第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来の見通しに関する記述は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的としております。①最先端のサイエンスにより有効な治療法がない眼疾患に医療革新をもたらすこと、②社会に貢献する企業であり続けること、③イノベーションを生み出す職場環境を構築し、その職場で働く社員の生活向上を目指すことを指針として掲げております。

 

(2) 経営環境

 一般的に医薬品や医療機器の開発には多額の先行投資が必要とされ、長期間にわたり、かつ開発が成功する保証はなく、計画の遅延や追加的な費用の発生が生じるものです。当社グループが注力している眼科領域は急速に成長している市場であり、数多くの大手企業や新興企業が、優れた製品への研究開発に多大な投資を行っております。世界では、多くの患者が失明や視覚障害に悩まされており、有効な治療法がない眼疾患に対する画期的な治療法の開発が期待されています。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 株主価値の創造

 医薬品や医療機器の開発は、新しい市場や社会的価値を生み出すことに繋がります。これを実現するためには、有望なパイプラインへの積極的な投資のほか、企業買収等を行うことが重要と考えております。また、すでに販売を開始している医療機器をプロブレムソリューションフィット及びプロダクトマーケットフィットに到達させるべく調査を進め、開発に活かすことも同時に重要と考えております。当社グループは、財務状況を鑑みながらこれらの投資を行い、企業価値を高め、株主価値の創造に繋げてまいります。

 

② 研究開発投資及び事業基盤の整備・確立によるイノベーションと成長の実現

 成長を維持し、将来の収益を生み出すためには、研究開発活動への先行投資を継続し、アンメット・メディカル・ニーズに対応する革新的な製品の開発を促進することが重要であります。当社グループが開発中のパイプラインは、革新的な作用メカニズム、あるいは、治療効果を高めるソリューションとなる可能性を秘めております。一日も早く研究開発成果を達成するとともに、事業基盤を整備・確立することでイノベーションと成長の実現に繋げてまいります。

 

③ 資金調達の多様化と安定化

 当社グループは事業基盤を強化するために、株式市場からの資金調達だけでなく、パートナー企業との提携を通じた資金の確保、収益の増加と費用削減に焦点を当てた戦略を実施し、必要に応じて資金調達の多様化と安定化を図ってまいります。

 

④ 強力な特許ポートフォリオの維持

 当社グループは、知的財産の創造と保護が事業の成功に不可欠であると考えており、市場で選択した上で積極的に特許保護を求めております。特許を取得しない状況においても営業秘密や秘密保持契約に基づき独占的な技術とノウハウを保護してまいります。

 

⑤ グローバルな経営体制の強化

 当社グループはグローバルに事業展開をしております。当社グループの事業にとって、言語や文化、価値観の異なる人々と円滑なコミュニケーションを図り、企業価値の最大化に貢献できる人材が必要不可欠ですが、このようなグローバル人材のニーズは年々高まっており、人材獲得競争は激しくなっています。当社グループは優秀な人材の確保に努め、グローバルな経営体制を強化してまいります。

 

⑥ 継続的な情報収集

 医薬品・医療機器に関連する開発技術は日進月歩で向上しております。そうした最先端技術や各国の法規制の変化、世界の市場の動きなどを常に把握し続ける必要があります。当社グループは多国籍であることの強みを活かし、日本、米国、欧州における独自の情報網を構築しております。そこから得る情報をグループ内で共有し、開発方針や事業戦略に活かしてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的として、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発及び実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーです。また、当連結会計年度において、当社の100%子会社であるクボタビジョン・インク(米国)を拠点として行ってきた研究開発及びその管理を当社に移管することを決定し、引き続き革新的な治療薬・医療技術の探索及び開発に取り組んでいます。

 当社グループのパイプライン(開発品群)については、ウェアラブル近視デバイスや在宅・遠隔医療モニタリング機器といった、今後高い成長が期待されている医療機器の分野に経営リソースを重点的に投下しつつ、エミクススタト塩酸塩を中心とする低分子化合物の分野でも継続的に事業化を模索することにより、パイプラインの価値最大化を図っています。

 具体的な取り組みは下記のとおりであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティに関するリスク及び機会を、経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。また、コンプライアンスやリスクマネジメントの強化を通じて、長期的な企業価値の向上に取り組んでおります。

