第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
回次
|
第74期
|
第75期
|
第76期
|
第77期
|
第78期
|
決算年月
|
2020年12月
|
2021年12月
|
2022年12月
|
2023年12月
|
2024年12月
|
売上高
|
(千円)
|
14,735,937
|
18,130,734
|
21,102,765
|
17,570,052
|
21,130,440
|
経常利益
|
(千円)
|
996,406
|
3,467,649
|
6,202,415
|
2,757,006
|
5,210,683
|
親会社株主に帰属する 当期純利益
|
(千円)
|
740,819
|
2,569,629
|
4,860,906
|
1,983,094
|
2,790,706
|
包括利益
|
(千円)
|
726,590
|
2,724,515
|
4,986,962
|
2,153,079
|
3,064,883
|
純資産額
|
(千円)
|
7,213,776
|
14,146,463
|
18,907,551
|
20,357,532
|
22,957,502
|
総資産額
|
(千円)
|
17,655,074
|
28,771,385
|
29,332,857
|
29,267,412
|
32,009,727
|
1株当たり純資産額
|
(円)
|
409.86
|
735.60
|
981.86
|
1,056.44
|
1,190.51
|
1株当たり当期純利益
|
(円)
|
46.70
|
144.79
|
252.46
|
102.92
|
144.74
|
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益
|
(円)
|
45.69
|
144.63
|
-
|
-
|
-
|
自己資本比率
|
(%)
|
40.9
|
49.2
|
64.5
|
69.6
|
71.7
|
自己資本利益率
|
(%)
|
12.1
|
24.1
|
29.4
|
10.1
|
12.9
|
株価収益率
|
(倍)
|
22.8
|
20.8
|
6.1
|
12.3
|
6.9
|
営業活動による キャッシュ・フロー
|
(千円)
|
1,224,969
|
2,176,259
|
6,760,381
|
2,447,433
|
5,916,141
|
投資活動による キャッシュ・フロー
|
(千円)
|
△1,679,202
|
△2,274,465
|
△4,004,954
|
△3,907,872
|
△2,719,730
|
財務活動による キャッシュ・フロー
|
(千円)
|
1,593,047
|
4,951,048
|
△1,680,114
|
△1,546,242
|
△1,352,498
|
現金及び現金同等物 の期末残高
|
(千円)
|
3,832,806
|
8,902,570
|
9,994,559
|
7,384,340
|
9,640,473
|
従業員数 〔ほか、平均臨時 雇用人員〕
|
(名)
|
415 〔67〕
|
430 〔51〕
|
436 〔45〕
|
429 〔40〕
|
419 〔42〕
|
(注) 1.当社は、2023年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第74期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、「1株当たり純資産額」、「1株当たり当期純利益」及び「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」を算定しております。
2.第76期、第77期、第78期における潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第76期の期首から適用しており、第76期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(2) 提出会社の経営指標等
回次
|
第74期
|
第75期
|
第76期
|
第77期
|
第78期
|
決算年月
|
2020年12月
|
2021年12月
|
2022年12月
|
2023年12月
|
2024年12月
|
売上高
|
(千円)
|
14,120,343
|
16,859,532
|
18,674,008
|
15,685,639
|
19,293,473
|
経常利益
|
(千円)
|
733,453
|
2,990,105
|
4,898,735
|
1,997,301
|
5,190,673
|
当期純利益
|
(千円)
|
563,461
|
2,285,915
|
3,995,663
|
1,496,738
|
3,051,088
|
資本金
|
(千円)
|
1,700,880
|
3,864,402
|
3,871,768
|
3,881,305
|
3,889,768
|
発行済株式総数
|
(株)
|
8,800,500
|
9,615,835
|
9,628,714
|
19,270,448
|
19,285,152
|
純資産額
|
(千円)
|
6,807,093
|
13,283,817
|
17,089,832
|
17,878,713
|
20,424,601
|
総資産額
|
(千円)
|
17,119,210
|
27,410,970
|
26,935,827
|
26,488,639
|
28,877,078
|
1株当たり純資産額
|
(円)
|
386.75
|
690.74
|
887.47
|
927.81
|
1,059.16
|
1株当たり配当額 (1株当たり中間配当額)
|
(円)
|
13.50 (-)
|
25.00 (-)
|
75.00 (-)
|
25.00 (-)
|
35.00 (-)
|
1株当たり当期純利益
|
(円)
|
35.52
|
128.81
|
207.52
|
77.68
|
158.25
|
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益
|
(円)
|
34.75
|
128.66
|
-
|
-
|
-
|
自己資本比率
|
(%)
|
39.8
|
48.5
|
63.4
|
67.5
|
70.7
|
自己資本利益率
|
(%)
|
9.7
|
22.8
|
26.3
|
8.6
|
15.9
|
株価収益率
|
(倍)
|
30.0
|
23.4
|
7.5
|
16.4
|
6.3
|
配当性向
|
(%)
