第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

(1) 会社経営の基本方針

 a) 経営理念

 当社並びに海外に展開しているグループ子会社は“自然と産業の調和を創造する”という経営理念のもと、人と自然にやさしい製品やサービスの提供を通じて、社会に貢献してまいります。

 「自然に感謝し、自然と産業とが矛盾しない存在にする」それを実現する製品・技術・サービスの提供が恵和の存在意義であります。

b) 経営ビジョン
  当社は、これまで事業を通じて実践し、そしてこれからも変わらず掲げていく“あるべき姿”をより明確に示すため、「自然と社会との共通価値を『高品質の提供』を通じて実現するCSVグループを目指す」といたしました。

 なお“CSV”とは、企業活動を通じて社会的価値と経済的価値を同時に満足する“共有価値”を創造するという“Creating Shared Value”の略称であり、当社の価値観と合致することから経営ビジョンに取り入れました。今後様々な機会を通じて社内外に発信してまいります。

c) バリュー(行動規範)

① 社会貢献・自然貢献

 経営の透明化を図り、健全な経営を実現し、自然と社会に貢献します。

② イノベーション

 新たな価値を創造し、提供し続けることが私達の信条です。

③ 顧客からの信頼

 現在と将来の顧客への信頼を得るために行動します。

④ 品質は競争力

 顧客に選ばれるために高品質を追求します。

⑤ 社員の幸福と自己啓発

 社員とその関係者の健康と幸福を願い、多様性と向上心を尊重します。

⑥ ステークホルダーの満足

 安定的な成長を実現し、適正な利益を確保します。

d) コアコンピタンス

 当社グループのコアコンピタンスは次のとおりであります。

① Ultra-precision Marketing

 当社及び各国子会社のマーケターやエンジニアがブランドメーカーから部材メーカーに至るまで顧客と直接対面することで精緻な情報収集を行っております。また、需要地の中国に品質保証センターを設置し、現地での迅速なアフターサービスを実現しております。

 ② コア技術SLC×UP

 3つのコア技術(S:シーティング技術、L:ラミネ―ティング技術、C:コーティング技術)と、高精度な先端技術及び高精度な顧客対応(UP:ウルトラプレシジョン)によって、顧客ニーズを具現化した高付加価値製品の提供が可能であります。

③ All Keiwa Innovation活動

 AKI活動は、安全・健全・イノベーションをキーワードにした全従業員が参加する活動です。顧客ミッションを貫くことにより、単なる改善活動ではなく継続的にイノベーションを生む成果を上げており、当社の企業文化と言えます。当社グループの事業の継続的な発展を実現するためには、グローバル市場で活躍ができる人材の育成が重要な課題である中、社員のモチベーションやCSV志向のさらなる向上にも繋がるものであります。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、事業本来の収益力を客観的に評価できることから、連結営業利益を重要な指標と位置づけており、また中期経営計画において、資本効率をより重視した経営を浸透すべく投下資本利益率(ROIC)を重要な経営指標としております。高付加価値製品の販売に集中し、省力化や歩留の改善をさらに進めることにより、営業利益と資本効率を向上させることを目指しております。

 

(3) 中長期的な成長戦略

① IoTやAIの活用、次世代通信規格の実用化等の技術革新が進むエレクトロニクス市場において、光拡散フィルムや複合拡散板を主力製品として、ブランド力と高品質を活かした高機能光学フィルム等の製品を販売いたします。

② 世界的な環境問題への関心の高まりを背景に、普及が進むとみられる環境適合車等の新エネルギー関連の市場に対し、コア技術を総合的に活用し顧客ニーズに的確かつ迅速に対応することにより、新規事業の創出を行ってまいります。

③ 我が国の労働人口の減少及び就労者の高齢化を背景に、インフラ用構造物の施工簡素化や高耐久化に役立つフィルムやシートの提供を行ってまいります。

④ 国内外の有力顧客に対する競争優位性を引き続き維持向上させるために、顧客ニーズに沿った設計から配送までの改善を進めてまいります。

⑤ グローバルな事業展開に沿った、必要な人材の確保・育成に努めてまいります。

 

(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

当連結会計年度におけるわが国経済は、人手不足や物価高を背景に人材確保の必要性が強く意識されたことや賃金上昇圧力が強まったことから、雇用や所得環境が改善したことに加え、インバウンド需要の本格的な回復などにより緩やかな回復基調が継続しました。一方、中国経済の低迷、欧米におけるインフレや世界的な金融引き締め政策の影響、中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まり、急激な円安の進行や物価上昇等により実質賃金が減少し個人消費が低迷するなど急速な景気下振れのリスクは大きく、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く環境におきましては、PC市場の回復が継続するとともに、車載向けが緩やかな増加傾向にあるものの、その足取りは不安定であり、引き続き予断を許さない状況でありました。このような状況におきまして、当社グループは、上位機種のノートPC・タブレット向け、車載向けを中心とする光学製品やクリーンエネルギー車向けの特殊フィルム製品などの高付加価値製品の販売促進活動に努めました。また、生産性の向上とコスト競争力の強化に取り組むとともに、将来の成長に向けた研究開発活動を推進いたしました。なお、地球の絆創膏事業においては、2024年11月に工業製品として販売するフェーズから研究開発フェーズへの移行を決定し、製品の信頼性と耐久性の向上に向けた取り組みを進めております。

