1 【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名称   ニデック株式会社

所在地  京都府京都市南区久世殿城町338番地

 

2 【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式(以下「当社株式」といいます。)

 

3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1) 本公開買付けに関する意見の内容

当社は、本公開買付けが、①当社の株主の皆様が第三者提案(下記3(2)(a)で定義します。以下同じです。)2025年3月期に係る当社の決算発表(以下「25年3月期決算発表」といいます。)の内容を検討した上で本提案(下記3(2)で定義します。)の是非につき適切な判断をするために合理的に必要な時間を確保せずに開始されたものであり、株主の皆様にこれらの検討の機会を与えないまま本公開買付けに応募するか否かを決定させるものであること、及び②本公開買付けの条件には相当程度の強圧性が存する具体的な疑いがあり、本公開買付けの条件が株主の皆様共同の利益を害するものであっても、応募せざるを得ない状況を生むものであることから、本公開買付けに反対することを決議いたしました。

したがいまして、株主の皆様におかれましては、本公開買付けに応募されないようお願い申し上げますと共に、既に応募された株主の皆様におかれましては、速やかに本公開買付けに係る契約の解除を行っていただきますよう、お願い申し上げます。

 

なお、本公開買付けは、第三者最終意向表明書(下記3(2)(a)で定義します。)を受領する前の本年4月4日に、当社が2025年3月19日付けで導入した「ニデック株式会社による当社株式に係る公開買付け(予告)につき、第三者提案の具体化・検討のために必要な時間を確保することのみを目的とする、当社の会社の支配に関する基本方針及び当社株式の大規模買付行為等への対応方針(買収への対応方針)(以下「本対応方針」といいます。)に定める手続を遵守せず開始されたものであり、当社の株主の皆様が第三者提案を踏まえて本公開買付けの条件が有利なものか否かを検討する機会を奪うものであることから、当社は、2025年4月10日付けで、本特別委員会(下記3(2)で定義します。)の答申を最大限尊重し、本公開買付けに対し本対応方針に基づく対抗措置(以下「本対抗措置」といいます。)を発動すること及び本対抗措置の発動について株主の皆様の意思を確認する議案(以下「本議案」といいます。)を本年6月に開催予定の当社定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)に付議することを決議しております。

 

(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由

当社は、公開買付者が2025年4月4日に提出した公開買付届出書(以下「本公開買付届出書」といいます。)及び当社が収集した本公開買付けに関する情報を基に、公開買付者の提案を詳細に評価・検討いたしました。その結果、当社は、本公開買付けに対して反対いたします。その判断の具体的な内容については、下記(a)から(e)のとおりです。

 

なお、当社は、公開買付者より20241227日付けで当社の完全子会社化の提案(以下「本提案」といいます。)を受領して以来、本提案の是非やストラクチャーを含む取引条件及び手続の妥当性及び公正性を検討して参りましたが、2025年1月28日付け「ニデックによる公開買付けの提案に関する検討体制について」(以下「検討体制プレスリリース」といいます。)で公表いたしましたとおり、かかる検討に当たり、フィナンシャル・アドバイザーとして野村證券株式会社、主に日本法務に関するリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、米国法務に関するリーガル・アドバイザーとしてSullivan & Cromwell LLP、株主対応アドバイザーとして株式会社アイ・アールジャパンを外部アドバイザーとして選定・起用し、その助言等を受けております。

 

また、当社は、2025年1月10日付け「特別委員会の設置に関するお知らせ」で公表いたしましたとおり、本提案の是非やストラクチャーを含む取引条件及び手続の妥当性及び公正性を検討するに当たって、当社の企業価値の向上及び一般株主の利益を図る立場から、当社取締役会による恣意的な判断を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保することを目的として、当社独立社外取締役4名から構成される特別委員会(委員長は髙橋一夫・元株式会社大和証券グループ本社取締役兼執行役副社長。以下「本特別委員会」といいます。)を設置しており、本特別委員会は、検討体制プレスリリースのとおり、当社の各外部アドバイザーとは別に、独自にフィナンシャル・アドバイザーとしてJPモルガン証券株式会社、リーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業を外部アドバイザーとして選定・起用しております。

 

当社は、本公開買付けに対する意見を表明するに当たり、本特別委員会に対し、当社が本公開買付けに対して反対の意見を表明することが適切ではないかを諮問し、本特別委員会から、2025年4月10日付けで、当社が本公開買付けに対して反対の意見を表明することは合理的である旨の答申を得ました。この答申を受けて、当社取締役会は、2025年4月10日、取締役全員の一致により、本公開買付けに反対の意見を表明する旨の決議を行いました。

 

(a) 本公開買付けまでの経緯

当社は、公開買付者より、当社の2024年における最終の営業日であった20241227日付けで、事前の打診や連絡が全くないままに、「企業価値の最大化に向けた経営統合に関する意向表明書」(以下「本意向表明書」といいます。)を受領いたしました。本意向表明書によれば、公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的として、公開買付期間の開始日を2025年4月4日、公開買付期間を31営業日(以下、本公開買付けの公開買付期間を「本公開買付期間」といい、一般的な法律用語としての公開買付期間を「TOB期間」といいます。)、公開買付価格を11,000(以下「本公開買付価格」といいます。)、買付予定数の下限を当社の総議決権数の50%に相当する数に設定し、買付予定数の上限は設定しない当社株式に対する公開買付けの実施を提案していました。

公開買付者による本提案を受けて、当社は、本(2)冒頭のとおり、2025年1月10日付けで本特別委員会を設置し、本提案の是非やストラクチャーを含む取引条件及び手続の妥当性及び公正性を検討して参りました。

当社及び本特別委員会は、公開買付者から本意向表明書を受領した直後より、本提案が当社の企業価値及び株主の皆様共同の利益の向上に繋がるものなのかについての精査を開始すると共に、当社の本源的価値の算定や、株主にとってより有利な代替案の模索等、あらゆる戦略的オプションについての幅広い検討を開始しました。また、本意向表明書に、公開買付者が当社を完全子会社化することによって当社に生じるシナジーに関する具体的な情報がなかったこと等から、本提案に関して提供された情報が、当社の株主の皆様によるインフォームド・ジャッジメントの機会を確保する観点から不十分な内容であると考え、公開買付者に対して、当社の株主の皆様及び当社が本提案とその他の戦略的オプションを比較検討した上で本提案の是非につき適切な判断をするために合理的に必要な時間を確保する目的で、本公開買付けの開始日を、(本公開買付期間を31営業日とする前提で)25年3月期決算発表日(現状、2025年4月30日に予定されています。)から約1週間後の日である同年5月9日まで延期すること等を要望する要望書を本特別委員会から同年1月15日及び同月22日に送付したほか、当社取締役会から、公開買付者の取締役会に対し、同様の要望を記した要望書(以下、本特別委員会による2通の要望書をそれぞれ「第1次要望書」及び「第2次要望書」といい、当社取締役会による要望書を「取締役会要望書」といいます。)を同月31日に送付するなど、本公開買付けの開始を同年5月9日とするよう、繰り返し要望して参りました。しかしながら、公開買付者は、本提案から本公開買付けの開始予定日まで3か月以上の期間があり、当社の25年3月期決算発表から本公開買付期間の末日までの間に12営業日が確保されている等と述べ、いずれの要望も拒絶しております。

 

その後、当社は、2025年3月10日付け「第三者からの当社の完全子会社化を目的とした初期的意向表明書の受領及びニデック株式会社からの買収提案に対する再要請書の送付について」で開示したとおり、株主にとってより有利な代替案を模索する過程で、2025年2月28日までに、当社経営陣及び当社取締役から独立した第三者(以下「提案者ら」といいます。)から、本提案と競合する、当社の完全子会社化を目的とした買収提案(以下「第三者提案」といいます。)に係る初期的な意向表明書(以下「第三者初期意向表明書」といいます。)を複数受領いたしました。これを受けて当社は、直ちに、提案者らとの間で、第三者提案に係る法的拘束力のある最終的な意向表明書(以下「第三者最終意向表明書」といいます。)の受領に向けた情報交換を開始しました。しかしながら、デュー・ディリジェンスや借入先金融機関との交渉等に要する期間に鑑みれば、本公開買付けの開始日として予告されていた本年4月4日までに、第三者最終意向表明書を受領し、これについて公表することが、極めて困難であることは明らかであり、実際に、当社は、現在も提案者らとの間で情報交換を行いながら、第三者最終意向表明書の受領のための対応を進めているところです。そこで、当社は、2025年3月10日付けで、公開買付者に対し、提案者らから第三者最終意向表明書を受領し、その旨を公表するまでには一定の時間を要するため、本公開買付けの開始を同年5月9日まで延期するように改めて要請(以下「取締役会再要望」といいます。)しましたが、公開買付者は、当社が取締役会再要望において同年3月14日までの回答を求めていたところ、同日及び3月17日に、取締役会再要望について真摯に検討している旨を開示するに留まり、その後、当社が同月18日付け「ニデックに対する『質問状(3)』への回答開示のお知らせ」において、公開買付者に対し同月19日までに実質的な回答をするように要求したものの、同日も、引き続き検討している旨を回答するに留まり、実質的な回答をしませんでした。

