第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、旅行を中心に幅広い事業の展開を通じて、グループ全体の持続的成長を実現するため、HIS Group Purpose〝「心躍る」を解き放つ″の旗印のもと、これからもあらゆる出会いと繋がりを創出し、豊かでかけがえのない時間の創造、相互理解を促進することで、世界の平和に貢献できる新しいビジネスモデルの構築を目指します。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標

当社グループは、アフターコロナを迎え基幹事業である旅行事業の回復がグループ全体の成長を牽引すると考え、2024年10月期からの3ヵ年の中期経営計画を策定しました。既存の事業領域に加え、新たな可能性を追求し続けるべく非旅行事業領域へのチャレンジにも積極的に取り組んでまいります。そして、現在の旅行事業を中心とした経営体制から変革し、より強固な事業ポートフォリオの転換および確立を通じた収益体質の強化を図り、企業価値の向上を目指してまいります。また、これらを成し遂げるためには事業の持続的な成長が不可欠であり、各事業の売上高・営業利益の成長率を重視の上、財務の安定性基準として自己資本比率20%以上、収益性の基準としてROE10%以上を当面のターゲットといたします。

 

(3)対処すべき課題

当連結会計年度における経営環境は、中東地域をめぐる情勢、海外景気の下振れによる影響や、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意が必要であるものの、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。

このような経営環境の中、当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりです。

 

① 財務の健全化

 自己資本の充実化及びフリーキャッシュフローを生み出す体制の構築が目下の課題と認識しております。状況に応じた資金調達や蓄積した保有資産の流動化等により、当面の手元流動性を確保しながら、コスト削減の徹底による体質強化、市場環境ビジビリティの改善までは投資計画を慎重に構えるなどキャッシュアウトを抑制し、キャッシュポジションの改善を図ってまいります。

 

② あらゆる変化への対応

 当社グループでは、各事業領域において、生産性の向上や収益性の改善が当面の課題と認識しており、解決に向けデジタルトランスフォーメーションを推進し、効率的な事業構造への変革を図り、事業ポートフォリオの再構築を目指すとともに、今後もグループ企業理念のもと、全てのステークホルダーの理解を深め、サステナブルな取組みを推進してまいります。

 加えて、テクノロジーの進化とともに社会やビジネスが劇的に変貌を遂げている中で、既定概念にとらわれることなく新たな可能性を見出し、あらゆる変化に対応し続けていくことが、持続的な成長を可能にすると考えております。

 基幹である旅行事業においては、地域の文化や歴史遺産、自然環境などの地域資源に目を向け、その土地の暮らしに敬意を払うことができるよう、また全ての関係者一人一人が各々の意識や行動に責任を持つことにつながるよう、持続可能な観光の実現のための取組みに注力してまいります。

 

③ 顧客満足の追求と安全・安心な商品の提供

 世界中で信頼され、お客様からご支持いただけるグローバル企業になるために、快適で安全・安心なサービスの提供が不可欠であると考えております。当社グループの持つ世界ネットワークやインフラを最大限に活用し、新たな体験価値の創造や、充実したサービスの提供を図ることで、今後も、安全、安心、高品質な商品やサービス、情報の提供に努めてまいります。また、国内外においてサービスレベルの向上を図ることで、世界中のお客様に喜ばれ、ご支持いただけるよう取り組んでまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは〝「心躍る」を解き放つ″というパーパスを掲げ、グローバルに事業を展開しております。

- 未知との出会い、人との繋がり、豊かな時間、ワクワク、高揚感、そして平和への想い -

世界中の人々がこの「心躍る」ことができる前提には、国籍、人種、文化、宗教などを越え、多様性を尊重し合い、世界の人々が安心して暮らせる社会と、人類を含めた動植物が生きる基盤となる健全な地球環境が必要だと考えております。

共存・共生・共栄を意識し、社会問題や環境問題に当社グループの事業を通じて取り組み、持続可能な社会の発展に貢献することを目指しております。

当社グループはさまざまな外部環境を「成長機会」と「事業リスク」として分析を行い、企業として取り組むべき7つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。その中に「地球環境の保全」「地域社会との共生」「多様な人財の活躍」「ガバナンスの強化」を掲げ、サステナビリティを経営における重要課題だと考えております。

 

1.ガバナンス

当社グループは、「HIS Group Philosophy」を策定しその浸透を推進しながら、ステークホルダーの皆様から信頼され、選ばれ続ける企業を目指しております。

代表取締役社長を委員長としたサステナビリティ推進委員会のリーダーシップのもと、リスク・コンプライアンス委員会、業務執行部門、国内外子会社と連携し、重要方針や施策について議論をするとともに、目標に対する進捗のモニタリング等を行い、サステナビリティへの取り組みを推進しています。同委員会における重要な事項については、取締役会に付議し、審議・承認を行います。

また、従業員一人ひとりが「HIS Group行動憲章」に則り、ステークホルダーの皆様の権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に取り組んでおります。

 

