当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) グループ理念
当社グループは、以下のグループ理念のもと、こころを動かす空間づくりに挑戦し続けています。
パーパス/私たちの存在意義
「空間から未来を描き、人と社会に丹青(いろどり)を。」
私たち丹青社グループは、こころを動かす空間づくりのプロフェッショナルです。
私たちが考える空間づくり―
それは、まだ世の中にないものを、かたちにすること。
そして、空間によってもたらされる こころ動く体験 を生み出すこと。
よろこび、おどろき、安心、感動。
そこに集う人々の生活や人生を、豊かなこころの動きで彩るために。
そして、社会を「丹(あか)と青」の豊かな色で鮮やかに彩るために。
私たちは多彩な個性を生かして、
これまでもこれからも、こころを動かす空間づくりに挑戦し続けます。
※ 社名の由来:「丹青」とは、赤(丹)・青の基本的な2色から“豊かな色彩”を示し、転じて絵画や画家、絵を描くことを広く指した中国に由来する語です。
バリュー/私たちの価値観
人と向き合う
空間を通じてつながる仲間やステークホルダーの想いに誠実に向き合う。
丹精をこめる
プロフェッショナルの矜持と業(わざ)で、一つ一つの仕事に真摯に取り組む。
いまの先に挑む
しなやかな思考と創造力で自らを成長・変革させながら、挑戦し続ける。
個性をかけ合わせる
きらめく創造性、尖った技術、それぞれの個性を認め合い、こころを一つにする。
仕事を楽しむ
全ての仕事と変化を楽しむ。
(2) ビジョン
当社グループは、2024年2月に、創業100周年にあたる2046年に向けたビジョン、「私たちの未来ビジョン2046」を策定しました。
私たちの未来ビジョン2046
こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル集団であり
空間と自分自身の可能性を切り拓くチャレンジ集団でもあり続ける
変化する社会に、空間づくりからできることを。
サステナビリティ:
気候変動をはじめとする環境・社会課題に向き合い、その解決に真摯に取り組みます。
空間づくりのプロセスをサステナブルなものに変革するとともに、価値ある空間の創造によって、もっと彩りあふれる持続可能な社会の実現に貢献します。
ボーダーレス:
海外と国内、都市と地域、リアルとバーチャル、あらゆる境界を飛び越えてシームレスに事業展開し、世界中のクライアントやパートナーと共創することで、これまでにない体験価値を創造します。さらに空間づくりを通して、日本各地の価値ある文化や自然、技術の魅力を高め、世界に向けて発信します。
変化する市場・顧客に、こころを動かすソリューションを。
基盤の強化:
最先端のテクノロジーや新しい価値観を積極的に取り入れ、根幹の課題解決力を絶えず磨くことで、「こころを動かす空間づくり」のプロフェッショナルとしてさらなる高みを目指します。
領域の拡張:
市場やクライアントが抱える複雑で多岐にわたる課題に向き合い、従来の枠に囚われず、新たなフィールド、新しいビジネスモデルへと事業を拡張し、「こころを動かす」空間ソリューションを提供するベストパートナーを目指します。
そのために、私たちは進化し続けます。
人が中心の組織と働き方:
多彩な人材が協働し共創することで、より柔軟性の高いイノベーティブな集団へと成長します。そして、働き方の多様性を担保し、一人ひとりの生き方や幸せを尊重することで、強い個で構成された集団としてクリエイティビティを向上させます。
人を想う空間づくり:
こころの豊かさや人間性への回帰が求められるこれからの社会において、人と人をつなぐ空間でさらなる感動を創出するために、私たち自身の可能性を追求し続けます。
(3) 経営戦略等
当社グループは、新たに策定した中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)に基づき、成長軌道に乗るための「基盤整備」を進めるとともに、新規事業等の「新たな領域への挑戦」に取り組むことで、長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
なお、中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)における戦略は以下のとおりです。
①働き方と人的資本の基盤整備
長時間労働是正に向けた具体的・実効的な取り組み実施する。BIMなどのデジタル技術も活用し、業務プロセスを見直すことで効率を高める。
人への投資を強化するとともに、人材のポテンシャルを最大化し、成果に結びつけるための環境整備を行う。(ダイバーシティ&インクルージョンの取組み、エンゲージメント強化施策など)
②マーケティングの基盤整備
顧客・マーケットに寄り添い、そのニーズを的確に把握し課題解決を実践する。
事業部を再編し、よりマーケットに精通した対応を目指す。
デジタルマーケティングも含めたマーケティングの体制・仕組みを整備・確立するとともに、高付加価値・高品質なサービスを生み出すプロセスや行動について分析し、成果の「再現性」を高め、競争力と収益性の向上を図る。
③サプライチェーンの基盤整備
中期経営計画に示す成長計画、さらにその先の成長を見据え、これを支える生産力を確保するため、協力会社体制の整備を図る。分野別・業務内容ごとにサプライチェーンの状況を整理し、不足する部分を計画的に補強していく。
また、協力会社との関係強化を図り、働き方改革、BIM活用、サステナビリティなどの共通課題に対して連携して取り組む体制をつくる。
④サステナビリティ対応の基盤整備
サステナビリティに関連する「売り物」(ソリューション)を戦略的につくり、提案していくことで、急速に高まる顧客のニーズに応える。
社会の要求の高度化に合わせ、サステナビリティ対応を充実させる。気候変動対応については、温室効果ガスの排出量の算定範囲・方法を確立させる。省エネの徹底、再エネの活用を中心に、温室効果ガスの排出量削減を図る。
⑤領域の拡張への挑戦
空間づくり事業の資源を活用し、次の「柱」になる新規事業を開発・育成する体制を構築する。
海外の取り組みの現状を再点検し、成長に向けた戦略と体制の整備を行う。
また、中期経営計画の業績目標及び非財務目標は次のとおりであります。
業績目標
|
売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) |
2025年1月期 (実績) |
91,858 |
5,147 |
5,316 |
3,875 |
2026年1月期 (計画) |
98,000 |
6,000 |
6,100 |
4,400 |
2027年1月期 (計画) |
95,000 |
5,500 |
5,600 |
3,900 |
※ 2025年3月17日付で業績目標を修正しております。
非財務目標
ありたい姿 |
指標及び目標 |
①働く幸せ 社員が働きがい、仕事の楽しさを実感し、いきいきと働いている |
エンゲージメントスコア(従業員意識調査の総合評価)を前回調査より改善する。 |
②働く幸せ 長時間労働が是正され、労働時間の適正化が実現できている |
労働時間の社内基準に適合する従業員数を前年よりも増加させる。 |
③生産体制の整備 中期経営計画の成長計画、さらにその先の成長を支える生産力を確保する |
協力会社新規開発の達成度100% |
④サステナビリティ サステナビリティ全般について取組みが充実し、社会の要求を満たせている |
EcoVadisの評価でシルバーランクを取得する。 ※ |
女性管理職比率を15%以上にする。 |
|
⑤気候変動対応 温室効果ガス排出量の算定方法を確立させ、具体的な削減の取組みを始めている |
Scope1・2の温室効果ガス排出量を2022年1月期から40%削減する。(当該期の算定範囲に限る) |
※ EcoVadisはフランスのサステナビリティ評価機関であり、サプライチェーンのサステナビリティ評価において国際的に広く普及していることから、当社のサステナビリティに関する対応を評価する指標として採用しております。
(4) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、投資家の皆様から託された資本を有効活用し、最大限の成果を上げることが経営の責務であると認識し、自己資本当期純利益率(ROE)を経営上重視すべき経営指標に定めております。中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)の目標値としては、自己資本当期純利益率(ROE)11.0%を掲げており、株主資本の充実を図る中で、親会社株主に帰属する当期純利益の増加による達成を目指してまいります。さらに、長期的には自己資本当期純利益率(ROE)10%以上を目指してまいります。
また、還元目標については配当性向50.0%以上を目標としております。
なお、自己資本当期純利益率(ROE)及び配当性向の推移は以下のとおりであります。
|
2021年1月期 (%) |
2022年1月期 (%) |
2023年1月期 (%) |
2024年1月期 (%) |
2025年1月期 (%) |
自己資本当期純利益率(ROE) |
12.0 |
4.9 |
1.6 |
9.1 |
11.9 |
配当性向 |
55.4 |
86.3 |
309.9 |
51.7 |
54.8 |
(注)1 指標は、連結ベースの財務数値により算出しております。
2 自己資本は、(期首自己資本+期末自己資本)/2により算出しております。
また、業績面においては、営業利益率を重視すべき経営指標に定め、中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)の目標値として、連結営業利益率5.8%を掲げております。
なお、連結営業利益率の推移は以下のとおりであります。
|
2021年1月期 (%) |
2022年1月期 (%) |
2023年1月期 (%) |
2024年1月期 (%) |
2025年1月期 (%) |
連結営業利益率 |
7.3 |
3.2 |
1.0 |
4.8 |
5.6 |
(5) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
足元の環境については、緩やかな景気回復と雇用、所得環境の改善が続き、需要は堅調に推移すると考えられます。また、訪日外国人旅行者数の増加に伴い、インバウンド関連施設の設備投資の拡大も追い風になると認識しております。
