当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「日本発を世界へ」を企業スローガンとして掲げ、企業理念「日本発を世界に発信するファッションカンパニーを創造するとともに、事業拡大を通じて、顧客、従業員、取引先、株主の幸せと夢を実現します」の達成に向けて行動しております。
この企業理念の下、当社では「全世界顧客感動」、「ファッションプロフェッショナル集団」、「Next Made in Japan」、「世界10大都市展開」、「最速売上1,000億円/EC売上500億円」の5つのVISIONを掲げ、商品力強化、店舗開発、サービス向上、人材育成、社会貢献をしていくことで、企業価値の向上を図ることを基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、資本効率を重視した経営の実現に向けて、ROE(自己資本利益率)を中期経営計画における主要な財務指標として位置づけており、2028年度に20%超の達成を目標としております。
また、ROE単体ではなく、資本コストとの関係性(ROE>資本コスト)にも着目し、株主資本コストを上回るリターンの創出を通じて、企業価値および株主価値の持続的な向上を目指してまいります。
あわせて、事業運営上は営業利益額を主要なマネジメント指標として注視しており、本業における収益力の向上を通じたROEおよび資本効率の改善を推進してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
中長期的には、当社の強みである「日本発・日本製」にこだわったブランドポートフォリオを基盤とし、海外展開および新業態の開発を通じて、成長の持続性と収益構造の強化を図ってまいります。特にアジア主要都市を中心とした海外市場への出店や、現地パートナーとの連携を通じて、グローバルな収益基盤の多様化を推進していきます。
セレクト事業では、「STUDIOUS」「THE TOKYO」「CONZ」など既存業態に加え、新たにスタートした「GOOD EDITION」を通じて、TOKYOカルチャーの発信力を高め、海外展開を見据えたブランド力の強化を図ります。
自社ブランド事業では、「UNITED TOKYO」「PUBLIC TOKYO」「CITY TOKYO」に加え、30〜40代女性をターゲットとした新業態「RITAN」など、多様なブランドの展開により、国内外での販売チャネルを広げてまいります。今後は、WOMENS市場を中長期的な成長ドライバーと位置づけ、顧客基盤の拡充とブランド価値の向上を目指します。
さらに、デジタル投資やCRM強化による顧客体験の向上、M&A・資本提携による新規領域・市場への参入などを通じて、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く事業環境は、国内の人口減少や少子高齢化、消費者ニーズの多様化、D2Cブランドの増加といったアパレル業界の構造的変化に加え、グローバル市場における競争激化など、複雑かつ多面的な変化が進行しています。一方で、外国人観光客の増加によるインバウンド需要や、アジアを中心とした日本ブランドへの関心の高まりは、新たな成長機会であると捉えております。
こうした環境のもと、当社グループでは、中長期的な企業価値向上を見据え、収益性と成長性のバランスを取りながら、下記6点を優先的に対処すべき重要課題と認識し、戦略的に取り組んでまいります。
①戦略的な店舗展開および出店強化
国内市場では、東名阪エリアに出店を集中させ、ブランドとの親和性の高いエリアでのドミナント出店を推進します。加えて、インバウンド需要の拡大に伴い、訪日外国人の動向に合わせた路面店の強化を行い、収益機会の最大化を図ります。立地選定においては、収益性や投資効率を定量的に評価し、優良な物件取得を進めてまいります。
②海外都市への事業拡大および継続的な新業態開発
当社は、低価格帯・マスブランドではなく、限定的な商圏・顧客に対して高付加価値を提供する戦略を取っております。今後は、海外の主要都市への展開と新業態の継続的な開発を通じ、エリア密度と事業規模の拡大を図り、グローバルな成長エンジンの強化に取り組んでまいります。
③中国事業の再成長
2025年1月時点で不採算店舗の撤退を完了し、北京・上海・深圳・広州に絞った6店舗体制を構築いたしました。今後は、大型店から中規模店舗への移行を進め、ミドルリスク・ミドルリターン型の出店を基本戦略とし、安定的な成長を目指してまいります。
④商品力の強化
日本国内の有力ブランドとの連携強化、優秀デザイナーの採用・育成、マーチャンダイジング体制の拡充により、商品開発力とプロパー消化率(定価販売比率)の向上を推進してまいります。あわせて、在庫回転率の最適化や仕入・販売のPDCA強化を通じて、ブランド価値と収益性の向上を図ってまいります。
⑤人材の確保と育成
労働力人口の減少や業界特有のイメージを背景に、人材確保が課題となっております。当社は業界トップ水準の給与体系を目指すとともに、生産性向上・人材定着率の改善に資する人事制度・評価制度の整備を進めております。実力主義・成果主義に基づいた教育・報酬制度の強化を通じて、持続的な組織力の向上を図ってまいります。
⑥M&Aの検討と実施
