当社は、2025年4月18日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)820,000株を1株に併合する株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする2025年5月22日開催予定の当社の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項並びに企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
1.本株式併合の目的
2025年2月13日付で公表しました「キーストーン インベストメント ホールディングス エルピー(Keystone Investment Holdings, L.P.)による当社株券等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」(以下「本意見表明プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、公開買付者は、当社株式の全て及び本新株予約権(注1)の全て(ただし、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式、当社の取締役が保有する譲渡制限株式(合計35,900株、所有割合:(注2)0.30%)及び本意見表明プレスリリース時において当社の第2位株主である、株式会社リクルートホールディングスの子会社である株式会社リクルートが代表社員を務める合同会社RSIファンド1号(以下「リクルートファンド」といいます。)が所有する当社株式(2,460,000株、所有割合:20.60%)の全部(以下「本売却予定株式」といいます。)を除きます。)を取得するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを2025年2月14日から開始することを決定しております。
(注1)「本新株予約権」とは、以下の新株予約権を総称していいます。
① 2015年3月13日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第3回新株予約権
② 2018年3月30日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第4回新株予約権
③ 2018年9月28日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第5回新株予約権
なお、第3回新株予約権の行使期間は、本公開買付けに係る決済の開始日よりも前の日である2025年3月13日の経過をもって満了し、これをもって当該時点で存在している第3回新株予約権は全て消滅したため、本公開買付けにおいては第3回新株予約権の応募の受付は行われなかったとのことです。
(注2)「所有割合」とは、(ⅰ)当社が2025年2月13日に公表した「2025年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社2025年3月期第3四半期決算短信」といいます。)に記載された2024年12月31日現在の当社の発行済株式総数(11,617,400株)に、(ⅱ)2025年1月1日以降公開買付届出書提出日(2025年2月14日)までに新株予約権が行使されたことにより発行又は移転された当社株式(132,000株)及び本新株予約権のうち、公開買付届出書提出日現在行使可能であった新株予約権の行使により発行又は移転される可能性のある当社株式の最大数(195,400株)を加え、(ⅲ)当社2025年3月期第3四半期決算短信に記載された2024年12月31日現在の当社が所有する自己株式数(317株)を控除した株式数(11,944,483株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入)をいいます。以下、所有割合の記載において同じとします。
そして、当社が2025年4月1日付で公表いたしました「株式会社カオナビ(証券コード:4435)の株券等に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」(以下「本公開買付結果プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、公開買付者は2025年2月14日から2025年3月31日まで本公開買付けを行い、その結果、2025年4月7日(本公開買付けの決済の開始日)をもって、当社株式8,718,072株を保有するに至りました。
公開買付者は、ケイマン諸島法に基づき2024年3月6日に組成されたリミテッド・パートナーシップであって、The Carlyle Group(関係会社及びその他の関連事業体を含め、以下「カーライル」といいます。)がその持分の全てを保有・運用しているとのことです。なお、本公開買付けの公表日である2025年2月13日時点で、カーライル及び公開買付者(以下総称して「公開買付者ら」といいます。)は、当社株式及び本新株予約権を所有していなかったとのことです。
本意見表明プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、当社及びその子会社(以下、総称して「当社グループ」といいます。)は、「“はたらく”にテクノロジーを実装し、個の力から社会の仕様を変える」というパーパス(注3)のもと、テクノロジーによって一人ひとりの個性や才能を理解することで、個人のキャリア形成や働き方が多様化される社会の実現を目指し、HRテクノロジー領域(注4)におけるSaaS(注5)サービスを開発・提供しております。具体的には、当社は、企業の人材情報をクラウド(注6)上で一元管理し、データ活用のプラットフォームとなるタレントマネジメントシステム(注7)「カオナビ」を提供しております。
(注3)企業の存在意義や社会的な役割を表すものをいいます。
(注4)HR(Human Resource)とテクノロジーを組み合わせた概念で、人事領域におけるテクノロジーを活用したイノベーションの総称をいいます。
(注5)Software as a serviceの略語で、顧客側のコンピューターにソフトウエアをインストールするのではなく、ネットワーク経由でソフトウエアを利用する形態のサービスをいいます。
(注6)クラウドコンピューティングの略語で、インターネット経由で必要な時に必要なだけITシステムを利用する仕組みの総称をいいます。サーバーやソフトウエアなどのITシステムの設備を自社で保有することに比べ、ITシステムに関する開発や保守・運用の負担が軽減され、コスト削減に寄与します。
(注7)従業員の基本情報やスキル、能力などといった人材情報を一元的に管理・共有できるシステムをいいます。
当社を取り巻く経営環境について、公益財団法人日本生産性本部が2024年12月に発表した「労働生産性国際比較2024」によると、我が国の就業者1人当たりの労働生産性は、OECD加盟諸国38カ国の中で32位と、上位諸国とはかけ離れた実態が明らかになっております。また、就業者1人当たりの労働生産性が低い中、内閣府が公表した令和6年版「高齢社会白書」によると、2040年までに生産年齢人口は7,000万人を割り込み、その先の2070年までに5,000万人を下回ると推計されております。このような状況を踏まえ、当社は今後の日本社会では、労働人口は減少するという前提のもと、いかに労働生産性を高めていくかが重要な命題になると考えております。この点、近年の技術進歩により、テクノロジーの活用が労働生産性の向上に繋がると考えております。さらに、これまで企業の中でも裏方的な存在であった人事・総務といった“人材に関わる業務”は、企業の売上や利益に直結する業務ではないこともあり、テクノロジーの導入や効率化が遅れている分野でもありましたが、HRテクノロジーの普及に伴い、この分野にITを積極的に導入する企業が増えていると考えております。一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会が発表した「企業IT動向調査報告書2023」(2022年度調査)によると、雇用の流動化を背景に適材適所の人材配置・活用が求められており、2021年度調査と比較してタレントマネジメントシステムを導入・検討する動きがさらに広がっております。また、当社がターゲットとする従業員100人以上の企業は日本に約63,000社(注8)存在しており、当社の利用企業数3,963社(注9)を鑑みれば市場の開拓余地は広大であると考えております。このように、タレントマネジメントシステムに対するニーズの高まりと市場の開拓余地を踏まえると、更なる市場成長が見込めると考えております。一方で、既存の競合企業に加えて、タレントマネジメントシステム以外のHRテクノロジー領域のサービスを展開する企業の参入など、競争環境が激化しています。また、当該事業が成長市場であることに加え、参入障壁が必ずしも高いと言えないことから、今後、更なる他社の新規参入により一層競争が激化すると認識しております。
(注8)日本の従業員100人以上の企業数は、総務省・経済産業省が公表している「平成28年経済センサス-活動調査」に基づき当社が算出しております。
(注9)2024年9月末時点でタレントマネジメントシステム「カオナビ」を導入している企業や団体の数
そのような経営環境の下、当社グループは、中期経営方針として、「継続的なARR(注10)の成長」、「収益性の向上」、「非財務的活動の推進」の3つを掲げております。継続的なARRの成長に向けた施策の一環として、人材データベースを軸にさまざまなサービスと連携して付加価値を高めることで、顧客に最適なUX(顧客体験)を提供する人材データプラットフォームの構築を目指しております。