 

このような公開買付者との一連のやりとりを踏まえ、当社は、公開買付者が、当社の株主の皆様及び当社が本提案と第三者提案を比較検討した上で本提案の是非につき適切な判断をするために必要な時間を確保することなく、当初の予定のまま、本年4月4日に本公開買付けを開始する具体的かつ切迫した懸念があるものと考え、本特別委員会の答申も踏まえて、2025年3月19日付けで本対応方針を導入しました。

本対応方針は、当社の株主の皆様及び当社が、本提案と第三者提案を比較検討した上で本提案の是非につき適切な判断をするために合理的に必要な時間を確保することのみを目的とするものであって、本公開買付けの実施そのものを妨げることを目的とするものではありません。そのため、①公開買付者が実際に2025年5月9日以降に本公開買付けを開始するか、又は②本公開買付けの開始前に、当社が、公開買付者以外の第三者から、本提案よりも実質的に有利な条件と合理的に判断される第三者最終意向表明書を受領したことを確認した場合には、本対応方針を直ちに廃止することとしておりましたが、公開買付者は①②のいずれも満たさない本年4月4日に本公開買付けを開始しました。

本対応方針は本公開買付けを含む当社株式の大規模な買付けを本対応方針所定の手続に従って行うことを求めるものですが、本公開買付けは、本対応方針に定める手続を遵守せずに開始されています。

 

現在までの経緯については添付別紙Aの時系列表もご参照ください。

 

 

(b) 本公開買付けが、第三者提案や25年3月期決算発表を踏まえた検討を行うために必要な時間を確保することなく開始されたものであること

当社は、当社の株主の皆様が熟慮に基づく合理的な判断を行う前提条件が整わないままに、本公開買付けに応募するか否かについての判断を迫られることになる結果、当社の中長期的な企業価値を反映せず、また、株主の皆様共同の利益を害する条件で本公開買付けに応募することを選択せざるを得ない状態で、本公開買付けが実施されることを避ける必要があると考えております。

かかる考えの下、当社は、上記(a)のとおり、本公開買付けの開始日が、①2025年5月9日以降、又は②本公開買付けの開始前に、当社が、公開買付者以外の第三者から、本提案よりも実質的に有利な条件と合理的に判断される第三者最終意向表明書を受領したことを確認した後のいずれか早い時期となるように、公開買付者に対し本公開買付けの延期を要請した上、本対応方針を導入して参りました。

しかしながら、公開買付者は、当社の要請に応じず、また、本対応方針に違反して、本年4月4日に本公開買付けを開始しました。下記()から()のとおり、本公開買付けは、当社の株主の皆様が第三者提案や25年3月期決算発表の内容を検討した上で本提案の是非につき適切な判断をするために合理的に必要な時間を確保せずに開始されたものであり、これらの検討の機会を与えないまま本公開買付けに応募するか否かを決定させるものであることから、当社は、本公開買付けに賛成できないと考えております。

 

(ア)法的拘束力のある第三者提案を受領できる蓋然性があるにも拘らず、その受領・公表前に本公開買付けが開始されたことで、当社の株主の皆様が第三者提案を踏まえて本公開買付けの条件が有利なものか否かを検討する機会が奪われたこと

経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針企業価値の向上と株主利益の確保に向けて(以下「本指針」といいます。)では、株主の皆様が買収の是非や取引条件に関する正しい選択を行うためには十分な時間や情報が提供される必要があるとされているところ、本指針において繰り返されている「十分な時間」や「十分な情報」には、当然ながら、①当社取締役会や本特別委員会が企業価値及び株主の皆様共同の利益向上のための代替案を検討・立案・実行したりするために必要な時間や、②上記代替案に係る情報、さらには、本提案と代替案との比較に係る分析・検討結果に係る情報も含まれると考えられます(注1)

(注1) 何故なら、本指針の「2.2.2 企業価値の向上と株主利益の確保」では、「取締役会が買収に応じる方針を決定する場合・・・においては、対象会社の取締役が会社及びその株主の利益のために行動する、すなわち、会社の企業価値を向上させるか否かの観点から買収の是非を判断することに加えて、株主が享受すべき利益が確保される取引条件で買収が行われることを目指して合理的な努力が行われるべき」とされており、また、本指針の「3.2.1 想定される場面」でも「特に取締役会が買収に応じる方針を決定する場合においては、対象会社の取締役・取締役会(特別委員会を設置している場合は特別委員会を含む。以下同じ。)は、会社の企業価値を向上させるか否かの観点から買収の是非を判断するとともに、株主が享受すべき利益が確保される取引条件で買収が行われることを目指して合理的な努力を行うべき」とされ、本指針の「3.2.3 株主にとってできる限り有利な取引条件を目指した交渉」では、「取締役会は、買収者との交渉を行う際に、取引条件(価格に加え、買収比率や買収対価も含む。また、取引の蓋然性の高さも重要な考慮要素となる。)の改善により、株主にとってできる限り有利な取引条件で買収が行われることを目指して、真摯に交渉すべき」、「具体的には、取締役・取締役会として、買収者との間で企業価値に見合った買収価格に引き上げるための交渉を尽くす、競合提案があることを利用して競合提案に匹敵する程度に価格引き上げを求める・・・など、企業価値の向上に加えて株主利益の確保を実現するための合理的な努力を貫徹すべき」とされていることからすれば、当社取締役会及び本特別委員会は、現状において当社の株主の皆様及び当社が代替案と比較検討した上で本提案の是非を熟慮するために必要な時間と情報が確保されていないと考える場合には、それらを確保するための合理的な努力を貫徹すべきと考えられるからです。

 

 

しかしながら、上記(a)のとおり、当社は、提案者らから複数の第三者初期意向表明書を受領しているものの、現在も、第三者最終意向表明書の受領に向けた提案者らとの情報交換が続行しており、第三者最終意向表明書は未だ受領しておりません。

そのため、今後、当社が提案者らから第三者最終意向表明書を受領できる十分な蓋然性がある一方で、現時点において本公開買付けを開始すれば、当社株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かを決定するに当たり、本提案と第三者提案を比較検討することが不可能となります。そうであるにも拘らず、公開買付者は、当社による第三者最終意向表明書の受領を確認せず、本年4月4日に本公開買付けを開始したため、当社の株主の皆様は、本公開買付けに応募するか否かを決定するに当たり本提案と第三者提案を比較検討する極めて重要な機会を奪われております。

したがって、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対し、熟慮に基づく合理的な判断を行う前提条件が整う前に応募するか否かの判断を迫り、株主の皆様共同の利益を害する条件で本公開買付けに応募することを選択せざるを得ない状態で実施されているものです。

 

なお、公開買付者の専務執行役員であり最高M&A責任者である荒木隆光氏は、公開買付者が本公開買付けを2025年4月4日から開始することを公表した同月3日に、NHKのインタビューに応じ、「対抗が出てきたからといって値段のつり上げ競争には絶対に入らない」と述べたとのことであり(NHKニュースの2025年4月3日付け記事「ニデック牧野フライス製作所のTOB4日開始へ同意ないまま」)(注2)、当社の株主の皆様が第三者提案を踏まえて本公開買付けの条件が有利なものか否かを検討する余地を与えず、その機会を奪う目的から、当社の再三の要請を拒絶して本年4月4日に本公開買付けを開始したことを示唆しております。

(注2) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250403/k10014769191000.html

 

なお、下記(イ)のとおり、当社が本意向表明書を受領したのは2024年の年内最終営業日である2024年12月27日であり、2025年の最初の営業開始日である2025年1月6日から本公開買付けの開始日である本年4月4日までの約3か月弱という期間は、第三者最終意向表明書を受領するための期間として不十分であるため、同日時点で第三者最終意向表明書を受領できていないことは不合理ではありません。

 

(イ)本意向表明書の受領日から本公開買付けの開始日までの期間が第三者最終意向表明書を受領するための期間として不十分であること

本指針では、その「4.1.2 買収に関する検討時間の提供」において、「株主によるインフォームド・ジャッジメントの機会を確保するためには、情報のみならず、対象会社の株主や取締役会に対して十分な時間が提供されることも重要である。対象会社との交渉を経ずに公開買付けが開始される場合、対象会社の株主や取締役会にとって、買収に関する検討や準備の時間が不足することも考えられる。」と明記されています(注3)

(注3) インフォームド・ジャッジメントの確保については、本指針の「2.2.3 株主意思の尊重と透明性の確保」において、「買収の是非や取引条件に関する正しい選択を株主が行うためには、十分な情報が株主に提供される必要がある。このように、第2原則及び第3原則は、第1原則を実現する前提として求められるものである。・・・基本的には、・・・透明性を高め、株主に十分な情報や時間を提供することで、株主の適切な判断(インフォームド・ジャッジメント)が行われることが期待される。その際、買収者は、買収の公表に至るまでは対象会社に対して説明を行うとともに、公表後は公開買付届出書などへの適切な記載を通じて株主を含めた市場に対する説明責任を果たす必要がある」と明記されています。

