第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、「新しい価値創造を通じて産業変革を起こし、社会課題を解決する」というパーパスのもと、デジタルシフトによる産業変革(IX)を起こし、成長志向企業の発展に直結する「独自の仕組み」を提供することで、新しい価値創造に挑戦し、持続的な社会の実現を目指しております。このような中、2020年に商号変更、2021年12月期から2023年12月期を「DSイノベーション2023」と題し、事業ポートフォリオの再整理を行い事業の変革に挑戦し、IX実現に向け、既存事業の持続的な成長に加え、中長期的な収益の拡大を進めております。

 当社グループの持続的な成長とIX実現に向け、以下の①~④に記載した対処すべき課題に重点的に取り組み、事業成長の更なる強化及び組織基盤の強化により持続的な収益体質を確立し、企業価値を向上させ成長を続けていくよう努めてまいります。

 

①Marketing事業の成長力強化

 昨今、当社グループの事業競争環境は一層厳しさを増しております。当社グループは、長年磨き上げてきた広告支援に加え、広告支援で培った多様な顧客やパートナーとの基盤、マーケティングノウハウを活かし、DXソリューションを開発・提供し、既存顧客へ広告支援以外の領域も含めた継続的な取引を行っております。

 今期においてはグループ連結子会社の統廃合を行い、営業連携の強化と同時に今まで以上に顧客との接点および顧客向き合いの時間を創出し、広告とDXの統合提案を更に加速させて参りました。

 今後は既存顧客の課題解決・事業成長に貢献するとともに、新規顧客の獲得にもより注力し当社グループの成長を推し進めてまいります。

 

②広告産業変革(AX)に向けたFinancial Services事業における取引社数増加と適切な債権ポートフォリオの実現

 当社グループのパーパスの実現に向け、新領域への展開に取り組み、新たな収益モデルの構築に積極的に成長資金を投下してきました。これらの挑戦の結果、Marketing事業の強みを活用したFinancial Services事業を立ち上げ、急速に拡大しております

 今後は、債権の小口分散化を早期に推し進め、最適な債権ポートフォリオの状態を目指します。

 

③資本の最適配分

 当社グループは、収益力、資本効率等の改善を図るため、投資効率を重視した意思決定を行い、恒常的にROE10%を達成することを重要項目としております。そのため、主要事業における収益性を改善する一方で、内部留保の水準等も考慮しながら、機動的かつ柔軟に自社株買い等の株主還元策についても検討する方針であります。

 

④人材基盤の構築

 当社グループが持続的に企業価値を拡大していくためには、自立人材の育成と長期的に活躍できる仕組みを整備することが極めて重要な要素であると考えております。そのためには、従業員のスキル向上の研修や次世代経営人材育成プログラム等の体系的な人材開発プログラムを実施するとともに、柔軟な働き方制度を設計し、従業員一人ひとりが最大限能力を発揮し、多様なキャリア形成や自立できる環境を提供できるように努め、中長期にわたって活躍しやすい環境の整備や人事制度の構築に努めております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、新しい価値創造を通じて産業変革を起こし、社会課題を解決することで、持続可能な社会の実現を目指しております。2024年度におけるグループの具体的な取り組みは次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ全般

① ガバナンス

 当社グループは、持続的な社会の発展とグループの企業価値向上に向け、代表取締役社長グループCEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会を設置し、重点課題(マテリアリティ)解決に向けた取り組みを推進しております。また、グループCFOが統括責任者となり、サステナビリティ委員会の配下に「さすてな分科会」を設置し、コーポレート部門や各事業会社とディスカッション・連携等を行い、グループのサステナビリティを推進しております。

0102010_001.png

 

② 戦略

 当社グループの創業からの変わらぬ想い、それは「成長志向企業の売上・利益に直結する独自の仕組みを提供」することであり、これまでデジタルの力を通じ、様々な企業のデジタルマーケティング支援を行い、イノベーションを創出してきました。そして、2021年4月に「新しい価値創造を通じて産業変革を起こし、社会課題を解決する。」というパーパスを掲げ、新たなイノベーション創出に挑戦しております。

 社会課題がますます多様化・複雑化する中、これまで以上にデジタルの力を活用し、仕組みや産業のルールを変えることで、各産業に従事する「本来価値ある働き手」の価値を再定義するとともに、サステナブルな地球環境や社会、そして事業の実現に向け、様々な産業の変革に取り組んでおります。

 このような中、当社グループが向き合うマテリアリティ(重点課題)について、以下4つを重点テーマとしております。

 

a.マテリアリティ

1.デジタルによる産業変革

2.デジタル人材の育成と多様な働き方ができる環境の提供

3.強固な経営基盤の確立

4.デジタルの力で地球環境に貢献

0102010_002.png

 

b.サステナビリティに関するリスクと機会

 当社グループは、外部・内部環境の状況や経営層、実務責任者による認識を踏まえ、当社グループにとって特に重要度が高いリスクと機会を以下のとおり整理しております。事業環境変化等による影響を考慮しながら適宜見直し、優先度をつけて対応を行っております。

