(1) 経営方針
全ての機器・装置・物質や生物・細胞・人体までもがインターネットネットワークに繋がるIoT時代の幕開けにより、人が介在するPCやスマートフォンで繋がる世界とは桁違いのデジタルユニバースの時代が訪れようとしています。当社グループは、その鍵を握る、あらゆるモノへの組込みが可能である極小ソフトウエア(アルゴリズム)、そして、そこから得られる莫大なデータを監視・運用・制御する独自技術を兼ね備えております。
当社グループは、独自に保有する基盤コア技術をベースにあらゆる機器・装置や物質(IoT:Internet of Things)・生物・細胞・人体(IoA:Internet of Abilities)をシームレスに繋ぎ、「ダイレクトに制御・運用・管理(コントロール)」していくことで、来るべきデジタルユニバースの時代の中心の1社に位置することを目指してまいります。
当社グループは、安定的な事業拡大を通じて企業価値、特に「企業価値:時価総額」を継続的に大きく高めていくことを経営目標の一つとしております。そのため事業の収益力を示す売上高、営業利益、営業利益率及び営業キャッシュ・フローを中長期的な経営指標とし、これらの継続的向上に努めてまいります。
昨今、IoT市場では、製造機器のサブスクリプションといえるEaaS(Equipment as a service)が注目を集めており、大量生産、大量出荷型モデルからの転換が起こり始めています。このような世界規模でインターネットに接続するモノが増え続けている現代、当社グループは、さらにその先にある「生物・細胞」がインターネットとつながるIoE(Internet of Everything)、そして人間の能力を拡張させるIoAを見据えた事業基盤の強化を重要な経営戦略として考えております。
当社グループは、強固な事業基盤を形成する4つのコア技術(ソフトウエア技術、ハードウエア技術、自動運転・操縦技術及びデータ制御技術)を軸に、壮大なIoT化とインターネットのデータコントロール需要の全盛時代に向け、高い成長への着実な取り組みを進めてまいります。そのため、研究開発・販売促進費・人的資本投資・グローバル展開のための先行投資を継続することにより、当該事業基盤の強化を図ってまいります。また、「保有する基盤コア技術をベースに、IoTデバイス管理アルゴリズム「NEQTO」を世界中のあらゆるビジネスターゲットに浸透・拡大させるとともに、システムマネジメントサービスや生成AIビジネスのグローバル化、クラウドセキュリティSaaSサービスの展開及び自動運転ソフトウエアライセンスの商用化・ビジネス拡大等を推し進めていく方針です。
当社グループは、IoT市場及び生成AI市場において中長期的な成長による企業価値の最大化を図るため、以下の点に力を入れてまいります。
① グローバルなビジネス展開と中長期的な成長に向けた先行投資
当社データコントロール事業は日本国内のみならず、欧米・アジア等のグローバル市場をターゲットにしております。今後の大幅な事業拡大に向け、従来の大手町オフィス(東京本社)と丸の内オフィスの東京2拠点を1つに統合・集約し、同東京2拠点を合算したオフィス面積の2倍以上となる新オフィス「東京ミッドタウン八重洲 八 重洲セントラルタワー」を新東京本社として移転・統合いたしました。当社のデータコントロール事業は、グローバルIoT市場においても企業価値の最大化を図るべく、中長期的な成長に向けた先行投資も継続してまいります。
② 内部管理体制の強化
当社グループは事業の拡大やビジネス成長の段階にあり、継続的な拡大・成長を維持するためには、業務運営の効率化やシステムへの投資、リスク管理体制やコンプライアンス遵守体制などの内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。今後も引き続き、事業上のリスクを適切に把握・分析したうえで、適正かつ強固な内部管理体制の構築に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当社グループは、サステナビリティをめぐる課題への取り組みを推進することが重要事項の一つと認識しており、中長期的に企業価値を向上させるためにも、各種サービスを通じた社会貢献や社会課題の解決に寄与し、社会の持続的な発展に貢献できるよう取り組んでおります。
当社グループが置かれている経営環境を踏まえ、サステナビリティに関連するリスク及び機会等については、原則として月1回開催される取締役会における経営の重要な意思決定及び業務執行の監督並びに監査等委員会及び内部監査担当部門による監査を通じて検討を行っており、かかる検討を踏まえて、サステナビリティに寄与するコーポレート・ガバナンス体制の整備・強化をしております。
ガバナンスの詳細は、「
(2) 戦略
当社グループは“Be a Path Finder to the Connected World”というコンセプトの下、社会の持続的な発展へ貢献しつつ、中長期的な企業価値の向上と持続的な成長を目指しております。その実現には、特に人的資本が重要であると認識しており、「主体的に行動できる人」、「仲間と協力できる人」、「自分でキャリアを切り開こうとする人」という人物像を重視した採用・育成戦略を展開しております。特に現在は、新卒を中心とした若手人材の採用に注力しておりますことから、採用部門や経営陣を含む幹部メンバーだけではなく、全部門のメンバーによる、全社をあげての採用活動を実施しております。また、人事評価制度においては、旧来の年功序列を抑制し、業務成果だけではなく業務プロセスも重視し、年齢や過去の実績、在籍年数等にとらわれることなく、企業価値の向上・当社事業の成長に貢献しているメンバーを適切に評価することを重視しております。