このような方針のもと、直近では、当社グループはタレントマネジメントシステムにおいて、顧客体験価値の向上に向けた機能の開発・改善に注力し、学習管理機能「ラーニングライブラリ」やスキル管理機能「アビリティマネージャー」の強化をはじめとしたさまざまな機能改善に加えて、新機能として社内の膨大な文章データを整理・分析する「インサイトファインダー」をリリースしました。また、新規事業として、2024年4月に予実管理システム「ヨジツティクス」、2024年7月に労務管理システム「ロウムメイト」をリリースしました。さらに、積極的な人材採用や育成をはじめとした組織体制の強化、サービス認知度向上を加速するためのマーケティング活動、既存顧客に対するカスタマーサクセスの取り組みなどにも注力してまいりました。
(注10)Annual Recurring Revenueの略で、四半期末のMRR(Monthly Recurring Revenueの略で月額利用料の合計)を12倍して算出しています。なお、MRRは管理会計上の数値です。
一方で、主力事業のタレントマネジメントシステムにおいては、上記の通り今後更に競争環境の激化が想定され、「継続的なARRの成長」を実現するために、継続的な開発投資の実施、セールス体制の強化、サービス認知度向上のためのマーケティング投資、既存顧客に対するカスタマーサクセスを、これまで以上に機動的かつ抜本的に取り組むことが必要不可欠と考えております。また、当社は創業以来、タレントマネジメント領域で「カオナビ」を主軸として事業を展開してきましたが、人材データベースを中心としたマルチプロダクト化(注11)を実現することで、中長期的に安定的かつ継続的な企業価値向上を実現できると考えております。この一環として、2025年3月期より予実管理システム「ヨジツティクス」及び労務管理システム「ロウムメイト」をリリースしておりますが、今後は機能開発のための開発投資やマーケティング投資が一層必要になると考えております。加えて、当社グループを拡大しながらも高い競争力・成長力を維持するためには、柔軟かつ迅速な経営意思決定を実践できる組織体制の構築、当社グループの成長を支える優秀な人材の獲得・育成、営業効率向上に向けたコーポレート機能の強化等の取り組みも必要不可欠であると考えています。仮にこれらの取り組みを先延ばしすれば、競争環境が激化する中で、当社グループの中長期的な競争力・収益力の低下につながるおそれがあるため、上記の施策の早期かつ着実な実行が、当社グループの経営戦略上極めて重要であると考えております。
(注11)単一の製品に依存せず、複数のプロダクトを市場に展開することをいいます。
しかしながら、こうした積極的な投資の継続や経営・事業基盤等の取り組みは、中長期的に当社グループの企業価値向上に資するものであったとしても、短期的なキャッシュ・フローや収益の悪化を招くおそれがあります。また、当社が株式上場を継続する限りは株主を意識した経営が求められ、中長期的な視点に立った積極的な成長施策よりも短期的な収益性確保が選好される傾向が近年更に強まっていると考えており、上記施策を講じる場合には、当社グループの本源的な成長を達成するための戦略と資本市場からの期待に乖離が生じて、必ずしも十分な評価を得ることができず、当社の株価に悪影響を及ぼし、既存株主の皆様に不利益を与える可能性も否定できません。
そのため、当社は、当社のパーパス実現の為に、機動的かつ柔軟に経営課題を対処し、当社の企業価値を向上するための様々な選択肢を模索する中で、2024年3月頃より継続的に、カーライルを含むファンド7社及び事業会社4社との間で、中長期的な経営環境の見通しを踏まえた当社グループの経営戦略及び施策、さらには当社の最適な資本構成等について意見交換を行ってまいりました。そのような中で、当社は、2024年7月上旬、中長期的な観点から、当社株式を非公開化することも選択肢の一つとして考えるに至り、その後もカーライルを含む複数のファンド又は事業会社との間で、中長期的な経営環境の見通しを踏まえた当社グループの経営戦略及び施策について意見交換や協議を実施いたしました。
他方、カーライルは、ソフトウエア業界において豊富な投資実績を有しており、当該領域において積極的に投資を進める方針の下、従前より継続的に投資機会を調査していたとのことです。そのような調査の過程で、労働環境の変化や人材関連の制度変化といったマクロ環境の追い風を受けて、急速に市場形成がなされていると考えるタレントマネジメントシステム市場において、株式会社アイ・ティ・アールが2023年5月に発行した調査レポート「ITR Market View:人材管理市場2023」によると8年連続市場シェアNo.1を達成している当社に関心を持つに至り、2024年5月中旬頃から9月上旬まで継続的に当社経営陣と協議を重ね、当社の理解を深めるとともにお互いの信頼関係も醸成しつつ、当社の長期的な成長と更なる企業価値向上に資する戦略的な選択肢として当社株式の非公開化を含めた資本政策についての討議を行ってきたとのことです。
カーライルは、当社との協議内容や公開情報に基づき独自に分析及び検討を進めるなかで、2024年10月上旬、当社のファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を通じて、当社の本取引に係るパートナーの選定プロセスの参加を打診され、本格的な検討を開始したとのことです。その後、10月中旬、カーライルは、当社と、当社株式の非公開化を含む当社の資本政策に関して、中長期的な経営環境の見通しを踏まえた当社グループの経営戦略及び施策について意見交換や協議を実施したとのことです。かかる意見交換や協議を踏まえ、カーライルは、当社が非連続かつ持続的な成長を実現する企業価値向上施策として、①「カオナビ」事業の更なる進化、②マルチプロダクト化及び提供サービスの拡大、及び③人材の確保を実行していくことが必要だと考えたとのことです。
また、カーライルは、早い時期からシリコン・バレー(Menlo Park)に拠点を構え、最先端の技術動向の把握や、人的ネットワークの構築を重ねることで、デジタル化事業への投資はもとよりカーライルが全世界で投資する様々な企業においてこれらの技術を活用した事業展開を支援しているとのことです。国内ソフトウエア業界においても、株式会社ブロードリーフ、シンプレクス株式会社、ウイングアーク1st株式会社、株式会社ユーザベース等の数多くの企業を支援してきた実績を有し、カーライルの有する潤沢な人的・資本的リソース及びグローバル・ネットワークを最大限に活用することで、前述した当社の次なる成長への転身を十分に支援できるとの考えに至ったとのことです。
一方で、上記の施策を通じて当社の持続的な成長を実現することは、中長期的に見れば大きな成長が見込まれる機会であったとしても、それらの施策が必ずしも早期に当社の利益に貢献するものではないこと、上場を維持したままでこれらの施策を実施すれば、当社の株主の皆様に対して、短期的に、当社株式の市場価格の下落といったマイナスの影響を及ぼす可能性も否定できないと考えたとのことです。
そのため、当社が上場を維持したままこれらの施策を実行することは難しく、当社が中長期的な視点で持続的な企業価値の向上を実現させていくためには、当社株式を非公開化した上で、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする、株主と経営陣が一体となった強固かつ安定した新しい経営体制を構築することが重要であると考えたとのことです。一方で、非公開化によるデメリットとして、株式市場へのアクセス制限、取引先及び従業員への影響並びにリクルートファンドと資本関係が外れることの影響が想定されるものの、当社の事業の特性としてキャッシュ・フローが潤沢に創出されるビジネスであり資本市場からの資金調達の必要性は高くないこと、当社はタレントマネジメントシステム市場において既に高い知名度・信用を有していること、及びリクルートファンドとの既存の資本関係を前提とした契約は存在しないことから、リクルートファンドとの資本関係が外れたとしても、悪影響は想定されない旨を当社に確認できたこと等から、当社株式の非公開化に伴うメリットはデメリットを上回ると判断し、当社株式の非公開化を前提とした提案を検討するに至ったとのことです。本意見表明プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、当社は、カーライルからの意向表明書を受領し、本特別委員会(下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」で定義します。以下同じです。)による事前に確認された交渉方針や交渉局面における意見、指示、要請等に基づいたうえで、リーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所(現在の森・濱田松本法律事務所外国法共同事業。以下単に「森・濱田松本法律事務所」といいます。)及びファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券の助言を受けながら、本取引の是非及び取引条件の妥当性等に関してカーライルとの間で複数回にわたる協議・交渉を行いました。