0102010_003.png

 

③ リスク管理

 当社グループは、当社の代表取締役社長グループCEOをグループリスク管理委員長とした、グループリスク管理委員会を中心に、当社グループ全体のリスクの把握と未然防止を適切に推進できるよう、リスクマネジメント体制を整備し、運用しています。なお、リスク項目の詳細は「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

<リスクマネジメント体制>

0102010_004.png

 

0102010_005.png

 

(2)気候変動に対する取組

 当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)(※)提言への賛同を表明しております。TCFD提言で推奨される4つの開示要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿って、気候変動に関連する情報の積極的な開示を行いイニシアティブ等にも積極的に参加することに努めるとともに、脱炭素社会に向けてデジタルシフト領域で新たな事業機会を創出し、企業活動を通じて地球環境や社会に貢献してまいります。

 

※ G20の要請を受け2015年に金融安定理事会(FSB)により設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」

 

① ガバナンス

 当社グループでは、気候変動リスク・機会への対応は重要課題のひとつとして認識しております。そのため、代表取締役社長グループCEOを委員長、グループCFOを統括責任者とするグループ横断メンバーで構成されたサステナビリティ委員会を2021年5月に設置し、企業活動を通じて地球環境や社会にポジティブなインパクトを与えることを目指し、サステナブルな活動を推進しております。

 

<環境マネジメント体制>

0102010_006.png

 

 また、当社グループでは、環境基本方針(環境ポリシー)を制定しております。

 

<環境基本方針(環境ポリシー)>

 私たちの企業活動は、地球環境の健全があって成り立つと考え、責任ある環境資源の利用・行動を行っていきます。デジタルの力で、未来世代に向けた地球環境保全への取り組むとともに、様々なステークホルダーとともに、サステナブルになることを目指し、当社グループの事業及びその成長を通じて、地球環境問題が解決される企業であり続ける挑戦をしてまいります。

 

1.気候変動への対応

・気候変動の緩和及び気候変動の影響への適応に十分配慮します

・オフィスの省エネルギー、再生可能エネルギー由来の電力の使用を積極的に取り組みます

・事業活動におけるバリューチェーン全体で排出される温室効果ガス削減に取り組みます

2.循環型社会への対応

・消費型から循環型経済への転換に向け、事業活動における資源を有効利用する取り組みを推進します

・シェアリングエコノミー企業の成長を応援、投資というカタチ(仕組み)を通じて循環型社会への実現に貢献します

3.自然環境(地球環境)への配慮

・自然生態系等の環境保全ならびに生物多様性の維持・保全に十分配慮し、自然共生へのインパクトを最小化に努めます

4.法規制の順守と社会的責任の遂行

・環境問題に関する法令を遵守し、リスク低減に努めます

5.環境に関する教育・啓発活動とコミュニケーション

・従業員一人ひとりの環境への意識向上に向け、環境に関する啓発活動を積極的に推進します

・ステークホルダーの皆様との積極的な対話を通した相互の環境への意識向上に取り組みます

 

② 戦略

 当社グループはTCFD提言に基づき、Marketing事業とFinancial Services事業を対象とした気候変動リスク・機会による事業インパクトの把握を目的にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)等のデータに基づき1.5℃シナリオと4℃シナリオ、それぞれの気温上昇時の世界観を定義し、将来にかけて事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性を評価しました。

 

<シナリオ群の定義>

0102010_007.png

 

<気候変動のリスク及び機会の当社グループ事業への影響度評価>

 短期、中期的及び長期的な気候変動に関連する移行・物理的リスクを適切に把握し、Marketing事業とFinancial Services事業の影響度を評価しました。気候変動がもたらす異常気象等の影響に加え、政府による政策規制の導入などについて検討を行い、その結果特定したリスク・機会を、当社グループの経営・事業戦略に反映し、対応していきます。

 

a.リスク一覧

0102010_008.png

 

b.機会一覧

0102010_009.png

 

c.気候変動のリスク及び機会の当社事業への財務影響評価

0102010_010.png

 

③ リスク管理(気候関連リスクマネジメント)

 当社グループでは、企業活動を通じて地球環境や社会にポジティブなインパクトを与えることを目指し、サステナブルな社会の実現と当グループ持続可能な発展のため、グループのサステナビリティ活動の推進を行う組織としてサステナビリティ委員会を設置し、気候変動による影響への対応を進めております。

