1【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名称   株式会社パロマ・リームホールディングス

所在地  東京都千代田区丸の内一丁目8番3号丸の内トラストタワー本館7階

 

2【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式

 

3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1)本公開買付けに関する意見の内容

 当社は、2025年1月6日開催の取締役会において、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしておりました。

 なお、公開買付者によれば、本公開買付けは、2025年1月6日付「株式会社富士通ゼネラル(証券コード:6755)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(以下「2025年1月6日付公開買付者プレスリリース」といいます。)において公開買付者が公表していたとおり、日本、欧州連合、インド、サウジアラビア、及びアメリカの競争法等の手続及び対応に一定期間を要することが見込まれたことから、当該手続及び対応が完了していること等の本取引基本契約(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義します。以下同じです。)に規定された前提条件(注1)(以下「本公開買付前提条件」といいます。)が充足された場合又は公開買付者により放棄された場合(注2)に速やかに開始することを予定しており、公開買付者は、当該手続に関する国内外の法律事務所との協議等を踏まえ、2025年7月上旬を目処に本公開買付けを開始することを目指していたとのことですが、今般、公開買付者は、同年4月25日までに、本公開買付前提条件がいずれも充足されたことを確認したことから、同日、本公開買付けを2025年4月28日より開始することを決定したとのことです。

(注1) 公開買付者によれば、①当社の取締役会により、利害関係のない取締役全員の一致をもって、本公開買付けに賛同し、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明に係る決議がなされ、これが法令等に従って公表されており、かつ、かかる意見表明が変更(2025年1月6日から本公開買付けの開始日までの期間の経過に伴い当然に必要となる情報の更新その他の軽微な変更を除きます。以下同じです。)又は撤回されていないこと、並びに、当社の取締役会が本公開買付けに関して設置した本特別委員会(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に定義します。以下同じです。)が、委員全員の一致をもって、当社の取締役会に対し、本公開買付けに賛同し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明を行うことは相当である旨の答申を行い、かつ、当該答申が変更又は撤回されていないこと、②本取引(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義します。以下同じです。)を制限又は禁止する司法・行政機関等の判断等がなされておらず、かつ、そのおそれもないこと、③本取引基本契約に基づく富士通株式会社(以下「富士通」といいます。)の義務(注3)がいずれも重要な点において履行又は遵守されており、かつ、富士通の表明及び保証(注4)が重要な点において真実かつ正確であること、④本取引を適法に完了させるために必要な国内外の全ての許認可等(注5)の取得又は履践(以下「本クリアランス取得」といいます。)が完了していること、⑤本ライセンス契約(下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本取引基本契約」において定義します。以下同じです。)が適法かつ有効に締結され、かつ存続していること、⑥本合意書(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 本公開買付け後の経営方針」において定義します。以下同じです。)が適法かつ有効に存続しており、本合意書に基づく当社の義務がいずれも重要な点において履行又は遵守されていること(ただし、当該義務の違反が重大な悪影響を及ぼすものでない限り、充足されたものとみなされます。)、⑦当社から、本公開買付けの開始日の前営業日において、当社が当該日に公表する本公開買付けを含む本取引に関する事項を除き、当社に係る業務等に関する重要事実(法第166条第2項に定めるものをいいます。)で当社が公表(法第166条第4項に定める意味を有するものをいいます。)していないものが存在しない旨の確認が書面により得られていること、⑧2025年1月6日以降、本公開買付けが開始されていたとするならば、法第27条の11第1項但書の定めに従い、本公開買付けの撤回等が認められるべき事象が当社又はその連結子会社に生じていないこと、並びに、⑨2025年1月6日以降の日に実施される剰余金の配当に関する議案が当社の株主総会において承認されておらず、また、当該議案を目的事項とする株主総会の招集が決定されていないこと(ただし、当該株主総会の招集が撤回され、又は当該議案が株主総会で否決された場合を除きます。)が定められているとのことです。なお、本取引基本契約には契約終了事由(注6)が定められており、本取引基本契約が終了した場合には、公開買付者は本公開買付けを開始する義務を負わないことになるとのことです。なお、本取引基本契約の詳細については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本取引基本契約」をご参照ください。

(注2) 本取引基本契約においては、公開買付者はその任意の裁量により、本公開買付前提条件のいずれも放棄できることが定められているとのことです。

(注3) 本取引基本契約に基づく富士通の義務の内容については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本取引基本契約」をご参照ください。

(注4) 本取引基本契約に基づく富士通の表明及び保証の内容については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本取引基本契約」をご参照ください。

(注5) 公開買付者によれば、日本、欧州連合、インド、サウジアラビア、及びアメリカの競争法の許認可等(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第10条第2項に基づく届出その他関連する法令等により要求される国、地方公共団体その他の司法・行政機関等による許可、認可、免許、承認、同意、登録、届出その他これらに類する行為又は手続を総称していいます。)を含むものの、これらに限られないとのことです。なお、公開買付者によれば、公開買付者は、本取引基本契約の締結後に実施した調査も踏まえ、日本、欧州連合、インド、サウジアラビア、及びアメリカの競争法の許認可等以外に、本取引を適法に完了させるために必要な国内外の許認可等は存在しないと認識しているとのことです。

(注6) 本取引基本契約の契約終了事由については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本取引基本契約」をご参照ください。

 当社は、2025年3月14日、公開買付者から、本クリアランス取得の状況を踏まえ、本公開買付けを2025年4月上旬又は中旬に開始することを見込んでいる旨の連絡を受けました。そして、2025年4月2日、当社は、公開買付者から、本公開買付前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2025年4月28日より開始することを予定している旨の連絡を受けました(その後、2025年4月7日、当社は、公開買付者から本クリアランス取得が完了したとの連絡を受けました。)。

