文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
トーホーグループは1947年の創業以来、「食を通して社会に貢献する」の経営理念のもと、「美味しさ」そして「安心・安全、健康、環境」を経営のキーワードに「食」のあらゆるシーンを支え続ける企業グループとして、外食事業者の皆様のお役に立つ商品やサービスの提供に努め、「外食ビジネスをトータルにサポート」できる国内でも稀有な企業グループとして事業を拡大しております。
人と食との関わりの中で、経営理念、経営のキーワードを基本とした価値ある商品やサービスを提供し、お客様満足度を高めていくこと、さらには社員・従業員、お客様、取引先様、株主様、そして地域社会といったあらゆるステークホルダーから信頼され必要とされる経営を実践することが企業価値を高めていくものと考えております。
当社グループではこうした基本的な考え方のもと、持続的成長と収益力の向上、組織の活性化と人材の活性化、顧客・現場視点の経営、コンプライアンスと適時情報開示、スピード経営を経営方針とし、企業価値を高める経営を進めてまいる所存であります。
雇用・所得環境の改善が続く中で、インバウンド需要の拡大などを背景に、当社グループの主要マーケットである外食市場は堅調に推移しております。一方で、不安定な国際情勢や金融市場の動向、人手不足や物価上昇に伴う消費者の節約志向の高まり、物流費等のコスト上昇など、予断を許さない状況は継続しております。中長期的には人口減少や高齢化の進行による経済成長性の停滞などについて、引き続き注視していく必要があります。
このような状況の中、当社グループの主要事業で外食産業向けに業務用食材を販売するディストリビューター(業務用食品卸売)事業が牽引し、当社グループの業績も堅調に推移しております。
ディストリビューター(業務用食品卸売)事業は、業務用食品専業卸の業界最大手として、外食産業のお客様に貢献しております。事業活動の歴史が長く基盤が充実している西日本に対し、関東地区と海外は新たな成長領域として事業基盤の強化を推進しております。そのための戦略として、近年はM&Aに注力し、関東地区は13社、海外は3ヵ国11社がグループ入りいたしました。また関東地区では物流の効率化と営業力の強化を実現すべく、事業所の再編を実施しております。その他の地域についても市場環境に応じた事業活動を展開しシェア拡大を図ってまいります。
キャッシュアンドキャリー(業務用食品現金卸売)事業は、中小飲食店の毎日の仕入れにお役立ていただく、プロの食材の店「A-プライス」などの業務用食品を販売する店舗を関東以西に95店舗展開しております。顧客ニーズに対応した食材提案や店舗の出店・改装などを通し、引き続き中小飲食店の発展に貢献いたします。一方、近年は「A-プライスオンラインショップ」の強化やフランチャイズ展開の開始など、新たな収益の柱の育成を図っております。
フードソリューション事業は、品質管理、業務支援システム、業務用調理機器、店舗内装設計・施工など「外食ビジネスをトータルにサポートする」様々なソリューションの提供を引き続き強化しております。特に近年は飲食店運営の深刻な課題である人手不足解決のため、省力化や時短が図れる業務用調理機器、受注や損益管理などの店舗運営の効率化を図る業務支援システムの提案に注力しております。
食品スーパー事業につきましては、2024年11月21日をもって全ての店舗の営業を終了し、当該事業から撤退いたしました。
当社グループは、持続的成長と収益力の向上を通じて、企業価値を継続的に高めていくことを経営目標の一つとしております。具体的には事業の成長を示す「売上高」と収益力を示す「親会社株主に帰属する当期純利益」、また最終的に事業のリスクを負担する株主様からお預かりしている資金に対しそのリスクに見合う利回りが確保されているかという観点から「ROE」、更に企業価値に対する市場からの評価を示す指標として「PBR」を中長期的な指標としております。
<売上高>
<親会社株主に帰属する当期純利益>
(注)売上高親会社株主に帰属する当期純利益率 =(親会社株主に帰属する当期純利益)÷(売上高)
(注)第68期の売上高親会社株主に帰属する当期純利益率並びに第68期および第69期の親会社株主に帰属する当期純利益前期比は、第68期に親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。
<ROE(自己資本当期純利益率)>
(注)ROE =(親会社株主に帰属する当期純利益)÷((期首自己資本+期末自己資本)÷2)
自己資本 = 純資産合計-新株予約権-非支配株主持分
(注)第68期のROEは、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。
<PBR(株価純資産倍率)>
(注)PBR =(当社株式期末終値)÷(1株当たり純資産)
雇用・所得環境の改善が続く中で、インバウンド需要の更なる拡大が期待されるなど、外食市場は堅調に推移することが予想されますが、一方で、人手不足、物価上昇に伴う消費者の節約志向の高まり、物流費等のコストの上昇といった課題は当面継続することが想定されます。このような中、当社グループは中期経営計画(3ヵ年計画)「SHIFT-UP 2027」(2025年1月期~2027年1月期)において、持続的な成長を力強く実現するための「新たな成長ステージへの変革」を実行するとともに、持続可能な社会の実現と事業の安定的な成長を目指す「サステナビリティ経営の推進」等に取り組み、中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
[新たな成長ステージへの変革]
1.エリア毎の市場環境に沿った事業展開へのシフト
・首都圏再編
・沖縄再編
2.新たな市場の開拓