 気候変動に関するリスクは、サステナビリティ委員会でリスクの選定と審議を行い、その後、グループリスク管理基本方針に基づいて、グループリスク管理委員会で、評価、管理を行います。識別したリスクはサステナビリティ委員会にてリスク対応策の検討を行い、その後取締役会で対応策が協議・承認されます。

 

<リスク管理体制>

0102010_011.png

 

④ 指標と目標

 当社グループでは、気候変動関連リスク機会の評価指標として、Scope1-3のGHG排出量の算定を行っております。

 直接排出のScope1排出量はゼロとなっております。間接排出のScope2排出量は、働き方改革の一環として積極的にリモートワークを推進し一部オフィスのフロアを返却したこと、また、東京オフィスでは2021年8月以降、再生可能エネルギー100%電力を使用する電力供給に切り替わったことにより2019年から2022年までの4年間で約92%減少いたしました。なお、持続可能な企業価値の向上と環境への責任を果たすため、当事業年度よりサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量(Scope3)の算定を開始いたしました。今後もScope1-3のGHG排出量を継続的に把握するとともに、次年度以降、削減目標を定め、社会課題の解決を推進してまいります。

 

<温室効果ガス排出量>

 

0102010_012.jpg

 

 ※1 直接排出量(2019年~2024年度直接排出なし)

 ※2 マーケット基準により開示を行っています

 

(3)人的資本・多様性に対する取組

① 戦略

 当社グループは、企業価値創造の源泉が人材であると確信しています。人への投資を積極的に行うことが、当社グループのサービスの付加価値向上につながり、ひいてはパーパスの実現及び企業価値の向上につながるものと考えております。事業成長のエンジンの1つとして人的資本を位置づけ、多様な価値観と個の尊重に満ちた組織の実現に向けて、有効的な取り組みを策定し、従業員一人ひとりが挑戦しベストを尽くせるよう機会や環境、風土の変革を進めています。

 人的資本に関するガバナンス、リスク管理の詳細は、「(1)サステナビリティ全般 ① ガバナンス ③ リスク管理」に記載のとおりであります。

0102010_013.png

 

a.人材育成方針

 当社グループは、すべての従業員が自律的に成長し続け、不確実性の高いビジネス環境下でも活躍できるよう、様々な人材育成プログラムを展開しています。それらを通して、女性、様々な経験を持つキャリア採用者など、従業員一人ひとりが最大限能力を発揮し、多様なキャリア形成や自立できる機会を提供できるように努めています。

 

 

<次世代経営人材育成>

 次世代を担う経営者や事業変革人材の育成を目的とした人材育成プログラム「GE(グループエグゼクティブ)制度」を設け、経営トップを中心に、変化・変革を牽引する経営リーダーの中長期な育成に取り組んでいます。毎年、全社員の中から候補者を選抜し、次世代のリーダーとしてのマインド形成や経営/事業開発スキル強化などを図るプログラムを実施しています。

 

<女性活躍の推進に向けた取り組みの推進>

 多様な価値観を尊重し、組織の意思決定の多様化を進めるべく、女性リーダーの育成・登用をテーマに取り組んでいます。キャリア支援においては、社内に留まらず、社外のサービスも活用した制度を整え、社員のキャリア継続・キャリアアップを支援しています。具体的には、自発的・自立的な成長に向けた社外メンタリング制度の導入や、女性のライフステージの変化に応じた自分らしいキャリア形成を考える研修なども実施しています。

 

b.社内環境整備方針

 当社グループは、従業員一人ひとりがチャレンジ精神を持ち、最大限のパフォーマンスを発揮できるように、中長期的に安心・安全を感じながら働き続けることができる社内環境を整備しています。具体的には、場所や時間に縛られない柔軟な働き方、多様な人材が活躍できるようなダイバーシティ推進、生活と仕事の両立を支援する施策に力を入れ、これらの取り組みを通して、従業員の健康及び安全の確保、働く環境の維持改善に努めています。

 

<働き方のタネ(ハイブリッドワークの推進と成長機会の創出)>

0102010_014.png

 デジタル時代に合った働き方を模索し、多様なキャリア形成やより多くの自立人材を育むため、制度や仕組みを整えています。働く「場所」と「時間」にとらわれない環境を提供し、その時々の状況に応じ、高いパフォーマンスを発揮する働き方を選択することで、個人の成長と会社や組織の成長、双方の成長ドライバーとなる取り組みを目指しています。また、性別を問わず子育てしながら働く社員が働きやすい環境づくりに力を入れております。当社グループの育休取得は男女(正規雇用労働者)ともに100%(2024年12月時点)、産休・育休後の復職率は女性94.1%、男性90.0%(2024年12月時点)と非常に高く、復職者に向けた休職中の情報共有と交流の機会を設けているほか、育休中も任意で参加できるイベントを企画し、育児との両立を支援する取り組みを行っています。