 これに対し、当社は、2025年3月14日、本特別委員会に対して、本特別委員会が2025年1月6日付で当社の取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、当社の取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問したところ、本特別委員会から、2025年4月25日付で、本特別委員会が2025年1月6日付で当社の取締役会に対して行った答申内容(当該答申内容及び当該答申に係る本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び当社における特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を変更する必要はないものと考える旨の答申書(以下「2025年4月25日付答申書」といいます。)の提出を受けたことから、2025年4月25日付答申書の内容及び2025年1月6日の取締役会開催以降の当社の業績や市場環境の変化等を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件の内容について改めて慎重に協議・検討いたしました。

 その結果、当社は、2025年4月25日時点においても、本公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するとともに、本公開買付けにおける買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)及び本公開買付けに係るその他の諸条件は、当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された公正かつ妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであることから、当社の株主の皆様にとって妥当であると考えており、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであるとの2025年1月6日時点における当社の本公開買付けに関する判断を変更すべき要因はないと考えたことから、2025年4月25日開催の取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。また、当社は、2025年4月25日、公開買付者に対して、同日時点において、未公表の、当社に係る業務等に関する重要事実又は当社株券等に関する公開買付け等の実施に関する事実が存在しない旨の報告を行っております。

 なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。

 

(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由

 本項の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

① 本公開買付けの概要

 公開買付者は、2025年1月6日付公開買付者プレスリリースにおいて公表していたとおり、2025年1月6日付の取締役会決議により、東京証券取引所プライム市場に上場している当社株式の全て(ただし、当社の所有する自己株式及び富士通が所有する当社株式の全て(所有株式数46,121,000株、所有割合(注1):44.02%、以下「本不応募株式」といいます。)を除きます。)を取得することにより、当社を完全子会社化することを目的として、当社株式が上場廃止となることを前提とした一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者は当社株式を保有していないとのことです。

(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年4月25日に提出した2025年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された、2025年3月31日現在の発行済株式総数(109,406,661株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(4,640,954株)を控除した数(104,765,707株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。以下同じです。

 

 公開買付者によれば、本取引は、①公開買付者による本公開買付け、②公開買付者が本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式及び富士通が所有する本不応募株式を除きます。)を取得できなかった場合に、当社の株主を公開買付者及び富士通のみとするために当社が行う本株式併合(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」において定義されます。以下同じです。)による手続、③本株式併合の効力発生を条件として、当社が実施する富士通が所有する当社株式の取得を実行するための資金及び分配可能額を確保することを目的として、(ⅰ)公開買付者が当社に対し、本自己株式取得(以下に定義されます。)に係る対価に充てる資金を提供すること(公開買付者を引受人とする第三者割当増資又は当社に対する貸付けによることを予定しているとのことです。以下「本資金提供」といいます。)、及び、(ⅱ)当社において、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第447条第1項及び第448条第1項に基づく当社の資本金、資本準備金及び利益準備金の額の減少(以下「本減資等」といいます。)(注2)を行うこと、並びに④当社によって実施される富士通が保有する本不応募株式の自己株式取得(以下「本自己株式取得」といいます。)から構成され、最終的に、公開買付者が当社を完全子会社化することを企図しているとのことです(注3)(注4)。なお、本株式併合の詳細については、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。

(注2) 本減資等においては、当社の資本金、資本準備金及び利益準備金の額を減少し、その他資本剰余金又はその他利益剰余金へ振り替える予定です。

(注3) 公開買付者によれば、本自己株式取得においては、公開買付者は、富士通において、法人税法(昭和40年法律第34号。その後の改正を含みます。)に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを考慮し、当社の少数株主の皆様への配分をより多くすることで、本公開買付価格の最大化と株主間の公平性を両立させることができるとの考えの下、本自己株式取得を実施することにしたとのことです。なお、本公開買付価格及び本自己株式取得における自己株式の取得の対価(本株式併合前1株当たり。以下「本自己株式取得価格」といいます。)の算出においては、(ⅰ)本自己株式取得価格にて本自己株式取得が行われた場合の富士通の税引後手取り額として計算される金額が、(ⅱ)仮に富士通が本公開買付価格で本公開買付けに応じた場合に得られる手取り金額と同等となることを基準としているとのことです。そのため、富士通が、当社の少数株主の皆様に比して利益を得るものではございません。

(注4) 本自己株式取得は、本株式併合後、有価証券報告書提出義務免除承認前に実施する可能性がありますが、当社株式の上場廃止後に実施するものであり、上場廃止後の株式は自社株公開買付け(法第27条の22の2)の対象となる「上場株券等」(法第24条の6第1項、令第4条の3)に該当しないため、本自己株式取得に際し自社株公開買付けは実施しない予定とのことです。

 

 公開買付者は、2025年1月6日付公開買付者プレスリリースにおいて公開買付者が公表していたとおり、本公開買付けの実施にあたり、2025年1月6日付で、富士通との間で、取引基本契約(以下「本取引基本契約」といいます。)を締結し、富士通が所有する本不応募株式の全てを本公開買付けに応募しないこと、本不応募株式については、本株式併合の効力発生後に本自己株式取得に応じて当社に売却することを含めた、本取引に係る諸条件について合意しているとのことです。本取引基本契約の詳細については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本取引基本契約」をご参照ください。

 

 本公開買付けにおいて、公開買付者は、23,722,800株(所有割合22.64%)を買付予定数の下限として設定しており、本公開買付けに応じて売付け等がなされた株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。すなわち、応募株券等の総数が当該下限(23,722,800株、所有割合22.64%)に満たない場合には、本公開買付けは成立せず、本取引は実行されないこととなるとのことです。

