第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は最高の技術で最高の商品を創り、常に消費者に信頼され選ばれる企業であり続けるという創業の精神のもとに、全ての人が、心身ともに健康的で“素足以上に足どり軽く”快適な生活を実現できるよう、常に消費者起点の発想で、新しい市場・新しい技術・新しい商品の開発に挑戦し、いつの時代にも消費者にご満足いただける最高の商品とサービスを提供することを経営の基本方針としております。

(2)目標とする経営指標

 当社はTSR(株主総利回り)向上を目標に、持続可能な成長事業ポートフォリオを構築し、安定的な収益構造を実現することで、弛まず企業価値向上を目指し、連結経常利益率3%以上の安定的な達成を目標としてまいります。

(3)中長期的な会社の経営戦略

 エッセンシャルウェアによる「パーソナル・ソリューションカンパニー」としての地位確立

a.育成事業(百貨店の自主運営売場及び直営店)の本格的な構築と領域拡大

b.成長加速事業(レッグEC事業および量販店)の更なる売上拡大

c.収益深耕事業(海外事業およびバッグEC事業)の収益拡大

d.構造改革事業(ホームウェア事業およびロンデックス)における収益基盤の再構築

e.ナイガイ・オンリ-バリュ-としてのNB(自社商品)開発と拡販

f.タビオ社との協業促進

g.適地適産化のサプライチェ-ンの更なる強化

h.サステナビリティ経営の推進 “環境”と“人”に優しい社会の実現への貢献

i.健全かつ透明性のあるコンプライアンス経営のさらなる推進

j.コーポレートガバナンスコードに基づくガバナンス体制の強化

k.復配実現へ向けた収益力の強化と環境整備

 

(4)対処すべき課題

1.事業ポートフォリオ戦略による収益基盤の再構築と安定化

  当社グループは、厳しい経営環境の変化への耐性を高め、安定的な利益体質を再構築するとともに、成長による企業価値向上の実現が最重要経営命題と認識し、当社グループは、2025年2月3日に公表致しました、第6次中期経営計画(N-Challenge 2027)の2030年ビジョンである「パーソナル・ソリューションカンパニー」の実現に向けて、消費者起点の発想による、新たな事業モデルの創造へ挑戦してまいります。

1)育成事業の本格的な構築と領域拡大

◦百貨店事業の収益力強化

・百貨店の閉店、売場縮小などのリスクを想定した営業戦略を更に推し進め、他社協業を含む自社主導型運営売場拡大に伴う百貨店内でのシェア率アップによる売上の拡大を図る

◦直営店事業の新戦略推進

・既存直営店の収益改善に取り組み、売場のプロデュ-ス業化による直営店モデルを拡大

・EC事業とのOMO施策により、消費者の利便性向上および購入体験の向上を推進

2)成長加速事業の更なる売上拡大

◦レッグEC事業の成長

・EC顧客ニーズに特化した独自開発商品のラインナップの拡充により、更なる売上拡大を図る

・消費者とのタッチポイント拡大のため、自社ECサイト「ナイガイオンラインショップ」における、各種検索エンジンでのSEO施策やSNSを活用した広告活動などにより、集客力を向上させる

◦量販店事業の新規販路の開拓と深耕による収益力強化

・顧客ニーズに向けた付加価値商品の開発による新たな販売拠点の開拓

・パートナー企業とのサプライチェーン全般の協業範囲を拡大し、効率的な営業戦略の展開

 