0102010_015.jpg

② 指標と目標

 当社グループの人的資本の最大化に向けて、従業員のエンゲージメントを重要指標と位置づけ、多様な人材がやりがいを持ち活躍できる環境の整備を推進しています。2022年より開始したエンゲージメントサーベイ(社員意識調査)では、より当社グループの状況を正確に把握し、効果的な人材戦略につなげるため、外部専門家の意見を取り入れ、当社グループ独自の設問を策定・導入しています。2024年8月に実施したエンゲージメントサーベイの回答率は97.2%となりました(2023年回答率97.2%)。これらの結果から経年の状態を把握した上で、エンゲージメント向上のための要素を設定し、効果的な施策を実施しています。また、従業員のエンゲージメントを継続的に高めていくためには、従業員一人ひとりの能力を活かす多様性の推進が不可欠であり、女性管理職比率と障がい者雇用数、男性育児休業取得率の向上にも力を入れ取り組んでいます。設定した目標は外部環境の変化や人的資本施策の進捗に応じて柔軟に見直しを行い、取り組みを進めています。

エンゲージメント指標

2022年

2023年

2024年

目標

挑戦を促す(※1)

3.47

3.51

3.54

2030年までに全体の70%が4.0以上を回答

成長実感(※2)

3.77

3.77

3.81

多様性からの価値創出(※3)

3.76

3.80

3.90

ビジョン共感(※4)

3.24

3.36

3.29

※1 挑戦できる機会を得ることができていると感じているか、5段階評価(5点満点)に分類し算出しています。

※2 今の仕事を通じて、成長できていると実感しているか、5段階評価(5点満点)に分類し算出しています。

※3 一人ひとりが異なる強みや価値観を持っており、お互いが協働することで多様な価値を生み出しているか、5段階評価(5点満点)に分類し算出しています。

※4 パーパスやビジョンに共感でき行動に良い影響がもたらされていると実感しているか、5段階評価(5点満点)に分類し算出しています。

指標

2022年

2023年

2024年

目標

女性管理職率(※1)

16.4%

16.3%

15.0

2030年までに30%以上

離職率(自己都合)

16.5%

14.7%

16.2

過去3年間の平均離職率以下

※1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① Marketing事業について

 当社グループのMarketing事業が属するインターネット広告市場は、インターネット利用者数の増加やスマートフォンの普及に伴い、広告媒体として急速に拡大してまいりました。今後の市場規模の拡大については、景気の動向や広告主の広告戦略の動向に左右されるため、当社グループにおける業績もこれらの要因に影響を受け、当社グループが想定しない業績の変動が生じる可能性があります。

 また、インターネット広告等を顧客に販売するため、特定の媒体運営会社より各種広告枠及びサービス等を仕入れております。売上原価に占めるこうした媒体運営会社の占める比率は高く、取引条件の変更等により広告枠やサービスの仕入れができなくなった場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、個人情報保護法(Cookieの利用規制強化等)などの個人情報及び個人関連情報に対する保護規制の動向に応じ、媒体運営会社との取引条件が変更され、また当社グループの事業活動が影響を受け、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、インターネット広告市場には複数の競合会社が存在しており、激しい競争環境であります。その中で、当社グループは競合優位性を確立し競争力を高めるべく、各業界におけるマーケティングノウハウの蓄積や提案力の強化等様々な施策を講じております。具体的には、広告代理事業の自動化・効率化による生産性向上を実現しつつ広告ソリューション開発力の強化を図ってまいります。しかしながら、必ずしもこのような施策が奏功し競合優位性の確立につながるとは限らず、その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② Financial Services事業について

 当社は、1994年の設立以来、マーケティング事業を主業務として運営してまいりました。一方で、デジタル産業革命は勢いを増し、社会やお客様を取り巻く環境が日々変化する中、マーケティング事業だけには留まらない“あらゆるデジタルシフト”に対応することが社会や企業の繁栄のための課題となり、また当社グループの発展にも必要不可欠となっております。

 そのような中、当社グループでは、新たな金融サービスである広告分割・後払いサービス「AD YELL(アドエール)」を筆頭に、世界で普及している「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レター)」を手掛ける事業に注力し、広告業界のデジタルトランスフォーメーションを牽引する存在として挑戦を続けてまいります。

 しかしながら、最善の与信管理体制を取ってはいるものの想定外の貸倒引当金または貸倒損失の発生等により事業計画を達成できない場合、当社グループの事業展開および業績等に影響を与える可能性があります。

③ Investment事業について

 当社グループは、Investment事業の一環として有価証券、投資ファンドへの投資を行っており、為替や株式等金融市場の影響を受けます。そのため、金融市場の動向によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるため、本事業に係る投資については、投資後の運用状況のモニタリングを通じ、リスクとリターンを管理しております。市場動向を勘案しながら有価証券の売却を行い、上記リスクに伴う業績への影響を抑制する方針です。