当社は、2025年2月13日付で第三者算定機関であるSMBC日興証券より当社株式に係る株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)を取得し、また、本特別委員会から同日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けております。その上で、当社取締役会は、森・濱田松本法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定過程、意思決定方法その他本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言、SMBC日興証券から受けた財務的見地からの助言及び本株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から取得した本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、当社株式1株当たりの買付け等の価格である金4,380円(以下「本公開買付価格」といいます。)を含む本取引における諸条件は妥当なものであるか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。
その結果、当社は、以下の観点から、本取引は当社の企業価値向上に資するものであると認識しております。
a. M&A戦略の構築・実行支援
当社の企業価値向上に向けた開発投資戦略において、自社開発に固執すると開発の長期化や不確実性などにより、市場の成長機会を捉えたサービス展開ができなくなるおそれがあるため、当社は、M&Aの活用が当社の企業価値向上に向けた開発投資戦略において有力な選択肢となり得ると考えております。
一方で、当社が積極的にM&Aを実施する場合には、資金調達及び株主資本の充実のためのエクイティ・ファイナンスの必要性が高まりますが、M&Aはインサイダー取引規制上の重要事実に該当するため、当該ファイナンスを検討できる期間が限定され、株価水準や株式市場の環境にも左右されるため、当社がM&Aを積極化するほど機動的な資金調達が困難になると考えております。本取引により当社株式を非公開化することで、積極的にマルチプロダクト化に向けたM&Aの検討が可能になることに加えて、カーライルの知見を活用したM&A戦略の立案、交渉、DD、PMI、並びにカーライルによる機動的な資金調達も可能になると考えております。
b. 中長期目線の事業戦略の実行及びSaaS・ソフトウエア領域におけるグローバルのネットワーク・知見の提供
マルチプロダクト戦略によって、異なる顧客層や市場にアプローチすることが可能となり、各プロダクトが顧客ニーズに合わせて相互補完的に機能することで、収益を多角化し、競争力を高めることが期待されると考えます。
しかしながら、新しいプロダクトの展開には、開発費や人件費、マーケティング費用などの先行投資が必要となり、当社が上場を継続する限りは機動的な投資判断が困難であるものの、カーライルの主導による非公開化を実施することで、機動的な投資判断を実施することが可能になることに加えて、カーライルの知見を活用することで、投資判断を実施するためのKPI管理を深化させることが可能になると考えております。
また、カーライルはグローバルのSaaS・ソフトウエア領域において知見やネットワークを有しており、当社の国内における事業基盤の強化のみならず中長期的なグローバル経営の加速において、それらを活用できることが期待できます。
c. 人材組織強化支援
主力事業のタレントマネジメントシステムにおいて競争環境が激化する中、当社グループを拡大しながらも高い競争力・成長力を維持するためには、成長を支える優秀な人材の確保や、組織体制の強化が必要不可欠と考えております。カーライルのネットワークを活用し、優秀な人材の獲得支援を受けることにより、中長期的な競争力・収益力の拡大を実現しうる組織体制の構築が期待できます。
加えて、カーライルの主導による非公開化を実施し、カーライルの知見を活用することで、適切かつ柔軟なストック・オプション等のインセンティブ・プランの導入など、当社を成長に導く仕組みの構築が可能と考えております。インセンティブ・プラン制度を導入することで、所有と経営の一致率が高まり、株主目線を持ち、全社的かつ長期的な企業価値向上を目指す役職員が増加し、優秀な人材の採用・リテンションの強化にもつながるため、より強固な経営体制の構築と、スピード感をもって全社で経営課題に取り組むことが可能となり、当社の中長期的な企業価値の向上が期待できます。
なお、当社株式の非公開化を行った場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として享受してきた社会的な信用力及び知名度の向上による優秀な人材の確保及び取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性が考えられます。しかしながら、当社の事業の特性として、キャッシュ・フローが潤沢に創出されるビジネスであることに加えて、新規事業における機能開発のための開発投資やマーケティング投資後は利益を創出する段階となり、十分な借入余力が生まれると考えております。また、M&Aなどで一時的に大きな資金ニーズが発生した場合は、状況に応じてカーライルによる追加投資で対応することを想定しております。また、当社が非公開化することにより、人材確保及び取引先に対する信用力に影響が生じることは考え得るものの、当社がこれまで培ってきたブランド力・知名度により、当社の非公開化が人材確保及び取引先に対する信用力に与える影響は限定的と考えられ、更に、カーライルの主導による非公開化を実施することで、新たなストック・オプションを中心としたインセンティブ・プランの導入を含む人材組織強化支援の実施により、従業員のモチベーション維持・人材確保は可能であると考えられ、中長期的な競争力・収益力の拡大を実現しうる組織体制の構築が期待できます。そのため、当社における株式の非公開化に伴うデメリットは限定的と考えられ、上記a~cに記載の当社株式の非公開化のメリットは、上記デメリットを上回ると判断しました。
また、上記のとおり、業界内の競争が激化している現状に鑑みると、当社グループの経営課題の解決のための取り組みを先延ばしすれば、当社グループの中長期的な競争力・収益力の低下につながるおそれがあると考えており、今般、本取引を通じて当社が公開買付者の完全子会社となり、カーライルの保有するリソースを戦略的かつ機動的に活用し、上記a~cに記載のメリットを早期に実現することこそが当社の企業価値向上に資すると判断しております。
以上より、当社取締役会は、2025年2月13日、本公開買付けを含む本取引により当社株式を非公開化することが、当社グループの企業価値の向上に資するものであると判断いたしました。
また、当社は、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の相当性に関する事項」に記載のとおり、当社取締役会は、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上より、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2025年2月13日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
その後、本公開買付けが成立いたしましたので、当社は、公開買付者から要請を受け、本意見表明プレスリリースにてお知らせいたしました方針に従い、2025年4月18日開催の当社取締役会において、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、当社の株主を公開買付者及びリクルートファンドのみとするために、当社株式820,000株を1株に併合する当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を本臨時株主総会に付議することを決議いたしました。
なお、本株式併合により、公開買付者及びリクルートファンド以外の株主の皆様の所有する株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。また、本株式併合の効力発生を条件として、当社が実施する本売却予定株式の自己株式取得(以下「本自己株式取得」といいます。)を実施するために必要な分配可能額及び本自己株式取得に係る資金を確保するために行う(ⅰ)公開買付者による当社に対する資金提供(公開買付者を引受人とする第三者割当増資(以下「本増資」といいます。)の方法によることを予定しているとのことです。)及び(ⅱ)会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第447条第1項及び第448条第1項に基づく当社の資本金及び資本準備金の額の減少を行い、また、本自己株式取得を実施することにより、公開買付者のみが当社の株主となることを予定しております。
本取引の経緯の詳細につきましては、本意見表明プレスリリース及び本公開買付結果プレスリリースも併せてご参照ください。
2.本株式併合の割合
当社株式820,000株を1株に併合いたします。
3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、公開買付者及びリクルートファンド以外の株主の皆様の保有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(会社法第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合にあっては、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を、会社法第235条その他の関係法令の規定に従って売却し、その端数に応じて、その売却により得られた代金を株主の皆様に交付いたします。当該売却について、当社は、本株式併合が、当社の株主を公開買付者及びリクルートファンドのみとすることを目的とする本取引の一環として行われるものであること、当社株式が2025年6月12日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性は低いと考えられることに鑑み、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て公開買付者が買い取ることを予定しております。