ただし、下振れリスクとして、物価高の長期化による消費者マインドの悪化、深刻な人手不足による供給制約、欧米における高金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続等に伴う海外景気の下振れ等が懸念されます。
上述の経営環境を踏まえ、当社グループは、昨年度に策定した中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)の基本方針を維持したうえで、目標値を上方修正いたしました。堅調な経済環境下での着実な事業成長を実現するとともに、働く環境の改善やマーケティングの仕組みづくりなどの重要課題への対処をはじめ、より長期的に、持続的に成長していくための基盤整備に注力してまいります。さらに、「空間づくり」の可能性を拡げるため、新規事業など、新たな領域への挑戦をしてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
(ガバナンス)
当社グループでは、丹青社グループサステナビリティ方針「価値ある空間を創造する事業を通じて環境・社会課題に向き合い、その解決に真摯に取り組むことで、企業価値の持続的向上を図るとともに彩りあふれる持続可能な社会の実現に貢献します。」に則りサステナビリティの取り組みを進めております。サステナビリティ関連の課題への対応にあたり「サステナビリティ委員会」を設置しており、代表取締役社長が同委員会の委員長を務めております。同委員会における検討内容・状況は定期的に取締役会に報告されるとともに、サステナビリティに関する重要な方針等については同委員会での検討を経て取締役会に付議され、審議・決定しております。
なお、「気候変動対応」「人的資本経営」及び「人権対応」については、同委員会下に当該テーマに特化した対応を行う分科会を設置しております。
同委員会の機能は次のとおりであります。
①サステナビリティに関する重要事項の検討(リスク・機会の特定・評価、方針・戦略・目標等の設定等)
②サステナビリティに関する取組状況のモニタリング
③サステナビリティ課題への対応促進
(戦略)
当社グループでは、サステナビリティの取り組みにおける6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、企業活動全体を通じてこれらの課題に対応する取り組みを推進しています。 なお、マテリアリティは自社及び社会の状況の変化に合わせ、定期的に見直しを図っており、現在のマテリアリティは2024年2月に再特定したものです。
マテリアリティ
人間の尊重
私たちは、人権と多様性を尊重し、人間の幸福を追求します。多様なユーザーの「こころを動かす」空間・体験を提供するとともに、多様な社員が互いに認め合い、さまざまな視点・知見・ノウハウを活かし合う組織風土、一人ひとりが成長し活躍できる環境をつくります。
環境との共生
私たちは、地球温暖化や生物多様性の喪失、資源の枯渇といった環境問題に向き合い、企業活動全体を通じてその対策に取り組むことで、脱炭素、自然共生、循環経済の実現に貢献します。
地域・社会の発展への貢献
私たちは、人々の豊かな交流を促すとともに、産業・経済活動の活性化や、多様で豊かな文化の創造・発信・継承を通して、地域や社会の発展に貢献します。
イノベーションの推進
私たちは、社会の変化、テクノロジーの進化等に対応し、常に学び続けるとともに、各種研究開発や実証実験に積極的に取り組みます。新サービスや新事業の開発を通して、新しい価値の創造に挑戦し続けます。
責任あるサプライチェーンの構築
私たちは、協力会社・パートナー企業とのネットワーク拡充と信頼関係構築を通じて、品質・安全を含む価値創造の基盤をつくり、サプライチェーン全体で環境や人権などのサステナビリティ課題に取り組みます。
コーポレートガバナンスの充実
私たちは、社会の変化に適応し、常に最良のコーポレートガバナンスを追求し、その充実に継続的に取り組みます。意思決定の透明性・公正性を確保するとともに、企業として高い倫理観を備え、社会から幅広く信頼される企業であり続けます。
また、当社グループは、上述のとおり、中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)において「サステナビリティ対応の基盤整備」を戦略に掲げ、サステナビリティ関連の非財務目標の達成に向けて各種施策を推進しております。
なお、「気候変動」及び「人的資本」に関する戦略は、後述の「(2)気候変動」「(3)人的資本」に記載しております。
(リスク管理)
当社グループでは、サステナビリティに関する問題を含めた、経営成績や財務状況に重要な影響を与え、事業の円滑な運営と成長に支障をきたす恐れのある事象について、恒常的に特定・評価・分析し対策を講じております。
これら事業活動上のリスクについては、「損失危険管理規程」に基づいてリスクマネジメント活動を総括・推進する、代表取締役社長を委員長とした、リスク・コンプライアンス委員会を中心に洗い出しを行い、事象が発生する可能性や発生した場合の影響の度合い等の基準により評価しております。評価結果を踏まえ、経営として特に重視すべきリスクを特定し、全体的見地から特に実施すべきリスク対策を定めてその実行状況をモニタリングしております。
以上のリスクの把握・評価・対策における重要な選択や決定等は取締役会に報告され、経営による判断・意思決定と連動しております。
なお、気候変動関連、人的資本、および人権関連のリスクについては、上述のサステナビリティ委員会において特定・評価したうえで、リスク・コンプライアンス委員会に報告し、全体のリスクアセスメント(リスクの認識・評価)及びリスク対策のプロセスに統合する形でリスク管理を行なっております。
(指標及び目標)
当社グループは、中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)において、サステナビリティに関連する非財務目標を設定しております。(「
(2) 気候変動
(ガバナンス)
「
(戦略)
当社グループでは、気候変動による気温上昇や、それに伴う社会の変化や災害リスクを重要な課題と捉え、積極的に対応を進めております。その一環として、気候変動に関連する短期・中期・長期にわたる「リスク」と「機会」の特定に取り組み、シナリオ分析を実施いたしました。具体的には、1.5℃シナリオと4℃シナリオの二つを検討対象としております。
このアプローチは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次報告書やCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)に示されるように、産業革命以降の地球の平均気温上昇を1.5℃以内に抑えるべきとの国際的な目標を踏まえたものです。
また、政府や国際機関が公表する将来予測レポートを参考に、気候変動に伴う移行リスク(政策や法規制、市場、評判)、物理的リスク(急性リスク、慢性リスク)、さらに気候変動に適切に対応することで生まれる機会(製品・サービス、市場、レジリエンス)についても、包括的に検討しております。
シナリオの前提
リスク 種類 |
設定 シナリオ |
参照シナリオ |
概要 |
考えられる自社事業活動への影響 |
移行 リスク |
1.5℃ シナリオ |
国際エネルギー機関(IEA), 「World Energy Outlook 2022」Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZEシナリオ) |
21世紀までの平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるシナリオ。 持続可能な発展を実現するため、大胆な政策や技術革新が起こり、その分脱炭素社会への移行にともなう社会変化が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。 |
・鉄鋼やコンクリート等、高排出な資材に対する炭素税をはじめとする規制対応費用の価格上乗せが発生する ・市場全体に環境配慮設計が求められるようになる ・低炭素資材や再生材が普及し、それらの採用が一般的になる ・サステナビリティへの取り組みが加速し、競合他社との差別化が求められる |
物理的 リスク |
4℃ シナリオ |
気候変動に関する政府間パネル(IPCC), 「IPCC第6次評価報告書(AR6)SSP5-8.5シナリオ」 |
21世紀までの平均気温の上昇が4℃程度上昇する。 成り行き任せに近く、社会の変化は起こらないが、気候変動に伴う異常気象や災害が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。 |
・自社サプライチェーン上での気候災害の発生頻度が上昇し、事業活動や調達への影響が増大する ・世界中での気候災害が頻発し、資材の原材料調達が難しくなる ・熱波の増加、深刻化により現場作業員へ悪影響が出る |
シナリオ分析の対象範囲
項目 |
シナリオ分析対象範囲 |
地域 |
国内 |
対象事業範囲 |
事業(上流・下流のサプライチェーン全体を含む) |
企業範囲 |
連結全体 |
時間軸の定義 |
短期(1年以内)、中期(3年以内)、長期(3年以上)を想定 |
インパクトの評価方法 |
社内のリスク評価方法に従い、発生確率と財務影響度(予想)の2軸で評価 |
シナリオ分析結果
区分 |
リスク項目 |
時間軸 |
影響 |
影響度 |
対応策 |
政策・法規制 |
新たな規制や社会的義務の発生 |
中~長期 |
炭素税の発生および高排出な建材への規制強化による調達原料コストの増加 |
中 |
・炭素排出量の少ない代替品・調達先の選定 ・サプライチェーン全体の低炭素化 ・自社の排出量の抑制 ・サービスへの価格転嫁 |
区分 |
リスク項目 |
時間軸 |
影響 |
影響度 |
対応策 |
市場 |
低炭素社会を指向する社会トレンドと事業ニーズの移行 |
短~長期 |
気候変動対応の遅れによる環境配慮型施設の受注機会喪失、売上減少 |
大 |
・低炭素型のソリューション開発 ・「環境配慮設計」「環境配慮施工」の強化・推進 |
外部資源の調達価格高騰、コスト上昇 |
短~長期 |
低炭素型製品・再生材需要増加による調達価格上昇および売上機会の減少 |
大 |
・サービスへの価格転嫁 ・代替品調達の検討 ・低炭素製品の供給サプライヤとの連携の強化 ・調達先の複数化 ・廃棄物削減や余剰資材の活用等によるコスト削減 |
|
評判 |
温暖化ガスの排出抑制・省エネ等の環境負荷軽減の取り組み不足による評価・信頼の低下 |
短~長期 |
人的・物的被害発生(運営施設含む)およびライフラインの停止、サプライチェーン寸断による事業継続への支障による損失 |