3)収益深耕事業の収益拡大

◦海外販路の販売の拡大

・アジア市場での新規ライセンスブランド展開

・現地EC販売の開始

・タビオ中国に向けた、中国製ジャパンクオリティ靴下の供給

◦バッグEC事業の販売拡大

・革以外(生地系)のバッグを扱う新たなセレクトショップの立ち上げによる、収益モデルの再構築

4)構造改革事業における収益基盤の再構築

◦ホ-ムウェア事業の効率化推進

・パジャマ品種は、消費者に向けた新たな付加価値商品の提供による売上拡大

・エプロン品種は、店舗別の採算基準を見直し、取引条件の改善や不採算店舗からの撤退を含め、事業運営の効率化を推進

◦ロンデックス事業の領域拡大

・ゴム製品製造技術を駆使した新規工業用途ビジネス販路の開拓

5)ナイガイ・オンリ-バリュ-としてのNB(自社商品)開発と拡販

・R&D(研究開発)の迅速化と、オンラインとオフラインにおけるテストマーケティングの実践により、新商品の早期市場投入

・顧客の購買動機となる機能性エビデンスを取得するため、ナイガイラボを活用

6)タビオ社との協業促進

・協業型OMOショップの新たな出店

・当社靴下をタビオ店舗・ECに向けての販売を加速化

・婦人靴下売場におけるコンバインショップの出店

7)適地適産化のサプライチェ-ンの更なる強化

・国内生産:toC事業の強化に向けた新たなQR体制の構築

・海外生産:ジャパンクオリティ-×ベストプライスを実現する生産インフラの構築

 

2.「サステナブル」経営への取り組み

 当社グループは、社会の課題解決とナイガイグループの成長を両立させる「共有価値の創造(CSV)」により、持

続可能な社会・環境の実現に貢献することを目標としており、業界全体として抱える人権問題や環境問題に関する

社会的課題を、持続的成長に向けて解決すべき重要な課題として捉え、適宜適切な対応を進めております。今後に

おきましても、これら課題が及ぼす事業へのリスク及び機会を継続的に把握、評価した上で適切な対応を進めてま

いります。

 

3.コンプライアンス遵守の取り組み

 当社は代表取締役を委員長とする、コンプライアンス委員会を設置し、経営層による全社員とのコンプライアン

ス対話会(モニタリング)を継続的に実施するとともに、各職場におけるコンプライアンス勉強会を開催するなど

組織、個人のコンプライアンス意識の醸成と定着を目的とした必要な施策に取り組んでおります。

 

4.コーポレート・ガバナンス強化への取り組み

 当社は、コーポレート・ガバナンス強化への積極的な取り組みを通じて、継続的な企業価値の向上を果たすこと

が経営上の重要課題であると認識し、効率的な業務執行及び監督体制の構築、経営の透明性・健全性の確保のため

に、内部統制の機能強化及び取締役会の実効性向上に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス

 当社グループは持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上の両立に向け、2021年12月に公表いたしました「第5次中期経営計画」において、当社グループの「サステナブルへの取り組み」を策定しております。この方針は、常勤取締役及び執行役員による経営会議にて策定し、取締役会にて決議しており、2025年2月3日に公表いたしました、第6次中期経営計画においても引き続き取り組んでまいります。

 

(2)サステナビリティ全般に関するリスク管理体制

 当社のリスク管理体制につきましては、代表取締役直轄の内部統制部の設置及び、各担当役員を委員長とするBCP委員会、品質管理委員会、コンプライアンス委員会、SDGs委員会を設置し、サステナビリティ全般のリスクに備える仕組みを構築しており、各委員会からの報告は、その重要度に応じて、随時、営業会議、経営会議、取締役会へ報告がなされ、経営判断による適切な対応をとる体制を整えております。

 

(3)サステナビリティ活動(SDGs)への取り組み

 当社は、SDGs委員会を設置し、2025年2月3日に公表いたしました、第6次中期経営計画で定めました以下のSDGs取り組み方針に基づき、サステナビリティ活動を展開してまいります。

 

<サステナビリティに向けての重点取り組みテーマ>

①「環境に優しい」を実現する取り組み

 • クリーンエネルギー活用

  - 太陽光発電での工場電力供給(タイロンデックス)

 • 地球環境課題への取り組み

  - エコ素材、脱プラ、資源の有効活用、廃棄削減への取り組み

  - 清掃活動(本社、タイロンデックス)