この場合の売却額は、上記裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、株主の皆様の所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である4,380円を乗じた金額に相当する金銭を各株主の皆様に交付できるような価格に設定する予定です。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の相当性に関する事項
上記「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」に記載のとおり、端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額は、株主の皆様が所有する当社株式の数に、本公開買付価格と同額である4,380円を乗じた金額となる予定です。
本公開買付価格については、(i)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているSMBC日興証券による当社株式に係る株式価値算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果の上限を上回るものであり、また、類似上場会社比較法に基づく算定結果のレンジを上回るものであり、さらに、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内かつ中央値を上回っていること、(ii)本公開買付価格である4,380円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年2月12日の東京証券取引所グロース市場における当社株式の終値の1,989円に対して120.21%(小数点以下第三位以下四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、過去1ヶ月間(2025年1月14日から2025年2月12日まで)の終値の単純平均値1,953円(小数点以下四捨五入。以下終値の単純平均値の計算において同じです。)に対して124.27%、過去3ヶ月間(2024年11月13日から2025年2月12日まで)の終値の単純平均値1,902円に対して130.28%、過去6ヶ月間(2024年8月13日から2025年2月12日まで)の終値の単純平均値2,001円に対して118.89%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっていること、(iii)本公開買付価格が、本公開買付けの公正性を担保するための措置を講じられた上で、当社と公開買付者の間で真摯に交渉を重ねた上で決定された価格であること、具体的には、SMBC日興証券による当社株式の株式価値の算定結果の内容や森・濱田松本法律事務所による本取引に関する意思決定の過程及び方法その他の留意点についての法的助言等を踏まえ、かつ、本特別委員会による意見、支持、要請等に基づいて当社とカーライルの間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として、決定された価格であること、(iv)当社における独立した本特別委員会から取得した本答申書において、下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本公開買付価格を含む本取引の取引条件の妥当性は確保されていると判断されていること、(v)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られており、一般株主の利益への配慮がなされていると認められることを踏まえ、当社取締役会は、2025年2月13日、本取引について、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2025年2月13日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。その後、本臨時株主総会の招集を決議した2025年4月18日付の当社取締役会の開催時点に至るまでに、本公開買付価格に関する当社の判断の基礎となる諸条件に重大な変更が生じていないことを確認しております。
以上より、当社は、端数処理の方法及び端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
本株式併合は、本公開買付けのいわゆる二段階買収の二段階目の手続として行われるものであるところ、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することも予定されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)取引にも該当いたしません。もっとも、公開買付者が、当社の大株主であり代表取締役である柳橋氏(所有株式数:3,038,409株、所有割合:25.44%)及びその資産管理会社である柳橋事務所(所有株式数:300,000株、所有割合:2.51%)との間で本応募契約を締結していること、並びに、リクルートファンド(所有株式数:2,460,000株、所有割合:20.60%)との間で本不応募契約を締結していること、本公開買付けは当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的の一環として実施されることから、大株主グループと大株主グループ以外の当社の株主の皆様との利益が一致しない可能性があることを考慮し、公開買付者及び当社は、本公開買付価格の公正性を担保するとともに、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性及び透明性を担保するため、それぞれ以下の措置を講じております。
なお、公開買付者は、当社の筆頭株主である柳橋氏が当社株式3,038,409株(所有割合:25.44%)を所有しているところ、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立が不安定なものとなり、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定しておりません。もっとも、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置として、以下の措置を実施していることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。
① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
(ⅰ)設置等の経緯
当社は、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、本取引の検討プロセスに関する当社の意思決定の恣意性を排除し、本取引の是非や取引条件の妥当性等についての検討及び判断が行われる過程全般にわたってその公正性を担保する観点から、2024年11月13日開催の取締役会において、特別委員会の委員の候補となる当社の社外取締役について、公開買付者ら、大株主グループ及び当社との間で利害関係を有しておらず、また本取引の成否に関して一般株主とは異なる重要な利害関係を有していないことに加え、委員としての適格性を有することを確認した上で、当社の独立社外取締役であり、コーポレートガバナンス及びコーポレートファイナンスに関する専門的な見識を有している崔真淑氏、当社の独立社外取締役であり、税理士及び企業経営者としての豊富な経験と専門的な見識を有している山田啓之氏、及び、当社の独立社外取締役であり弁護士として豊富な経験と専門的な見識を有している生田美弥子氏の3名から構成される本特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置いたしました(なお、本特別委員会の委員は設置当初から変更しておりません。)。また、本特別委員会は、互選により、本特別委員会の委員長として、崔真淑氏を選定しております。なお、本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