(3) リスク管理
当社グループは、「リスク管理規程」、「コンプライアンス規程」等に基づき、コーポレート部門が全社的なリスク管理を担っており、サステナビリティ関連のリスクについても、状況把握、評価、管理を適宜行い、リスクの未然防止及び会社損失の最小化に努めております。また、重要なリスクは、経営会議や取締役会、監査等委員会へ報告されるとともに、随時監督を受けており、かつ必要に応じて弁護士、公認会計士、弁理士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家からアドバイスを受けられる体制を構築し、潜在的なリスクの早期発見に努めております。
(4) 指標及び目標
(2)に記載した人的資本を確保するための、当社グループの指標及び目標は次のとおりであります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因に該当するとまでは思われない事項につきましても、投資家の投資判断において重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅していることを保証するものではございません。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社データコントロール事業は、インターネットサービスやインターネットとつながる全てのモノが快適かつ安定稼動するため、全てのモノを繋ぎ、制御・運用・管理(コントロール)していくために、自動検知&自動制御(A&A)をコアコンセプトとしたサービスを主力としております。当社グループのターゲットとするIoT市場及び生成AI市場は、今後もさらなる拡大が予測されております。しかしながら、今後、市場拡大ペースの急速な鈍化等予期せぬ要因により、顧客企業におけるシステム保守運用の外部委託の縮小や内製化若しくはニーズの変化等、発展途上段階にある市場の成長が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:低 / 発生時期:中長期 / 影響度:大)
[リスクへの対応策]
当社グループは、今後も市場の成長傾向は継続すると見込んでおりますが、引き続き国内外の市場動向や経済情勢をモニタリングするとともに、上記のような要素の変化を捉え、市場・経済情勢に応じた適時適切な経営判断に基づく柔軟な対応により、当該リスクの低減に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、グローバル展開を推進しており、海外取引が増加する傾向にあります。そのため、海外拠点における法令の制定・改廃や政治・経済の情勢変化は、海外拠点における営業活動に影響し、売上や損益等の当社業績に影響を与えます。また、想定を超えた急激な為替レートの変動が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中 / 発生時期:短中期 / 影響度:中)
[リスクへの対応策]
当社グループは、外貨預金口座を通じた決済をはじめ、外貨建ての債権債務を利用したナチュラルヘッジ、継続的な国内外の経済情勢や外国為替相場のモニタリング、投資及び融資の分散化など、為替変動リスクを最小限に抑えるとともに、事業基盤の強化と安定化により、当該リスクの低減に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、インターネット関連業界の市場拡大・変革に遅れることなく、確実で安定した収益をあげることが重要課題であると考えております。現時点では競合の脅威はないものの、今後新規参入等により競争が激化した場合には、価格競争による売上の減少等、当社グループの想定する収益見通しに重大な相違が生じる可能性があるほか、今後当社グループが予想しない支出・投資等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:低 / 発生時期:中長期 / 影響度:中)
[リスクへの対応策]
当社グループは、現時点では競合の脅威はないものの、多方面・多岐にわたるビジネスの展開や多彩な課金システムによって競争力を高め、引き続き解約率の低いサブスクリプションモデルを推進することにより、当該リスクの低減及び市場内における更なる地位の向上に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループの事業は、停電、ネットワークの故障・障害等の影響を受けやすく、当社のネットワークインフラについては、地震の影響を受けにくい札幌を中心に整備しておりますが、インターネット接続環境の安定した稼働並びにIoT関連資材の安定供給が当社グループ事業の大前提であると認識しております。そのため、予期せぬ自然災害や事故、紛争、伝染病や感染症の流行等、ソフトウエアの不具合、ネットワーク経由の不正アクセスやコンピュータウィルスの感染、停電・電力不足、半導体資材や電子部品の調達不足・遅延など、様々な問題が発生した場合には、サービスの安定的な提供が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中 / 発生時期:不明 / 影響度:大)
