第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、前連結会計年度から継続して多額の営業損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、監査・保証実務委員会報告第74号「継続企業の前提に関する開示について」に照らすと、当第2四半期連結会計期間末において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているとされます。

当社グループは、このため、固定費用の圧縮や有価証券・不動産など保有資産の売却を進めるとともに、取引先金融機関に対しては既存の借入契約の維持(リファイナンス)の要請を、また、新株予約権の引受先には新株予約権の早期行使をそれぞれ要請しております。

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の収束時期の合理的な予測とこれらの対応策の効果を反映した資金繰り計画に基づいて、2023年4月30日まで十分な資金を有することが可能と判断しておりますので、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 ① 経営成績の状況

当第2四半期連結会計期間における経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大の防止策を講じ、経済社会活動が正常化に向かう中、各種政策の効果や海外経済の改善により、持ち直しが期待されるものの、ウクライナ情勢等による世界情勢の不透明感や原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクの高まりなど、依然として厳しい状況となりました。

このような環境の中、当社グループは、社員のグループ外出向をはじめ、各国においてコスト削減を継続し、政府からの雇用調整助成金等を最大限に活用するなど、コロナ禍に対応した経営体制の再編や働き方改革を推進しました。また、「自然の摂理にのっとり、人類の創造的発展と世界平和に寄与する」という企業理念のもと、旅行のみならず様々な事業を通じ、常に変化・発展し続ける企業として、世界の平和に貢献できる新しいビジネスモデルの構築を目指してまいりました。

 

当社グループの当第2四半期連結累計期間の業績は、新型コロナウイルスの影響を全般的に受けた前年同期に比べ、海外における経済活動再開の動きがあったことにより、海外の旅行事業とホテル事業では回復が見られました。しかしながら、国内における事業においては、甚大な影響を受けており、売上高は678億24百万円、営業損失は288億7百万円となりました。また、雇用調整助成金等による特別利益を81億97百万円計上した一方で、HTBエナジー株式譲渡に伴う費用発生に備えるための関係会社整理損失引当金繰入額の計上、臨時休業による損失及び固定資産の減損損失による特別損失を48億24百万円計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純損失は285億55百万円となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、従来の会計処理方法によった場合に比べ、売上高は337億83百万円減少しております。営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する四半期純損失への影響はそれぞれ軽微であります。

セグメント別の当第2四半期連結累計期間の業績は以下のとおりです。また、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

 

(旅行事業)

当第2四半期連結会計期間における旅行市場は、世界的な新型コロナウイルス感染症まん延防止による各国における入国制限や渡航制限措置等により、引き続き甚大な影響を受けており、非常に厳しい状況が継続しました。日本人出国者数においては19年同期比4.3%の42万人、訪日外客数は19年同期比1.7%の27万人と減少いたしました。(出典:日本政府観光局(JNTO))

当社の海外旅行事業においても、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策緩和の動きが見られたものの、お客様の安全の確保、及び旅程管理ができるまでの環境が整っていないことから、4月末まで全方面の企画旅行催行中止を延長とし、コロナ禍以前の回復には至っておりません。

国内旅行事業においては、「まん延防止等重点措置」が3月21日まで実施されていたことにより、国内旅行需要の鈍化がみられましたが、国内旅行需要再開を見据え、3月から「沖縄LeaLeaキャンペーン第2弾」を実施したことや、4月より都道府県が実施する観光需要喚起策「県民割」「ブロック割」(地域観光事業支援)が拡大されたことにより、春休みやゴールデンウィークに向けて駆け込みの旅行需要が底上げされるなど、顕著な回復がみられました。前年同期と比較すると、前年は緊急事態宣言下であり、またワクチン接種の開始がされていなかった環境でもあったことから、大幅な回復は示しているものの、コロナ禍以前の2019年水準には至っておりません。

法人事業ではコロナ禍において、海外とのオンライン商談会や、マイナンバーカード加入促進事業などの公的BPO事業に注力いたしました。また、新規事業として、2022年4月に「変なホテル東京 赤坂」内にドライヘッドスパ専門店「MICHI」を開業するなど、自社の持つ豊富な人材とグループ会社のリソースを活かした新規事業の立ち上げを行いました。

海外における旅行事業では、新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の感染拡大により、一部入国制限や渡航制限の措置があったものの、「ワクチン接種証明」、「陰性証明」、「回復証明」のいずれかを所持していれば、事前のPCR検査や入国後の隔離措置が不要になるなど、自由な往来が可能な地域が拡大しており、カナダに拠点を置く海外グループ会社やトルコ法人を中心に、ローカルマーケットの旅行需要の回復がみられました。海外支店のインバウンド事業においては、日本から海外への渡航制限措置が継続されているため、厳しい状態が続いておりますが、旅行領域以外の事業として、法人事業と連携し、企業の海外進出支援事業や物販事業、また飲食事業や不動産事業等の展開を強化するなど、新たなローカルマーケットの獲得強化に注力いたしました。

なお、当社グループの営業拠点数は、国内外において統廃合を実施した結果、国内145拠点、海外60カ国113都市162拠点となりました。(2022年4月末日時点)

以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は227億37百万円、営業損失は154億10百万円となりました。

 

(テーマパーク事業)

ハウステンボスでは、1月21日より長崎市・佐世保市が「まん延防止等重点措置」の対象となり、その後は県内全域へと拡大した影響を受ける中、コロナ禍以前には及びませんでしたが、総入場者数が前年同期比193.6%と大きく前年を上回りました。加えて2022年に開業30周年を迎えるのを記念し、長崎県民感謝キャンペーンや、3月には「30周年アニバーサリーセレモニー」をはじめ、花火やパレードなどの特別イベントの実施をしたことで、2年ぶりに上期を通じて営業利益を計上しました。