・プライベートブランド商品強化
・キャッシュアンドキャリー(C&C)事業拡大
・海外事業拡大
3.外食ビジネスをトータルにサポートする機能の拡充
・外食企業向け業務支援システム刷新
・フードソリューション(FSL)事業拡充
4.情報技術の最大活用による生産性の向上
・IT/DX戦略の推進
5.M&A、アライアンスの活用
・M&Aの継続
[サステナビリティ経営の推進]
1.美味しくて、安心・安全な食の提供
・グループに起因する食品事故ゼロ
・サステナブルフード開発強化
2.持続可能な経営の継続
・ガバナンスの更なる強化
3.未来へ繋げるための環境対策の取り組み
・2030年度のCO2排出量を2013年度比で46%削減(Scope1,2)
4.個性の尊重と能力を発揮できる組織の構築
・従業員エンゲージメント向上
・健康経営の深化
・ダイバーシティの推進
・自律的なキャリア形成支援の継続・充実
5.地域社会発展への貢献
・食を通して豊かな地域づくりに貢献する活動の継続
次期(2025年2月1日から2026年1月31日まで)の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善や、大阪・関西万博の開催も相まってインバウンド需要の更なる拡大が期待されるなど、主要マーケットである外食市場は引き続き堅調に推移すると予想されますが、物価上昇に伴う消費者の節約志向の高まりや物流費をはじめとする更なるコストの増加といった下押し要因もあり、当社グループを取り巻く経営環境は、引き続き予断を許さない状況が続くと想定されます。
このような状況下において、当社グループは中期経営計画(3ヵ年計画)「SHIFT-UP 2027」の2年目として、重点施策である「新たな成長ステージへの変革」「サステナビリティ経営の推進」「企業認知度の向上と株主還元の継続」に具体的に取り組み、企業価値の更なる向上を目指してまいります。
ディストリビューター事業部門では、中期経営計画に掲げる成長戦略の一つである「エリアごとの市場環境に沿った事業展開へのシフト」を実現すべく、全国で事業を展開する㈱トーホーフードサービスにおいては、組織を3つのエリアに細分化し、リージョナルチェーン・商業施設・ホテル・ケアフード・中食など、地域ごとの取り組み強化業態を明確にし、営業施策を展開してまいります。また、巨大市場である首都圏では、前期に開設した「横浜支店 横浜DC」を活用し、物流の効率化と営業力の強化に取り組むとともに、関西地区では大阪・関西万博の開催に伴うビジネス機会の拡大に着実に取り組んでまいります。
設備投資につきましては、市場環境の変化に対応すべく、2月に㈱トーホー・北関東「茨城西支店」の開設(筑西支店・つくば営業所の移転統合)、4月に㈱トーホーフードサービス「京都支店」の新築移転、秋口に同「金沢支店」の新築移転、㈱トーホー沖縄の新事業所開設などを進めてまいります。
一方、商品面では、サステナブルフードなど付加価値の高い食材や調理の効率化につながる食材などをプライベートブランド商品として開発、販売を強化し、顧客満足度の向上を図ってまいります。
また、現在シンガポール・香港・マレーシアで展開している海外事業につきましては、日本の外食企業の海外進出を支援する取り組みを強化するなど、更なる機能強化を図ってまいります。
キャッシュアンドキャリー事業部門では、引き続き主要顧客である中小飲食店の毎日の仕入れへのサポート力を高めるべく、地域食材やプライベートブランド商品など品揃えの強化を図るとともに、季節やテーマに沿ったフェアや展示商談会の開催などを通じて商品・メニュー提案を強化してまいります。また、飲食店顧客の新規獲得のため、店舗外での営業活動を強化し、地域市場でのシェア拡大に努めてまいります。
設備投資につきましては、新規出店1店舗、改装5店舗を計画しており、売場の活性化を図ってまいります。
一方、近年強化しているEC事業(A-プライスオンラインショップ)につきましては、出品アイテムの見直しを図りながら売上の拡大を図るとともに、現在2店舗で展開しているフランチャイズビジネスにつきましても、新規取引先の開拓を進め、事業の拡大を進めてまいります。
フードソリューション事業部門では、外食業界の人手不足が深刻化する中、外食企業向け業務支援システムの提供、業務用調理機器の販売などで課題解決に寄与していくほか、品質・衛生管理サービスや店舗内装設計・施工など、外食ビジネス向けのトータルサポート機能を更に強化してまいります。
以上により、次期の連結業績見通しといたしましては、食品スーパー事業から撤退した影響もあり、売上高2,530億円(前期比2.7%増)、営業利益は82億円(前期比9.4%増)、経常利益83億円(前期比7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益47億円(前期比4.8%増)を予想しております。
当社は、外食事業者に食品とそれに関連するサービスを提供する企業グループとしての責任を自覚し、食を通して「社員・従業員」「お客様」「取引先様」「株主様」そして「地域社会」の5つのステークホルダーを豊かにする企業活動を実践しております。そうした中、気候変動などの地球環境問題に対しては、環境負荷低減とカーボンニュートラルに向けた取り組みや、生物多様性への配慮を行うことによってリスクに対応するとともに、持続可能な社会の実現と事業の安定的な成長を目指すことをサステナビリティ方針としております。