 

本件では、当社が本意向表明書を受領したのは、当社及び多くの日本の事業会社にとっての2024年の年内最終営業日である20241227()であって、しかも、公開買付者も自認しているとおり、本意向表明書を受領するまで、公開買付者からは、本提案に関して、事前の協議はおろか、事前の打診すら一切ございませんでした。そのため、検討期間の始期が実質的に2025年の最初の営業開始日である1月6日()となり、本公開買付けが開始された本年4月4日まで、約3か月弱の検討期間しか確保されていませんでした。

 

 

上記()のとおり、当社は、本提案の是非に関する検討の一環として第三者提案の可能性を検討する必要もあるところ、一般にデュー・ディリジェンスや借入先金融機関との交渉等に要する期間等に鑑みれば、約3か月弱という期間は、本提案について事前に全く打診を受けていない当社が第三者提案を模索し公表するまでの時間として不十分であり、本年4月4日までに、第三者最終意向表明書を受領し、これについて公表することは、極めて困難です()

実際に、提案者らのうちの1社からは、本対応方針の導入前に、本公開買付期間の末日とされている2025年5月21日までには、当社に対するデュー・ディリジェンスに要する期間や買収資金を借り入れる金融機関との交渉等の時間に照らして、第三者最終意向表明書の提出が難しい可能性があり、本特別委員会や当社取締役会が要望しているところに従って、少なくとも本公開買付けの開始を2025年5月9日まで延期するように公開買付者に働き掛けて欲しいとの書簡を受領していたところです。

 

また、現在のわが国におけるプラクティス上も、事前の同意がない公開買付けに備えて、いわゆる平時導入型の「買収への対応方針」(いわゆる事前警告型買収防衛策)を導入している会社も多数あるところ、いわゆる平時導入型の「買収への対応方針」では、本指針を踏まえ、その目的に代替案の提示を可能ならしめる旨が含まれると共に、公開買付けの開始までの期間として、情報提供期間として60日間、取締役会での検討期間として60日から90日間(120日から150)が確保されることが一般的です。

そして、実際に、わが国で実施された近時の対象会社の同意なき公開買付けに関する事案(注4)では、買収の打診があったと考えられる日から公開買付けの開始日までは約6か月以上の期間がかかっているところです。

このような同意なき公開買付けに関する実務等を踏まえれば、約3か月弱という期間が、本公開買付けを打診した日から本公開買付け開始日までの期間として短すぎることは明らかです()

(注4) 伊藤忠商事株式会社の完全子会社が株式会社デサントに公開買付けした事案、株式会社コロワイドが株式会社大戸屋ホールディングスに公開買付けした事案、日本製鉄株式会社が東京製綱株式会社に公開買付けした事案、SBIホールディングス株式会社の完全子会社が株式会社新生銀行に公開買付けをした事案、堂島汽船株式会社が兵機海運株式会社に公開買付けした事案等

 

さらに、買収提案の検討及び公表には相当程度の時間を要する点については、公開買付者が「2024年8月頃より本取引に係る検討を開始」し、同年1227日に本提案をするまで約5か月間に亘って本提案について検討した旨を同日付けの「株式会社牧野フライス製作所(証券コード:6135)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」に記載していることからも明白です()

 

以上の①から③の事情を踏まえれば、公開買付者から本意向表明書を受領した20241227日から本公開買付けの開始日である本年4月4日までの約3か月弱という期間は、第三者最終意向表明書を受領するための期間として不十分といわざるを得ません。

 

(ウ)25年3月期決算発表前に本公開買付けが開始されたことで、当社の株主の皆様が当該発表を踏まえて本公開買付けの条件が有利なものか否かを検討する機会が奪われたこと

当社の株主の皆様が本公開買付けの条件が有利なものか否かを判断し、本公開買付けに応募するか否かを決定する際には、2025年3月期に係る当社の経営成績や財務状況も考慮する必要があると考えられます。また、工作機械メーカーである当社の売上げは、例年、第4四半期が最も大きくなることから、25年3月期決算発表まで当社の同3月期に係る業績は明らかにならず、具体的に予測することは困難です。そのため、公開買付者は、25年3月期決算発表前に本公開買付けを開始したことで、当社の株主の皆様から、当該発表を踏まえて本公開買付けの条件が有利なものか否かを検討する機会を奪っております。

したがって、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対し、熟慮に基づく合理的な判断を行う前提条件が整う前に応募するか否かの判断を迫り、株主の皆様共同の利益を害する条件で本公開買付けに応募することを選択せざるを得ない状態で実施されているものです。

 

 

なお、公開買付者は本公開買付けの開始を本年4月4日としたとしても、当社の25年3月期決算発表から本公開買付期間の末日まで12営業日が確保されているため問題ないと主張しています。しかしながら、25年3月期決算発表が本公開買付期間中になされた場合には、当該決算発表が当社の株価にどのように影響したかが本公開買付けの影響により事実上検証できないため、当社の株主の皆様が、本公開買付けが有利なものであるか否かにつき、十分な情報を確保できない結果、それに応募すべきか否かの判断を合理的に行うことができず、問題があることは明らかです。また、法が、公開買付けの対象会社の株主が不安定な地位に置かれる期間を制限するために、TOB期間中は、取引所における公正な価格形成が阻害されるとの認識を踏まえて、TOB期間に上限を設けていることからも明らかなとおり、TOB期間中は、様々な思惑による株価変動等により、公開買付けの対象会社の株主が通常とは異なる不安定な地位に置かれることになります。特に、本公開買付けが、当社への事前の協議を経ずに提案されたものであって、公開買付者と対象会社での協議が済んだ上での合意に基づき公表される通常の公開買付けの場合に比べて、当社の株主としては本公開買付けに応募するか否かにつきより慎重な判断を要することにも鑑みれば、かかる不安定な地位に置かれることのないTOB期間の開始前に、25年3月期決算発表の内容を踏まえて本公開買付けの条件が有利なものか否かを検討するための一定の検討時間が確保される必要があると考えられます。したがって、25年3月期決算発表から本公開買付期間の末日までの間に12営業日が確保されているので本公開買付けを2025年4月4日から開始しても問題ないとする上記公開買付者の主張は、的を射たものではありません。

 

(c) 本公開買付けの条件には相当程度の強圧性が存する具体的な疑いがあり、本公開買付けの条件が株主の皆様共同の利益を害するものであっても、応募せざるを得ない状況を生むものであること

(ア)買付予定数の下限が50%とされていること

本公開買付届出書では、当社の完全子会社化を目的として実施される本公開買付けについて、買付予定株式数の上限は無し、下限は当社株式の総議決権数の50%に相当する数である11,694,400株とされています。

しかしながら、これでは、本公開買付けは成立する一方で、それに対する応募株式数が当社の総株主の議決権の3分の2を下回る結果、本公開買付け後において、公開買付者による当社の完全子会社化のための議案(スクイーズ・アウトのための議案。典型的には、スクイーズ・アウトのための株式併合に係る議案)が当社株主総会において可決されず、当社の株主の皆様が、公開買付者が親会社となった状態における当社の少数株主として取り残される可能性が存するため、当社の株主の皆様は、本公開買付けの条件に不満があっても、それに応募せざるを得ない状況(かかる状況は、一般に「強圧性に晒された状況」と呼ばれます。)に置かれることになりかねません。

この点、202410月付けで金融庁が公表した「公開買付けの開示に関する留意事項について(公開買付開示ガイドライン)」には、第1-3-1の④として「公開買付けの目的と買付予定数の上限及び下限が整合的か審査する。特に、全部取得を目的とする公開買付けにおいて、公開買付けの後において公開買付者及びその特別関係者が有する議決権が総株主の議決権の3分の2を下回るおそれがある買付予定数の下限を設定する場合には、公開買付者において当該買付予定数の下限が買付け等の目的の達成のために必要かつ適当と考えた理由について、具体的に記載されているか審査する」とされているように、全部取得を目的とする公開買付けにおいては、一般株主に対する強圧性を防止する観点から、買付株式数の下限は総株主の議決権の3分の2とすることが原則であると考えられます。したがって、本公開買付けが当社の完全子会社化を目的として実施されるものであるにも拘らず、本公開買付けにおける買付予定数の下限を、(スクイーズ・アウトのための株式併合に係る議案を株主総会で可決するために必要な総株主の議決権の3分の2を下回る)当社株式の総議決権数の50%に相当する数とすることは、以下に述べるとおり、株主の皆様に本公開買付けに応募することを強いるものであり、株主の皆様を相当程度の強圧性に晒すものといわざるを得ません。

 

 