当社グループは、売上高の多くを輸出により得ている関係上、グローバル経済の状況が当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与えます。特に為替相場の変動、大きなマーケットである中国の国内経済の動向、海外競合メーカーへの対応等多くの課題が存在します。

このような環境に対して、当社グループは、高品質・高性能製品の販売を強化することで、利益志向の経営を行ってまいります。また、強みを生かせる領域に資源を集中しつつ、生産コストの低減に努め、急激な為替変動リスクに対応して確実な利益確保に注力してまいります。

① CSV及び経営基盤の強化

当社グループでは、経営理念に基づき「資源を無駄にしない、エネルギーを有効活用する」といった社会の役に立つ製品の提供を続けてまいりました。これからも、この理念を追求し社会が抱える課題に対して積極的に向き合い、地球と未来社会に貢献してまいります。同時に、安全推進チームの事故ゼロ活動による安全の追求、厳格な品質管理体制による製品の安全性、地球環境の保護に取り組んでまいります。また、情報インフラの整備によるグループ連携の強化やセキュリティの高度化に取り組みます。これらの経営基盤の強化により事業の継続的な発展を推進します。

② グローバルニッチ市場に高付加価値製品を提供

ブランドメーカーから部材メーカーに至るまで顧客と直接対面して精緻な情報を得るウルトラプレシジョンマーケティングと、高性能・高品質な製品を高精度で提供するウルトラプレシジョン生産を戦略の骨子とし、顧客ニーズに適合した高付加価値製品を提供します。グローバルニッチ市場をターゲットに、強みを生かせる領域に集中しつつ確実な利益志向の経営を行ってまいります。

③ コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンスの強化

当社グループは、企業価値の最大化を図るためには、経営の健全性、透明性及び客観性を高めることが必要と考えており、重要な経営課題として、コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンスの強化に取り組んでおります。当社では、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会等の設置を行っており、海外グループ会社を含めて全社を挙げて強化を進めております。

 

④ 人材の確保と育成

東京証券取引所プライム市場上場による社会的信用力の増大と知名度の向上により、これまで以上に研究開発職・グローバル人材の確保に重点を置いた採用活動を行ってまいります。また仕事を通して成長を実感できるAKI活動や大学院等の外部機関と連携した社外研修の提供により従業員の成長意欲に応えられるような人材育成に取り組んでまいります。人材の高度化と同時にIT化・自動化を加速し省力化による生産性向上を目指します。

 

なお、事業セグメント別には以下のとおり対応してまいります。

 

(光学製品事業)

市場の拡大が見込まれる直下型ミニLED液晶ディスプレイ、高性能のノートPC・モニター、車載ディスプレイ、及びゴーグル型端末用途などへの選択的集中マーケティングを継続いたします。特に、高い技術力が要求される高付加価値ゾーンをターゲットとして、直下型ミニLED液晶ディスプレイ向けの複合拡散板「オパスキ®」や、有機EL(OLED)端末に使用される特殊な光学シートなど、高品質・高性能な製品を高精度で開発・製造し、従来型の液晶ディスプレイ向け拡散フィルムに限らず、様々な用途でシェアを向上させることで収益性向上を実現いたします。また、製造工程の自動化・省人化などを含めた生産体制の拡充を推進いたします。

 

(機能製品事業)

当社の有する精密加工技術により差別化が可能であり、今後伸長が見込まれるクリーンエネルギー自動車向けの特殊フィルム製品、及び医療・衛生分野向けの高品質・高機能な特殊フィルムの開発及び販売拡大を図り、高付加価値製品の構成比率を高めてまいります。加えて、従来からの安定事業である防錆紙、建材、工程紙、農業資材等については、海外における販売の開始等により引き続き収益性の向上に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、経営の基本的な考え方「経営理念」を前提として、中期経営計画によってグループの発展の方向を定めるとともに、サステナビリティの重点テーマを特定しています。重点テーマのうち、とりわけ重視しているのが環境(気候変動対応)と人材(人的資本)です。

当社グループは“自然と産業の調和を創造する”という経営理念のもと、気候変動対応を重視してまいりましたが、2020年8月に「サプライチェーンの 100%カーボンニュートラル達成」というApple Inc.の取り組みに賛同し、「APPLE Clean Energy Program」に参加いたしました。また、2021年9月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。これらを踏まえながら、中期経営計画で目標・施策を立案、実行し、事業を通じた社会課題の解決に取り組むことで社会の持続可能な発展に貢献します。