業界再編の進行に伴い、後継者不足や業績不振による事業譲渡ニーズが増加しております。当社は、事業との相乗効果が期待されるブランド・企業を対象に、慎重なデューデリジェンスを実施の上、戦略的なM&Aを推進してまいります。特に、M&Aを通じたブランド補完・海外展開・商品力強化により、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点での当社グループの判断に基づくものであり、これらには不確実な要素が含まれるため、実際の成果や業績等は見通しと異なる可能性があります。
(1)ガバナンス
・基本的な方針
当社グループは、「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を目指し、サステナブルファッション社会の実現に取り組んでいます。そのため、企業理念・企業ビジョンおよび事業領域に、社会課題解決を意識した内容を組み込んでいます。
・取締役会による監督
代表取締役CEOを議長とする取締役会にて、サステナビリティに関する経営判断・運営状況を管理・監督しております。
・実行体制
経営企画管掌取締役がサステナビリティ関連業務の執行を統括し、部門横断的に課題解決を推進しています。特に重要な課題は、同取締役から取締役会へ提起する体制を構築しています。
(2)戦略
・ファッション産業の社会課題への認識
ファッション業界は、大量生産・大量販売・大量廃棄の構造により、環境負荷や産業空洞化、低賃金労働など多くの課題を抱えています。当社はこれらの課題を、環境・人権・地域経済といった観点から解決すべき重点領域と位置付けています。
・事業戦略との連動
当社は「嗜好品分野の中高価格帯」を事業領域とし、日用品のボリュームゾーンには参入しておりません。販路は大都市に限定し、国内外ともに高価格帯市場に特化することで、持続可能な成長を目指しております。
・日本製品へのこだわり
自社開発商品の生産は日本国内に限定しており、空洞化が進む日本の繊維・縫製産業の維持と、地方経済の活性化に貢献しています。
・人的資本の重視
当社グループでは、経営ビジョンとして「全世界顧客感動」を掲げており、その実現に向けて「営業力=人材」を最重要資源と捉えています。
・人材育成方針
年功序列を廃し、成果に応じて若手にも大きな裁量権を与える環境を整備しています。能力主義に基づく育成制度により、早期の人材成長を促進しています。
・人材獲得戦略
国内の労働人口減少および業界構造上の課題(特に販売職の低賃金化)に対応すべく、当社では他業種と比較しても高水準の報酬体系を構築・維持しており、優秀な人材の確保と販売職の社会的地位向上に取り組んでいます。
(3)リスク管理
・リスク管理体制
代表取締役CEOを統括責任者とし、監査役を委員長とする「企業倫理・リスク管理委員会」を設置。経営全体に関わる重要リスクへの対応および定期的なモニタリングを行っております。
・取締役会への報告
同委員会は、リスク管理体制の運営状況を定期的に取締役会へ報告しています。
・各部門での対応
各事業部門・子会社におけるリスクは、事業活動の中で各部門が主体的に管理・対応しております。
・サステナビリティリスクの管理
サステナビリティに関するリスクについても、経営企画管掌取締役が統括する「サステナビリティ委員会」にて、モニタリングと課題解決を推進しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、「サステナビリティ経営」の推進にあたり、事業を通じた社会課題の解決と持続的成長の両立を目指しています。これを実現するために、事業領域や経営ビジョンに基づき、以下のとおり重点的なサステナビリティ指標および目標(KPI)を設定しています。
なお、当社グループは中国・韓国・米国に子会社を有しておりますが、現時点において連結業績に与える影響は限定的であるため、本指標および目標は親会社である株式会社TOKYO BASE単体に関するものとしております。
重要課題 |
取組 |
KPI(目標) |
環境配慮分野 |
高価格分野維持による生産数量低減 |
平均単価 セレクト事業38,000円、 自社開発事業25,000円 |
環境配慮分野 |
商品の廃棄率 |
廃棄率0.0% |
社会貢献分野 |
日本繊維産業および日本地域活性化 |
自社開発事業での日本製比率100% |
重要課題 |
取組 |
KPI(目標) |
人材育成分野 |
ダイバーシティ |
|
人材育成分野 |
女性比率 |
|
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)マクロ経済の状況について
経済環境の変化は、顧客の購買力を変化させ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、中国をはじめとする海外各国の景気動向や為替相場の変動等は、海外在住の顧客の購買力を変化させ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)カントリーリスクについて
当社グループは中国本土及び香港において海外展開をしておりますが、予期しない法規制の変更や当社グループにとって不利益な影響を及ぼす政治的または経済的事象の発生、テロ・紛争・自然災害等による社会的混乱が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、出店国の各種リスクに対する情報収集を継続し、動向を注視しつつ対策を講じてまいります。
(3)消費者嗜好の変化について