この方針のもとサステナビリティ経営を推進するため、当社は「美味しくて、安心・安全な食の提供」「持続可能な経営の継続」「未来へ繋げるための環境対策の取り組み」「個性の尊重と能力を発揮できる組織の構築」「地域社会発展への貢献」の5つのマテリアリティを掲げて重要テーマに取り組んでおります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社はサステナビリティ方針のもと、経営理念である「食を通して社会に貢献する」ことを継続実施し、より一層社会から信頼され、必要とされる企業グループを目指し、中長期的な企業価値の向上につなげていくことを目的に、「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長、取締役・執行役員および常勤監査役を委員として構成されており、サステナビリティ方針に基づいた経営を実践するための方策やマテリアリティの特定、取り組みの推進とモニタリングを行い、定期的に取締役会に報告・提言を行っております。
当社では、持続的な企業価値の向上のために、サステナビリティ項目を含めた全社横断的に対応が必要となるリスクへの対応を行っております。特に当社が最重要課題と捉えているマテリアリティを中心にリスクの特定・評価を行い、リスクマネジメントの強化に取り組んでおります。
トーホーグループでは、気候変動への対応は経営上の重要課題の一つとして捉えており、「未来へ繋げるための環境対策の取り組み」をマテリアリティの一つとして掲げております。2050年カーボンニュートラルの実現を目指すことで、当社グループの持続的な成長と価値向上のための新たなビジネスチャンスの創出を推進してまいります。
サステナビリティ委員会では、経営戦略、事業計画に関連する気候変動への対応を最重要課題の一つとして取り組んでおります。2050年カーボンニュートラルに向けたリスクや機会について定期的に検討・審議し、また必要に応じて取締役会へ報告しております。
当社グループの事業活動に影響を与える可能性がある気候関連のリスクと機会を、シナリオ分析によって特定し影響度を評価いたしました。この結果を踏まえて、影響度の大きいリスクの低減と機会の獲得に向けた対応策を検討しております。
抽出した重要リスクの中では、中長期的に「温室効果ガス排出規制強化と炭素賦課金の上昇」が最も大きな財務インパクトになると考えております。当社グループの主要事業であるディストリビューター(業務用食品卸売)事業は全国の主要都市に事業所を置いておりますが、各事業所には在庫保管用の常温倉庫と冷凍・冷蔵庫を設置しております。一方、キャッシュアンドキャリー(業務用食品現金卸売)事業も全国に展開している90数店舗で冷凍ショーケースや在庫保管用の冷凍・冷蔵庫を設置しております。今後、温室効果ガス排出規制が強化されるとこうした冷凍・冷蔵庫の冷媒を自然冷媒に入れ替えるなどの必要性が出てくることが想定されます。また、ディストリビューター事業では自社トラックで得意先への配送を行っておりますが、現状配送用トラックはガソリンまたは軽油を使用した車両であります。今後、温室効果ガス抑制のため、これらをハイブリット車両やEV車両などに置き換えていくことも必要になってくると考えられます。こうした対応を進めることは、今後賦課金額が高くなると予想される炭素賦課金の負担軽減にもつながりますので、当社グループとしては計画的に設備・車両の更新投資を行っていきたいと考えております。一方、当社では比較的規模の大きい事業所や駐車場を利用して太陽光パネルによる発電を行っており、こうした再生エネルギーの活用も継続してまいります。以上の通り、当社グループはこれからも当社事業に関わるステークホルダーの皆さまとともに持続可能な社会の実現に資する取り組みを計画的に進めてまいります。
当社グループでは、経営に関わるあらゆるリスクの管理を行い、取締役会の承認と監督のもと、各種委員会が対策を協議・決定しておりますが、気候変動に関しては環境マネジメント委員会を設けサステナビリティ委員会と連携して、シナリオ分析による影響度評価で特定したリスクへの対策を策定・実施しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、Scope1、Scope2を国内グループ会社と一部の海外グループ会社の範囲で計算しております。Scope3は国内グループ会社の範囲で現在集計中であり、結果が出次第公表する予定であります。
当社グループでは、2050年カーボンニュートラルの実現を目標にしております。そのため、気候変動のリスクと機会を特定・評価しておりますが、今後のカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進していくために温室効果ガス削減の中期目標を設定して取り組んでまいります。
具体的には、2030年までに、2013年の推定温室効果ガス排出量(Scope1,2合計52,200t-CO2、2023年度国内Scope1,2合計36,359t-CO2)の46%削減に取り組んでまいります。当社グループではScope2(電力)による排出量が総排出量の80%を占めていますので、LED電気の導入を更に進めることや節電効果のある、またエネルギー消費効率の良い最新設備への更新や節電設備の導入などを計画的に進めてまいります。また、Scope2(電力)以外では、ガソリン・軽油由来の排出量削減のため、エコ安全ドライブの励行やドライブレコーダーによる安全運転管理の実施、更には配送車両のハイブリット車両やEV車両への転換などの検討を進めてまいります。
(3) 人的資本・多様性への対応方針
当社グループは経営憲章の中で「企業は人である」と定め、企業の持続的成長には従業員の成長が必要不可欠であり、その中でも健康の維持・向上は従業員とその家族の幸せに欠かせない最も基本的な要素であると考えております。
そのため、従業員が健康で活力に満ち、最高のパフォーマンスを持続できる労働環境の整備に取り組む「健康経営」の推進を最重要テーマと位置づけ、要治療者の重症化予防や生活習慣の改善、ヘルスリテラシー向上に取り組んでおります。その結果、特に優良な健康経営を実践している企業として「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に2019年から2024年まで、6年連続6回の認定を受けました。