 他方、上記のとおり、本公開買付けは、公開買付者が当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式及び富士通が所有する本不応募株式を除きます。)を取得することにより、当社を完全子会社化することを目的としておりますので、買付予定数の上限は設けておらず、買付予定数の下限(23,722,800株、所有割合:22.64%)以上の応募があった場合は、応募株券等の全ての買付け等を行うとのことです。

 なお、買付予定数の下限(23,722,800株、所有割合:22.64%)については、当社決算短信に記載された、2025年3月31日現在の発行済株式総数(109,406,661株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(4,640,954株)を控除した株式数(104,765,707株)に係る議決権の数(1,047,657個)に3分の2を乗じた数(698,438個、小数点以下を切り上げ)に当社の単元株式数(100株)を乗じた株式数(69,843,800株)から、同日現在の富士通が所有する本不応募株式46,121,000株を控除した株式数としているとのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、公開買付者は、本公開買付けにおいて当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式及び富士通が所有する本不応募株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、当社に対して、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者及び富士通のみとし、当社株式を非公開化するための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを要請する予定であるところ、本スクイーズアウト手続として本株式併合を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本スクイーズアウト手続の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者及び富士通が当社の総株主の議決権の3分の2以上を所有することとなるようにするためとのことです。

 

 公開買付者は、本公開買付けを含む本取引に要する資金を、株式会社三井住友銀行からの融資(以下「本決済資金融資」といいます。)により賄うことを予定しているとのことです。

 

<本公開買付け及びその後の想定されている各手続のストラクチャー概要図>

 以下は、本公開買付け及びその後の想定されている手続のストラクチャーの概要を図示したものとのことです。

ア 現状

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イ 本公開買付け

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ウ 本スクイーズアウト手続(~2025年8月下旬)

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エ 本資金提供及び本減資等(~2025年8月下旬)

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オ 本自己株式取得(~2025年8月下旬)

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カ 本取引の実施後

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 なお、当社は、2025年1月6日時点で、公開買付者が本公開買付けを含む本取引を実行することは当社の企業価値の向上に資するものであり、かつ、本公開買付価格は公正かつ妥当なものと考え、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨することが相当であると判断したことから、同日開催の取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議を行っておりました。

 その後、2025年3月14日、当社は、公開買付者から、本クリアランス取得の状況を踏まえて、本公開買付けを2025年4月上旬又は中旬に開始することを見込んでいる旨の連絡を受けました。そして、2025年4月2日、当社は、公開買付者から、本公開買付前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2025年4月28日より開始することを予定している旨の連絡を受けました(その後、2025年4月7日、当社は、公開買付者から本クリアランス取得が完了したとの連絡を受けました。)。

 これに対し、当社は、2025年3月14日、本特別委員会に対して、本特別委員会が2025年1月6日付で当社の取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、当社の取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問したところ、本特別委員会から、2025年4月25日付で、本特別委員会が2025年1月6日付で当社の取締役会に対して行った答申内容(当該答申内容及び当該答申に係る本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び当社における特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を変更する必要はないものと考える旨の2025年4月25日付答申書の提出を受けたことから、当該答申書の内容及び2025年1月6日の取締役会開催以降の当社の業績や市場環境の変化等を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件の内容について改めて慎重に協議・検討いたしました。

 その結果、当社は、2025年4月25日時点においても、本公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は、当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された公正かつ妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであることから、当社の株主の皆様にとって妥当であると考えており、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであるとの2025年1月6日時点における当社の本公開買付けに関する判断を変更すべき要因はないと考えたことから、2025年4月25日開催の取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。また、当社は、2025年4月25日、公開買付者に対して、同日時点において、未公表の、当社に係る業務等に関する重要事実又は当社株券等に関する公開買付け等の実施に関する事実が存在しない旨の報告を行っております。

 当社の意思決定の過程に係る詳細については、下記「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」をご参照ください。

 

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

(a)公開買付者を取り巻く経営環境等

 公開買付者は、株式会社パロマ(以下「パロマ」といいます。)による株式移転により2023年10月に設立され、2024年3月29日に、傘下に日本におけるガス給湯器・ガスコンロ分野の大手であるパロマ並びに北米、南米、欧州及び豪州を中心に給湯器及び空調機分野において事業を展開するRheem Manufacturing Company, Inc(以下「リーム」といいます。)を有する持株会社としての業務を開始し、以来、傘下の事業会社の支配、管理及び経営支援に従事してきたとのことです。パロマは、1911年の創業以来112年間にわたり大手ガス器具メーカーとしての確固たるブランドを確立してきたと考えているとのことです。また、1988年にリームを買収することにより、北米市場に参入するとともに、空調機と給湯器の両分野においてグローバルリーダーとしての立場を築いてきたと考えているとのことです。パロマ及びリームの両社はいずれも長い歴史の中で培われた経験を活かし、中長期的な観点からの成長投資を積極的に行い、より良い空調・給湯製品を世界中に提供していると考えているとのことです。公開買付者は、本書提出日現在、子会社78社及び関連会社3社(以下、総称して「公開買付者グループ」といいます。)を有しているとのことです。