中 |
・外部専門家等を活用した、適切かつ積極的な情報開示 ・風評関連の事象の発生に関するモニタリングの実施 ・環境負荷軽減のための取り組みの強化 |
急性物理的 |
気温上昇の常態化による資源の減少 |
短~長期 |
森林植生の変化による、資源調達の困難化および調達価格の高騰 |
中 |
・代替調達先の確保、調達先の複数化 |
慢性物理的 |
気温上昇の常態化による労働条件の悪化 |
中~長期 |
・真夏日が増加し健康配慮のために作業時間を調整することによる、工事期間の延長に伴う売上減少 ・作業環境向上のための対策コストの増加 ・労働環境悪化に伴い人材定着の阻害が生じる懸念 |
中 |
・サプライチェーン全体の労働環境の改善 ・健康管理の推進 |
機会
区分 |
機会項目 |
時間軸 |
影響 |
影響度 |
対応策 |
リソースの効率化 |
資材運搬の効率化(地場産材等の活用含む) |
短~長期 |
・運搬費用・運搬時のCO2排出量削減 ・産廃処理費用の減少 |
小 |
・産廃削減策の実施 ・設計時・協力会社選定時の検討 ・地域と連携した、地場産材の活用強化 ・電化の推進 |
製品 および サービス |
サステナビリティ対応促進による施設需要の変化・拡大 |
短~長期 |
・気温上昇により屋外環境が悪化する中、省エネ化や災害予防を備えた快適性の高い施設リニューアル需要増に伴う売上増加 ・脱炭素社会に向けた環境意識醸成等のための施設リニューアル需要増に伴う売上増加 |
大 |
・営業活動の強化・対象拡大 ・提案力の強化 ・対外発信の強化 |
炭素排出量の少ない素材・商品・サービスの活用・開発 |
短~長期 |
環境負荷低減商品・サービス需要拡大による売上増加 |
大 |
・低炭素型のソリューション開発 ・「環境配慮設計」「環境配慮施工」の強化・推進 ・社内啓発活動・対外発信活動の強化 ・専任部門の強化による、部門を横断した環境配慮提案の推進 ・流通・販路の拡大 ・カーボンオフセットを活用した室内空間の提案 |
|
市場 |
新市場への参入 |
中~長期 |
炭素排出量削減に寄与する新たな事業の創出による売上増加 |
小 |
・リノベーション新事業の展開 ・新事業・新商品(ソリューション)の開発 |
レジリエンス |
空間づくり事業の資源を活用した新規事業の創出 |
中~長期 |
新たな収益源の確保・需要変動リスクの分散 |
小 |
・新事業・新商品(ソリューション)の開発 ・他企業・クリエイターとの協業・共創の促進 ・新規顧客の開拓 |
(リスク管理)
「
(指標及び目標)
当社グループは、中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)において、気候変動に関連する非財務目標を設定しております。(「
具体的には、Scope1、2の温室効果ガス排出量を2021年度(2021年2月~2022年1月)比で40%削減することを目標としております。
なお、2021年度における温室効果ガス排出量(Scope1、2)は、367 t-CO2 であります。
※ 温室効果ガス排出量の実績値及び目標値は、株式会社丹青社のみを対象としております。
温室効果ガス排出量の推移は次のとおりであります。
(単位:t-CO2)
|
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2023年度 (参考) |
Scope1、2 |
|
|
|
2,444 |
Scope3 |
|
|
|
338,047 |
合 計 |
|
|
|
340,492 |
Scope1,2の削減率 |
- |
20% |
14% |
- |
(注)1 算定対象期間はそれぞれ、2021年度は2021年2月~2022年1月、2022年度は2022年2月~2023年1月、2023年度は2023年2月~2024年1月です。
2 本表は株式会社丹青社単体のディスプレイ事業を対象としており、施設運営事業等その他の事業については算定範囲に含めておりません。
3 2023年度(参考)のデータは、当該年度より算定範囲を拡大して算出したものであり、Scope1,2は株式会社丹青社および国内連結子会社、Scope3は株式会社丹青社単体の全事業(施設運営事業等その他の事業を含む)を対象としております。
4 Scope2排出量はマーケット基準での算定を採用しております。
5 2022年度のデータについて、Scope3カテゴリ3の一部エネルギー源を新たに特定したことにより2024年1月期有価証券報告書記載の数字から変更しております。(Scope3:258,231→258,279、合計:258,523→258,571)。
(3) 人的資本
(ガバナンス)
「
(戦略)
当社は、「人間の尊重」をマテリアリティに掲げ、人事方針を定め、当社がプロフェッショナル集団、チャレンジ集団であり続けるために、その一員である従業員一人ひとりが強い個となることを目指し、採用、人材育成及び社内環境整備に取り組んでおります。
人事方針 当社は、従業員の多彩な個性と創造力が最も重要な経営資源であることを認識し、従業員の自律性と個性を尊重します。従業員の健康が創造性の発揮と健全な成長の土台であるとの認識のもと、従業員の健康と安全に配慮した働きやすい職場環境を整備します。そして、当社がプロフェッショナル集団、チャレンジ集団であり続けるために、その一員である従業員一人ひとりが強い個となることを目指して、成長の機会を提供するとともに、チーム・組織全体の成長を支援します。
1.従業員の基本的人権、個性を尊重します。 人種、宗教、国籍、性別、性的指向、性自認、障害の有無等による差別を行わず、多彩な個性、価値観を尊重します。
2.働きやすい・働きがいのある職場環境をつくります。 従業員の健康と安全に配慮し、働きがいのある仕事ができる職場環境、多様な働き方ができる職場環境をつくります
3.従業員・チーム・組織の成長を支援します。 多様な仕事での挑戦、人材開発(教育訓練・キャリア開発)、組織開発を通じて成長の機会を提供します。
|
当社グループにおける、人的資本に関するリスク及びその対策は以下のとおりであります。
当社グループの事業は課題解決という無形のソフト・サービスを「空間」を介して提供するものであり、その提供価値の多くを従業者が発揮する人的能力によっています。価値創造や利益創出の起点となるべき従業者(従業員のほか、派遣社員等も含む。以下同)の状態やパフォーマンスの良否が、事業の円滑な推進と成長に大きく影響します。
(a) 起こり得る事象と影響
ⅰ 事業推進の負担等から従業者の労務の健全性が損なわれた場合、大きな損失が発生する可能性があります。
「空間づくり」事業では担当者の創意工夫が発揮される機会も多く、従業者は創造性を求められる業務に積極的に従事しております。半面で労働集約的な側面もあり、過重労働に陥る危険が常に存在しております。また顧客の経済活動をサポートするという性質上、制作施工の期間が十分には確保されにくいこともあり、特に現場作業に携わる従業者を中心にワークライフバランスを損ねる恐れがあります。近時は人手不足の慢性化・深刻化もあり、その面でもこうした過重労働リスクの克服を難しくしています。
加えて、気候変動による気温上昇が常態化してきているなか、工事現場をはじめとする作業環境の条件悪化とそれによる人的ダメージについても懸念されます。
過大な業務負荷や労務環境の劣悪化等に起因して健康障害や心身の不調を生じるような事態が多く発生した場合、労働意欲や業務の成果・効率性に影響をきたし、事業の円滑な遂行を阻害する可能性があります。また、仮に労働関連規制に違反した場合には指導・処分の対象となり得るほか、労働災害としての訴訟や補償につながることもあり得ます。企業の社会的な信頼や評価を損ね、事業機会の逸失という損失が発生する可能性があります。
ⅱ 従業者の事業に対する貢献意欲を適切に保持・昂揚できなかった場合、大きな損失が発生する可能性があります。
前出のとおり、当社グループの価値提供は個々の従業者の能力発揮に依存しているところが大きく、その原動力として会社や仕事への共感や支持、事業への貢献意欲が高く保たれていることが欠かせません。
従業者のエンゲージメントが低下し、モチベーションを高く維持できないような状況が起きた場合、業務のパフォーマンスの悪化を招いたり、人材の流出が起きたりといった損失が生じる可能性があります。これらにより当社グループとしての提供価値を高く維持することが困難となり、事業活動の円滑な遂行や着実な成長に支障が出る等の損失が発生する可能性があります。
ⅲ 組織の多様性や専門能力を担保するための人材確保が適切に行えなかった場合、大きな損失が発生する可能性があります。
当社グループのサービスを支えているのは個々の従業者であり、企業としての提供価値を最大化するためには、様々な特性・能力・価値観をもった人材による多様性に富んだ組織の維持が不可欠です。また、高度な専門知識や技能の発揮によるプロフェッショナルとしての対応が求められる場面が多く、そうしたスキルを組織として維持・継承していくための人材の配置も大変重要です。
必要な人材の採用・育成が遅れたり計画どおり実施できなかったりした場合、あるいは人材の流出等が発生した場合、組織の多様性や高い専門性を担保する人材の不足をきたし、当社グループが提供するサービスの価値や優位性が低下する恐れがあります。これにより機会喪失や事業の円滑な遂行の阻害等が起き、収益低下等の損失が発生する可能性があります。
(b) 対策
当社グループでは、従業者の健康と安全に配慮しつつ、仕事と生活の両立を実現し、多様な働き方を通してそれぞれが十分に能力を発揮できる組織を目指しております。従業員が疲弊感なく働きがいや仕事の楽しさを実感していきいきと働いている状態を目指し、従業員意識調査の結果を向上させていくことを中期経営計画の非財務目標にも掲げております。
労務環境の悪化を防ぎ働く安心を確保するため、健康と安全に配慮した働きやすい職場環境の整備を「丹青社グループ行動基準」に定め、実現に取り組んでおります。過重労働防止の管理目標を設定して改善を図る一方、全社で労働安全衛生にかかるマネジメント活動の実践や各種健診・相談等の施策を実施しております。
働きやすさ・働きがいの向上については、人事制度の見直しや働き方改革推進のプロジェクト活動等を通して実現を図っております。テレワーク制度や時間の自由度を高めたフレックスタイム制等、新しい勤務体系を導入してきたほか、育児・介護支援の施策も進めることで、働き方の多様化への対応とワークライフバランス改善に繋げております。これらのよりよい職場づくりには、従業員意識調査の結果も活用しております。