[リスクへの対応策]
当社グループは、上記のような自然災害、事故、システムやネットワークのトラブル等に備え、常時データバックアップやセキュリティ強化、調達先の多様化、対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の整備・運用、海外拠点を含む多拠点からの安定性の高い充実したサービスの提供ができる体制を構築するなど、当該リスクの低減に努めております。また、重大な伝染病・感染症の流行に備え、複数拠点への人員の分散や疾病対策の周知・徹底・運用などにより、当該リスクの低減に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが行うマネジメントサービスにおいては、その業務の性格上、顧客側で保有している機密情報に触れる可能性があります。当該可能性は限りなく低いものの、外部からの不正な手段によるコンピュータへの侵入や人的オペレーションのミス等予期せぬ要因により、情報漏洩が発生した場合には、当社が損害賠償責任等を負う可能性があり、その場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:低 / 発生時期:不明 / 影響度:中)
[リスクへの対応策]
当社グループは、情報セキュリティの基本方針を定め、継続的な研修等を行い、役員及び従業員の機密情報保護に対する意識を高めるとともに、詳細な規程の整備と的確な運用を義務づけております。また、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「ISO/IEC 27001」の認証を取得・維持し、情報管理体制を構築するとともに、外部・内部からの不正侵入に対するセキュリティ対策、適切な保険の付保により当該リスクの低減に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが事業を展開するインターネット関連業界においては、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新機能の導入等が行なわれております。しかしながら、これらの機能拡張・開発等が想定どおりに進まない場合や、予想以上の急速な技術革新や代替技術・競合商品の出現、依存する技術標準・基盤の変化、情報保護に関する新たな法規制等により、当社グループサービスの競争力や付加価値が低下した場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中 / 発生時期:常時 / 影響度:中)
[リスクへの対応策]
当社データコントロール事業は、既存の商用ツールでは応えられない自動制御(オートディレクション)機能や顧客への運用可視化など、顧客のニーズに対応した柔軟かつ有効な機能拡張を実施している他、今後も競争力のあるサービスを提供できるよう生成AIをはじめとした先進技術の研究開発に取り組むことにより、当該リスクの低減に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが事業を展開するインターネット関連業界においては、先進技術の発展が目覚ましく、特に生成AI(機械学習・人工知能)は、その性能の進展に伴い、様々な場面で利活用が行われています。当社データコントロール事業及びマネジメントサービスにおける生成AIの実装範囲もデータ予測・分類といった用途から、対話や生成といった人的オペレーションの代行まで拡大を続けている一方、その利活用にあたっては、安全性・正確性・機密性の確保や、著作権保護及び倫理的観点からの配慮等が求められており、適切な対応ができない場合には、社会的信用及び企業イメージの低下や金銭的負担が発生する可能性があります。また、先進技術の積極的な利活用は、当社グループの事業成長に向けた大きな機会である一方、対応が遅れた場合には、当社の事業機会や市場での競争力、ブランドイメージが喪失又は低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中 / 発生時期:短中期 / 影響度:中)
[リスクへの対応策]
当該リスクに対応するため、AIの適正活用を推進するための組織として、情報システム管理室を整備しています。情報システム管理室では、全ての社員が生成AIを安全かつ有効に使いこなせるようになることを目的とした規程・マニュアルを定め、これに基づく生成AIの効果的な利活用を推進・モニタリングしております。また、最新の生成AIの普及状況や技術の進展を注視し、生成AIを当社事業において最大限に利活用し、市場における競争優位を維持するようAIガバナンスの取り組みを拡大・継続しています。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループの取締役は、それぞれ、経営戦略、製品戦略及び開発戦略等当社事業に関して専門的な知識・技術を有し、重要な役割を果たしています。しかしながら、これらの者が何らかの理由により当社グループにおける業務遂行の継続が困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:低 / 発生時期:不明 / 影響度:中)