当社グループは、流行の影響を受けやすい、衣料品・服飾品を中心に商品展開を行っております。特に、当社グループは、日本国内の最先端TOKYOブランドに特化し、取扱う商品は全てが日本国内ブランド商品または日本国内で生産されたオリジナル商品としており、こうした品揃えを支持するファッション感度の比較的高い顧客層を主体としております。コロナ禍を経た生活様式の変化や新規参入企業による競合の激化等により、当社グループが顧客の嗜好や生活様式の変化に対応しきれない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、今後も商品力の強化や新業態の展開等により、顧客の嗜好と生活様式の変化に応えるとともに顧客層の拡大により、これらのリスク低減を図ってまいります。
(4)天候等について
暖冬や冷夏、長梅雨、大雪、台風等、天候変化により、季節的商品の売れ行きが影響を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)商品の品質について
当社グループで取り扱う商品について、検品や商品管理の不備により、不適切な商品を販売してしまった場合、当社グループのブランドイメージが毀損する範囲は当社グループのみに留まらず、仕入先ブランドや入居する商業施設等多方面にわたります。これにより、お客様はじめ取引先への賠償や違約金の支払いが生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループのオリジナル商品は日本発のスタイルに拘り、全アイテムを日本製にすることで、他社に比べた品質の優位性を訴求しております。しかし、万一生産委託先において、生産国の虚偽表示があった場合、当社グループのブランドイメージを毀損し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、検品及び商品管理体制の強化、生産委託先への法令遵守徹底の申し入れと管理強化により、これらのリスク低減を図ってまいります。
(6)特定の企業が運営する商業施設への出店集中等について
当社グループはターミナル駅への出店戦略として、同一地域内でトップクラスの集客力を持つ商業施設に出店する方針としております。これに伴い、特定の企業グループが運営する商業施設への出店が集中しております。現時点においてこれに該当する店舗の集客力は高い状況ですが、今後、出店先を取り巻く環境の変化等により、集客力が変動した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、店舗物件で当社グループの出店条件に合致した物件がない等により、計画通りに出店できない場合には、計画通りの売上高が計上できない可能性があります。また、商業施設の集客力低下等の既存店舗立地環境の変化等により収益性が低下して退店が必要となった場合には、計画通りの売上高が計上できないことに加えて、固定資産の減損損失等を計上する可能性があります。更に、今後の出店先の経営方針の変更により、当社グループが営業活動の方針変更を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、国内での無理な出店拡大を追わず、海外の集客力の高い大都市への出店を併せて推進することでリスク低減を図ってまいります。
(7)特定の企業が運営するオンラインモールでの売上依存度について
当社グループのインターネット販売売上の大部分が、特定の企業が運営するオンラインモールに出店した店舗の売上であります。現時点において、該当するオンラインモールの集客力は高い状況ですが、今後、出店先を取り巻く環境の変化等により、集客力が変動した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後の出店先の経営方針の変更により、当社グループが営業活動の方針変更を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社としては該当するオンラインモールの売上を維持しつつ、自社ECを強化することによって過度な依存状態を解消し、リスク低減を図ってまいります。
(8)新規業態等について
当社グループは、ターゲット顧客層の拡大を目的に、新業態の立ち上げや海外展開等の取り組みを引き続き進めてまいりますが、当初想定していた成果を上げることができない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、事業計画に基づいた投資採算性進捗の管理を強化し、社内で設定する基準にしたがって不採算事業からの撤退を早期に判断することによって、これらのリスク低減を図ってまいります。
(9)人材について
当社グループで手がける店舗では、社員が商品選定にも関与しており、店舗スタッフの業務は単なる販売オペレーションに留まるものではありません。また、当社グループでは付加価値の高い商品の取扱いに努めており、その為に必要な、商品知識及び顧客ニーズを的確に捉えた提案能力は、一朝一夕に体得できるものではありません。また、商品企画担当者、バイヤー等、専門的業務に従事する従業員も多く、当社グループにとっては人材は重要な経営資源であります。このため、人材市場の需給が引き締まった場合や、当社グループにとって重要な人材が外部に流出した場合に、業容拡大の計画や営業活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては実力主義・結果主義に基づいた、公正な人事評価制度の構築、インセンティブ制度の拡充による従業員のモチベーション向上、研修制度の拡充等の施策を講じることで、優秀な人材の確保、定着を図ってまいります。
(10)自然災害・事故等について