「健康経営」を取り組む体制として、当社の代表取締役社長が決定した「健康基本方針」に基づき、グループ各社にて施策の企画、実践を推進しております。またグループ横断的な委員会組織「内部統制マネジメント委員会」にて健康課題の分析結果、施策の効果等を協議し、産業医等外部専門機関と連携して各種施策を検討・展開しております。
また、「自ら考え、自ら行動し、自ら成長する自律型人材」という当社グループが従業員に求める基本的な考え方、および、サステナビリティ方針のマテリアリティの一つである「個性の尊重と能力を発揮できる組織の構築」に基づき、グループ横断的に活躍する人材を育成すべく、多様な人材の活躍推進(ダイバーシティ)やグループ内の会社間異動の活性化、自律的なキャリア形成支援に取り組んでおります。今後の海外事業展開を見据え、海外勤務意向のある社員を公募で登録し、語学研修の受講とともに、国内の海外部門への異動や海外派遣などの実践を通じてグローバルに活躍する人材層を蓄積してまいります。
従業員が働きがいや誇りを持って働くことの実現を通して、従業員エンゲージメントと企業価値の向上を目指してまいります。
② 指標と目標
当社グループは前述の戦略を着実に推進するため、以下の通り人的資本に関する非財務指標を設定し、進捗を管理しております。
(注) 1.国内連結グループ全体
2.当社及び国内主要会社(㈱トーホーフードサービス、㈱トーホーキャッシュアンドキャリー、㈱トーホービジネスサービス、㈱トーホー沖縄)
3.当社及び国内主要会社(㈱トーホーフードサービス、㈱トーホーキャッシュアンドキャリー、㈱トーホービジネスサービス、㈱トーホー沖縄、㈱トーホー・北関東、関東食品㈱、㈱エフ・エム・アイ、㈱トーホー・コンストラクション、㈱アスピット)
当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは以下のようなものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、当連結会計年度末現在においては予見できないリスク、または重要と見なされていないリスクの影響を受ける可能性があります。
当社グループではこれらのリスクの影響を最小にするための様々な取り組みを行ってまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)消費者や得意先のニーズへの対応遅れ
当社グループは外食産業向けを中心に食品と様々なサービスをお届けしておりますが、外食市場の動向などに対する情報収集とその対応が遅れることで、当社グループの品揃えやサービスが市場に受け入れられず、市場シェアを落とすリスクがあります。
こうしたリスクを避けるためグループ各社では、日々の営業活動を通じてお客様ニーズの把握に努めるとともに、メーカーや仕入先など様々な取引先とのコミュニケーションを密にし、業界・顧客動向に関する情報を入手し、得た情報を分析し、共有して様々なニーズの変化に対応しております。
(2)品質および衛生管理上の事故
当社グループの主要取扱品は食品であり、万が一、品質管理や衛生管理、表示上の不備による事故等が発生した場合、販売の大幅な減少や当社事業への信用失墜など長期的なリスクにつながる可能性があります。
当社グループは品質・衛生管理を専門に行う部署(品質保証部)を置いており、各事業所への定期的な品質・衛生検査、表示チェックを実施し、改善すべき点があれば改善指導を行っております。一方、当社グループのプライベートブランド商品につきましては、商品開発時に品質保証部が製造工場の検査を実施しております。また、あらゆる機会をとらえて品質管理や衛生管理等について従業員向けの教育を実施し、意識の向上に努めております。
(3)海外からの商品調達の停滞等
当社グループが取り扱う商品はその原料や商品自体を海外の産地や工場からの輸入に頼っているものがあります。万が一、産地などで事故や紛争などにより生産が止まった場合や輸送時の事故等により輸入が止まった場合、当社グループの販売に大きな支障を来すリスクがあります。また輸入に伴う為替変動により、原価が上昇し利益を圧迫するリスクがあります。
こうしたリスクへの対応として、海外の社会情勢や業界の変化に常に注意し、影響を及ぼすと考えられる情報に対しては国内と現地で情報共有し、対応するようにしております。また、可能な限り複数の仕入先を通じた調達原産国の複数化による持続可能な調達を行っております。また、当社グループが直接輸入する商品は可能な限り円による決済とすることで為替リスクを抑えております。
(4)海外でのカントリーリスクや紛争
当社グループはシンガポール、マレーシア、香港で子会社が事業を展開しております。各国での重大な法改正や諸制度の変更による大幅なコスト上昇や新たな制約により、また政変、テロ等の発生により、現地子会社の事業の継続に支障を来すリスクがあります。
当社グループでは、常日頃から現地との緊密な情報交換を行うとともに、現地政府機関、日本大使館、および外務省からの発信情報に常に注意し、留意すべき情報に対しては、まずは従業員の安全確保を最優先に考えたうえでの諸施策を講じることとしております。
(5)人材確保の計画未達
当社グループの事業では配送や店頭販売などに多くの従業員が従事しております。国内の少子高齢化の進展が今後も進み、人材獲得競争激化の結果、人材の確保が計画通りに進まなかった場合、従来通りの事業運営に支障が出たり、大幅にコストが上昇したりするリスクがあります。