 気候変動に関しては、当社の事業特性上、直接的な影響は限定的であると考えておりますが、環境負荷の低減を目的とした業務のデジタル化やペーパーレス化を推進しております。また、サプライチェーンにおける環境配慮にも努め、持続可能な経営を実現してまいります。

 人的資本を重要な経営資源と位置付け、多様な人材が活躍できる環境の整備を進めるとともに、従業員の能力向上を目的とした研修やスキル開発を支援し、働きやすい職場環境の構築に努めております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

 当社グループの成長戦略を実現するためには、高度な専門知識、技能、経験を持つ多様な人材の確保と育成が不可欠であると考えております。そのため、ワークライフバランスを実現しやすいフレックスタイム制度の導入、人材確保のためのストック・オプション制度の整備、および社内外の機会を活用した社員教育を推進しております。

 また、人的資本を重要な経営資源と位置付け、従業員が能力を最大限発揮できる環境を整えるため、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じた実践的なスキル習得の機会提供や働きやすい職場環境の整備を行っております。加えて、ダイバーシティの推進を図り、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる職場環境の整備にも取り組んでおります。

 

(3)リスク管理

 当社グループではサステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ④リスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社グループのサステナビリティへの取組みに係るリスクの評価と対応については、経営資源の有限性の観点から、影響の重要性に応じて取り組むべき優先順位を決定し、目標を設定することとしております。当社グループの人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する具体的な指標について、現時点では定量的な指標や目標は設定しておりませんが、達成に向けて進捗を注視していくとともに、指標や目標の設定要否についても引き続き検討する予定です。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。このようなリスクが現実化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 なお、リスク要因における将来の見通しに関する記述は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(特に重要なリスク)

(1) 研究開発に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは、眼科領域向けの医薬品、医療機器の研究開発を行うスペシャリティ・ファーマです。医薬品は所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめて上市(販売)が可能となります。また、医療機器についても、申請するカテゴリーに応じて所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する審査により承認されてはじめて販売が可能となります。

 研究開発のプロセスにおいて、医薬候補物質や医療機器の有効性や安全性が、所轄官庁の定める承認に必要な要件を充たさないことが判明した場合、またはその懸念があると審査当局が判断した場合、これらの医薬候補物質や医療機器の研究開発を中止、或いは追加の臨床試験、非臨床試験を実施せざるを得ず、その結果、それまでに投じた研究開発費を回収できなくなるリスク、製品の上市が遅れるリスク、開発候補品の減少により企業価値の源泉であるパイプライン価値が棄損するリスク、及び事業の継続性に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループは、自社の研究開発機能の向上に加え、製薬企業、バイオテクノロジー企業、医療機器メーカーまたは大学等の社外パートナーとの提携により、研究開発パイプラインの拡充に努めています。

 経営資源の制約により研究開発パイプラインのプロジェクトの数には限りがありますが、近年はパイプライン戦略の見直しを行い、早期段階の低分子化合物や遺伝子治療の研究開発の優先順位を下げると同時に、医療機器の研究開発プロジェクトを加えることにより、研究開発パイプラインの多様化を図っています。更に、研究開発後期ステージのプロジェクトの比率を高めることで、研究開発リスクの低減も図っています。

 

(2) 副作用(製造物責任)に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループが実施する臨床試験においては、当初は予期していなかった副作用が確認されることがあります。この副作用が被検者の人体に与える影響の度合いによっては、当社グループが実施する臨床試験が中止、或いは開発計画の見直しが必要となる可能性があります。

 また、このような場合において、当社グループは製造物責任を負うとともに、金銭的、法的及び社会的信頼に関する損害を負う可能性があります。

 なお、当社グループが開発した製品の上市後に副作用が確認された場合には、添付文書の「使用上の注意」へ記載を行う、使用する対象患者を制限する、使用方法を制限するなどの処置が必要となるほか、重篤なケースが認められた場合には、販売中止・回収等を余儀なくされる可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループは、臨床試験において安全性情報を常にモニターし、被検者に副作用のリスクが確認された場合には直ちに投薬を中止、または投与量を低減することで、副作用に関するリスクの回避と受けうる影響の低減に努めています。