 公開買付者によれば、気候変動・温暖化の影響により、空調機の需要は近年世界的に拡大をしていると考えているとのことです。また、空調・給湯は、人々の生活に密接にかかわるエネルギーインフラの領域であり、家庭用エネルギー消費の大きな割合を占めていると考えているとのことです。そのため、脱炭素化に伴う規制強化に対応した製品への置き換え需要も加速すると見られており、温室効果ガス排出量削減を可能とするイノベーションが切望されると同時に、競合企業同士の競争もグローバルスケールで激しさを増していると考えているとのことです。とりわけ近年では、より効率的な研究開発・製造・販売を可能とすることを企図して、公開買付者の競合となるグローバル大手によるM&Aが活発化していると考えているとのことです。このような事業背景を踏まえ、公開買付者は、上記のとおり、2024年3月29日に持株会社体制へ移行したことで、公開買付者はホールディングカンパニーとしてパロマ及びリーム両社の経営環境を踏まえた機動的な意思決定を行うことが可能となったことに加え、公開買付者レベルにおいてM&A等の戦略的な経営判断に必要な専門的な経験・知見を有する外部の人材の登用を含めた人的リソースの拡充を実行できたことにより、グローバルに変化していく経営環境の中で事業戦略をよりスピーディーに遂行することができる経営体制を構築したとのことです。

 

 一方、当社は、1936年1月に蓄音器・電気製品等の仕入・販売を主な事業とする株式会社八欧商店として設立され、その後ラジオ・無線機・拡声装置の製造・販売に関する事業を拡大するため、1942年8月に八欧電機株式会社に商号変更し、1947年11月に有限会社八欧無線電機製作所を吸収合併した後、1955年11月に川崎工場(現 本社川崎事業所)を建設し、テレビや家電機器の製造を開始いたしました。また、1966年11月に株式会社ゼネラルに商号変更いたしました。その後、1984年9月に富士通と資本提携及び業務提携を行い、1985年10月に株式会社富士通ゼネラルへ商号変更いたしました。現在、当社グループ(当社、連結子会社44社及び持分法適用関連会社2社で構成される企業グループをいいます。以下同じです。)は、空調機、テックソリューションの両部門において、製品及び部品の開発、製造、販売並びにサービスの提供を主な事業としております。また、当社株式は、1955年9月に東京証券取引所に上場し、その後、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い、東京証券取引所プライム市場へ移行いたしました。

 

 当社グループの各事業の概要については以下のとおりです。

 

(ⅰ)空調機部門

 当社の空調機事業は、1960年の国内向け民生用ウィンド型クーラーの発売に始まり、1971年には中東(クウェート)に進出し、外気温50℃を超え砂塵が舞う地域でも安定した性能を発揮する高品質エアコンとしてブランドを確立してきました。以来、約半世紀にわたり、ヒートポンプ(注5)やインバータといったコア技術に加え、斬新な発想と最先端の技術力で耐環境性能に磨きをかけるとともに、高い省エネ性能を実現する独自の機構設計、制御技術などにより、日本のみならず、欧州、オセアニア、中東などで高いシェアを確立し、現在は北米、アジアなどでも積極的な拡販に努めております。また、1991年からフランスの給湯・暖房機器メーカーであるAtlantic Societe Francaise de Developpement ThermiqueをはじめとするGroupe Atlanticと提携関係にあり、ヒートポンプ式温水暖房システムを共同開発し、Groupe Atlanticはフランスにおける当社空調機の販売代理店となっています。加えて、公開買付者のグループ会社であるリームとは、製品の共同開発を行い、2017年から相互にOEM(注6)供給を開始、2020年8月からリームの製品と当社の省エネ技術を融合したダクト式空調(注7)を発売しております。

(注5) 大気中の熱を冷媒を介して移動させる技術です。空調機のコア技術であり、少ない投入電力で大きな熱エネルギーが得られるため空調機のみならず給湯器などでも活用が進んでいます。

(注6) 「OEM(Original Equipment Manufacturing/Manufacturer)」とは、委託者のブランドで製品を生産すること、又は生産する企業のことをいいます。

(注7) 建物の一か所に設置した冷暖房装置からダクトで繋がれた建物内の各部屋に冷気・暖気を送風する仕組みの空調であり、米国において主流の方式です。

 

(ⅱ)テックソリューション部門

 テックソリューション部門は、情報通信システム事業及び電子デバイス事業から構成されます。情報通信システム事業においては、消防・防災体制構築の一環として、住民の生命・財産を守る消防システム及び安心安全な暮らしを守る防災システムのほか、外食産業をはじめとした顧客課題の解決に貢献する民需向けシステムを、提案・製造・販売・保守までの一貫したソリューションシステムサービスとして提供しております。電子デバイス事業においては、電子部品、ユニット製造を柱に、ソリューションビジネスを展開しております。

 

 当社グループは上記事業を営むにあたり、「-共に未来を生きる- 私たちは革新的なモノづくりを通じて、世界中のお客様と社会のために、安らぎに満ちた、今日にない明日を届けます。」という企業理念の下、お客様と社会に寄り添い、新しい価値の提供により、快適・安心・安全な社会の実現に貢献することを目指しております。

 

 当社グループの主力事業であるヒートポンプ技術やインバータ技術を活用した空調機は、世界各国・地域においてクリーンかつ省エネ性・快適性・安全性に優れた必需品であるだけでなく、暖房や給湯用途で化石燃料機器の代替製品として気候変動の抑制に貢献すると期待されており、中長期的な市場拡大が見込まれます。また、テックソリューション部門も、災害対応力強化への社会的要請や電子機器の小型化・省エネ化へのニーズを背景に、今後の事業拡大が期待できます。一方、消費行動の変化や各市場における競争激化に加え、各地での紛争のほか、原材料価格の高騰など世界的なインフレ進行、各国の金融政策、為替動向など、世界情勢や経済状況は一層不透明感を増しております。また、喫緊の経営課題として、サプライチェーンの混乱や市場環境の急激な変化など、今後も起こりうる外部環境変化への対応力の強化がより一層求められます。

 

 このような状況において当社グループは、企業理念の実践を通じた持続可能な社会実現への貢献を目指し、予測困難な状況下での事業継続とリスク耐性を確保しつつ、中長期的な事業の成長・発展を図るべく、以下の施策を推進してまいります。