 • 責任あるものづくり

  - 公平、公正な取引によるものづくり(フェアトレード)の実践

  - 人権問題、環境問題に反しないサプライチェーン・トレーサビリティーの約束

  - 環境に優しい原料の積極的活用

  - リサイクル・リユース・アップサイクルの活用促進

 

②「人に優しい」を実現する取り組み

 ・お客様との新たな価値創造

  -ユニバーサルデザイン製品・サービスの開発

  -女性固有の悩みをサポートする“フェムテック”“フェムケア”商品の開発

  -人生100年時代を健康に生きるため、ナイガイラボのデータを活用した足の健康を守るソリューション製品・サービスの開発

  -靴下の製造過程で余った糸を就労支援B型事業所施設と協力し、ぬいぐるみを制作・販売を行うプロジェクト「かわろね」の推進により、アップサイクルを通じた環境保全と多様性を認めあえる世の中の実現

 

③多様性を活かした全員活躍の推進

 ・多様な人材を戦力として活かす仕組みづくり

  -性別、年齢、国籍を問わない適材、適所への中核人材登用促進

  -個々のライフスタイルに応じた柔軟な働き方を選択できる人事制度構築

 ・外部パートナーシップを活用した障がい者・高齢者活躍プロジェクトの実践

 ・全社員のユニバーサルマナー検定3級取得により、働きやすい社内環境構築

 

※当社はホームページに、サステナビリティへの取り組みを公表しております。

  https://www.naigai.co.jp/contents/hp0161/index10140000.html

 

(4)人的資本

 当社は、サステナビリティに向けての重点取り組みテーマとして多様性を活かした全員活躍の推進を掲げており、フレックス勤務、短時間勤務制度の拡充など、様々な環境のもとで働く従業員が働きやすい環境の整備に努めております。また、契約社員の正社員登用制度があり、毎年定期的に登用制度を実施しております。2020~2024年の5年間では、契約社員から25名が正社員に登用されました。

 2025年1月末時点、当社における女性従業員の割合は、販売員を含む常時雇用の正社員・契約社員合計では77.0%、販売員を除いた場合では47.5%となっております。また、管理職に占める女性の比率は10.3%となっております。女性の管理職比率につきましての数値目標設定は行っておりませんが、管理職候補者世代の女性比率は約半数を占めており、2018年2月に改訂実施した現人事制度では、従来の制度よりも若くして管理職に昇格できる制度としたことから、今後は管理職に占める女性比率が増えていくと想定しております。

 人材教育としては、階層別研修、外部セミナーへの参加に加え、会社施策として靴下ソムリエ、TES(繊維製品品質管理士)資格、ユニバーサルマナー検定資格の取得に取り組んでおり、社内講師が講習会を開くなど人材育成に取り組んでおります。これに加え、従業員の能力開発への支援として、資格取得に対する補助制度を導入しています。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済動向・消費動向・気象状況に伴うリスク

 当社グループが主に扱う衣料品は、常に最新の消費者ニーズに基づき商品開発をしておりますが、ライフスタイルの急激な変動、競合環境の変化、個人消費の低迷等により、所期の計画と乖離する可能性があります。

 その対応策としては、常に企画部門において、市況動向、消費者動向、長期気象予報等をモニタリングし、可能な限り短期間での変化対応を可能とする企画、生産プロセスの構築に努めてまいります。

 

(2)急激な為替変動に伴うリスク

 当社グループは、海外での商品生産調達を行っておりますが、予期せぬ為替レートの円安変動については、製品調達価格の上昇要因となり当社業績に相当程度の悪影響を及ぼす可能性があります。

 その対応策としては、輸入取引及び商標権使用料支払いの為替変動によるリスクに備え、適時通常の取引の範囲内で先物為替予約等を行い、可能な限りのリスクヘッジを行なっております。

 