組織と人材の多様性を確保・維持することに向けては、従業員の多彩な個性の尊重と能力の発揮を重視する旨を「丹青社グループ行動基準」で方向づけており、また中期経営計画でも「働き方と人的資本の基盤整備」を掲げて環境の整備に取り組んでおります。女性・高齢者・障害者等を含む多様な人材を雇用し、様々な視点・知見・ノウハウを活かし合う組織風土の醸成に努めております。またダイバーシティについて体験・学習する研修を行い、多様な働き方を認め支える社内風土の醸成を図っております。
専門性の高い人材の配置を担保するため、採用や人材育成にも重点を置いており、多様な仕事経験やチャレンジングな仕事経験、OJTのほか、各種の教育訓練プログラムやキャリア開発支援の機会を提供してスキルの習得と成長を促進しております。特に、技術者資格を取得するための教育や支援には注力しているほか、デジタル活用による価値創出を強化するためにデジタル技術やデータ分析に精通した人材の育成にも取り組んでおります。
(リスク管理)
「
(指標及び目標)
当社グループは、中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)において、人的資本に関連する非財務目標を設定しております。(
(1)リスクの管理について
当社グループでは、経営成績や財務状況に重要な影響を与え、事業の円滑な運営と成長に支障をきたす恐れのある事象について、恒常的に特定・評価・分析し対策を講じております。
これら事業活動上のリスクについては、「損失危険管理規程」に基づいてリスクマネジメント活動を総括・推進するリスク・コンプライアンス委員会を中心に洗い出しを行い、事象が発生する可能性や発生した場合の影響の度合い等の基準により評価しております。評価結果を踏まえ、経営として特に重視すべきリスクを特定し、全体的見地から特に実施すべきリスク対策を定めてその実行状況をモニタリングしております。
以上のリスクの把握・評価・対策における重要な選択や決定等は取締役会に報告され、経営による判断・意思決定と連動しております。
(2)主要なリスクと対策
リスク群に対する評価結果を踏まえ、当社グループにおいて特に重視すべきリスクとして認識するものは本項に掲げる5項目です。いずれも事業を円滑かつ安定的に運営するうえでの障害となり、投資者の判断にも重要な影響を及ぼす可能性があると捉えておりますが、これらは当社グループの事業特性等も考慮して経営的見地から選別・整理したものであり、当社グループが直面し得る事象を網羅するものではありません。また、各リスクには相互に関連し影響し合うものも含まれます。各記述のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①不確定性のリスク
当社グループの事業は、「空間」を介して事業者や利用者の多様な需要にこたえ、課題解決を提供することで成り立っております。その特性上、経済動向や市場・社会のニーズと要請の変化に多分に左右され、これらが経営成績及び企業価値の発揮に大きく影響します。また、大規模な災害・疫病など予見が難しい事象が発生することによる、事業の継続性への影響も想定されます。
(a)起こり得る事象と影響
ⅰ景況悪化等の影響から事業者の設備投資意欲等、需要が減少した場合、大きな損失が発生する可能性があります。
景気の悪化が深刻化した場合、当社グループの顧客となる事業者の投資抑制を招き、新たな受注機会が減少するほか、見込まれていた案件の延期や縮小・中止等の形で直接的な影響が生じます。消費の低迷から小売業・サービス業による設備投資が減少した場合は、店舗等の新装・改装等の需要が失われます。また、企業活動の抑制から販売促進や広告宣伝に対する支出が抑えられることで、展示会やイベント・プロモーション活動に関連する需要が減少します。これらとともに、顧客の業績悪化等による債権回収上のリスクも高まります。さらに、地方自治体の財政状態の悪化により公共投資が削減された場合、文化施設・公共施設の整備にかかる需要が減少します。また、当社グループが行なっている公共施設の運営管理事業にも影響が生じます。
こうした需要減少リスクに対し的確な把握や回避等の対応ができなかった場合は、売上の減少や採算性の悪化等、損失が発生する可能性があります。
また、人口の減少、少子化・高齢化といった市場の基盤に関わる社会動向についても、需要の変動を左右する重要な要素として注視が必要と考えております。
ⅱ市場のニーズや消費の動向等、経済環境のトレンドの変化への対応が適切でなかった場合、大きな損失が発生する可能性があります。
当社グループは、「空間」により事業を行う事業者のニーズ、さらにはそうした空間の利用者、ひいては一般消費者の期待に応じ、その課題を空間を通じて解決することを事業としております。必然的に、事業者の期待や消費者の嗜好・関心、価値観等の変化を常に的確に把握し、提供価値を高めていく必要があります。
これらニーズや需要動向の変化を適切に捉えられなかったり、必要な対応が十分行えなかったりした場合、顧客からみた当社グループの提供価値が低下する事態が生じかねません。当社グループの提案が顧客や市場のニーズを満たさず受け入れられないこと、新規需要を喚起できないこと、顧客満足を維持できないこと等が起きる可能性があります。また、新たなニーズや需要の変化に対応した技術等への適切な投資や資源配分が行えなかった場合、提案やサービスの競争力や優位性が失われて陳腐化し、価格競争を余儀なくされる恐れもあります。
こうした事態の結果、受注機会を喪失し、収益の減少や成長の鈍化等、損失が発生する可能性があります。顧客や市場の支持が低下してネガティブな評価がなされることにより、信用・信頼を毀損する損失が発生する可能性もあります。
なお、近年はデジタル技術が社会生活の広範にわたって浸透し、消費行動はじめ経済活動のあり方が大きく様変わりしております。企業活動やビジネスのスタイルも問い直しが進み、これらの変化はコロナ禍によりいっそう強められ加速されています。デジタルへのシフトは影響の範囲と程度の点で大変大きな環境変化であり、「空間」に対するニーズの変化等を含め対応を誤ってはならない重要課題と認識しております。
ⅲ価格競争の激化や競合状況の変化により利益の圧縮を余儀なくされた場合、大きな損失が発生する可能性があります。
当社グループは常に、業態や企業規模の異なる多様な競合企業との競争環境に置かれております。需要の減少等「パイ」の縮小に対して競争がさらに激化すること、また想定を超えた新たな競合企業が出現すること等があり得ます。顧客からのコスト圧縮の要求が強まる可能性も常に存在します。
こうした競争環境において相対的な優位が確立できない場合、やむを得ず価格競争に陥ったり、競合企業による営業基盤の浸食を防げなかったりする恐れがあります。これにより顧客や事業機会が失われ、また販売価格の下落が費用の圧縮を上回った際には、収益の悪化をきたす等の損失が発生する可能性があります。
ⅳ経済動向等により、購買先からの調達に支障が生じたり価格が高騰したりした場合、大きな損失が発生する可能性があります。
当社グループの事業では、「空間」及び関連するサービスの提供を行うために、原材料・資材・労務・サービス・情報・ノウハウ等の多くを購買先の企業等から調達しております。これら外部資源の調達には各種の不確定要因が潜在し、円滑・安定的な調達が行えなくなる事態の発生を否定できません。
様々な原因から外部資源の調達価格が高騰し、コスト上昇の要因となる事態が起こり得ます。また、生産・供給の縮小や停止等のほか、資源難や諸規制の変更に起因して必要な調達が行えなくなる場合もあります。景況が悪化した場合の影響が及ぶことで、購買先の操業や事業の継続が難しくなる等の状況も考えられます。大規模な災害や事故等、不測の事態の発生によりこれらの状況が生じることも十分に想定されます。
調達価格の上昇に対して販売価格への転嫁ができなかった場合、利益率の低下による損失が発生する可能性があります。また、調達が困難となった資源等について代替品や代替の調達先が確保できなかった場合、新たな収益機会の喪失はもとより、受託済み案件の設計・制作作業や提供サービスの進行が停滞する恐れがあります。工場での制作や現場施工の遅延や中断、納期遅れ等が生じて契約の履行義務を果たせない事態に至った場合、当社グループに対する信用・信頼を損なうほか、賠償金支払い等の損失が発生する可能性があります。
ⅴ大規模な自然災害の発生や疫病の蔓延等、不可避的な危機の発現が、当社グループの事業の安定継続に重大かつ複合的な影響を及ぼす可能性があります。
大地震や激甚化した風水害・異常気象等の発生、あるいは感染症等、疾病の広範囲への拡大の恐れが、常に存在します。こうした事態が発生した場合、ライフラインの停止や人・モノの流れの寸断、経済の停滞、各種資源等の高騰や調達の困難化等が生じる可能性があります。2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大に際しても、人・モノの流れが広範に制限され、各種の人的接触やコミュニケーションにも大きな制約が加わることによって、設計・制作・施工等の業務遂行の遅延や停止等、様々な影響を経験いたしました。
事業活動に必要な資産等への損害のほか、従業者の健康被害や人命の毀損等、人的資産の損失が発生する恐れもあります。これらによって事業の円滑な継続に支障が生じ、大きな損失が発生する可能性があります。
(b)対策
事業を取り巻く環境や条件が不確定性をともなうリスクに対しては、環境変化に柔軟に適応することで機会損失を回避するほか、需要や社会的要請に応じて自らを積極的に変革することを指針とし、当社グループの提供価値を高めるチャレンジを継続しております。
分野別に把握された市場環境や需要の動向を組織横断的に集約・分析し、全体最適での戦略策定を行う体制を構築することで、変動する市場への的確な対応と事業機会の最大化を図っております。また、既存の「空間づくり」事業とは異なる発想での新事業・新ビジネスの創造と育成にも注力し、新たな収益源の確保や需要変動リスクの分散にも努めております。
また、顧客や社会のニーズとその変化を的確に捉える力の向上を図るとともに、常に新しい社会動向や技術を積極的に吸収して付加価値を高めることで、当社への支持が持続するようにしております。多彩な企業やクリエイターとの協調・提携を広げ、各種の研究開発や実証実験等も行いながら、幅広いニーズに対応できるようにしております。