当社グループの事業拠点の周辺において地震・火災等の自然災害やテロ・デモ・騒擾行為等の人災や未知の感染症(新型コロナウイルス感染症を含む)が発生した場合、営業活動上支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの全店舗は都市部に立地しており、顧客の大部分は鉄道等公共交通機関を利用して来店します。このため、公共交通機関において、事故やストライキ、テロ等が発生し、来店客数が減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
インターネット販売においては、回線障害等ブロードバンド環境や携帯端末を使ったインターネット接続環境が悪化もしくは中断された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、実店舗以外の販路として自社EC強化を図り、実店舗の顧客をECに誘導する等の施策を講じるとともに、それを支えるインフラの強化に取り組むことによって、これらのリスク低減を図ってまいります。
(11)代表取締役CEO谷正人への依存の高さについて
当社グループの創業者であり、代表取締役CEOである谷正人は、当社グループの事業展開の方向性の決定や、海外も含めた出店戦略の決定等、当社グループの意思決定過程において重要な役割を果たしています。このため、谷が何らかの事情で通常の職務を遂行できなくなる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、組織的な意思決定システムの構築や、マネジメントを担い得る人材の採用・育成により、谷個人への依存度を引き下げることでリスクを低減していく方針です。
(12)システムについて
当社グループは事業運営において、POSシステム、インターネット販売システム、会計システム等各種システムを使用しております。これらが万一機能不全に陥った場合、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、これらのリスク低減を図るべく、各種システム及び取引先の選定、見直しに取り組むことによって、これらのリスク低減を図ってまいります。
(13)知的財産権について
当社グループでは国内外で商標権など知的財産権を所有しており、法令の定めに則って権利の保全に努めていますが、第三者による当社グループの権利の侵害により、企業・ブランドイメージの低下、商品開発の阻害を招いた場合には、当社グループの経営成績もしくは財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは第三者の知的財産権を侵害しないよう運営・管理を行っておりますが、万一第三者から損害賠償及び使用差し止め請求等が為され金銭の支払いが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)情報管理について
当社グループは営業活動上、個人情報を保有しております。個人情報漏洩防止の対策は万全を期しておりますが、万が一情報漏洩が起こった場合は、賠償責任の発生や信用失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)内部管理体制の強化について
当社グループは、企業価値の継続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底してまいりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、規模の拡大に伴った適切な組織体制の構築と人員の配置により、当該リスクの低減を図ってまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の概況は次のとおりです。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が収束し、行動制限の解除や訪日外国人観光客の回復が引き続き進む中で、個人消費は緩やかながらも持ち直しの動きを示しております。一方で、エネルギー価格や原材料価格の高止まり、地政学的リスクの高まり、為替の変動によるコスト増など、企業活動を取り巻く環境には依然として不透明感が残っております。
海外においては、中国本土における景気の持ち直しが鈍く、不動産市場の低迷や雇用不安などにより、個人消費の回復は限定的な状況が続いております。特に若年層の消費マインドが冷え込んでおり、小売市場全体としても厳しい環境にあります。
こうした環境下、当社では収益体質の強化に向け、売上総利益率の改善(前年同期比+4.2%)、販管費率の抑制(前年同期比△1.9%)などに取り組みました。特に営業利益が前年同期比67.1%増加するなど、構造改革の成果が現れております。
今後も、データに基づく商品戦略や在庫コントロール、EC販売チャネルの最適化、中国事業の損益改善に向けた拠点再編・商品ラインナップ見直し等を進め、企業価値の最大化を目指してまいります。
(連結経営成績) (単位:千円)
|
2024年1月期 連結会計年度 (自 2023年2月1日 至 2024年1月31日) |
2025年1月期 連結会計年度 (自 2024年2月1日 至 2025年1月31日) |
増減 |
増減率 |
売上高 |
19,986,284 |
20,207,670 |
221,385 |
1.1% |
売上総利益 |
10,015,475 |
10,435,634 |
420,158 |
4.2% |
販売費及び一般管理費 |
9,134,243 |