|
19.0
|
9.7
|
18.0
|
32.2
|
22.1
|
従業員数 〔ほか、平均臨時 雇用人員〕
|
(名)
|
298 〔66〕
|
304 〔50〕
|
310 〔44〕
|
310 〔39〕
|
308 〔41〕
|
株主総利回り
|
(%)
|
105.7
|
298.6
|
158.7
|
134.1
|
109.8
|
(比較指標:配当込みTOPIX)
|
(%)
|
(107.4)
|
(121.1)
|
(118.1)
|
(151.5)
|
(182.5)
|
最高株価
|
(円)
|
2,967
|
6,740
|
6,300 (3,150)
|
1,696
|
1,810
|
最低株価
|
(円)
|
890
|
1,826
|
2,965 (1,482)
|
976
|
975
|
(注) 1.当社は、2023年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第74期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、「1株当たり純資産額」、「1株当たり当期純利益」及び「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」を算定しております。
2.第76期、第77期、第78期における潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3.第74期以降の株主総利回り及び比較指標は、2019年12月末を基準として算定しております。
4.第74期の1株当たり配当額13.5円には、東証一部上場記念配当3.5円を含んでおります。また、第75期の1株当たり配当額25円には、特別配当15円、第76期の1株当たり配当額75円には、特別配当25円及び淡路ベース操業記念配当25円、第78期の1株当たり配当額35円には、創立記念配当10円を含んでおります。
5.最高株価及び最低株価は、2020年12月16日までは東京証券取引所(市場第二部)、2020年12月17日以降2022年4月3日までは東京証券取引所(市場第一部)、2022年4月4日以降は東京証券取引所(プライム市場)におけるものであります。
6.当社は、2023年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っており、第76期の最高株価及び最低株価の( )内は、株式分割による権利落後の最高・最低株価を示しております。
7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第76期の期首から適用しており、第76期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2 【沿革】
年月
|
概要
|
1948年9月
|
神戸市生田区に米国製ターポリン紙等統制外物資の販売を目的として恵和商工株式会社(資本金30万円)を設立
|
1949年4月
|
大阪市北区に第1工場建設 しわ付防水加工機を設置し、しわ付防水紙の生産開始
|
1951年9月
|
大阪市北区に第2工場を建設 ターポリン製造機を設置し、国内初ターポリン紙の生産開始
|
1955年2月
|
大阪市東淀川区に第3工場を建設 ターポリン紙とポリプルーフ紙の本格製造を開始
|
1956年10月
|
大阪市北区に本社を移転
|
1959年10月
|
「ポリプルーフ紙」の特許取得(当社初の特許取得)
|
1963年7月
|
第3工場にラミネーターを設置し、ポリエチレンラミネート紙の生産開始
|
1966年4月
|
東京都港区に東京営業所を開設
|
1967年3月
|
滋賀県東近江市に滋賀工場建設(現・滋賀アドバンストテクノセンター(SATC)) シリコンコーターを設置し、コーティング製品(剥離紙及び粘着加工紙)の生産開始
|
1968年3月
|
北九州市小倉区に小倉工場建設(SATC K-Site) 広幅のラミネーターを設置し、押出ラミネーティング製品の生産開始
|
1970年3月
|
千葉県八千代市に千葉工場建設(SATC T-Site) ラミネーターを設置し、押出ラミネーティング製品の生産開始
|
1973年12月
|
大阪市東淀川区に本社を移転
|
1980年2月
|
資本金1億5,000万円に増資
|
1985年9月
|
東京都江戸川区にアタックマーケティングセンターを開設 東京営業所を東京支店に名称変更
|
1992年4月
|
光拡散シート「オパルス」の製造及び日本液晶メーカー各社へ販売開始
|
1993年9月
|
和歌山県日高郡にアタックテクノセンターⅠ建設(現・和歌山テクノセンターⅠ(WTCⅠ)) シート成形機、コーターを設置し、クリーンルームで「オパルス」の本格生産開始
|
1994年3月
|
東京支店とアタックマーケティングセンターを東京都中央区に移転
|
1996年4月
|
環境に配慮したリサイクル防湿紙「トケバリア」の開発開始
|
1997年4月
|
「オパルス」の特許取得
|
1998年3月
|
アタックテクノセンターⅠ(現・和歌山テクノセンターⅠ(WTCⅠ))において「オパルス」製造工程の「ISO9001」認証取得
|
1998年4月
|
東京支店を東京本社に改め、2本社体制に移行
|
1999年4月
|
恵和商工株式会社から恵和株式会社に商号変更
|
1999年4月
|
資本金2億円に増資
|
年月
|
概要
|
2001年10月
|
台湾台北市に台湾恵和股份有限公司を設立(現・連結子会社)
|
2001年11月
|
資本金2億3,000万円に増資
|
2002年8月
|
高機能光学フィルム「オプコン」が主要取引先で採用
|
2003年4月
|
中国江蘇省蘇州市に蘇州駐在事務所(現・惠和光電材料(南京)有限公司蘇州事務所)を開設
|
2004年10月
|
和歌山県日高郡にアタックテクノセンターⅡ建設(現・和歌山テクノセンターⅡ)
|
2005年3月
|
アタックテクノセンターⅠ(現・和歌山テクノセンターⅠ)において光拡散シート・高機能光学フィルムの開発及び製造、光学シートの製造に係る「ISO14001」認証取得
|
2006年6月
|
中国江蘇省南京市に惠和光電材料(南京)有限公司を設立(現・連結子会社)
|
2006年8月
|
中国広東省深圳市に惠和光電材料(南京)有限公司深圳事務所を開設
|
2007年4月
|
太陽電池モジュール用バックシート「アプリソーラ」の販売開始
|
2007年6月
|
韓国ソウル特別市にソウル恵和光電株式会社を設立(現・連結子会社)
|
2008年9月
|
滋賀工場(現・滋賀アドバンストテクノセンター(SATC))において太陽電池用バックシートの設計・開発及び製造に係る「ISO9001」認証取得
