第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「ザ・インターネットカンパニー」という理念のもと、「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」ことを目指しデジタルトランスフォーメーション時代に対応し進化したデジタル技術を用いて顧客のサービスひいては人々の生活をよいものへ変革するという考え方の基に事業を展開しております。

その実現に向けてWebソリューション事業、デジタル人材育成派遣事業、オンラインゲーム事業を展開し、インターネットを利用して実現できる様々なサービスを提供することにより、顧客の生活やビジネスに変革をもたらし、企業価値の最大化を図ります。

 

(2) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、事業規模の拡大と収益性の向上を重要な課題と認識しており、特に売上高及び営業利益とその成長率を重要な指標としております。また、資本効率を判断する指標として自己資本利益率(ROE)を重要な指標と位置付けております。また、それらの源泉となるエンジニア数、単価、顧客継続率も重視しております。

 

(3) 経営環境

当社グループが属するインターネット業界においては、需要の面では、大手企業を中心に「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」と呼ばれるデジタル技術の活用による変革の流れが引き続き力強いものとなっており、企業や政府・自治体における旺盛なIT投資が継続しております。また、供給の面では、デジタル人材の不足が依然として深刻な状況にあり、需給ギャップの拡大とそれに伴う人材獲得競争の激化が見られ、ソフトウェア等の開発単価は上昇傾向にあります。オンラインゲーム業界においては、市場が安定期を迎えほぼ横ばいで推移する中、海外企業によるタイトルが存在感を見せるなど、依然厳しい競争環境が続いています。

 

(4) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題

当社グループは、中長期的には、規模の拡大を図っていくことを経営上の目標とし、既存事業の安定的成長と、M&Aを両軸として規模の拡大を図ります。

当社グループが属する情報サービス業は、デジタルトランスフォーメーションに牽引される形で引き続き市場が拡大するものと予測しております。また、その担い手であるデジタル人材の需要も高まる一方、今後さらにIT技術者の不足は深刻さを増していくものと考えられます。当社グループは若手エンジニアを始めデジタル人材が多数在籍しており、今後も採用を強化する方針であることから、長期的な人材への投資・教育が重要であると考えております。従業員1人1人の成長が事業成長及び社会貢献へ繋がる事を鑑み、「アピリッツVISION2030」を掲げ、人と事業が継続して成長できる環境作りを行ってまいります。

その推進にあたり、下記の事項を対処すべき課題として捉え、対応に取り組んでおります。

 

① 技術革新への対応

当社グループは、Webシステムやアプリ、スマホゲームなど様々な開発・運用・保守を行っているため、デジタル化技術やAIの進化、インターネットを基盤技術とする各種技術の革新に対応する必要があります。また、インターネット利用者がインターネット関連サービスに期待することも大きく変化していくことが予想され、当社グループにおいてもこの変化に柔軟に対応していくことが今後の成長において重要な課題であると認識しております。そのため、各種技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化を予測し、継続的に技術革新への対策を実施し、サービス向上に努めてまいります。

 

② 優秀な人材の確保と育成

当社グループが継続的に成長し続けるためには、インターネット関連技術に関して高いデジタル技術を備えた人材やデジタルネイティブな若い人材の確保及び育成が重要な課題であると認識しております。そのため当社グループでは企業理念・組織風土にあった優秀な人材を新卒・中途問わず毎年継続的に採用しており、優秀な人材の定着を促進するため、福利厚生の充実、職務や職位に応じた適正な評価・報酬体系、働きやすいオフィス環境のハード面の構築を進めております。また、会社内の横串のコミュニティの活性化、相互理解や助け合いの文化を促進するソフト面での施策も同時に行い、共創・共学の環境で従業員が継続して成長することが事業成長を生み、ひいては関わるステークホルダーへ好循環が波及する環境づくりを進めてまいります。

 

③ 教育・研修への取り組み

当社グループは若手の従業員が多く、個人の成長が今後の長期的な企業成長へ繋がると考えております。そのため「学ぶ」というテーマが従業員の充実した生活と個人の成長を繋げる概念になると考え、そのための仕組みづくりが重要であると認識しております。また、支援体制につきましても、資格取得支援制度や社内研修を充実させることで人材育成により一層注力してまいります。