④ 法的規制について

 当社グループは、インターネット広告及び関連サービスにおける個人情報及び個人関連情報等の取扱いに対する規制並びに景品表示法等の消費者保護に関する規制、ソリューション開発等における下請事業者及びフリーランスの保護に関する規制、BNPLサービスにおける割賦販売法等による規制に対応する必要があります。特に、BNPLサービスにおいては、適用法令を含め法整備がされているとは言い難い分野であることから、新たな法令や規制等が生じる可能性があり、その場合には、当該法令等に対応する必要があります。各種法令等に違反した場合には、制裁金の支払い等の経済的損失のみならず社会的信用の低下により当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 人材の確保、教育・育成及び特定経営者への依存について

 当社グループは競争優位性を確保する上で、人材を重要な経営資源として捉えており、優秀な人材の確保及び教育・育成を重要な課題と認識しております。特に、今後の事業拡大に合わせて充分な体制を維持・強化すべく、高度な専門性又は企業経営に関する高い見識を有する人材の確保と維持が不可欠です。人と組織の潜在能力を引き出す様々な育成プログラム(研修/能力開発)や個人の能力発揮と自立的なキャリア形成を実現するグループ会社間での異動/副業の仕組み、環境変化への柔軟性と成果に連動させる人事制度ポリシーを通して人材の確保と定着を実現します。しかしながら人材採用と教育・育成には、有効と考えうる施策を講じておりますが、人材市場環境の変化等により、必要な人材の確保や教育・育成が想定どおり進展しない場合や、事業構造改革の影響を受けて、人材が流出した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、代表取締役である鉢嶺登、野内敦は、創業以来当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしております。これら役員が何らかの理由により業務執行が困難となるような事態が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

⑥ 情報セキュリティ及び個人情報管理に関わるリスクについて

 当社グループでは、事業を通じて、自社及び顧客等にかかわる機密情報、及び個人情報を扱うことがあります。当社グループは、これら情報が極めて機密性の高い情報であることを認識しております。また、在宅勤務が可能な状態となっていることから、情報セキュリティについては、重要課題として「情報セキュリティポリシー」及び「グループ統一情報セキュリティ基本規程」をグループで定め、情報セキュリティ管理室を設置するなど情報管理体制を整え、ISMS認証を取得しております。昨今のこれら情報管理に対する社会的動向も加味し、情報セキュリティ全般の更なる管理体制の強化を進めております。

 また、個人情報保護法(Cookie及び行動履歴情報等個人関連情報の利用規制強化等)などの保護規制の動向を注視し、個人情報保護に関する対策をしております。しかしながら、システム上の問題、関係者の過失や犯罪行為等によって、個人情報を含む機密情報が流出する可能性は否定できず、当社グループの社会的信用の失墜や損害賠償請求により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 知的財産権に関わるリスクについて

 当社グループは、Marketing事業及びFinancial Services事業の各事業活動を行うほか、マーケティング支援を目的としたデータ分析等を展開し、またグループブランディングを強化していく上で、データ等を含む知的財産権の管理を重要なものと位置づけております。しかしながら、役員及び従業員の過失等の要因により、第三者の知的財産権を侵害してしまい、損害賠償や差止めの請求を受ける場合があり、一方で、当社グループが有する知的財産権を侵害されてしまい、訴訟提起等の対応を行う場合、また、事前の条件合意が十分でなかったことにより紛争が生じ、その対応を行う場合があります。また、各事業活動において、ChatGPT及びその他の生成AIを活用する機会も増えておりますが、生成AIに関しては、著作権等の知的財産権に関わる法令の整備が追い付いておらず、各国における取り扱いも統一されていないことから、突発的な紛争や損害賠償請求等を受ける可能性も否定できません。それらの結果によっては、当社グループの信用低下や経済的損失が生じる可能性があります。

 当社グループでは、当社の法務・コンプライアンス部門主導により、役員及び従業員を対象として知的財産権の管理に関するルールの周知及び研修を実施するといった意識啓発を行うなどの対策に努めるとともに、当社グループ内の知的財産の権利化に向けた体制構築を検討しております。また、データ等及び生成AIの利用に関連する法令は現時点で十分に整備されているとは言い難いものであることから、後の紛争リスクを回避するために、取引先との交渉段階において明確な条件合意を行うよう努めております。

 しかしながら、それらの結果によっても、当社グループの信用低下や経済的損失が生じる可能性があります。これらの場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 業務遂行について