当社グループでは「企業は人である」の考えのもと、従業員満足を高めるための諸施策の継続的実施や健康経営の実践により従業員の離職防止に努めております。また、ITを活用した生産性向上、業務効率化による働き方改革を継続しております。一方、採用面では多様な人材から選ばれる会社となるための人事・給与制度改革、教育体系の整備を継続的に行っております。また、多様な人材(女性、障がい者、高齢者等)の活躍推進にも取り組んでおります。
(6)資金調達の計画未達
当社グループが事業を展開するために必要な資金が金融市場の激変や当社の業績悪化により計画通り進まなくなり、事業運営に支障を来すリスクがあります。
こうしたリスクに対して、当社グループでは調達先および調達方法が限定的になることを避け、適度に分散させることで資金調達の多様性を保っております。調達は保守的に計画することで、金融市場の悪化に対しても一定の余裕をもって対応しております。また、不測の事態に備えて複数行とコミットメントライン契約を締結しております。
(7)急激な金利の上昇
当社グループは事業運営に必要な資金の一部に借入金を利用しております。借入金の財務リスクは適正と考える資本構成に基づき管理しておりますが、経済情勢の変化などにより、調達金利が急激に上昇した場合、当社の業績に影響を与えるリスクがあります。
当社グループでは、常日頃から金利情勢に影響を与えるであろうと思われるマクロ経済等の定期的なモニタリングを行っております。また実際の調達金利の動向を注視して資金を調達しております。金利情勢によっては金利をヘッジする手段を機動的に運用しております。
(8)コンピューター基幹システムのダウン
当社グループでは得意先からの受注、在庫管理、仕入先への発注など営業活動全般の他、経理・人事等の事務処理、そして社内の情報共有等あらゆる面でコンピューターを利用しており、これが事故や災害、ウイルス感染により使えなくなることで事業が停滞するリスクがあります。
災害や事故発生時に重要データが滅失しないように、災害対策が施された外部のデータセンターに保管するとともに、定期的にバックアップデータを遠隔地へ運搬し、保管しております。
一方、コンピューターウイルスに対しては、外部からの不正侵入を防ぐ機器(ファイアウォール)に加えて、ウイルス対策ソフトウェアを導入しております。また、ウイルス感染による事業活動への影響やそれを防ぐための対策、また疑わしい現象への対応について社内教育を継続的に実施しております。
(9)伝染病等の拡大
2025年1月期はアフターコロナの社会経済活動の正常化が進む中、当社業績も堅調に推移いたしましたが、今後も予期せぬ伝染病等の感染拡大により、従業員の健康が害されるリスク、外食需要の急減により事業に多大な影響を及ぼすリスクがあります。
当社グループでは、従来から毎月14日を「食の安心・安全の日」と定め、品質保証部を中心にウイルスや病原菌などに対する様々な情報の発信を行い全従業員の意識向上を図っております。新型コロナウイルス感染症拡大の事態に対しては、グループを横断した方針や対策を立案実施する委員会をいち早く立ち上げ対応してまいりました。今後もこの経験・ノウハウを活かしてまいります。また、営業面では飲食店、宿泊施設、病院・介護施設、リゾート施設など多岐にわたる取引業態への影響に常に注意を払い、リスクの小さい業態の強化など柔軟に対応しております。
(10)大規模な自然災害の発生
当社グループは国内各地および海外ではシンガポール他2か国を合わせて200を超える拠点を構え、営業を行っております。こうした拠点やその周辺で大規模な地震や風水害などが発生した場合、各拠点での事業運営に支障を来すリスクがあります。
自然災害は防ぐことはできませんが、災害発生時には安否確認システムを利用し、従業員の安全確認を行い、被災等がある場合は早期に総力をあげて対応できるよう緊急連絡網を整備しております。また事業所ごとに緊急避難場所や災害発生時の行動指針を掲出し、日ごろから安全意識の向上を図っております。また、各地域の主要拠点にはマスクや水などの緊急物資を備蓄しております。こうした常日頃からの準備を怠らないことで、災害発生時の早期復旧に備えております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2024年2月1日~2025年1月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調が続いているものの、不安定な国際情勢や金融市場の動向、燃料・原材料価格の高騰などにより、先行き不透明な状況が継続いたしました。
当社グループが属する業務用食品卸売業界におきましては、コロナ禍からの急激な需要回復による売上の増加は一巡したものの、インバウンド需要は引き続き好調であり、主要マーケットである外食市場の拡大とともに堅調に推移いたしました。一方で、物価上昇による消費者の節約志向の高まりや、人手不足の深刻化、物流費等、諸経費の上昇もあり、予断を許さない状況が継続いたしました。
このような中、当社グループは中期経営計画(3ヵ年計画)「SHIFT-UP 2027」(期間:2025年1月期~2027年1月期)の初年度として、3つの重点施策である「新たな成長ステージへの変革」「サステナビリティ経営の推進」「企業認知度の向上と株主還元の継続」に具体的に取り組み企業価値の更なる向上に努めました。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、外食向け業務用食品の販売は堅調に推移したものの、期中に食品スーパー事業から完全に撤退(11月に全店舗の営業を終了)した影響などがあり、売上高は2,464億65百万円(前期比0.6%増)と微増で着地いたしました。一方、食品スーパー事業の事業撤退に伴い営業損失が拡大したことや輸入業務用調理機器の販売において円安の影響を受けたことにより、営業利益は74億96百万円(同4.1%減)、経常利益は76億93百万円(同3.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に海外子会社ののれんの減損損失を計上した反動もあり44億85百万円(同24.4%増)となりました。