当社取締役会は、本特別委員会設置の決定に際し、本特別委員会に対し、(i)本公開買付けについて当社取締役会が賛同するべきか否か、及び、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否かを検討し、当社取締役会に勧告を行うこと、(ii)当社取締役会における本取引についての決定が、当社の一般株主(少数株主)(注)にとって不利益なものでないかを検討し、当社取締役会に意見を述べること、また、(i)の検討に際しては、①当社の企業価値の向上に資するかという観点から、本取引の是非について検討・判断するとともに、②当社の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性(本取引のために講じられた公正性担保措置の内容を含む。)について検討・判断するものとすること(以下これらを総称して「本諮問事項」といいます。)を諮問し、これらの点についての答申を当社に提出することを嘱託いたしました。さらに、当社は、上記の取締役会において、当社取締役会における本取引に関する意思決定は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うこと、本特別委員会が本取引の実施又は取引条件が妥当でないと判断した場合には、取締役会は本取引の実施を承認しない(本公開買付けに賛同しないことを含みます。)こととすることを決定するとともに、本特別委員会に対し、(i)当社が買付者との間で行う交渉の過程に実質的に関与すること(必要に応じて、買付者との交渉方針に関して指示又は要請を行うこと、及び、自ら買付者と交渉を行うことを含む。)、(ii)必要に応じ、自らの財務若しくは法務等に関するアドバイザーを選任し、又は、当社の財務又は法務等に関するアドバイザーを指名し又は承認(事後承認を含む。)すること、(iii)特別委員会が必要と認める者に特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求めること、(iv)事業計画の内容及び作成の前提に係る情報を含め、当社の役職員から本取引に関する検討及び判断に必要な情報を受領すること、及び(v)その他本取引に関する検討及び判断に際して必要と特別委員会が認める事項を実施することに係る権限を付与する旨を決定いたしました。また、2024年11月22日、本特別委員会は、当社が選任したリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所、ファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認し、それぞれ当社のアドバイザーとして承認いたしました。
(注)当社は、本意見表明プレスリリース及び本書において、一般株主(少数株主)を東京証券取引所が定める有価証券上場規程第441条の2に定める少数株主を包含する概念として使用しております。
(ⅱ)検討の結果
本特別委員会は、2024年11月22日より2025年2月10日までの間に合計9回、合計約9時間に亘って開催されたほか、各会日間においても必要に応じて都度、電子メールや電話、Web 会議等を通じて報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行っております。
具体的には、本特別委員会は、2024年11月22日、その独立性の程度、専門性及び実績等に問題がないことを確認の上、森・濱田松本法律事務所を当社のリーガル・アドバイザーとし、SMBC日興証券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任することについて承認しております。さらに、本特別委員会は、当社より、大株主グループ及びカーライルから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務(当社の株式価値の評価の基礎となる事業計画の作成など高い独立性が求められる職務を含みます。)を含みます。)を当社の社内に構築した旨報告を受け、本特別委員会は当社内の検討体制に独立性の観点から問題がないことについて承認しました。
その上で、本特別委員会は、本諮問事項の検討に当たり、当社から、本取引の経緯、当社の事業内容・事業環境、業績推移、主要な経営課題、本取引により当社の事業に対して想定されるメリット・デメリット等について説明を受け、質疑応答を行いました。また、カーライルに対して、本取引を提案するに至った検討過程、本取引後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並びに本取引後に予定している当社の経営方針等について書面による質問状を送付し、これらの事項に対し書面での回答を受領するとともに、本取引を提案するに至った経緯及び本取引の意義・目的等に関する説明をカーライルから直接受け、質疑応答を行いました。
また、本特別委員会は、カーライルとの交渉の基礎となり、また、SMBC日興証券による当社株式の価値評価の基礎ともなる当社から提示した事業計画(以下「本事業計画」といいます。)の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について、当社執行部から説明を受け、質疑応答を行った上で、これらの合理性を確認し、承認しております。その上で、下記「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、SMBC日興証券は、本事業計画の内容を前提として当社株式の価値算定を実施しており、本特別委員会は、別途SMBC日興証券から、当社株式の株式価値の算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件、当社株式の株価推移及び出来高分析、最近の同種事例におけるプレミアムの水準等について説明を受けるとともに、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認しております。
加えて、本特別委員会は、当社より、当社とカーライルとの間の公開買付価格を含む本取引の取引条件に係る交渉状況の説明を適時に受け、質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行いました。
また、本特別委員会は、2025年1月11日に当社がカーライルから公開買付価格の提案を受領して以降、当社がカーライルから公開買付価格についての提案を受領する都度、SMBC日興証券による当社の株式価値の試算結果等の説明を受け、質疑応答を行うとともに、SMBC日興証券の財務的観点からの助言及び森・濱田松本法律事務所の法的観点からの助言を踏まえて検討し、カーライルに対して複数回にわたり、価格の引上げを要請するとともに、カーライルの価格提案の前提等につき確認を求めるなどして、カーライルとの交渉過程に実質的に関与しました。
本特別委員会は、本意見表明プレスリリース等のドラフトについて、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所及び当社のファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券から説明を受け、質疑応答を行い、充実した情報開示がなされる予定であることを確認しております。
(ⅲ)判断内容
本特別委員会は、上記の協議及び検討の内容を踏まえ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を行った結果、2025年2月13日に、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。
ⅰ 答申内容
(a) 当社取締役会は、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主に対し本公開買付けへの応募を推奨すること及び本新株予約権の所有者に対し本公開買付けに応募するか否かについて本新株予約権の所有者の判断に委ねることを決議するべきであると考える。
(b) 当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに当社の株主に対し本公開買付けへの応募を推奨すること及び本公開買付けに応募するか否かについて本新株予約権の所有者の判断に委ねることを決議することは、当社の一般株主(少数株主)にとって不利益なものではないと考える。また、本公開買付けが成立した後における公開買付者による当社の非公開化及び完全子会社化に係る取引は、当社の一般株主(少数株主)にとって不利益なものではないと考える。
ii 答申理由
(a) 本諮問事項①(本公開買付けについて当社取締役会が賛同するべきか否か、及び、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否かを検討し、当社取締役会に勧告するか)
ア 当社の企業価値の向上に資するか否か
(ア)当社を取り巻く事業環境及び当社の経営課題
・ 上記「1.本株式併合の目的」記載の当社を取り巻く事業環境及び当社の経営課題に関して、本特別委員会としても同様の認識を有している。
・ 上記の経営課題は、HRテクノロジー領域におけるニーズの高まり及び当社グループとして市場開拓の余地が認められること並びに競争の激化など、一過性とはいえない中長期的な事象を内容としており、その対応においては、抜本的かつ実効的な施策を迅速に遂行していくことが急務であると認められる。
・ 当社は、中期経営方針を策定し、継続的なARRの成長に向けた施策に関する取り組みを推進しているが、上記のような激化する競争環境やそれに伴う抜本的かつ実効的な経営改革の必要性を踏まえると、当社単体で上場を維持したまま、かかる改革に取り組むための実行力は必ずしも十分とはいえない。
(イ)本取引のシナジーその他のメリット
・ 上記「1.本株式併合の目的」記載のカーライルの認識は、当社の現在の事業環境及び経営課題を踏まえたものであり、カーライルの日本国内外における過去の投資実績に基づけば、当社に対して実際にこれらの支援を実行することができると考えることは合理性があり、当委員会から見ても合理的と認められる。
・ 上記「1.本株式併合の目的」記載の当社が本取引を通じて創出することが可能と考えているシナジー及びメリットは、いずれも本取引によるカーライルとの協働を通じて創出することが可能であると合理的に考えられるものである。