 

[中期重点施策]

(ⅰ)空調事業の成長促進

成長地域(米国、欧州、インド)及び強化領域(日本における住宅設備ルート)へのリソースシフト、営業体制強化(販売代理店との関係強化、一部地域における直販化)を通じたお客様需要への貢献による売上成長

 

(ⅱ)テックソリューションの加速

(ア)当社の強みを活かした消防・防災領域での新たな顧客価値の創造

(イ)EMS事業(注8)での付加価値向上

 

(ⅲ)開発/生産改革

(ア)サプライチェーン全体で最適化された生産体制の構築(内外製最適化、将来的な地産地消への移行)によるコスト競争力強化及び在庫最適化

(イ)お客様への最大コストパフォーマンス実現に向け、開発・調達力強化によるタイムリーな製品・サービスの市場投入及び最適コストの達成

 

(ⅳ)新たな付加価値提供への挑戦

(ア)空調ソリューション事業の強化

(イ)関連サービスのクラウド化を通じた一気通貫の顧客接点の拡充・データの利活用に基づく新たな顧客価値の創造

(ウ)サステナブルでウェルビーイングな暮らしを支えることを意味する「Life Conditioner」の観点に立った新たなビジネスの創造

 

(ⅴ)経営基盤/人材組織の強化

(ア)経営基盤の強化を通じた高収益体制への変革

(イ)社員がいきいきと働き、スキルを高めて自己成長を実現できる労働環境の実現

(ウ)サステナブルな社会構築への寄与を通じた企業価値の向上

 

 上記の施策推進を加速させるため、2024年10月より、ビジネスラインを「空調機部門」と「テックソリューション部門」の2部門に集約し、全社横断でビジネス推進、支援を担う各機能をそれぞれのCxO(注9)が統括する新たな組織体制といたしました。この体制の下、両事業の成長を加速させるために、グループ全社員参加のプロジェクトを立ち上げ、事業課題に対する施策実行に取り組んでおります。

 これらの取り組みを通じ、高収益体質の実現、将来の成長に向けた基盤づくりに邁進してまいります。

(注8) 電子機器の受託生産を行う事業をいいます。

(注9) CEO(Chief Executive Officer)、CTrO(Chief Transformation Officer)、CSO(Chief Strategy Officer)、CFO(Chief Financial Officer)、CHRO(Chief Human Resource Officer)など、全社横断でのビジネス推進、支援を担う役職です。

 

 公開買付者は、本取引の検討過程における当社の経営陣との協議等を通じて、本取引を通じ以下のようなシナジーの創出が可能と考えており、それによって公開買付者及び当社の事業の長期的な成長を実現できると考えているとのことです。

(ⅰ)北米地域における販路の拡充

 北米においては既にリームと当社との間で北米空調機事業における2016年8月31日付相互製品供給契約及び2020年7月31日付共同開発契約の締結を含む協業関係があり、北米市場における製品の相互供給や全館空調方式エアコンの共同開発等を実施してきたとのことです。本取引を通じて当社が公開買付者グループの一員となることにより、公開買付者グループの有する北米における空調機及び給湯器の広範な販売チャネルを通じた当社製品の販売についてより幅広い製品群に関する踏み込んだ協業が可能になると考えているとのことです。現在の両社の製品ポートフォリオは、リームはダクト式空調を主とし、当社はダクトレス・VRF(注10)製品に強みを有していることから、両社間での製品の競合なくシナジーを創出できるものと考えているとのことです。

(ⅱ)グローバルな製造・販売地域の多角化

 公開買付者グループの空調機事業は北米地域に集中しているため、北米以外にも日本を含むアジア及び欧州に事業を展開する当社とは地域的な補完関係にあると考えているとのことです。そのため、公開買付者グループの北米における製造拠点における当社製品の生産や、当社のアジアにおける製造拠点における公開買付者製品の生産を行うことによる生産コストの削減や物流の最適化を行う等、本取引後に複雑な製造・販売拠点の統廃合を行うことなく当社の既存の事業基盤を活かす形で、よりグローバルかつ効率的に事業を展開することが可能になると考えているとのことです。

(ⅲ)原材料調達等におけるコストメリット

 本取引を通じて事業規模が拡大することに伴い、原材料のより効率的な調達が可能になることが期待されるとのことです。とりわけ、鉄、銅、アルミニウム、半導体、樹脂等については給湯器と空調機で類似する原材料を使用することから当社が公開買付者グループの傘下となり公開買付者グループとして原材料の調達数量が増大することによるボリュームメリットや各々で調達した原材料の融通を通じたコストシナジーの実現が可能と考えているとのことです。

(ⅳ)空調・給湯技術の融合に向けた基幹技術への積極投資

 空調製品におけるエネルギー消費削減が世界規模の課題となっている現在、当社の有するヒートポンプ及びVRF技術、とりわけその核心となるインバータ及び圧縮機は、その課題解決に寄与する極めて重要な技術(注11)であると考えているとのことです。また、給湯分野においても、空調機の基盤技術であるヒートポンプを活用したヒートポンプ型給湯器が台頭していることから、空調機と給湯器の基盤技術は近い将来融合することが予想されるとのことです。公開買付者グループは、既存事業から創出されるキャッシュフローをもとに、当社の有する基盤技術・製品への投資を加速することにより、次世代の空調機・給湯器の開発をこれまで以上に加速することを企図しているとのことです。

