第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「HIS Group Philosophy」に則り、HIS Group Purpose“「心躍る」を解き放つ”の旗印のもと、旅行業を中心に幅広い事業の展開を通じて、グループ全体の持続的成長を目指しています。そして、多くの出会いと繋がりを創出し、豊かでかけがえのない時間の創造、人々の相互理解を促進することで、世界の平和に貢献する企業でありたいと考えています。

HIS Group Philosophyの詳細について https://www.his.co.jp/company/philosophy/

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

当社グループは、2030年に創業50周年を迎えるにあたり、持続的成長、パーパス経営の実現にむけて目指す姿を掲げ、具体的な経営目標及び方針を中期経営計画(FY2024-2026)として策定しています。

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①創業50周年に目指す姿(Vision2030)

 

Vision2030

挑戦心あふれ 世界をつなぎ 選ばれ続ける企業に

Change & Create

当社グループが2030年に目指す姿として、Vision2030を策定しました。

 

《Vision2030 に込めた想い》

 

・創業の原点である「挑戦心」

当社グループが挑戦を続けるとともに、世界中の様々な挑戦を応援・支援することで、 社会とともに成長し、よりよい未来をつくってまいります。

 

・グローバルネットワークを活用し、世界をより近いものへ

国内146拠点、海外58ヵ国110都市145拠点(2024年10月末現在)のグローバルネットワークが当社グループの強みです。地域社会という小さくとも密接な関係にある世界から、地球外に広がる宇宙までがビジネスフィールドです。

 

・お客様から、社会から、HISグループ社員から、選ばれ続ける企業へ

当社グループだからこそできる独創的な価値を創出していくため、お客様や社会のニーズを第一に捉え、世代や国境を超えて、選ばれ続ける企業を目指してまいります。また、社員が働きがいを感じられる企業として、より良い環境づくりに取り組んでまいります。

 

②中期経営計画方針・アクションプラン概要(FY2024-2026)

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連結経営・財務目標を達成するべく、中期経営計画の核となる方針は「コア領域の変革」と「新規領域への挑戦」です。具体的なアクションプランとして以下6項目を中心に取り組んでまいります。

 

・グローバルネットワークの活用

海外の事業においては、各国におけるインバウンド事業(日本からの受客)だけに頼らないポートフォリオの再構築に取り組みます。2026年10月期において、グローバルマーケット事業・新規事業2つの領域にて、営業利益の比率60%以上を目指します。

 

・生涯顧客の創造(LTV最大化)

今後、「旅」というシーンのみに留まることなく、お客様の生涯・日々の生活の様々なシーンにおいて、当社グループの商品・サービスに触れていただく機会を増やし、より身近に感じていただくことで、生涯顧客の創造に取り組みます。また、「日本における少子高齢化によるマーケット拡大の鈍化」と、「お客様の嗜好・購買行動の多様化」に対応していくため、AIを含む情報技術を駆使しながらCX向上と顧客接点の拡大を図ります。

 

・業務効率化・コスト構造改革

世界各国の予約手配業務を集約・移管し、効率化の推進に取り組みます。グローバルな視野での業務集約とDX推進による更なるデータ活用を実現し、生産性向上を目指します。

 

・旅行関連事業・非旅行事業の成長

旅行関連分野においては、収益性が高いホテル事業を中心に、非旅行事業においては、コロナ禍においても積極的に推進してきた新規事業への挑戦を今後も継続していきます。持続的な成長のため、ポートフォリオ再構築を目指します。

 

・M&Aによる成長(投資戦略)

当社グループの持続的な成長のため、安定的な投資サイクルの循環に取り組みます。旅行、旅行関連領域においては、既存事業を補完し、非旅行領域においては、将来性のある新たな事業への投資を検討します。

 

・人財戦略(人的資本経営)

“従業員一人ひとりの「心躍る」を解き放ち、変革が巻き起こる基盤構築”を目指し、3つの柱として「経営スピードの加速」「多様な人財の活躍」「エンゲージメントの向上」に取り組みます。働き甲斐を感じ、心躍る仕事をすることで、働きがい指数・人時生産性の向上へつなげます。

 

③連結経営・財務目標

 

2024年10月期

2025年10月期

2026年10月期

連結売上

3,500億円

3,900億円

4,300億円

連結営業利益

90億円

120億円

180億円

連結利益率

2.6%

3.1%

4.2%

経常利益

72億円

100億円

160億円

自己資本比率

11%

13%

15%

上記は、中期経営計画策定時に掲げた目標数値(2023年12月15日時点)

 

2024年10月連結決算の業績において、売上高は3,433億34百万円(前期比136.1%)、営業利益は108億54百万円(同663.8%)、経常利益は104億51百万円(同634.7%)となりました。

2025年10月連結決算の業績予想において、売上高は3,900億円(前期比113.6%)、営業利益は120億円(同110.6%)、経常利益は110億円(同105.3%)を見込んでおります。

 

・財務方針:

資本増強(本業の積み上げ)、有利子負債の削減、事業の取捨選択による、財務基盤の強化(自己資本比率の回復)

 

・配当についての今後の方針:

業績予想通りの実績となった際は、安定的かつ継続的な利益還元を再開

(配当性向:3ヵ年において10~15%を計画)

 

④サステナビリティへの取り組み

パーパス“「心躍る」を解き放つ”を掲げる当社グループの事業において、サステナビリティ推進は経営の重要課題であると認識しています。世界中の人々が「心躍る」ことができる前提には、人や地域との繋がり・相互理解、人権の尊重、人類を含めた動植物が生きる基盤となる健全な地球環境、そして世界平和が必要だと考えています。SDGsやESG課題への対応も含め、多様な人財の活躍、地域社会との共生、地球環境の保全、ガバナンス強化を推進し、当社グループ全体の企業価値の向上を目指すとともに、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。

 

中期経営計画の詳細について https://www.his.co.jp/ir/plan/

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

当連結会計年度における経営環境は、不安定な国際情勢、物価上昇、円安基調といった外的環境により当社グループの企業活動は影響を受けることが懸念されるものの、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果等もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。

このような経営環境の中、当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりです。

 

①グループガバナンスの強化

2024年11月25日付「当社連結子会社における雇用調整助成金の受給に関する調査及び2024年10月期決算発表延期のお知らせ」にてお知らせしましたとおり、当社グループにおける雇用調整助成金等の受給に関する問題の有無を確認するため、専門性・客観性を確保した外部専門家などにより構成される特別調査委員会を組成し調査を実施しました。

これにより2024年10月期決算発表と有価証券報告書の提出を延期し、また第44回定時株主総会における報告事項である「第44期(2023年11月1日から2024年10月31日まで)事業報告、連結計算書類ならびに会計監査人および監査等委員会の連結計算書類監査結果報告の件」および「第44期(2023年11月1日から2024年10月31日まで)計算書類報告の件」に関しては、株主総会継続会にて報告させていただきます。