0402010_001.jpg

 

0402010_002.png

HIS Group Philosophyの詳細について https://www.his.co.jp/company/philosophy/

 

2.戦略

(1)気候変動

当社グループは、TCFD提言に沿って気候変動シナリオ分析を実施し、事業に関連する気候変動リスク・機会とその影響の大きさ及びその対応策をまとめております。リスク重要度が高く長期に及ぶ項目においては、中期経営計画の戦略にも反映し、重点的に対応を推進してまいります。

 

0402010_003.png

 

(2)人的資本

〔人的資本経営に関する基本的な考え方〕

当社グループでは、人財が価値創造の源泉であると考え、社員一人ひとりが働きがいを感じ、心躍る仕事ができる基盤づくりを進めております。

当社グループの歴史は、旅行ビジネスの常識への挑戦からスタートし、創業は1980年であります。当時の海外旅行者数は年間390万人ほど、市場規模は2019年の5分の1程度でした。当時は高額で団体旅行が中心だった海外旅行市場において、格安航空券を利用したFIT(Foreign Independent Tour)を取り扱う旅行会社の先駆けとなり、個人旅行・自由旅行という新しいマーケットの開拓への挑戦となりました。

そして創業50年目にあたる2030年に目指す姿(Vision2030)として、創業の原点である「挑戦心」をメッセージの冒頭に掲げ、「挑戦心あふれ 世界をつなぎ 選ばれ続ける企業に Change&Create」を策定しました。

「挑戦」は当社グループの歴史であり、社員一人ひとりが心躍る挑戦ができるための支援をすることにより当社グループの変革そして持続的成長を目指しております。

 

〔多様な人財の活躍〕

当社グループでは、マテリアリティ(重要課題)の1つに「多様な人財の活躍」を掲げております。

社員一人ひとりがお互いを尊重し合い、自分らしく挑戦し、成長し続けること、そして多様性を力に変えていくことを目指し、DEIB(Diversity,Equity,Inclusion,Belonging)を推進してまいります。

 

《当社における主な取り組み》

〇女性活躍の推進

  女性比率が高い当社グループにおいては、女性の活躍は重要テーマの1つと位置付けております。

  当社では、2021年子育てサポート企業(くるみん)、女性活躍推進企業(えるぼし3段階目)として認定されました。2019年には専任組織として「D&I推進室」を設置し、2023年にはさらに範囲を広げ、「DEIB推進室」に改編しました。

  経営に参画する女性社員を増やすために、女性管理職・役員比率を2026年10月期 20%、2030年10月期30%にするという目標を掲げ、代表取締役社長をリーダーとした、全国規模でのプロジェクトを立ち上げ、様々な取り組みを推進しております。またジェンダーに関わらず、仕事と育児を両立できる働きやすい会社を目指し、男性育児休業取得率2026年10月期 80%、2030年10月期 100%の目標を設定しております。

〇海外拠点における人財の活躍

  グローバルな事業展開を支える海外拠点における人財の活躍も重要テーマの1つです。

  2026年10月期には海外関係会社のNon-Japanese Manager比率65%を目標に掲げ、人財の育成・抜擢を進めてまいります。

 

〔社内環境整備方針〕

当社グループでは、HIS Group行動憲章に「快適で安全な職場環境の確保」を定めております。

社員が明るく元気に生き生きと挑戦し続けられるように、身体的安全性はもちろん、心理的安全性が確保された職場づくりを推進し、ワークエンゲージメントの向上を目指します。

 

《当社における主な取り組み》

〇健康経営の推進

  社員の健康保持・増進の為、様々な指標を活用し、労働環境改善を図り、健康保険組合や産業医と連携して「健康経営」を推進します。

・健康経営優良法人の認定

・有給休暇取得の促進

・健康診断 二次健診受診率の向上

・ストレスチェック受診率の向上

〇多様な働き方の推進

  2018年5月より、ライフスタイルの多様性に対応し、副業の解禁、在宅勤務制度並びに再雇用制度を導入しました。今後も多種多様な仕事に応じた働き方の最適化を目指し、短時間勤務、短日数勤務、リモートワーク、フレックスタイム制度等、様々な制度の更なる拡充を検討してまいります。

 

 

〔人財育成方針〕

Vision2030「挑戦心あふれ 世界をつなぎ 選ばれ続ける企業に Change&Create」に則り、一人ひとりが大きな夢・目標を持ち、従来の考え方にとらわれず、自由な発想で考え、失敗を恐れずに、新しいことに挑戦する人財の育成に取り組んでまいります。

 