また人的資本については、当社の発展・成長を担う人材をタイムリーに確保・配置・育成していくことが当社の重点課題と捉え、中期経営計画の経営基盤強化テーマの一つに「人的資本の強化」を定め取り組んでおります。

気候変動の詳細につきましては当社ホームページにて開示しております「TCFD提言による情報開示」をご参照下さい。

当該開示資料は以下のURLからご覧いただくことができます。

https://www.keiwa.co.jp/tcfd/

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。これらの記載は実際の結果と異なる可能性があり、その達成を保証するものではありません。

 

(サステナビリティ共通)

ガバナンス

サステナビリティを経営の重要課題のひとつと捉え、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」及びその下部組織である「CSV委員会」が、活動の方向付けと進捗管理を担っており、「CSV委員会」を中心に議論を行い、方針や目標、施策などの検討を行っております。

「リスク管理委員会」は、気候変動、人権問題をはじめとする環境・社会リスクについて、当社グループの事業上の重要リスクの一つとして、四半期ごとに対応状況を監督しております。

 

戦略

当社グループは、“自然と産業の調和を創造する”という経営理念のもと、資源を無駄にしない、エネルギーを有効活用する、といった社会の役に立つ製品の提供を続けて参りました。今後も、この理念を追求し社会が抱える課題に対して積極的に向き合い、地球と未来社会に貢献して参ります。

経営の基本的な考え方「経営理念」を前提として、中期経営計画で当社グループの発展の方向を定め、それに基づく全社重点戦略と定量目標・実行計画を設定し行動しております。当社グループは、中期経営計画で目標・施策を立案、実行し、事業を通じた社会課題の解決に取り組むことで社会の持続可能な発展に貢献します。

 

リスク管理

当社グループが定めるリスク管理規程に基づき、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」を中心に議論を行い、方針や目標、施策などの検討を行っております。

 

指標及び目標

中期経営計画を踏まえて、サステナビリティに関する重要なテーマについて、指標と目標を定めて推進しております。指標と目標の詳細は、(気候変動)と(人的資本)をご参照ください。

 

(気候変動)

ガバナンス

・代表取締役社長を委員長とする「CSV委員会」で、気候変動に係る重要事項の審議を行い、定期的に(年に1回以上)取締役会に報告することで、当社グループの環境課題への対応方針及び実行計画などについての議論・監督が適切に図られる審議体制をとっております。

・また、その決定事項は各部門の担当執行役員で構成される業務執行会議へ指示・報告することで、環境課題への審議・決議内容の全社的な経営戦略への統合を図っております。

 

戦略

・気候変動に対する影響度及び対応策の考察・分析に当たっては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)が提示する4℃シナリオと2℃未満シナリオを考慮し、2030年時点での当社グループへの影響を評価しております。

・これらの分析結果に対する現在の取り組み状況として、リスクの回避及び緩和に向けては、「自然と産業の調和を創造する」を経営理念に、その一環として環境負荷の少ない材料の調達を推進しております。機会獲得に向けた取り組みでは、クリーンエネルギー車向けフィルムなどの省資源・省エネルギーに貢献する製品の拡大を進めております。

・当社グループは、将来4℃シナリオ及び2℃未満シナリオのいずれのシナリオに至る場合にも適応できるよう、リスクに対しては適切な回避策を策定し、マーケット変化へも柔軟に対応し成長機会とできるよう戦略へ反映するとともに、今後も各将来予測シナリオを踏まえた考察を深化してまいります。

 

リスク管理

・当社グループの事業が気候変動によって受ける影響の把握に当たってはシナリオ分析を活用し、CSV委員会において気候変動によるリスク・機会を特定・評価しております。

・特定したリスク・機会は発生頻度や影響額など定性・定量の両側面から評価し、重要度の大きなリスクに対しては、リスク管理委員会と連携し対策を立案した後、取締役会に報告し、協議された上で対応を実施いたします。

 

指標及び目標

・当社グループは、気候変動課題において、温室効果ガス排出量を指標とした目標の設定及び進捗の管理に取り組んでおります。

・当社グループでは、SDGsの目標年とされる2030年に、2013年比46%以上のCO₂排出量(SCOPE1+SCOPE2)の削減を目標とし、その目標達成に向けた脱炭素経営を推進してまいりましたが、2022年に前倒しで達成いたしました。

・また、当社グループでは、2023年に「再エネ100宣言 RE Action」に参加いたしました。当社グループ内で使用する電力を2040年度までに全て再生可能エネルギーに転換することを目指しており、達成に向けて順次切り替えを進めております。

 

(人的資本)