8,962,690 |
△171,553 |
△1.9% |
営業利益 |
881,231 |
1,472,944 |
591,712 |
67.1% |
経常利益 |
1,122,385 |
1,475,844 |
353,459 |
31.5% |
税金等調整前当期純利益 |
852,828 |
1,244,340 |
391,512 |
45.9% |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
335,426 |
776,867 |
441,441 |
131.6% |
当連結会計年度末における財政状態は、資産合計は11,454,796千円、負債合計は6,346,531千円、純資産合計は5,108,264千円となりました。
(補足情報)
Ⅰ.業態別売上高 (単位:千円)
|
2025年1月期 連結会計年度 (自 2024年2月1日 至 2025年1月31日) |
前年同期比 (増減率) |
STUDIOUS |
8,853,793 |
△2.0% |
UNITED TOKYO |
5,399,808 |
△5.0% |
PUBLIC TOKYO |
3,379,893 |
△3.3% |
CITY TOKYO |
804,648 |
4.9% |
THE TOKYO |
1,761,404 |
31.8% |
CONZ |
139,526 |
- |
その他 |
△131,405 |
- |
全社合計 |
20,207,670 |
1.1% |
(注)収益認識基準の影響額は業態別に区分せず、「その他」に含めて記載しております。
Ⅱ.出退店及び店舗数
業態 |
2024年1月期 連結会計 年度末 |
2025年1月期 連結累計期間 |
2025年1月期連結会計 期間末 |
|||
出店 |
退店 |
増減 |
(改装) |
|||
STUDIOUS |
39 |
2 |
5 |
△3 |
(2) |
36 |
UNITED TOKYO |
17 |
2 |
1 |
1 |
- |
18 |
PUBLIC TOKYO |
15 |
- |
3 |
△3 |
- |
12 |
CITY TOKYO |
6 |
- |
- |
- |
(6) |
6 |
THE TOKYO |
6 |
1 |
- |
1 |
- |
7 |
CONZ |
- |
4 |
- |
4 |
- |
4 |
全社合計 |
83 |
9 |
9 |
0 |
(8) |
83 |
2025年1月期連結累計期間における店舗展開については以下のとおりです。
■STUDIOUS業態
「STUDIOUS WOMENS 新宿店」を改装
「STUDIOUS WOMENS 有楽町店」を改装
「STUDIOUS 北京西単店」を退店
「YOHJI YAMAMOTO STORE 寧波店」を退店
「STUDIOUS 深セン万象天地店」を退店
「STUDIOUS 香港店」を退店
「STUDIOUS 京都三条店」を出店
「STUDIOUS TOKYO 香港店」を出店
「STUDIOUS 深センHOUHAI HARBOUR店」を退店
■UNITED TOKYO業態
「UNITED TOKYO なんばシティ店」を出店
「UNITED TOKYO 上海新天地店」を退店
「UNITED TOKYO 北千住店」を出店
■PUBLIC TOKYO業態
「PUBLIC TOKYO 北京三里屯店」を退店
「PUBLIC TOKYO 神宮前店」を退店
「PUBLIC TOKYO 丸の内店」を退店
■CITY TOKYO業態(A+ TOKYO業態から業態変更)
「CITY TOKYO MENS 新宿店」を改装
「CITY TOKYO WOMENS 新宿店」を改装
「CITY TOKYO 池袋店」を改装
「CITY TOKYO 大阪店」を改装
「CITY TOKYO 自社オンラインストア」を改装
「CITY TOKYO ZOZOTOWN店」を改装
■THE TOKYO業態
「THE TOKYO 渋谷店」を出店
■CONZ業態
「CONZ 原宿店」を出店
「CONZ 新宿店」を出店
「CONZ 自社オンラインストア」を出店
「CONZ ZOZOTOWN店」を出店
この結果、2025年1月期当連結会計年度末における店舗数は、STUDIOUS業態が36店舗(内、E
Cが3店舗)、UNITED TOKYO業態が18店舗(内、ECが2店舗)、PUBLIC TOKYO業態が
12店舗(内、ECが2店舗)、CITY TOKYO業態が6店舗(内、ECが2店舗)、THE TOKYO業態が7店舗(内、ECが2店舗)、CONZ業態が4店舗(内、ECが2店舗)の合計83店舗となりました。
なお、実店舗は全70店舗となり、国内61店舗、海外9店舗となりました。
(注)連結対象である東百国際貿易(上海)有限公司の当決算期末は12月であり、当社の当決算期末の1月とは1ヶ月間異なりますが、それぞれの当会計期末に合わせて出退店及び店舗数を記載しております。なお、東百国際貿易(上海)有限公司の2025年1月の出退店はありません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、3,669,294千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は1,744,359千円となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,244,340千円、減価償却費467,537千円、減損損失200,505千円、棚卸資産の減少額267,108千円、仕入債務の増加額290,798千円、支出の主な内訳は、売上債権の増加額348,856千円、法人税等の支払額613,638千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は758,205千円となりました。