[リスクへの対応策]
当社グループでは、取締役会等において執行役員及び幹部社員への情報共有や権限委譲を進めるなど、経営体制の整備や組織体制の強化を図ることにより、当該リスク低減に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、事業の拡大やビジネス成長の段階にあり、継続的な拡大・成長を維持するためには、業務運営の効率化やシステムへの投資、リスク管理体制やコンプライアンス遵守体制などの内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの企業価値及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:低 / 発生時期:不明 / 影響度:小)
[リスクへの対応策]
当社グループでは、コンプライアンスに関する社内規程を、法令やガイドラインの制定・改廃に適合するように策定・改定するとともに、継続的な研修等を実施し、役員及び従業員のコンプライアンスに対する意識を高めることにより、当該リスクの低減に努めております。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
インターネットの利用態様に関する法的規制については既に多くの制度が存在しますが、技術の発展に対応するインターネットの新たな法規制に関して様々な議論がなされております。当社グループが営むインターネット関連事業そのものを規制する法令はありませんが、今後、インターネットの利用者や関連するサービス及び事業者を規制対象とする法令等が制定・改定されたり、何らかの自主的なルールが制定・改定された場合等、当社グループの事業が制約され、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、グローバルな取引においては、各国の輸出入規制が事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中 / 発生時期:中長期 / 影響度:中)
[リスクへの対応策]
当社グループでは、関係法令の制定、改廃に関する情報収集やモニタリングを確実に行い、また、輸出入規制については、該非判定検証を実施する等の事前対策を講じるとともに、法令等に定められた資格者の配置や研修等を利用して社員に関係法令の周知を徹底することにより、当該リスクの低減に努めています。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループでは、データコントロール事業において、事業領域の拡大を行ってまいりましたが、今後のさらなる業容拡大・多様化に対応するため、「人材を重要な財産である」と捉え、多様性(ダイバーシティ)に富む人材の確保や育成、女性の活躍推進が必要と考えております。しかしながら、事業規模の拡大に応じた当社内における人材育成、外部からの採用等が計画どおりに進まず、人材の適正配置が困難となることで競争力低下等が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中 / 発生時期:中長期 / 影響度:中)
[リスクへの対応策]
当社グループでは、事業基盤を拡大・成長させていくための高度なマネジメント能力やシステム技術分野のスキルを有する人材確保のため、より強力に採用等活動に努めるとともに、教育体制の整備・充実及び個々の社員が十分に能力を発揮できる適切な人材配置やオフィス等の労務環境の整備を進めて人材の定着を図るよう努めていく方針であります。また、年功序列の考えにとらわれず、成果主義に基づく客観的な評価制度により、優秀な人材の定着率向上を図ってまいります。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、今後も引き続き、積極的に新サービス及び新規事業に取り組んでまいりますが、これによりシステムへの投資や人件費等追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規事業の活動には不確定要素が多く、新規事業の拡大・成長が当初の予測どおりに進まない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中 / 発生時期:中長期 / 影響度:小)
[リスクへの対応策]
当社グループは、当該リスクに対応するため、新サービス・新規事業について、企画段階・開発段階にてモニタリング等を実施している他、取締役会及び経営会議にて、経営・執行一体となり、既存事業との関連性、事業予測・投資の回収可能性・収益性等を総合的かつ慎重に検討し、M&A等も含めた新規事業等の実施判断を行い、当該リスクの低減に努めております。
(6) 知的財産権に関するリスクについて