このたびの各種調査の結果、当社連結子会社である株式会社ナンバーワントラベル渋谷においては、実際には就労した日に、休業したとする虚偽の申請をし、雇用調整助成金を不正に受給したと東京労働局に判断され、雇用調整助成金の受給額、違約金および延滞金を返還いたしました。当社においては、東京労働局に調査結果を報告した結果、受給した雇用調整助成金等の一部に過誤があると判断され、不適正な受給であった範囲に係わる受給金額を自主返還しました。また、2025年3月21日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」のとおり、上記以外の連結子会社を含む当社グループ全体における調査結果においては、新たに当社連結子会社2社において不正受給、14社において不適正な受給が認められたとの調査報告書を受領しております。

当社は、特別調査委員会から受領した調査結果および再発防止策の提言を真摯に受け止め、今回露呈した労務管理をはじめ、内部統制の3ラインモデルの徹底などの課題に、グループを挙げて取り組んでまいります。そうして内部統制およびガバナンス体制を一層強化するとともに、私たちの創業の精神・行動指針・社会に提供しつづけていきたい価値を示した「HIS Group Philosophy」を体現することにより企業価値を高め、ステークホルダーの皆様からの信頼回復に努めてまいります。

 

②財務の健全化

自己資本の充実化の構築が目下の課題と認識しており、各事業セグメントでの収益率の向上と設備投資の見直しにより、フリーキャッシュフローの改善を図ります。また、当面の手元流動性を確保しながら、コスト削減の徹底による体質強化、本業での利益の積み上げと有利子負債の削減を進め、財務の安定性基準として自己資本比率20%以上、収益性の基準としてROE20%以上を当面のターゲットとし、健全な財務基盤の構築を図ってまいります。

 

③マテリアリティに基づく変化への対応

当社グループでは外部環境を「成長機会」と「事業リスク」として分析を行い、企業の持続可能性において取り組むべき7つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。各マテリアリティにおいては、中期経営計画の戦略に盛り込み、目標やKPIをおいて取り組んでいます。

 

・ビジネスモデルの変革

当社グループでは、各事業領域において、生産性の向上や収益性の改善が当面の課題と認識しており、解決に向けデジタルトランスフォーメーションを推進し、効率的な事業構造への変革を図り、事業ポートフォリオの再構築を目指してまいります。また、テクノロジーの進化とともに社会やビジネスが劇的に変貌を遂げている中で、既成概念に捉われることなく新たな可能性を見出し、あらゆる変化に対応し続けていくことで、持続的な成長へと繋げてまいります。

 

・サービスクオリティの向上

当社グループの持つグローバルネットワークやインフラを最大限に活用し、新たな体験価値の創造や、充実したサービスの提供を図ることで、高品質な商品やサービスの提供に努めてまいります。また、国内外においてサービスレベルの向上を図ることで、世界中のお客様に喜ばれ、ご支持いただけるよう取り組んでまいります。

 

・多様な人財の活躍

当社グループでは人財が当社グループの価値創造の源泉であると考えております。従業員一人ひとりがお互いの人格や個性、人権を尊重し合い、働きやすい職場環境を確保することで、自分らしく挑戦し、成長し続けること、そして多様性を力に変えていくことを目指し、DEIB(Diversity,Equity,Inclusion,Belonging)を推進してまいります。

 

・お客様への安心、安全の提供

安心・安全の提供には、提供するサービスの安全管理・品質管理が重要だと考えております。基幹事業である旅行事業においては、HIS独自の「品質安全管理ガイドライン」を作成し、HIS海外支店ならびにお取引先様にも周知を図っています。

また、お客様からお預かりした連絡先情報をはじめとする当社グループが保有する「情報」、及びそれらが流通するコンピュータやネットワーク等の「情報システム」双方を重要な「情報資産」と捉え、これら情報資産をあらゆる脅威から保護し、適切な安全管理を実現するため、情報セキュリティの確保が重要な責務であると認識しています。情報セキュリティ確保のために、組織的・技術的な管理体制を確立し、情報資産に対する不正アクセス・漏洩等を防止し、安全・適切な管理・運用を行ってまいります。

 

・地域社会との共生

国内外の様々な地域で事業を展開している当社グループにおいて、地域社会と良いコミュニケーションを保ち、地域の文化や歴史遺産、自然環境などの地域資源や、その土地の暮らしに敬意を払うことは重要だと考えています。地域社会と共に持続可能な社会の実現へ向けて取り組んでまいります。

 

・地球環境の保全

当社グループの各事業は、健全な地球環境を維持した上に成り立つものと認識しています。その実現に向けて、CO₂排出量削減、省エネルギー、廃棄物の削減、リサイクルの推進、無駄の排除など、環境の保全への取り組みを推進してまいります。

 

・ガバナンス強化

「(3)経営環境及び対処すべき課題 ①グループガバナンスの強化」記載内容とともに、リスク・コンプライアンス委員会の事務局であるリスク管理室により当社および子会社の役員、社員を対象にコンプライアンス・リスク管理研修を継続して実施し、コンプライアンスに関するさらなる意識向上をはかってまいります。

 

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは ‶「心躍る」を解き放つ というパーパスを掲げ、グローバルに事業を展開しています。

― 未知との出会い、人との繋がり、豊かな時間、ワクワク、高揚感、そして平和への想い ―

世界中の人々がこの「心躍る」ことができる前提には、国籍、人種、文化、宗教などを越え、多様性を大切に、人権を尊重し合い、世界の人々が安心して暮らせる社会と、人類を含めた動植物が生きる基盤となる健全な地球環境が必要だと考えています。

パーパスの実現へ向けSDGsへの貢献も念頭に描いた当社グループの2030年に目指す姿「Vision2030」を定め、その達成に向け、共存・共生・共栄を意識し、社会問題や環境問題に当社グループの事業を通じて取り組み、持続可能な社会の発展に貢献するとともに、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指しています。

 

1.ガバナンス

当社グループは、私たちが社会に提供し続けていきたい価値、行動指針、創業の精神を示した「HIS Group Philosophy」に則り、内部統制の仕組みの整備と運用に取り組むとともに、サステナビリティ推進体制を強化し、企業価値を高め、選ばれ続ける企業を目指しています。

代表取締役社長を委員長としたサステナビリティ推進委員会のリーダーシップのもと、リスク・コンプライアンス委員会、業務執行部門、国内外子会社と連携し、重要方針や施策について議論をするとともに、目標に対する進捗の確認等を行い、サステナビリティへの取り組みを推進しています。またマテリアリティ(重要課題)への実効性を高めるために、サステナビリティ推進委員会の下部組織として業務執行部門メンバーからなるサステナビリティ推進プロジェクト、DEIB推進プロジェクト、人権DD推進プロジェクト及びAmericasサステナビリティ推進委員会を設け定期的な活動を行い、同委員会でモニタリングしています。なお、重要な事項については、同委員会より取締役会に上程、または報告し、適宜必要な指示・助言を受けています。