セグメント別の概況につきましては、次のとおりであります。
当事業部門の主要マーケットである国内外食業界は、インバウンド需要の増加などにより、ホテルや観光地などの飲食店を中心に市場環境は堅調に推移している一方で、食材コストの上昇や人手不足への対応が課題となっています。このような中、当事業部門では、更なるシェア拡大を図るべく、既存得意先の深耕と新規得意先の開拓に引き続き注力いたしました。株式会社トーホーフードサービスでは、全国7会場で開催した総合展示商談会に加え、エリア別・テーマ別の展示商談会を頻繁に開催し、「効率化」「トレンド」「付加価値」などをキーワードに課題解決につながる提案を積極的に行いました。また、商業施設やホテルの開業が相次ぐ中、計画的な営業活動を展開するとともに、新規得意先の開拓を専門とするセールスを増員するなど、市場シェアの拡大に努めました。
商品面では、味・品質にこだわったプライベートブランド商品や外食業界の人手不足や省力化に対応できる商品の提案を引き続き強化するとともに、消費者のサステナビリティ(持続可能性)への関心の高まりにお応えできる商品として、自社焙煎のフェアトレード有機コーヒーをはじめ、BAP(養殖水産物国際基準)認証を受けた水産品などを積極的に提案いたしました。
一方、人手不足や物流費等のコストの上昇に対応すべく、バックオフィス業務の母店への集約による効率化やコスト・コントロールにも継続して取り組みました。
設備面では、国内最大の外食市場である首都圏において更なる物流の効率化と営業力の強化を実現すべく、12月に「トーホーフードサービス横浜支店 横浜DC」を開設し、神奈川県下の2事業所を統合いたしました。2025年2月には、さらに2事業所の統合を終え、首都圏での更なるシェア拡大を図っていく計画です。
以上の結果、当事業部門の売上高は1,840億37百万円(前期比6.5%増)、営業利益は62億24百万円(同6.1%増)となりました。
なお、4月にシンガポールの連結子会社であるTOHO Singapore Pte.Ltd.は、同じくシンガポールの連結子会社であるGolden Ocean Seafood(S)Pte.Ltd.を吸収合併いたしました。
当事業部門につきましては、プロの食材の店「A-プライス」を中心に、主要顧客である中小飲食店に対し、毎日の仕入れへのサポート力を高めるべく、新商品やおすすめ・こだわり商品、メニュー提案といった情報提供の強化を図りました。
具体的には、全店舗で定期的に実施する各種フェアや全国9会場で開催した展示商談会を通して、業態や季節、産地や銘柄など、テーマに沿った商品やメニューの提案を実施いたしました。また、味や品質にこだわったプライベートブランド商品の認知度を高め、販売を強化すべく全店舗での試食販売も実施いたしました。一方、外食業界で人手不足への対応が課題となる中、連結子会社である株式会社エフ・エム・アイと連携し、時間短縮につながる調理機器の提案も強化いたしました。
来店促進策として強化している情報発信につきましては、従来からのA-プライスアプリに加え、外食に関するトレンド情報などを発信すべく、8月に公式SNSを開設いたしました。
店舗につきましてはA-プライスにおいて、2月に久太郎町店(大阪市中央区)を出店するとともに、6店舗の改装を実施いたしました。
以上の結果、当事業部門の売上高は448億60百万円(前期比3.1%増)となりました。営業利益は人件費や物流費等の増加を吸収できず17億7百万円(同6.6%減)となりました。
当事業部門につきましては、当期中に事業撤退を完了すべく、計画に沿って店舗の事業譲渡および閉鎖を進めてまいりました。その結果、11月21日をもって全店舗の営業を終了し、2025年1月31日付で当事業部門の事業会社である株式会社トーホーストアの解散を決議いたしました。
以上の結果、当事業部門の売上高は46億51百万円(前期比69.3%減)、営業損失は8億35百万円(前期は6億88百万円の営業損失)となりました。
当事業部門につきましては、品質・衛生管理サービス、外食企業向け業務支援システム、業務用調理機器、店舗内装設計・施工など「外食ビジネスをトータルにサポートする」機能の提案を引き続き強化するとともに、グループ各社の展示商談会に積極的に出展するなどグループシナジーの更なる発揮に努めました。
特に、外食業界において人手不足への対応が課題となる中、業務効率化につながる業務支援システムや調理工程の省力化につながる高性能調理機器の提案を強化いたしました。
しかしながら、輸入業務用調理機器の販売において、一部の機器の切替対応の遅れなどにより販売が振るわず、円安の影響によって粗利率も低下したことにより、当事業部門の売上高は129億17百万円(前期比3.6%減)、営業利益は3億99百万円(同51.0%減)となりました。
なお、食品スーパー事業の撤退に伴い、2025年1月31日付で、農作物の生産等を営む株式会社トーホーファームの解散を決議いたしました。
(総資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ23百万円増加し、883億20百万円となりました。主な要因は、売上の拡大に伴い、受取手形、売掛金及び契約資産が4億32百万円増加し、棚卸資産についても7億88百万円増加しましたが、のれんが償却及び減損により10億37百万円減少したことなどによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ35億32百万円減少し、572億2百万円となりました。主な要因は、売上の拡大に伴って支払手形及び買掛金が9億8百万円増加した一方で、借入金は1年内返済予定の長期借入金と長期借入金合わせて29億23百万円減少したこと、未払消費税等の減少により流動負債のその他が5億71百万円減少したことなどによるものであります。