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが提供する各種サービスが他社の知的財産権等を侵害していた場合、第三者から差止訴訟や損害賠償請求訴訟を提起され、その解決にともなう訴訟費用がかかるだけでなく、当社の主張が認められないときには、対象サービスの提供停止や商標の使用禁止、賠償金や当該サービスの提供継続のためのロイヤルティー等の支払が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
他方、第三者によって当社グループの知的財産権が侵害されることによって、当社サービスの売上の減少、当社グループのブランドイメージの低下等の影響が考えられます。(発生可能性:低 / 発生時期:不明 / 影響度:中)
[リスクへの対応策]
当社グループは、新サービスの開発や既存サービスの改良などに際して、第三者の知的財産権の調査、対策を実施しています。また、当社グループは、知的財産を適切に保護し、権利化を継続的に実施するとともに、第三者による当社グループの知的財産権の侵害を発見した場合には、適切かつ厳正な対応を実施しています。
(7) 持分法適用関連会社(SBI JIG-SAWモダナイゼーションズ株式会社)について
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、SBIセキュリティ・ソリュ―ションズ株式会社との合弁会社であるSBI JIG-SAWモダナイゼーションズ株式会社(本項目において、以下「同社」という。)を2024年1月に設立しております。同社では、金融業界におけるデータコントロール(監視・運用・制御)サービス並びに中長期的には金融業界を中心として多種他業種向けにAI、IoTサービスをグローバルで展開する予定です。同社への出資比率は、当社が49%(SBIセキュリティ・ソリューションズ株式会社51%)であり、当社にとって同社は持分法適用関連会社であります。今後、外部環境の急激な悪化や同社の業績の悪化など、予期せぬ事象の発生及び出資比率の変更等があった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中 / 発生時期:中長期 / 影響度:中)
[リスクへの対応策]
当社グループは、同社の管理体制について関係会社管理規程を整備するとともに、当社より役職員を派遣することで実際の運用に携わり、月次、四半期等での業績、外部環境の変化及び財政状況をモニタリングするなど、適切な管理及び支援を行ってまいります。
財政状態については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、デジタルテクノロジーの活用を進めるために、データ通信トラフィックの増加とそれに伴う消費電力の増加に対応すべく、電力消費を抑えつつ、リアルタイムかつ大容量のデータ送受信を可能とするBeyond 5Gの実現が求められています。また、AIを活用した多様なデジタルサービスが社会に浸透し、生成AI、ロボティクス、自動運転、メタバース等は様々な社会的・経済的課題解決に貢献することが期待されています(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)。
このような環境のなかで、当社グループは、独自に保有する基盤コア技術をベースに、システムマネージ、クラウドマネージ、IoT及びIIoT分野に加え、あらゆる物質や細胞にまでリーチするIoE(Everything)、そしてテクノロジーと人間の実質的な統合により、人間の五感を拡張させるIoA(Abilities)分野における研究開発・ビジネスデザイン及び各種取り組みを、国内だけではなく、グローバルにおいても着実に進めております。
当社のクラウド・IoT分野全体を包括するデータコントロール事業の売上は、安定した完全ストック型ビジネス(サブスクリプションモデル及びリカーリングモデル)の継続課金売上と一時的なスポット売上で構成されております。当連結会計年度においても、引き続き月額課金案件の受注獲得を推し進め、前年同期と比較して月額課金売上は185,964千円純増しました。これにより、上場以来40四半期連続で過去最高の月額課金売上のプラス成長となり、ウクライナや中東地域をめぐる国際情勢緊迫化に加え、世界的なインフレや中国経済の先行き不安、金融引き締め、大幅な為替変動などの影響を受けることなく、極めて堅調に推移しております。なお、中長期的な企業価値の向上と持続的な成長を実現するための人的資本経営の強化に注力し、先行投資は過去最高を超える金額となりました。
世界のIoT市場は、2025年の1兆3,500億ドルから2030年には2兆7,200億ドルへ拡大すると予測(出典:Mordor Intelligence 「IOT MARKET SIZE & SHARE ANALYSIS - GROWTH TRENDS & FORECASTS (2025 - 2030)」)されており、当社データコントロールサービスのグローバルにおける需要も高まる中、複数のグローバルキー企業と戦略的パートナーシップを締結し、IoT市場での事業拡大を推し進めております。さらに、金融業界を中心としたデータコントロールサービスをグローバルに展開する目的で、SBIセキュリティ・ソリューションズ株式会社と合弁会社(SBI JIG-SAWモダナイゼーションズ株式会社)を設立し、初年度より黒字を確保するに至りました。