 

④ M&Aを利用した事業の拡大

当社グループは、成長戦略の一環としてM&Aを掲げております。M&Aを推進する事で事業規模の拡大、優秀なデジタル人材を採用とは別の軸で取り込む事が可能になり、これまでもサービス領域の強化・拡大などに取り組んでまいりました。引き続き、この方針のもとM&Aを進めてまいります。

また、検討に際して当社グループ事業とのシナジー、事業戦略との整合性、買収後の収益性、買収後の統合効果を最大化するプロセス(PMI)に留意しており、M&A後には、グループ全体で営業やバックオフィス業務の連携を図ることで管理体制を効率化するよう努めております。

 

⑤ サステナビリティ経営への取り組み

当社グループは、社会的責任としてサステナビリティ経営が重要な課題であると認識しております。当社グループは、サステナビリティ経営の基本となるESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みの開示強化を積極的に進めており、事業活動を通じて地球環境問題解決への貢献、多様性豊かな社会づくりのための活動、透明性の高い経営環境の確保に繋がるよう努めてまいります。

 

⑥ 内部管理体制の強化

当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、内部管理体制の充実に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「ザ・インターネットカンパニー」という理念のもと、「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」ことを通じて人々の生活をよいものへ変革する事を目指しております。そしてこれを実現するために社会課題の解決に取り組み、持続的なグループの成長と持続可能な社会の実現を図ります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関するガバナンス

当社グループを取り巻く環境は常に変化しております。このように変化し続ける事業環境に対応し、安定的な成長を実現するために、当社グループでは取締役会を中心に、検証・改善を行う体制を構築しております。また、取締役会の下にリスク・コンプライアンス管理委員会を設置し、全社的なリスク管理を管掌し、重点項目を取締役会に報告しております。なお、リスク・コンプライアンス管理委員会には社内取締役及び社内監査役に加え外部弁護士が参加し、監督助言を受けることで、適切に管理・監督される体制となっております。

 

(2)リスク管理

当社グループは、経営の健全性を維持するために様々なリスクについて適切に管理するよう努めております。そのため「リスク・コンプライアンス規程」を定め、リスクの特定・調査・原因の究明、及びその対処方針の立案と実行については、リスク・コンプライアンス管理委員会が行っております。なお、重要なリスクに関しては、必要に応じて取締役会に報告を行うこととしております。当社グループのリスクに関する詳細は、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(3)戦略

当社グループは、中核人材の多様性の確保が、多様な視点・価値観を取り入れることにつながり、ひいては今後の当社グループの成長に必要な要素となると考え、社員のライフステージに合った働き方ができる環境作りの整備に積極的に取り組んでおります。

 

①人材育成方針

組織における横串のコミュニティを活性化し、相互理解や助け合い文化の促進を行う「共創・共学」、学びの継続ができる環境構築によりデジタル人材の育成を行う「人材育成」、学びを継続することによる「生産力向上」の3つの要素を重視しており、従業員1人1人の成長が事業成長及び社会貢献へ繋がる仕組みとなるように努めております。

 

②社内環境整備方針

多様な人材が継続して勤務できるよう、テレワーク制度、フレックスタイム制度、育児休業・介護休業制度、服装の自由化、社員寮制度など様々な制度を設けております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、サステナビリティについて具体的な目標は、現時点において定めておりません。今後戦略に基づく指標及び目標の設定を検討してまいります。

人材の育成に関しましては、人材採用の強化と充実が経営の重要課題として認識しておりますので、上記に記載した方針に基づき、企業価値の増大に努めてまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。しかし、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行っていただく必要があると考えております。

本項記載の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.事業環境に関する事項

(1) インターネット業界について

当社グループが属するインターネット業界は変化の激しい業界であり、事業に関連する技術革新のスピードが早く、顧客のニーズも日々急速に変化しております。したがって、これらの業界に属する事業者は、多様な顧客ニーズに応えるべく、常に新しい技術やイノベーティブな取り組みをキャッチアップし、また、応用していくことが求められます。

当社グループは、技術革新や顧客ニーズの変化に対応すべく、技術力向上や顧客ニーズの把握に努めておりますが、これらの変化に適切に対応できない場合は当社グループの競争力の低下を招き、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) オンラインゲーム業界について