戦略

(1)人材育成の方針

・社員の成長を促すことが会社の業績向上に繋がると考え、階層別、自己研鑽研修の一環として外部企業の映像講座を採用し、2024年7月~9月の3ヶ月間を「恵和ビジネスカレッジ」として、イーラーニング研修を実施しています。受講者は学んだことを実践した上で、レポートで目標を掲げ、業務に活かします。画一的な研修よりも、個人の成長にあった研修を提供していくことを目指しております。

・個人が自己のキャリアについて考え、自分自身でキャリアを設計することを目的としたキャリア研修(あすなろ研修)を2024年12月に実施しました。仕事をする上での自身の価値観や考え方、自分にとって何が大切なのかを見つめ直し、成長のきっかけ(気づき)となることを目的とした研修としております。

・新規卒業者や中途入社の新たに入社される方々へは、基本的な入社時研修に加え、上場企業としての心構えとして、組織に属するものとして不適切な行動を起こさないための知識を深めるインサイダー研修等も実施しております。

(2)社内環境整備

・すべての従業員が心身ともに安心して働ける健全な職場環境をつくることで従業員満足度を高め、企業の成長を継続するため、PDCAサイクルに基づいて、様々な安全衛生活動に取り組んでいます。ヒヤリハットの提出や安全パトロールの実施から始まり、リスクの抽出や改善の実施及び確認まで継続的な活動を続けています。

・当社グループは、2020年5月に、「世界人権宣言」、「労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」、「国連グローバル・コンパクト」等の人権に関する国際行動規範を踏まえ、人権の尊重において企業としての社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現に貢献するために「労働と人権に関する方針」と「人事方針」を策定しました。

・当社の主力製品である光学製品事業は、主に海外で事業展開し、2024年度の海外売上高比率は約79%となっております。また、グループ従業員468人のうち、海外従業員比率は約25%となっております。

・グローバルで事業が急拡大し、当社グループを構成するメンバーや価値観が多様性を増す中、国籍・年齢・性別等にかかわらず、一人ひとりの個性や強みを組織の力とするダイバーシティマネジメントは、当社の強みであると考えております。

・外部環境が大きく変化する中、当社グループの持続的な成長・企業価値の向上を実現し続けるためには、「人材」が今後ますます重要になります。これまで当社グループが実践してきたダイバーシティマネジメントにさらに磨きをかけていくとともに多様なキャリア、働き方、価値観などに注目し、組織の力にしていくことが重要です。そのため当社では、中期経営計画において「人的資本の強化」を経営基盤強化テーマの一つと定めるとともに、多様性に富む組織を束ね、イノベーションを起こす組織づくりを加速する経営幹部・管理職の育成に取り組んでおります。

・2021年8月に、社員一人ひとりが心身ともに健康であることが、生産性の向上、イノベーション、社会貢献に繋がると考え、こころとからだの健康づくり、いきいきと楽しく働くことができる職場環境づくりに取り組むため「健康宣言」を策定しました。なお、当社は、2024年3月11日付で経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されております。

・当社は、社員一人ひとりの成長を支援する「働きがいのある会社」、多様な人材の多様な働き方を支援する「働きやすい会社」を目指し、社員一人ひとりが能力を発揮できる制度・環境の整備を行っております。とりわけ子育て支援に取り組んでおり、2023年8月21日付で子育てサポート企業として「くるみん」に厚生労働大臣より認定されております。

 

指標及び目標

(1)経営幹部・ビジネスリーダーの育成

・当社グループが事業の継続的な発展を実現するためには、グローバル市場で活躍できる人材の育成が重要な課題であると認識しております。変化の激しい市場環境に対応するためには、永年培ってきた当社の良さ、強みにさらに磨きをかけ、新たな価値創造につなげる力を身につけ、第一線で活躍できる幹部人材を継続的に育成することが重要となります。

・今後の成長・発展を担う経営幹部・ビジネスリーダーの育成をグループ全体で実施しており、本部長・部長クラス、課長・リーダークラスに対し、階層別研修を実施しております。

・当社グループは、研修計画において、以下の目標を掲げております。

ⅰ.目標:本部長・部長クラス研修参加人数年間3名

実績:1名(2024年度実施人数)

ⅱ.目標:課長・リーダークラス研修参加人数年間20名

実績:13名(2024年度実施人数)

(2)イノベーションを創出する人材を育成

・当社グループは、女性、外国人、様々な職歴をもつキャリア採用者など、多様な人材の採用及び管理職層への登用を積極的かつ継続的に行っております。価値創造の源泉は人であると考え、人の価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげます。

・個性を認め合い、多様な人材が能力を最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションの創出につなげます。

・当社グループは、一般事業主行動計画において、以下の目標を掲げております。

①管理職クラスの男女比率を在籍比率と同等にする。

実績:女性在籍比率:21%、女性管理職比率:11%(2024年度末)

②育児休業取得率の向上(女性:100%を維持、男性:65%以上を維持)

実績:女性:100%、男性:100%(2024年度)