また、ロードローラーにおける業界標準機の自動運転・自動操縦ソフトウエアの共同開発については、CSPI-EXPO(第6回建設・測量生産性向上展)におきまして、「自動運転ローラ(ARMs)」の受注開始を正式に発表しております。加えて、今後の大幅な事業拡大に向け、従来の大手町オフィス(東京本社)と丸の内オフィスの東京2拠点を1つに統合・集約し、同東京2拠点を合算したオフィス面積の2倍以上となる新オフィス「東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー」を新東京本社として移転・統合いたしました。これにより、当連結会計年度において本社移転費用が発生しております。一方、各種クラウドを包括管理する「JIG-SAW PRIME」では、取引総額が1,121,569千円(前年同期比39.0%増)拡大しました。今後の高い事業成長を実現すべく、将来に向けた先行投資額は過去最高を更新し、前年同期と比較して約222,000千円増加となりました。なお、当連結会計年度において、二重家賃や原状回復費用などの一時的な本社移転費用が104,501千円発生しております。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高3,472,875千円(前年同期比7.2%増)、営業利益556,625千円(前年同期比11.0%減)、経常利益615,868千円(前年同期比4.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益478,732千円(前年同期比4.2%増)となりました。
なお、当社グループはデータコントロール事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,987,268千円(前連結会計年度末比512,295千円増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、618,820千円(前連結会計年度は473,656千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益615,868千円の計上により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により支出した資金は、540,548千円(前連結会計年度は118,992千円の支出)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出285,251千円、有形固定資産の取得による支出197,410千円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、410,206千円(前連結会計年度は259,936千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入500,000千円により資金が増加した一方、長期借入金の返済による支出94,998千円により資金が減少したことによるものであります。
当社グループは、データコントロール事業の単一セグメントであり、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
生産実績と同様の理由により、記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループはデータコントロール事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注)主な相手先別の販売実績は、いずれも総販売実績に対する当該割合が10%未満のため記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者の判断に会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の分析)
資産
当連結会計年度末における流動資産は、3,392,649千円(前連結会計年度末比780,124千円増)となりました。これは主に、現金及び預金が増加(前連結会計年度末比512,421千円増)、売掛金が増加(前連結会計年度末比235,748千円増)したことによるものであります。
また、固定資産は、1,462,767千円(前連結会計年度末比582,454千円増)となりました。これは主に、敷金及び保証金が増加(前連結会計年度末比278,218千円増)、有形固定資産が増加(前連結会計年度末比154,901千円増)したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における総資産は、4,855,417千円となり、前連結会計年度末に比べ1,362,579千円増加いたしました。
負債
当連結会計年度末における流動負債は、1,332,681千円(前連結会計年度末比431,372千円増)となりました。これは主に、買掛金が増加(前連結会計年度末比195,203千円増)、未払金が増加(前連結会計年度末比172,733千円増)したことによるものであります。
また、固定負債は、369,178千円(前連結会計年度末比367,635千円増)となりました。これは主に、長期借入金が増加(前連結会計年度末比350,006千円増)したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における負債は、1,701,859千円となり、前連結会計年度末に比べ799,008千円増加いたしました。