当社グループが事業展開しているオンラインゲーム業界においては、オンラインゲームの供給会社が多数存在しております。このような中、当社グループではゲームタイトル開発に際し、競合他社との差別化を図るべく、時代の潮流を見据えた企画の立案及び高い技術力を用いた開発を実施し、ユーザーのニーズに合った魅力あるゲームタイトルを提供するよう努めております。

しかしながら、今後当社グループが提供するゲームタイトルがユーザーに支持されず、又は競合他社との競争激化に伴い、当社グループが提供するゲームタイトルのユーザー数及び収益が著しく減少した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2.事業内容に関する事項

(1) 新規事業・サービスの展開について

当社グループは、今後も事業規模・サービスの拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業・サービスの創造に取り組んでいく方針であります。

しかしながら、新規事業・サービスの開始に際しては、当社グループにおいて研究開発及びシステム開発に係る人員不足、技術力不足その他の要因により、事業立ち上げ等に想定以上の時間と費用を要する場合や事業拡大及び収益獲得が当初の想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 新規ゲームタイトルの開発・リリースについて

当社グループのオンラインゲーム事業においては、自社ゲーム及び他社ゲームの継続的な開発が重要な戦略となっております。当社グループは、ユーザーの期待に応えられるようなゲームタイトルの開発・運営に努めており、ユーザーの嗜好の変化等を継続的に確認し、その時々のニーズに合致するような要素を開発期間中に追加したり、様々なゲーム内イベント等を運営期間中に実施したりすることで、ゲームのクオリティやユーザー満足度の維持向上を目指しております。

しかしながら、ゲーム開発には多額の先行投資がかかる一方で、競合企業の新作ゲームタイトルのリリースやユーザーの嗜好の変化により開発した新規ゲームタイトルが想定通りの売上を達成できる保証はなく、開発凍結やサービス停止を決定する可能性があります。また、新規ゲームタイトルのリリース時期については、ゲームのクオリティ向上等のための追加開発や、何らかの不具合発生等により開発期間を延長し、リリース時期を変更する可能性があります。

これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) ゲーム課金の健全性・安全性の維持について

PCやスマートフォンの普及に伴い、昨今では未成年者のユーザーも増加しております。当社グループが運営するゲームタイトルでは、ゲーム内で有料アイテムを販売しており、アイテムを購入する際には、クレジットカードの利用や通信キャリア決済、又はプリペイドカードを利用するなど決済手段がいくつか存在します。特に家族の端末を利用したクレジットカード決済においては、未成年者が誤って有料アイテムを購入すること等により多額の請求が発生するなど、課金に関するトラブルが発生する可能性があります。

当社グループはこうした課金トラブルを防ぐため、自社サイト内で注意喚起を行うなど、サイトの健全性・安全性を維持することに努めておりますが、このような課金トラブル等が、運営するゲームタイトルで発生した場合、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) リアル・マネー・トレードへの対応について

現在、オンラインゲーム業界においては、一部の悪質なユーザーがリアル・マネー・トレード(RMT)(注)によってアイテム等の譲渡を行うことでゲームの安全性・健全性が阻害されるという問題が発生しております。

当社グループでは、利用規約でリアル・マネー・トレードの禁止を明記するとともに、違反者に対してはゲームの利用停止や強制退会等の厳正な対応を講じる方針であることを明確にしております。

しかしながら、当社グループに関連するリアル・マネー・トレードが大規模に発生、又は拡大した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(注) リアル・マネー・トレード(RMT)とは、オンラインゲーム上のキャラクター、アイテム、ゲーム内仮想通貨等を現実の通貨で売買する行為を言います。

 

(5) 他社ゲーム開発の提携先、決済代行会社及びプラットフォーム運営会社との関係について

オンラインゲーム事業における他社ゲーム開発では、提携先から開発費用・固定運営収入・レベニューシェアという収益を受領しております。

当社グループの運営するゲームタイトルは決済代行会社を通じて売上の回収を行っており、また、自社ゲーム開発による当社ゲームタイトルは大手プラットフォーム事業者を中心に、複数のプラットフォーム上において各社のサービス規約に従いサービスを提供しております。