 

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2.戦略

当社グループは様々な外部環境を「成長機会」と「事業リスク」として分析を行い、企業として取り組むべき7つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。その中に「地球環境の保全」「地域社会との共生」「多様な人財の活躍」「ガバナンスの強化」を掲げ、サステナビリティを経営における重点と捉えています。

また、当社グループは国内外の様々な地域で人と人をつなぐ事業を主体としており、当社グループのサステナビリティの根幹には人権の尊重があります。役員・従業員一人ひとりが人権を尊重し合うとともに、お客様、取引先の皆様、地域社会等サプライチェーン上の人権を尊重した上で事業を行うことが重要だと考えております。当社グループの人権尊重の考え方を明確にするとともに、企業として人権尊重の責任を果たしていくために2024年12月に「HISグループ人権方針」を策定いたしました。当社グループ内での浸透と事業活動への定着を図るとともに、取引先関係者の皆様にも本方針へのご理解・ご賛同をいただくように努め、人権デューデリジェンスの仕組みを構築し、実施してまいります。

 

当社グループ人権方針に関する詳細は、以下URLをご参照ください。

ihttps://www.his.co.jp/sustainability/social/human_rights/

 

(1)気候変動

当社グループは、TCFD提言への賛同の表明、TCFDコンソーシアムへの参画をしており、TCFD提言に沿って気候変動シナリオ分析を行い、事業に関連する気候変動リスク・機会とその影響の大きさ及びその対応策をまとめました。リスク重要度が高く長期に及ぶ項目においては、中期経営計画の戦略にも反映し、重点的に対応しています。

 

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 (2)人的資本

〔人的資本に関する基本的な考え方〕

当社グループでは、人財が当社グループの価値創造の源泉であると考え、社員一人ひとりが働きがいを感じ、心躍る仕事ができる基盤づくりを進めております。

当社グループの歴史は、旅行ビジネスの常識への挑戦からスタートしました。

当社の創業は1980年。当時の海外旅行者数は年間390万人程で、市場規模は2019年の5分の1程度でした。

当時は高額で団体旅行が中心だった海外旅行市場において、格安航空券を利用したFIT(Foreign Independent Tour)を取り扱う旅行会社の先駆けとなり、個人旅行・自由旅行という新しいマーケットの開拓への挑戦となりました。

そして創業50年目にあたる2030年に目指す姿(Vision2030)として創業の原点である「挑戦心」をメッセージの冒頭に掲げ、「挑戦心あふれ 世界をつなぎ 選ばれ続ける企業に Change&Create」を策定しました。

「挑戦」は当社グループの歴史であり、社員一人ひとりが心躍る挑戦ができるための支援をすることにより当社グループの変革そして持続的成長を目指しています。

 

〔2026年10月期に向けた中期人財戦略の全体像〕

中期経営計画における6つのアクションプランの1つとして人財戦略(人的資本経営)を掲げ取り組んでいます。

中期経営計画「人財戦略(人的資本経営)」

「社員一人ひとりの“心躍る”を解き放ち、変革が巻き起こる基盤構築」

 社員一人ひとりが働きがいを感じ、心躍る仕事ができること。

 そうした仕事の連続で、HISグループの変革、そして持続的成長を実現します。

重点課題

①経営スピードの加速

②多様性の確保

③エンゲージメント向上

FY2026

主要KPI

働きがい指数

社員満足度調査(全従業員対象)

「働きがいのある会社である」全世界80%

変革指数(人時生産性)

FY2023対比1.6倍(単体)

 

基本戦略

人財育成方針

Vision2030「挑戦心あふれ 世界をつなぎ 選ばれ続ける企業に Change&Create」に則り、

一人ひとりが大きな夢・目標を持ち、従来の考え方にとらわれず、自由な発想で考え、失敗を恐れずに、

新しいことに挑戦する人財の育成に取り組んでまいります。

DEIB推進方針

社員一人ひとりがお互いを尊重し合い、自分らしく挑戦し、成長し続けること、そして多様性を力に変えていくことを目指し、DEIB(Diversity,Equity,Inclusion,Belonging)を推進していきます。

私たちHISグループは、「全員活躍」を実現し、世界中の人々に“「心躍る」を解き放つ”価値の提供を

行ってまいります。

健康経営宣言

HISグループで働く全ての従業員の健康は、

HIS Group Purposeである“「心躍る」を解き放つ”を実現するための基盤です。

私たちHISグループは、会社・従業員が一丸となって、健康保持・増進に向けた取り組みを推進し、

従業員とその家族が明るく元気に、心身ともに健康であり続けるグループを目指します。

1.従業員は、「健康」への意識を高め、自身とその家族の健康保持・増進に取り組みます。

2.会社は、従業員の健康管理・健康づくりを積極的に支援します。

3.会社は、従業員の身体的かつ心理的安全性が確保された職場づくりを推進します。

4.私たちHISグループは、心躍る価値の提供を通じて、世界中に笑顔の輪を広げていき、人々の健康と平和を促進します。

社内環境整備方針

私たちHISグループでは、行動憲章に「快適で安全な職場環境の確保」を定めています。


社員が明るく元気に生き生きと挑戦し続けられるように、身体的安全性はもちろん、心理的安全性が確保された職場づくりを推進し、ワークエンゲージメントの向上を目指します。

 

個別戦略

人財開発・採用

DEIB推進

働き方改革

フィロソフィー経営

キャリア自律

 

〔人財戦略:3つの重点課題に対する個別戦略・主な取り組み一覧〕

重点課題

個別戦略

主な取り組み

①経営スピードの加速

人財開発・採用

・変革期を主導するリーダーの育成

・ITデジタル領域の採用及び活躍支援

②多様性の確保

DEIB推進

・女性活躍の推進

・海外拠点における人財の活躍

・多様性の尊重

働き方改革

・健康経営の推進

・多様な働き方の推進

③エンゲージメント向上

フィロソフィー経営

・「HIS Group Philosophy」への共感と浸透

キャリア自律

・自律したキャリア形成と多様な成長機会の創出

 

<主な取り組み>

〇変革期を主導するリーダーの育成

 当社グループにおける変革そして持続的成長のためには次世代をリードする人財の輩出は必須と考え、計画的なリーダー育成を実施します。

・次世代リーダーの育成

・持続した事業成長を支える、サクセッションプラン(後継者育成計画)の策定と推進

・テクノロジーの発展に連動したIT・デジタルリテラシーを高める研修の実施

 

