当社グループの主要な事業であるウェーハ再生事業は、半導体市場の影響を受けます。足許におきましては、前年からの調整局面が底打ちし、半導体需要は好調となっております。中長期的にはAI関連等の需要拡大を背景とした世界の半導体需要は増加傾向にあり、半導体メーカーからの需要も増加しております。このような状況の下、当社グループとしては国内外を問わず半導体メーカーの需要を取り込む必要があります。また、日々進歩しているプライムウェーハ製造工程における結晶技術や、再生ウェーハ加工工程における微細化技術の開発にも対応していく必要もあります。
これらを踏まえたうえで、当社グループは以下の事項を対処すべき課題として認識しております。
(1) 技術開発
① 8インチ(200mm)ウェーハの世界標準の結晶技術を早急に確立し、プライムウェーハのシェア拡大を図ること。
② 年々微細化が進む世界最先端の半導体技術に適応する12インチ(300mm)ハイエンド向け再生技術をさらに高度化させること。
③ 株式会社LEシステムの製造技術を安定化させ量産体制を構築すること。
④ 2024年度にグループ入りした艾索精密部件(惠州)有限公司の主力製品の技術開発をさらにすすめ、グローバル需要に対応すること。
(2) 営業施策
① アメリカ・欧州・台湾・シンガポール・中国・韓国をはじめとする海外との取引をさらに強化すること。
② 大手半導体デバイスメーカーとの安定的取引の確保に加え、新たな顧客需要を取り込むこと。
③ モニターウェーハ及び半導体製造装置向け消耗部材の販売を強化すること。
④ 半導体関連装置・部材等の販売を強化すること。
⑤ 株式会社LEシステムの商品・サービスをグローバルに拡販すること。
⑥ 2024年度にグループ入りした艾索精密部件(惠州)有限公司による新商品の販売戦略を推進すること。
(3) 製造体制
① 半導体デバイスの高集積度化に対応すること。
② 最先端設備を拡充すること。
③ 高度な知識・技能を有する人材を確保すること。
④ 自動化をはじめとする効率的な製造ラインを環境にも配慮し構築すること。
(4) 海外事業体制
① 世界の顧客需要に対応するため海外の事業体制をさらに強化すること。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下の通りとなります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社が判断したものであります。
当社は、グループ全体のリスクを管理している「リスク管理委員会」が、広範なサステナビリティの課題に対して、活動方針の策定や実施を行い全社的な取組を推進しています。リスク管理委員会は、委員長である代表取締役社長のもと、社内外の取締役全員を委員として構成されており、気候変動リスクに係る議論のほか、人的資本、ガバナンス体制等サステナビリティに関する包括的な議論を行っています。 リスク管理委員会にて評価した内容は取締役会に報告され、取締役会にて審議・決議されています。取締役会での決定はリスク管理委員会を通じて、当社の各部門長から部員まで全社的に連携される体制を構築しています。
なお、提出会社におけるコーポレート・ガバナンス体制の概要等は、「
当社は経営理念に「地球環境を大切にし、世界の人々に信頼され、常に創造し挑戦する。」を掲げており、各種環境規制への対応、並びに自社工場における太陽光発電の導入等、サステナビリティへの取組を行ってまいりました。
気候変動による事業リスクと対応策
当社は、2024年9月にTCFDの提言への支持を表明し情報開示を進めると同時に、気候変動が事業に及ぼす影響を評価し、対応策を策定するためにシナリオ分析を行いました。シナリオ分析では当社ウェーハ再生事業を中心に、2100年までに平均気温が約4℃上昇することを想定した「4℃シナリオ」及び2100年までに気温上昇を約1.5℃以内に抑えることを目指した「1.5℃シナリオ」それぞれの将来世界観を設定し、分析を実施しました。この分析により、各シナリオにおける気候変動の影響や課題を明確化し、それらが当社事業に与える潜在的なリスクと機会を抽出しました。この分析結果を踏まえ、当社では気候変動に関連する課題への対応策を策定し、実施に繋げています。 今後も、シナリオ分析を継続し、結果を経営戦略に組み込んでいくことで、不確実な将来世界に対応できるレジリエンス性を高めていく方針です。
シナリオ分析を通して特定された、将来世界において当社が受ける気候変動による影響を以下の一覧表にまとめています。
*(時間軸の定義) 短期:財務諸表報告期間(1年), 中期:~5年, 長期:5年以上
*(評価の定義) 大:影響大, 中:影響不明, 小:影響小, -:影響なし
上記のリスクによる当社への財務的な影響を評価するため、2030年及び2050年時点での財務的影響額を以下の通り試算しました。
※TCFD提言に基づく情報開示は、
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS02916/fd60b12b/15a2/4b06/b16e/80788c8fef22/140120240927589864.pdf