当社グループは、提携先、決済代行会社及びプラットフォーム運営会社とは良好な関係を維持しておりますが、今後何らかの要因により契約継続が不可能となる場合や、手数料率の変更等が行われた場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法的規制について

当社グループが運営するソーシャルゲームは、有料アイテム・コンテンツを購入して利用することが可能であることから「資金決済に関する法律」の適用を受けており、その法律に沿った運用を行っております。

また、当社グループが運営する人材派遣事業は、厚生労働省が指定する「労働者派遣事業」に該当し、厚生労働大臣の認可が必要であります。当社グループでは関係法令の遵守に努め労働者派遣を行っております。

なお、当社グループが事業であるシステム開発やコンテンツ制作等を外注している場合があり、それらの取引の一部は「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の適用対象となります。

その他、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」等の種々の法令の規制を受けております。当社グループは、事業に関係する法的規制の把握に努め、法令を遵守し事業を行っておりますが、万が一法令に違反するような事象が発生したような場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) ユーザー保護を目的とした社会的な規制リスク

当社グループが属するオンラインゲーム業界では過去にランダムに入手するアイテムやカードを特定種類そろえることで希少なアイテムやカードを入手できる所謂「コンプリートガチャ」における課金方法が不当景品類及び不当表示防止法に違反する見解が2012年7月に消費者庁より示され、業界各社の業績に大きな影響を及ぼしました。当社グループでは一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA)による自主規制、対応を遵守し対応に当たっておりますが、今後社会情勢の変化によって既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定等、法的規制が行われた場合には著しく制約を受け、影響を受ける可能性があります。

 

(8) 訴訟について

当社グループは、当連結会計年度末現在において、重要な訴訟を提起されている事実はありません。事業運営に係る各種リスクの軽減に努めるとともに、法的リスクに対応できる内部管理体制の構築を進めてまいります。しかしながら、当社グループが保有する個人情報の管理不徹底等の人為的ミスの発生、第三者からの不正アクセスによる情報流出又はシステム障害及び当社グループの提供したサービスの不備等に起因して、訴訟を受ける可能性があります。受託開発業務においては、納品遅延、瑕疵担保対応などによる損害賠償請求等の訴えを起こされる可能性があります。その訴訟の内容及び結果、損害賠償の金額によっては当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) M&A(企業買収等)による事業拡大について

当社グループでは、将来の新規事業分野への参入や事業拡大のため、M&A等の投資活動を行っております。

M&Aにあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスクを吟味した上で決定しておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、事業の展開等が計画どおりに進まない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、企業買収等により、当社グループが従来行っていない新規事業が加わる際には、その事業固有のリスク要因が加わります。

 

(10) 個人情報の取扱いについて

当社グループが営むWebソリューション事業においては、委託を受ける開発・保守運用業務等の中で、顧客が保有する個人情報・機密情報を取り扱う場合があります。また、オンラインゲーム事業においても、事業の性質上、多くのユーザーの個人情報を保有しております。当社グループは個人情報を取り扱う企業として、「個人情報の保護に関する法律」や関連法令等の遵守に努め、個人情報に関する従業員の継続的な教育・研修を行っております。

また、当社は、2007年1月に「個人情報保護マネジメントシステム-要求事項(JISQ15001)」を満たす企業として、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より「プライバシーマーク」付与の認定を受け、2年ごとに更新認定を受けております。

当社グループは、取り扱う情報のセキュリティ・管理体制には万全を期しておりますが、万が一個人情報や機密情報が外部に流出した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 知的財産権の管理について

当社グループは、受託業務や運営するゲームタイトルにおいて、第三者の知的財産権の侵害を行わないよう努めておりますが、万が一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらに対する対価の支払い等が発生する可能性があります。また、当社グループが保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があるほか、当社グループが申請した知的財産権が認可されない可能性もあります。

こうした事態が発生した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) ゲームタイトルの資産計上について

当社グループは、オンラインゲーム事業を推進する上で、ゲームタイトルの開発を行っており、当該ゲームタイトルの開発費用は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にしたがってソフトウエアとして資産化し、リリース時から減価償却費を計上しております。