|
2009年1月
|
滋賀工場(現・滋賀アドバンストテクノセンター(SATC))においてフィルム・紙のコーティング製品の設計・開発及び製造に係る「ISO14001」認証取得
|
2009年5月
|
和歌山県御坊市にアタックテクノセンターⅢ建設(現・和歌山テクノセンターⅢ)
|
2010年7月
|
中国浙江省寧波市に惠和光電材料(南京)有限公司寧波事務所を開設
|
2011年3月
|
資本金2億6,640万円に増資
|
2012年6月
|
惠和光電材料(南京)有限公司深圳事務所を中国広東省東莞市に移転、惠和光電材料(南京)有限公司東莞事務所を開設
|
2013年2月
|
米国カリフォルニア州にOpellence Solutions(現・KEIWA Incorporated USA)を設立(現・連結子会社)
|
2015年6月
|
中国北京市に惠和光電材料(南京)有限公司北京事務所を開設
|
2016年4月
|
東京都中央区(現本店所在地)に本社を移転
|
2016年8月
|
大阪市中央区へ大阪本社を移転
|
2019年3月
|
複合拡散フィルム「オパスキ」の販売開始
|
2019年10月
|
東京証券取引所市場第二部へ上場
|
2019年12月
|
資本金9億649万円に増資
|
2020年1月
|
京都府相楽郡にValue Creation Center(VCC)を開設
|
2020年12月
|
東京証券取引所市場第一部へ上場(市場変更)
|
2020年12月
|
資本金17億88万円に増資
|
2021年12月
|
資本金38億6,440万円に増資
|
2022年4月
|
東京証券取引所プライム市場へ上場(市場変更)
|
2022年10月
|
兵庫県淡路市に地球の絆創膏本部淡路ベースを建設
|
3 【事業の内容】
当社グループは、お客様のミッション達成に貢献する高機能フィルムメーカーです。コア技術であるSheeting(製膜)、Laminating(積層)、Coating(塗布)に、Ultra Precision(高精度な先端技術やお客様対応)を加えることで、顧客ニーズに合わせた先端機能フィルムとソリューションを提供しています。
当社グループは当社及び連結子会社4社で構成され、光拡散フィルム、高機能光学フィルムの開発、製造、販売を行う光学製品事業、包装資材、工程紙・建材、クリーンエネルギー資材、農業資材等の開発、製造、販売を行う機能製品事業の2つの事業に関する製品の開発・製造・販売を行っております。なお、地球の絆創膏事業につきましては、2024年11月より、製品としての課題解決に向けて、工業製品として販売するフェーズから研究開発フェーズに移行することを決定いたしました。
当社グループの事業における報告セグメントの概要及び位置付けは、次のとおりであります。
なお、以下に示す区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。
事業セグメント
|
製品カテゴリ
|
主要製品
|
最終製品(例)
|
光学製品事業
|
光拡散フィルム
|
光拡散フィルム 複合拡散板
|
パソコンのモニター、タブレット、スマートフォン等の液晶ディスプレイ
|
高機能光学フィルム
|
偏光制御フィルム等
|
パソコンのモニター、タブレット、スマートフォン、車載ディスプレイ、デジタルサイネージ等の高精度・高機能液晶ディスプレイ
|
機能製品事業
|
包装資材
|
防錆包装紙
|
自動車用外装鉄網コイル、亜鉛メッキ銅板、アルミ合金等の金属製品の包装紙等
|
工程紙・建材
|
工程紙 建材
|
自動車のシート、コート・スーツ・ジャケット等の衣料品、靴・手袋等の合成レザー製品、発泡ウレタン、室内の壁材、ドア材、クッションフロア(床材)
|
クリーンエネルギー資材
|
次世代電池用特殊フィルム 太陽電池用バックシート
|
燃料電池車、ハイブリッド車、EV、太陽電池モジュール、住宅用・産業用発電システム等
|
農業資材等
|
ビニールハウス用の雨樋シート、裾部止水シート
|
農業用ビニールハウス等
|
当社及び当社の関係会社の事業内容、位置付け及び報告セグメントとの関連
会社名
|
所在地
|
事業内容
|
報告セグメント との関連
|
恵和株式会社(当社)
|
日本
|
和歌山3工場を含む国内4工場において、当社製品を製造し、顧客へ販売を行っております。海外顧客に対しては主に当社子会社を通じて販売を行っております。
|
光学製品事業 機能製品事業
|
惠和光電材料(南京)有限公司
|
中国
|
主に中国のディスプレイ関連メーカー向けに当社製品の販売活動及び先端の開発情報の収集を行っております。一部当社製品を仕上加工し、販売も行っております。
|
光学製品事業
|
台湾恵和股份有限公司
|
台湾
|
主に台湾のディスプレイ関連メーカー向けに当社製品の販売活動を行っております。
|
光学製品事業
|
ソウル恵和光電株式会社
|
韓国
|
主に韓国のディスプレイ関連メーカー向けに当社製品の販売活動及び先端の開発情報の収集を行っております。
|
光学製品事業
|
KEIWA Incorporated USA
|
米国
|
各種展示会や学会発表を通じて米国のディスプレイ業界、その他当社グループに関連する業界のトレンド情報の収集と、北米顧客への販売活動及び先端の開発情報の収集を行っております。
|
光学製品事業
|
(1) 光学製品事業
光学製品事業は、当社のCoating技術、Sheeting技術を活用し、ノートPC、タブレット、車載ディスプレイ、ゴーグル型VR端末、スマートフォン等の液晶ディスプレイに利用される光拡散フィルム、複合拡散板、偏光制御フィルム等の光学シート部材の開発・製造・販売を行っております。
主要製品となる光拡散フィルム「オパルス®」は、液晶ディスプレイの光源であるバックライトユニット構成部材の1つであり、光のムラをなくし、光を均一に拡散させる機能を有するプラスチックフィルムであります。また、少ない光源で全体を明るくするため省電力の役割も担っています。
また、従来型の“エッジライト型液晶ディスプレイ”に比べて画質が飛躍的に向上し、タブレット、ノートパソコン向け中型液晶ディスプレイ及び車載ディスプレイとして採用拡大が見込まれる“直下型ミニLED液晶ディスプレイ”に最適な複合拡散板「オパスキ」を販売開始しております。
それ以外にも、当社グループのSheeting技術を活用して、様々な特性を有する樹脂を複合的に組み合わせた高機能光学フィルムを製造しております。ニーズに応じた機能(高硬度、耐擦傷性、光学性能、耐熱性、防汚性、反射防止等)を付加する事が可能です。
