主な要因は、人件費及び版権元へのロイヤリティの見直しによるものであります。特別利益は3,703千円となりました。主な要因は、新株予約権戻入益によるものであります。

 上記の結果、営業損失は235,096千円(前事業年度は283,998千円)となり、経常損失は241,270千円(前事業年度は289,528千円)となりました。当期純損失は239,323千円(前事業年度は501,813千円)となり、前事業年度に比べて262,489千円縮小しました。

 

 当事業年度のセグメントごとの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご覧ください。

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご覧ください。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 当社の資本の財源及び資本の流動性

 当社の資本の財源については、金融機関からの借入や株式の発行等によって資金調達を行っております。また、当事業年度末において、70,832千円の現金及び現金同等物を有しており、当面の資本の流動性を確保しております。

 

⑤ 事業環境と戦略的見通し

当社の事業を取りまくインターネット広告市場及び推し活市場は、各種テクノロジーやデバイス、それらを利用するサービスの利便性が向上し、また、個人のライフスタイルや趣味嗜好の多様化に伴い、今後も拡大を続けるものと思われます。

 このような事業環境に対応するための具体的な課題及び戦略にかかる見通しにつきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、また、事業展開上のリスクにつきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」にそれぞれ記載しております。

 

⑥ 継続企業の前提に関する重要事象等を改善するための対応策等

当社は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (4)継続企業の前提に関する重要事象等について」に記載のとおり、当該事象を解消するための対応策を実施しているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認めらないものと認識しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

  該当事項はありません。