会計上において資産化したソフトウエアは、何らかの理由により開発を中止したり、リリース後において収益性が著しく低下する場合等には、減損損失を認識することとなり、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 海外展開について

当社グループは、オンラインゲーム事業において、海外パートナーと連携しオンラインゲームの海外展開を図っております。しかしながら、海外展開においては、各国における市場動向、政治・経済、文化の違いや、現地の法的リスクや債権の回収リスクなど、国内取引以上に高いリスクが存在することは否めず、このようなリスクが顕在化した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 為替リスクについて

当社グループは、海外展開を行っているため、一部の取引について外貨建での決済を行っております。そのため、為替レートの変動によっては損失が生じる可能性があります。

本書提出日現在においては、全社の取引高に占める外貨建の取引の割合が小さいため、為替変動が当社グループに与える影響は少ないと考えておりますが、今後海外展開が進んだ場合は、為替レートの変動等が、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) システムトラブル等について

当社グループが提供する事業はネットワークシステムを利用しているため、自然災害、コンピューターウィルス、サーバーへの過重負荷、外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入などの不測の要因によってシステムがダウンする可能性があります。

当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するためのシステム強化・セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるようバックアップの体制を整えております。

しかしながら、万が一システムトラブルに当社グループが適切に対応できなかった場合、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。また、システムの作動不能や欠陥等に起因して、当社グループの信頼が失墜し、売上の低下や当社グループに対する損害賠償請求等が発生する場合も想定されます。

このような場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 開発工数の増加について

Webソリューション事業における受託開発業務においては、開発工数が当初の予定より大幅に増加するリスクがあります。当社グループは、このような事態を発生させないように適切な工数計画の策定、工数管理及び品質管理を行っていますが、開発中に顧客の要求する仕様が大幅に変更されたり、予期し得ない不具合が発生したりした場合等には、開発工数が大幅に増加し、採算が悪化する等、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(17) 不具合等の発生について

当社グループが受託開発した成果物については、通常、顧客に対して契約不適合責任を負います。当社グループは品質管理を徹底しておりますが、予期せぬ不具合等が発生した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 検収時期の遅延等による収益計上時期の期ズレについて

Webソリューション事業及びオンラインゲーム事業における受託開発業務においては、顧客側の検収作業遅延等により、想定どおりに収益を計上できず、計上時期が決算期末を越える「期ズレ」が発生する可能性があります。このような場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.その他

(1) 自然災害等について

当社グループは、地震等の自然災害の発生等を想定したリスク管理体制を整備しております。しかしながら、当社本店所在地は東京都にあり、他の地域に拠点を分散しておりません。このため、東京都において大地震、台風等の自然災害や火災等の事象により、業務の遂行が困難となった場合や設備の損壊、電力供給の停止又は制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 特定人物への依存について

当社代表取締役社長である和田順児は、当社の経営方針・事業戦略の決定・遂行においても重要な役割を果たしております。

当社は、人材の採用・育成、取締役会や経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化、職務の分掌を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。

しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 人材の確保・育成等について

当社グループが、今後更なる成長を果たすためには、優秀な人材の採用及び育成を継続的に実施し、開発体制の強化及び営業力の向上等を図っていく必要があると考えております。

当社グループは、引き続き優秀な人材の採用及び育成を継続していく方針でありますが、今後、必要な人材の確保が計画と大幅に乖離した場合、人材の流出が生じた場合及び当社グループが求める人材の育成ができなかった場合、開発体制の強化及び営業力の向上等が想定どおりに実現しなかった場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 新株予約権行使による株式の希薄化について

当社グループは、役員及び従業員(元役職員を含む)に対し、新株予約権を付与しております。2025年1月末現在における新株予約権による潜在株式数は464,300株であり、発行済株式総数4,158,762株の11.2%に相当します。これらの潜在株式となる新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復傾向にあります。しかしながら、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場停滞の継続、さらには物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動などにより、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループが属するインターネット業界・オンラインゲーム業界においては、需要の面では、大手企業を中心に「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」と呼ばれるデジタル技術の活用による変革の流れが引き続き力強いものとなっており、企業や政府・自治体における旺盛なIT投資が継続しております。また、供給の面では、デジタル人材の不足が依然として深刻な状況にあり、需給ギャップの拡大とそれに伴う人材獲得競争の激化が見られ、ソフトウェア等の開発単価は上昇傾向にあります。