《当社における主な取り組み》

〇変革期を主導するリーダー人財の育成

  当社グループにおける変革そして持続的成長のためには次世代をリードする人財の輩出は必須と考え、計画的なリーダー育成を実施します。

・次世代リーダー人財の育成

・持続した事業成長を支える、サクセッションプラン(後継者育成計画)の策定と推進

・テクノロジーの発展に連動したIT・デジタルリテラシーを高める研修の実施

〇自律したキャリア形成と多様な成長機会の創出

  一人ひとりが自律的にキャリアを構築できる仕組みづくりを実施します。

・キャリアプランを自己申告する制度を毎年実施

・自身の強みや望む未来を検討するキャリアデザイン研修の実施

・事業拡大に連動した多様な研修プログラムの拡充を推進

〇「HIS Group Philosophy」への共感と浸透

  一人ひとりがパーパス、バリュー、行動憲章、創業の精神から成る「HIS Group Philosophy」やHISグループらしさへの理解・共感を深め、個人の価値観や志との重なりを発見する機会を創出します。

 

3.リスク管理

当社グループでは、気候関連リスクにおいてサステナビリティ推進委員会とリスク・コンプライアンス委員会が連携して、リスクの識別・評価・管理を行っています。リスク管理室で気候変動に伴うリスクも含めた当社グループ全体の事業リスクに関する情報を収集し、リスク・コンプライアンス委員会に共有し、委員会では発生しうるリスクの洗い出し・分析・評価・対応に係る管理体制の整備や、リスクの顕在化を未然に防止するために活動を行っております。そして、サステナビリティ推進委員会において気候変動に伴うリスクを抽出し、TCFD提言のフレームワークに沿って分析し、環境における重要方針や施策について議論をするとともに、目標に対する進捗のモニタリング等を行い、適宜取締役会にも報告を行っております。

 

4.指標及び目標

(1)気候変動

当社グループでは、マテリアリティ(重要課題)の1つに「地球環境の保全」を掲げ、気候変動においても取り組みを進めております。2023年10月期においては国内主要グループ会社のScope1,2のCO排出量を把握し、CO目標の検討及び削減の取り組みを実施しております。またScope3に関しても把握へ向けて検討するとともに、削減の取り組みを推進しております。

 

CO排出量(Scope1+Scope2)※1

(単位:t)

 

2023年10月期実績

株式会社エイチ・アイ・エス

3,292.9

H.I.S.ホテルホールディングス株式会社

4,205.8

九州産交グループ 12社 ※2

28,370.8

※1 九州産交グループ12社のScope1に関しては、省エネ法定期報告書の集計方法に則り算出。九州産交グループ12社のScope1以外は、MS&ADインターリスク総研CO排出量簡易算出サービスの概算数値。

※2 九州産交グループ12社は、九州産業交通ホールディングス株式会社、九州産交バス株式会社、九州産交ツーリズム株式会社、九州産交ランドマーク株式会社、九州産交リテール株式会社、産交バス株式会社、熊本フェリー株式会社、九州産交オートサービス株式会社、株式会社KASSE JAPAN、九州産交プランニング株式会社、九州BMサービス株式会社、九州産交カード株式会社の数値を記載しております。

 

当社においてプラスチック使用量 70%削減(2019年10月期比)、コピー用紙使用量 50%削減(2019年10月期比)を2026年10月期迄に達成することを目標に、削減への取り組みを推進しております。

 

実績及び目標

(単位:t)

 

2019年10月期実績

2023年10月期実績

2026年10月期目標

プラスチック使用量

25.4

5.5

6.0

コピー用紙使用量

325.8

66.7

65.0

※2023年10月期は新型コロナウイルス感染症が事業活動に影響を与えていることから参考値となります。

 

詳しい取り組み内容については、以下URLをご参照ください。

https://www.his.co.jp/sustainability/

 

(2)人的資本

前記「2.戦略」に記載した内容に則り、人的資本経営を実践し、以下目標達成に向けて取り組みを推進してまいります。

 

女性管理職比率

 

2023年10月期実績

2026年10月期目標

2030年10月期目標

株式会社エイチ・アイ・エス

14.0%

20.0%

30.0%

H.I.S.ホテルホールディングス株式会社

12.0%

20.0%

30.0%

九州産交グループ 5社

21.4%

25.0%

30.0%

※九州産交グループ5社は九州産交バス株式会社、九州産交ツーリズム株式会社、産交バス株式会社、九州産交リテール株式会社、九州産交オートサービス株式会社の数値を記載しております。

 

女性役員比率

 

2023年10月期実績

2026年10月期目標

2030年10月期目標

株式会社エイチ・アイ・エス

15.4%

20.0%

30.0%

H.I.S.ホテルホールディングス株式会社

20.0%

30.0%

九州産交グループ 5社

3.7%

7.4%

11.1%

※九州産交グループ5社は九州産交バス株式会社、九州産交ツーリズム株式会社、産交バス株式会社、九州産交リテール株式会社、九州産交オートサービス株式会社の数値を記載しております。

 

男性育休取得率

 

2023年10月期実績

2026年10月期目標

2030年10月期目標

株式会社エイチ・アイ・エス

65.6%

80.0%

100.0%

H.I.S.ホテルホールディングス株式会社

50.0%

50.0%

70.0%

九州産交グループ 5社

42.8%

57.1%

71.4%

※九州産交グループ5社は九州産交バス株式会社、九州産交ツーリズム株式会社、産交バス株式会社、九州産交リテール株式会社、九州産交オートサービス株式会社の数値を記載しております。