 また、臨床試験に参加する被験者に対しては、事前に附随するリスクについて十分に説明を行うとともに、必ず書面にて同意を得るよう徹底しています。加えて、当社グループは年間総額10百万米ドルまで補償する生産物賠償責任保険に加入しています。なお、今後、当社グループの開発品が上市された場合、その製品を含めるよう被保険対象を拡大していく予定です。

 

(3) 知的財産権に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループの企業価値は、当社グループが保有する特許及び営業秘密を含む独自の知的財産権に依存しています。しかしながら、当社グループが出願した特許権が取得に至らない、または特許の範囲が当初の見込みよりも狭くなった場合、或いは当社グループが保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。

 また、当社グループの製品等が第三者の知的財産権を侵害した場合には、製造販売の差し止めや損害賠償等を請求される可能性があるほか、多額の訴訟費用が発生する可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループは、知的財産権に関する豊富な知識、経験を有する外部専門家も活用し、特許権を含む知的財産権を厳しく管理しております。具体的には、当社グループが事業を行う市場における知的財産権や第三者からの侵害状況を継続的にモニタリングするとともに、これらを評価、分析することで、知的財産権に関するリスクの回避と受けうる影響の低減を図っています。

 

(4) 研究開発資金の調達に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 一般的に医薬品・医療機器の研究開発には多額の資金を必要とします。当社グループは、主に2014年の株式上場等で調達した資金を活用して研究開発を行っていますが、開発品の上市やパートナー企業との業務提携契約締結に遅れが生じる、または有価証券の発行等による資金調達が困難となり、研究開発に必要な資金を調達できない場合は、パイプラインを縮小(開発品数の削減)しなければならず、その結果、将来の期待収益が失われる(企業価値が低下する)可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループは、手持ちの現預金残高等をベースに、今後3年から4年程度の期間において、毎年使用できる現金の上限に関してガイダンスを定めることで、事業及び研究開発の継続性を担保しています。このガイダンスで使用が許容される現金の範囲内で、パイプラインバリュー(企業価値)を最大化するために、常にポートフォリオの見直しを行っています。具体的には、リスクの高い早期段階の研究プロジェクトの優先順位を下げ、より成功確率の高い開発後期ステージの開発品に経営資源を集中しています。また、近年は医薬品に比べて相対的に開発リスク、開発コストが低く、また開発期間の短い医療機器の研究開発に注力しています。

 

(重要なリスク)

(5) 製造に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは、医薬品、医療機器の製造施設を有していません。このため、当社グループが現在臨床試験で使用している医薬品及び開発中の医療機器は、社外のパートナー企業に製造を委託しています。また、当社グループの開発品が上市された場合は、かかる製品の製造については社外のパートナー企業に委託する方針です。

 従って、製造委託先の選定に時間を要した場合には開発計画や製品の発売時期が遅延する可能性があります。また、製造委託先の製造施設や物流施設等において、技術上もしくは法規制上の問題、原材料不足、地震、火災その他の災害や感染症等により、製品の供給に支障が出る可能性があります。その結果、当社グループの業績、財務状況及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループは、これまで培ってきた経験・ノウハウやグローバルなネットワークを活かし、臨床試験で使用する医薬品の製造委託先や、医療機器の開発委託先の選定を行っています。

 今後上市する製品の製造・供給については、自社若しくは社外のパートナー企業と協業により、適切な時期に製造委託先の選定を含む製品供給ネットワークと品質保証体制を構築する方針です。これには、高品質の製品を安定的に供給するための戦略の策定、代替製造委託先の選定、危機管理体制の構築、製造委託先の管理体制の構築等が含まれます。

 

(6) 商業化に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは、現在開発中の製品が製造販売承認を取得し、販売が可能となった場合には、新たに販売及びマーケティング体制を構築する必要があります。しかしながら、販売及びマーケティング体制の構築に想定以上に時間を要するまたは構築ができない場合は、製品の発売遅延等により当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループはベンチャー企業であるが故に、活用できる経営資源には自ずと限りがあります。従いまして、自社単独で販売及びマーケティング体制を構築することが困難な場合には、その分野で経験・ノウハウを有する社外のパートナー企業と提携することにより、早期の市場浸透を図る方針です。

 