・ さらに、当社の経営課題を解決し、さらなる企業価値向上を実現するためには、当社の事業を深く理解した外部の経営資源を活用することも重要であると考えており、カーライルの過去の投資実績及び豊富な経験を踏まえれば、本取引においてカーライルをパートナーとして選択することにより、当社のステークホルダーに対してメリットを提供することができると考えられる。
・ また、本取引の実施時期について、競争環境が激化している当社の事業環境において、早期の抜本的な経営課題の改革が迫られているところ、マルチプロダクト戦略の推進に向けて当社が2024年にリリースした2つの新規プロダクトの継続的な機能開発やマーケティング投資の必要性を踏まえれば、この時期に本取引を実施することは当社が認識している各経営課題に対する実効的な経営改革に資すると考えられる。
・ このように、カーライルが想定する各施策は具体的な実現可能性が認められ、本取引によって、当社は経営課題に関する改革に資する各施策を、早期かつ着実に実行できるようになることが期待される。
(ウ)本取引のデメリット
・ 上場廃止に伴い、(i)株式市場へのアクセスを通じた資金調達が困難になり、また、(ii)非公開化により上場会社というステータスを失うことにより、取引先に対する信用力の低下や従業員のモチベーション維持・人材確保が困難となる可能性があり、また、(iii)リクルートファンドと資本関係が外れることの影響が生じる可能性がある。もっとも、(i)については、当社の事業の特性やカーライルによる追加投資が期待できることに鑑みれば、非公開化後も、かかるデメリットによる影響は僅少であると考えている。また、(ii)については、当社がこれまでの事業運営によって積み重ねてきた知名度・信用は上場廃止によって直ちに失われるものではなく、カーライルによる人材組織強化支援の実施により、従業員のモチベーション維持・人材確保は可能であると考えられることから、かかるデメリットによる影響も僅少であると考えている。また、(iii)については、カーライルは、当社とリクルートファンドとの間で既存の資本関係を前提とした契約は存在しないことから、リクルートファンドとの資本関係が外れたとしても悪影響は想定されない旨を当社に確認できたとのことである。
・ 以上を踏まえれば、本取引のデメリットは限定的であり、生じる可能性があるデメリットについても当社として必要な対応を実施することを予定していると認められる。
(エ)代替手段の可能性
・ 上記で述べた本取引によるシナジー等について、当社が上場を維持しつつ経営課題に関する施策を実施することも理論上は考えられるが、上記経営課題に関する改革に資する各施策を実行することは、中長期的に見れば当社グループの企業価値向上に資するものであったとしても、それらの施策が必ずしも早期に当社の利益に貢献するものではないことに加え、それらの施策の実施により短期的なキャッシュ・フローや収益の悪化を招くおそれがあることが懸念される。当社が上場維持を前提としてこれらの施策を実施すれば当社グループの本源的な成長を達成するための戦略と資本市場からの期待に乖離が生じて、必ずしも十分な評価を得ることができず、当社の株価に悪影響を及ぼし、既存株主に不利益を与える可能性も否定できない。
・ 以上からすると、当社の企業価値向上の観点において、本取引に優る有効な代替手段が存在すると認めるに足る事情は見当たらない。
(オ)小括
・ 以上を踏まえると、本取引の目的に関する当社の認識は、本特別委員会としても合理的と考えるものであり、本取引は当社グループ全体の企業価値の向上に資するものと認められ、本取引の目的は合理性を有すると認められる。
イ 取引条件の妥当性
(ア)独立した第三者算定機関による株式価値算定の結果
・ 当社、大株主グループ及び公開買付者らから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券の本株式価値算定書において、市場株価法、類似上場会社比較法及びDCF法が算定方法として用いられているが、各算定方法による算定の前提やその内容に不合理な点は認められない。
・ DCF法の算定の基礎となっている当社の本事業計画は、2024年9月修正予算策定時における事業計画をベースに、進行期の状況を踏まえた数値の精緻化及び2027年度の数値の追加等を反映し、調整を行ったものである。かかる事業計画案については、利益相反のおそれがないカーライル及び大株主グループから独立した者による主導の下で作成されているなど、構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれが合理的に排除されていることが認められる。また、本事業計画は、当社が従前から策定している2024年9月修正予算策定時における事業計画をベースに作成された客観性・合理性のあるものといえ、2024年9月修正予算策定時における事業計画との差異についても、上記のとおり直近の事業環境を反映したものであり、特段不合理な点は見当たらない。
・ 上記のとおり、SMBC日興証券作成の本株式価値算定書における市場株価法、類似上場会社比較法及びDCF法には、特段不合理な点は認められず、本株式価値算定書における当社株式の株式価値評価に照らし、本公開買付価格は、市場株価法及び類似上場会社比較法により算定された価格帯の上限値を上回っており、さらにDCF法により算定された価格帯の範囲内にあり、かつ中央値を上回っている。このように、本公開買付価格が、本株式価値算定書における算定結果の上限値を超え、又は算定結果の範囲の中央値を上回るものであることは、本公開買付価格の妥当性を裏付ける要素と評価することができる。
(イ)当社株式の市場価格に対するプレミアム
・ 本公開買付価格は、本取引の公表日の前営業日である2025年2月12日の東京証券取引所グロース市場における当社株式の終値1,989円に対して120.21%が加算されているところ、近時の他の公開買付け事例(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日から2024年11月30日に公表され、公開買付けが成立した日本国内の事例349件)におけるプレミアムの中央値(公表日の前営業日の終値に対して36.5%、公表日前営業日から過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して38.4%、公表日前営業日から過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して39.8%、公表日前営業日から過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して39.9%)と比較して高い水準になっていると認められる。
(ウ)交渉過程・価格決定プロセス
・ 本特別委員会は、SMBC日興証券の財務的観点からの助言及び森・濱田松本法律事務所の法的観点からの助言を踏まえて検討し、カーライルに対して複数回にわたり、価格の引上げを要請するとともに、カーライルの価格提案の前提等につき確認を求めた。
・ 本取引は、本取引に係るパートナーの選定プロセス(以下「本件プロセス」といいます。)で意向表明したパートナー候補のうち高値を提示したカーライルとの取引であり、またカーライルは本件プロセスで提示した価格を上回る本公開買付価格(1株当たり4,380円)を最終的に提示するに至った。加えて、本特別委員会がカーライルの価格提案を踏まえて確認した事項において不合理と認められる点は確認されなかった。
・ 以上を踏まえれば、本公開買付価格については、本件プロセスを通した公正な交渉過程の結果によるものと評価できる。
(エ)取引の方法の合理性
・ 当社が、公開買付者から提案されている、現金を対価とする公開買付け及びその後の株式併合の方法による二段階買収という方法は、この種の非公開化取引においては一般的に採用されている方法であり、かつ、株式併合については、一般株主が本公開買付け又は本公開買付けの成立後に行われる当社株式の併合のいずれによって対価を得たとしても、本公開買付価格と同額の対価を得ることが確保されていることが公表される予定であること、本公開買付けの公表から本公開買付けの終了まで長期間が確保されていること、当社株主においては株式買取請求後の価格決定の申立てを行うことにより株式の価格を争うことが可能である。
・ また、公開買付者は、本株式併合の効力発生を条件として、本増資及び本減資を実施し、その後、本売却予定株式を対象として、本自己株式取得を実施する予定であるところ、かかる方法は、法人大株主が存在する上場会社の非公開化取引においては採用されることが少なくない方法であり、自己株式取得価格と公開買付価格に差異を設けることで、公開買付価格の引き上げにもつながり、一般株主の利益に資する可能性もある方法といえる。また、本自己株式取得価格は、本公開買付価格との対比において、リクルートファンドが当社株式の対価として一般株主を上回る経済的利益を得るものではないと評価できる。
・ よって、本取引の方法に不合理な点は認められない。
(オ)本新株予約権買付価格の妥当性
・ 本新株予約権は、その権利行使時点において、当社グループの取締役、執行役員、監査役又は使用人その他これに準ずる地位にあることが権利行使条件として定められており、仮に公開買付者が本公開買付けにより本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができない。そのため、本新株予約権買付価格を1円としても、本新株予約権者にとって必ずしも不利益とはいえず、本新株予約権買付価格は不合理とはいえず、また、算定書及びフェアネス・オピニオンを取得しないことも不合理とはいえない。
(カ)小括