(イ)本公開買付けの応募が下限近くに留まったとしてもスクイーズ・アウトに係る議案の可決が合理的に見込まれるとの公開買付者の主張に根拠がないこと

この点に関して、公開買付者は、本公開買付届出書7頁において、仮に本公開買付けへの応募が上記の下限近くに留まったとしても、国内パッシブ・インデックス運用ファンド、公益財団法人工作機械技術振興財団(以下「本財団」といいます。)や当社役員、当社の株式持ち合い先(以下「国内パッシブファンド等」といいます。)(本公開買付けに応募しない前提で)株式併合に係る議案に対して「賛成の議決権を行使すると見込まれる」ため、所有割合に換算して約74.12%以上の賛成率で株式併合に係る議案の可決が合理的に見込まれると述べています。しかしながら、①上記のような株主が、本件において「賛成の議決権を行使すると見込まれる」とする合理的な根拠は一切述べられていません。本公開買付届出書7頁に「公開買付者は、本書提出日現在、本財団法人及び対象者の役員について、本公開買付けが成立した場合に本株式併合に係る議案について賛成する予定である旨の意思は確認できておりません」と記載されているとおり、公開買付者は、本財団及び当社役員の意思を確認しないまま具体的な根拠なく、「賛成の議決権を行使すると見込まれる」と述べているに過ぎません。

また、②当社の株主の皆様及び当社が本提案の是非を熟慮するための十分な時間が確保できないような態様で本提案がなされた中で、少なくとも、現状においては、国内パッシブファンド等が公開買付者による当社の完全子会社化に賛成すると推認すべき材料は特にないことも踏まえると、公開買付者の説明は、本公開買付けにおける買付予定数の下限を当社株式の総議決権数の50%に相当する数としても強圧性が生じないと考えることの合理的な理由にはなっておりません。実際に、当社の大株主のうち、本財団(保有割合約3.77)及び創業家一族3名(保有割合は合計約4.1)が、本公開買付けに応募せず、スクイーズ・アウトに係る議案に反対する旨の書簡を金融庁に対して提出しており、保有割合にして少なくとも合計約8%の当社株主は本公開買付けに応募せず、スクイーズ・アウトに係る議案に反対する予定であることが判明しています。

さらに、③公開買付者の株式会社TAKISAWA(以下「TAKISAWA」といいます。)に対する同意なき買収提案の事案では、同事案に係る2023年9月14日付け公開買付届出書(以下「TAKISAWA公開買付届出書」といいます。)によれば本提案と同様に公開買付けの下限の設定につき三田証券株式会社からアドバイスを受けているにも拘らず、その公開買付けの下限を総株主の議決権の3分の2以上としなくとも、完全子会社化のためのスクイーズ・アウト議案が成立すると考えられる根拠として、いわゆる株式の持ち合い先は「本公開買付けが成立して本臨時株主総会に移行した場合に、当該株主総会における本株式併合議案への特別決議への賛成票を投じると見込まれる株主」に含めておらず、本公開買付届出書は、公開買付者が約1年半前に提出したTAKISAWA公開買付届出書と明らかに整合しておりません。しかも、公開買付者が、本公開買付届出書7頁で「本株式併合に係る議案への賛成の議決権行使が見込まれる対象者株式数の水準は約70.30%」としているのは、本公開買付けに当社の総議決権数の50%に相当する数の株式の応募があったことを前提に、それに国内パッシブ機関投資家(公開買付者による推計で所有割合約13.05)及び株式持ち合い先(同所有割合約7.25)を加算した結果であると解されるところ、上記のとおりTAKISAWA公開買付届出書ではスクイーズ・アウト議案への賛成票を投じると見込まれていなかった「株式持ち合い先」の株式保有分を差し引くと、「本株式併合に係る議案への賛成の議決権行使が見込まれる対象者株式数の水準」は「約63.05(即ち、50%+約13.05)」となってしまい、本公開買付届出書の記載とは異なり、「本株式併合に係る議案の決議成立に必要な株式数の水準(3分の2)」を割り込むこととなります。つまり、TAKISAWA公開買付届出書と同様の前提を置いた場合には、本公開買付届出書の記載とは逆に、「本株式併合に係る議案の決議成立に必要な株式数の水準(3分の2)」は確保できないこととなるのであって、公開買付者は、本公開買付けについては、スクイーズ・アウト議案の成立可能性を意図的かつ恣意的に高く装ったものであり、金融庁の「公開買付けの開示に関する留意事項について(公開買付開示ガイドライン)」において「総株主の議決権の3分の2を下回るおそれがある買付予定数の下限を設定する場合」に求められている「当該買付予定数の下限が買付け等の目的の達成のために必要かつ適当と考えた理由」としても明らかに不適切である、と考えております。

 

加えて、④本公開買付けでは、TAKISAWAの事案と同様に、パッシブ機関投資家株主が全て公開買付けに応募せず、しかしながら、スクイーズ・アウト議案には賛成するという前提が置かれているところ、当社の株主対応アドバイザーである株式会社アイ・アールジャパンからは、公開買付けの条件等によっては公開買付けへの応募を行う国内パッシブ・インデックス運用ファンドも一定数存在するとの報告を受けているほか、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のホームページ「国内株式の運用機関の公募について」において、「パッシブ運用においては、パッシブ運用として認められる一定水準のトラッキング・エラーの範囲の中で、ベンチマークに対する付加価値獲得の工夫を求めています」と掲載されていることからも、一定水準のトラッキング・エラーを許容し、公開買付けに応募する国内パッシブ・インデックス運用ファンドも存在するものと思われます。

さらに、公開買付者は、本公開買付届出書において、スクイーズ・アウトの手法に株式併合を選択した案件において「公開買付け成立後の株式併合議案(スクイーズアウト議案)に係る公開買付主体以外の株主の議決権行使比率は、平時の定時株主総会の議決権行使比率に比して大きく低下すると考えられる」と述べていますが、これは、通常、株式併合を諮る株主総会の時点では公開買付者が既に議決権の3分の2以上を保有していることから株式併合議案が可決されることが明らかであるため、公開買付者以外の株主がわざわざ議決権行使をしないことを前提とした検討結果に過ぎず、公開買付けの下限が総株主の議決権の3分の2以上とされておらず、公開買付者による3分の2以上の獲得が保証されていない本公開買付けに関しては妥当しません。

 

(ウ)本公開買付けの買付期間に追加応募期間が設定されていることは強圧性を解消しないこと

公開買付者は、本公開買付届出書において、本公開買付期間中に応募株式数が買付予定数の下限に達した場合には、速やかにその旨を公表し、当該公表日の翌営業日から起算して10営業日を確保できるように本公開買付期間を延長する(以下、延長された10営業日の公開買付期間を「追加応募期間」といいます。)旨記載しており、これにより本公開買付けの強圧性が排除されていると主張しています。

しかしながら、総議決権数の3分の2以上を取得しないと株主総会におけるスクイーズ・アウトの承認可決が確実とならない日本においては、公開買付けの成立・不成立と、スクイーズ・アウトの成立・不成立との組合せによって、取引の帰趨について3パターン(①公開買付けが成立+スクイーズ・アウトも成立、②公開買付けは成立+スクイーズ・アウトは不成立、及び③公開買付け自体が不成立)があり得るので、本公開買付けの下限が50%である以上、たとえ本公開買付けが成立しても、スクイーズ・アウトが不成立に終わり、少数株主として取り残される可能性が生じることから、当社の株主の皆様への強圧性が残ることは否定できません。日本の公開買付制度上は、英国やドイツの公開買付制度とは異なり、TOB期間中であれば、株主は公開買付けへの応募を自由に撤回し得る一方で、追加応募期間が設定されていようとも、本公開買付けは当社の総議決権の50%に相当する数の株式の応募があれば成立することに変わりありません。そのため、追加応募期間を経た場合でも、最終的に本公開買付け成立後に公開買付者が有する議決権が総株主の議決権の3分の2を下回り、スクイーズ・アウトのための株式併合に係る議案の可決が保証されない結果、応募しなかった当社株主が少数株主として取り残されるおそれは依然として存在します。

以上のことから、追加応募期間が設定されていることを踏まえても、本公開買付けの強圧性は解消されていないと考えております。

 

 

(エ)公開買付者が、スクイーズ・アウトに係る議案が可決されなかった場合には、本公開買付価格と同額で当社株式の追加取得を行う予定であることは強圧性を解消しないこと

本公開買付届出書には、本公開買付けの結果、当社株式の総議決権数の3分の2以上に当たる数の株式が取得できず、当社の株主総会においてスクイーズ・アウトに係る議案が可決されなかった場合には、公開買付者は、議決権保有割合が3分の2以上となるまで当社株式の追加取得を行う(以下、かかる追加取得を「本追加取得」といいます。)旨が記載されています。