(ⅴ)日本における技術開発の推進

 公開買付者は、日本発のモノづくりや研究基盤をグローバルに展開していくことを経営戦略の核として位置付けているとのことです。そのために、グローバルに活躍できる人材の育成や、海外の人材の招聘を積極的に行うことにより日本を技術開発の中核拠点、すなわちセンターオブエクセレンスとして機能させることを目指しているとのことです。当社はグローバルに事業を展開しながらも、日本において根幹技術の開発拠点を有していることから、両社が一体となることにより、これまで以上に日本における技術開発の強化を推進することができると考えているとのことです。

(注10) ダクトレス方式は各部屋に対して室内機と室外機をそれぞれ設置する空調方式をいいます。VRFはVariable Refrigerant Flowを意味しており、個々の室内ユニットのニーズに応じて冷媒の流れを調整するように設計された空調システムをいいます。

(注11) ヒートポンプのエネルギー効率は圧縮機の性能によって大きく左右されるため、圧縮機に関する技術はヒートポンプにとって重要な基盤技術です。また、インバータ技術は圧縮機のモーターの回転速度を制御するための仕組みであり、これによって的確な空調機の出力制御による消費電力削減が可能となります。

 

(b)公開買付者と当社及び富士通との協議、公開買付者による意思決定の過程等

 公開買付者は、上記「(a)公開買付者を取り巻く経営環境等」に記載のとおり、既に公開買付者グループのリームと当社の間では協業関係がありましたが、世界的な脱炭素化の潮流やそれを踏まえた競合他社の動向を踏まえると、今後も競合企業同士の競争がグローバルスケールで激しさを増すことが想定され、効率的な研究開発・製造・販売を追求することが急務であることから、当社との長期的観点からのより大規模かつ迅速な協働が必須であると考えるに至ったとのことです。かかる当社との協働を達成するためには、公開買付者が当社の上場を維持したまま当社を子会社化し、当社の既存株主の短期的な利益を考慮しながら事業経営を行うのではなく、当社を完全子会社化することにより中長期的な観点からの事業経営を行うことが最も合理的な選択であると結論付けたとのことです。

 そこで公開買付者は、2024年7月下旬より、当社の完全子会社化の提案を当社の最大株主である富士通に説明することを目的として、面談の機会を求めたとのことです。当該面談は2024年9月2日に実施され、富士通が保有する当社株式の売却について検討を依頼した上、同月13日に、富士通に対し、当社の完全子会社化に係る意向表明書を提出したとのことです。また、公開買付者は、同月19日に、当社に対しても、意向表明書を提出し、当社の完全子会社化を提案したとのことです。これに対し、同月27日に、公開買付者は、富士通より、富士通として本取引を前向きに進めたい旨の連絡を受けたため、富士通との間で本取引に関する協議を開始したとのことです。また、公開買付者は本取引に関する検討を本格化するため、同月25日に法務アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所外国法共同事業を、同年10月2日に公開買付者、富士通及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてBofA証券株式会社(以下「BofA証券」といいます。)を起用したとのことです。公開買付者は、富士通より同日に受領したプロセスレターに基づき、同月中旬から下旬にかけ、当社経営陣に対するマネジメントインタビュー、当社の海外製造拠点への視察、当社へのインタビューセッションを含む法務・財務分野を中心としたデュー・デリジェンスを実施したとのことです。公開買付者は、上記のマネジメントインタビュー及びデュー・デリジェンス等の結果をもとに当社の事業及び財務の状況を多面的・総合的に分析し、当該分析を反映した株式価値評価分析を踏まえ、同月29日に富士通及び当社宛に、当社株式1株当たりの株式価値評価額を2,400円、本公開買付価格を2,753円(提案実施日の前営業日である同月28日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,862円に対するプレミアム率は47.85%(小数点以下第三位を四捨五入しているとのことです。以下、プレミアム率の計算において同じです。)とのことです。)とする法的拘束力を有する最終提案書(以下「最終提案書」といいます。)を提出したとのことです。

 その後、公開買付者は、同年12月4日に、本特別委員会から、非公開化を意図した公開買付事例におけるプレミアム水準や当社の資本政策に係る憶測報道の影響が生じていた期間における当社の株価水準、当社の株式価値評価等を総合的に考慮したことを理由として、本公開買付価格を1株当たり3,020円とする提案を受けたことを踏まえ、同年12月10日に、当社株式1株当たりの株式価値評価額を2,420円、本公開買付価格を2,776円(提案実施日の前営業日である同月9日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,109円に対するプレミアム率は31.63%とのことです。)とする再提案を行ったとのことです。また、公開買付者は、同月12日に、本特別委員会から、本取引後に実現し得るシナジーが十分に勘案されているとは言えないこと、非公開化を意図した公開買付事例における平均的なプレミアム水準も下回る提案であることを理由として、公開買付価格の引き上げの再検討の要請を受けたことを踏まえ、同月16日に、当社株式1株当たりの株式価値評価額を2,430円、公開買付価格を2,785円(提案実施日の前営業日である同月13日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,155円に対するプレミアム率は29.23%とのことです。)とする再提案を行ったとのことです。さらに、公開買付者は、同月18日に、本特別委員会から、公開買付価格の引き上げの再検討の要請を受けたものの、同月19日に、さらなる価格引き上げの提案は行えない旨の回答を行ったとのことです。そして、公開買付者は、同月20日に、本特別委員会から、公開買付価格の引き上げの再検討の要請を受けたものの、同月23日に、再度、さらなる価格引き上げの提案は行えない旨の回答を行ったとのことです。その後、公開買付者は、本特別委員会からの要請を受け、同月25日に、本特別委員会との面談を行い、本特別委員会から、公開買付価格の引き上げの再検討の要請を受けたことを踏まえ、同日、公開買付者の最終的な提案として、当社株式1株当たりの株式価値評価額を2,450円、公開買付価格を2,808円(提案実施日の前営業日である同月24日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,292円に対するプレミアム率は22.51%とのことです。)とする再提案を行ったとのことです。その後、公開買付者は、同月26日、本特別委員会より、公開買付者の当該提案に同意する旨の回答を受領したとのことです。