光拡散フィルムと比べて、より高精度化、高機能化が要求される各種センサー用途、次世代自動車の車載ディスプレイ等の分野での活用が期待されております。
(2) 機能製品事業
機能製品事業は、当社創業時より長年培ってきた事業であり、安定的に収益を生み出す当社グループの根幹の1つを担う事業として続けて参りましたが、コモディティ化が進行して当社の技術的な優位性が差別化につなげられず価格競争に陥ってしまうものもあったことから、最終用途の市場成長性や収益性の見通しなどに基づいて一部の製品群において戦略的な絞り込みを行い、より高い成長や収益が期待できる分野への経営資源の集中に取り組んでおります。
当事業では、紙、フィルム等にコーティングやラミネーティング加工をする他、自社でシート成形したフィルムを貼り合せる等により、特定の機能(防錆性・防湿性・耐熱性・耐久性・耐候性・剝離性等)を付加した包装資材、工程紙・建材、クリーンエネルギー資材、農業資材等の製造・販売を行っております。
包装資材は、冷延鋼鈑等の金属製品を湿気から保護し、さらに錆の発生を防ぐ機能を持った防錆紙等、製造工程で必要不可欠な包装材料であります。
工程紙・建材は、工程紙と建材で構成され、工程紙は合成皮革、ウレタンフォーム・ウレタンフィルム等の製品を製造する過程において、製品の支持体になると同時に、表面に形状(凹凸模様等の型押し)を与える機能を持った産業資材であり、その用途(最終商品)は多岐にわたります。建材は、室内の壁材、ドア材、床材等、主に内装用建築資材の構成部材となる製品、またはその製造工程で必要となる機能を付与する製品であります。
クリーンエネルギー資材は、燃料電池車やハイブリッド車、EVなどのクリーンエネルギー車の燃料電池や二次電池に使用される特殊な高機能フィルムや、太陽電池の内部を保護するバックシートであります。
農業資材は、農業用ハウスの日照を確保できる雨樋シートや、害虫や汚染水等の侵入を防ぐ止水シート等であります。
また、冒頭に説明したように、製品ポートフォリオの入替により事業全体の成長性や収益性を高めるべく、医療・衛生分野を中心に、高性能な特殊フィルム製品の市場・製品開発にも注力しております。
これらの技術の概要と各技術の特徴は以下のとおりであります。
シーティング技術 (Sheeting)
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樹脂からプラスチックシートを作るシート成形技術であります。 当社の押出シート成形技術は、原料の合成樹脂を、エクストルーダー(押出機)で加熱溶融しながら押し出し、シート成形する技術であり、これにより様々な特性を有する樹脂を複合的に組み合わせて多機能シートを成形することが可能であります。また、当社にてシート成形した独自の基材にラミネーティング技術やコーティング技術を組み合わせ、さらなる高精度・多機能化が可能となります。
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ラミネーティング技術 (Laminating)
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プラスチックフィルム、紙、合成樹脂等を積層する技術であります。 当社のラミネーティング技術は、加熱溶融させた合成樹脂を基材に直接塗布・接着する押出ラミネートと、複数の基材を接着剤で貼るドライラミネートを主な技法としております。異種の材料を積層することによって、各々の材料の長所を生かし、短所を補うことにより、防湿性・剥離性・耐久性等の様々な機能を付与することが可能となります。
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コーティング技術 (Coating)
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シート状の基材にコート剤を塗布する技術であります。 基材の表面に、特殊なコート剤を塗布して乾燥させ、層を創ることで機能を付与する技術であり、コート剤の性状等により、最適なコーティング方式を選択します。これにより基材に高い硬度や耐擦傷性、光学性能、耐紫外線性、防汚性、印刷適性等の様々な機能を付与することが可能となります。
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ウルトラプレシジョン技術 (Ultra-precision)
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紙やフィルム等の基材を極めて精細に加工する技術であります。 繊細な高機能フィルムに、印刷等の加工を施すことで、より付加価値の高い製品を提供することが可能となります。
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[事業系統図]
当社グループの事業系統図は以下のとおりです。
光学製品事業
機能製品事業
4 【関係会社の状況】
名称
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住所
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資本金又は 出資金
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主要な事業 の内容
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議決権の所有(又は被所有)割合(%)
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関係内容
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(連結子会社)
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千人民元
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惠和光電材料(南京)有限公司 (注)2、4
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中国 江蘇省南京市
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44,389
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光学製品事業
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100.0