デジタル活用の大きな流れにより「空間」のもつ価値や意義が変化しているなか、デジタルを活かした新しい「空間」の価値提供の形を探ることにはとりわけ注力しているところです。当社グループが有するリアル(現実)空間のノウハウに映像・音響・情報等、各種のデジタルテクノロジーを掛け合わせることで、新しい空間体験と付加価値の創造に挑戦しております。専門部隊や研究開発拠点の設置、外部企業との協創、人材育成等を積極的に進めております。
当社グループの価値提供を支える生産体制においても、市場や経済の動向に適応できる柔軟性と強靭さを備えるよう努めております。パートナーシップ制度を運用して協力会社との関係緊密化を図り、持続的な成長のための基盤を強固にしております。
地球環境の保全に対しても、環境汚染の防止、環境負荷の軽減、低炭素社会の実現等に資する活動に取り組んでおります。これらは「環境方針」及び「丹青社グループ行動基準」に掲げて周知と啓発を行い、ISO14001規格に基づく環境マネジメントシステムを構築・運用することで実践を図っております。重要性の増す気候変動問題についても、「環境方針」や経営計画に温室効果ガス排出削減を盛り込んで取り組みを進めております。排出量の算定はじめ関連データの整備を進めるとともに、気候変動リスクに対するシナリオ分析の活用を目指し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に基づいた情報開示の充実も目指しております。
ダイバーシティや人権等の社会課題に関しては、多様性を尊重し差別や人権侵害を行わないことを「丹青社グループ行動基準」や「調達方針」に定めて周知・啓発しております。ダイバーシティを体験する研修(全役員・社員)やハラスメント防止研修により意識強化に努めるほか、社内外にハラスメント相談・苦情窓口を設ける等してリスクの顕在化防止と影響の低減にあたっております。また「空間づくり」事業の実践においても、あらゆるユーザーに配慮したユニバーサルでインクルーシブな空間づくりのコンセプトを設定し課題解決の方策としております。
大規模災害等の発生への備えとしては、事業継続計画に基づくBCPマニュアルを運用し影響の最小化に努めております。またグループ共有の安否確認システムを常時稼働させ、迅速な状況把握と情報フィードバックの体制を整えております。避難訓練・防災訓練のほか初動対応訓練や安否確認訓練も組織的に実施しております。保険によるリスク移転や災害備蓄品の準備等のリスク対策も確実に実施しております。
感染症の広域での拡大といった事態に対しては、2020年来のコロナ禍における経験を活かし、社内外への感染被害抑止と従業者・当社関係者の安全確保を最優先に対応することとしております。感染拡大予防対策のガイドラインによる管理のほか、テレワークやオンラインコミュニケーションの活用、感染症対策備品の配備といった対策をノウハウとして継承しております。
②安心・安全毀損のリスク
当社グループが主に事業の対象としている「空間」は、利用者を間近で包み、時に接するような、最も身近な環境です。何よりもまず、利用者や関係者の安心・安全を害するようなことがあってはなりません。作り上げた空間そのものだけでなく、それを作る過程も含めた安全性を保てるかどうかが、当社グループへの信用・信頼や事業の円滑な遂行に大きく影響します。
(a)起こり得る事象と影響
ⅰ当社グループで設計又は制作した内容の不備や欠陥によって利用者等の健康や人命を害した場合、大きな損失が発生する可能性があります。
品質上の欠陥に起因して、施設等の利用者や運営関係者等にケガや健康障害等が生じた場合、損害賠償等の債務や訴訟等の費用、是正・対策等にかかる費用等、経済的な損失が発生する可能性があります。また、当社グループに対する社会的信用や評価が損なわれ、状況によっては法的責任が問われる事態も生じ得ます。これらにより事業機会を逸し、収益の減少等の損失が生じる可能性があります。
ⅱ制作の過程で火災・爆発・事故等が発生し安全・安心を害した場合、大きな損失が発生する可能性があります。
制作を行う工場や施工現場には火災・爆発・事故等のリスクがあり、また運搬等に際し交通事故等が生じる危険も払拭できません。それらを適正に予防・回避できなかったり、想定外の原因で発生した場合、作業員やグループ内外の工事関係者のほか、施設利用者や付近の関係者等の安全や健康を脅かし、最悪の場合は人命を危険にさらす事態にもなりかねません。制作や工事の中断・停止等が生じると、所定期日までの完成義務を履行できなくなる恐れがあります。
仮にこのような事態に至った場合、当社グループに対する社会的信用が失墜し、様々な機会損失につながる可能性があります。また人的損失があった場合は、事業の円滑な運営に支障をきたすことも想定されます。被害者等への補償や賠償に加え、納期遅延にともなうペナルティや再製作等のコスト増による経済的損失が生じる可能性もあります。
(b)対策
当社グループでは、設計や制作・施工の各段階での取り組みにより、安心・安全な空間づくりを追求しております。そのポリシーは「環境方針」及び「調達方針」に盛り込んで周知・啓発を図るとともに、協力会社や事業パートナーも含めた様々な活動を推進しております。
設計段階では、独自の「環境配慮設計」コンセプトの中に「健康設計」「3R(廃棄物の発生減、再使用、再利用)設計」「省エネ設計」「ユニバーサルデザイン」「安全設計」を掲げ、安心・安全に利用できる空間の実現と環境配慮を積極的に進めることで、不具合の回避とリスクの顕在化防止に努めております。
制作・施工段階では、安全衛生の維持・向上を「調達方針」に掲げて周知し、様々な安全管理活動や品質管理活動を通して施工現場での事故・災害の抑止にあたっております。各種の管理規準や活動テーマを設定して危険の回避や未然防止に取り組んでいるほか、組織的なチェック体制や社内教育、情報共有等も充実させております。専任の品質・安全管理部門による助言や是正指導の体制に加え、安全衛生に関する定例の委員会が情報集約や指示・指導を行い、万一の場合の対処や再発防止にも万全を期しております。協力会社組織の活動や協力会社と合同での「安全大会」の開催等を通じて、サプライチェーン全体での安全意識の高揚や技術の改善向上にも取り組んでおります。
③公正・遵法面のリスク
当社グループが事業を遂行するにあたり、様々な法令等の規制が適用されております。社会的責任を果たす良識ある企業としては、こうした法令の遵守にとどまらず、各種の社会規範にも適合した公正な企業活動を行うことが求められております。これらコンプライアンスに反する事態が生じることは、当社グループの信用や社会的評価、そして事業の円滑な継続といった面に大きく影響します。
(a)起こり得る事象と影響
ⅰ遵守すべき法的規制(特に許認可要件等)に抵触した場合、大きな損失が発生する可能性があります。
当社グループの主軸事業である「空間づくり」においては、建設業法に基づく建設業許可が重要な成立要件となっております。法定の資格者数の充足等も求められ、適格人材の確保等、基準適合のために少なからず経営努力を要する事項が存在します。また、事業の特性上、建築基準法・建築士法・消防法等の適用も受け、遵守義務を負っております。これら法令等及びそれに基づく各種制度については、変更又は新規導入が行われることで事業の前提条件が変動することもあり得ます。
このような事業特有の規制等について、意図せずそれに抵触し義務を履行できなかった場合には、法的な処分等の制裁を受けることがあり得ます。これは当社グループの信用・信頼を大きく損ねることとなり、様々な機会損失を招く可能性があります。事業の遂行にも制約・制限が生じることがあり、結果として収益減等の損失が生じる恐れがあります。さらに、ペナルティとしての費用負担を課せられる等の経済的損失が発生する可能性もあります。
ⅱ適法な業務処理や取引先との公正な取引を欠いた場合、大きな損失が発生する可能性があります。
上記の事業固有の規制以外にも、企業に課せられる各種の法的規制や遵守すべき社会規範が多数存在します。不適切な会計処理や不適切な下請取引、環境規制への抵触、その他企業犯罪や不正行為のほか、反社会的勢力との関係等、多岐にわたる局面において、意図せず法令違反や社会規範からの逸脱が起きる可能性が皆無ではありません。
万一、こうしたコンプライアンス不全の状況が発生した場合、法的制裁や社会的信用の毀損とともに、機会喪失による収益悪化等の損失が発生する可能性があります。
ⅲ知的財産権、肖像権、パブリシティ権等の適正な取り扱いを欠いた場合、大きな損失が発生する可能性があります。
当社グループの「空間づくり」事業は、クリエイティブな付加価値に裏づけられたソフト・ノウハウのビジネスであり、特に産業財産権に関わる知的財産の活用に依存する面が多分にあります。過失又は認識の相違等により、第三者の著作権・意匠権・商標権等を侵害しているとされる事態が生じることがあり得ます。肖像権やパブリシティ権等、広義の知的財産権についても同様です。
他者の知的財産権を侵害しているとされた場合、訴訟コストや損害賠償等の経済的損失が発生する可能性があります。また設計や施工の内容の変更が必要になった場合には、追加費用の発生等、損失が生じることがあります。事態によっては、当社グループの信用・信頼が損なわれ、受注機会を失う等の損失が発生する可能性もあります。
(b)対策
法令遵守と社会規範の尊重により良識と責任をもった企業活動を行うことを、「丹青社グループ行動基準」「環境方針」「調達方針」に定め、グループ全体でコンプライアンス経営を推進しております。「コンプライアンス基本規程」を含めて全グループ員の行動規範と位置づけ、コンプライアンスに関する教育・研修を継続的に行なって意識醸成を図っております。事業の法的要件の1つである公的資格保有者の確保については、資格取得支援制度により社員の資格取得を促進し、不適合の発生を防ぐ一助としております。
取引の公正を確保することに向けては、「丹青社グループ行動基準」や「調達方針」にポリシーを示してグループ内に周知しております。内部統制システムを構築・運用し、「丹青社グループ行動基準」や日本版SOX法の枠組みにしたがい、不適切な会計処理・会計報告が生じないよう努めております。インサイダー取引等、不正行為の発生予防のため社内規程を設けて厳しく統制しているほか、反社会的勢力との関係遮断を「丹青社グループ行動基準」及び「調達方針」において宣言し、定期的な社内セミナー開催を通じて意識と知識の浸透を図っております。また知的財産権の尊重と権利侵害の回避について「丹青社グループ行動基準」や「調達方針」に定めて意識統一を図るほか、これも定期的な教育を実施してリスクの顕在化防止に努めております。弁護士・弁理士等の専門家とも緊密に連携し、予防や影響の軽減を適切に行う体制を整えております。