 当社グループは、適正に業務が遂行されるよう諸規程やマニュアル等を整備しておりますが、役員及び従業員による不正行為、不適切な行為、事務処理のミス、労務管理上の問題、取引先との間のトラブル等が発生し、適切な対処ができなかった場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージを損なうこと等により当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑨ システムやネットワークの可用性低下に関するリスクについて

 当社グループは、業務において様々な業務システムを利用しております。既に多くのシステムについてはクラウド化がなされているため、サーバー等機器の故障によるサービスダウン等のリスクは大幅に低減された状況にあります。しかしながら、自然災害やシステム障害等によりクラウドサービス事業者によるサービスの提供が途絶えるなどした場合には、当社グループの業務活動が停止する可能性があります。本リスクに対し当社グループでは、業務用サービスの導入にあたっては信頼しうるサービスであることを確認の上導入を行うことでリスクの低減を図っております。

 また、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックを契機に、当社グループはリモートワークを含めた多様な勤務形態へと切り替えております。これにより従業員のインターネットへのアクセス手段の確保も業務継続に重要な要素となっております。そのため、各在宅先の通信回線問題などによる通信速度の低下や通信の途絶が生じた場合、業務効率の低下もしくは停止を引き起こす可能性があります。ただし本リスクに対しては全社員向けに社用スマートフォンを貸与することで、問題発生時にも代替手段としてインターネット網へのアクセスを確保できるよう対策を講じており、リスクの低減を図っております。

⑩ 取引先の選定及び与信について

 当社グループは、取引先の選定にあたって事前の与信調査を可能な範囲で行っておりますが、通常予測しえない何らかの事情により取引先の与信が低下し、債権回収の不調等による経済的損失が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑪ グループ経営について

 当社グループは、当社を持株会社とし、子会社を通じてMarketing事業及びFinancial Services事業を展開する一方で、Investment事業として営業投資有価証券及び投資有価証券への投資を行っております。当該子会社の事業状況等の悪化、もしくは投資先の業績悪化により、減損損失の発生、支援費用発生等、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。投資後の事業については、計画に対する進捗状況を定期的にモニタリングし、事業継続・再生・撤退の判断を通じて事業リスク低減を図っております。

⑫ M&A等の事業投資について

 当社グループが事業展開するインターネット業界は、関連技術及びビジネスモデルの変化が非常に早く、競争環境は大きく変化します。当社グループは、Marketing事業およびFinancial Services事業の強化また新規事業育成とともに、M&A等の事業投資による経営戦略の実行も有効な手段であると認識しております。

 当社グループはM&A等の積極的な事業投資の実施を検討しております。これらの投資は既存事業の再編、新規事業の立ち上げ、ジョイントベンチャーを含む新会社の設立、他社株式や持分の取得など多様な投資形態に及ぶことが想定されます。

 M&A等の事業投資を行う際には、対象事業の内容や契約関係についてデューデリジェンス等を行い、十分な精査を行うことでリスクの回避に努めておりますが、偶発債務、未認識債務等の発生、事業環境の変化等により、計画どおりに事業を展開することが出来ず、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

⑬ 資金運用について

 当社グループは、常に余裕を持った資金繰りを行うことができるよう資金調達や運用状況の分析を行っておりますが、資金調達と資金運用の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出等により資金繰りが困難になる、あるいは著しく高い金利での調達を余儀なくされる可能性があります。このような場合、資金調達コストの上昇が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑭ インターネット等による風評被害について

 ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上の掲示板への書き込みや、それを起因とするマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散した場合、その内容の正確性にかかわらず、当社グループの経営にとってマイナスの影響が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑮ 自然災害等について

 地震、津波、地球的気候変動による大規模降雨・洪水等、不可抗力の自然災害の発生により、直接的又は間接的に当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、人命第一と安全確保を最優先に考えた常なる備えとして、これら自然災害発生に伴う影響を最小限に留めるよう、BCP(Business Continuity Plan)を策定しており、災害時には即時の安否確認・スムーズな初動対応・優先業務が立ち上げられるよう事業継続力の向上に取り組んでおります。また、安否確認サービスを導入し、定期的な訓練を行うことで災害時の情報管理に備えております。さらに日ごろから役員及び従業員に対しハイブリッドワーク勤務(出社・テレワークを切り替えながら、業務を遂行する働き方)を推奨することで、これらの災害等が発生した場合でも事業が問題なく継続できるよう体制を整備しておりますが、災害等による物的・人的損害が甚大である場合には、事業活動自体が困難又は不可能となる可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況

(財政状態の状況)

 当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べて2,065百万円減少し、48,217百万円となりました。負債の合計は、前連結会計年度末に比べて1,240百万円減少し、15,150百万円となりました。純資産の合計は、前連結会計年度末に比べて825百万円減少し、33,066百万円となりました。

 

(経営成績の状況)