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当社製品の仕上加工をしている他、同製品の中国での販売に協力している。 役員の兼任あり。
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千台湾ドル
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台湾恵和股份有限公司
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台湾 台北市
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5,000
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光学製品事業
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100.0
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当社製品の台湾での販売に協力している。 役員の兼任あり。
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百万ウォン
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ソウル恵和光電株式会社
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韓国 ソウル特別市
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200
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光学製品事業
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100.0
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当社製品の韓国での販売に協力している。 役員の兼任あり。
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千米ドル
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KEIWA Incorporated USA
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米国 カリフォルニア州
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60
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光学製品事業
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100.0
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マーケット情報を収集している他、当社製品の北米での販売に協力している。 役員の兼任あり。
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(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2.特定子会社であります。
3.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
4. 惠和光電材料(南京)有限公司については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 ① 売上高 6,906,241千円
② 経常利益 948,115〃
③ 当期純利益 708,203〃
④ 純資産額 3,431,647〃
⑤ 総資産額 6,383,469〃
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
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2024年12月31日現在
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セグメントの名称
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従業員数(名)
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光学製品事業
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281
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(21)
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機能製品事業
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41
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(10)
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全社(共通)
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97
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(11)
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合計
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419
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(42)
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(注) 1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の期末雇用人員であります。