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社では、行動指針に「多様性を尊重した、自由闊達な企業風土をつくり、『就業環境No.1』を目指す。」を掲げており、人材の育成を経営の最優先課題の1つとして、取り組み強化を図っています。また、人材の多様性確保や女性活躍の場を広げる取り組みにも努めております。人材の育成強化のため、社内環境の整備に注力しており、工場では教育訓練規定に基づき、年間計画を立て、各階層ごとの研修を実施しております。また、社内の専門知識や技能を持った人材による勉強会の実施や、社外の教育機関等を利用したセミナーを実施し、知識や技能の向上に努めています。一方、本社では、外部の研修参加やOJTによる業務経験の蓄積を人材育成の中心としておりましたが、e-ラーニングによる社内研修制度を導入、従業員がスキルの向上を自発的に図れるような体制を構築いたしました。
当社はグループ全体のリスクを管理する組織として「リスク管理委員会」を設置し、委員長を代表取締役社長が務めています。リスク管理委員会ではコンプライアンス、サステナビリティ、人事・労務、安全衛生、環境、財務会計、営業活動等、様々な活動について定期的に評価を行い、事業に与える影響を特定し対策を講じています。
気候変動の影響に関するリスクについても、リスク管理委員会において、リスクの抽出及び評価を行い、リスクの事前回避や顕在化時の被害軽減について統括的に管理しております。具体的なプロセスとしては、まず各事業部が自部門における気候変動関連リスクを識別し、それらを集約して評価します。この評価結果は、リスク管理委員会でさらに精査され、重要度や優先度が決定されます。この過程では取締役会にも報告され、その取り組みの進捗について監督を受けます。 こうした体系的かつ包括的なアプローチを通じて、当社は気候変動による潜在的な影響や機会を継続的にモニタリングし、それぞれに対し適切な対応策を講じています。 特定された気候関連リスクは全社的なリスク管理プロセスに統合されており、他の経営上の課題とも相対的に評価される仕組みになっています。
① 気候変動対応の進捗管理の指標
当社では、気候変動対応の進捗管理の指標として、2023年度より自社事業活動における温室効果ガス排出量(Scope1,2排出量)を算定しております。2024年度は、Scope1においては3,652.3t-CO2、Scope2においては12,752.5 t-CO2となりました。
今後は、自社の省エネ、再エネ導入等によるCO2排出量削減を進めるだけでなく、当社グループの事業を通してCO2削減を推進し、持続可能な社会実現への貢献につなげてまいります。
※「算定対象範囲…RS Technologies(本社、三本木工場)株式会社 DG Technologies、株式会社ユニオンエレクトロニクスソリューション、株式会社LEシステム」
※Scope2は、マーケット基準により算定
※2024年度については、2025年3月10日時点で公開されている最新の電気事業者別排出係数一覧の数値を用いてScope2の排出量を算出
② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
次世代育成対策推進法及び女性活躍推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定、以下の数値目標を掲げております。(計画期間:2025年12月31日までの5年間)
・社員の有給休暇取得日数について、年平均10日以上を目標とする。
・社員(除く夜勤勤務者)に占める女性社員の割合を40%以上とする。
また、人材の多様性の確保にも注力した結果、今年度は本社の外国籍比率が25%を超える水準となりました。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、以下の記載は投資に関連するリスクを全て網羅するものでない点に留意する必要があります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、世界有数の半導体受託生産企業であるTaiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd(TSMC)との円滑な取引を継続しており、同社に対する売上高が当社設立以来高い水準となっております。
従って、同社の販売及び設備投資の動向によっては当社グループの短期的な経営成績に影響を与える可能性があります。
(2) 業界動向に関するリスク
当社グループの主な需要先は半導体業界であります。需給の変動があった場合、シリコンウェーハの使用量の減少や販売価格の低下により当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 他社との競合に関するリスク
当社グループの主たる事業領域である半導体市場は、国内外を問わず厳しい競合環境にあり、同業他社との間では価格、品質、顧客対応能力、新製品開発力等、様々な局面での競争が展開されています。
当社グループは、ウェーハ再生事業において高い価格競争力を有する様々なモニタウェーハを手掛けることにより、収益源を確保すると共に半導体需給や技術動向の把握及び顧客層や製品分野の拡大を図っていますが、高シェア製品の市場支配力が低下することにより競争上の地位が低下した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 外注先の品質管理に関するリスク
当社グループは、ウェーハ再生事業の加工工程の一部を外部企業に委託しています。当社グループでは、委託先企業の経営状況、技術水準、製造能力について継続的に監視していますが、委託先企業が、必要な技術的・経済的資源を維持するとともに十分な製品の品質を保ち、当社グループが求める水準の委託業務を遂行できる保証はありません。