なお、借入金の総額は185億4百万円(前連結会計年度末214億27百万円)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ35億55百万円増加し、311億19百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益44億85百万円の計上及び配当金11億85百万円の支払いによる利益剰余金の増加33億円、前連結会計年度末に比べ円安が進んだことによる為替換算調整勘定の増加5億39百万円などによるものであります。自己資本比率については純資産の増加により、34.8%と前連結会計年度末の30.8%に比べ4.0ポイント上昇いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、64億90百万円の収入(前連結会計年度は93億3百万円の収入)となりました。
主な収入は、税金等調整前当期純利益による増加71億89百万円(前連結会計年度は59億28百万円の税金等調整前当期純利益)、減価償却費20億43百万円(前連結会計年度は20億7百万円)に対して、主な支出は棚卸資産の増加7億6百万円(前連結会計年度は3億24百万円の増加)、法人税等の支払額15億78百万円(前連結会計年度は18億28百万円の支払)などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、21億60百万円の支出(前連結会計年度は12億11百万円の支出)となりました。
これは主に、店舗の出店・改装、横浜支店 横浜DC稼働等に向けた固定資産の取得による支出32億48百万円(前連結会計年度は20億8百万円の支出)や、固定資産の売却等による収入10億81百万円(前連結会計年度は5億72百万円の収入)などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、46億34百万円の支出(前連結会計年度は65億60百万円の支出)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入65億円(前連結会計年度は68億円の収入)に対し、長期借入金の返済による支出94億23百万円(前連結会計年度は117億円の支出)、配当金の支払額11億81百万円(前連結会計年度は6億44百万円)などによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ、1億7百万円減少し、91億9百万円となりました。
仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント内及びセグメント間の取引については相殺消去しております。
販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント内及びセグメント間の取引については相殺消去しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に投資の減損、資産除去債務、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付債務及び退職給付費用であり、継続的な評価を行っております。これらの見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当連結会計年度はインバウンド需要の活況などを背景に国内外食産業への販売が堅調に推移し、棚卸資産や受取手形及び売掛金などの流動資産は増加しましたが、固定資産はのれんの償却や減損により減少したため、資産合計は微増となりました。一方で借入金の返済が進んだこともあり負債合計は減少しました。また、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによる純資産の増加で、自己資本比率は34.8%に上昇するなど財政状態の改善が進みました。
個別の財政状態の分析については、「1 経営成績等の状況の概要(2) 財政状態の状況」をご参照ください。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は2,464億65百万円(前期比0.6%増)となりました。食品スーパー事業の完全撤退を進めるなどの減収要因がありましたが、好調なインバウンド需要などを背景に、主要マーケットである外食市場も拡大したことでディストリビューター事業の売上が大きく伸長し、全体では増収となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は490億30百万円(前期比1.9%減)となりました。食品スーパー事業からの撤退の影響に加え、輸入業務用調理機器販売において、円安の影響を受けたこともあり、売上総利益額は減少しました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は74億96百万円(前期比4.1%減)となりました。食品スーパー事業からの撤退で全体の経費は減少したものの、物流費等の増加があり、売上総利益額の減少を補うことができず減益となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は76億93百万円(前期比3.5%減)となりました。営業利益の減少に伴い、経常利益も減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は44億85百万円(前期比24.4%増)となりました。前期に海外子会社ののれんの減損損失を計上していた反動などで特別損益が改善し、創業来の最高益となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益の計上に加えて減価償却費などにより、営業キャッシュ・フローは64億90百万円となりました。投資キャッシュ・フローは店舗の出店・改装、横浜支店 横浜DCの稼働等に向けた設備投資の実施に伴い21億60百万円の支出となりました。財務キャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済により46億34百万円の支出となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は91億9百万円となりました。
