継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、前連結会計年度から継続して多額の営業損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、監査・保証実務委員会報告第74号「継続企業の前提に関する開示について」に照らすと、当第3四半期連結会計期間末において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているとされます。
当社グループは、このため、固定費用の圧縮や有価証券・不動産など保有資産の売却を進めるとともに、取引先金融機関に対しては既存の借入契約の維持(リファイナンス)の要請をしております。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の収束時期の合理的な予測とこれらの対応策の効果を反映した資金繰り計画に基づいて、2023年7月31日まで十分な資金を有することが可能と判断しておりますので、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第3四半期連結会計期間における経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大の防止策を講じ、経済社会活動が正常化に向かう中、各種政策の効果により、景気が持ち直していくことが期待される一方で、世界的に金融引締めが進む中での金融資本市場の変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスクが高まるなど、依然として厳しい状況となりました。
このような環境の中、当社グループは、社員のグループ外出向をはじめ、各国においてコスト削減と業務の効率化により収益性の改善を図るなど、コロナ禍に対応した経営体制の再編や働き方改革を推し進めました。また、「自然の摂理にのっとり、人類の創造的発展と世界平和に寄与する」という企業理念のもと、旅行のみならず様々な事業を通じて、常に変化・発展し続ける企業として、世界の平和に貢献できる新しいビジネスモデルの構築を目指してまいりました。
当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績は、新型コロナウイルスの影響を全般的に受けた前年同期に比べ、海外における経済活動再開の動きがあったことにより、海外の旅行事業とホテル事業では回復が見られました。しかしながら、国内における事業においては、甚大な影響を受けており、売上高は999億65百万円、営業損失は391億32百万円となりました。また、雇用調整助成金等による特別利益を105億17百万円計上した一方で、HTBエナジー株式会社の全株式譲渡による関係会社株式売却損や臨時休業による損失等に伴う特別損失を50億37百万円計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純損失は35億133百万円となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、従来の会計処理方法によった場合に比べ、売上高は679億44百万円減少しております。営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する四半期純損失への影響はそれぞれ軽微であります。
セグメント別の当第3四半期連結累計期間の業績は以下のとおりです。また、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。
(旅行事業)
当第3四半期連結会計期間における海外・訪日旅行市場は、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大に伴う入国制限などの影響を受けました。当第3四半期連結累計期間における日本人出国者数は2019年(コロナ禍以前)同期比6.9%、前年同期比328.7%の100.5万人、訪日外客数は2019年(コロナ禍以前)同期比2.8%、前年同期比260.7%の68.4万人となりました。(出典:日本政府観光局(JNTO))
海外旅行事業につきましては、各国に発出していた感染症危険情報レベルの引き下げが行われ、日本における新型コロナウイルス感染症の水際対策緩和への動きとして、1日当たりの入国者数上限が段階的に引き上げられるなど、海外渡航再開の兆しがみられました。当社では、顧客ニーズの多かったダイナミックパッケージに対応した、誰もが安心して行ける旅をサポートする9つのサービス「RE:TRAVEL SUPPORT」の提供を行いました。他にも、煩雑な海外渡航手続きに対応した「出発時PCR検査付き航空券」や、現地で新型コロナウイルスに感染した際に現地でのサポートを付帯する「自由旅行あんしんパック付き航空券」の展開を図るなど、様々な施策を通じて海外旅行の需要喚起に努めました。5月にはハワイツアーを皮切りに自社主催ツアーを再開し、37の国と地域(7月末時点)へのツアー催行まで拡充を図っております。しかしながら、日本発着において1日当たりの入国者数上限が大幅に抑えられ、国際線航空座席供給数の制限もあることから、本格的な回復までには至っておりません。
国内旅行事業につきましては、国の観光支援である「県民割・ブロック割」により、全国規模でマイクロツーリズム需要が高まりをみせました。当社では、バスツアーや鉄道ツアーを通じて、各地域の魅力やマイクロツーリズムのニーズに対応した商品を企画し、集客に努めました。また、航空機を利用するパッケージツアーでは「沖縄LeaLeaキャンペ-ン」や、「アニ旅×進撃の巨人」(沖縄・北海道)のコラボレーション企画などにより、送客を大きく伸ばすことができ、前年同期からは大幅な回復を示しているものの、コロナ禍以前の2019年を超える水準には至っておりません。
法人事業においては、コロナ禍において、行政機関の公的支援事業(プレミアム商品券事業、無料PCR検査補助事業、マイナンバーカード・マイナポイント関連事業など)や、各企業からの受託事業により、非旅行事業として事業連携の推進を行いました。