また、これらの委託先企業が何らかの理由により事業が中断された場合、当社グループ製品の加工及び製品の供給に影響を与える可能性があります。
(5) 加工工程に関するリスク
当社グループの主たる事業領域である半導体市場では、製品価格が継続的に低下する傾向にあります。当社グループでは、生産プロセスの見直し等により生産効率の向上を進め、製品価格低下の影響を緩和するように努めていますが、一般的に生産効率の向上には限界があるため、製品価格の低下が続く中、継続的に生産効率を向上させることができなくなった場合、利益が圧迫される可能性があります。さらに、加工工程において、何らかの理由により加工活動が中断してしまった場合、生産能力低下や納期遅延が発生し、ウェーハの供給が困難となる可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 設備投資及び資金調達に関するリスク
当社グループは、市場動向、需要動向等を見極めながら、事業戦略及び当該投資の収益性等を勘案しつつ必要な設備投資を実施していく方針です。
大規模な設備投資を行った場合、製造ラインの調整等を行う必要があることから、本格的な生産に至るまでには一定の期間を要するため、製造設備の新設・増設に伴う立上げ費用や減価償却費が先行的に発生することになります。
また、多額の設備投資を実施した場合、減価償却費等が大幅に増加する可能性があります。
これらの要因により、今後当社グループの利益率が大幅に悪化する可能性があります。また、当該設備投資を行う際に想定していた受注を期待通りに獲得できなかった場合には、当社グループの経営成績等は重大な影響を受ける可能性があります。
また、当社グループは、事業展開の必要に応じて機動的な資金調達を実施していく方針ですが、当該資金調達に際しては、当社グループの財政状態、収益性等のほか、金利水準や市場環境等の要因により、当社グループが希望する時期または条件により資金調達を実行できない場合があります。そのような場合には、必要な設備投資を行うことができず、事業計画等において想定していた収益を上げられない可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(7) 為替の変動に関するリスク
当社グループの海外売上高は、高い水準で推移しております。また、当社グループの外貨建ての資産及び負債の評価は為替相場の変動により影響を受けております。このため、為替相場の急激な変動によっては当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(8) 特定人物への依存に関するリスク
現在、当社グループの経営は代表取締役社長である方永義を含めた8名の取締役で構成される経営陣で運営されており、代表取締役社長である方永義個人に依存した組織ではありません。しかしながら、同氏は、前職(株式会社永輝商事代表取締役)までの経営者としての経験・人脈を生かし、当社グループの新規営業先の開拓、グローバルな事業展開において重要な役割を果たしております。同氏への依存を低減するための経営構造の変革過程で、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合には、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
(9) 事故、災害等による操業への影響に関するリスク
当社グループの生産設備の中には、ウェーハ再生事業の炉など高温、高圧での操業を行なっている設備があります。また、ウェーハを加工するうえで多量の化学薬品等を取り扱っています。対人・対物を問わず、事故の防止対策には万全を期しておりますが、万一重大な事故が発生した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、国内外の製造拠点等において、大規模地震や台風等の自然災害、新型コロナウイルス(COVID-19)や新型インフルエンザ等の感染症、その他当社グループの制御不能な事態により操業に支障が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業上の重要情報及び事業を展開する上で入手した顧客や他企業の機密情報及び取引先関係者や従業員の個人情報等を保有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が起こらないようにグループ全体で管理体制を構築し、ITセキュリティ、ITリテラシー向上のための社員教育等の施策を実行しております。しかしながら、想定した防御水準を上回る技術によるサーバーへの攻撃や社内における過失や盗難等により、これらの情報が流出、破壊もしくは改ざんされる可能性を完全に回避することは困難であります。また情報システムの大規模な停止等が発生する可能性も否定できず、このような状況に陥った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) 有利子負債への依存及び金利水準の動向に関するリスク