 

その他の指標(当社における取り組み)

 

2023年10月期実績

2026年10月期目標

働きがい指数

56.1%

80.0%

有給休暇平均取得率

68.4%

75.0%

健康診断 二次健診受診率

45.0%

70.0%

ストレスチェック受診率

60.5%

70.0%

※社員満足度調査で「働きがいのある会社である」と答えた割合

 

海外関係会社における指標

 

2023年10月期実績

2026年10月期目標

Non-Japanese Manager比率

44.2%

65.0%

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

① 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、前連結会計年度から継続して多額の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、監査・保証実務委員会報告第74号「継続企業の前提に関する開示について」に照らすと、当連結会計年度末において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているとみなされます。

このため、当社グループは、継続的に固定費用の圧縮や有価証券・不動産などの売却を進めるとともに、取引先金融機関に対して既存の借入契約の維持(リファイナンス)を要請しております。

当社グループは、合理的な資金繰り計画に基づいて、2024年10月31日まで十分な資金を有することが可能と判断しておりますので、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

② 旅行需要・業界動向に関するリスク

当社グループにおけるセグメント別売上高は、旅行事業が80.2%を占めております。中でも、国別の売上高は日本に集中しており64.2%を占めております。従って、日本における旅行事業の環境変化によって、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの各事業は、取引先のビジネスモデルの変革や異業種の新規参入など、他企業との厳しい競争状態にあり、持続的に競争優位性の確保に努めているものの、今後の展開によっては当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 自然災害・人為的災害の影響

当社グループにおける事業を取り巻く環境として、台風、津波、地震などの自然災害による、観光や各種インフラへの被害、感染症の流行、加えて、航空事故、テロや戦争などによる各国・各地域の不安定な政治的及び社会的状況などがありますが、これらが発生した場合の様々な影響により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 情報漏洩・システム管理におけるリスク

当社グループでは、予約手配などの業務にコンピューターシステムを活用しており、多数のお客様の個人情報を管理しております。構築・運営には十分なセキュリティの確保に努めておりますが、通信ネットワークやプログラムの不具合、またコンピューターウィルス感染などにより、システム障害や情報漏洩、改ざんなどの重大な障害が生じた場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。また、障害の規模によってはお客様へのサービス提供の中断や修復費用が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績、社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 商品・サービス提供に関するリスク

当社グループでは、旅行商品内に含まれる飲食店の選定や、その他事業において行っている飲食店の営業において、品質管理基準マニュアルを策定し、食品の安全性に十分留意しておりますが、食中毒など衛生問題が発生した場合には、信用の失墜などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 為替レート・原油価格の変動

当社グループは、外貨建の取引を行っており、これに伴って外貨建の収益・費用及び資産・負債が発生しております。為替レートの変動による影響を軽減すべく為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、急激な為替変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外連結子会社の財務諸表を邦貨換算しているために、為替レートが変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。加えて、旅行事業において、原油価格の変動に伴い、海外旅行代金とは別に燃油特別付加運賃をお客様にご負担いただいておりますが、この燃油特別付加運賃の著しい上昇があった場合は、旅行総需要が停滞してしまう可能性があります。急激な原油価格の変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 有価証券等保有資産価値の変動

当社グループは、上場及び非上場の株式及び債券等を保有しております。このため、市場価格を有する有価証券については株式市況及び債券市況の動向により、また、市場価格のない有価証券については投資先会社の財政状態の動向により、売却損や評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 固定資産等の減損

当社グループは、国内及び海外で実施した投資活動や買収に伴い発生した有形固定資産、無形資産、株式、のれん等を連結貸借対照表に資産として計上し、それぞれの事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発現すると見積もられる合理的な期間で償却しておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断される場合には、当該資産等について減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ コンプライアンス

当社グループは、日本国内はもとより、海外の現地拠点が所在する国においても、様々な法令・規則・商慣習・社会的道徳などの下で事業活動を行っており、その遵守に努めております。しかしながら、予期しない新たな規制の導入、執行当局の方針の変更、理解や解釈の相違などの何らかの原因により、コンプライアンス違反と判断される事態が生ずる可能性があります。このようなコンプライアンス違反と判断される事態が生じた場合、法的手続き対応費用の発生や、ブランドイメージが毀損することなどにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(1)経営成績の状況

当連結会計年度における経営環境は、中東地域をめぐる情勢、海外景気の下振れに伴う影響や、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意が必要であるものの、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。

このような状況の中、旅行業界においては、新型コロナウイルス感染症による出入国時の水際対策終了と感染症法上で「5類」に移行されたことから、訪日旅行と海外旅行といった国際的な往来による需要の回復がみられたほか、国内旅行でも全国旅行支援といった観光支援策が実施され、堅調な回復をみせました。