さらに、公正・遵法に関する不具合の未然防止と早期発見、及び万一の発生に対する迅速な対応を可能にするため、内部通報制度を設けて運用しております。外部弁護士に委託した窓口では、グループ各社の取引先からの通報も受け付けております。
④情報取り扱いのリスク
顧客課題の解決を使命とする事業の特性上、機密の内容を含む様々な情報について顧客から提供を受け、業務に使用しております。ほかにも取引先の情報や個人情報、技術情報等、多岐にわたる重要情報を保有しており、これら情報の適切な取り扱いを欠くことは、当社グループに対する信用・信頼や事業の円滑な遂行に大きく影響します。
(a)起こり得る事象と影響
ⅰ事業上必要とする機密情報や個人情報の適正な取り扱いを欠いた場合、大きな損失が発生する可能性があります。
「空間づくり」の過程では、未発表の製品や開発中のサービス・業態、あるいは出店計画等に関する機密情報を多数保持し、利用して業務を行なっております。また個人情報をはじめとする様々なビジネス情報を、企業活動の必要から保有・利用しております。過失又は事故等によりこれら情報の流出・漏洩や破壊、消失等が起こることが皆無とはいえません。近時ではテレワークやオンライン会議等の機会が増えたことで、これら情報事故の発生リスクは高まっていると認識しております。このほか、機密保持の義務に反して不適切な情報開示を行なってしまうことの恐れもあります。
万一、こうした不適切な情報取り扱いを発生させた場合、訴訟や法的な責任追及に至ることがあり、損害賠償や対応費用等の経済的損失が生じる可能性があります。当社グループの信用・信頼が損なわれ、事業機会を失う等の結果、収益が減少する等の損失が発生する可能性もあります。
ⅱ重要情報を外部の悪意により窃盗・流出・損傷等された場合、大きな損失が発生する可能性があります。
ⅰと同様の情報が、サイバー攻撃や不正アクセス等により窃取又は毀損されたり、あるいは不正に使用されたりした場合にも、訴訟・賠償等及び信用の棄損、機会喪失等の損失が発生する可能性があります。
(b)対策
情報の厳格な管理による事故予防と適切な対外開示について、「丹青社グループ行動基準」や「調達方針」に定めて意識の徹底や教育を行なっております。個人情報を中心とする機密情報は、プライバシーマーク取得の個人情報保護マネジメントシステムの枠組みを用いて適切な管理を徹底し、リスクの顕在化を防いでおります。情報セキュリティ対策では、社内規程を整備して組織的・人的・物理的な対策を施すほか、従業者への啓発や脆弱性のテスト、保険によるリスク移転等の措置も実施しております。
⑤サステナビリティ関連のリスク
地球環境や社会問題などESG観点でのリスクをめぐっては、企業として問われる責任ある行動も含め、対応に求められるものが多様化・厳格化しています。新たな規制や社会的義務も増えるなか、それらに適時・適切に応えられなかった場合には、企業としての評価や信頼性の低下、あるいは機会面・収益面での損失が生じるおそれがあります。
サステナビリティ・リスクの認識と対応につきましては、「2. サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載をご参照ください。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2024年2月1日~2025年1月31日)における我が国経済は、雇用・所得環境が改善するなか、各種政策の効果もあり、緩やかに回復しているものの、欧米における高い金利水準の継続や、中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響等、海外景気の下振れが我が国景気を下押しするリスクとなっていることもあり、依然として不透明さが残っています。
当ディスプレイ業界の事業環境につきましても、個人消費の一部に足踏みがみられる一方で、企業の販促投資が持ち直していること等により、需要は回復してきております。しかしながら、物価上昇や人件費の増加等によるコスト上昇リスクについても、引き続き注視していく必要があります。
このような状況のもと当社グループは、中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)に基づき、早期の業績回復の実現と更なる企業価値の向上を目標に事業活動を展開してまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a) 財政状態
資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べて7.0%増加し、541億95百万円となりました。これは、主に有価証券が39億円減少したものの、現金預金が33億10百万円、受取手形・完成工事未収入金等が14億84百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債の部の合計額は、前連結会計年度末に比べて9.5%増加し、208億24百万円となりました。これは、主に未成工事受入金が14億9百万円、賞与引当金が6億65百万円それぞれ増加したことによるものであります。
純資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べて5.5%増加し、333億70百万円となりました。これは、主に利益剰余金が24億32百万円増加したことによるものであります。
(b) 経営成績
当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
|
売上高 (百万円) |
売上総利益 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) |
当連結会計年度 (2025年1月期) |
91,858 |
17,064 |
5,147 |
5,316 |
3,875 |
前連結会計年度 (2024年1月期) |
81,200 |
14,522 |
3,883 |
3,995 |
2,771 |
増減額 |
10,657 (13.1%増) |
2,542 (17.5%増) |
1,263 (32.5%増) |
1,321 (33.1%増) |
1,104 (39.9%増) |
報告セグメント等の業績は、次のとおりであります。
|
売上高 (百万円) |
前連結会計年度比増減率(%) |
セグメント損益 (百万円) |
前連結会計年度比増減率(%) |
商業その他施設事業 |
54,395 |
16.2 |
3,295 |
40.7 |
チェーンストア事業 |
27,074 |
16.3 |
1,829 |
62.4 |
文化施設事業 |
9,925 |
△7.0 |
△95 |
- |
その他 |
462 |
9.5 |
111 |
△2.1 |
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、「現金及び現金同等物の増減額」が5億10百万円の増加(前連結会計年度は9億54百万円の増加)となり、当連結会計年度末の残高は172億4百万円(前連結会計年度末は166億94百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、10億18百万円の収入(前連結会計年度は27億81百万円の収入)となりました。これは、主に売上債権(受取手形・完成工事未収入金等)が15億1百万円増加、未払消費税等が12億95百万円減少し、法人税等の支払いにより18億53百万円支出したものの、税金等調整前当期純利益を54億63百万円(前連結会計年度は40億11百万円の税金等調整前当期純利益)計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、9億44百万円の収入(前連結会計年度は3億79百万円の支出)となりました。これは、主に投資有価証券の取得により12億7百万円の支出があったものの、投資有価証券の売却により26億36百万円の収入があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、14億64百万円の支出(前連結会計年度は14億69百万円の支出)となりました。これは、主に配当金の支払いによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 受注実績
報告セグメント等の名称 |
前連結会計年度 (自 2023年2月1日 至 2024年1月31日) (千円) |
当連結会計年度 (自 2024年2月1日 至 2025年1月31日) (千円) |
|
商業その他施設事業 |
46,728,415 |
70,011,725 |
(49.8%増) |
チェーンストア事業 |
24,240,222 |
26,944,312 |
(11.2%増) |
文化施設事業 |
10,937,657 |
13,733,430 |
(25.6%増) |
その他 |
422,732 |
462,774 |
(9.5%増) |
合計 |
82,329,028 |
111,152,242 |
(35.0%増) |
(b) 売上実績
報告セグメント等の名称 |
前連結会計年度 (自 2023年2月1日 至 2024年1月31日) (千円) |
当連結会計年度 (自 2024年2月1日 至 2025年1月31日) (千円) |
|
商業その他施設事業 |
46,823,220 |
54,395,702 |
(16.2%増) |
チェーンストア事業 |
23,282,070 |
27,074,673 |
(16.3%増) |
文化施設事業 |
10,672,922 |
9,925,291 |
(7.0%減) |
その他 |
422,732 |
462,774 |
(9.5%増) |
合計 |
81,200,945 |
91,858,442 |
(13.1%増) |
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(c) 次期繰越高
報告セグメント等の名称 |
前連結会計年度 (2024年1月31日) (千円) |
当連結会計年度 (2025年1月31日) (千円) |
|
商業その他施設事業 |
21,362,798 |
36,978,821 |
(73.1%増) |
チェーンストア事業 |
4,845,445 |
4,715,084 |
(2.7%減) |
文化施設事業 |
9,410,116 |
13,218,255 |
(40.5%増) |
その他 |
- |
- |
( - ) |
合計 |
35,618,361 |
54,912,161 |
(54.2%増) |