〇ITデジタル領域の採用及び活躍支援

 中期経営計画の達成に重要なITデジタル領域を強化するために、新卒採用募集においては、「ITデジタルコース」を設定し、夏の5Daysインターンシップにて、①プログラミング言語「PHP」を使って、生成AIを用いたアプリ開発体験や②システム担当者としての新規店舗立ち上げ体験ができるプログラムを実施しました。1Daysオープン・カンパニーとして、デジタルによる変革を推進していくDXの取り組みをご紹介し、新しいサービスを検討するプログラムを開催するなど、当社のITデジタル領域に関する採用及び活躍支援を推進しています。

 

〇女性活躍の推進

 女性比率が高い当社グループにおいては、女性の活躍は重要テーマの1つと位置付けています。

当社では、2021年子育てサポート企業(くるみん)、女性活躍推進企業(えるぼし3段階目)として認定されました。2019年には専任組織として「D&I推進室」を設置し、2023年にはさらに範囲を広げ、「DEIB推進室」に改編しました。

 経営に参画する女性社員を増やすために、女性管理職・役員比率目標を掲げ、代表取締役社長をリーダーとした、全国規模でのプロジェクトを立ち上げ、全社での取り組みを推進しています。並行して各地域で分科会を組成し、地域特性に応じた課題解決に取り組んでいます。

 またジェンダーに関わらず、仕事と育児を両立できる働きやすい会社を目指し、男性育児休業取得率目標を設定しています。

 

〇海外拠点における人財の活躍

 グローバルな事業展開を支える海外拠点における人財の活躍も重要テーマの1つです。

 2026年10月期には海外関係会社のNon-Japanese Manager比率目標を掲げ、人財の育成・抜擢を進めてまいります。

 

〇多様性の尊重

 「全員活躍」の実現にむけて、一人ひとりの個性を力に変えていくために、お互いを理解し合い、尊重し合う風土を醸成していきます。

・社員満足度調査(全従業員対象)でのダイバーシティ実感度60.4%

・当社従業員へe-learningにてアンコンシャスバイアス研修の実施

・事実婚・同性パートナーに法律婚と同様の結婚休暇・結婚祝金を適用

 

〇健康経営の推進

 当社グループは、心躍る価値の提供を通じて、世界中に笑顔の輪を広げていき、人々の健康と平和を促進します。その実現に向けて、従業員の健康は基盤と考えています。

 従業員の健康保持・増進の為、2024年、健康経営の取り組みを専門で行う部署「ウェルネス推進室」を設置しました。様々な指標を活用し、労働環境改善を図り、健康保険組合や産業医と連携して「健康経営」を推進してまいります。

・健康経営宣言の公表

・有給休暇取得の促進(長期休暇制度、アニバーサリー休暇制度等)

・健康診断 二次健診受診率の向上

・ストレスチェック受診率の向上

・従業員向け健康相談窓口の設置

・積立有給休暇制度(失効する年次有給休暇を積み立て、自身の傷病や不妊治療、骨髄ドナー入通院で会社を休む場合に利用出来る休暇制度)

・永年勤続特別休暇制度

 

〇多様な働き方の推進

 ライフスタイルや価値観の多様性に対応するべく、様々な制度を導入しております。今後も多種多様な仕事に応じた働き方の最適化を目指し、制度の更なる拡充を検討していきます。

・フレックスタイム制度

・在宅勤務・在宅旅行コンサルタント制度

・副業制度

・育児短時間勤務及び定年後再雇用時の短時間・短日数勤務制度

・退職者へのリ・エントリー制度

・海外同行休業制度

 

〇「HIS Group Philosophy」への共感と浸透

 一人ひとりがパーパス、バリュー、行動憲章、創業の精神から成る「HIS Group Philosophy」やHISグループらしさへの理解・共感を深め、個人の価値観や志との重なりを発見する機会を創出します。

・HIS Group Philosophy Handbookを多言語に翻訳し、全世界スタッフへの研修を実施

 

〇自律したキャリア形成と多様な成長機会の創出

 一人ひとりが自律的にキャリアを構築できる仕組みづくりを実施します。

・キャリアプランを自己申告する制度を毎年実施

・自身の強みや望む未来を検討するキャリアデザイン研修の実施

・事業拡大に連動した多様な研修プログラムの拡充を推進

 

3.リスク管理

当社グループでは、気候関連リスクにおいてサステナビリティ推進委員会とリスク・コンプライアンス委員会が連携して、リスクの識別・評価・管理を行っています。リスク管理室で気候変動に伴うリスクも含めた当社グループ全体の事業リスクに関する情報を収集し、リスク・コンプライアンス委員会に共有し、委員会では発生しうるリスクの洗い出し・分析・評価・対応に係る管理体制の整備や、リスクの顕在化を未然に防止するために活動をしています。そしてサステナビリティ推進委員会において気候変動に伴うリスクを抽出しTCFD提言のフレームワークに沿って分析し、戦略を考え、環境における重要方針や施策について議論をするとともに、目標に対する進捗のモニタリング等を行い、適宜取締役会にも報告を行っています。

 

4.指標及び目標

(1)気候変動

当社グループでは、マテリアリティ(重要課題)の1つに「地球環境の保全」を掲げ、気候変動においても取り組みを進めています。2024年10月期においては、CO排出量算出システムを導入することで、GHGプロトコルに基づき、国内主要グループ会社のScope1,Scope2の算定と、当社のScope3の算定をしました。当社は、2025年10月期中に温室効果ガス排出量における削減目標を開示するとともに、自社の排出量削減及び取引先と共同した削減推進を積極的に行い、環境貢献をしてまいります。

最新の取り組み状況は以下URLをご参照ください。

https://www.his.co.jp/sustainability/environment/

 

CO排出量

・Scope1,2 (国内主要グループ会社)

(単位:t-CO

 

2024年10月期実績

Scope 1

Scope 2

株式会社エイチ・アイ・エス

8

1,665

H.I.S.ホテルホールディングス株式会社

2,599

6,489

九州産交グループ 12社 ※1

98,710

7,180

※1 九州産交グループ12社は、九州産業交通ホールディングス株式会社、九州産交バス株式会社、九州産交ツーリズム株式会社、九州産交ランドマーク株式会社、九州産交リテール株式会社、産交バス株式会社、熊本フェリー株式会社、九州産交オートサービス株式会社、株式会社KASSE JAPAN、九州産交プランニング株式会社、九州BMサービス株式会社、有限会社谷口自動車の数値を記載しております。

 

・Scope3 (株式会社エイチ・アイ・エス)

当社事業活動において該当する全てのカテゴリ(カテゴリ1~7,11,13)において算定をした結果、2024年度10月期のScope3は1,148,478t-COで、当社のScope1~3の総排出量の99.9%をScope3が占めておりました。また、そのScope3のうち98.6%がカテゴリ11(販売した商品の使用)によるもので、カテゴリ11のうち75.5%が国内外の航空機利用におけるジェット燃料によるものでした。