③労働時間について次の指標を達成する。

ⅰ.フルタイムの労働者の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること。

実績:19時間(2024年度)

ⅱ.月平均の法定時間外労働60 時間以上の労働者がいないこと。

実績:1名(2024年度)

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業活動に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。また、以下の記載は当社グループの事業もしくは本株式への投資に関連するリスクを完全に網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。

 

(1) 販売価格の変動

当社グループの主要取引先であります液晶ディスプレイ業界は熾烈な価格競争をグローバルに展開しており、当社グループも市場価格への対応を図ってまいりますが、さらなる販売価格の低下が継続する場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社では高付加価値セグメントに集中することにより差別化を図っておりますが、競合による低価格政策により価格競争にさらされる場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料等価格の変動

当社グループの光学製品事業において使用される主要原材料は樹脂・フィルムといった各種のプラスチック製品であり、これらの原材料の価格は原油・ナフサなどの国際商品市況の影響を受けるものであります。当社グループでは、国内外に複数の原材料の調達先を確保し、市況動向に応じて国内と海外の発注比率を調整する等価格変動のリスクヘッジを行っておりますが、今後価格上昇による影響を販売価格への転嫁で吸収できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替相場の変動

当社グループは、海外からの外貨建てによる資材の調達、海外への外貨建ての販売を行っており、為替相場の変動によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 有利子負債比率と金利変動

当社グループでは、設備投資等の必要資金を金融機関からの借入により調達しており、2023年12月期末における有利子負債比率(連結)は19.1%、2024年12月期末における有利子負債比率(連結)は13.5となっております。当該借入金の金利については、その多くを固定金利での調達としておりますが、今後の金利動向等、金融情勢の急激な変化により、金利水準が大幅に上昇した場合には支払利息の増加等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 特定の製品分野・技術等への依存と製品市場の変動について

当社グループでは、光学製品事業において、液晶ディスプレイ等に組み込まれる光学フィルム、高機能光学フィルム等の製造・販売を行っております。当社グループは、今後も継続して市場のニーズに応えるべく新製品の開発を進めてまいりますが、将来的に技術革新に伴い液晶ディスプレイに光拡散フィルムが不要になった場合もしくは競合製品・代替製品がより低価格で導入され価格競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 最終消費財の景況

当社グループの光学シートの製品群は中間生産材・部材であり、当社製品を使用して製造されるディスプレイ等最終消費財の景況によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 海外事業展開

当社グループでは、製品の輸出入及び海外での製品販売などの海外事業を展開しております。特に光学製品事業においては海外売上が大半を占めており、その大部分は中国に集中しております。従って、中国への販売活動において、予測し得ない税制や法規制などの急激な変更、政治・経済情勢の混乱、テロ・紛争などの勃発、自然災害などによるリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 知的財産について

当社グループは、他社製品と差別化するべく、製品又は技術に関しては、特許等の知的財産権により積極的に権利の保護を図っております。しかしながら、特定の地域においては、このような法的保護が不完全であることにより、当社グループ製品・技術が模倣又は解析調査等されることを防止できない可能性があります。また、第三者の知的財産権についても侵害することのないよう適時適切に調査を行っておりますが、第三者との間で、無効、模倣、侵害等の知的財産権の問題が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 研究開発・設備投資の回収について

 当社グループでは日頃からより高い水準の新技術や新製品の開発を目指し、生産性の向上及び差別化に資する研究開発や設備投資を行っております。今後も市場の要求に対応するための研究開発や設備投資を継続して行っていく予定であります。しかしながら、急激な市場の変化や技術革新等により、計画どおりの受注、操業度、品質等を確保できない場合には、歩留まりの低下による原材料コストの上昇や、設備投資に伴う減価償却費・資金調達費用の増加や投下資本回収の長期化を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 環境規制等の影響

当社グループは、和歌山テクノセンター、滋賀アドバンストテクノセンターの2事業所の製造工程において有機溶剤を使用しております。この有機溶剤は取り扱いに当たり、労働安全衛生法、毒物及び劇物取締法、消防法、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)、大気汚染防止法等の法規制を受けております。当社グループは、これらの法規制を遵守するとともに、事業所においては、環境方針、環境目標を設定する等により環境汚染の防止、安全衛生の推進に努めております。しかしながら、環境関連法規制は年々厳しさを増しており、これらの環境規制・法的規制が強化、改正、新設された場合には、現有設備が利用できず追加の設備投資が必要となるなど事業活動の制約を受けるおそれがあり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 製品の欠陥

当社グループは、顧客に選ばれるために高品質を追求し安全で信頼される製品の提供を実現するため、生産工程における工程内検査の検査基準と手順を常に見直しを図る等、品質の向上に努めていることに加え、ISO9001を取得する等、厳格な品質管理体制の構築を図っております。