 一方で、富士通との間においては、公開買付者は、同月18日に、富士通から、最終提案書に記載された公開買付価格に関し、当社株式に係る株価動向を踏まえ、当社の主要株主としての観点、及び富士通の株主への説明責任の観点等を踏まえ、当該公開買付価格を受けられないとして、公開買付価格及び自己株式取得価格の再検討の要請を受けたとのことです。これを受けて、公開買付者は、同月20日に、本特別委員会からの一連の要請を踏まえて、同月16日に本特別委員会に提案した価格と同一の、当社株式1株当たりの株式価値評価額を2,430円、公開買付価格を2,785円(提案実施日の前営業日である同月19日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,366円に対するプレミアム率は17.71%とのことです。)、自己株式取得価格を1,979円とする再提案を行ったとのことです。その後、公開買付者は、同月27日に、本特別委員会からの一連の要請を踏まえて同月25日に本特別委員会に提案した価格と同一の、当社株式1株当たりの株式価値評価額を2,450円、公開買付価格を2,808円(提案実施日の前営業日である同月26日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,315円に対するプレミアム率は21.30%とのことです。)、自己株式取得価格を1,995円とする価格提案を行い、同日、富士通より、公開買付者の当該提案に同意する旨の回答を受領したとのことです。

 そして、今般、公開買付者は、上記「(1)本公開買付けに関する意見の内容」に記載のとおり、2025年4月25日までに、本公開買付前提条件がいずれも充足されたことを確認したことから、同日、本公開買付けを2025年4月28日より開始することを決定したとのことです。

 

③ 本公開買付け後の経営方針

 上記「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、(ⅰ)本株式併合を通じて、当社の株主を富士通及び公開買付者のみとすること、(ⅱ)本自己株式取得を実行するための資金を確保することを目的として、公開買付者を引受人とする第三者割当増資又は当社に対する貸付けによる本資金提供を実施すること、及び当社が本自己株式取得に必要となる分配可能額を確保するために本減資等を行うこと、(ⅲ)当社において、本自己株式取得を実施することを通じて、最終的に公開買付者が当社を完全子会社化することを予定しているとのことです。

 当社は、2025年1月6日付で、公開買付者との間で本取引に関して合意書(以下「本合意書」といいます。)を締結しており、本合意書において、(ⅰ)本取引の完了後も、当社グループが掲げる企業理念を維持・尊重し、中長期観点で当社グループの企業価値向上に寄与すること、(ⅱ)本取引の完了後も、当社グループの経営の独立性・自主性を維持・尊重するとともに、当社グループの2025年1月6日時点における組織体制及び運営体制を維持すること、(ⅲ)当社が作成し、本特別委員会による承認を受けた2025年3月期から2027年3月期までの3期分の事業計画(以下「当社事業計画」といいます。)の実現可能性を高める観点から、本取引完了後も少なくとも当社事業計画の対象期間中(2027年3月31日まで)は2025年1月6日時点における当社経営陣を変更せず、また、公開買付者の指名により新たに就任する当社の取締役は非常勤の取締役のみとすること、(ⅳ)公開買付者は、本取引の完了後も、当社グループの既存顧客及び事業パートナーとの関係維持及び連携強化に協力すること、(ⅴ)公開買付者は、本取引に伴い必要となる当社グループが提供する製品及びサービスの「富士通」ブランドから新規ブランドへの移行にあたっては、当社の意向を尊重し、当社グループ及びその取引先の利益にも十分配慮の上、新規ブランドの決定を行うとともに、スムーズなブランドの移行及び新規ブランドの普及に努めること、(ⅵ)本取引の完了後に、公開買付者の商号の変更につき当社の経営陣と誠実に協議し、また、本取引の完了後に当社の商号を変更する場合、公開買付者は、当社の経営陣と誠実に協議の上、当社の経営陣との間で合意の上でかかる変更を実施すること、並びに(ⅶ)原則として、本取引の完了後3年間、当社グループの従業員の雇用を維持するとともに、雇用条件を不利益に変更しないことに合意しております(ただし、(ⅱ)及び(ⅲ)については、当社グループを含む公開買付者グループの企業価値の向上の観点から、当社グループの組織体制及び運営体制並びに当社事業計画の取扱い及び当社経営陣の処遇の変更が合理的に必要となる場合には、公開買付者は、かかる変更について、当社の経営陣との間で誠実に協議の上かかる変更を実施する旨が定められております。)。

 なお、公開買付者は、2025年1月6日付で、富士通との間で本取引基本契約を締結しており、当該契約において、本自己株式取得日付で富士通から当社に派遣されていた役員である窪田隆一氏及び広瀬陽一氏が辞任することに合意しているとのことです。また、公開買付者より当社に役員を派遣することを検討しているものの、現時点では未定とのことです。

 以上の本合意書及び本取引基本契約の詳細については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。

 

④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

 当社の筆頭株主である富士通は、2020年に「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」というパーパスを定め、以来、このパーパスを起点に、今後の社会の変化を見据えながらグローバルに事業を展開するテクノロジー企業としてのあるべき姿を描き、全方位的な変革を進めていたとのことです。富士通が従来の「ICT企業」(注12)から、デジタル技術とデータを駆使してイノベーションを生む「デジタルトランスフォーメーション企業」への変革を進める中で、富士通にとっての当社の事業戦略上の重要性、親和性は低くなり、2020年2月、富士通が最適なグループフォーメーションを検討する専門部署を設置したことも踏まえ、富士通及び当社は、当社の資本政策に関する協議を開始したとのことです。なお、2022年10月に実施された富士通の2023年3月期第2四半期決算説明会においても、「目指すべき事業ポートフォリオに向けた取り組み」として、当社は富士通のノンコア事業の一つとして位置づけられ、富士通の企業価値向上に繋がるカーブアウトや資本・業務提携等を具体的に検討中である旨が対外的に公表されております。