 

削減への取り組み

・Scope1,2において

当社において、Scope1,2においてはScope2の比率が99.4%と高く、事業所の電力利用によるものです。利用する電力の削減に努めるとともに、テナント入居の事業所が多く電力を自社で選択できないところも多いため、非化石証書を活用した実質再生可能エネルギー化を進めていく予定です。H.I.S.ホテルホールディングス株式会社においては、電力ロス削減ソリューション『POWER GUARD』をテスト導入し、1つのホテルにおいて約1割の電力使用量の削減に成功しました。今後、同機器の設置ホテル数を拡充していく予定です。また、九州産交グループにおいては、バス事業ではアイドリング&スタートシステムの導入によりエンジンカットの実施やデジタルタコグラフを活用したエコドライブの推進を行っております。また、九州産交ランドマーク株式会社と九州BMサービス株式会社では、熊本桜町ビルにおいて冷却塔設備で地下水を冷却用として活用することにより放熱を抑制し、二酸化炭素の排出量の低減に取り組んでいます。

 

・Scope3において

当社の総排出量のうち99.9%を占めるScope3、カテゴリ11の削減へ向けては、事業パートナーとの協働、新たな脱炭素サービスへの出資、お客様への情報や脱炭素プランの提供などを通じて削減の取り組みを推進しています。取り組み事例としては、持続可能な航空燃料(SAF)の研究と開発に焦点をあてた「ユナイテッド・エアラインズ・ベンチャーズ・サステナブル・フライト・ファンド(UNITED AIRLINESVENTURES SUSTAINABLE FLIGHT FUND)」への出資や、沖縄県の久米島・宮古島のホテル、タイのバンコクやベトナムのホーチミン市内の観光においてのEVカー導入による排気ガス排出削減等があります。

また、Scope3 カテゴリ1(購入)の削減へ向けては、当社でプラスチック使用量70%削減(2019年10月期比)、コピー用紙使用量70%削減(2019年10月期比)を2026年10月期迄に達成することを目標に、削減への取り組みを推進しております。2024年10月期においては、旅行需要は回復しましたが、ツアー参加のお客様へのビニール製バッグの廃止等を行い、旅行関連でのプラスチック使用量は引き続き減少に押さえる事が出来ました。

 

実績及び目標

(単位:t)

 

2019年10月期実績

2024年10月期実績

2026年10月期目標

プラスチック使用量

25.4

3.5

6.0

コピー用紙使用量

325.8

68.2

65.0

 

 

詳しい取り組み内容については、以下URLをご参照ください。

https://www.his.co.jp/sustainability/environment/attempt/

 

(2)人的資本

前記「2.戦略」に記載した内容に則り、人的資本経営を実践し、以下目標達成に向けて取り組みを推進してまいります。

なお、女性活躍及び両立支援に関する目標数値は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」に則り、目標を策定しているグループ会社に関して掲載しております。

 

女性管理職比率

 

2024年10月期実績

2026年10月期目標

2030年10月期目標

株式会社エイチ・アイ・エス

17.5

20.0

30.0%

H.I.S.ホテルホールディングス株式会社 ※1

0.0%

20.0%

30.0%

九州産交グループ 5社 ※1、※2

13.3%

14.5%

15.7%

株式会社ラグーナテンボス ※3

0.0%

10.0%

20.0%

※1.H.I.S.ホテルホールディングス株式会社及び九州産交グループ5社は、厚生労働省の定める管理職定義に合わせて社内の管理職定義を変更したため、目標数値に変更が入っております。

※2.九州産交グループ5社は九州産交バス株式会社、九州産交ツーリズム株式会社、産交バス株式会社、九州産交リテール株式会社、九州産交オートサービス株式会社の数値を記載しております。

※3.株式会社ラグーナテンボスは課長格対象人数が少ないため現在管理職比率0.0%ですが、係長格においては女性比率42.9%です。

 

女性役員比率

 

2024年10月期実績

2026年10月期目標

2030年10月期目標

株式会社エイチ・アイ・エス

18.2

20.0

30.0%

H.I.S.ホテルホールディングス株式会社

25.0%

25.0%

40.0%

九州産交グループ 5社

7.7%

7.7%

15.4%

株式会社ラグーナテンボス

15.0%

20.0%

30.0%

※九州産交グループ5社は九州産交バス株式会社、九州産交ツーリズム株式会社、産交バス株式会社、九州産交リテール株式会社、九州産交オートサービス株式会社の数値を記載しております。

 

男性育休取得率

 

2024年10月期実績

2026年10月期目標

2030年10月期目標

株式会社エイチ・アイ・エス

70.0

80.0

100.0%

H.I.S.ホテルホールディングス株式会社

100.0%

100.0%

100.0%

九州産交グループ 5社

30.0%

40.0%

50.0%

株式会社ラグーナテンボス

100.0%

50.0%

70.0%

※九州産交グループ5社は九州産交バス株式会社、九州産交ツーリズム株式会社、産交バス株式会社、九州産交リテール株式会社、九州産交オートサービス株式会社の数値を記載しております。

 

エンゲージメント指標

 

2024年10月期実績

2026年10月期目標

働きがい指数

65.1

80.0

※社員満足度調査で「働きがいのある会社である」と答えた割合

 

その他の指標(当社における取り組み)

 

2024年10月期実績

2026年10月期目標

有給休暇平均取得率

68.2

75.0

健康診断 二次健診受診率

45.0

70.0

ストレスチェック受診率

64.6

70.0

 

海外関係会社における指標

 

2024年10月期実績

2026年10月期目標

Non-Japanese Manager比率

59.0%

65.0%

 

詳しい取り組み内容については、以下URLをご参照ください。

https://www.his.co.jp/sustainability/social/deib/

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をはじめ、事業継続に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

①経済・社会情勢の変化

当社グループの事業は、各国の政治・経済動向、法制度、地政学的要因等、様々な変化の影響下にあります。グループ内の知見や蓄積された情報を最大限に活用し対応しますが、これらの要因は当社グループが関与し得ない理由によって大きく変化する可能性があり、このような変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

②市場の変化

当社グループにおけるセグメント別売上高は、旅行事業が82.7%を占めております。中でも、国別の売上高は日本に集中しており、77.6%を占めております。従って、日本における旅行事業の環境変化によって、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの各事業は、取引先のビジネスモデルの変革や異業種の新規参入など、他企業との厳しい競争状態にあり、持続的に競争優位性の確保に努めているものの、今後の展開によっては当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③提供するサービスの安全管理・品質管理