当社グループにおいては、生産性と収益性の向上や、基幹事業である日本発の海外旅行の需要拡大を図るため、売上の最大化にむけた人員配置や広告展開など、夏の繁忙期に向けた取り組み強化を推し進めました。

また、旅行を中心に幅広い事業の展開を通じて、グループ全体の持続的成長を実現するため、HIS Group Purpose〝「心躍る」を解き放つ″の旗印のもと、これからもあらゆる出会いと繋がりを創出し、豊かでかけがえのない時間の創造、相互理解を促進することで、世界を近づけ、新たな価値の提供に努めていきます。

 

当連結会計年度における業績は以下のとおりです。                   (単位:百万円)

 

2022年10月期

2023年10月期

売上高

142,732

252,205

売上総利益

28,158

83,077

営業利益又は営業損失(△)

△48,034

1,635

税金等調整前当期純損失(△)

△10,499

△1,282

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

△11,500

△2,628

売上高は、前期と比較し1,094億73百万円増加し、前期比176.7%2,522億5百万円となりました。これは、主に新型コロナウイルス拡大により甚大な影響を受けた前期と比較して、主力の日本発の海外旅行事業の大型需要期の夏期に回復を図れたことに加え、海外における旅行事業が、欧米を中心とした子会社が好調に推移したことで大幅な増収となりました。

販売費及び一般管理費は、コロナ禍からの業績回復に即したコスト削減策を実施しつつ、基幹事業である海外旅行の再開にむけて、出向からの帰任による人件費や、市場の活性化に向けた広告を投入したことにより52億49百万円増加し、前期比106.9%814億42百万円となりました。

損益面においては、コロナ禍からの人流再開に伴い旅行関連事業が上向いてきたこともあり、売上総利益が大きく改善し、4年ぶりの営業黒字となる、16億35百万円の営業利益(前期より496億69百万円の改善)となりました。また、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置の適用を受けた雇用調整助成金並びに国及び地方自治体等から収受した助成金収入等による特別利益を13億95百万円計上した一方で、固定資産の減損損失及び当社が保有する美術品の売却に伴うその他の投資売却損等により特別損失を43億24百万円計上したため、税金等調整前当期純損失は12億82百万円(前期は税金等調整前当期純損失104億99百万円)となりました。そして、法人税等が前期と比較し17億77百万円減少したことに加え、非支配株主に帰属する当期純利益7億07百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は26億28百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失115億円)となりました。

セグメント別の当連結会計年度の業績は以下のとおりです。

なお、当連結会計年度の期首より、セグメントを従来の「旅行事業」「テーマパーク事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」「エネルギー事業」の5セグメントから、「旅行事業」「テーマパーク事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」の4セグメントに変更しております。このため、前連結会計年度との比較については、セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。詳細は、「5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

また、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

 

(旅行事業)                                     (単位:百万円)

 

2022年10月期

2023年10月期

売上高

67,631

202,348

営業利益又は営業損失(△)

△28,692

1,145

当連結会計年度における旅行市場は、海外では欧米マーケットを中心に活況に推移しました。日本においては、2022年10月より開始された政府の需要喚起策「全国旅行支援」による国内旅行の活性化をきっかけに、通期を通じて2019年水準の回復をみせました。海外旅行・訪日旅行市場においては、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行したことを受けて、各国の入国制限解除を含む水際対策の終了や国際航空便の復便により、日本と海外との双方向の旅行需要回復が顕著に表れた1年となりました。特に訪日旅行市場においては、円安の追い風を受け、月を追うごとにコロナ禍以前と同水準まで回復がみられました。当連結会計年度における日本人出国者数は、前期比410.5%(2019年比42.2%)の846万人、訪日外客数は前期比1,422.7%(2019年比69.4%)の2,219万人と、ピーク時であったコロナ禍以前と比較し、回復の動きが顕著に表れました。(出典:日本政府観光局(JNTO))

当社の海外旅行事業においては、HIS最大のセールである「初夢フェア2023」を皮切りに、「HIS海外旅行大感謝祭」を開催するなど、海外旅行需要喚起にむけたイベントを積極的に展開しました。また、観光誘致拡大を目的とした業務提携を韓国観光公社・カリフォルニア観光局・台湾観光庁・シンガポール政府観光局などと締結し、持続可能な観光の構築に向けた旅行商材の開発など、観光促進ならびに送客強化における協力体制を推進しました。新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行し、海外旅行に関わる水際対策が撤廃された5月には、夏のレジャー需要を後押しするキャンペーン「SUPER SUMMER SALE!」を開始し、パスポート申請代金の全額負担をはじめ、出発の30日・40日前から発生する取消料を15日前まで無料とするなどの施策を通じて集客強化を図り、コロナ明け初の大型旅行需要である夏休みが好調に推移したことで、旅行事業全体を牽引する規模にまで回復しました。