このような経営環境において、当社グループは「ザ・インターネットカンパニー」というビジョンのもと、「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」をミッションに掲げ、その実現に向けてWebソリューション事業・デジタル人材育成派遣事業・オンラインゲーム事業を展開し、DX化に伴う需要拡大や開発単価の上昇等の追い風の下、収益拡大を図っております。

また、前連結会計年度末に掲げた中期ビジョンである「アピリッツVISION2030」の取り組みを推進しております。当社グループには若手エンジニアを始めデジタル人材が多数在籍しており、今後も採用を強化する方針であることから、長期的な人材への投資・教育が必要であると考えております。従業員1人1人の成長が事業成長及び社会貢献へ繋がる事を鑑み、人と事業が継続して成長できる環境作りを行うことを目的としております。具体的には、組織における横串のコミュニティを活性化し、相互理解や助け合い文化の促進を行う「共創・共学」、学びの継続ができる環境構築によりデジタル人材の育成を行う「人材育成」、学びを継続することによる「生産力向上」の3つの要素により実現できるものと考えており、最終的には多くのサービス開発を通して、事業・収益拡大を実現させ、社会に多数のデジタル人材を輩出することで「豊かな社会」の実現を目指してまいります。

さらに、当社グループが成長戦略として掲げるM&A戦略の面では、その実現によりデジタル人材の確保・育成と事業領域の拡大に取り組んでおります。引き続き、成長に向けて積極的なソーシングを行ってまいります。なお、過年度から当連結会計年度末までに実現したM&Aは以下のとおりであり、いずれも完全子会社化しております。

 

時期

名称

事業内容

2022年1月

株式会社ムービングクルー

ファンコミュニティサイトの企画・開発・運営等

2022年7月

株式会社Y's

IT人材派遣、Webサイト制作等

2024年6月

Bee2B株式会社

Webサービス、システム開発・構築、運用・保守、コンサルティング等

2024年10月

株式会社クエイル

スマホアプリ・Webアプリケーション開発、AWSを主軸としたインフラ・クラウドサービスの構築・移行・運用、Webサイト制作等

 

 

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、以下のとおりとなりました。

売上高 9,008,810千円(前年同期比6.9%増)

営業利益 185,628千円(前年同期比69.0%減)

経常利益 185,547千円(前年同期比68.9%減)

親会社株主に帰属する当期純利益 45,968千円(前年同期比88.1%減)

 

 

当連結会計年度におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。

なお、セグメント間取引消去前の金額を記載しております。

 

(Webソリューション事業)

Webソリューション事業においては、顧客のニーズに合わせたサービス設計から開発・保守までの一連の業務を請け負うことによるロイヤリティループの形成、若手に責任あるポジションを経験させ開発エンジニアとしての技能の向上を図りそれをまた新たな若手に繋げていくことによる成長スパイラルの形成から、継続的な案件受注や新規案件のタッチポイントの増加を企図しております。

期中に発生した大型案件の納期遅延への対応にあたり、大幅な人員投下等による当該案件の不採算化、人員投下に伴うリソース不足の発生による新規案件獲得の低下が見られましたが、当該案件は2024年9月に収束しました。

その後、第4四半期連結会計期間においては、四半期における過去最高の売上となる大幅な業績の回復が見られましたが、営業利益以下の段階損益は、業績予想の達成には至りませんでした。

なお、今回の不採算プロジェクトの発生を契機に、開発プロジェクトにおけるミドルマネジメント層の充実やプロジェクトの問題点を的確にエスカレーションできる体制の強化を進めており、プロジェクト体制・収益性ともに、来期以降は不採算プロジェクトの影響は残らない見込みであります。

この結果、当連結会計年度における売上高は3,525,429千円(前年同期比1.9%増)、セグメント利益は437,882千円(前年同期比54.7%減)となりました。

 

(デジタル人材育成派遣事業)

デジタル人材育成派遣事業においては、急速に進むデジタルビジネスの進展とそれを支えるデジタル人材の需給ギャップが構造的に問題となっており、質の高いデジタル人材に対するニーズが依然として高まっております。