ラグーナテンボスにおいても、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、厳しい経営環境となりました。3月から実施しているテレビアニメ「東京リベンジャーズ」のテーマパークコラボイベント「東京卍會決起集会 in ラグーナテンボス」のイベントが好評を博しましたが、入場者数においてはコロナ禍以前までの回復には至りませんでした。

以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は103億66百万円、営業利益は1億74百万円となりました。

 

(ホテル事業)

ホテル事業では、既存ホテルの収益性改善に努めました。

独自の宿泊プランを展開し、客室単価の向上と、清掃費、リネン費、客室備品費や広告費などのコスト削減に取り組みました。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、国内海外のホテルともに、引き続き宿泊者数は減少いたしました。

以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は35億72百万円、営業損失は20億68百万円、EBITDAベースでは1億70百万円の損失となりました。

 

(九州産交グループ)

九州産交グループでは、新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の感染急拡大を受け、1月21日から3月21日の期間において「まん延防止等重点措置」が実施されたことにより、事業全体に影響が及びました。外出抑制意識の高まりにより、バス事業では高速バスの運休・減便が継続し、飲食物販事業でも時短営業や休業が相次ぎました。大型商業施設「サクラマチ クマモト」では、各種イベント等も中止となり、入館者数も減少するなど、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける結果となりました。

以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は85億91百万円、営業損失は7億1百万円となりました。

 

(エネルギー事業)

電力小売事業では、引き続き卸電力取引市場と相対による取引を組み合わせた調達に取り組んでまいりましたが、当期においても電力調達価格の高騰の影響を非常に大きく受ける結果となりました。価格高騰の常態化を受け、電力小売事業を担うHTBエナジー株式会社の再建には時間を要するとの判断に至り、4月末に株式を譲渡する契約を締結いたしました。

発電事業においては、燃料となるRSPO認証のパーム油の価格が引き続き高騰し、バイオマス発電所は設備維持のための短時間の運転にとどめ、本格稼働は見合わせました。

以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は215億23百万円、営業損失は94億13百万円となりました。

 

 ② 財政状態の分析

当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ206億31百万円減少し、3,905億17百万円となりました。これは主に、有形固定資産の減少(前期末比97億7百万円減)、旅行前払金の減少(同40億8百万円減)、貸付金の減少(同35億17百万円減)、繰延税金資産の減少(同29億91百万円減)、投資有価証券の減少(同24億18百万円減)によるものです。

当第2四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ106百万円増加し、3,535億98百万円となりました。これは主に、旅行前受金の減少(前期末比56億77百万円減)がある一方で、関係会社整理損失引当金の増加(同30億93百万円増)によるものです。

当第2四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ207億37百万円減少し、369億19百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上等による利益剰余金の減少(前期末比283億31百万円減)がある一方で、第三者割当増資による資本金及び資本剰余金の増加等(同75億94百万円増)、為替換算調整勘定の増加(同13億3百万円増)によるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、964億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ84億12百万円増加しました。

当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動により資金は180億22百万円の減少(前第2四半期連結累計期間は88億33百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純損失(253億9百万円)、旅行前受金の減少(58億13百万円)により資金が減少し、一方で非資金項目である減価償却費(60億6百万円)、旅行前払金の減少(40億44百万円)により資金が増加したことによるものです。

また、前第2四半期連結累計期間の減少は主に、税金等調整前四半期純損失(259億75百万円)により資金が減少し、一方で仕入債務の増加(73億22百万円)、及び非資金項目である減価償却費(59億86百万円)により資金が増加したことによるものです。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動により資金は195億94百万円の増加(前第2四半期連結累計期間は45億84百万円の増加)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入(136億28百万円)、有形及び無形固定資産の売却による収入(86億69百万円)により資金が増加したことによるものです。

また、前第2四半期連結累計期間の増加は主に、有形及び無形固定資産の売却による収入(55億1百万円)、投資有価証券の売却・償還による収入(40億71百万円)により資金が増加し、一方で有形及び無形固定資産の取得による支出(76億65百万円)により資金が減少したことによるものです。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動により資金は58億96百万円の増加(前第2四半期連結累計期間は116億97百万円の増加)となりました。これは主に、株式発行による収入(75億円)、新株予約権の発行による収入(1億65百万円)により資金が増加したことによるものです。

また、前第2四半期連結累計期間の増加は主に、株式発行による収入(87億4百万円)、非支配株主からの払込による収入(20億65百万円)により資金が増加したことによるものです。

 

以上の結果、当第2四半期連結会計期間末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ84億12百万円増加し964億91百万円となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第2四半期連結累計期間におきまして、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第2四半期連結累計期間におきまして、当社グループが対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資及びM&Aであります。運転資金につきましては金融機関からの借入、増資により資金調達を行っております。設備投資及びM&Aにつきましては金融機関からの借入、社債及び転換社債型新株予約権付社債の発行、増資により資金調達を行っております。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

(HTBエナジー株式会社の株式譲渡に関する契約)

当社は2022年4月28日に当社の連結子会社であるHTBエナジー株式会社(当社100%子会社、以下「HTBエナジー」。)の全株式を株式会社HBD(株式会社光通信の連結子会社)へ譲渡する契約を締結いたしました。本株式譲渡によりHTBエナジーは、本株式譲渡日である2022年5月20日をもって当社の連結子会社から除外されることとなります。

詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。