国内旅行事業においては、「全国旅行支援」対象商品の販売強化に加え、周遊プランをお得にする「ぐるり旅キャンペーン」や、お子さまの急病によるキャンセル料を無料にする施策を展開するなど、独自の特別施策を通じて、航空機を利用する沖縄・北海道・九州方面へのパッケージツアーの集客強化を図り、利益の最大化に努めました。また、流通チャネルのオンライン化の推進を図るとともに、航空券とホテルを組み合わせた「ダイナミックパッケージ」の取扱いが増加したこともあり、コロナ禍前の水準まで回復をみせました。

訪日旅行事業においては、インバウンド観光推進を目的として、地域におけるブランド力の向上と国内外でのプロモーションを展開し観光消費額の拡大を促進すべく、鹿児島県と熊本市と連携協定を締結するなど、観光誘客を推し進めました。また、HISの海外現地法人や欧米の旅行会社からのインセンティブ団体旅行が売上高を牽引しました。日本全国のアクティビティ商材を掲載するHIS訪日WEBサイトでは、53カ国からの個人旅行者よりご予約いただいており、自社主催の日帰りバスツアーなどが好調に推移しました。しかしながら、コロナ禍前のコアターゲットであった中国からの受客が戻っておらず、本格的な回復には至っておりません。

 

法人事業では、旅行需要の回復により、社員旅行、教育旅行、スポーツ旅行、業務渡航が大幅に改善いたしました。また企業との関係性強化につとめ、MICE運営のノウハウを活かした周年イベント・表彰式・入社式などビジネスイベントのサポートをはじめ、ソリューションビジネスの推進を行いました。また、官公庁・自治体を対象とした事業に関しましても、観光庁主導の観光再始動事業の採択や、海外支店ネットワークを活用した地域ブランディングなどのBPOの受託強化を図りました。

海外における旅行事業では、カナダに拠点を置く子会社が、本格的な旅行需要の回復を受け、引き続き業績を牽引しました。また、トルコのほか、インドネシア・タイ・ベトナム・マレーシア・フィリピンといった東南アジアの現地法人では、業務渡航を中心としたB2Bマーケットを強化したことで、アウトバウンド事業が回復をみせました。現地法人におけるインバウンド事業においては、日本からのパッケージツアーの受客が段階的に戻りつつあることから回復の動きがみられました。一方で、北米ではCanadian Collegeグループが総合医療と福祉サービスの職業育成プログラムに特化した学校「Stenberg College International」をグループ傘下にするなど、事業領域の拡大に努めました。加えて、京都府とのコラボレーションによる「はんなりカフェ」の運営を手掛けるタイ現地法人がバンコクに日本風居酒屋「満天の。」を開業させたほか、アメリカ現地法人では在ロサンゼルス・ジャパンハウス内に日本食懐石レストラン「UKA」をオープンさせ、食をメインとした日本文化を発信する事業を各地で展開し、ローカルマーケットへ向けた事業領域の拡大に努めました。

なお、当社グループの営業拠点数は、国内134拠点、海外58カ国113都市162拠点となりました。(2023年10月末日時点)

以上の結果、当連結会計年度における売上高は前期と比較し299.2%2,023億48百万円、営業利益は11億45百万円(前期は営業損失286億92百万円)となりました。

 

(テーマパーク事業)                                 (単位:百万円)

 

2022年10月期

2023年10月期

売上高

21,225

3,356

営業利益

183

160

EBITDA

2,240

483

ラグーナテンボスでは、全国旅行支援の効果やアニメ「鬼滅の刃」とのタイアップイベントの開催、また夏期プールの早期オープンにおける集客力強化により、ラグナシア入園者数が前年比107.4%となりました。ショッピングモール「フェスティバルマーケット」では「RE:BORN PROJECT」と題し、6店舗を新店オープン・リニューアルオープンし、商圏拡大による集客力向上に努めました。

なお、これまでテーマパーク事業として展開していたハウステンボスは、2022年9月30日をもって全株式の譲渡を完了しております。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は前期と比較し15.8%の33億56百万円、営業利益は1億60百万円(前期比87.7%)、EBITDAベースでは4億83百万円の利益(前期比21.6%)となりました。

 

(ホテル事業)                                    (単位:百万円)

 

2022年10月期

2023年10月期

売上高

9,207

17,937

営業利益又は営業損失(△)

△4,122

577

EBITDA

△192

4,700

ホテル事業では、「全国旅行支援」の効果や、新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行したことを受け、人流回復がみられ、国内移動が再開された事による観光やビジネスの需要回復に加え、インバウンド需要の急回復により宿泊市場は好調に推移しました。そのような状況下、鹿児島・名古屋での新規開業や、リゾートホテル久米アイランド(沖縄)のリノベーションを実施しました。また、各施設における独自性のあるコンセプトルームや多岐に渡る販売プランの展開など、販促プロモーションにも注力しました。海外のホテルにおいては、リゾート・都市部ともに各国旅行需要の回復がさらに強まり、各ホテルの業績回復がみられました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は前期と比較し194.8%の179億37百万円、営業利益は5億77百万円(前期は営業損失41億22百万円)、EBITDAベースでは47億円の利益(前期は1億92百万円の損失)となりました。

