当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は創業以来、「社会に奉仕すること」を企業理念として、道路関連事業、レジャー事業、不動産事業の経営を行っており、道路の維持管理をとおして生活環境整備事業の推進を図ると共に、飲食店経営をとおして豊かな生活を提供し、社会の発展に一層貢献することを基本的な考え方として事業活動を進めております。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標等
① 事業環境
当社グループの主力事業である道路関連事業については、政府による防災・減災、国土強靭化対策をはじめとする関連予算の執行により、道路・橋梁・トンネル等の老朽化・長寿命化対策等、一定の維持補修工事の需要が見込まれる状況にあります。そのため、今後も道路インフラ整備の公共投資は堅調に推移すると予想されるものの、慢性的な建設技能者の不足に加え、労務費・資機材価格が上昇する等、依然として予断を許さない状況が続いております。
一方、レジャー事業については経済活動の正常化により、客数も順調に回復しておりますが、原材料価格の高騰や人件費・光熱費の上昇等、事業環境は依然として厳しい状況が続いております。
② 顧客動向
道路関連事業においては主要取引先となる国土交通省や高速道路各社について、継続的に予想される道路・橋梁等の老朽化・長寿命化対策として、引き続き公共投資を実施することが予想されるため、今後も一定量の発注が見込まれます。レジャー事業においては人流が回復した事でビジネス街、駅前立地を中心に集客力が高まっております。
③ 経営戦略
当社グループを取り巻く事業環境や顧客動向を踏まえ、より一層の企業価値向上に資するため、2022年3月に3カ年計画である『中期経営戦略2022-2025 TRY!2025』を策定し、その最終年度にあたり、各事業においては業績の向上に努めた結果、当初掲げた目標値を上回ることができました。
<中期経営戦略の基本方針>
・当社の事業を最大限に活かし、サステナブルな社会づくりに貢献する
・過去最高売上高・営業利益の更新を目指す
・環境に配慮した事業を推進する
・人材の充実と新しい働き方を推進する
・実効性の高いガバナンス体制の強化を図る
<セグメント別の具体的な経営戦略>
当社グループの主力事業である道路関連事業においては、事業拡大のために以下の具体的な経営戦略を実施します。
・受注拡大に向けた体制の強化
インフラ整備における老朽化対策や保全業務の受注拡大に向け、土木技術者の増強に取り組みます。外国人、女性を問わず、技術者の採用活動を積極的に行うとともに、入社後の社内教育の充実を図るほか、働きやすい環境の整備とワーク・ライフ・バランスの実現を図ります。また、協力会社との連携を深め、体制の強化に努めてまいります。
・年間契約案件の確実な受注
当社グループの主力である年間契約の道路維持管理業務・清掃作業業務は、自社で道路維持車両・特殊機械等を保有し、全ての道路利用者のために365日24時間対応ができる体制を整え、安全管理・品質管理の徹底により確実な施工を行っております。この豊富な経験と実績を生かし今後も受注確保に努めてまいります。
・大規模更新・修繕等の単発契約案件の受注
老朽化対策、防災・減災対策として各高速道路会社等において大規模更新・修繕事業の計画が進められているなか、当社グループの経験や工法、保安規制等の実績を最大限に活用し、積極的な営業展開により受注拡大を図ります。
・環境事業の拡大と新技術開発の推進
サステナブルな社会の実現に向け、排出汚泥凝集剤「水澄まいる」、工場排出オイル凝集剤「オイルフロック」等の販売や凝集剤を使用した「濁水処理システム」の施工をとおして、環境に配慮した事業の拡大を図ります。また、DX技術を活かした点群データ活用による技術力の強化に努めてまいります。
・新たな業務への参画・拡大
当社グループのノウハウが活用できる「コンセッション方式による道路管理業務」や「プロポーザル方式による指定管理者業務」等の受注拡大を目指し、体制の構築と情報収集に努めてまいります。また、新たな自治体等との災害協定の締結に向け、取り組んでまいります。
レジャー事業及び不動産事業においては、以下の具体的な経営戦略を実施します。
レジャー事業
(飲食事業)
・安全衛生管理の徹底を図るとともに、フードロスやプラスチック廃材の削減に努める。
・新商品の導入をはじめ、テイクアウトメニューや売店商品の拡充を進める。
・立地やコスト条件等の情報収集に努め、新規店舗の開店を検討する。
・的確な商品提案による飲食物品販売のシェア拡大に努める。
(マリーナ事業)
・安心、安全な施設運営に努め、高水準で推移する船舶係留数の維持により、安定的な収益基盤を確保する。
・観光船の運航やレンタルボートサービスを拡充し、施設利用者数の増加に努める。
・新規マリーナの運営受託を目指し情報収集に努める。
不動産事業
・所有物件の計画的な点検、修繕工事を実施し、安全性の高い施設運営に努める。
・将来性や収益の安定性を考慮した不動産戦略に則り、新規不動産の取得を検討する。
④ 目標とする経営指標等
当社グループは、上記経営戦略のもと様々な経営施策と効果的な投資を展開し、2025年1月期時点での中期目標値として、売上高300億円、営業利益45億円の達成に努めた結果、以下のとおり当初掲げた目標値を上回ることができました。