当社グループでは、お客様に安心安全で品質の高い旅行商品を提供し、国内外での旅を楽しんでいただくために、HIS独自の「品質安全管理ガイドライン」を作成し、HIS海外支店ならびにお取引先様にも周知を図り、品質管理および安全管理に努めています。車両やオプショナルツアー等の取り扱いにおいては、適宜実査を行い精査したうえで選定していますが、運輸機関その他の業務委託先が事故や法令違反等を起こした場合も委託先の選定責任等が問われ、社会的信用が失われたり、損害賠償請求や旅行業法に基づく処分を受ける恐れがあり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④システム・設備の障害などによるサービスの中断・品質低下

当社グループは、コンピューターシステムを活用しており、システム構築・運営には十分なセキュリティの確保に努めておりますが、通信ネットワークやプログラムの不具合、またコンピューターウィルス感染などにより、システム障害や情報漏洩、改ざんなどの重大な障害が生じた場合、業務に重大な支障をきたす可能性があります。障害の規模によってはお客様へのサービス提供の中断や修復費用が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績、社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の技術革新に追随できない場合、競争力の低下や機会損失を招き、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤人財の育成・確保

当社グループは、人財育成方針として、Vision2030「挑戦心あふれ 世界をつなぎ 選ばれ続ける企業に Change&Create」に則り、一人ひとりが大きな夢・目標を持ち、従来の考え方にとらわれず、自由な発想で考え、失敗を恐れずに、新しいことに挑戦する人財の育成に取り組んでいます。企業の成長には優秀な人財の育成と確保が不可欠です。労働市場等の影響を受けこれらが計画どおり進展しない場合、他社との競争や事業運営に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥気候変動・環境規制

当社グループにおける事業を取り巻く環境として、気候変動や環境規制の強化により、事業運営に影響が生じる可能性があります。特に、自然災害の発生は、観光やインフラに影響を及ぼし、感染症の流行、加えて、航空事故、テロや戦争などが発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、気候変動に関するリスクは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 2戦略 (1)気候変動」に詳しく掲載しております。

 

⑦ガバナンス・コンプライアンス

当社グループは、取締役会において従業員が取るべき行動指針、行動規範を策定し、従業員への浸透を図り、リスクの未然防止に繋がるガバナンス体制を構築しております。また、内部統制基本方針、内部統制基本計画、内部統制実施要項、関係会社管理規程を設けた上で、リスク・コンプライアンス委員会の活動を通して、コンプライアンス機能の維持向上に努めています。しかしながら日本国内はもとより、海外の現地拠点が所在する国においても、様々な法令・規則・商慣習・社会的道徳などの下で事業活動を行っており、その法令・規則・商慣習・社会的道徳の遵守に努めていますが、予期しない新たな規制の導入、執行当局の方針の変更、理解や解釈の相違などの何らかの原因により、コンプライアンス違反と判断される事態が生ずる可能性があります。このようなコンプライアンス違反が生じた場合、法的手続き対応費用やブランドイメージの毀損により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧経理・財務

(1)為替レート・原油価格の変動

当社グループは、外貨建の取引を行っており、これに伴って外貨建の収益・費用及び資産・負債が発生しております。為替レートの変動による影響を軽減すべく為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、急激な為替変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外連結子会社の財務諸表を邦貨換算しているために、為替レートが変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。加えて、旅行事業において、原油価格の変動に伴い、海外旅行代金とは別に燃油特別付加運賃をお客様にご負担いただいておりますが、この燃油特別付加運賃の著しい上昇があった場合は、旅行総需要が停滞してしまう可能性があります。急激な原油価格の変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)有価証券等保有資産価値の変動

当社グループは、上場及び非上場の株式及び債券等を保有しております。このため、市場価格を有する有価証券については株式市況及び債券市況の動向により、また、市場価格のない有価証券については投資先会社の財政状態の動向により、売却損や評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3)固定資産等の減損

当社グループは、国内及び海外で実施した投資活動や買収に伴い発生した有形固定資産、無形資産、株式、のれん等を連結貸借対照表に資産として計上し、それぞれの事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発現すると見積もられる合理的な期間で償却しておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断される場合には、当該資産等について減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

以上のリスクを認識し、当社グループは適切な対応策を講じることで、リスクの軽減に努めてまいります。また、社会情勢や市場の変化にともなうリスクの見直しをおこない、適宜対応いたします。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(1)経営成績の状況

当連結会計年度における経営環境は、中東地域をめぐる情勢、海外景気の下振れによる影響や、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意が必要であるものの、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。

旅行市場においては、円安の追い風を受けた訪日旅行市場が活況に推移し、訪日外客数では9カ月連続で、2019年同月を上回っており、当連結会計年度における2019年同期比において110.5%の3,536万人となりました。日本人出国者数においては、円安、燃油高騰、現地の物価高などの経済的要因に加え、不安定な国際情勢などから、2019年同期比63.0%の1,261万人と緩やかな回復となりました。(出典:日本政府観光局 (JNTO))

 

当連結会計年度における業績は以下のとおりです。                   (単位:百万円)

 

2023年10月期

2024年10月期

売上高

252,205

343,334

売上総利益

83,077

110,617

営業利益

1,635

10,854

税金等調整前当期純利益

又は税金等調整前当期純損失(△)

△1,282

8,526

親会社株主に帰属する当期純利益

又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

△2,628

8,717

売上高は、前期と比較し911億28百万円増加し、前期比136.1%の3,433億34百万円となりました。全てのセグメントにおいて、前期比二桁以上の伸びをみせ好調に推移しており、中でも、旅行需要の回復を受けた旅行事業とホテル事業が高い伸びをみせました。販売費及び一般管理費は、従業員の待遇面の改善と採用計画の再開に伴う人件費をはじめ、営業活動の本格的な再開による広告宣伝費や支払手数料の増加により183億20百万円増加し、前期比122.5%の997億62百万円となりました。損益面においては、売上高増加による売上総利益増加に加え、業務集約化などのコスト抑制効果もあり、営業利益は92億19百万円増加し、前期比663.8%の108億54百万円となりました。また、土地等売却に伴う固定資産売却益等の特別利益を11億1百万円計上した一方で、非連結子会社であるFLY HUB TRAVEL PTE. LTD.等に対する関係会社株式評価損等の特別損失を30億26百万円計上したことにより、税金等調整前当期純利益は85億26百万円(前期は税金等調整前当期純損失12億82百万円)となりました。そして、法人税等が前期と比較し17億29百万円減少し、非支配株主に帰属する当期純利益8億99百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は87億17百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失26億28百万円)となりました。

セグメント別の当連結会計年度の業績は以下のとおりです。 なお、第1四半期連結会計期間より、従来の「旅行事業」「テーマパーク事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」の4セグメントから、「旅行事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」の3セグメントに変更しております。これに伴い、株式会社ラグーナテンボスを「テーマパーク事業」から「その他」に変更しております。このため、前連結会計年度との比較については、セグメント変更後の数値に組み替えて行っております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。 また各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

 

(旅行事業)                                     (単位:百万円)

 