・ 以上を踏まえると、当社の一般株主の利益を図る観点から、本取引の取引条件(本公開買付価格を含む。)の妥当性は確保されていると考えられる。
ウ 手続の公正性
本特別委員会は、以下のとおり、本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされているものと考える。
・ 当社において本特別委員会が設置されているところ、当社取締役会が、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して意思決定を行う仕組みが担保されており、また、本特別委員会が有効に機能するために必要な権限等が付与され、それを基にカーライルとの交渉が実施されたものと認められる。
・ 当社は、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、当社、大株主グループ並びに公開買付者らから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、SMBC日興証券に当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年2月13日付で本株式価値算定書を取得している。
・ 当社は、本公開買付けに係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、当社、大株主グループ並びに公開買付者らから独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けている。
・ 当社の社内に構築した本取引の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含む。)は、森・濱田松本法律事務所の助言を踏まえたものであり、独立性及び公正性の観点から問題がないことについて確認の上、本特別委員会の承認を得ており、当社における独立した社内検討体制は、適切に構築されており、また、有効に機能していたものと評価できる。
・ 当社の取締役のうち、当社の代表取締役である柳橋氏については、当社の筆頭株主であるところ、大株主グループ以外の当社の株主との利益が一致しない可能性があることを考慮し、また、当社の取締役である小林傑氏(以下「小林氏」といいます。)については、カーライルの投資先のグループ会社の代表取締役を務めていることを踏まえ、利益相反のおそれを回避する観点より、取締役会における審議及び決議には参加しておらず、また当社の立場において、本取引に関する検討並びに公開買付者との協議及び交渉に参加していない。
・ 当社における本取引の検討にあたり、本件プロセスが実施され、本件プロセスに基づく一定の競争状態において、他の買付候補者との比較を通じて選定するという過程を経たものであり、本件プロセスを実施することで、当社の主導により合理的な競争環境を作出したものと評価できる。また、その選定においても、提案価格が最も高く、かつ本取引実施後の経営方針、想定される当社とのシナジー効果、及びその支援施策等の観点を踏まえてカーライルを選定しており、その過程に不合理な点は見受けられない。したがって、本件プロセスが本取引に係る手続の公正性に資するものと認められる。
・ 公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間である20営業日よりも長い30営業日に設定することにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断の機会を確保しているとのことである。また、公開買付者と当社は、当社が公開買付者以外の者(以下「対抗的買収提案者」という。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っていないとのことであり、このように、公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会等が確保されていると認められる。
・ 公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件に相当する下限を設定しない予定とのことである。もっとも、本取引では充実した公正性担保措置が取られ、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされていると評価できることを踏まえれば、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定を行っていなくとも、本取引の公正性が否定されるものではないと考えられる。
・ 当社及び公開買付者は、それぞれのリーガル・アドバイザーからの助言を得て適切な情報開示を行う予定である。
・ 本取引については強圧性の問題が生じないように配慮の上、スクイーズアウト手続の適法性も確保されているといえる。
・ 以上の点に加え、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程において、当社が公開買付者より不当な影響を受けたことを推認させる事実は認められない。
・ 以上の点を検討の上、本特別委員会は、本取引に係る取引条件の公正性を担保するための手続として十分な公正性担保措置が実施されており、当社の一般株主の利益を図る観点から、本取引の手続には公正性が認められると考える。
エ 結論
当社取締役会は、本公開買付けに関して、現時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議するべきであると考える。なお、本新株予約権の所有者に対し本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては本新株予約権の所有者の判断に委ねることを決議すべきである。
(b)本諮問事項②(当社取締役会における本取引についての決定が、当社の一般株主(少数株主)にとって不利益なものでないか)
本取引は、当社の企業価値の向上に資するものと認められ、当社の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性も認められる。したがって、当社取締役会において、本公開買付けに関して、現時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議すること、また、本新株予約権の所有者に対し、本公開買付けに応募するか否かは本新株予約権の所有者の判断に委ねることを決議することは、当社の一般株主(少数株主)にとって不利益なものではないと考える。
また、本公開買付けが成立した後における公開買付者による当社の非公開化及び当社の完全子会社化は、当社の一般株主(少数株主)にとって不利益なものではないと考える。
② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、当社、大株主グループ及び公開買付者らから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券に対して、当社株式の価値算定を依頼し、2025年2月13日付で、本株式価値算定書を取得しました。
また、SMBC日興証券は、当社、大株主グループ及び公開買付者らの関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。なお、当社は、SMBC日興証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
なお、SMBC日興証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりSMBC日興証券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。また、本特別委員会において、SMBC日興証券の独立性に問題ないことが確認されております。
(ⅱ)算定の概要
SMBC日興証券は、複数の算定手法の中から当社株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所グロース市場に上場していることから市場株価法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似上場会社比較による当社の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を算定手法として用いて当社の1株当たりの株式価値の分析を行い、当社は、2025年2月13日付でSMBC日興証券より本株式価値算定書を取得いたしました。
上記各手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法 :1,902円から2,001円
類似上場会社比較法 :978円から1,242円
DCF法 :2,733円から4,501円
市場株価法では、2025年2月12日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所グロース市場における基準日の終値1,989円、直近1ヶ月間の終値単純平均株価1,953円、直近3ヶ月間の終値単純平均株価1,902円及び直近6ヶ月間の終値単純平均株価2,001円を基に、当社株式の1株当たりの価値の範囲を1,902円~2,001円と算定しております。
類似上場会社比較法では、当社と類似性があると判断される類似上場会社として株式会社プラスアルファ・コンサルティング、株式会社チームスピリット及び株式会社ヒューマンテクノロジーズを選定した上で、企業価値に対するEBITDAの倍率を用いて算出を行い、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を978円~1,242円と算定しております。