|
2025年1月期 実績 (百万円) |
2025年1月期 目標 (百万円) |
売上高 |
30,274 |
30,000 |
営業利益 |
4,808 |
4,500 |
なお、次年度以降に向け、新たな3カ年計画である≪中期経営計画2028≫を2025年3月に策定し、中期目標値として売上高340億円、営業利益55億円を掲げ、過去最高売上高・営業利益の更新を目指すとともに、環境に配慮した事業の推進等をとおして、サステナブルな社会づくりに貢献してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの主力事業である道路関連事業を取り巻く環境につきましては、高速道路のリニューアルプロジェクトや政府による防災・減災、国土強靭化対策の推進等公共投資が底堅く推移することが見込まれるものの、人材需要の高まり等による建設コストの上昇や、建設業における時間外労働の上限適用等の影響で、今後の経営環境は引き続き予断を許さない状況にあります。
このような状況のなか、当社グループは、サステナブルな社会づくりの貢献と人材の充実・新しい働き方の推進をテーマとする「中期経営計画2028」を新たに策定し、数値目標達成と企業価値の更なる向上を目指し、各事業において取り組んでまいります。
セグメント別の対処すべき課題は以下のとおりです。
(道路関連事業)
① 技術者の採用・育成
高速道路のリニューアルプロジェクトや災害発生等の緊急時には、高いオペレーション能力と迅速な対応が求められ、かつ、より効率的な施工管理を行うには、多工種にわたる施工経験を持つ技術者が必要であるため、人材採用や人材育成等の人的資本投資は最重要課題となります。当社グループは、多様な経験やスキルを有する人材を国籍・性別や新卒・中途を問わず積極的に採用し、技術継承の促進や資格取得の奨励を図ると共に、各種研修プランを充実させ、優れた技術者の育成に努めてまいります。
② 受注拡大に向けた取組
日本の道路インフラは高度経済成長期に整備されたものが多く、老朽化が進んでいます。当社グループは、長年の経験を活かして劣化した道路や橋梁の異常箇所を早期に発見し、重大事故の防止に注力いたします。また、多数の特殊車両や機械を自社保有する強みを活かし、緊急時にも迅速に対応すると共に、優れた安全管理と品質管理の徹底により顧客との信頼関係を堅持し、大規模な更新・修繕事業や関連する交通規制業務の受注に向けて積極的な営業活動を展開してまいります。
③ 環境・社会投資
環境事業においては、自社開発の汚濁水浄化製品の販売と施工協力を通じて、環境事業の拡大と収益向上に努めます。また、国内の太陽光発電所の発電効率を改善し、クリーンエネルギーの供給をとおして地球温暖化対策に貢献しながら、収益向上を図ってまいります。
さらに社会貢献活動として国や地方自治体、高速道路会社と災害協定を締結し、地震や大雪、台風、集中豪雨等災害時に安全な道路インフラを確保するため、災害防止活動・復旧活動を行ってまいります。
④ 多角的な取組
当社のノウハウを活かし、道路管理施設や公園施設等のコンセッション方式やプロポーザル方式のPFI/PPP事業等への新規参入を目指して受注体制を整備します。また、DXの活用を通じて技術力の更なる向上を図ってまいります。
(レジャー事業)
飲食事業
収益性の向上
原材料価格の動向に応じてメニューの見直しや価格改定を適宜行い、店舗運営の効率化を図ることで収益の確保に努めてまいります。また、立地やコスト条件の良い新規店舗の開店を目指してまいります。
物品販売では多様化する顧客ニーズに対応した商品提案を行い、販路拡大を目指してまいります。
マリーナ事業
船舶係留数の維持・拡大
マリーナおよび付帯施設について計画的な修繕や設備更新を行い、来場者への安心・安全な施設運営を提供します。また、有資格者の育成と確保により、サービスの更なる充実を図り、高水準を維持する船舶係留数を堅持します。さらに、船舶の修理・販売、船舶のレンタル等、様々な付帯業務の受注にも努めてまいります。
併せて、新規マリーナの運営受託を目指し、更なる拡大に取り組んでまいります。
(不動産事業)
所有物件の付加価値向上
所有物件において計画的な修繕工事や設備の更新を進め、入居テナントの満足度を向上させることで、物件の付加価値を高めてまいります。
また、立地条件や採算性を考慮し、中長期的に安定した収益を確保できる優良な新規物件の取得を目指してまいります。
セグメント別は以上となりますが、これらの成長戦略を推進していくためには、従業員エンゲージメントの向上が極めて重要と考えております。物価上昇を上回る継続的な賃上げを実施し、男女共に育児休暇を取得しやすい環境を整備する等、多様な働き方を推進してまいります。また、メンタルヘルスの支援や安全衛生管理の強化を図り、健康経営を推進し、さらに、人権に関する教育やハラスメント防止対策を強化する等、全従業員が安心して働ける職場環境を整備することで、長期的な人材確保に努めてまいります。
