第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 当社グループは、当中間連結会計期間より中間連結財務諸表を作成しておりますので、前年同中間連結会計期間及び前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

 

(1)財政状態の状況

(資産)

 当中間連結会計期間末における資産合計は1,440,899千円となりました。主な内訳は、現金及び預金670,514千円、売掛金372,894千円、完成工事未収入金46,519千円、その他流動資産37,169千円、のれん85,185千円、その他無形固定資産92,822千円、投資その他の資産86,071千円であります。

 

(負債)

 当中間連結会計期間末における負債合計は581,752千円となりました。主な内訳は、買掛金138,486千円、1年内返済予定の長期借入金42,721千円、その他流動負債169,874千円、長期借入金76,506千円、資産除去債務39,258千円であります。

 

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産合計は859,147千円となりました。主な内訳は、資本金259,842千円、資本剰余金249,842千円、利益剰余金349,461千円であります。

 

(2)経営成績の状況

 当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や賃金の上昇に伴う個人消費の回復、設備投資の持ち直しなどを背景に、緩やかな回復基調が続いております。一方で、資源・エネルギー価格の高止まりや物価上昇の継続、円安の進行による輸入コストの上昇などを受け、国内経済の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。加えて、海外においては、米国の通商政策の影響懸念、中国の不動産市場を含む経済の動向、中東情勢の深刻化に伴う地政学リスクの高まりなど、世界経済の下振れリスクが国内経済に与える影響についても、引き続き注視が必要な状況であります。

 当中間連結会計期間におけるクラウドPBX及びIP電話サービスの市場は、引き続き、テレワーク、フリーアドレス化等の働き方改革やオフィス環境の変化に関連したDX需要を取り込み、好調を維持しております。

 このような状況のもと、当社グループでは、自社開発のクラウドPBX「INNOVERA」を軸に、様々なIP電話回線、スマートフォンアプリ、ネット回線、固定端末など電話環境の構築に必要なサービス・商品の「ワンストップ・ソリューション」を提供することにより、お客様の「電話のDX」の実現に取り組んでおり、更なる収益力の向上を目指し次のような施策を実施してまいりました。

 「INNOVERA」は、2015年9月のサービス提供開始以来、順調に販売実績を重ね、2024年10月には契約社数が1,800社(アカウント数42,000)を突破しました。お客様の利便性を重視したサービスの追求に努めるべく、2024年9月に音声合成技術やMicrosoft Teams連携機能を含むアップデートを実施しました。続いて11月にはユーザーインターフェースに関するアップデートを行い、12月には設定方法のチュートリアル機能や公式WEBページの各種お知らせ掲載ページへのリンクボタンを実装しました。さらに2025年2月には、迷惑電話対策として電話番号の前方一致による着信拒否設定機能の実装、着信時にSansanやPHONE APPLI PEOPLEといった顧客管理システムや営業支援ツールなどの外部システムに登録した連絡先を表示する連携機能の実装を行いました。2024年9月には「INNOVERA」のオプション機能である「INNOVERA Emotion」にて、既に実用化している音声から人の感情を分析できる技術に関連する特許を取得しました。2024年12月には、電話応対の効率化サービス「Telful」をリブランディングし新価格で提供開始、さらに2025年1月にはIVR(音声自動応答システム)機能を実装し、機能の拡充を図りました。

 加えて、国内で広く使用されているCRM(顧客情報を管理するシステム)であるSalesforceと「INNOVERA」が連携できるソリューションパックをリリースするなど、他社サービスとの連携強化にも積極的に取り組んでまいりました。

 販売面におきましては、電話に関するソリューションを幅広く展開する株式会社アスアとの新規パートナーシップ契約締結や、全国拠点を持つ大手商社(パートナー)を担当・支援するために専用のチームを設置するなど、パートナーシップの強化に努めてまいりました。

 当社グループの成長戦略の一つであるM&Aに関しましては、2024年11月にWebマーケティングでの販売網強化による「INNOVERA」の販路拡大、更なる「ワンストップ・ソリューション」の提供、「電話のDX」の実現に向け、ブロードバンド代理店事業及び通信設備事業を行う株式会社NNコミュニケーションズの全株式を取得し、子会社化いたしました。

 以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高1,320,512千円、営業利益58,280千円、経常利益56,417千円、親会社株主に帰属する中間純利益30,546千円となりました。

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 なお、2024年11月1日を取得日として株式会社NNコミュニケーションズを連結子会社化したことに伴い、当中間連結会計期間より、「音声ソリューション事業」、「移動通信設備事業」、「取次販売事業」の3区分に変更しております。