しかしながら、当社グループの製品に欠陥があった場合には、回収や代替品の提供等に相当程度の費用が生じ、また、顧客の完成品に生じた欠陥について補償を求められる可能性があります。製造物責任賠償については、万一に備え保険に加入しておりますが、当該保険の免責事項等によりてん補されない不測の事態が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 重要な訴訟等について

当社グループは、「自然と産業の調和を創造する」という経営理念のもと、顧客満足に重点を置いて製品の製造販売を行っておりますが、製品の欠陥等の不具合が発生した場合、損害賠償による利益の喪失、当社グループのブランドに対する信頼の喪失、補償費用の発生が予測されます。その結果、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(13) 災害等による影響について

当社グループの生産拠点は、国内4工場(和歌山県日高郡に2工場、和歌山県御坊市、滋賀県東近江市)と中国南京に1工場を設けており、その中でも光学シートのコーティング、シーティングは和歌山テクノセンターで行っております。和歌山テクノセンターは県内の高台に分散して建設しており、同敷地内で事故が拡大するリスクの低減を図っておりますが、今後、大規模自然災害等が発生し、和歌山テクノセンターをはじめとする各工場建屋や生産設備の被災、サプライチェーンの復旧遅れ、電力供給不足等により、生産能力及び物流機能等に大きな影響が生じた場合、当社グループの財政状態及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 与信リスク

当社グループでは、取引先の経営状況及び信用度の把握に万全を期すため、調査機関や業界情報を活用して与信管理を徹底しておりますが、取引先に予期せぬ突発的な経営破綻等の事象が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 機密情報漏洩リスク

当社グループは、新製品の開発等に当たって機密性の高い顧客情報に直接関与する業務もあるため、その提供主体に対する信頼の維持が重要となります。当社グループでは機密情報管理に当たり、関連規程を整備するとともに全従業員に啓発・教育を行い情報管理の周知徹底に努めております。しかしながら、第三者による不正アクセス等により、万が一、機密情報漏洩が発生した場合、当社グループの社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担や企業イメージ低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 人材の確保及び育成について

当社グループが事業の継続的な発展を実現するためには、グローバル市場で活躍ができる人材、優秀な技術者の確保が重要な課題であると認識しております。当社グループでは、将来に向けた積極的な採用活動、人事評価制度の整備や生産性を高める研修の実施等の人事施策を通じ、新入社員及び中途入社社員の育成、定着に取り組んでおります。

当社グループは今後もこれらの施策を継続していく予定ではありますが、必要な人材が十分に確保・育成できなかった場合、又は採用後の人材流出が進んだ場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(17) 業績の季節的変動等

当社グループは光学製品を展開しており、事業の特性上、最終製品で使用されるノートPC、タブレット端末、車載向け等の動向の影響を受けやすくなっています。よって、当社グループの業績は、短期的には上記の最終製品の新モデル投入時期及びその販売数量、並びにそれらの関連製品に係る主要顧客からの受注の影響を受けやすくなっています。その他、年末休暇や中国の春節等の数量調整により、第1四半期の業績が一時的に落ちる傾向があります。これらの最終製品で使用される各業界の動向及び最終製品の動向は予測可能であるため予算上見込んでおりますが、予測を超える変動があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 減損会計

当社グループは、事業用の設備、不動産など様々な有形・無形の固定資産を所有しており、成長投資を積極的にに行っています。こうした資産は、時価の下落や、期待どおりのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより、減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 新規事業について

当社グループは、培ったノウハウを生かし、さらなる成長を目指して新規事業の積極展開を進めていく所存です。新規事業開発は慎重な検討を重ねた上で取り組んでまいりますが、当該事業を取り巻く環境の変化等により、当初の計画どおりの成果が得られない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、人手不足や物価高を背景に人材確保の必要性が強く意識されたことや賃金上昇圧力が強まったことから、雇用や所得環境が改善したことに加え、インバウンド需要の本格的な回復などにより緩やかな回復基調が継続しました。一方、中国経済の低迷、欧米におけるインフレや世界的な金融引き締め政策の影響、中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まり、急激な円安の進行や物価上昇等により実質賃金が減少し個人消費が低迷するなど急速な景気下振れのリスクは大きく、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く環境におきましては、PC市場の回復が継続するとともに、車載向けが緩やかな増加傾向にあるものの、その足取りは不安定であり、引き続き予断を許さない状況でありました。このような状況におきまして、当社グループは、上位機種のノートPC・タブレット向け、車載向けを中心とする光学製品やクリーンエネルギー車向けの特殊フィルム製品などの高付加価値製品の販売促進活動に努めました。また、生産性の向上とコスト競争力の強化に取り組むとともに、将来の成長に向けた研究開発活動を推進いたしました。なお、地球の絆創膏事業においては、2024年11月に工業製品として販売するフェーズから研究開発フェーズへの移行を決定し、製品の信頼性と耐久性の向上に向けた取り組みを進めております。