上記課題に加え、株主資本コストや株価を意識した経営に向け、適切な資本政策とコーポレート・ガバナンスの充実を図り、М&A等の投資可能性を追求しながら、安定的かつ多角経営の利点を活かした収益性の高い事業ポートフォリオを構築し、事業を推進してまいります。また、脱炭素社会に向けた取組、地域社会への貢献、DX化の推進による業務の効率化等をとおして、企業価値の向上とサステナブルな社会の実現に向けて、適切に対応してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は創業以来、「社会に奉仕する」ことを企業理念に掲げ、サステナブルな社会づくりに貢献するために、当社グループの事業活動を通じて持続的な成長を支える3つのサステナビリティテーマを策定しております。
<サステナビリティテーマ>
①地域社会に対する取組
・災害時における応急復旧業務に関する協定締結
・災害時における高速道路上での支援物資の提供
・救援物資、帰宅困難者等の輸送協力協定締結
・地域ボランティア活動やNPO法人等への支援
②働き方の多様性の尊重
・ダイバーシティの推進(女性の活躍、外国人の採用・活躍、中途採用者の採用・活躍等)
・インクルージョンの推進(育児・介護休業等取得の推進、資格取得奨励制度の拡充等)
③環境への取組
・太陽光発電所の運営
・環境対策製品の開発販売及び施工
・環境に配慮した建設機器等の使用推進
(1)ガバナンス
サステナビリティに係る重要事項は、当社グループの業務執行に関する重要事項を協議、決議する機関として設置している経営会議で議論のうえ、取締役会に報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制としております。また、ESG課題の具体的な取組、開示等の推進や実行支援の役割を担う機関としては、管理本部長を長とする管理本部総務部グループ経営企画課にて対応しております。
(2)リスク管理
サステナビリティ関連を含む全社的なリスク及び機会については、通常の事業活動のなかでそれぞれの所管部署において検討・管理されており、必要に応じ「
なお、特に重要なリスク及びその対応策に関しては取締役会に報告されており、サステナビリティ関連の対応に関してもこうしたリスク管理のプロセスに組み込まれております。
(3)人的資本に関する戦略(人材育成及び社内環境整備に関する方針)
当社グループの企業活動における課題である、人材不足の解消を図るとともにダイバーシティの推進に向け、国籍・性別を問わず、通常の定期新卒採用に加え、多様な経験やスキルを有する中途採用にも積極的に取り組む等、雇用促進を図っております。
当社においては「スバル興業グループ行動憲章(https://subaru-kougyou.jp/company/charter.html)」に定める方針のもと、具体的には以下の3点の施策を実施することで、安心・安全の意識向上やチームビルディングの強化に努め、更にはDX人材や経営者視点を持ったリーダー等、変革・改革の精神を持ち、挑戦し続けることができる人材の育成に努めております。
①部下育成研修の強化
(コミュニケーションの強化、また、マネージメント力の向上)
内定時・入社・2年目・3年目・主任昇格時・係長昇格時・管理職昇格時の各段階において研修を実施。
②実技講習会、安全大会、個人特別表彰・優秀事業所表彰、各種リスキリングの実施
(技術、安全意識及びモチベーションの向上)
道路メンテナンスにおける集中工事等は高いオペレーション能力と安全管理体制整備が求められます。
また、スマートデバイスを使ったDX環境を整え、新しいスキルを習得させることで次世代の働き方にコミットします。
③スバル興業グループ安全・衛生・安心プロジェクト(技-waza-・新-arata-)の開催
(変革・改革精神の鍛練)
スバル興業グループが自らのため、お客様・社会のために今後取り組むべき「安全・衛生・安心」
に関する対策・技術をスバル興業グループ及び協力会から広く募集し、優秀な案件を表彰します。
社内環境整備については、アクティビティ・ベースド・ワーキング導入による執務スペースの自由度向上と共に健康管理の充実や資格取得における奨励制度の拡充等を行い、従業員にとって働きやすい環境の構築に取り組んでおります。
なお、当社はライフワークバランスの充実を図るため、介護休業や育児休業取得の促進、女性従業員の産前・産後休暇制度の充実化に加え、有給休暇取得の義務化等休暇の取りやすい環境を整備し、次の方針のとおり指標を定めます。
(4)指標及び目標
当社では社内環境整備方針について、次の指標を用いております。
方針:勤続5年以上の社員は毎月1日以上年次有給休暇を取得する。
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
|
|
|
上記有給休暇とは別に特別休暇として、夏季休暇5日間(取得期間7月1日~9月30日)、アニバーサリー休暇2日間(取得期間4月1日~3月31日)等の休暇を付与しております。