しかしながら、①これはあくまでも「予定」であって「誓約」ではないばかりか、②かかる追加取得の価格(以下「本追加取得価格」といいます。)については、「なお、上記追加取得において、公開買付者が対象者の株主の皆様に対して支払う対価は、本公開買付価格と比較して、当該追加取得に対応して売却する株主にとって経済的に同等と評価される価格(対象者が株式併合又は株式分割等、支払う対価の調整を要する行為を行わない限り、1株あたり、本公開買付価格と同額)といたします」(本公開買付届出書10)とされており、本追加取得価格は本公開買付価格と同額である(同額「以上」ではない)ことが明らかにされているほか、③本追加取得の時期については、「対象者株式を追加取得して、当該株主総会の開催を要請するものとします(このような追加取得及びその後の株主総会による本株式併合の承認までに要する期間については、市況等の事情にもよるため、現時点では確定的な時期を特定することは困難であり、具体的な見込み時期が判明しましたらその旨お知らせいたします。)」とされており、本追加取得の時期は不明確です。したがって、「貨幣の時間的価値」(2025年1月24日付けで日本銀行が政策金利(短期金利である無担保コール翌日物レート)0.25%から0.5%へ引き上げていることを踏まえれば、貨幣の時間的価値は無視できません。)を勘案すれば、本追加取得の予定は本公開買付けの強圧性を解消するものではないと考えております。むしろ、あくまで総議決権数の3分の2以上の取得を目指して追加取得を行うこととした上で、本追加取得価格を本公開買付価格と同額とするということは、公開買付者は本公開買付けにより当社の総議決権の過半数を得た後に、当社の株主総会の決定権を掌握したことを利用して、価格が不十分であるとして本公開買付けに応募しないという選択をしている株主に対しても、本公開買付け後に何らかの方法(例えば配当額の減少等)で本公開買付価格での売却に応じさせる可能性があるとも考えられ、かつ、当該可能性については、当社の株主の皆様が本公開買付けの時点で認識可能であることから、却って強圧性が増しているとすら考えられます。

 

当社としては、このように相当程度の強圧性がある本公開買付けは、本公開買付けの条件が株主の皆様共同の利益を害するものであっても、応募せざるを得ない状況を生み、株主の皆様の利益を害するおそれがあると考えております。特に、強圧性がより小さい当社の完全子会社化を目的とする第三者提案を模索している現状においては、当社は、相当程度の強圧性がある本公開買付けには賛成できないと考えております。

 

(d) 本公開買付けの実施により、当社に生じる具体的なシナジーが不透明である一方で、当社の中長期的な企業価値向上の観点で深刻なディスシナジーが生じ得る具体的懸念が存在するため、本公開買付けを通じた公開買付者による当社の買収が、当社の企業価値及び株主の皆様共同の利益の確保に資するとの確信を抱くには至っていないこと

 

公開買付者と当社は、顧客層や取り扱う製品の精度が異なるため、両者の技術等を組み合わせて十分なシナジーを生じさせることは難しいと考えております。そこで、当社は、公開買付者に対し、定量的なシナジーの説明を求めましたが、公開買付者は、当社が2025年3月11日付けで公開買付者に対し送付した「質問状(3)」(以下「第3次質問状」といいます。)に対する同月17日付けの回答書において、「弊社は現時点で、貴社の次年度以降の計画を策定しておりません」「本取引により、貴社が弊社グループに入っていただくことで創出されるシナジーは、本取引後に精緻化していく予定」と述べているとおり、定量的なシナジーの検討をしていないとのことです。また、当社が同年1月28日付け及び2月7日付けで公開買付者に対し送付した質問状2通(以下、同年1月28日付けの質問状を「第1次質問状」、同年2月7日付けの質問状を「第2次質問状」といいます。)及び第3次質問状への回答並びに当社及び本特別委員会が公開買付者との間で実施した面談において、公開買付者は、シナジーの具体的内容や定量的分析結果について何ら具体的な回答をしていません。したがって、現時点において、本公開買付けによって当社に生じる具体的なシナジーは明らかではなく、十分なシナジーを得られるとの確信には至っておりません。

 

他方で、()当社の主要な顧客である日本の金型メーカーによって構成される日本金型工業会から、会員の約75%が本公開買付けの印象は悪いと感じており、約60%が本公開買付けにより自社に悪い影響が生じると考えている旨のアンケートが公表されていること、()同じく当社の主要な顧客である中国の金型メーカーによって構成される中国金型工業協会及び中国各地の金型工業協会から、公開買付者による当社の買収が成立した場合に、当社の技術サービスの品質に望ましくない影響が生じることを懸念する旨の声明が出されていること、()公開買付者が当社の親会社になった場合には当社との取引を停止する見通しであると表明している国内取引先は、国内売上高に占める割合にして10%超にも上っていて、本提案に基づき公開買付者が当社の完全親会社となった場合には上記売上げを失うおそれがあること、()従業員の90%超が加入する当社の労働組合が全組合員投票において「当労組は本株式公開買付け(TOB)に対して強く反対する」旨の意見書への賛否を問うたところ、賛同(本公開買付けに強く反対)92.1%、反対(本公開買付けに反対しない)7.9%の結果となったこと(なお、投票率は91.6)()公開買付者の子会社かつ工作機械メーカーであるニデックオーケーケー株式会社のウェブサイトの「企業概要」のページと同社の2022年6月21日付け第164期有価証券報告書を見比べる限り、同社の従業員は、公開買付者に買収された2022年以降に約300人減少していると考えられること(なお、当社は、公開買付者に対し同社の子会社である工作機械メーカー4社の過去5年間の平均離職率を再三質問しておりますが、公開買付者は一度も回答しておりません。)()公開買付者からこれらの懸念を払拭するに足りる具体的な説明がなされていないことから、本公開買付けにより、当社の中長期的な企業価値向上の観点で深刻なディスシナジーが生じ得る具体的懸念が存在するものと考えております。

以上のとおり、現時点では、本公開買付けによって当社に生じるシナジーが明らかではない一方で、当社の中長期的な企業価値向上の観点で深刻なディスシナジーが生じ得る具体的懸念が存在することから、本公開買付けを通じた公開買付者による当社の買収が、当社の企業価値及び株主の皆様共同の利益の確保に資するとの確信を抱くには至っておりません。

(e) 結論

以上のとおり、当社は、現時点に至るまで、本公開買付けを通じた公開買付者による当社の買収が、当社の企業価値及び株主の皆様共同の利益の確保に資するとの確信を抱くには至っておらず、本公開買付けが、①当社の株主の皆様が第三者提案や25年3月期決算発表の内容を検討した上で本提案の是非につき適切な判断をするために合理的に必要な時間を確保せずに開始されたものであり、株主の皆様にこれらの検討の機会を与えないまま本公開買付けに応募するか否かを決定させるものであること、及び②本公開買付けの条件には相当程度の強圧性が存する具体的な疑いがあり、本公開買付けの条件が株主の皆様共同の利益を害するものであっても、応募せざるを得ない状況を生むものであることから、本公開買付けに対して反対いたします。

 

(3) 上場廃止となる見込み及びその事由

当社株式は、本日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場されております。

本公開買付届出書によれば、以下のとおりとのことです。

公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があるとのことです。また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、本公開買付届出書20頁の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の手続が実行された場合には、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となるとのことです。

 

 

(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

本公開買付届出書によれば、以下のとおりとのことです。

公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにおいて公開買付者が当社株式の全て(公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合のうち、本公開買付けの結果、()公開買付者が当社の総株主の議決権の90%以上に相当する当社株式を所有するに至った場合、()公開買付者が当社の総株主の議決権の3分の2以上90%未満に相当する当社株式を所有するに至った場合、()公開買付者が当社の総株主の議決権の3分の2以上に相当する当社株式を所有するに至らなかった場合のいずれの場合であっても、公開買付者は、スクイーズ・アウト手続を実施することを予定しており、上記()の場合は会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、株式売渡請求を行う予定であり、上記()及び()の場合には当社に対して、会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)の開催を要請するものとするとのことです。

但し、上記()の場合、本臨時株主総会において本株式併合に係る議案が否決される可能性もありますが、当該議案が否決される場合であっても、公開買付者は、最終的には当社株式の全て(公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することを目的としていることから、本株式併合の承認のために次回に開催を予定する株主総会における議決権の数に3分の2を乗じた議決権の数に相当する株式数に達するまで当社株式を追加取得して、当該株主総会の開催を要請するものとするとのことです(このような追加取得及びその後の株主総会による本株式併合の承認までに要する期間については、市況等の事情にもよるため、現時点では確定的な時期を特定することは困難とのことです。)。公開買付者は、当該追加取得の方法として、市場内取引、公開買付け、公開買付け以外の市場外買付け(法において認められる場合に限るとのことです。)を予定しており、本臨時株主総会において本株式併合に係る議案が否決された場合、実務上可能な限り速やかに追加取得を開始するとのことです。本公開買付けが成立した場合には当該見込み時期に拘らず、当社を完全子会社化する方針を変更しないとのことです。