(注) 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は、次のとおりであります。
(a) 受注高、売上高、繰越高及び施工高
期別 |
種類別 |
前期 繰越高 (千円) |
当期 受注高 (千円) |
計 (千円) |
当期 売上高 (千円) |
次期 繰越高 (千円) |
第66期
自 2023年 2月1日 至 2024年 1月31日 |
建設事業 |
|
|
|
|
|
建築工事 |
1,746,604 |
3,052,299 |
4,798,903 |
3,657,957 |
1,140,946 |
|
新装工事 |
7,792,885 |
27,975,958 |
35,768,843 |
25,399,777 |
10,369,065 |
|
改装工事 |
10,039,660 |
20,442,645 |
30,482,305 |
24,044,840 |
6,437,464 |
|
展示工事 |
9,434,999 |
15,735,764 |
25,170,764 |
12,281,424 |
12,889,339 |
|
計 |
29,014,149 |
67,206,667 |
96,220,817 |
65,384,001 |
30,836,816 |
|
設計・その他 |
5,200,886 |
11,538,682 |
16,739,568 |
12,079,249 |
4,660,318 |
|
合計 |
34,215,035 |
78,745,349 |
112,960,385 |
77,463,250 |
35,497,134 |
|
第67期
自 2024年 2月1日 至 2025年 1月31日 |
建設事業 |
|
|
|
|
|
建築工事 |
1,140,946 |
3,765,881 |
4,906,827 |
2,800,666 |
2,106,161 |
|
新装工事 |
10,369,065 |
29,901,051 |
40,270,117 |
25,888,295 |
14,381,821 |
|
改装工事 |
6,437,464 |
34,055,268 |
40,492,732 |
29,423,958 |
11,068,774 |
|
展示工事 |
12,889,339 |
26,373,790 |
39,263,130 |
17,859,404 |
21,403,725 |
|
計 |
30,836,816 |
94,095,992 |
124,932,808 |
75,972,325 |
48,960,483 |
|
設計・その他 |
4,660,318 |
12,860,482 |
17,520,801 |
12,821,029 |
4,699,771 |
|
合計 |
35,497,134 |
106,956,474 |
142,453,609 |
88,793,354 |
53,660,255 |
(注) 前期以前に受注した工事等で、契約の変更により請負金額に増減のあるものについては、当期受注高にその増減額を含みます。したがって、当期売上高にも係る増減額が含まれます。
(b) 売上高の受注方法別比率
売上高の受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
第66期
自 2023年2月1日 至 2024年1月31日 |
建設事業 |
|
|
|
建築工事 |
2.0 |
2.7 |
4.7 |
|
新装工事 |
14.0 |
18.8 |
32.8 |
|
改装工事 |
16.4 |
14.7 |
31.1 |
|
展示工事 |
3.5 |
12.3 |
15.8 |
|
計 |
36.0 |
48.4 |
84.4 |
|
設計・その他 |
9.1 |
6.5 |
15.6 |
|
合計 |
45.1 |
54.9 |
100.0 |
|
第67期
自 2024年2月1日 至 2025年1月31日 |
建設事業 |
|
|
|
建築工事 |
1.9 |
1.3 |
3.2 |
|
新装工事 |
14.4 |
14.7 |
29.1 |
|
改装工事 |
19.3 |
13.8 |
33.1 |
|
展示工事 |
11.7 |
8.5 |
20.2 |
|
計 |
47.3 |
38.3 |
85.6 |
|
設計・その他 |
9.0 |
5.4 |
14.4 |
|
合計 |
56.3 |
43.7 |
100.0 |
(注) 百分比は、売上高金額比であります。
(c) 売上高
期別 |
区分 |
国内 |
海外(千円) |
合計(千円) |
|
官公庁(千円) |
民間(千円) |
||||
第66期
自 2023年2月1日 至 2024年1月31日 |
建設事業 |
|
|
|
|
建築工事 |
31,168 |
3,626,789 |
- |
3,657,957 |
|
新装工事 |
- |
25,399,777 |
- |
25,399,777 |
|
改装工事 |
59,384 |
23,985,456 |
- |
24,044,840 |
|
展示工事 |
6,511,767 |
5,673,637 |
96,019 |
12,281,424 |
|
計 |
6,602,320 |
58,685,661 |
96,019 |
65,384,001 |
|
設計・その他 |
2,029,999 |
10,015,310 |
33,939 |
12,079,249 |
|
合計 |
8,632,320 |
68,700,971 |
129,958 |
77,463,250 |
|
第67期
自 2024年2月1日 至 2025年1月31日 |
建設事業 |
|
|
|
|
建築工事 |
110,967 |
2,689,698 |
- |
2,800,666 |
|
新装工事 |
- |
25,888,295 |
- |
25,888,295 |
|
改装工事 |
235,589 |
29,188,368 |
- |
29,423,958 |
|
展示工事 |
4,078,197 |
13,752,988 |
28,218 |
17,859,404 |
|
計 |
4,424,754 |
71,519,351 |
28,218 |
75,972,325 |
|
設計・その他 |
1,864,344 |
10,902,779 |
53,905 |
12,821,029 |
|
合計 |
6,289,098 |
82,422,131 |
82,124 |
88,793,354 |
(注) 1 当事業年度の完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
○ |
地方独立行政法人 大阪市博物館機構 |
|
大阪市立科学館展示場等改修業務委託 |
○ |
台東区 |
|
下町風俗資料館リニューアル展示設営物等製造 |
○ |
独立行政法人 国立文化財機構及び福岡県 |
|
九州国立博物館特別展示室壁付ケース改修等工事 |
○ |
青森県 |
|
青森の縄文遺跡群情報発信拠点施設(仮称)展示製作等業務 |
○ |
福井県 |
|
恐竜エリア拡大プロジェクト 恐竜コンテンツ制作・設置業務 |
2 第66期及び第67期ともに売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
(d) 手持高(2025年1月31日現在)
区分 |
国内 |
海外(千円) |
合計(千円) |
|
官公庁(千円) |
民間(千円) |
|||
建設事業 |
|
|
|
|
建築工事 |
8,620 |
2,097,540 |
- |
2,106,161 |
新装工事 |
- |
14,381,821 |
- |
14,381,821 |
改装工事 |
877 |
11,067,896 |
- |
11,068,774 |
展示工事 |
10,613,444 |
10,787,450 |
2,831 |
21,403,725 |
計 |
10,622,942 |
38,334,709 |
2,831 |
48,960,483 |
設計・その他 |
710,698 |
3,987,073 |
2,000 |
4,699,771 |
合計 |
11,333,641 |
42,321,783 |
4,831 |
53,660,255 |
(注) 手持高のうち主なものは、次のとおりであります。
○ |
名古屋市 |
|
名古屋市博物館展示・収蔵環境等整備工事 |
○ |
宮内庁 |
|
三の丸尚蔵館整備に伴う展示工事(Ⅱ期) |
○ |
宮内庁 |
|
大手休憩所(仮称)新築に伴う展示工事 |
○ |
三郷市 |
|
三郷市防災学習拠点施設展示製作業務 |
○ |
唐津市 |
|
唐津市曳山展示制作 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析を行っております。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の簿価及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営陣は、投資、法人税等、財務活動、退職給付、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数値についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
(a) 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため貸倒引当金を計上しておりますが、顧客等の債務者の支払能力が低下した場合等において、追加の引当が必要となる可能性があります。
(b) 完成工事補償引当金
当社グループは、完成工事に係る瑕疵担保の費用に備えるため完成工事補償引当金を計上しておりますが、見積りを超える瑕疵及びその補修費が発生した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
(c) 売上高及び工事損失引当金
当社グループは、一部の工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、工事原価総額に対する連結会計年度末までの発生原価の割合に基づき算定しております。
また、当連結会計年度末時点の手持工事の工事収益総額と工事原価総額の見積りに基づき、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額のうち、当該工事契約に関して既に計上された損益の額を控除した残額を工事損失引当金に計上しております。