本目標及び実績は、連結グループに属するすべての会社では行われないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため本指標に関する目標及び実績は連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識する主な事項には、以下のようなものがあります。これらの事業等のリスクに対して、当社グループでは法令順守及びリスク管理を目的に当社各部門並びに子会社から委員を選出した「コンプライアンス・リスク管理委員会」を設置し、リスクが顕在化する可能性の程度や時期、また、顕在化した場合における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況へ与える影響の内容を把握したうえで、その影響を最小限にするための具体的な施策を検討し、その内容を取締役会へ報告しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
(1)公共事業への依存に伴うリスク
当社グループは売上高に占める公共事業の割合が非常に高いため、国及び地方自治体の財政事情により予想を上回る公共事業の削減や競合企業の増加による入札競争の激化となった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、公共事業の削減や入札競争の激化に伴い道路の維持管理業務をはじめとする大型契約の受注機会が減少することで、売上の減少や余剰人員の発生などの影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらの公共事業の削減や入札競争の激化による受注機会の減少に備えるべく、当社グループで実施してきた維持管理業務の経験や工夫、保安規制等の実績を最大限に活用し、積極的な営業展開による受注拡大に努めます。また、入札の機会を減少させないため、公共事業の入札にあたり指名停止・営業停止を受けないことを目的に安全管理・品質管理を徹底し、総合評価点の向上を目指すとともに、入札時の人為的なミスを防止するため、社内管理体制の強化を図ることで、発注者からの信頼を確保し、一つでも多くの入札機会の確保・落札の可能性を高めることで、公共事業の受注確保に努めます。
(2)労働人員不足のリスク
わが国において高齢化社会の進行に伴い労働人口が減少しており、技術者をはじめとする労働人員不足から受注の確保や円滑な業務遂行に支障をきたす可能性があります。
当社グループでは、労働人員確保のために外国人労働者を含めた技術者の採用に努めるとともに、在籍従業員への資格取得の奨励をとおして、技術力やマネジメント能力に優れた技術者の育成を実施しております。
(3)労務費及び資機材価格の高騰リスク
前述の労働人員不足リスクに起因して、労務単価の上昇が続いていることや、地政学的リスクに起因する燃料を含む原材料費や各種資機材等の経費も上昇傾向にあることから、当社グループの利益圧迫につながる可能性があります。
当社グループでは、適材適所な技術者の配置や協力会社との連携により無駄のない体制構築を実施することで、労務単価の高騰に備えるとともに、原材料、資機材の充実した調達ルートを確保するよう努めることで、これらの価格高騰に対処するように努めます。
(4)自然災害のリスク
想定外の大規模地震・津波・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、その他の要因による社会的混乱等が発生したことにより、当社グループや主要取引先の事業活動の停止又は事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これら自然災害が発生した際には、当社グループは事前に社内で策定した安全衛生管理計画に従い初動対応・安否確認を行うとともに、現地対策本部を設置し支社・支店・本部が後方支援にあたることで、リスクを最小限に留めるように計画しております。
(5)各種感染症のリスク
各種感染症が拡大した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、レジャー事業における飲食店舗での来店者数の減少、マリーナでの来場者数の減少や、不動産事業におけるテナントの営業不振による賃料の一時的引き下げ・免除等に伴い、当社グループの売上の減少や取引先の貸倒れ等が発生する可能性が挙げられます。また、道路関連事業においても、当社グループ内で各種感染症の罹患者が発生した場合には、工事の中断等により円滑な業務遂行に支障をきたす可能性があります。
当社グループでは各種感染症の感染拡大を防ぐため、策定した感染防止ルールに則り、従業員の健康管理を徹底し、引き続き感染予防に努めてまいります。
(重要なリスク)
(6)法的規制に関するリスク
当社グループの主力事業である道路関連事業は、建設業法やこれら関連法律の規制を受けており、法律の改正や法的規制の新設により業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではこれら法的規制に準拠するために、各省庁、地方自治体等からの通達や指導等をグループ全体で共有できる体制を構築しており、法令順守の徹底に努めております。
(7)取引先の信用リスク
当社グループが民間事業者から各種工事を請け負った場合、急激な事業環境の変化等により発注者である取引先が信用不安に陥ったときには貸倒れが発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは貸倒れの発生を予防するために、受注元の与信管理を徹底し、状況に応じて支払条件を柔軟に変更することで、リスクの回避に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善し緩やかな回復基調にあるものの、海外景気の下振れや物価上昇に加え、アメリカの政策動向等、先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