当社グループは、主に金融機関からの借入金によって事業資金を調達しており、多額の有利子負債を抱えております。当社グループでは、金利等の動向を注視しつつ、将来の環境変化にも柔軟な対応が可能な調達形態の維持・構築に努めております。しかしながら、事業の規模拡大に伴う資金需要により、有利子負債の割合が上昇するとともに、金利水準の上昇により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(12) M&A、事業提携に関するリスク
当社グループは、今後の業容拡大等においてM&A及び事業提携戦略は重要かつ有効であると認識しております。M&Aや事業提携を行う場合においては、対象会社を慎重に検討し、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、極力リスクを回避するように努める方針としております。しかし、買収後に偶発債務の発生等、未認識の債務が判明する可能性も否定できません。また、のれんが発生する場合はその償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境や競合状況の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じ、計画どおりに進まない場合は当該のれんに係る減損損失等の損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済につきましては、長期化する原材料や物流費等の高止まりといった世界的なインフレの進行や欧米における高い金利水準の継続、アメリカの今後の政策動向、地政学的リスクなど、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主な販売分野である半導体業界におきましては、前年からの調整局面が底打ちし、好調となっております。中長期的にはAI関連等の需要拡大を背景とした半導体業界のさらなる成長見通しに変化はなく、設備投資は堅調に行われております。
当社グループでは、ウェーハ再生事業が堅調な顧客需要、主要工場の増産投資が寄与し順調に推移しました。プライムシリコンウェーハ製造販売事業におきましては、中国半導体市場の回復及び設備投資効果によって、売上高及び利益共に好調に推移しました。また、半導体関連装置・部材等事業は大口案件の影響もあり増収したものの、商社ビジネスの特定商材の原価高騰等が影響し、利益率は減少しています。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は59,200,997千円(前年同期比14.1%増)となりました。営業利益は13,108,929千円(前年同期比10.2%増)となり、経常利益は15,668,114千円(前年同期比5.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,446,865千円(前年同期比22.6%増)となりました。
当連結会計年度の経営成績の内訳は以下のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、59,200,997千円(前年同期比14.1%増)となりました。
高い顧客需要と主要工場の増産投資が寄与したことにより、前年同期比で販売を増加させたことによります。
(売上原価及び売上総利益)
売上原価は、39,820,436千円(前年同期比15.5%増)となり、売上総利益は19,380,560千円(前年同期比11.3%増)となりました。
(営業利益)
営業利益は13,108,929千円(前年同期比10.2%増)となりました。
人件費や支払い報酬等が増加したため、販売費及び一般管理費が6,271,631千円(前年同期比13.6%増)と増加しました。一方で、売上総利益も増加したため営業利益も増加しております。
(経常利益)
経常利益は、15,668,114千円(前年同期比5.0%増)となりました。
営業利益が前年同期比で増加したことに加え、受取利息1,484,627千円や補助金収入1,120,987千円等を営業外収益に計上したことにより、営業利益よりも経常利益が大きくなっております。
(税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は、17,168,564千円(前年同期比14.6%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、9,446,865千円(前年同期比22.6%増)となりました。
事業のセグメント別の業績を示すと次のとおりです。
(ウェーハ再生事業)
ウェーハ再生事業におきましては、需要を見極めた三本木及び台南工場へのタイムリーな投資を実施し、シェアの拡大に努めてまいりました。これらの活動等の結果、前期から引き続き国内外再生市場の需要が堅調に推移したこと及び増産設備投資の寄与により、外部顧客への売上高は23,794,437千円(前年同期比16.1%増)、セグメント利益(営業利益)は9,059,241千円(前年同期比11.6%増)となりました。
(プライムシリコンウェーハ製造販売事業)
プライムシリコンウェーハ製造販売事業におきましては、中国半導体市場の回復、設備投資効果及び生産効率向上施策によって売上高、利益共に拡大しております。これらの活動等の結果、外部顧客への売上高は18,984,332千円(前年同期比10.0%増)、セグメント利益(営業利益)は4,743,718千円(前年同期比26.8%増)となりました。
(半導体関連装置・部材等)