(5) 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置

(a) 特別委員会の設置及び答申

上記(2)のとおり、当社は、本提案の是非やストラクチャーを含む取引条件及び手続の妥当性及び公正性を検討するにあたって、当社の企業価値の向上及び一般株主の利益を図る立場から、当社取締役会による恣意的な判断を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保することを目的として、当社の独立社外取締役4名からなる本特別委員会を設置しております。また、本特別委員会は、独自のフィナンシャル・アドバイザーとしてJPモルガン証券株式会社、リーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業を外部アドバイザーとして選定・起用しております。なお、かかる外部アドバイザーは、いずれも公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。

本特別委員会は、2025年1月10日以降、合計18回開催され、特別委員会規程に従い本提案の是非やストラクチャーを含む取引条件及び手続の妥当性及び公正性を検討して参りました。

そして、本特別委員会は、2025年4月10日、当社取締役会に対し、当社が本公開買付けに対して反対の意見を表明することは合理的である旨の答申を行いました。

かかる答申の概要は次のとおりです。

(ⅰ)答申内容

本件の具体的な事実関係を前提にすると、当社が本公開買付けに対して反対の意見を表明することは合理的である。

 

(ⅱ)答申理由

(ア)本公開買付けは、当社の株主が応募するか否かを決定するに当たり、提案者らからの魅力的な第三者提案を踏まえてその条件を比較検討する機会を奪う態様で開始されたものであり、株主の共同の利益を損なう可能性が高いものであること

 

・ 当社は、本提案を踏まえて、あらゆる戦略的オプションの検討の一環として、当社及び当社の株主にとって最善の選択肢を検討することを目的として、積極的なマーケット・チェックを実施している。当社は、上記の積極的なマーケット・チェックを通じて、2025年2月28日までに、提案者らから、第三者初期意向表明書を複数受領した。当社のフィナンシャル・アドバイザーである野村證券株式会社から、提案者らに対しては、本公開買付価格を上回る提案価格を示す必要がある旨が、第三者初期意向表明書の提出前に伝達されていることから、第三者提案の提出にあたって、提案者らは、本公開買付価格を上回る提案を行わなければ、当社の買収の実現可能性が乏しいことを認識していると考えられる。さらに、提案者らからの第三者初期意向表明書を受領後、提案者らは、2025年4月10日付け答申書(以下「本答申書」といいます。)提出時点に至るまで、当社との間で情報交換を行いながら、第三者最終意向表明書の提出のための対応を行っている。そのため、本答申書提出時点において、当社が、提案者らから、本公開買付価格を上回る公開買付価格による第三者提案に係る第三者最終意向表明書を受領できる蓋然性が認められるといえる。

・ なお、本答申書提出時点において、当社が提案者らから第三者最終意向表明書を受領できていないことは、不合理ではない。すなわち、当社は、当社の2024年の最終営業日である2024年12月27日に、公開買付者より、事前の協議や事前の打診なく、2025年4月4日に本公開買付けを開始する旨が示された本提案を受領し、当社の2025年の最初の営業日は2025年1月6日であったため、本答申書提出時点までの、当社における本提案の実質的な検討期間は、約3か月間に過ぎなかった。他方、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業によれば、わが国で実施された近時の対象会社の同意なき公開買付けに関する事案では、買収の打診があったと考えられる日から公開買付けの開始日まで、約6か月以上の期間を要している。また、当社の時価総額は、本答申書提出時点において、約2,800億円であるところ、JPモルガン証券株式会社が収集した公表資料によれば、公開買付代金(買付予定株数に公開買付価格を乗じた金額)が1,000億円を超える全部買収の公開買付けを実行するにあたっては、初期的な意向表明書の提出から最終的な意向表明書の提出まで3か月を超える期間を要する。さらに、提案者らの中には、買収資金の調達のために金融機関からの融資が必要となることが想定される者も存在し、提案者らがかかる融資を得るためには、当社に対する詳細なデュー・ディリジェンスを実施し、デュー・ディリジェンスの調査報告書を金融機関に共有した上で、融資に関する諸条件を金融機関と交渉する必要がある。現に、当社は、提案者らのうちの1社から、本特別委員会が当社による本対応方針の導入にあたって当社に対して提出した答申書の提出日である2025年3月19日までに、当社に対するデュー・ディリジェンスに要する期間や買収資金を借り入れる金融機関との交渉等の時間に照らして、本公開買付期間の末日である2025年5月21日までに第三者最終意向表明書を提出することが難しい可能性があり、当社の取締役会や本特別委員会が要望しているところに従って、少なくとも本公開買付けの開始を2025年5月9日まで延期するように公開買付者に働き掛けて欲しい旨の書簡を受領していた。上記の各点に鑑みれば、当社において、提案者らから第三者最終意向表明書を受領するための時間が十分に確保されているとはいえず、本答申書提出時点において、当社が提案者らから第三者最終意向表明書を受領できていないことは、不合理ではない。

・ 当社及び本特別委員会は、公開買付者に対して、第1次要望書及び第2次要望書並びに取締役会要望書による要請を行い、本公開買付の開始の延期を依頼したが、公開買付者はいずれの要請も拒絶した。また、当社は、2025年3月10日に、取締役会再要望書による要請を行い、当社が、2025年2月28日までに、提案者らから、第三者初期意向表明書を受領したこと、また、当社の株主が本提案と第三者提案を比較検討する時間を確保する必要性があることを公開買付者に対して伝達した上で、本公開買付けの延期を改めて依頼した。もっとも、これに対して、公開買付者は当社が指定した回答期限までに実質的な回答を行わなかったため、当社は、2025年3月19日に本対応方針を導入した。それにもかかわらず、公開買付者は、本対応方針に違反して、2025年4月4日に本公開買付けを開始した。

 

・ このように、当社が提案者らから第三者最終意向表明書を受領できる蓋然性が本答申書提出時点において認められ、また、第三者最終意向表明書が提出された場合、その公開買付価格は本公開買付価格を上回ることが見込まれている。それにもかかわらず、本公開買付けは、当社及び本特別委員会の繰り返しの要請を拒絶した上で、また、本対応方針に違反して、当社の株主が応募するか否かを決定するに当たり、第三者提案を踏まえてその条件を比較検討する機会を奪う態様で開始されている。このような状況及び態様で本公開買付けを開始することは、株主の共同の利益を損なう可能性が高いものであるといえる。

 

(イ)当社の株主が、当社の25年3月期決算発表の内容を踏まえて本公開買付けの条件を検討する機会が奪われたこと

・ また、当社の株主が本公開買付けの条件が有利なものか否かを判断し、本公開買付けに応募するか否かを決定する際には、工作機械メーカーである当社の売上げは、例年、第4四半期が最も大きく、25年3月期決算発表まで当社の同期に係る業績を具体的に予測することが困難であることも踏まえると、2025年3月期に係る当社の経営成績や財政状態という当社に係る最新の情報も考慮する必要性は高い。そのため、当社は、25年3月期決算発表が2025年4月30日に予定されていることを踏まえて、公開買付者に対して、本公開買付けの開始を延期するよう依頼していたにもかかわらず、公開買付者は、25年3月期決算発表が本公開買付期間中に行われるスケジュールで、本公開買付けを開始した。

・ なお、公開買付者は、当社の25年3月期決算発表から本公開買付期間の末日までの間に12営業日が確保されていることを理由に、本公開買付けの開始の延期を拒絶したが、公開買付け開始による株価への影響その他の公開買付け開始による株主の判断要素への諸影響に照らせば、合理的な理由付けに基づくものであるとは必ずしもいえない。

・ 以上のとおり、本公開買付けは、当社の株主が公開買付け開始による影響を受けずに、25年3月期決算発表という重要な情報の内容を踏まえて、本公開買付けに応募するか否かを決定する機会を奪う態様で開始されており、株主の共同の利益を損なう可能性があるといえる。

 

(ウ)本公開買付けの実施により、当社に生じる具体的なシナジーが不透明である一方で、当社の中長期的な企業価値向上の観点で重要なディスシナジーが生じ得る具体的懸念が存在するため、本答申書提出時点において、本提案が当社の企業価値向上及び株主の共同の利益の確保に資するとの確信を抱くに至っていないこと

・ 当社と公開買付者との間の顧客層や取り扱う製品の精度の差異により、当社において、両者の技術等を組み合わせて十分なシナジーを生じさせることは難しいと考えていたため、当社は、公開買付者に対し、当社による2025年1月28日付け「質問状」、2025年2月7日付け「質問状(2)」及び第3次質問状において、定量的なシナジーに関する説明を求めた。もっとも、公開買付者は、当社による第3次質問状に対する同月17日付けの回答書において、当社の次年度以降の計画は策定しておらず、当社が公開買付者の完全子会社となり、公開買付者グループに加入することで創出されるシナジーは、本取引後に精緻化していく予定である旨を述べるに留まっている。また、当社による第1次質問状、第2次質問状及び第3次質問状への回答並びに当社が2025年3月4日に、また、本特別委員会が2025年1月17日に公開買付者との間で実施した面談において、公開買付者からは、本公開買付けの実施により当社に生じるシナジーの具体的内容や定量的分析結果について、具体的な回答がなされていない。したがって、本答申書提出時点において、本公開買付けによって当社が十分なシナジーを得られるとの確信を抱くには至っていない。