(3)災害等に伴うリスク

 地震や火災等の偶発的な大規模災害の発生により、事業継続に支障をきたす可能性があります。

 その対応策としては、BCP委員会を営業本部直下に設置し、可能な限り短時間で事業の再開ができるよう、当社を含めサプライチェーン全体での連携を密にしたBCP体制を整えてまいります。

 

(4)パンデミックに伴うリスク

 未知のウイルス等によるパンデミックにより、政治、経済環境に甚大な制限が課されることも想定され、これによるサプライチェーンの不機能、消費市場の停滞等により、当社業績に重大な影響が及ぼされる可能性があります。

 その対応策としては、パンデミック時に発動させるBCP計画において、従業員の安全確保を最優先事項と位置付け、事業継続を可能とする体制を整えてまいります。

 

(5)得意先の経営方針等の変化に伴うリスク

 当社グループの売上全体の約90%は国内市場での売上によるものであり、特に主要販路である、百貨店、量販店に対する売上高は当社売上の約60%を占めるため、これら業態の経営方針の変更、出退店や業績の変動が、当社グループの業績にも大きく影響を及ぼす可能性があります。

 その対応策としては、特定流通販路に偏らない、適切な販路ポートフォリオを組んだ事業展開を行うとともに、小売業態、EC等の直販型ビジネスモデルの拡大に注力してまいります。

 

(6)ライセンス契約に伴うリスク

 当社グループは、国内外企業が所有する知的財産権の使用許諾を得たライセンスブランドによる売上が売上全体の80%近くを占めており、不測の事由によりライセンス契約が継続できない状況が発生した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 その対応策としては、特定ライセンスブランドに偏らないブランドポートフォリオを常に見直し、適切なブランドの組み替え等を行ってまいります。また、自社ブランドの育成にも注力し、ライセンスブランド比率を低減する取り組みも行ってまいります。

 

(7)品質に伴うリスク

 当社グループの商品は、消費者や取引先へ出荷する前に、その安全性、機能性、規格等について、品質管理部門又は第三者の検査機関の検査を実施して万全の体制で臨んでおりますが、予測しえない品質トラブルや製造物責任に関する事故が発生した場合は、企業やブランドイメージの低下、多額の損失が発生する可能性があります。

 その対応策としては、品質管理委員会を営業本部直下に設置し、品質管理マニュアルに基づき、商品部門に企画仕様管理を徹底させ不良品発生を予防するとともに、生産後は納品前の工場検査、納品後の受け入れ検査等を義務付けることで、水際での不良品排除を徹底しております。

 

(8)生産トラブルに伴うリスク

 当社グループはファブレスのため、すべての商品の生産は国内外の協力工場に委託しております。そのため、生産地域の政治、経済の混乱、協力工場における人権問題に絡むトラブルや経営状況の悪化、生産管理上のトラブル、物流障害等により不測の調達トラブルをきたした場合は、生産停止やデリバリー遅延等による販売機会損失が発生する可能性があります。

 その対応策としては、協力工場に対する人権問題を含むコンプライアンス遵守状況の確認を随時徹底するとともに、発注時点での協力工場の稼働状況、生産キャパ、生産工程の打ち合わせ等を綿密に行い、生産工程通過ごとに進捗をモニタリングし、必要に応じて生産ラインを組み替える等の指示を行うことで、トラブル発生のリスクを最小限にとどめるよう努めてまいります。

 

(9)個人情報に関するリスク

 当社グループは、個人情報の取扱いについて個人情報管理規程を定め、運用管理しておりますが、サイバー攻撃等の不測の事故により、重大な情報セキュリティー事故が発生した場合は、当社グループの社会的信用や企業イメージの低下により、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 その対応策としては、個人情報管理については、個人情報管理規程を整備し、従業員に周知徹底するとともに、コンプライアンス教育を定期的に実施しております。また、サイバー攻撃等の予防については、情報資産管理規程に基づき適切な運用管理に努めております。

 