DCF法では、本事業計画を基に、2025年3月期から2028年3月期までの4期分の事業計画における収益や投資計画等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期第3四半期以降創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの価値の範囲を2,733円~4,501円と分析しております。
なお、本事業計画においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年3月期は新規プロダクトのリリースに伴う開発投資やマーケティング投資、人材採用を織り込んでいるため、フリー・キャッシュ・フローは前年度に比べて減少する見込みであるものの、2026年3月期以降は既存事業であるタレントマネジメントシステム事業の増益に加えて、新規プロダクトに係る事業の利益率の改善に伴い、営業利益は2027年3月期で前期比約88%、2028年3月期で前期比約134%、フリー・キャッシュ・フローは2027年3月期で前期比約63%、2028年3月期で前期比約53%の大幅な増加を見込んでおります。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、本事業計画には加味しておりません。
(注) SMBC日興証券は、本株式価値算定書の作成にあたり、その基礎とされている資料及び情報が全て正確かつ完全なものであることを前提とし、その正確性及び完全性に関して独自の検証は行っておらず、その義務及び責任を負うものではなく、提供された情報が不正確又は誤解を招くようなものであるとする事実又は状況等につき当社において一切認識されていないことを前提としております。また、当社及びその関係会社の資産又は負債に関して、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関に対する評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。これらの資料及び情報の正確性及び完全性に問題が認められた場合には、算定結果は大きく異なる可能性があります。さらに、当社及びその関係会社に関する未開示の訴訟、紛争、環境、税務等に関する債権債務その他の偶発債務・簿外債務並びに本株式価値算定書に重大な影響を与えるその他の事実については存在しないことを前提としております。SMBC日興証券が、本株式価値算定書で使用している本事業計画等は、算定基準日における最善の予測及び判断に基づき、当社により合理的かつ適正な手続に従って作成されたことを前提としております。また、本株式価値算定書において、SMBC日興証券が提供された資料及び情報に基づき提供された仮定をおいて分析を行っている場合には、提供された資料、情報及び仮定が正確かつ合理的であることを前提としております。SMBC日興証券は、これらの前提に関し、正確性、妥当性及び実現性について独自の検証は行っておらず、その義務及び責任を負うものではありません。なお、SMBC日興証券の算定結果は、SMBC日興証券が当社の依頼により、当社取締役会が本公開買付価格を検討するための参考に資することを唯一の目的として当社に提出したものであり、当該算定結果は、SMBC日興証券が本公開買付価格の公正性について意見を表明するものではありません。
(ⅲ)本新株予約権に係る算定の概要
本新株予約権の買付価格が1円とされていることから、当社は、本新株予約権の買付価格について第三者算定機関から算定書又は意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
③ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、リーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、本公開買付け及びその後の一連の手続に対する当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。なお、森・濱田松本法律事務所は、当社、大株主グループ及び公開買付者らから独立しており、当社及び公開買付者との間に重要な利害関係を有しておりません。また、森・濱田松本法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
④ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む。)全員の承認
当社は、森・濱田松本法律事務所から得た法的助言、SMBC日興証券から受けた財務的見地からの助言、本株式価値算定書の内容、本特別委員会から入手した本答申書の内容、カーライルとの間で実施した複数回に亘る継続的な協議の内容及びその他の関連資料を踏まえ、公開買付者による本公開買付けに関する諸条件の内容について慎重に協議・検討を行った結果、取締役7名(監査等委員である者を含みます。)のうち、柳橋氏及び小林氏を除く審議及び決議に参加した5名の取締役全員の一致により、2025年2月13日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨すること、及び、本新株予約権者の皆様に対しては、本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねることを決議しております。
なお、当社の代表取締役である柳橋氏については、2025年2月13日時点において、当社の筆頭株主(所有株式数:3,338,409株、所有割合:27.95%(柳橋氏の資産管理会社である柳橋事務所が保有する株式数を含む。))であるところ、大株主グループ以外の当社の株主の皆様との利益が一致しない可能性があることを考慮し、また、当社の取締役である小林氏については、カーライルの投資先のグループ会社の代表取締役を務めていることを踏まえ、利益相反のおそれを回避する観点より、取締役会における審議及び決議には参加しておらず、また当社の立場において、本取引に関する検討並びにカーライルとの協議及び交渉に参加しておりません。
そして、上記のとおり、本公開買付けが成立したため、当社は、公開買付者らから要請を受け、上記の検討を踏まえ、2025年4月18日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(柳橋氏及び小林氏を除く、取締役5名(佐藤寛之氏、橋本公隆氏、山田啓之氏、崔真淑氏及び生田美弥子氏))の全員一致で、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、当社の株主を公開買付者及びリクルートファンドのみとするために、本株式併合を本臨時株主総会に付議することを決議いたしました。
⑤ 当社における独立した検討体制の構築
当社は、大株主グループ及び公開買付者らから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制((当社の株式価値の評価の基礎となる事業計画の作成など高い独立性が求められる職務を含みます。以下同じです。)を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、本取引に係る検討、交渉及び判断は、全て大株主グループ及び公開買付者らから独立した者が担当することとした上で、本取引に関する大株主グループ又は公開買付者らの検討、交渉及び判断に参加若しくは補助する者は検討体制に加わらないこととし、大株主グループ及び公開買付者らからの独立性の認められる役職員のみによる体制として、佐藤寛之取締役及び橋本公隆取締役を中心とする検討体制を構築し、本日に至るまでかかる取扱いを継続しております。
カーライルに対して提示し、かつ、SMBC日興証券が当社株式の株式価値の算定において基礎とする本事業計画は、必要に応じて、SMBC日興証券のサポートを得つつ、公開買付者らから独立した者による主導の下作成されており、その作成過程においても、本特別委員会に対して作成中の事業計画案の内容、重要な前提条件等について説明が行われるとともに、最終的な本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について本特別委員会の確認を受け、その承認を受けています。
また、かかる取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制は、森・濱田松本法律事務所の助言を踏まえたものであり、独立性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ております。
⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間である20営業日よりも長い30営業日に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断の機会を確保しているとのことです。また、公開買付者と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っていないとのことです。このように、公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会等が確保されていることを確認しており、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
4.本株式併合の効力が生ずる日
2025年6月13日(予定)
以 上