 

・ 他方で、(ⅰ)当社の主要な顧客である日本の金型メーカーによって構成される日本金型工業会から、会員の約75%が本公開買付けの印象は悪いと感じており、約60%が本公開買付けにより自社に悪い影響が生じると考えている旨のアンケートが公表されていること、(ⅱ)同じく当社の主要な顧客である中国の金型メーカーによって構成される中国金型工業協会及び中国各地の金型工業協会から、公開買付者による当社の買収が成立した場合に、当社の技術サービスの品質に望ましくない影響が生じることを懸念する旨の声明が出されていること、(ⅲ)公開買付者が当社の親会社になった場合には当社との取引を停止する見通しであると表明している国内取引先は、国内売上高に占める割合にして10%超にも上っており、本提案に基づき公開買付者が当社の完全親会社となった場合には、当社が上記売上げを失うおそれがあること、(ⅳ)当社の従業員の90%超が加入する当社の労働組合が、全組合員投票において「当労組は本株式公開買付け(TOB)に対して強く反対する」旨の意見書への賛否を問うたところ、賛同(本公開買付けに強く反対)が92.1%、反対(本公開買付けに反対しない)が7.9%の結果となったこと(なお、投票率は91.6%)、(ⅴ)公開買付者の子会社かつ工作機械メーカーであるニデックオーケーケー株式会社のウェブサイトの「企業概要」のページと同社の2022年6月21日付け第164期有価証券報告書を見比べる限り、同社の従業員は、公開買付者に買収された2022年以降に約300人減少していると考えられること(なお、当社は、公開買付者に対し、同社の子会社である工作機械メーカー4社の過去5年間の平均離職率を質問したものの、公開買付者は非公開情報であることを理由に回答していない。)、(ⅵ)公開買付者からこれらの懸念を払拭するに足りる具体的な説明がなされていないことから、本公開買付けにより、当社の中長期的な企業価値向上の観点で重要なディスシナジーが生じ得る具体的懸念が存在すると考えられる。

・ 上記のとおり、本公開買付けには当社のステークホルダー(取引先及び労働組合)から否定的な意見が寄せられており、慎重な検討が求められるところ、当社に生じる具体的なシナジーが不透明である一方で、当社の中長期的な企業価値向上の観点で重要なディスシナジーが生じ得る具体的懸念が存在することから、本答申書提出時点において、本提案が当社の企業価値向上及び株主の共同の利益の確保に資するとの確信を抱くには至っていない。

 

(エ)公開買付者による本公開買付けには強圧性が存する合理的な疑いがあること

・ 公開買付者は、当社の完全子会社化を目的として実施する本公開買付けについて、買付予定数の下限を当社株式の総議決権数の50%に相当する数である11,694,400株とした条件で本公開買付けを開始した。当該買付予定数の下限に関し、本公開買付けが成立するものの、応募株式数が当社の総株主の議決権の3分の2を下回った場合には、本公開買付け後において、公開買付者による当社の完全子会社化のためのスクイーズ・アウトに係る議案が、当社の株主総会において可決されず、当社の株主が、公開買付者が当社の親会社となった状態における当社の少数株主として取り残される可能性がある。

 

・ 公開買付者は、本公開買付届出書において、仮に本公開買付けへの応募が上記の買付予定数の下限近くに留まったとしても、国内パッシブ・インデックス運用ファンドや、当社の役員、当社の株式持ち合い先が、(本公開買付けに応募しない前提で)スクイーズ・アウトに係る議案に対して「賛成の議決権を行使すると見込まれる」ため、所有割合に換算して約74.12%(なお、公開買付者は、仮に本財団及び当社の役員が、スクイーズ・アウトに係る議案に対して反対の議決権行使をするとの仮定を置いたとしても、スクイーズ・アウトに係る議案への賛成の議決権行使が見込まれる当社株式数の水準は約70.30%となり、スクイーズ・アウトに係る議案の決議成立に必要な株式数の水準(3分の2)を超えることから、このような仮定を置いた場合でもスクイーズ・アウトに係る議案の可決要件を満たすものと考えているとのことである。)以上の賛成率でスクイーズ・アウトに係る議案の可決が合理的に見込まれるとしている。しかしながら、(ⅰ)当社の株主対応アドバイザーである株式会社アイ・アールジャパンからは、本公開買付けに全て応募しない一方でスクイーズ・アウト議案には賛成すると公開買付者が整理している国内パッシブ・インデックス運用ファンドに関し、公開買付けの条件等によっては本公開買付けへの応募を行う国内パッシブ・インデックス運用ファンドが一定数存在するとの報告を受けており、公開買付者の整理に全面的に依拠することはできない。さらに、(ⅱ)当社の大株主のうち、本財団(所有割合は約3.77%)及び創業家一族3名(所有割合は合計約4.1%)が、本公開買付けに応募せず、スクイーズ・アウトに係る議案に反対する旨の書簡を金融庁に対して提出しているところ、公開買付者は、本財団について、株式併合に係る株主総会議案に賛成の議決権行使をすることが予想されるとしている。公開買付者は、その理由として、大要、本財団の理念と公開買付者が目指すべきところには類似性があり、本公開買付けの成立後には、公開買付者の経営方針等について、本財団の理解が得られると考えられ、また、これは、将来時点の行動を予測したものであり、現時点で本財団が反対する旨を表明していることと矛盾するものではない等と主張するが、その合理性には疑義があると言わざるを得ない。同様に、(ⅲ)当社の株式持ち合い先について、公開買付者は、株式併合に係る株主総会議案に賛成の議決権行使をすることが予想されるとしている。公開買付者は、その理由として、大要、公開買付者が新たに当社の親会社となった後においては、当社の取締役会は、新たに親会社となった公開買付者の経営方針等に一定の理解を示し、公開買付者と協業して企業価値向上のために事業運営を行うことが想定され、また、当社のかかる理解とともに当社の関係者からも当該経営方針等について理解が得られると考えられる等と述べるが、かかる見解について、株式持ち合い先の意思を確認したわけではないと公開買付者自身も本公開買付届出書で述べていること、公開買付者による先行の公開買付け事案であるTAKISAWAに対する公開買付けにおいては、株式持ち合い先についてそのような取扱いをしていないことをも踏まえると、その合理性には疑義があると言わざるを得ない。

・ 以上の点を考慮すると、買付予定数の下限を総議決権数の50%とする本公開買付けが成立した後においても、公開買付者が想定しているところと異なり、当社の非公開化の実現可能性に対して合理的な疑いが生じている状況である。そのため、当社の株主は、(上記(ウ)のとおり、当社が本提案に関して当社の企業価値向上及び株主の共同の利益の確保に資するとの確信を抱くには至っていないことから)公開買付けの成立後に当社の企業価値が低下することの現実的な可能性を懸念して、たとえ本公開買付けの条件が、株主の共同の利益を損なうものであったとしても、当社の少数株主として取り残されることを防ぐために、本公開買付けに応募せざるを得ない状況が生じかねないものと認められ、本公開買付けにおいては、強圧性が存する合理的な疑いがある状況である。

 

・ なお、公開買付者は、本公開買付届出書において、本公開買付期間中に応募株式数が買付予定数の下限に達した場合には、速やかにその旨を公表し、当該公表日の翌営業日から起算して10営業日を確保できるように本公開買付期間を延長するとの対応により、強圧性が払拭される旨を述べているが、延長期間中の本公開買付けに対する応募の撤回は自由である一方で、追加の応募期間が設定されていようとも、本公開買付けは、当社の総議決権数の50%に相当する数の株式の応募があれば成立することに変わりないことから、依然として、公開買付者による本公開買付けに強圧性が存する合理的な疑いがあることは否定できない。また、公開買付者は、本公開買付けの結果、当社株式の総議決権数の3分の2以上に当たる数の株式が取得できず、当社の株主総会においてスクイーズ・アウトに係る議案が可決されなかった場合には、議決権保有割合が3分の2以上となるまで本公開買付価格と比較して、当該追加取得に対応して売却する株主にとって経済的に同等と評価される本追加取得価格で、当社株式の追加取得を行う旨を公表している。もっとも、公開買付者は、当該追加取得の具体的な完了時期について明らかにしておらず、価格が不十分であるとして本公開買付けに応募しないという選択をする株主が、当社の少数株主として不安定な地位に置かれる期間が長期間に及ぶ可能性や、当該期間中、少数株主として不利益を受ける可能性も否定できないことから、当該対応は強圧性を払拭するものではない。

 