支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出418,426千円、差入保証金の差入れによる支出258,806千円、関係会社株式の取得による支出46,521千円、関係会社への貸付による支出150,000千円、収入の主な内訳は、差入保証金の回収による収入171,215千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は1,502,412千円となりました。
支出の主な内訳は、短期借入金の増減額200,000千円、長期借入金の返済による支出1,628,484千円、リース債務の返済による支出183,597千円、配当金の支払額183,451千円、自己株式取得による支出1,000,977千円、収入の主な内訳は、長期借入れによる収入1,600,000千円、新株発行による収入93,200千円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社グループは、衣料品販売事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年2月1日 至 2025年1月31日) |
|
仕入高 |
前年同期比(%) |
|
衣料品販売事業(千円) |
9,477,647 |
91.4 |
合計(千円) |
9,477,647 |
91.4 |
c.販売実績
当社グループは、衣料品販売事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年2月1日 至 2025年1月31日) |
||
販売高 |
前年同期比(%) |
||
|
衣料品販売事業 |
||
実店舗販売(千円) |
16,429,317 |
109.8 |
|
インターネット販売(千円) |
3,301,848 |
69.9 |
|
その他(千円) |
476,505 |
158.7 |
|
合計(千円) |
20,207,670 |
101.1 |
(注)参考として販売経路ごとの内訳を記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度末に比較して433,341千円減少し、11,454,796千円となりました。これは主として、売掛金が353,884千円、差入保証金が69,868千円、長期貸付金が144,358千円増加した一方で、現金及び預金が494,072千円、商品が227,904千円、有形固定資産が309,583千円減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度における負債合計は、前連結会計年度末に比較して7,948千円減少し、6,346,531千円となりました。これは主として、買掛金が526,931千円、未払費用が118,647千円増加した一方で、短期借入金が200,000千円、短期リース債務が138,269千円、長期リース債務が130,766千円、未払法人税等が179,782千円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度における純資産合計は、前連結会計年度末に比較して425,392千円減少し、5,108,264千円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益776,867千円増加した一方で、自己株式の消却999,973千円、配当金の支払により183,865千円減少したことによるものです。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、20,207,670千円(前年同期比1.1%増)となりました。第3四半期までは、EC事業および中国事業における構造改革に伴う減収が続いておりましたが、第4四半期においては、冬物需要の本格化に伴いコートを中心とした重衣料アイテムが好調に推移し、実店舗の売上が大きく伸長したことで、全体として増収に転じる結果となりました。
日本事業においては、実店舗が前年同期比16.1%増と大幅に伸長し、引き続き旺盛なインバウンド需要に支えられて既存店も好調に推移しました。一方、ECは構造改革の影響を受け前年同期比32.3%減となっております。
実店舗の業態別では、STUDIOUS業態が11.1%増、UNITED TOKYO業態が18.1%増、PUBLIC TOKYO業態が15.7%増、THE TOKYO業態が26.4%増、CITY TOKYO業態が12.1%増と、全業態において前年を上回る実績を記録しました。特にCITY TOKYO業態においては、2024年9月に実施したリニューアルと、旧A+ TOKYOからのブランド変更が奏功し、第4四半期単体では前年同期比32.5%増と大きな成長を遂げております。
第2四半期までにおいては、2024年6月~2024年8月の猛暑によって秋物商品の販売が苦戦し、従来のシーズンMDが気候変動にフィットしづらくなっている課題が浮き彫りとなりました。しかしながら、第4四半期には気温が平年通りに低下したことで、冬物アイテムの販売が好調となり、実店舗売上を大きくけん引いた要因となっております。