(10)人材の確保及び育成に関するリスク

 当社グループは、持続的な成長のために、採用活動や育成の強化に努めておりますが、労働市場における人材不足や競争の激化により、当社グループが求めるスキルや経験を持つ人材を確保できないリスクや、人材が流出した場合に当社グループの事業運営や将来の成長戦略に影響を及ぼすリスクがあります。

 その対応策としては、高付加価値のサービスを提供できる人材をより多く確保するとともに、業務効率を継続的に改善していくことが必要であると考えており、積極的な採用活動に取り組み、従業員への教育・研修体制の充実・強化を図り、全社的な生産性の向上、人材の定着に努めてまいります。

 

(11)継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは、当連結会計年度において営業損益は2期連続で黒字となったものの、営業キャッシュ・フローは連続してマイナスを計上しております。従いまして、継続企業の前提に重要な疑義が生じさせる事象又は状況が引き続き存在していると認識しております。

 このような状況を解消するために当社グループは、2025年2月3日に公表致しました、第6次中期経営計画の着実な実行により、営業キャッシュ・フローの黒字化を計画していることから、現時点では当社グループにおいて、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 なお、資金面については、金融機関からの融資継続を含め手元資金は十分確保できており、財務面での安全性は確保できております。

 以上のことから、現時点では当社グループにおいて継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善等により、緩やかな景気回復の基調で推移しました。その一方で、中国経済の先行き懸念、地政学的リスクの長期化に加え、米国の今後の政策動向などの影響もあり、依然として不透明な状況が続きました。

衣料品業界におきましては、賃上げやインバウンド消費の伸長などの好材料もありましたが、原材料及びエネルギー価格の高騰に加え、度重なる物価上昇もあり、個人消費の冷え込みが懸念されます。

このような状況下、当社グループは、最重要課題を安定的な利益体質の再構築、成長による企業価値向上の実現と捉え、当連結会計年度を最終年度とする第5次中期経営計画で掲げる次の施策に取り組んでまいりました。

 

(ベースカーゴ事業の卸売り販売)

 〈既存販路〉

・自主運営体制のショップ化及び服飾雑貨企業との連合運営売場の増設

・メンズリラクシングウェア、ナイトウェアの展開店舗及び売場シェアの拡大

・婦人靴下売場でのレギンスパンツ等の新エッセンシャルアイテムの拡充

・大手GMSとのPB及びブランドビジネス展開の拡充

・フェムテック、フェムケア市場に向けた新たな商品開発

 〈新規販路〉

・大手専門店チェーン販路での新規販売

 〈拡大販路〉

・パートナー企業を通じてのディストリビューションネットワークの拡大

 

(成長投資事業の小売り販売)

 〈EC 販売〉

・EC顧客ニーズに合わせた商品の開発

・サプライチェーンの最適化による販売機会損失の防止

 

(新たな取組み)

・タビオ株式会社との協業の拡大

・新たな顧客を獲得するため、キャラクターブランドの追加による販売拡大

・テレビCMなどマスメディアを通した顧客接点の拡大

 

これらの結果、当連結会計年度の売上高は、13,162百万円(前年同期比1.1%増)、営業利益57百万円(前年同期比156.0%増)、経常利益は151百万円(前年同期比11.1%減)となり、さらに、特別利益に投資有価証券売却益を計上し、特別損失に固定資産の減損損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は100百万円(前年同期比10.6%減)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 

(卸売り事業)

卸売り事業につきましては、百貨店販路のレッグウェア、アンダーウェアでは、当社主体の魅力ある店頭の売場作りにより、顧客との長期的な関係構築を目指す販売戦略を実行しました。