(7) 業績等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは当期損失が先行して発生する研究開発型のベンチャー企業です。2024年12月期においては1,333百万円の当期損失を計上し、2024年12月31日現在の累積損失(利益剰余金のマイナス)は25,057百万円となっております。当社グループは、今後数年間はパイプラインの開発を継続するため当期損失を計上するものと見込んでおり、また、開発の進捗状況やポートフォリオへの見直し次第では、当期損失を計上する期間が更に長くなる可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループは、開発品の早期の収益化を図るためポートフォリオの見直しを行い、医薬品、医療機器共に開発後期ステージの開発品に経営資源を優先的に投入しています。また、当社グループの研究開発費を抑制するため、パートナー企業との共同開発等の業務提携も積極的に進める方針です。

 

(8) 人材の獲得・育成に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは少数精鋭でグローバルに組織を運営しているため、そのパフォーマンスは経営陣、各部門の責任者や構成員等に依存しています。しかしながら、これらの人材の獲得競争は激しく、当社グループは当社グループが必要とする有能な人材を維持、または採用することができない可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合、事業計画を遂行することが困難となり、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 優秀な人材を維持、獲得するためには、競争力ある報酬パッケージを提示することが極めて重要となります。そのため、当社グループは人事専門のコンサルタントが作成する競合他社分析を参照し、毎年報酬パッケージの見直しを行っています。しかしながら、当社グループはベンチャー企業であるため、大手企業に比べて許容しうる現金報酬には限りがあります。そのため、当社グループは現金支出を伴わないストックオプションを報酬パッケージにおける重要なインセンティブ施策として位置付けています。

 

(その他のリスク)

(9) 為替変動に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは、研究開発拠点を日本に移管しておりますが、海外取引先との継続取引があるため、引き続き為替変動の影響を受ける可能性があります。特に、当社グループが保有する現預金等の一部は外国通貨建てで保有されており、また、海外の取引先との決済も外国通貨で行われる場合があります。このような状況において、当社グループの連結財務諸表は円建てで作成されるため、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの連結業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループは、為替相場の変動が連結業績や財政状況に与える影響を常にモニターしております。必要と判断される場合は適宜為替ヘッジ等を活用し、外貨建取引に係る取引リスクをヘッジする方針です。

 

(10)無配継続に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 「(7) 業績等に関するリスク」に記載のとおり、当社グループは2024年12月31日現在で約251億円の累積損失を計上しており、今後も研究開発への先行投資により当期損失を計上する見込みです。従って、当社は当面の間、現金配当を行う予定はありません。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループは、前述のとおり当面の間現金配当を行う予定はありませんが、パイプライン価値(=企業価値)の向上を通じてステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていきたいと考えています。それを実現するために、引き続きパイプラインの研究開発を進めてまいります。

 

(11)株式価値の希薄化に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは、優秀な人材確保のためのインセンティブプランとしてストックオプション制度を採用し、当社及び当社子会社の取締役、従業員及びコンサルタントに対して新株予約権を付与しており、今後も付与する方針です。ストックオプションとして発行済みの新株予約権の目的となる株式数(以下、潜在株式数)の合計は、当連結会計年度末現在において3,594,100株(発行済株式数及び潜在株式数の合計の5.95%。但し、退職により失効したものを除く)であり、これらの新株予約権が行使された場合や将来付与する新株予約権が権利行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 また、当社グループは、研究開発費や運転資金等を確保することを目的として、株式や新株予約権等の有価証券を発行する可能性があります。これらの株式を発行した場合や発行した新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループは、株式価値の希薄化を伴う有価証券の発行を行う場合は、それらから期待される将来の株式価値の向上が、希薄化による株式価値の減少を下回ることがないよう、独立した社外取締役を含む取締役会において慎重に検討する方針です。

 

(12)コンピューターシステムの故障・セキュリティに関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当社グループは社外の専門業者を活用しITシステムを管理していますが、当社グループの従業員、アウトソーシング企業の不注意または故意、あるいは悪意を持った第三者による攻撃(サイバーアタック)により、システム障害や情報漏洩等のセキュリティ上の問題が生じる可能性があります。このようなリスクが生じた場合、当社グループの事業活動への悪影響、知的財産等の重要な機密情報の流出や喪失、業績及び財務状況の悪化、法的な存在並びに信用失墜等を招く可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

 当社グループは、システム障害の発生や情報漏洩等のリスクを低減するため、情報セキュリティポリシーを策定し、機密情報管理の徹底を図っています。また、社外のIT専門業を活用することにより、ITシステムのセキュリティ対策アップデートを随時行っています。