海外における旅行事業では、各国で異なる出入国手続きや旅行業界の人員不足などで煩雑な状況は続いているものの、欧米諸国をはじめとし、各国で徐々に事前のPCR検査や入国後の隔離措置が不要になるなど、自由に往来可能な地域が拡大しており、当社でもカナダとヨーロッパに拠点を置く海外関係会社やトルコ法人を中心として、ローカルマーケットの旅行需要の回復がみられました。海外法人のインバウンド事業においては、日本からの海外渡航需要が回復していないため、厳しい状態が続いておりますが、旅行領域以外の事業として、飲食事業や不動産事業等を推進しており、ローカルマーケットへのビジネスの強化に注力しました。また、当社の法人事業と連携し、企業の海外進出支援事業や物販事業の更なる展開を図っております。
なお、当社グループの営業拠点数は、国内外において統廃合を実施した結果、国内136拠点、海外60カ国112都市159拠点となりました。(2022年7月末日時点)
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は394億93百万円、営業損失は225億30百万円となりました。
(テーマパーク事業)
ハウステンボスでは、開業30周年特別企画として、4月には「九州在住者感謝キャンペーン」の実施や、3年ぶりに行動制限のない大型連休(ゴールデンウィーク)を迎え、恒例のバラ祭に加え、同時開催した「初夏のワイン祭」ではノンアルコールのメニューを増やすなど、顧客満足度向上に努め、幅広い層のお客様から好評を得ました。また、6月には「ミッフィーマンス30周年スペシャル」にて、イベント・物販・飲食・宿泊の園内全体での連動強化を図ることで、ミッフィー関連商品の売上増加に繋がりました。大型連休の日並びの兼ね合いもあり、コロナ禍以前(2019年)には及ばなかったものの、総入場者数は、前年同期比225.9%と大きく前年を上回りました。
ラグーナテンボスにおいては、6月まで開催していたテレビアニメ「東京リベンジャーズ」のテーマパークコラボイベント「東京卍會決起集会 in ラグーナテンボス」のイベントが好評を得ましたが、入場者数においてはコロナ禍以前までの回復には至りませんでした。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は151億74百万円、営業損失は1億58百万円、EBITDAベースでは13億67百万円の利益となりました。
(ホテル事業)
ホテル事業では、ウズベキスタンの首都タシケントに「ホテルインスピラ-S タシケント」を新規開業し、運営施設は世界6カ国8ブランド42軒となりました。
国内においては、既存ホテルである「変なホテル東京 浜松町」にリモートワークボックスを設置し、「変なホテル仙台 国分町」では、館内のプロジェクションマッピングのリニューアルを実施するなど、サービス向上に努めると共に、日本国内における移動制限がなかったこともあり、稼働率の回復がみられました。
海外においては、一部、欧米マーケットの回復を受け、「変なホテル ニューヨーク」は高い稼働率となったものの、それ以外のホテルはメインターゲットである日本からの海外旅行需要の減少が継続していることもあり、宿泊者数の大幅な改善には至りませんでした。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は61億12百万円、営業損失は34億54百万円、EBITDAベースでは5億57百万円の損失となりました。
(九州産交グループ)
九州産交グループでは、旅行支援事業である熊本県民割が4月から再開し、大型商業施設「サクラマチ クマモト」では、オリジナルイベント開催などにも取り組んだことで、5月には100万人以上の入館者数を記録しました。また、バス事業、飲食物販事業及び旅行事業等においても回復がみられたものの、引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける結果となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は132億38百万円、営業損失は10億83百万円、EBITDAベースでは2億78百万円の利益となりました。
(エネルギー事業)
電力小売事業では、4月は電力調達価格の高騰が比較的落ち着きを見せたものの、引き続き影響を受ける結果となりました。なお、2022年5月20日をもって、HTBエナジー株式会社の全株式譲渡が完了しております。
発電事業につきましては、燃料となるRSPO認証のパーム油の価格高騰の影響を受け、バイオマス発電所は設備維持のための短時間稼働にとどめ、引き続き本格稼働は見合わせました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は243億28百万円、営業損失は97億24百万円となりました。
② 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ96億73百万円減少し、4,014億74百万円となりました。これは主に、有形固定資産の減少(前期末比80億33百万円減)、貸付金の減少(同36億87百万円減)、投資有価証券の減少(同28億70百万円減)、繰延税金資産の減少(同11億55百万円減)がある一方で、現金及び預金の増加(同64億73百万円増)によるものです。
また、当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ121億82百万円増加し、3,656億75百万円となりました。これは主に、旅行前受金の増加(前期末比54億40百万円増)、助成金に係る預り金の増加(20億88百万円)、賞与引当金の増加(同7億23百万円増)によるものです。
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ218億56百万円減少し、357億99百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上等による利益剰余金の減少(前期末比349億06百万円減)がある一方で、第三者割当増資による資本金及び資本剰余金の増加等(同75億94百万円増)、為替換算調整勘定の増加(同68億81百万円増)によるものです。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間におきまして、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間におきまして、当社グループが対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。