2023年10月期

2024年10月期

売上高

202,348

283,972

営業利益

1,145

9,302

EBITDA

5,197

13,476

当社の海外旅行事業においては、新春の「初夢フェア2024」を皮切りに、「SUPER SUMMER SALE!2024」といった海外旅行需要喚起にむけたキャンペーンを実施し、各繁忙期にむけた集客強化に努めました。また、観光促進を目的としてサウジアラビア政府観光局、オーストラリア政府観光局、ベトナム航空、ニュージーランド政府観光局・ニュージーランド航空、グアム政府観光局など新たな観光促進ならびに送客強化における協力体制を推進しました。そして、当社の旗艦店を「トラベルワンダーランド新宿」として移転リニューアルし、旅行予約だけでなく、旅と出会える場としてリアルならではの体験型店舗の構築を図りました。方面別においては、欧州方面への添乗員同行ツアーの伸長により、高単価の商材が好調に推移し取扱高を牽引したほか、就航便の増加による行きやすさに加え為替などの影響が少ないことから、韓国が安定した伸びをみせるなど、夏の繁忙期の予約が好調に推移し、下半期の旅行事業の業績を牽引しました。

国内旅行事業においては、全体的に前年の「全国旅行支援」効果からの反動減が見られたものの、段階的な回復をみせました。特に強化方面である沖縄に加え、全国5都市発着のFDAチャーター直行便を利用した北海道のパッケージツアーの集客強化を図りました。また、航空券とホテルを組み合わせた「ダイナミックパッケージ」など、コロナ禍より新たに取り扱いを強化した商材が高い伸びをみせ、好調に推移いたしました。

法人事業においては、社員旅行や研修旅行、インセンティブ旅行など企業案件の受注が増加したことに加え、地方創生をプロデュースする「株式会社さとゆめ」と資本提携し、全国に新しい目的地をつくる「Destination Create Project」を始動しました。既に宮崎県椎葉村、熊本県球麿村、徳島県の3つの自治体と協定を締結し、地域支援事業の強化を図りました。また、食の海外展開を支援する「HIS FOOD PROJECT」では、三重県との取り組みとしてお茶の海外販路開拓に続き、ドバイを中心とする中東の日本食レストランへ米の輸出を開始しました。

訪日旅行事業では、HISの海外現地法人やB2Bの団体旅行の受客が好調に推移し、中でも北米マーケットからの受客件数が過去最高となるなど、取扱高を牽引しました。また、個人旅行商材においては、関東発は富士山関連、関西発は広島・宮島の日帰りバスツアーが高い人気をみせたとともに、新たな観光スポットとして開業した、「豊洲 千客万来」内で当社が運営する海鮮バイキングレストラン「いろは」をパッケージ化したウォーキングツアーなど、旬な商材を加え商品ラインナップの拡充を図りました。

海外における旅行事業では、日本からの海外旅行需要の回復により、インバウンド事業が好調に推移し、上半期の旅行事業の業績を牽引しました。 また、新たな展開として6月に人気観光地である「ウユニ塩湖」があるボリビアに拠点を開設し、日本人のみならず世界の旅行者の受客を開始しました。そして、HISの旅行商材をグローバルに展開する基盤づくりと、作業効率を高める目的としてマニラに開設されている「シェアードサービスセンター」では、海外の旅行事業における手配業務などの集約化を20の国と地域に拡大し、日本人受客の回復が遅れているハワイ・グアムにおいても黒字化に貢献しました。アウトバウンド事業においては、現地駐在員の渡航需要の増加により取扱高が伸長したほか、カナダでは、近距離で安価な旅行先に需要が偏る傾向がみられたものの、予約者数を伸ばし取扱高を牽引しました。

なお、当社グループの営業拠点数は、国内146拠点、海外58カ国110都市145拠点となりました。(2024年10月末時点)

 

(ホテル事業)                                    (単位:百万円)

 

2023年10月期

2024年10月期

売上高

17,937

22,989

営業利益

577

3,047

EBITDA

4,700

7,119

ホテル事業では、各国における観光需要の回復により、宿泊市場も一層の活性化がみられました。日本国内のホテルでは、訪日外国人旅行者の増加が継続したことに加え、航空会社や鉄道会社、地場企業とのコラボレーションなど多種多様な差別化を実施したことにより、浅草田原町・舞浜・京都などを中心に客室単価の上昇と高稼働率が継続しました。また、夏のピークシーズンに向けて「リゾートホテル久米アイランド」の大型改装工事を実施し、7月12日に全館グランドオープンしました。海外のホテルでは、各施設概ね順調に推移し、中でも台湾の「グリーンワールドホテル」や韓国の「変なホテル ソウル明洞」が、客室単価を高水準で維持できたことにより、売上・利益を牽引しました。 ホテル事業全体においては、レベニューマネジメントの強化やコロナ禍で力を入れてきた細かなコスト削減が継続できたことも利益の創出へと繋がりました。

 

(九州産交グループ)                                 (単位:百万円)

 

2023年10月期

2024年10月期

売上高

21,676

23,985

営業利益

58

434

EBITDA

1,791

2,178

九州産交グループでは、急激な訪日需要の増加に伴う人流の回復、TSMC進出効果による事業の拡大により、バス事業、航空代理店事業及びコンサルティング事業が業績を牽引しました。基幹事業であるバス事業においては、車両修繕関係やバスの関係諸費及び人件費などによる費用増加があったものの、訪日外国人旅行者や国内の観光客増加により、路線バスの売上高が2019年比 110.6%(前年同期比113.7%)となるなど、好調に推移しました。その他、高速バス・貸切バスの全てにおいて伸長し、売上高・売上総利益が増加したことに加え、水道光熱費及びリース料等の経費圧縮により、増収増益となりました。また、航空代理店事業においては、旅客数増加に伴う大型機材への変更影響や、グランドハンドリング業務を受託しているスターラックス航空の増便等により、売上・利益に貢献しました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ213億80百万円増加し、1,322億17百万円となりました。営業活動により資金は292億47百万円増加、投資活動により資金は456億6百万円増加、財務活動により資金は551億58百万円減少いたしました。

各キャッシュ・フローの状況についての詳細は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動により資金は292億47百万円の増加となりました。これは主に、利息の支払い(25億78百万円)、旅行前払金の増加(23億38百万円)により資金が減少し、一方で税金等調整前当期純利益の計上(85億26百万円)、非資金項目である減価償却費(110億17百万円)、旅行前受金の増加(69億91百万円)、賞与引当金の増加(17億62百万円)、仕入債務の増加(16億9百万円)により資金が増加したことによるものです。