 

(13)世界情勢不安定化に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者が抑えられてきたことによる経済の持ち直しが期待されておりましたが、いまだ予断を許さない状況が継続していることに加え、ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー問題等による原材料や輸送コストの高騰、急激な為替変動等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループの事業に対するウクライナ情勢の長期化によるエネルギー問題等による原材料や輸送コストの高騰、急激な為替変動等の影響は、現時点(有価証券報告書提出日現在)においては軽微でありますが、今後その影響が長期化または深刻化した場合には、臨床試験や医療機器開発の遅延、商業化の遅延等、これらに限定されず、当社事業に影響が及ぶ可能性があり、情勢次第では当社グループの連結業績及び財政状態に長期にわたり影響を与える可能性があります。

 

(本社機能移転取引について)

1. 国税局の対応について

 第2期連結会計年度に実施した本社機能移転取引は、日本の税制目的における適格合併として扱われるため、日本の居住者である株主に対して重大な納税義務を生じさせるものではないと当社は考えております。しかしながら、国税局がかかる見解に異議を唱えた場合、本社機能移転取引の結果として、高額な日本の所得税または法人税が日本の株主に課される可能性があります。

 

2. 二重課税の可能性について

 本社機能移転取引後、当社は、米国法人と日本法人の双方として扱われ、米国と日本の課税の対象となりました。租税の目的における当社の二重ステータスは、重大な追加的法人税を生じることはないと当社は考えておりますが、税務当局が異議を唱えた場合、当社グループは多大な追加的法人税が課される可能性があります。

 

3. 将来の組織再編について

 当社が買収される場合、取得者は、当社の二重ステータスを承継しなければならないため、当社が取得対象となる可能性が減少し、または取得における当社の評価額が低下する可能性があります。

 当社によりクボタビジョン・インクが売却される場合、取得者は、当社の二重ステータスを承継する必要はありません。しかしながら、かかる場合、当社はクボタビジョン・インクの売却益に対する米国及び日本の双方の課税の対象となる可能性があり、当社の株主もさらにかかる売却益の分配について課税の対象となる可能性があります。

 

4. 配当に対する二重課税について

 当社普通株式に関し、米国の居住者である株主に対して支払われる配当の総額は、一般的に米国連邦法人税の目的で、受取配当金として総所得に含まれます。かかる配当は一般的に日本の源泉徴収税の対象にもなります。当社は日本で設立された株式会社であるものの、米国の連邦法人税の目的上は米国会社として扱われるため、かかる配当は、米国の外国税額控除制度における国外源泉所得と認められません。したがって、米国の居住者である株主は、その他の国外源泉所得を十分に有しない限り、当社から受領した配当に対する日本の源泉徴収税に関し、外国税額控除を主張することができません。

 また当社普通株式に関し、日本の居住者である株主に対して支払われる配当の総額は、日本の租税の目的上、(法人株主に対する一部の例外を除き)一般的に課税の対象となります。かかる配当は一般的に米国の源泉徴収税の対象にもなります。日本の外国税額控除制度においては、租税条約に基づく締約国により徴収されることが認められる外国税額のみが原則的に控除されるため、米国の源泉徴収税は、日本の課税を相殺するために控除される税金として認められない可能性があります。さらに、仮に米国の源泉徴収税が控除される税金として認められたとしても、当社は日本の会社であるため、支払われた配当は日本の税控除の目的上国外源泉所得と認められず、米国の源泉徴収税は控除されない可能性があります。

 米国または日本の株主以外の当社の普通株式の保有者は、通常米国と日本の双方の源泉徴収税の対象となります。

 当社が配当の支払いを決定した場合、配当に対する二重課税を避けるための手段を講じる可能性がありますが、特定の当社の普通株式の保有者に関する二重課税が回避できるという保証はありません。

 

(重要事象等について)

 当社グループは、眼科領域の医薬品・医療機器の研究開発を行うスペシャリティーファーマであり、研究開発段階で先行投資が必要となるビジネスモデルです。現在、複数の開発品のパイプラインを有しておりますが、これらは研究開発の途上にあり、製造販売承認等を受けて実際に販売に至り、最終損益に寄与するまでにはまだ時間を要する見込みです。