EC事業においては、収益性の向上を目的として構造改革を進め、EC専用廉価商品の企画廃止や、クーポン・タイムセール等の過度な値引きプロモーションを見直すなど、「値引き体質」からの脱却に取り組みました。これに伴う一時的な減収は織り込み済みでありましたが、自社ECの魅力・利便性の向上に注力した結果、特に自社ブランド事業において、自社ECの売上は第2四半期の前年同期比▲51.1%から、第3四半期には同▲23.8%、第4四半期には同▲0.5%まで回復しており、改善傾向が明確に表れ始めております。
中国事業については、収益性改善を目的とした不採算店舗の撤退を進めた結果、当連結会計年度の店舗数は6店舗となり、期首から6店舗の減少となりました。これにより売上高は前年同期比▲37.4%となった一方で、既存店売上は同+14.3%と回復基調にあります。中国国内では依然として不動産市況の悪化や景気の先行き不透明感が強く、消費マインドの低下や節約志向の高まりといった行動変容が見られるものの、当社の選択と集中による出店戦略の見直しが着実に成果を上げつつあります。
今後の展望としては、実店舗における旺盛なインバウンド需要を着実に取り込みつつ、引き続きシーズンMDの見直しやリアルタイムな商品供給体制の強化を通じて、気候変動への対応力を高めてまいります。また、ブランドごとの個性と顧客層に合わせた販促・接客戦略を進化させることで、国内外の顧客基盤のさらなる拡充を目指します。
EC事業における構造改革は、短期的には減収影響を伴いつつも、粗利率の改善とブランド価値の向上という点において一定の成果をあげております。自社ECの回復傾向が示す通り、当社が掲げる「適正価格による価値訴求」「ファンベースの強化」による中長期的な収益構造への転換は着実に進行しております。
中国事業についても、選択と集中による店舗再編の効果が既存店売上の回復という形で表れており、収益性改善に向けた基盤は整いつつあります。引き続き経済情勢を注視しつつ、現地ニーズに応じたブランド戦略と、コスト効率に優れた運営体制の確立を進め、持続的成長につなげてまいります。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は10,435,634千円(前年同期比4.2%増)となり、売上総利益率は51.6%(同1.5ポイント増)と着実に改善いたしました。
この利益率改善は、自社オリジナル業態(UNITED TOKYO、PUBLIC TOKYO、CITY TOKYO)における価格戦略の見直しをはじめ、EC構造改革により値引き販売の常態化を脱却したこと、さらに発注精度の向上によりセール消化率が低下したことなど、複数の施策が効果を発揮した結果によるものです。また、在庫管理体制の強化を進めたことで、評価損対象となる滞留在庫が減少した点も、売上総利益率の向上に寄与しております。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
人件費は、国内従業員の処遇改善に取り組んだことや、実店舗の売上拡大・新規出店に伴う地代家賃や手数料等の増加により上昇しましたが、一方で、EC売上の減少による外部手数料の抑制や、中国における不採算店舗の退店により、減価償却費や業務委託費が減少した結果、全体として販売費及び一般管理費は8,962,690千円(前年同期比1.9%減)となりました。これにより、売上高販管費比率は44.4%(同1.3ポイント減)と効率性が改善されております。
以上を踏まえ、当連結会計年度における営業利益は1,472,944千円(前年同期比67.1%増)と大幅な増益を達成しております。構造改革やコスト管理の成果が確実に数値として表れた結果と捉えております。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は40,809千円となり、前年同期比で238,895千円減少いたしました。主な要因は為替差益の減少です。営業外費用については、支払利息の減少等により、同642千円減少し、37,908千円となりました。
これらの結果、当連結会計年度における経常利益は1,475,844千円(前年同期比31.5%増)となり、本業による利益成長に加え、営業外項目の安定化も寄与いたしました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は398千円(前年同期比50,788千円減)となりましたが、これは前連結会計年度において中国子会社の債務整理益を計上していた反動によるものです。一方、特別損失は231,902千円(同88,841千円減)となり、店舗撤退に伴う減損損失および契約解約損失の減少が影響しております。
これらの結果、税金等調整前当期純利益は1,244,340千円、親会社株主に帰属する当期純利益は776,867千円となりました。構造改革に伴うコスト最適化と、利益率改善による収益力の強化が結実したことにより、堅調な最終利益を確保することができました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、営業活動によるキャッシュ・フローの黒字を確保しつつ、成長投資および株主還元に向けた戦略的な資金運用を実施いたしました。今後もキャッシュ・フローの創出力を高めるとともに、資金効率を重視した事業運営を継続してまいります。
b.資本の財源および資金の流動性に係る情報