また、前連結会計年度において、営業活動により資金は309億34百万円の増加となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失(12億82百万円)、売上債権及び契約資産の増加(130億16百万円)により資金が減少し、一方で非資金項目である減価償却費(104億63百万円)、仕入債務の増加(36億98百万円)、旅行前受金の増加(148億56百万円)、預り金を含むその他の負債の増加(148億19百万円)により資金が増加したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ16億86百万円の減少となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動により資金は456億6百万円の増加となりました。これは主に、定期預金の預入による支出(166億89百万円)、有価証券の取得による支出(101億55百万円)により資金が減少し、一方で定期預金の払戻による収入(579億56百万円)、差入保証金の回収による収入(128億39百万円)、有価証券の償還による収入(101億61百万円)により資金が増加したことによるものです。

また、前連結会計年度において、投資活動により資金は462億52百万円の減少となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入(127億11百万円)により資金が増加し、一方で定期預金の預入による支出(505億56百万円)、有形及び無形固定資産の取得による支出(63億45百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(17億72百万円)により資金が減少したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ918億59百万円の増加となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動により資金は551億58百万円の減少となりました。これは主に、長・短借入れによる収入(1,560億29百万円)により資金が増加し、一方で長・短借入金の返済による支出(1,936億83百万円)、社債の償還による支出(150億円)により資金が減少したことによるものです。

また、前連結会計年度において、財務活動により資金は117億85百万円の減少となりました。これは主に、長・短借入れによる収入(1,622億77百万円)により資金が増加し、一方で長・短借入金の返済による支出(1,724億76百万円)により資金が減少したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ433億73百万円の減少となりました。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

①仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2023年11月1日

  至 2024年10月31日)

 前年同期比(%)

旅行事業(百万円)

193,971

142.7

ホテル事業(百万円)

8,187

127.0

九州産交グループ(百万円)

21,509

107.9

報告セグメント計(百万円)

223,669

137.8

その他(百万円)

9,047

133.0

 合計(百万円)

232,716

137.6

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当社グループは生産形態をとっていないため、生産状況にかわって仕入実績について記載しております。

3.「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度において報告セグメントの変更を行っております。それに伴い、「前年同期比(%)」は変更後の報告セグメントに基づき算定しております。

 

②受注実績

当社グループは受注形態をとっていないため、該当事項はありません。

 

③販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2023年11月1日

  至 2024年10月31日)

 前年同期比(%)

旅行事業(百万円)

282,696

140.5

ホテル事業(百万円)

22,526

128.3

九州産交グループ(百万円)

23,972

110.7

報告セグメント計(百万円)

329,195

136.9

その他(百万円)

14,138

120.4

 合計(百万円)

343,333

136.1

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当社グループは、取扱高(販売価格)を売上高として計上しております。

3.「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度において報告セグメントの変更を行っております。それに伴い、「前年同期比(%)」は変更後の報告セグメントに基づき算定しております。

 

(4)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態の分析

(ⅰ)流動資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は、2,023億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ151億31百万円の減少となりました。

主な要因といたしましては、旅行前払金の増加(前期末比24億99百万円増)がある一方で、現金及び預金の減少(同194億26百万円減)が挙げられます。

 

(ⅱ)固定資産

当連結会計年度末における固定資産の残高は、2,098億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ135億96百万円の減少となりました。

主な要因といたしましては、関係会社長期貸付金の増加(前期末比8億62百万円増)がある一方で、差入保証金の減少(同117億11百万円減)、有形固定資産の減少(同35億77百万円減)が挙げられます。

 

(ⅲ)流動負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は、2,281億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ175億26百万円の増加となりました。

主な要因といたしましては、1年内償還予定の社債の減少(前期末比150億円減)がある一方で、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債の増加(同250億円増)、旅行前受金の増加(同74億29百万円増)が挙げられます。

 

(ⅳ)固定負債

当連結会計年度末における固定負債の残高は、1,216億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ588億90百万円の減少となりました。

主な要因といたしましては、長期借入金の減少(前期末比318億33百万円減)、転換社債型新株予約権付社債の減少(同250億18百万円減)が挙げられます。

 

(ⅴ)純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は、623億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ126億2百万円の増加となりました。

主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加(前期末比87億11百万円増)、為替換算調整勘定の増加(25億83百万円増)が挙げられます。

 

②経営成績の分析

(ⅰ)売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ911億28百万円増加し、前期比136.1%の3,433億34百万円となりました。報告セグメントごとの売上高については、旅行事業は前期比140.3%の2,839億72百万円、ホテル事業は前期比128.2%の229億89百万円、九州産交グループは前期比110.7%の239億85百万円となりました。

なお、当連結会計年度の期首より、セグメントを従来の「旅行事業」「テーマパーク事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」の4セグメントから、「旅行事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」の3セグメントに変更しております。このため、前連結会計年度との比較については、セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。また、報告セグメントごとの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

 

(ⅱ)営業費用

当連結会計年度の営業費用は、前連結会計年度に比べ819億8百万円増加し、前期比132.7%の3,324億79百万円となりました。

そのうち、売上原価は前連結会計年度に比べ635億88百万円増加し、前期比137.6%の2,327億16百万円となりました。

また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ183億20百万円増加し、前期比122.5%の997億62百万円となりました。

 

(ⅲ)営業利益

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ92億19百万円増加し、前期比663.8%の108億54百万円となりました。

 

(ⅳ)経常利益

当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ88億5百万円増加し、前期比634.7%の104億51百万円となりました。

主な営業外収益として、受取利息(13億36百万円)、また営業外費用として、支払利息(24億72百万円)が挙げられます。

 

(ⅴ)親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は85億26百万円(前期は税金等調整前当期純損失12億82百万円)となり、前連結会計年度に比べ98億8百万円の改善となりました。

また、当連結会計年度の法人税等は△10億90百万円(前期は6億38百万円)となり、前連結会計年度に比べ17億29百万円の減少となりました。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は87億17百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失26億28百万円)となり、前連結会計年度に比べ113億45百万円の改善となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資等であります。運転資金につきましては金融機関からの借入により資金調達を行っております。設備投資等につきましては金融機関からの借入、社債及び転換社債型新株予約権付社債の発行、増資により資金調達を行っております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りを用いており、これらの見積りは過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定並びに新型コロナウイルスの感染拡大に関する重要な会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、IATA(国際航空運送協会)公認旅客代理店として1990年12月31日認可(期限は認可取消しになるまで有効)を受け、旅客代理店契約(PASSENGER SALES AGENCY AGREEMENT)を結んでおります。

(注)IATA(国際航空運送協会)について

1945年に設立され、主に国際線を運航している航空会社が加盟している民間機関です。本部は、カナダのモントリオールと、スイスのジュネーブにあり、IATA公認代理店向けの諸施策の決定や精算事務はジュネーブで行われています。IATAの権限は、運賃の取り決め、運送条件の取り決め、代理店対策、運航上の取り決め及び運賃決済などがあります。IATAの公認代理店の認可を受けることで、自社で国際線航空券が発券できます。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。