個別のキャッシュ・フローの分析については、「1 経営成績等の状況の概要(3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
a.資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、成長戦略に基づく設備投資やM&A投資などの長期資金需要と商品仕入などの運転資金需要であります。当連結会計年度では店舗の新規出店・改装等36億77百万円の設備投資を実施しております。設備投資については連結会社各社が個別に策定したものについて当社がその投資判断について調整を行っております。
b.財務政策
当社グループは事業活動のための流動性の維持と、適切な財務バランスの実現を方針としております。設備投資・出資などの長期資金需要に対しては、主に内部留保や金融機関からの長期借入金、資本市場からの調達により、運転資金需要には主に短期借入金により調達しております。なお、短期流動性を補完する目的でコミットメントライン契約を締結しております。
当連結会計年度につきましては、財務バランスの改善のために長期借入金の圧縮を進めた結果、借入金残高は185億4百万円(前期比29億23百万円減)となっております。
また、グループ内資金の効率化を目的に、当社と主要な子会社での資金一元管理を行っております。
当社グループは、持続的成長と収益力の向上を通じて、企業価値を継続的に高めていくことを経営目標の一つとしております。具体的には事業の成長を示す「売上高」と収益力を示す「親会社株主に帰属する当期純利益」、また最終的に事業のリスクを負担する株主から預かっている資金に対し、そのリスクに見合う利回りを確保するという観点から「ROE」、さらに企業価値に対する市場からの評価を示す指標として「PBR」を中長期的な指標としております。
当連結会計年度における売上高は2,464億65百万円(前期比0.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は44億85百万円(前期比24.4%増)となったためROEは15.5%に改善しました。PBRにつきましては、1.0倍となりました。引続きこれらの指標の継続的な改善に向け、取り組んでまいります。
(食品スーパー事業の事業譲渡に関する契約)
当社は、株式会社バローホールディングス(本社:岐阜県恵那市、社長:小池孝幸、以下「バローホールディングス」といいます。)との間で、当社の連結子会社である株式会社トーホーストア(本社:神戸市東灘区、社長:橋本博文、以下「トーホーストア」といいます。)が営む食品スーパー事業の一部事業譲渡を進めておりましたが、トーホーストアの閉鎖予定の一部店舗につきまして、バローホールディングスの100%連結子会社である中部薬品株式会社(本社:岐阜県多治見市、社長:高巣基彦、以下「中部薬品」といいます。)に追加で3店舗を、またゴダイ株式会社(本社:兵庫県姫路市、社長:浦上卓也、以下「ゴダイ」といいます。)に3店舗をそれぞれ事業譲渡する契約を締結いたしました。
以上の結果、16店舗をバローホールディングス(株式会社八百鮮へ3店舗、株式会社ヤマタへ2店舗、中部薬品へ11店舗)へ、3店舗をゴダイへ、4店舗を株式会社三杉屋へ譲渡し、残りの3店舗は2024年11月21日をもって閉鎖いたしました。
本件の対象である食品スーパー事業(トーホーストア)は、1963年に神戸市に出店して以来、兵庫県南部を中心に、最盛期である1980年代後半は最大69店舗を展開し、当社グループのコア事業である業務用食品卸売事業とともに経営の両輪を担っておりました。しかしながら、近年は競争激化の影響を受け、商圏の拡大には至らず、事業規模は縮小し、厳しい状況が続いております。
こうした状況を受け、当社は、業務用食品卸売事業への経営資源の集中を図るべく、食品スーパー事業の譲渡を進めたものであります。
(1)追加で譲渡する事業の内容
① 中部薬品に譲渡する事業
トーホーストアが営む食品スーパー事業のうち、西長田店(2024年1月31日閉鎖)、ポーアイ店(2024年11月20日閉鎖)、阪神大石駅店(2024年11月21日閉鎖)に係る事業
② ゴダイに譲渡する事業
トーホーストアが営む食品スーパー事業のうち、名谷北落合店(2024年3月28日閉鎖)、みかたプラザ店(2024年3月31日閉鎖)、大久保駅前店(2024年9月5日閉鎖)に係る事業
(2)譲渡対象事業の経営成績※
※譲渡対象店舗に係る事業の経営成績
(3)譲渡対象事業の資産、負債の項目及び金額(簿価は各譲渡日時点の簿価)
(4)譲渡価額及び決済方法
① 譲渡価額 81百万円
② 決済方法 現金決済
(5)相手先の概要
① 中部薬品(2024年3月31日現在)
② ゴダイ(2024年2月29日現在)
(注)純資産、総資産、大株主および持株比率の記載については、相手先の意向により非公開とさせていただきます。
(6)日程
① 取締役会決議 2024年3月18日
② 事業譲渡契約締結日 2024年3月18日
特記すべき事項はありません。