当連結会計年度において、主な運転資金需要は商品仕入に係る支払いや、販売費及び一般管理費等の営業活動に要する資金でありました。また、出店に伴う差入保証金や店舗設備への投資等を中心とした資本的支出も発生しております。
当社グループは、安定的かつ持続可能な事業成長を実現するために、必要な流動性と資金調達源の確保を経営の基本方針としております。短期的な運転資金については、自己資金による対応を基本とし、設備投資や中長期的な資金需要、将来の経済変動等のリスクへの備えとしての手許流動性確保については、金融機関からの長期借入等を中心としたデット性資金の活用を戦略的に行っております。
また、設備投資資金の調達に際しては、株主価値の維持・向上を重視し、既存株主の利益に配慮した希薄化抑制を基本方針としつつ、株価水準や市場動向に応じた柔軟かつ機動的な資金調達手段の選定を進めております。今後の事業拡大機会に備え、自己資本と外部資金のバランスを適切に保ちつつ、財務健全性と資本効率の両立を図ってまいります。
当連結会計年度末における有利子負債残高は3,946,904千円、現金及び現金同等物残高は3,669,294千円となっており、良好な資金流動性と財務柔軟性を維持しております。
なお、財務指標に関しても、以下の通り良好な水準を維持しており、引き続き資本の健全性と効率的な資金運用を両立しております。
・フリー・キャッシュ・フロー(FCF)は、営業活動によるキャッシュ・フロー1,744,359千円から投資活動によるキャッシュ・フロー758,205千円を差し引いた986,154千円のプラスとなっており、安定した資金創出力を確保しています。今後も内部留保の充実と戦略的投資のバランスを図ってまいります。
・自己資本比率は44.5%と、引き続き安定した財務基盤を維持しています。今後も内部留保の充実と資本効率の向上により、財務健全性と機動的な資本戦略の両立を目指します。
・Net Debt/EBITDA倍率(有利子負債から現金同等物を差し引いた純有利子負債 ÷ EBITDA)は、(3,946,904千円 - 3,669,294千円) ÷ EBITDA1,940,481千円 = 約0.14倍となっており、債務負担の軽微さと高い返済余力を示しています。財務レバレッジに過度に依存しない、健全かつ柔軟な財務体制を今後も継続してまいります。
なお、事業活動における実態的なキャッシュ創出力をより明確に把握するための補助指標として、EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)を算定しております。これは、営業利益に減価償却費を加えたもので、利払いや税効果、非現金費用の影響を除いた事業本来の収益力を示す指標として有用です。
当連結会計年度におけるEBITDAの算式は以下の通りであります。
営業利益1,472,944千円 + 減価償却費467,537千円 = 1,940,481千円
これらの指標は、将来的な事業拡大に備える財務戦略の基盤であり、引き続き、資本効率の最大化と株主価値の向上に向けて、財務戦略と成長戦略の統合的な運用を進めてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。その作成に際しては、期末時点における資産および負債の評価ならびに、当該会計期間に係る収益および費用の認識に関して、経営上の見積りおよび判断を行う必要があります。
これらの見積りや判断には一定の不確実性を伴うため、将来の事象や市況の変化によって、実際の結果が見積りと乖離する可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 5. 会計方針に関する事項」に記載しております。
その中でも、特に当社の業態において重要と考える会計上の見積りおよび仮定は、以下のとおりです。
(a)商品の評価に関する見積り
当社グループでは、商品在庫の評価にあたって、ブランド別・保有期間別に分類したうえで、将来の販売または処分による損失見込額を見積り、必要に応じて簿価の引下げを行っております。
具体的には、当連結会計年度における赤字販売実績(販売額のうち期首在庫に対して赤字となった割合)や、滞留在庫の消化実績に基づき、評価損を見積もっています。滞留の判定については、一定の保有期間内の商品を営業循環の一環とみなし、過去の販売動向に基づいて合理的に評価を行っています。
ただし、将来の市況や販売動向に大きな変化が生じた場合、見積りの仮定を見直す必要があり、その場合には、翌連結会計年度以降において、在庫の追加評価減が発生する可能性があります。
(b)固定資産の減損
当社グループでは、店舗資産については店舗単位で資産グルーピングを行い、継続的な赤字、または閉店等の判断がなされた場合に「減損の兆候がある」と認識し、減損テストを実施しております。
テストにおいては、該当資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの合計額と帳簿価額を比較し、帳簿価額が上回る場合は、回収可能価額まで減額し、その差額を減損損失として計上しております。
将来キャッシュ・フローは、各店舗の事業計画をもとに個別に算定しており、特に重要な仮定としては、売上予測および売上総利益率を挙げております。これらの仮定は、過去の実績や直近の市場動向等を踏まえて合理的に設定していますが、将来的に売上が当初の見込みを下回った場合等には、前提条件の見直しが必要となり、その結果として翌期以降に追加の減損損失を計上するリスクがあります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。