当社グループでは、未経験に近い人員の採用を行い、過去から積み上げた質の高い教育を積極的に行うことで、質の高いデジタル人材を顧客に提供しております。

当連結会計年度においてもデジタル人材の派遣の需要は引き続き堅調に推移しております。当社単体においては、2024年12月から開始したオンラインゲーム事業における大型共同運営タイトルへの人員異動等により、第3四半期連結会計期間以降の売上高は減少傾向にあるものの、グループ会社における業績が順調に推移したことで、当社グループ全体の業績としては好調なものとなりました。

この結果、当連結会計年度における売上高は2,183,337千円(前年同期比12.6%増)、セグメント利益は156,679千円(前年同期比41.1%増)となりました。

 

(オンラインゲーム事業)

オンラインゲーム事業は、運営移管タイトルにおいては、『けものフレンズ3』及び『UNI’S ON AIR(ユニゾンエアー)』がいずれも2024年9月にサービス開始5周年を迎えたことを記念して周年イベントを開催し売上に貢献いたしました。また、運営移管後に運営体制の効率化や外注の内製化を継続して行っていることで、原価は低減傾向にあります。

受託開発・運営においては、他社開発ゲームの受託開発及び運営保守並びに共同運営を行ってまいりました。自社ゲームタイトルや運営移管タイトルの開発で獲得したノウハウを活かし、他社ゲーム開発の受注が安定的に推移しました。また、2024年4月には株式会社ブシロードが提供する『新テニスの王子様 RisingBeat』、2024年12月には株式会社gumiが提供する『乃木坂的フラクタル』の運営に参画するなどを行いました。

自社ゲームタイトルにおいては、『ゴエティアクロス』が2024年9月にサービス開始6周年を迎えたことを記念して周年イベントを開催しました。

この結果、当連結会計年度における売上高は3,370,128千円(前年同期比9.2%増)、セグメント利益は366,647千円(前年同期比93.3%増)となりました。

 

また、財政状態は次のとおりとなりました。

 

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は、5,760,055千円と前連結会計年度末に比べて1,174,214千円の増加となりました。流動資産は1,062,869千円増加し、4,444,578千円となりました。これは、現金及び預金が551,789千円、売掛金及び契約資産が453,067千円増加したこと等によるものであります。固定資産は111,344千円増加し、1,315,477千円となりました。これは主に、建物が99,748千円、工具、器具及び備品が24,775千円、のれんが70,648千円、繰延税金資産が50,474千円増加した一方で、差入保証金が145,509千円減少したこと等によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は、3,365,549千円と前連結会計年度末に比べて1,248,081千円の増加となりました。流動負債は454,199千円増加し、2,184,166千円となりました。これは主に、買掛金が156,786千円、未払金が129,310千円、1年内返済予定の長期借入金が257,624千円増加した一方で、未払法人税等が60,816千円、未払消費税等が43,698千円減少したこと等によるものであります。固定負債は793,882千円増加し、1,181,382千円となりました。これは主に、長期借入金が710,883千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、2,394,506千円と前連結会計年度末に比べて73,867千円の減少となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が45,968千円、株式報酬費用の計上により新株予約権が40,605千円、ストックオプションの権利行使により資本金、資本準備金がそれぞれ6,455千円、自己株式の取得により自己株式が115,562千円増加した一方で、配当金の支払により利益剰余金が57,790千円減少したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,293,950千円と前連結会計年度末に比べて551,789千円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は10,127千円(前年同期は251,693千円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益141,640千円、減価償却費61,931千円、のれん償却額84,862千円、売上債権及び契約資産の増加409,644千円、仕入債務の増加154,950千円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は160,987千円(前年同期は462,813千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出185,370千円、資産除去債務の履行による支出51,740千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出100,061千円、差入保証金の回収による収入202,688千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は702,647千円(前年同期は130,879千円の収入)となりました。これは長期借入れによる収入1,150,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出265,361千円、自己株式の取得による支出116,176千円、配当金の支払額57,726千円があったこと等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループが提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

Webソリューション事業

3,264,155

77.4

1,336,322

83.7

デジタル人材育成派遣事業

2,111,919

112.1

1,200

32.9

オンラインゲーム事業

3,260,230

103.2

372,501

77.2

合計

8,636,305

93.3

1,710,023

82.1

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

Webソリューション事業

3,524,363

101.9

デジタル人材育成派遣事業

2,114,369

112.2

オンラインゲーム事業

3,370,078

109.2

合計

9,008,810

106.9

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

Apple Inc.