このような情勢のもと、3カ年計画『中期経営戦略2022-2025 TRY!2025』の最終年度にあたり、売上高300億円、営業利益45億円の目標達成に向け、各事業において業績の向上に努めました結果、当連結会計年度における売上高は302億7千4百万円(前期比3.5%増)、営業利益は48億8百万円(前期比1.9%減)、経常利益は48億7千2百万円(前期比1.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は32億3千8百万円(前期比1.4%減)となり、3カ年計画で掲げた目標値を上回ることができました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(道路関連事業)
道路建設業界においては、政府による防災・減災、国土強靭化対策の推進もあり、公共投資が底堅く推移したものの、慢性的な建設技能者不足や2024年4月から建設業界にも適用された「働き方改革関連法」への対応が喫緊の課題となる等、経営環境は引き続き予断を許さない状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループの道路関連事業は、積算精度の向上や安全管理の徹底等、一般競争入札における総合評価落札方式への対応強化を図ると共に積極的な技術提案を行い受注拡大に努めました。道路土木工事においては、熾烈な受注競争のなか、橋梁補修工事をはじめとする各種工事の受注に努めましたが、大型の工事案件の受注が前期に比べ減少しました。年間契約を主とする道路維持管理業務においては、新規案件の獲得等が増収に寄与し、道路清掃業務においては積極的な営業活動により受注が増加したほか、自社の環境製品を活用した水質浄化工事の竣工もあり、前期に比べ増収となりました。さらに、前期に連結子会社化した株式会社テス東北が、主力事業である太陽光発電設備の設置工事および修理・保守を推進し、業績に貢献しました。
以上の結果、道路関連事業全体の売上高は280億5千6百万円(前期比5.4%増)、セグメント利益は50億8千5百万円(前期比0.3%減)となりました。
(レジャー事業)
飲食業界においては、経済活動の正常化による人流の回復に加え、インバウンド需要の拡大もあり、外食需要は総じて堅調に推移しましたが、常態化する人手不足と共に原材料価格の高騰や光熱費の上昇等、引き続き厳しい事業環境が続きました。
このような状況のなか、当社の飲食事業は、キャッシュレス・キャンペーンやLINE、インスタグラムを活用した会員限定情報の配信等の施策により、新規顧客やリピーターの確保に繋げる等、売上の向上を図りました。また、メニューの見直しや人員配置の最適化によりコストの上昇を抑える等、収益の向上に努めました。
マリーナ事業は、年間契約の船舶係留数が引き続き高水準で推移したほか、ビジター艇の積極的な受入れや船舶補修業務の受注強化等、売上の向上に努めましたが、『東京夢の島マリーナ』の管理運営業務が2024年3月31日をもって終了したこともあり、レジャー事業全体の売上高は12億3千7百万円(前期比30.0%減)、セグメント利益は4千7百万円(前期比74.4%減)となりました。
(不動産事業)
不動産事業は、新規事業用地の取得や既存物件の賃料改定を行う等、収益の向上に努めました。
『吉祥寺スバルビル』や『新木場倉庫』等の賃貸物件が堅調に稼働したことに加え、前期に取得した大阪府吹田市の物件等が寄与したこともあり、売上高は9億8千万円(前期比13.8%増)、セグメント利益は6億3千2百万円(前期比14.9%増)となりました。
なお、2024年2月に東京都昭島市内に事業用地を、同4月に静岡県御殿場市内に事業用地および建物を取得しました。また、同11月にも千葉県千葉市内に事業用地を取得し、いずれも賃貸を開始しております。
生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の実績」は記載しておりません。
1.受注高及び受注残高
区分 |
当連結会計年度 (自 2024年2月1日 至 2025年1月31日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
道路関連事業 |
27,942,813 |
△6.2 |
7,393,182 |
△1.5 |
(注) 当社グループでは道路関連事業以外は受注生産を行っておりません。
2.売上実績
区分 |
当連結会計年度 (自 2024年2月1日 至 2025年1月31日) |
|
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
|
道路関連事業 |
28,056,390 |
5.4 |
レジャー事業 |
1,237,553 |
△30.0 |
不動産事業 |
980,091 |
13.8 |
合計 |
30,274,035 |