 エミクススタト塩酸塩に関しましては、早急な上市に向けて早期承認制度の利用について当局と協議しているものの、現時点では、日本や米国等で薬事承認を得るためには第3相試験を改めて実施することが必要となっております。また、エミクススタト塩酸塩以外のパイプラインにつきましても、早期に収益化を図るべく、開発品のライセンスアウト及び業務提携に取り組んでおりますが、現時点では、パートナー企業が見つかっておりません。

 また、Kubota Glassに関しましては、2022年10月の日本におけるソフトローンチ後、製造工程の見直しや品質向上に向けた取組みを行うと共に、中国市場へ進出すべく、双日九州株式会社との提携により、中国企業への販売に向けた交渉を進めておりましたが、合意に至らず当該提携を解消しています。

 さらに、有価証券の発行による資金調達に関しては、新株予約権(行使価額修正条項付)の行使による払込金が2024年12月期は約4,900万円となっており、2023年12月期の約1億4,900万円から大きく減少し、当社による見込みを下回っております。

 上記のとおり、継続的なパイプラインによる大きな売上がなく営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが継続していることに加えて、資金調達額が減少している結果、2024年12月末の現金及び現金同等物は14.5億円となっており、2023年12月期末の27.7億円、2022年12月期末の40.5億円から減少しております。これらのことから継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると判断しております。

 

 このような状況を鑑み、当社グループは以下のような施策の実行に向けて取り組んでおります。

① Kubota Glassの設計を内製化、製造開発を国内に移管することによる品質向上と製造原価の削減

② Kubota Glass販売拡大のための中国での販売パートナーの探索

③ Kubota Glassの販売拡大を目指す市場における、当該製品の効果立証のための臨床試験の実施

④ エミクススタト塩酸塩の上市に向けた早期承認制度の利用

⑤ 米国法人の実質的な廃止や特許の精査によるコスト削減

⑥ 企業との資本業務提携等、新株予約権(行使価額修正条項付)以外の資金調達

 以上の施策により、事業収入増加、コストの削減並びに資金調達の可能性を高めることで継続企業の前提に対する疑義の解消に努めてまいります。

 各施策の成果についての不確実性を考慮してもなお当連結会計年度末において、翌連結会計年度の事業展開に必要な資金を十分に確保しており、当社グループは継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、眼科領域に特化しグローバルに医療用医薬品、医療機器の研究開発を行う眼科医療ソリューション・カンパニーです。

 当連結会計年度におきましては、一部地域で新型コロナウイルス感染症からの社会経済活動の回復が進む一方、ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギー価格や主要原材料費の高騰、輸送コストの上昇、急激な為替変動など、先行き不透明な状況が続きました。アジア経済は、中国が安定した成長基調を維持する中、内需拡大を中心とした政策が進行していますが、その他の地域では景気回復のペースが緩やかになる傾向が見られました。日本では国内外の金利差が影響し、円安が進行しました。

 このような市場環境のもと、当社グループは以下のとおり事業展開及び研究開発を進めました。

 

[医療機器]

(ウェアラブル近視デバイス)

 当社グループが開発中のクボタメガネ・テクノロジーは、網膜に人工的な光刺激を与えて近視の進行の抑制、治療を目指す当社独自のアクティブスティミュレーション技術です。将来的には、この技術を他のデバイスに応用し、近視抑制をより身近に実現することを目指しています。2022年には、成人を対象とした卓上型デバイスの臨床試験の論文を、シュプリンガー・ネイチャー社の刊行するScientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)に発表しました。これは、小児に比較して効果が見えにくい成人においても、1.5時間のデフォーカス刺激を週に5回適用することで近視抑制の可能性を実証できた世界で初めての例であると考えています。2021年には、台湾における医療機器の製造許可を取得し、また、2022年には、米国FDAでの医療機器登録を完了しました。現在、販売拡大に向けた準備を進めるとともに、より多くのエビデンスを得るための臨床試験等を継続しております。また、引き続き主に中国、米国及び台湾において、製造から販売・配送、アフターケアまでのプロセスにおけるトラブルシューティング及びマーケットフィットの検証を目的としたソフトローンチを行う一方で、より広範な市場での商業化を可能にするためのマーケティング活動の強化、及び更にマーケットニーズにフィットした次世代機の開発の準備を進め、逐次着手していく方針です。