1,127,149

13.4

1,267,146

14.1

Google LLC

729,189

8.7

676,612

7.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成に当たっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。

これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うために、実際の結果はこれらとは異なる可能性があります。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

② 経営成績及び財政状態の分析
(売上高)

Webソリューション事業においては、大手企業を中心とした「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」と呼ばれるデジタル技術の活用による変革の流れが引き続き力強いことで、新規案件の獲得や案件の大型化が進んだことにより、増収となりました。

デジタル人材育成派遣事業においては、主にグループ会社で派遣人員が増加したことにより業績が順調に推移し、増収となりました。

オンラインゲーム事業においては、運営移管タイトルでは周年イベント等の実施、共同運営タイトルでは新規参画タイトルの増加により、増収となりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は9,008,810千円となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

Webソリューション事業においては、期中に発生した大型案件の納期遅延への対応にあたり、当該案件の収束に向け大幅な人員投下等を行ったことにより、原価は増加しました。なお、当該案件は2024年9月に収束したため、来期以降に当該影響は残らない見込みであります。

デジタル人材育成派遣事業においては、質の高いデジタル人材を顧客に提供するため、人材の採用、質の高い教育を積極的に行ってまいりました。

オンラインゲーム事業においては、運営体制の効率化や外注の内製化を継続して行っていることで、原価は低減傾向にあります。

この結果、当連結会計年度の売上原価は7,115,553千円、売上総利益は1,893,257千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、1,707,628千円となりました。主な内訳は、給与手当が404,857千円、支払手数料が219,727千円、賞与引当金繰入額が17,795千円、貸倒引当金繰入額が4,537千円であります。

この結果、当連結会計年度の営業利益は185,628千円となりました。

 

   (営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益は、受取手数料等により12,348千円となりました。営業外費用は、支払利息等により12,430千円となりました。

この結果、当連結会計年度の経常利益は185,547千円となりました。

 

特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)

特別損失は、43,906千円となりました。主な内訳は、本社移転費用が43,544千円、固定資産除却損が361千円であります。また、法人税、住民税及び事業税は136,318千円、法人税等調整額は△40,645千円となりました。

この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は45,968千円となりました。

 

財政状態の分析内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの財務政策は、安定的な運用を行うことを基本方針としております。

運転資金及び将来の事業拡大を目的にした投資資金の財源については、自己資金及び銀行からの借入金を財源としております。

 

⑤ 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

当社グループは、特に売上高及び営業利益とその成長率を重要な指標としております。また、それらの源泉となるエンジニア数、単価、顧客継続率も重視しております。

売上高については、過去10年において安定的な成長が見られ、Webソリューション事業における前年度からの継続顧客は約8割となっております。

エンジニア数については、新卒・中途採用をともに積極的に行っており、今後の案件増加や大型化に対応できる組織作りに努めております。

単価については、案件の大型化が進んだことで上昇傾向にあります。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場ニーズや内部環境及び外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を積極的に実施し、現在及び将来における内部環境及び外部環境を認識したうえで、当社の経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(Bee2B株式会社の取得)

当社は、2024年5月31日に会社法第370条及び当社定款第25条第2項の規定による決議によって、Bee2B株式会社の全株式を取得し、完全子会社化することを決議するとともに、同日付で株式譲渡契約を締結し、2024年6月1日に全株式を取得いたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください

 

(株式会社クエイルの取得)

当社は、2024年9月30日に会社法第370条及び当社定款第25条第2項の規定による決議によって、株式会社クエイルの全株式を取得し、完全子会社化することを決議するとともに、同日付で株式譲渡契約を締結し、2024年10月1日に全株式を取得いたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、当社が企画・開発・運営する新作オンラインゲームの開発であり当連結会計年度における研究開発費の総額は、116,120千円であります。

なお、過年度より開発していた新作オンラインゲームについては、その開発を一時中断し、新作協業プロジェクトに注力することを決定しました。