 当社グループの当連結会計年度における業績は収益16,155百万円(前連結会計年度比0.7%減)、売上総利益10,015百万円(前連結会計年度比8.5%減)、営業利益984百万円(前連結会計年度比59.8%増)、経常利益1,734百万円(前連結会計年度比358.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,341百万円(前連結会計年度比464.5%増)となりました。

 

 セグメント別の業績は次のとおりです。

 

<Marketing事業>

 Marketing事業は、株式会社オプトが提供するデジタル広告支援を中心に、デジタルマーケティング支援及びDX開発等で構成されております。

 Marketing事業の当連結会計年度における業績は、収益11,990百万円(前連結会計年度比3.3%減)、売上総利益8,311百万円(前連結会計年度比2.5%減)、営業利益2,194百万円(前連結会計年度比28.0%増)、EBIT2,179百万円(前連結会計年度比21.4%増)、EBITDA2,396百万円(前連結会計年度比2.0%増)となりました。

 

<Financial Services事業>

 Financial Services事業は、株式会社バンカブルが提供する広告費等の分割・後払いサービス事業等で構成されております。

 Financial Services事業の当連結会計年度における業績は、収益479百万円(前連結会計年度比28.0%増)、売上総利益390百万円(前連結会計年度比22.9%増)、営業損失356百万円(前連結会計年度は営業損失376百万円)、EBIT△499百万円(前連結会計年度は△376百万円)、EBITDA△298百万円(前連結会計年度は△355百万円)となりました。

 

<Investment投資事業>

 Investment事業は、株式会社デジタルホールディングス、Bonds Investment Group株式会社、BIG1号投資事業有限責任組合、BIG2号投資事業有限責任組合、BIG SX1号投資事業有限責任組合、及びOPT America,Inc.にて運用を行う投資事業で構成されております。

 Investment事業の当連結会計年度における業績は、収益3,725百万円(前連結会計年度比5.6%増)、売上総利益1,336百万円(前連結会計年度比36.6%減)、営業利益1,186百万円(前連結会計年度比39.0%減)、EBIT1,962百万円(前連結会計年度比17.8%増)、EBITDA2,858百万円(前連結会計年度比9.8%増)となりました。

 

<株式会社デジタルホールディングス(以下「HD」という。)管理コスト>

 HD管理部門の当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,037百万円(前連結会計年度比23.4%減)となりました。

 

(参考)当連結会計年度における報告セグメント別の収益・営業利益・EBIT・EBITDA

(%は前連結会計年度増減率)

 

収益

営業利益

EBIT(注)1

EBITDA(注)2

百万円

百万円

百万円

百万円

Marketing事業

11,990

△3.3

2,194

28.0

2,179

21.4

2,396

2.0

Financial Services事業

479

28.0

△356

-

△499

-

△298

-

Investment事業

3,725

5.6

1,186

△39.0

1,962

17.8

2,858

9.8

調整額

△40

-

△2,039

-

△2,032

-

△1,958

-

合計

16,155

△0.7

984

59.8

1,609

300.7

2,997

49.3

(注)1.EBIT=税金等調整前当期純利益+支払利息-受取利息

   2.EBITDA=EBIT+その他金融関連損益+減価償却費+償却費+株式報酬費用+減損損失

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動、投資活動で資金を獲得した一方、財務活動で資金を使用したことにより、前連結会計年度末(18,860百万円)に比べて2,880百万円増加し、当連結会計年度末には21,741百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は6,920百万円(前連結会計年度は3,436百万円の減少)となりました。

これは主に、営業投資有価証券の減少が1,987百万円、未収入金の減少が2,453百万円及び、法人税等の還付額が

1,697百万円が発生したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果増加した資金は395百万円(前連結会計年度は1,272百万円の減少)となりました。

これは主に、投資有価証券の取得による支出が919百万円発生したものの、投資有価証券の払戻による収入が

1,459百万円発生したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は4,678百万円(前連結会計年度は3,056百万円の減少)となりました。

これは主に、長期借入金の返済による支出が1,000百万円、配当金の支払による支出が1,309百万円及び非支配株

主への払戻による支出が2,454百万円発生したことによるものであります。

 

なお、キャッシュ・フロー指標の推移については、以下のとおりであります。

 

2022年12月期

2023年12月期

2024年12月期

自己資本比率(%)

53.3

58.3

63.6

時価ベースの自己資本比率(%)

38.0

43.5

44.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

487.8

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

2 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

3 2022年12月期及び2023年12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため記載を省略しております。

 

③ 仕入及び販売の実績

a.仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

Marketing事業

3,668

△4.2

Financial Services事業

89

55.9

Investment事業

400

△19.7

合計

4,158

△5.2

(注)1 実際の仕入額によっております。なお、Investment事業については当連結会計年度に実行した投資額によっております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

b.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

Marketing事業

11,950

△3.3

Financial Services事業

479

28.0

Investment事業

3,725

5.6

合計

16,155

△0.7

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産の分析)