 今後は既に販売を開始している日本におけるマーケティング活動の強化に加え、グローバル展開に向けた他社とのコラボレーションを積極的に行うことで事業成長につなげていく方針です。中でも中国市場への展開を推進しており、2024年に中国eコマースを通じた販売チャネルを開設し、実際に手に取って体験できるよう実店舗の販売網構築を進めております。同時に製造プロセスの見直しを進めており、より製造原価を効率化し、かつ短期での納品が可能なオペレーション体制の構築を進めております。

 

(在宅・遠隔医療モニタリング機器)

 当社が開発する超小型モバイルOCT(光干渉断層計)の「eyeMO」は、眼科において網膜の状態の検査に用いられるOCTの超小型モデルのことで、モバイルヘルスを含む在宅・遠隔医療分野での需要を見据えた在宅眼科医療機器ソリューションです。

 ウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫等の網膜浮腫による網膜疾患患者が自宅にて患者自身で網膜の状態を測定することを可能にする検査デバイスです。インターネットを介して、網膜の構造や視力の変化といった病状の経過を、医師が遠隔で診断できるシステムを確立することにより、個別の患者に適した眼科治療を実現し、視力の維持向上を目指します。2023年1月より、ハーバード大学医学部付属ジョスリン糖尿病センターで、糖尿病網膜症患者のスクリーニング装置として実用可能であるかの評価、及び市販のOCT装置と比較する臨床試験を実施しております。また国内においては信州大学医学部附属病院で実施されている特定臨床研究(2024年5月7日に開示)において、実際に患者自宅で本機器を使用してモニタリングが可能かを検討するステップに移行、進行しております。今後も理想的な実用モデルを検証しつつ、パートナー企業との共同開発、商業化の可能性を模索しております。

 

[低分子化合物]

 エミクススタト塩酸塩については、スターガルト病を対象とする第3相臨床試験として、2018年11月には最初の被験者登録を、最終的には194名の被験者登録を完了し、当第3相臨床試験は終了しました。当該臨床研究のデータベースの集計及び分析の結果、主要評価項目及び副次的評価項目を達成せず、治療群間の有意差も示されませんでした。主要評価項目である黄斑萎縮の進行率は、エミクススタト投与群で1.280mm2/年、プラセボ投与群で1.309mm2/年でした(p=0.8091)。但し、エミクススタトの忍容性は良好で、先行研究と同様の安全性プロファイルが示されております。

 その後の更なる分析の結果、ベースライン時の萎縮病巣面積がより小さい被験者グループでのプラセボ投与群と比較したところ、エミクススタト投与群の萎縮病巣の進行率が有意に低いことが示唆され、それを検証するべく、サブグループ解析を実施しました。ベースライン時の萎縮病巣領域が小さい被験者グループに対して変数減少法による単変量と多変量分析を行い、このサブグループにおける萎縮病巣の進行に影響する独立したベースラインの因子を特定しました。この解析の結果、エミクススタト投与群の24カ月目の黄斑萎縮の進行率が、プラセボ投与群に比べ40.8%抑制されました(p=0.0206、エミクススタト投与群 n=34、プラセボ群 n=21)。上記の結果を受けて、当社は、引き続き共同開発パートナーを探す等の活動を継続するとともに、エミクススタトの今後の計画について改めて検討してまいります。

 

a.経営成績

 当連結会計年度の事業収益は27百万円(前年度比31.8%減)、売上原価は5百万円(前年度比56.2%減)となりました。研究開発費、販売費及び一般管理費については以下のとおりです。

 

(研究開発費)

 当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度と比較して245百万円減少(前年度比△31.1%)し、544百万円となりました。これは、ウェアラブル近視デバイスの開発費用が減少したことが主な要因です。

 

 

 

(単位:%を除き、千円)

 

2023年12月期

2024年12月期

増減額

増減率(%)

研究開発費

788,789

543,835

△244,954

△31.1

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して78百万円増加(前年度比+12.3%)し、711百万円となりました。これは、特許関連費用が減少した一方で、監査報酬、及び人員増加により給与報酬等が増加したことが主な要因です。

 

 

 

(単位:%を除き、千円)

 

2023年12月期

2024年12月期

増減額

増減率(%)