純資産
当連結会計年度末における純資産は、3,153,557千円(前連結会計年度末比563,571千円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴い利益剰余金が増加(前連結会計年度末比316,375千円増)、自己株式が減少(前連結会計年度末比183,072千円減)したことによるものであります。
(経営成績の分析)
売上高
当連結会計年度における売上高は、3,472,875千円(前連結会計年度比7.2%増)となりました。当社事業の柱である自動運用をベースとした各種物理サーバ・クラウドサーバ・ハイブリッドサーバを対象とするマネジメントサービスの受注が順調に既存案件の積み上がり及び新規案件の獲得を推し進めたことにより堅調に推移し、売上高は通期として過去最高を達成いたしました。
営業利益
当連結会計年度における営業利益は、556,625千円(前連結会計年度比11.0%減)となりました。これは主に、当連結会計年度において、売上高が増加したことにより売上総利益が2,443,498千円となった一方で、人件費が増加、二重家賃や原状回復費用などの一時的な本社移転費用の計上により、販売費及び一般管理費1,886,873千円を計上したことによるものであります。
経常利益
当連結会計年度における経常利益は、615,868千円(前連結会計年度比4.6%減)となりました。これは主に、営業利益に加えて、営業外収益60,932千円、営業外費用1,688千円を計上したことによるものであります。
親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、478,732千円(前連結会計年度比4.2%増)となりました。これは主に、経常利益に加えて、法人税等合計137,135千円を計上したことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資金需要のうち主なものは、設備投資資金のほか、将来に向けた先行投資である研究開発や人件費等の販売費及び一般管理費の営業費用であります。
当社グループは、運転資金につきましては自己資金を基本としており、設備投資につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当社グループの当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、安定的な事業拡大を通じて企業価値、特に「時価総額」を継続的に大きく高めていくことを経営目標の一つとするため、事業の収益力を示す売上高、営業利益、営業利益率、営業キャッシュ・フローを中長期的な経営指標と位置づけ、これらの継続的向上に努めております。
2024年12月期を含む、過去3ヶ年の上記指標の推移は以下のとおりであります。
当社データコントロール事業の売上は、安定した完全サブスクリプションモデル(完全ストック型ビジネス)の継続課金売上と一時的なスポット売上で構成されています。引き続き解約率の低い月額課金案件の受注獲得を推し進めており、上場以来40四半期連続で過去最高の月額課金売上のプラス成長となり極めて堅調に推移しております。将来に向けた投資である研究開発費・販売促進費・人件費・グローバル展開のための経費は増加しております。
2025年12月期においては、ストック型ビジネスの堅調な推移により過去最高の売上高となることが確実な状況ですが、引き続き今後の高い事業成長を実現すべく、将来に向けた投資も推進していきます。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、当連結会計年度において、インターネットにおける独自のコア技術・基盤技術を活用したIoT分野の研究・開発活動を行ってまいりました。具体的には、当社グループが独自に保有するコア技術であるソフトウエア技術、ハードウエア技術、自動運転・操縦技術及びデータ制御技術などをベースとし、全世界における双方向データ制御のIoTサービス、生成AIビジネス、SaaSモデルのセキュリティサービスに係る研究開発活動に加え、新たな統合監視・自動制御システムと基幹業務を連動させる基盤システム全体の載せ替えのための研究・開発活動を行っております。当連結会計年度においては、Bluetoothゲートウェイをサポートするアクセス・コントローラーに対するIoT運用監視サービス(IoT-OPSサービス)を発表しました。また、コア技術を応用した建機分野における自律走行・操縦ソフトウエア搭載の業界標準機開発プロジェクトについては、「自動運転ローラ(ARMs)」の受注開始を正式に発表しております。引き続き、「自動運転ローラ(ARMs)」に係る機能拡張や特許化、ソフトウエア技術で人間の視覚能力(知覚)拡張の実現を目指す再生医療プロジェクトについて継続的な研究・開発活動を行ってまいります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
なお、当社グループは、データコントロール事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。