3.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 道路関連事業の売上高のうち、スバル興業単体の道路維持工事の売上高は6,237,097千円であります。
3 主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合
前連結会計年度(自 2023年2月1日 至 2024年1月31日)
相手先 |
売上高(千円) |
割合(%) |
中日本ハイウエイ・メンテナンス東名株式会社 |
3,158,852 |
10.8 |
阪神高速技術株式会社 |
3,529,536 |
12.1 |
当連結会計年度(自 2024年2月1日 至 2025年1月31日)
相手先 |
売上高(千円) |
割合(%) |
中日本ハイウエイ・メンテナンス東名株式会社 |
3,245,514 |
10.7 |
阪神高速技術株式会社 |
3,564,047 |
11.8 |
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金の減少等がありましたが、受取手形、売掛金及び契約資産の増加、千葉県千葉市所在事業用地の取得等により前連結会計年度末に比べ20億9千8百万円増の408億2千2百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金の減少、1年内返済予定の長期借入金の減少等がありましたが、未払法人税等の増加、資産除去債務の増加等により前連結会計年度末に比べ3千9百万円増の51億9千9百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の増加等により前連結会計年度末に比べ20億5千8百万円増の356億2千3百万円となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ1億7千2百万円減少し、121億2千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、34億9千7百万円(前年同期比6億6千5百万円減)となりました。これは主に売上債権及び契約資産の増加6億5千6百万円、法人税等の支払額15億6千2百万円等により資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益49億1千7百万円、減価償却費6億1千9百万円等により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、23億3千4百万円(前年同期は44億4千4百万円の資金減)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、13億3千5百万円(前年同期は10億1百万円の資金減)となりました。これは主に配当金の支払いによるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の購入のほか、外注費、修繕費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要の主なものは、新たな不動産の取得、新規飲食店の出店及びM&A投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金は自己資金及び金融機関からの長期借入による調達を基本方針としております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りとは異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(道路土木工事において一定の期間にわたり充足される履行義務について認識した完成工事高の計上)
道路土木工事において一定の期間にわたり充足される履行義務について認識した完成工事高の計上について、道路土木工事における履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる取引は、進捗度を工事収益総額に乗じて算定しております。なお、進捗度は、インプット法に基づき見積工事原価総額に対する当連結会計年度末までの発生工事原価の割合にて算定しております。
また、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができないものの、当該履行義務を充足する際に発生する工事原価を回収することが見込まれる場合には、原価回収基準により収益を認識しております。
経営者は、工事原価総額及び工事進捗度の見積りに際して、事業環境等も踏まえた合理的な予測・判断を行っておりますが、一定の不確実性が伴うことから、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損会計における将来キャッシュ・フロー)
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定で用いている将来キャッシュ・フローは、事業環境等も踏まえて合理的に作成された予算をもとに、資産グループの現在の使用状況や使用計画等を考慮して見積りを行っておりますが、一定の不確実性が伴うことから、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。