販売費及び一般管理費

632,836

710,515

77,679

12.3

 

b.財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末と比べて1,338百万円減少し、1,531百万円となりました。これは、現金及び現金同等物が減少したことが主な要因です。

 

(非流動資産)

 当連結会計年度末の非流動資産は、前連結会計年度末と比べて137百万円減少し、11百万円となりました。これは、有形固定資産が減少したことが主な要因です。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末と比べて132百万円減少し、151百万円となりました。これは、未払債務及びリース負債が減少したことが主な要因です。

 

(非流動負債)

 当連結会計年度末の非流動負債は、前連結会計年度末と比べて86百万円減少し、1百万円となりました。これは、リース負債が減少したことが要因です。

(資本)

 当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末と比べて1,257百万円減少し、1,390百万円となりました。これは、当期損失の計上により繰越損失(利益剰余金のマイナス)が拡大したことが主な要因です。

 

② キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物は、取得日後3ヶ月以内に満期が到来する短期の流動性の高いすべての投資を含み、現金同等物はマネー・マーケット・ファンドで構成されております。取得日現在の満期が3ヶ月から1年の間である投資は、短期投資に分類されます。

 当社グループが保有する現金、現金同等物及び短期・長期の金融商品は、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ2,768百万円及び1,455百万円でありました。第三者金融機関への預金額は、連邦預金保険公社及び証券投資家保護公社の適用ある保証上限を超える可能性があります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 前連結会計年度及び当連結会計年度における営業活動に使用した現金及び現金同等物(以下、資金)は、それぞれ1,336百万円及び1,195百万円となりました。使用した資金が141百万円減少した主な要因は、前連結会計年度に比べ、当連結会計年度は研究開発及び一般管理費等の支払いに関する資金が減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 前連結会計年度及び当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、それぞれ45百万円及び43百万円となりました。使用した資金が2百万円減少した主な要因は、有形固定資産の取得に関する支払いが減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 前連結会計年度における財務活動により得られた資金は97百万円、当連結会計年度に使用した資金は88百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、当連結会計年度は新株予約権の権利行使に伴う普通株式の発行による収入が減少したことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b.商品(製品)仕入実績

 当社グループは、医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

前年同期比(%)

医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業(千円)

19,231

152.6

(注) Kubota Glass販売を進めたことから、前年同期比で増加しております。

 

c.受注実績

 当社グループの受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業

22,499

55.7

(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の受注実績は記載しておりません。

2.市場調査・販売チャネル検討等に注力したため、受注高が前年同期比で減少しております。

 

d.販売実績

 当社グループは、医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

前年同期比(%)

医療用医薬品・医療機器事業及びこれらに関連する事業(千円)

27,189

68.2

(注)1.市場調査・販売チャネル検討等に注力したため、前年同期比で減少しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

当連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

IQVIAサービシーズ ジャパン合同会社

5,500

20.2

有限会社横浜本店東京コンタクト

5,314

13.3

株式会社アイ・トピア

5,256

13.2

3.当連結会計年度の有限会社横浜本店東京コンタクト及び株式会社アイ・トピアに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。また、前連結会計年度のIQVIAサービシーズ ジャパン合同会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準を適用しております。重要性がある会計方針、重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載のとおりであります。

 当社経営陣は連結財務諸表及び添付の注記で報告された数値に影響を与える見積り及び仮定を行わなければなりません。実際の結果はこれらの見積りと相違する場合があります。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 また、経営成績に重要な影響を与える要因については、本報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)パイプライン」をご参照ください。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金需要は、研究開発投資が中心となります。当社グループでは流動資産が流動負債を大きく上回っており、資金の源泉については内部資金の充当を基本と致しますが、市場環境を考慮して株式市場からも機動的に資金調達するとともに、パートナー企業との提携を通じた資金確保も検討し、財務の健全性や安全性の確保を目指してまいります。

 当連結会計年度末の流動資産が1,531百万円(うち、現金及び現金同等物は1,455百万円)がある一方で、流動負債は151百万円であり、本報告書提出日時点において必要な流動性は十分に満たしていると認識しています。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、研究開発型企業であり、米国子会社のクボタビジョン・インクが研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索及び開発に取り組んでおります。

 前連結会計年度及び当連結会計年度における研究開発費はそれぞれ、789百万円及び544百万円であります。

 当社グループのパイプラインの詳細は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)パイプライン」に記載のとおりであります。