 

(九州産交グループ)                                 (単位:百万円)

 

2022年10月期

2023年10月期

売上高

17,960

21,676

営業利益又は営業損失(△)

△1,554

58

EBITDA

309

1,791

九州産交グループでは、エネルギー価格の高騰、食品コストの上昇などの影響を受けたものの、コロナ禍の影響により減少した国内の人流が回復し、また海外からの入国者数増加による復調もみられ、特に中核事業であるバス事業において、路線バスで輸送人員が2019年比95.2%、貸切バスでは稼働台数が2019年比106.1%と回復しました。また、熊本県内バス事業者と共同で公共交通機関の利用促進並びに利便性向上を促すことで、交通渋滞の緩和やCO₂削減など環境対策に繋げることを目的として、「熊本県内バス・電車こども無料(大人100円)の日」を開催しました。商業施設「サクラマチクマモト」においても、熊本観光のシンボルである熊本城の復興に向け、熊本にゆかりのあるアニメアイドルグループとのコラボレーション企画「熊本城復興応援プロジェクト」の開催など、様々なイベント実施により順調に来館者数が回復しました。加えて、併設する熊本城ホールと連携し、店舗の利用促進による売上回復により、収益の改善がみられました。旅行業においては、2回の台湾チャーター便(3月及び5月)を実施しました。さらに新規事業の取り組みとして、グループECサイト「KUMATOKU」を立ち上げ、自社バスにて貨客混載を利用した「天草産直輸送」を実施するなど、熊本県を代表する特産品をはじめグループの商材等の販売を開始しました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は前期と比較し120.7%の216億76百万円、営業利益は58百万円(前期は営業損失15億54百万円)、EBITDAベースでは17億91百万円の利益(前期比578.6%)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ261億2百万円減少し、1,108億36百万円となりました。営業活動により資金は309億34百万円増加、投資活動により資金は462億52百万円減少、財務活動により資金は117億85百万円減少いたしました。

 各キャッシュ・フローの状況についての詳細は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動により資金は309億34百万円の増加となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失(12億82百万円)、売上債権及び契約資産の増加(130億16百万円)により資金が減少し、一方で非資金項目である減価償却費(104億63百万円)、仕入債務の増加(36億98百万円)、旅行前受金の増加(148億56百万円)、預り金を含むその他の負債の増加(148億19百万円)により資金が増加したことによるものです。

また、前連結会計年度において、営業活動により資金は149億66百万円の減少となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失(104億99百万円)、関係会社株式売却損益(324億37百万円)、未収入金を含むその他の資産の増加(85億45百万円)により資金が減少し、一方で非資金項目である減価償却費(124億72百万円)、預り金を含むその他の負債の増加(252億42百万円)により資金が増加したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ459億円の増加となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動により資金は462億52百万円の減少となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入(127億11百万円)により資金が増加し、一方で定期預金の預入による支出(505億56百万円)、有形及び無形固定資産の取得による支出(63億45百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(17億72百万円)により資金が減少したことによるものです。

また、前連結会計年度において、投資活動により資金は535億72百万円の増加となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入(398億47百万円)、定期預金の払戻による収入(194億42百万円)により資金が増加し、一方で定期預金の預入による支出(120億1百万円)により資金が減少したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ998億24百万円の減少となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動により資金は117億85百万円の減少となりました。これは主に、長・短借入れによる収入(1,622億77百万円)、一方で長・短借入金の返済による支出(1,724億76百万円)により資金が減少したことによるものです。

また、前連結会計年度において、財務活動により資金は54億58百万円の増加となりました。これは主に、長・短借入れによる収入(1,155億17百万円)、株式発行による収入(75億円)により資金が増加し、一方で長・短借入金の返済による支出(1,154億92百万円)により資金が減少したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ172億43百万円の減少となりました。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

① 仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年11月1日

  至 2023年10月31日)

 前年同期比(%)

旅行事業(百万円)

135,940

307.9

テーマパーク事業(百万円)

1,942

14.5

ホテル事業(百万円)

6,449

152.7

九州産交グループ(百万円)

19,935

111.0

報告セグメント計(百万円)

164,267

206.0

その他(百万円)

4,861

13.9

 合計(百万円)

169,128

147.6

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当社グループは生産形態をとっていないため、生産状況にかわって仕入実績について記載しております。

3.「5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度において報告セグメントの変更を行っております。それに伴い、「前年同期比(%)」は変更後の報告セグメントに基づき算定しております。

 

② 受注実績

当社グループは受注形態をとっていないため、該当事項はありません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年11月1日

  至 2023年10月31日)

 前年同期比(%)

旅行事業(百万円)

201,233

299.2

テーマパーク事業(百万円)

3,343

16.2

ホテル事業(百万円)

17,562

196.6

九州産交グループ(百万円)

21,664

120.7

報告セグメント計(百万円)

243,803

212.4

その他(百万円)