3.臨時従業員には、パートタイマー、契約社員及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
4.全社(共通)は、財務、人事総務、情報システム等の管理部門及び内部監査室、研究開発部門の従業員であります。
(2) 提出会社の状況
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2024年12月31日現在
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従業員数(名)
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平均年齢(歳)
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平均勤続年数(年)
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平均年間給与(千円)
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308
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41.5
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14.5
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6,527
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(41)
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セグメントの名称
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従業員数(名)
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光学製品事業
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170
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(20)
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機能製品事業
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41
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(10)
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全社(共通)
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97
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(11)
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合計
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308
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(41)
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(注) 1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の期末雇用人員であります。
3.臨時従業員には、パートタイマー、契約社員及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
5.全社(共通)は、財務、人事総務、情報システム等の管理部門及び内部監査室、研究開発部門の従業員であります。
(3) 労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社
当事業年度
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管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注1)
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男性労働者の育児休業 取得率(%) (注2)
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労働者の男女の 賃金の差異(%) (注1)
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全労働者
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正規雇用 労働者
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パート・ 有期労働者
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11.3
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100.0
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61.5
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75.0
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79.4
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(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号) の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.連結子会社は、上記準拠法の規定による公表義務の対象でないため、記載を省略しております。
4.当社は、男女間において賃金体系及び制度上の違いはありません。
5.当社は、役職・等級・職種により賃金を定めております。男女では職種及び等級ごとの人数分布に差があるため、賃金において差が生じております。