(オ)まとめ

・ 本公開買付けは、(ⅰ)当社が提案者らから本公開買付価格を上回る公開買付価格による第三者提案に係る第三者最終意向表明書を受領できる蓋然性が本答申書提出時点において認められるにもかかわらず、当社の株主が第三者提案を踏まえてその条件を比較検討する機会を奪う態様で開始されており、株主の共同の利益を損なう可能性が高いものである。また、(ⅱ)当社の株主が公開買付け開始による影響を受けずに、当社の25年3月期決算発表を踏まえて本公開買付けの条件を検討する機会が奪われたこと、(ⅲ)本公開買付けの実施により、当社に生じる具体的なシナジーが不透明である一方で、当社の中長期的な企業価値向上の観点で重要なディスシナジーが生じ得る具体的懸念が存在するため、本答申書提出時点において、本提案が当社の企業価値向上及び株主の共同の利益の確保に資するとの確信を抱くには至っていないことに加え、(ⅳ)本公開買付けには強圧性が存する合理的な疑いがあり、本公開買付けの条件が株主の共同の利益を損なうものであっても当社の株主が本公開買付けに応募せざるを得ない状況を生みかねないものである。

 

以上の各点を踏まえると、当社は、本公開買付けに賛成又は中立の意見を表明することには合理性がなく、むしろ、反対の意見を表明することが合理的であるといえる。

 

(b) 外部アドバイザーの選任

上記(2)のとおり、当社は、本公開買付けに係る当社の意見を表明するに当たり、フィナンシャル・アドバイザーとして野村證券株式会社、主に日本法務に関するリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、米国法務に関するリーガル・アドバイザーとしてSullivan & Cromwell LLP、株主対応アドバイザーとして株式会社アイ・アールジャパンを外部アドバイザーとして選定・起用し、その助言を踏まえて、本公開買付けについて慎重に評価・検討しております。なお、かかる外部アドバイザーは、いずれも公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。

 

(c) 本対応方針の導入等

上記(1)及び下記6のとおり、当社は、2025年3月19日付けの取締役会決議によって、当社の株主の皆様及び当社が本提案と第三者提案を比較検討した上で本提案の是非につき適切な判断をするために、第三者提案の具体化等に合理的に必要な時間を確保することのみを目的として、本対応方針を導入しております。

当社が、2025年4月10日付けで、本対抗措置を発動すること及び本対抗措置に関する本議案を本定時株主総会に付議することを決議した経緯については、下記6(1)をご覧ください。

 

(6) 本公開買付けに関する重要な合意に関する事項

該当事項はありません。

 

4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

氏名

役名

職名

所有株式数(株)

議決権数(個)

宮崎 正太郎

代表取締役取締役社長

 

11,653

116

永野 敏之

代表取締役専務取締役

管理本部長兼貿易安全保障管理室長

10,055

100

饗場 達明

代表取締役専務取締役

生産本部長

11,555

115

白石 治幸

取締役

開発本部長兼設計・製造プロセス革新センタ長

4,952

49

増田 直史

取締役

 

500

5

山崎 広道

取締役

 

800

8

髙橋 一夫

取締役

 

200

2

高井 文子

取締役

 

100

1

香村 章夫

常勤監査役

 

1,600

16

山口 仁栄

監査役

 

1,000

10

髙塚 直子

監査役

 

100

1

 

 

42,515

423

 

(注5) 役名、職名、所有株式数及び議決権数は本書提出日現在のものです。

 

5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

該当事項はありません。

 

 

6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

(1) 本対応方針の導入及び本対抗措置の発動の判断に至った経緯及び理由

上記3(1)及び(2)(a)並びに当社の2025年3月19日付けプレスリリース「ニデック株式会社による当社株式に係る公開買付け(予告)につき、第三者提案の具体化・検討のために必要な時間を確保することのみを目的とする、当社の会社の支配に関する基本方針及び当社株式の大規模買付行為等への対応方針(買収への対応方針)の導入に関するお知らせ」(以下「本対応方針プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、当社取締役会は、2025年3月19日付けで、当社の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(会社法施行規則第118条第3号ロ(2))として本対応方針を導入することを決議しております。

当社は、当社株式に対する大規模な買付行為がなされることを受け入れるか否かの判断については、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益の最大化の観点から、最終的には株主の皆様によってなされるべきものと考えており、本対応方針は、当社の株主の皆様及び当社が本提案と第三者提案を比較検討した上で本提案の是非につき適切な判断をするために、第三者提案の具体化等に合理的に必要な時間を確保することのみを目的とするものであって、本公開買付けの実施そのものを妨げることを目的とするものではありません。なお、当社取締役会は、大規模買付行為等(本対応方針プレスリリースで定義される意味を有します。以下同じです。)に対する対抗措置の発動等に関する当社取締役の恣意的判断を排除するため、本対応方針導入時点で既に設置されており、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役4名から構成される本特別委員会を活用することとしております。

本対応方針は、当社が、公開買付者に対し、当社の株主の皆様及び当社が本提案と第三者提案を比較検討する時間を確保するため、本公開買付けの延期を要請したものの、公開買付者がこれを拒否したことを受けて導入したものでしたが、公開買付者は、本対応方針に規定する手続の一切を無視し、当社の株主の皆様及び当社が本提案と第三者提案を比較検討した上で本提案の是非につき適切な判断をするために必要な時間を確保することなく、本年4月4日に本公開買付けを開始いたしました。

本公開買付けは、当社による第三者最終意向表明書の受領を確認せず、2025年5月9日より前に開始されたため、本対応方針プレスリリースに記載のとおり本対応方針に定める手続に違反したものに当たります。また、実際に、本公開買付けにより、当社の株主の皆様が第三者提案を踏まえて本公開買付けの条件が有利なものか否かを検討する機会が奪われたことから、当社は、2025年4月10日付けで、本対応方針に従い、本公開買付けに対し本対抗措置を発動すること及び本対抗措置に関する本議案を本定時株主総会に付議することを決議いたしました。

なお、当社取締役会は、2025年4月10日、本特別委員会より、本対応方針に従い、本公開買付けに対し本対抗措置を発動すること及び本対抗措置に関する本議案を本定時株主総会に付議することも合理的である旨の答申を受けております。

 

(2) 株主意思確認総会における決議事項及びその決議要件等

上記(1)のとおり、当社取締役会は、本公開買付けに反対の立場をとり、これに対して本対応方針に基づく対抗措置を発動すべきと結論づけたことから、当社は、本定時株主総会を株主意思確認総会として、本対応方針に基づく対抗措置の発動の承認に関する本議案を付議することを予定しております。

なお、本定時株主総会の詳細については、その正式な招集決定後、速やかにお知らせいたします。

また、本対抗措置の詳細については、当社の2025年4月10日付けプレスリリース「買収への対応方針(時間確保措置)に基づく新株予約権の無償割当て、新株予約権の無償割当てに係る基準日設定、及び、株主意思確認を第86回定時株主総会において行うことのお知らせ」をご覧ください。

 

 

(3) 今後の手続等

公開買付者が本公開買付けを本年4月4日に開始したため、本公開買付けは、株主意思確認総会となる本年6月に開催予定の本定時株主総会の開催日以前に本公開買付けが終了することになります。そのため、大規模買付行為等がなされることを受け入れるか否かに関し、株主の皆様のご意思を事前に確認する機会を確保することもできないことから、当社取締役会は、2025年4月10日付けで、本特別委員会の答申を最大限尊重した上で、株主意思確認総会を経ることなく、本対抗措置の発動を決議いたしました。

但し、この場合においても、当社は、本対抗措置の発動の取締役会決議後ではありますが、本年6月に本定時株主総会を株主意思確認総会として本議案を付議すると共に、本対抗措置としての新株予約権の無償割当ての割当基準日及び効力発生日を、本定時株主総会の後の日に設定します。その上で、本定時株主総会(株主意思確認総会)において、本議案が承認可決された場合には、当社取締役会は、かかる株主の皆様のご意思に従い、新株予約権の無償割当てを実施します。他方で、仮に、本議案が承認されなかった場合には、当社としては、株主の皆様のご意思を尊重して、新株予約権の無償割当てを実施しません。

なお、本対抗措置の発動を決議した後、公開買付者によって本公開買付けが撤回された場合や本公開買付けに申込みがなされた当社株式の総数が買付予定数の下限を満たさず本公開買付けが不成立となった場合その他本特別委員会による本対抗措置発動の答申の判断の前提となった事実関係等に変動が生じた場合において、対抗措置の発動の必要性がなくなったと判断したときには、本対抗措置としての差別的行使条件等及び取得条項等が付された新株予約権の無償割当てを中止することを予定しています。

 

7 【公開買付者に対する質問】

添付別紙1をご覧ください。

 

8 【公開買付期間の延長請求】

該当事項はありません。
 なお、上記3(2)(a)のとおり、当社及び本特別委員会は、公開買付者に対し、第三者初期意向表明書を受領するまでに合計3回、本公開買付けの開始日を本年5月9日まで延期するように要請しておりましたが、公開買付者はこれらをいずれも拒絶しており、第三者初期意向表明書を受領した後にも、当社から、第三者初期意向表明書を受領している旨を付記して同様の要請をしましたが、公開買付者はこれも拒絶して本公開買付けを開始しています。