その中で、紳士品種は、消費者のライフスタイルや購買データなどの情報に応じて、商品を効果的に展開することで、プロパー価格販売の強化に取り組みました。アンダーウェア、リラクシングウェアでは、都心店を中心にインバウンド顧客に向けた売場占有率向上施策に注力したことに加え、当社が主体となる売場を拡大したことにより、店頭販売は前年実績を上回りました。婦人品種は、百貨店におけるセール販売の縮小に伴い、季節商品の展開拡大に加えて、レギンスパンツなどのエッセンシャルアイテムの拡充により、消費者に新たな価値を提供しました。一方、10月から11月前半までの高気温の影響により、秋冬商戦のスタ-トは苦戦したものの、当社のロングセラー商品「ハマグリパイルソックス」の70周年を記念した「ポロ・ラルフローレン」や「サンリオキャラクター」などとのコラボ商品の販売に加えて、新しいキャラクターブランド「ドラえもん」商品の投入により、店頭販売は前年実績を上回りました。

 

ホームウェアにつきましては、パジャマでは、販売価格の見直しと、気候変動に合わせた季節商品が好調に推移した結果、前年実績を上回りました。一方、エプロンでは、需要の減少に併せて、顧客の価格抵抗感が強まった結果、ギフト需要が振るわず、前年割れの売り上げとなりました。

量販店販路では、新規販路の拡大策として、大手専門店チェーンでの新たな販売を始めました。また、協業パートナーとのディストリビューション販売の深耕と直接消費者へのアプローチをするための販促活動として、フェムテック・フェムケア商品「整 TOTONO」、安心してつかえるユニバーサルデザインソックス「みんなのくつした」のテレビCMを放映した結果、大幅な増収となりました。

これらの結果、当連結会計年度での卸売り事業の売上高は10,925百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は31百万円(前年同期比36.2%増)となりました。

 

(小売り事業)

小売り事業につきましては、EC事業はレッグウェアのインターネット販売において、EC顧客向けのオリジナル企画をライセンスブランド「ポロ・ラルフローレン」や、NBブランド(当社ブランド)にて登山、着圧などの機能性商品を投入したことが寄与し、大幅な増収となりました。一方、センティーレワン株式会社が展開するバッグのインターネット販売については、消費者ニーズの多様化により販売は苦戦しました。

直営店事業は、HAPPY SOCKSの店舗で、不採算店の閉店の影響があったものの、竹下店ではインバウンドによる入店客数が増加したことに加え、日本限定商品の拡充により店頭売上は前年実績を大きく上回りました。また、「HitoAshiヒトアシ」府中店では服飾雑貨企業との協業を推進し、顧客とのタッチポイント拡大に注力した結果、店頭売上は前年実績を上回りました。さらに、羽田エアポートガーデンや二子玉川ライズなど期間限定SHOPを積極的に出店し新たな売上を創出することができました。

これらの結果、当連結会計年度の小売り事業の売上高は2,236百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益は26百万円(前年同期は0百万円の営業損失)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して694百万円増加し、11,888百万円となりました。自己資本比率は55.2%となり、1株当たり純資産額は805円28銭となりました。

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ60百万円増加し、8,548百万円となりました。現金及び預金が164百万円増加し、受取手形及び売掛金が9百万円、商品及び製品が21百万円減少しました。

(固定資産)

 当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ633百万円増加し、3,340百万円となりました。投資有価証券が時価の上昇等により656百万円増加しました。

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ303百万円減少し、3,624百万円となりました。支払手形及び買掛金が92百万円、電子記録債務が126百万円減少しました。

(固定負債)

 当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ231百万円増加し、1,702百万円となりました。繰延税金負債が303百万円増加し、長期借入金が58百万円減少しました。

(純資産)

 前連結会計年度末と比較して766百万円増加し、6,562百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益100百万円と投資有価証券の株式市場の相場上昇によるその他有価証券評価差額金が572百万円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,521百万円となり、前連結会計年度末と比べ164百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は35百万円(前期は357百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益139百万円となり、増加項目として売上債権の減少33百万円及び棚卸資産の減少31百万円、減少項目として仕入債務の減少236百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により獲得した資金は205百万円(前期は107百万円の使用)となりました。投資有価証券の償還及び売却により245百万円獲得し、固定資産の取得に67百万円使用しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は75百万円(前期は156百万円の使用)となりました。長期借入金の返済に39百万円及び自己株式の取得に16百万円使用しました。