 当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べて2,065百万円減少し、48,217百万円となりました。

 流動資産は37,016百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,481百万円減少いたしました。これは主に、営業投資有価証券が1,982百万円及び未収入金が2,453百万円減少したことによるものであります。

 固定資産は11,201百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,415百万円増加いたしました。これは主に、関連会社株式が706百万円及び投資有価証券が695百万円増加したことによるものであります。

 

(負債の分析)

 当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べて1,240百万円減少し、15,150百万円となりました。

 流動負債は10,322百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,472百万円減少いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が1,000百万円及び賞与引当金が123百万円減少したことによるものであります。

 固定負債は4,828百万円となり、前連結会計年度末に比べて231百万円増加いたしました。これは主に、繰延税金負債が228百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産の分析)

 当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べて825百万円減少し、33,066百万円となりました。

 これは主に、その他有価証券評価差額金が499百万円、為替換算調整勘定が827百万円増加及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,341百万円増加したものの、非支配株主持分が2,184百万円減少したこと及び配当により利益剰余金が1,309百万円減少したことによるものであります。

 

b.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループが重要視している経営指標は、EBIT、EBITDA、フリー・キャッシュ・フローであります。業績内容をより正確に把握する指標として、税金等調整前当期純利益に支払利息を加算し受取利息を減算したEBIT、EBITにその他金融関連損益、減価償却費、償却費、株式報酬費用及び減損損失を調整したEBITDAを採用しております。

 当連結会計年度の連結業績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績等の状況」をご参照ください。

 当連結会計年度より、経営効率を目的とした会社組織の変更を行ったこと等により、Marketing事業においては収益11,990百万円(前連結会計年度比3.3%減)、EBITDA2,396百万円(前連結会計年度比2.0%増)となり、Financial Services事業においては戦略的GMVコントロールにより収益減少も小口分散化が順調に推移した結果、収益479百万円(前連結会計年度比28.0%増)、EBITDA△298百万円(前連結会計年度は△355百万円)となりました。

 また、Investment事業においては、EBITDA2,858百万円(前連結会計年度比9.8%増)となりました。

 HD管理部門コストは、2,037百万円(前連結会計年度比23.4%減)となりました。

 この結果、当連結会計年度の業績は収益16,155百万円(前連結会計年度比0.7%減)、EBITDA2,997百万円(前連結会計年度比49.3%増)となりました。

 また、フリー・キャッシュ・フローは当社グループの事業活動におけるキャッシュ・フロー獲得能力を把握するための指標として採用しております。当社グループの当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは7,316百万円(前連結会計年度は△4,708百万円)となりました。これは主として、未収入金の減少及び法人税等の還付等により営業キャッシュ・フローが増加及び、投資有価証券の払戻による収入により投資キャッシュ・フローも増加したためであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 また、当社グループでは持続的な企業価値向上のため、強固な財務基盤を維持する一方で、必要な手元流動性を確保した上で事業活動から生み出されるネットキャッシュを成長分野に投下することを基本方針としております。当社グループはInvestment事業でのインターネット関連企業への投資により発生したキャピタルゲイン等を原資として、既存のMarketing事業およびFinancial Services事業強化に向けた投資の実施や関連する企業等の買収を検討しております。

 将来の成長に必要な投資資金や株主還元の為の資金は、前述のとおり自己資金から賄うことを基本方針としておりますが、当社グループの財務状況や資本市場動向に鑑み、コストや機動性等を総合的に精査した上で、金融機関からの借り入れ等外部資金の活用も含め最適な方法による資金調達にて対応する予定です。

 

d.キャッシュ・フローの分析

 「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

e.経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの事業には、景気の変動等によるインターネット広告市場への影響や競合他社の状況、法的規制等、経営成績に重要な影響を与えうる様々なリスク要因があります。詳細につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

5【経営上の重要な契約等】

 金銭消費貸借契約

 当社は、下記のとおり金銭消費貸借契約を締結しております。

 

取引先

契約締結日

使途

契約期間

契約金額

担保

株式会社三井住友銀行

 (注)1

2022年7月27日

運転資金

2022年7月29日から

2026年7月31日まで

3,000百万円

特段の定めはありません

株式会社三菱UFJ銀行

 (注)2

2023年7月31日

運転資金

2023年7月31日から

2026年7月31日まで

1,000百万円

特段の定めはありません

(注)1 2022年6月21日の取締役会における決議に基づき金銭消費貸借契約を締結しております。

2 2023年6月20日の取締役会における決議に基づき金銭消費貸借契約を締結しております。

 

6【研究開発活動】

 記載すべき重要な研究開発活動はありません。