この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は21,130百万円(前期比20.3%増)、営業利益は4,739百万円(前期比93.0%増)、経常利益5,210百万円(前期比89.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,790百万円(前期比40.7%増)となりました。

なお、当連結会計年度より、セグメント名称を、従来の「光学シート事業」を「光学製品事業」、「生活・環境イノベーション事業」を「機能製品事業」に変更しております。当該変更は名称変更のみであり、その内容に与える影響はありません。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

[光学製品事業]

「ノートPC・タブレット」向けは、ノートPC向けにおいて高性能な直下型ミニLED液晶ディスプレイ向け複合拡
散板「オパスキ®」の複数の案件で量産出荷を進めるとともに、従来型の液晶ディスプレイ向けの光拡散フィルム
「オパルス®」については、ノートPC・タブレット向けにおいて、市場の回復による需要増に加えて既存取引先に
おけるシェアアップや複数の案件で量産出荷を進めたことにより売上が増加しました。
「スマートフォン」向けは、光拡散フィルム「オパルス®」の売上が引き続き減少いたしましたが、「モニタ
ー・他、高機能フィルム」は、車載向け「オパスキ®」や特殊な機能を有する新製品の売上が増加しました。

この結果、売上高17,146百万円前期比27.6%増)、セグメント利益8,340百万円前期比49.2%増)となりました。

 

 

[機能製品事業]

「クリーンエネルギー資材」は、クリーンエネルギー車向けの当社特殊フィルム製品を採用した車種が増加したものの、搭載される車両の減産の影響と太陽電池資材等の一部製品の減少により、売上が減少しました。一方、医療衛生向けフィルムは需要が増加したことにより、収益性と成長性が高い分野の売上の増加傾向が継続いたしました。また、医療衛生向けフィルムにつきましては、さらなる受注に対応するために製造設備を追加する準備を進めております。

この結果、売上高3,829百万円前期比4.2%減)、セグメント利益193百万円(前期比42.8%減)となりました。

 

[地球の絆創膏事業]

当第4四半期連結会計期間において、工業製品として販売するフェーズから研究開発フェーズに引き戻したことにより、当第4四半期連結会計期間の売上高は1百万円にとどまりました。

この結果、売上高153百万円(前期比14.9%増)、セグメント損失365百万円(前連結会計年度は440百万円のセグメント損失)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産の部)

資産合計は、建設仮勘定が2,033百万円減少したものの、現金及び預金が2,787百万円、建物及び構築物(純額)が1,414百万円、機械装置及び運搬具(純額)が457百万円、それぞれ増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ2,742百万円増加し、32,009百万円となりました。

 

(負債の部)

負債合計は、長期借入金が1,187百万円減少したものの、1年内返済予定の長期借入金が393百万円、未払金が375百万円未払法人税等が392百万円、それぞれ増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ142百万円増加し、9,052百万円となりました。

 

(純資産の部)

純資産合計は、剰余金の配当により481百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により2,790百万円増加したことなどから前連結会計年度末に比べ2,599百万円増加し、22,957百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より2,256百万円増加し、9,640百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、5,916百万円の収入(前期は2,447百万円の収入)となりました。主な要因としては、法人税等の支払額963百万円などの支出があった一方で、税金等調整前当期純利益3,927百万円、減価償却費1,731百万円などによる収入があったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,719百万円の支出(前期は3,907百万円の支出)となりました。主な要因としては、有形固定資産の取得による支出2,181百万円があったことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,352百万円の支出(前期は1,546百万円の支出)となりました。主な要因としては、長期借入金の返済による支出1,194百万円、配当金の支払額481百万円があったことによります。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

光学製品事業

10,007,229

115.3

機能製品事業

2,326,280

94.3

地球の絆創膏事業

222,904

132.4

合計

12,556,413

111.0

 

(注) 金額は、標準原価によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

光学製品事業

22,833,991

140.7

2,401,895

53.4

機能製品事業

3,395,553

84.8

103,198

111.2

地球の絆創膏事業

152,860

98.1

合計

26,382,404

129.4

2,505,093

54.4

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

光学製品事業

17,146,675

127.6

機能製品事業

3,829,947

95.8

地球の絆創膏事業

153,817

114.9

合計

21,130,440

120.3

 

(注) 主な相手別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

 

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

 

瑞儀光電股份有限公司

6,324,054

35.99

11,268,214

53.33

 

 

 

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

なお、見積りの評価については、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の報告数値と異なる可能性があります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、連結営業利益・ROICを経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としており、顧客に貢献する高付加価値製品の製造・販売に集中し、省力化や歩留の改善をさらに進めることにより、営業利益と資本効率を向上させることを目指しております。

なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

a 売上高

当連結会計年度における売上高は、21,130百万円(前期比20.3%増)となりました。光学製品事業では、PC市場の在庫調整が終了し回復基調が継続したことにより、「オパルス®」及び「オパスキ®」の需要が増加し、売上高は17,146百万円(前期比27.6%増)となりました。機能製品事業では、医療用工程フィルムの売上が大幅に増加したものの、クリーンエネルギー車向け特殊フィルムの採用車種の減産等により、売上高は3,829百万円(前期比4.2%減)となりました。地球の絆創膏事業では、第4四半期において研究開発フェーズに戻したことにより、売上高は153百万円(前期比14.9%増)となりました。

b 売上総利益

当連結会計年度における売上原価は11,245百万円(前期比8.8%増)となり、売上総利益は、9,884百万円(前期比36.6%増)となりました。売上原価率は、高付加価値製品の売上増加や円安効果等により、前連結会計年度の58.8%に対し、53.2%と5.6ptの低下となり、売上総利益率は46.8%(前連結会計年度は41.2%)と上昇しております。

c 販売費及び一般管理費、営業利益

販売費及び一般管理費は、5,144百万円(前期比7.6%増)となり、売上高に対する比率は、前連結会計年度の27.2%に対し、24.3%と2.9ptの低下となりました。この結果、営業利益は4,739百万円(前年度は2,455百万円の利益)となりました。

d 経常利益

当連結会計年度における営業外損益は、主として為替差益の計上により、470百万円の利益(前連結会計年度は301百万円の利益)となりました。この結果、経常利益は5,210百万円(前年度は2,757百万円の利益)となりました。

e 特別損益

当連結会計年度における特別損益は、1,283百万円の損失(前連結会計年度3百万円の利益)となりました。これは主に、事業再構築費用を1,179百万円、減損損失を106百万円計上したことによるものです。

f 税金等調整前当期純利益

当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は3,927百万円(前連結会計年度は2,760百万円の利益)となりました。

g 法人税等

当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額は1,136百万円(前連結会計年度は777百万円)となりました。

 

h 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は2,790百万円(前連結会計年度は1,983百万円の利益)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」記載のとおりです。

主として、原材料の購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用として必要となる運転資金の調達に当たっては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。また、当社は、貸出コミットメントライン契約及び当座貸越契約を取引銀行と締結し、フレキシブルな資金調達手段を確保することで、流動性リスクを適切にコントロールしております。

設備資金の調達に当たっては、自己資金及び金融機関からの長期借入に加え、公募増資等の直接金融手段を検討してまいります。健全な財務バランスを維持しつつ、生産設備や研究開発投資を通じた企業価値向上を実現するため、引き続き、資金調達の多様化を図ってまいります。

 

④ 経営者の問題認識と今後の方針

当社グループが今後も高品質な製品やサービスを継続的に提供していくためには、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営課題に対処することが必要であると認識しております。具体的には、当社グループが掲げる“自然と産業の調和を創造する”という経営理念を念頭に、以下の5項目に注力してまいります。

a 新規事業の創出

b コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンスの強化

c 人材の確保及び育成

d 生産性を高める人事戦略

e 経営基盤の強化

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、顧客のニーズを最優先に考え、独自の技術とアイデアを活かし、製品の開発・改良に積極的に取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費は、1,814百万円となりました。セグメント別の研究開発の内容は以下のとおりです。

 

(1) 光学製品事業

液晶ディスプレイ用光学フィルムにおいて、高性能化と環境負荷低減の両立を目指した研究開発を推進しております。

ノートPC、タブレット向けでは、さらなる輝度向上と省電力化を実現する高機能光学フィルムを開発し、薄型化・軽量化ニーズに対応した設計に取り組んでおります。

車載ディスプレイ向けには、画面の大型化・薄型化・高精細化に対応した製品を開発し、自動車メーカーの厳格な品質要求に応える製品の量産化を実現しております。

また、液晶ディスプレイのみならず有機EL(OLED)にも対応する光制御フィルムの開発に取り組み、将来の市場拡大に向けた技術基盤の構築にも注力しております。

 

(2) 機能製品事業

環境・エネルギー分野及び医療・衛生分野における高機能材料の開発に注力しております。

次世代自動車向けでは、水素燃料電池及びハイブリッドカー向けバッテリー用の高性能特殊フィルムを開発し、高容量化と安定性向上を両立した製品の開発を進めております。

また、医療・衛生分野においては、医療機器の製造工程で使用される高機能性フィルム材料を開発し、医療機器メーカーの製造効率向上と品質確保に貢献しております。

 

(3) 地球の絆創膏事業

地球の絆創膏事業では、様々なコンクリート構造物に絆創膏のように貼付けることで長期間保護を可能にする保護シート「KYŌZIN」の研究開発を推進しております。なお、屋根向け製品「KYŌZIN Re-Roof」については市場投入後の実績を検証した結果、製品性能のさらなる向上が必要と判断いたしました。2024年11月より販売フェーズから研究開発フェーズへ移行することを決定し、現在は設計変更や製造標準の改善等に取り組んでおります。