半導体関連装置・部材等におきましては、大口案件の影響もあり増収したものの、商社ビジネスの特定商材の原価高騰等が影響し、利益率は減少しています。これらの活動等の結果、旺盛な顧客需要を背景にした販売増加により、外部顧客への売上高は16,283,623千円(前年同期比15.8%増)、セグメント利益(営業利益)は884,000千円(前年同期比0.2%増)となりました。
(その他)
その他におきましては、ソーラー事業及び技術コンサルティング事業等の業績を示しており、外部顧客への売上高は138,603千円(前年同期比76.3%増)、セグメント利益(営業利益)は6,822千円(前年同期比83.8%減)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績は、以下のとおりであります。
生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.その他事業は生産活動を行っておりませんので、記載しておりません。
2.セグメント間の内部振替後の数値によっております。
3.金額は売価によっております。
当社グループでは見込加工しているため、該当事項はありません。
販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
2.セグメント間の内部振替後の数値によっております。
③ 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は124,894,768千円となり、前連結会計年度末と比較して28,485,141千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金14,466,212千円の増加、受取手形及び売掛金10,744,599千円の増加、原材料及び貯蔵品1,622,317千円の増加によるものであります。
固定資産は57,252,060千円となり、前連結会計年度末と比較して12,995,770千円増加いたしました。これは主に建物及び構築物2,108,937千円の増加、機械装置及び運搬具1,550,134千円の増加、建設仮勘定4,652,163千円の増加、投資有価証券921,465千円の増加によるものであります。
この結果、総資産は182,146,828千円となり、前連結会計年度末に比べて41,480,912千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は34,804,435千円となり、前連結会計年度末と比較して16,539,383千円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金3,128,168千円の増加、短期借入金5,400,000千円の増加、流動負債その他4,138,547千円の増加によるものであります。
固定負債は11,794,348千円となり、前連結会計年度末と比較して4,821,581千円増加いたしました。これは主に、リース債務1,102,398千円の増加、固定負債その他4,169,061千円の増加によるものであります。
この結果、負債合計は46,598,784千円となり、前連結会計年度末に比べ21,360,964千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は135,548,043千円となり、前連結会計年度末と比較して20,119,947千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金9,446,865千円の増加、為替換算調整勘定3,605,129千円の増加、非支配株主持分7,819,476千円の増加によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末の69,645,248千円より14,114,533千円増加し、83,759,781千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、13,143,621千円(前連結会計年度は13,857,215千円の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益17,168,564千円、減価償却費4,199,787千円、売上債権の増加額4,978,128千円、棚卸資産の減少額2,249,315千円、契約負債の減少額2,505,041千円、法人税等の支払額3,128,896千円によるものであります。
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、6,630,998千円(前連結会計年度は8,960,835千円の減少)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出8,900,056千円と定期預金の払戻による収入2,866,109千円、定期預金の預入による支出3,152,577千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入3,452,440千円によるものであります。
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、1,964,128千円(前連結会計年度は4,801,928千円の減少)となりました。