④生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

卸売り事業

276

109.7

 (注)金額は製造原価によっております。

 

 b.受注実績

 該当事項はありません。

 c.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

卸売り事業

6,030

97.6

小売り事業

867

100.1

合計

6,897

97.9

 (注)1.金額は仕入価格によっております。

       2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

卸売り事業

10,925

100.4

小売り事業

2,236

104.6

合計

13,162

101.1

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社経営者は、期末日における資産及び負債、当連結会計年度における収益及び費用に影響を及ぼすような見積りを実施いたします。

 見積り及びその基礎となる仮定は、過去の実績やその時点での入手可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、見積り根拠となる仮定又は条件等の変化により、見積り内容が実際の結果と異なる可能性があります。

 見積り及び仮定のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は、以下のとおりであります。

(a) 棚卸資産評価損

 当社グループは、商品在庫の評価ルールを定め、収益性の低下が認められる商品在庫については、棚卸資産評価損を原価計上しておりますが、将来の市況の急激な変化、天候変動要因を含む様々な消費動向の変化により評価ルールが想定しない変化が発生した場合、追加的に評価損計上が必要となる場合があります。

 

(b) 固定資産の減損損失

 当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として事業セグメントを基礎に資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。

 回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストなどが含まれますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

(c)返金負債・返品資産

 当社グループは、返金負債及び返品資産を取引先との間の商慣習により生じる返品について翌期以降に発生する損失見込額をもとに計上しております。

 想定される取引先の店頭在庫金額については過去からの入出庫情報により算定しております。また、返品率については、過去の返品実績率により期末時点に適した返品実績率を仮定し、採用しております。

 当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づいた最善の見積りであるものの、主要な仮定は、消費者の購買行動の変化やその他の経済環境等の変化によって影響を受ける可能性があり、返品率や店頭在庫金額に重要な影響が及ぶ場合には、翌連結会計年度の返金負債及び返品資産の評価にその影響を反映させる可能性があります。

 

②当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)経営成績

 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(b)財政状態

 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a)キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(b)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、安定した収益と成長性を確保するための運転資金及び設備投資に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としておりますが、当社は営業赤字を脱せず、当社の経常損失37百万円相当分、営業キャッシュ・フローは赤字となりました。しかしながら、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は3,521百万円あり、当社グループの事業活動を推進していくうえで十分な流動性を確保していると考えております。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営方針、経営戦略、経営上の目標につきましては、2021年12月14日に公表いたしました第5次中期経営計画(for the NEXT STAGE 2024)でお知らせしておりますが、その最終年度にあたる2025年1月期の業績は、第5次中期経営計画の基本的な経営方針及び経営戦略は維持しつつ、百貨店販路における店頭販売力強化策の実行、量販店販路における既存取引の深耕及び新規販路の開拓による売上拡大、成長余力があり高収益販路であるEC事業のさらなる販売拡大等の営業強化策により、連結売上高13,162百万円、連結経常利益151百万円と、2期連続で黒字化を達成することができました。

 2026年1月期は、2025年2月3日に公表いたしました、第6次中期経営計画(N-Challenge 2027)の初年度であるため、3カ年計画の「種まき」と「足場固め」の位置づけとし、掲げております諸施策を確実に実行することで、連結売上高13,500百万円、連結経常利益150百万円を目標とし、指標とする経常利益率3%の達成に向けた収益基盤の再構築を目指してまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 ソリューションビジネスに資するデータベース構築及び靴下の開発を目的とした「ナイガイ・ラボ」を設立するとともに、医療機器製造販売資格を取得しており、今後も引き続き医療機器分野での本格的な機能商品開発を推し進めるとともに、全ての人の快適な足どりを実現するために、高年齢者、障害者の方でも満足いただける、ユニバーサル設計のレッグウェア類の開発に注力してまいります。