(音声ソリューション事業)

 顧客のDX需要が堅調であることに加え、販売代理店制度「パートナープログラム」も奏功したことから、「INNOVERA」のアカウント数が順調に増加しました。「INNOVERA」のアカウント数増加に伴う、チャネル数の増加、既存顧客の事業拡大や拠点追加により「IP-Line」の総チャネル数も増加しました。また、Yealink社製端末の販売の好調、Web会議用大型ディスプレイ「MAXHUB」の受注獲得等もあり、堅調に推移いたしました。その結果、売上高1,130,064千円、セグメント利益298,313千円となりました。

 当社グループはストック型ビジネスモデルのため、「INNOVERA」のアカウント数(利用端末数)、及び「IP-Line」のチャネル数(同じ電話番号での同時利用可能者数)を伸ばし、アカウント及びチャネルの解約率を低く抑えることが安定した収益拡大につながります。そのため、「INNOVERA」の増加アカウント数と解約率、「IP-Line」の増加チャネル数と解約率、リカーリング(継続)売上高比率を重要な経営指標と考えております。当中間連結会計期間において「INNOVERA」総アカウント数及び「IP-Line」総チャネル数については、「パートナープログラム」が奏功し、順調に推移しております。2022年8月期以降のこれらの重要な経営指標の推移は、以下のとおりであります。

 

2022年

8月期

2023年

8月期

2024年

8月期

2025年8月期

第1四半期

中間連結会計期間

「INNOVERA」総アカウント数

(アカウント)

26,829

33,761

41,233

42,671

44,674

月平均解約率(アカウント)

(%)

0.64

0.90

0.79

1.21

0.91

「IP-Line」総チャネル数

(チャネル)

53,448

64,652

71,811

73,381

74,398

月平均解約率(チャネル)

(%)

0.85

0.94

1.03

0.49

0.54

リカーリング売上高比率

(%)

79.5

80.1

79.4

81.8

80.6

(注)1.「INNOVERA」総アカウント数は、期末時点の「INNOVERA PBX1.0」と「INNOVERA PBX2.0」の契約アカウント数の合計を記載しております。(「INNOVERA Outbound」のアカウント数は含みません。)

2.月平均解約率(アカウント)(%)は、「INNOVERA PBX1.0」と「INNOVERA PBX2.0」の当月解約アカウント数÷前月末の契約総アカウント数で毎月の解約率を計算し、その12ヵ月(第1四半期は3ヵ月、中間連結会計期間は6ヵ月)の平均を記載しております。

3.「IP-Line」総チャネル数は、期末時点の「IP-Line」契約総チャネル数(OEM含む)の合計を記載しております。

4.月平均解約率(チャネル)(%)は、「IP-Line」の当月解約チャネル数÷前月末の契約総チャネル数で毎月の解約率を計算し、その12ヵ月(第1四半期は3ヵ月、中間連結会計期間は6ヵ月)の平均を記載しております。

5.リカーリング売上高比率(%)は、リカーリング・レベニュー(システムサービス売上高+回線サービス売上高-初期導入費用)÷総売上高で計算して、記載しております。

 

 

(移動通信設備事業)

 大手通信キャリアからの依頼による移動体通信基地局の設計・施工・コンサルティング等を安定的に受注しました。その結果、売上高146,133千円、セグメント利益429千円となりました。

 

(取次販売事業)

 大手電力事業者及び光回線事業者の各種サービスを取次販売し、売上高44,314千円、セグメント利益1,227千円となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ14,579千円減少し、448,500千円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は235,766千円となりました。これは主に役員退職慰労金の支払額246,000千円、法人税等の支払額26,398千円、売上債権の増加額18,921千円、未払消費税等の減少額13,124千円、前渡金の増加額7,128千円による資金の減少があった一方、税引前中間純利益が55,589千円、減価償却費17,766千円、棚卸資産の減少額15,761千円、仕入債務の増加額9,132千円等による資金の増加があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は138,616千円となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入178,092千円による資金の増加があった一方、無形固定資産の取得による支出24,753千円、定期預金の預入による支出21,001千円等による資金の減少があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は82,568千円となりました。これは主に長期借入れによる収入90,000千円、ストックオプションの行使による収入25,725千円による資金の増加があった一方、長期借入金の返済による支出30,615千円等による資金の減少があったことによるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 当中間連結会計期間においては、研究開発活動はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。