これは主に配当金の支払額790,077千円、短期借入金の純増減額5,400,000千円、長期借入金の返済による支出1,358,748千円によるものであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社グループの連結財務諸表作成において、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a. 経営成績
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。
b. 財政状態
「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ 財政状態の状況」をご参照ください。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ④ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d. 資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの主な資金需要は、設備投資、ウェーハや半導体生産設備の仕入、製造費や販売費及び一般管理費などであります。
今度予定されている大きな資金需要として、12インチ再生ウェーハの生産能力拡充のための設備投資がありますが、当該財源は自己資金及び金融機関からの借入により確保する予定であります。
(財務政策)
当社グループは、事業展開の必要に応じて機動的な資金調達を実施していく方針でありますが、そのために健全な財政状態の維持に努めてまいります。
当社グループの財政状態は引き続き健全な状態を保っており、現金及び現金同等物の流動性資産に加えて、営業活動によるキャッシュ・フローや金融機関からの借入により事業の拡大に必要な資金を十分に確保できているものと考えております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境に関するリスク、事業に関するリスク、事業体制に関するリスク等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は、各事業セグメント及び各地域の需給バランスを十分認識し安全性の高い設備投資を実施すると共に災害に強い事業基盤を構築し、経営成績に重要な影響を与えるリスクを分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社の経営陣は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後の業容拡大を遂げるためには、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのためには、プライムシリコンウェーハ製造販売事業安定化に必要な結晶技術の確立、プライムシリコンウェーハ業界出身者の確保を実現することが先決であります。ウェーハ再生事業においては半導体の微細化技術に対応するウェーハ再生技術の開発及び事業化、生産効率向上による収益性の向上を目指します。営業方針としては安定的組織的な営業力の強化による海外商圏のさらなる拡大を目指します。またウェーハ事業全体として加工能力増強のための設備投資を実行しながらも、財務体質の強化にも努めてまいります。
⑤ 経営戦略の現状と見通し
当社は、半導体デバイスメーカーで使用するシリコンウェーハの再生事業メーカーとして、半導体デバイスの高度集積化に対応した設備・技術を保有し、需要の拡大に対して安定供給を行ってまいりました。
今後も、顧客満足を指向した経営をするために、更なる研究開発や最先端設備の拡充等を通じて、再生ウェーハの安定供給を継続できるように努めてまいります。
また、新たに進出したプライムシリコンウェーハ製造販売事業の拡大を推進するとともに、半導体生産設備及び部材の売上拡大にも注力し、収益源の多様化に努めてまいります。
(1) 建物等の賃貸借に関する契約
(2) 連結子会社の建物等の賃貸借に関する契約
(3) 株式取得
当社は、2024年9月19日開催の取締役会にて、索尼精密部件(惠州)有限公司(現名称:艾索精密部件(惠州)有限公司)の株式を取得し、子会社化することについて決議し、2024年12月17日付けで同社の株式を取得しました。
詳細は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合関係)」をご参照ください。
当社グループの研究開発活動は、ウェーハ再生事業においてシリコンウェーハの再生における顧客から預かったウェーハをより多く製品化して返却する収率向上のための研究開発を行い、顧客ニーズにこたえるために研磨工程で必要な300mmウェーハのパーティクルの向上を行っております。また、プライムウェーハ製造販売事業においては、製造ラインのボトルネック改善及び歩留向上による生産性向上並びに品質向上のための研究開発、加えて12インチプライムウェーハ量産化のための研究開発を行っております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
また、当社グループでは関連会社とも連携をとって研究開発活動を行っております。当連結会計年度の持分法適用会社の研究開発費の総額は、1,929,625千円であります。
なお、持分法適用会社の研究開発費の総額は、連結損益計算書の研究開発費の総額には含まれておりません。