8,402

30.1

 合計(百万円)

252,205

176.7

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当社グループは、取扱高(販売価格)を売上高として計上しております。

3.「5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度において報告セグメントの変更を行っております。それに伴い、「前年同期比(%)」は変更後の報告セグメントに基づき算定しております。

 

(4)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態の分析

(ⅰ)流動資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は、2,174億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ289億87百万円の増加となりました。

主な要因といたしましては、受取手形、売掛金及び契約資産の増加(前期末比132億5百万円増)、現金及び預金の増加(同127億76百万円増)が挙げられます。

 

(ⅱ)固定資産

当連結会計年度末における固定資産の残高は、2,234億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億90百万円の減少となりました。

主な要因といたしましては、繰延税金資産の増加(前期末比6億39百万円増)がある一方で、有形固定資産の減少(同26億73百万円減)、無形固定資産の減少(同14億47百万円減)が挙げられます。

 

(ⅲ)流動負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は、2,106億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ738億75百万円の増加となりました。

主な要因といたしましては、短期借入金の増加(前期末比227億70百万円増)、旅行前受金の増加(同151億64百万円増)、1年内償還予定の社債の増加(同150億円増)、預り金の増加(同1億67百万円増)が挙げられます。

 

(ⅳ)固定負債

当連結会計年度末における固定負債の残高は、1,805億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ492億7百万円の減少となりました。

主な要因といたしましては、長期借入金の減少(前期末比333億24百万円減)、社債の減少(同150億円減)が挙げられます。

 

(ⅴ)純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は、497億41百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億3百万円の増加となりました。

主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等による利益剰余金の減少(前期末比25億81百万円減)、資本剰余金の減少(同7億27百万円減)がある一方で、為替換算調整勘定の増加(同29億16百万円増)、自己株式の減少(同19億25百万円増)が挙げられます。

 

② 経営成績の分析

(ⅰ)売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,094億73百万円増加し、前期比176.7%2,522億5百万円となりました。報告セグメントごとの売上高については、旅行事業は前期比299.2%2,023億48百万円、テーマパーク事業は前期比15.8%の33億56百万円、ホテル事業は前期比194.8%の179億37百万円、九州産交グループは前期比120.7%の216億76百万円となりました。

なお、当連結会計年度の期首より、セグメントを従来の「旅行事業」「テーマパーク事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」「エネルギー事業」の5セグメントから、「旅行事業」「テーマパーク事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」の4セグメントに変更しております。このため、前連結会計年度との比較については、セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。また、報告セグメントごとの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

 

(ⅱ)営業費用

当連結会計年度の営業費用は、前連結会計年度に比べ598億4百万円増加し、前期比131.3%の2,505億70百万円となりました。

そのうち、売上原価は前連結会計年度に比べ545億54百万円増加し、前期比147.6%の1,691億28百万円となりました。

また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ52億49百万円増加し、前期比106.9%814億42百万円となりました。

 

(ⅲ)営業利益又は営業損失

当連結会計年度の営業利益は16億35百万円(前期は営業損失480億34百万円)となり、前連結会計年度に比べ496億69百万円の増加となりました。

 

(ⅳ)経常利益又は経常損失

当連結会計年度の経常利益は16億46百万円(前期は経常損失490億50百万円)となり、前連結会計年度に比べ506億97百万円の増加となりました。

主な営業外収益として、受取利息(7億59百万円)、為替差益(5億85百万円)、また営業外費用として、支払利息(22億24百万円)が挙げられます。

 

(ⅴ)親会社株主に帰属する当期純損失

当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は12億82百万円(前期は税金等調整前当期純損失104億99百万円)となり、前連結会計年度に比べ92億17百万円の改善となりました。

また、当連結会計年度の法人税等は6億38百万円(前期は24億16百万円)となり、前連結会計年度に比べ17億77百万円の減少となりました。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は26億28百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失115億円)となり、前連結会計年度に比べ88億71百万円の改善となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資等であります。運転資金につきましては金融機関からの借入により資金調達を行っております。設備投資等につきましては金融機関からの借入、社債及び転換社債型新株予約権付社債の発行、増資により資金調達を行っております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りを用いており、これらの見積りは過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定並びに新型コロナウイルスの感染拡大に関する重要な会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、IATA(国際航空運送協会)公認旅客代理店として1990年12月31日認可(期限は認可取消しになるまで有効)を受け、旅客代理店契約(PASSENGER SALES AGENCY AGREEMENT)を結んでおります。

(注)IATA(国際航空運送協会)について

1945年に設立され、主に国際線を運航している航空会社が加盟している民間機関です。本部は、カナダのモントリオールと、スイスのジュネーブにあり、IATA公認代理店向けの諸施策の決定や精算事務はジュネーブで行われています。IATAの権限は、運賃の取り決め、運送条件の取り決め、代理店対策、運航上の取り決め及び運賃決済などがあります。IATAの公認代理店の認可を受けることで自社で国際線航空券が発券できます。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。