工事収益総額及び工事原価総額の見積りは、主に各工事等の最終的な請負額、材料費、労務費及び外注費等に関する仮定を用いて算定しておりますが、予期し得ない工事範囲及び工事内容の変更や工期の延長、将来の市況の変化に伴う建築資材や外注費の変動等によって常時変動するため見積りの不確実性が高く、工事原価総額の変動は、履行義務の充足に係る進捗度の算定にも影響を与えるため、翌連結会計年度の連結財務諸表において、売上高及び工事損失引当金の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(d) 投資の減損
当社グループは、取引関係の維持その他の目的で、金融機関及び取引先等の株式を所有しております。これらの株式には、時価の把握が容易な公開会社と、時価の算定が困難な非公開会社とがあります。公開会社についてはその時価が、非公開会社についてはその実質価値が簿価と比較して30%以上下落した場合に、減損処理による評価損を計上しております。従って、相場の下落又は投資先の業績の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
(e) 退職給付費用
当社グループにおける退職給付制度については、当社及び連結子会社が加入する企業年金基金に係るものが、当連結会計年度においては、退職給付債務では約98%を、退職給付費用では約97%を占めております。従って、当該企業年金基金の状況が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。長期金利の低下に伴う割引率の低下は退職給付債務の増大をもたらし、また、年金資産の主な運用先である株式市場における市況の低迷は期待運用収益との乖離をもたらし、いずれも将来的な退職給付費用の増加につながります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 経営成績等
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、市場環境の回復に伴い、需要は想定以上に改善し、また、大型プロジェクトの工事も堅調に進捗したことから、918億58百万円(前連結会計年度比13.1%増)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、旺盛な需要を背景に、収益性を重視した受注活動を展開した結果、売上総利益率が18.6%(前連結会計年度は17.9%)となったこと等により、170億64百万円(前連結会計年度比17.5%増)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、営業経費の増加や人員数の増加並びに賃上げの実施等による人件費の増加等により、119億17百万円(前連結会計年度比12.0%増)となりましたが、構成比については、売上高の増加により13.0%(前連結会計年度は13.1%)となりました。
この結果、営業利益は、51億47百万円(前連結会計年度比32.5%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外損益は、主に受取配当金を計上したこと等により、営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益の純額は1億69百万円の利益(前連結会計年度比51.4%増)となりました。
この結果、経常利益は53億16百万円(前連結会計年度比33.1%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別損益は、主に投資有価証券売却益を計上したこと等により、特別利益から特別損失を差し引いた特別損益の純額は1億47百万円の利益(前連結会計年度比796.7%増)となりました。
また、法人税、住民税及び事業税は17億92百万円(前連結会計年度比28.2%増)、法人税等調整額は△2億4百万円(前連結会計年度は△1億57百万円)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は38億75百万円(前連結会計年度比39.9%増)となりました。
報告セグメントごとの状況については次のとおりであります。
(商業その他施設事業)
商業その他施設事業においては、需要の回復に伴い、主にホテル、ショールーム、オフィス及び大阪・関西万博関連の新改装案件が増加したこと等から、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。
この結果、商業その他施設事業の売上高は543億95百万円(前連結会計年度比16.2%増)、セグメント利益は32億95百万円(前連結会計年度比40.7%増)となりました。
(チェーンストア事業)
チェーンストア事業においては、需要の回復に伴い、飲食店分野及びその他専門店分野において新改装需要が増加したこと等から、売上高、セグメント利益ともに、前連結会計年度を上回りました。
この結果、チェーンストア事業の売上高は270億74百万円(前連結会計年度比16.3%増)、セグメント利益は18億29百万円(前連結会計年度比62.4%増)となりました。
(文化施設事業)
文化施設事業においては、売上高は概ね計画通りに推移しましたが、利益面については、収益性の改善が想定に及ばず、前連結会計年度を下回りました。
この結果、文化施設事業の売上高は99億25百万円(前連結会計年度比7.0%減)、セグメント損失は95百万円(前連結会計年度はセグメント利益2億93百万円)となりました。
(その他)
その他においては、ディスプレイ業以外の事務サービス等についても需要は回復し、売上高は増加したものの、利益面については概ね前年同期並みとなりました。
この結果、その他の売上高は4億62百万円(前連結会計年度比9.5%増)、セグメント利益は1億11百万円(前連結会計年度比2.1%減)となりました。
2025年1月期の経営成績等の状況は、市場環境が想定以上に回復したことに加え、大阪・関西万博等の大型プロジェクトも重なったため、受注高は過去最高を更新し、中期経営計画(2025年1月期~2027年1月期)最終年度の業績目標を前倒しで達成いたしました。
そのため、直近の事業環境を踏まえて、中期経営計画の財務目標を上方修正いたしました。
また、重点施策の進捗状況については、以下のとおりであります。
戦略①働き方と人的資本の基盤整備
各種施策により、長時間労働の状況は前期比で改善
採用強化により、人員確保
戦略②マーケティングの基盤整備
マーケティング部門と事業部門の連携が強化され、各マーケットでの対応力が向上
戦略③サプライチェーンの基盤整備
協力会社数の計画的な拡充により生産体制の強化が進展
戦略④サステナビリティ対応の基盤整備
各種ガイドラインの整備が進捗
戦略⑤新たな領域への挑戦
新規事業への方針等の検討が進み、今後具体的な計画の策定
引き続き、重点施策の実行を通じて、長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
また、報告セグメントごとに以下の方針を立てて事業活動を展開してまいります。
(商業その他施設事業)
・エンターテイメント分野は成長市場として捉え、様々な挑戦で拡大路線に乗せる。
・ホテルをはじめ、インバウンドの拡大を背景に増加する需要を取り込む。
・オフィス分野において、顧客開発を加速させ、事業規模の拡大を図る。
(チェーンストア事業)
・既存顧客のシェア拡大と新規顧客の開発。
・西日本エリアのシェア拡大に向けた既存顧客との関係強化と生産性向上。
・メンテナンス分野の拡大を図るとともに、新改装案件の受注にもつなげていく。
(文化施設事業)
・地域創生、官民連携事業に関連した案件を中心に受注拡大を図る。
・長年培った展示ノウハウを活かし、文化展示事業を安定成長させる。
(b) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー指標の推移は、以下のとおりであります。
|
2021年 1月期 |
2022年 1月期 |
2023年 1月期 |
2024年 1月期 |
2025年 1月期 |
自己資本比率 (%) |
68.7 |
64.2 |
70.3 |
62.4 |
61.6 |
時価ベースの自己資本比率 (%) |
81.8 |
75.0 |
81.9 |
79.8 |
78.6 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) |
0.4 |
- |
11.8 |
0.5 |
68.4 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍) |
1,143.0 |
- |
335.3 |
585.2 |
255.6 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4 2022年1月期は、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオを記載しておりません。
(c) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、事業の特性から通常は多額の設備投資等を必要とせず、当社グループの資金需要は、主に運転資金に係るものであります。この運転資金は、主に工事を遂行するための外注費、経費の支払い並びに販売費及び一般管理費等の営業費用の支払いに要するものであります。
現状、これらの資金需要につきましては自己資金、短期借入金で賄っておりますが、必要に応じて長期借入金や社債の発行により資金調達を行う等、柔軟に対応することとしております。
該当事項はありません。
当社グループは、社会の変化、テクノロジーの進化などに対応し、常に学び続けるとともに、多彩な企業やクリエイターとの協調・提携を広げ、各種研究開発や実証実験に積極的に取り組んでおります。
当連結会計年度における主な研究開発活動の内容については、以下のとおりであります。
・空間、体験づくりに応用できる可能性のある、様々な分野のテクノロジーやアイデアのリサーチ
・アライアンスパートナーのプロダクトやサービス、技術シーズを活用した共創型のソリューション開発、プロトタイピング
・社会課題をとらえた仮説や、マーケット分析などから想定される顧客課題に応えるマーケットイン型のソリューション開発、プロトタイピング
当連結会計年度の研究開発費総額は88,405千円となっております。なお、当社は研究開発活動を各セグメントには区分しておりません。