 そうした中で、当社は、株主構成の変更によって、富士通が合理的に受入れ可能な取引条件のもと、当社の少数株主の皆様の利益が最大化されると同時に、当社の企業価値の更なる向上が実現されるよう、新たなパートナーとの資本業務提携の可能性も含む様々な選択肢を、富士通の意向も確認しつつ慎重に検討し、富士通及び当社は、株主利益の最大化と当社の今後の更なる成長加速には当社の事業に強い関心を示している複数の候補者を対象とする入札手続の実施が望ましいとの判断に基づき、2022年12月頃より、公開買付者を含む複数の事業会社及びプライベートエクイティファンドの参加する入札プロセスを開始し、選定された候補者による当社のデュー・デリジェンスを経て、当社の資本政策に関する各候補者の提案内容を総合的に検討しておりました。しかし、一部報道に起因して当社株式の市場株価が高騰した一方で、業績予想を下方修正する等、事業上の課題が顕在化したことにより、いずれの候補者からも法的拘束力のある提案を受領することがないまま入札プロセスは終了いたしました。

 その後、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2024年9月初旬に、公開買付者が、富士通との面談の機会を持ったことを契機として、当社は、同月19日に、公開買付者より、当社の完全子会社化を提案する旨の意向表明書の提出を受け、同年10月中旬から下旬にかけてマネジメントインタビュー及びデュー・デリジェンス等について対応したところ、2024年10月29日に富士通及び当社宛の法的拘束力を有する最終提案書の提出を受けました。当社としては、富士通による当社株式の売却意向は尊重する必要があるものの、当社株式が上場廃止となることが当社の企業価値や当社の株主の皆様に与える影響について十分な検討を行う必要があると考え、本取引に関して、上記入札プロセスに際して起用していたみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)及び長島・大野・常松法律事務所を、それぞれ、公開買付者、富士通及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーとして、2024年10月初旬より改めて選任した上、当社株式の非公開化を前提としない企業価値向上策の採否も含め、様々な当社株式の資本政策の実施可能性を考慮に入れながら、本取引の内容について具体的に検討を開始いたしました。なお、上記入札プロセスにおいては、結果として、いずれの候補者からも法的拘束力のある提案を受けるに至らず、また、その要因の一つが一部報道により当社株式の市場株価が高騰した点等にあったこと、加えて、富士通からは、意向表明書の条件を含む提案内容が経済合理性、取引の迅速性及び取引実現の蓋然性の観点を踏まえても検討に値する内容であると判断していること、及び、主に情報拡散への懸念から積極的なマーケットチェックは行わないという意向が示されたことに鑑み、当社は、本取引にあたって再度の入札プロセスまでは実施しないことといたしました。もっとも、上記のとおり、富士通及び当社は本取引と近接した時期の2022年12月頃より入札プロセスを実施していることに加え、公開買付者によれば、本公開買付けの公開買付期間は20営業日とすることが予定されている一方、本公開買付けについては、上記「(1)本公開買付けに関する意見の内容」に記載のとおり、日本、欧州連合、インド、サウジアラビア、及びアメリカの競争法等の手続及び対応に一定期間を要することが見込まれているとのことであるため、本公開買付けの予定を公表した2025年1月6日から本公開買付けの開始までの期間を含めると、実質的には法令に定められた最短期間よりも長期にわたる期間設定となる予定となり、少数株主を含む当社株主の皆様の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は確保されていることも合わせて考えれば、本取引について十分なマーケットチェックが実施されることになると考えております。

 また、当社は、当社の筆頭株主である富士通が当社株式の売却を企図しており、当社と大株主である富士通との間の合意に基づく取引になる可能性があることや、スクイーズアウトを伴う取引になる可能性もあることも踏まえ、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、富士通が検討中の取引を当社として検討・判断するにあたり、当社の取締役会に対して意見を述べることを目的として、2024年9月25日に大澤善雄氏(独立社外取締役)、寺坂史明氏(独立社外取締役)、桑山三恵子氏(独立社外取締役)及び中島圭一氏(独立社外取締役)の4名から構成される特別委員会を設置し(以下「本特別委員会」といいます。)、本取引の目的の合理性、本取引に係る取引条件・スキームの公正性・妥当性等について諮問しております(なお、特別委員の中島圭一氏は、2024年12月11日に逝去され、同日をもって取締役を退任しており、同日以降の本特別委員会は大澤善雄氏、寺坂史明氏及び桑山三恵子氏の3名から構成されております。委員の構成その他具体的な諮問事項等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び当社における特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。これに加えて当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の各措置を講じた上で、ファイナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券から取得した株式価値算定書の内容、リーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言を踏まえ、本特別委員会から2025年1月6日付で提出された答申書(以下「2025年1月6日付答申書」といいます。)の内容を最大限に尊重しながら、本取引の諸条件について慎重に協議及び検討を行いました。

 具体的には、当社は、本特別委員会に対して、(a)業務執行取締役等による本取引の検討について、必要な助言を行う権限、(b)公開買付者との本取引に関する協議及び交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、本取引に関する協議及び交渉について意見を述べ、当社取締役会に対して勧告や要請を行い、また、必要に応じて法令上許容される範囲で公開買付者を含む第三者と直接協議・交渉を行う権限、(c)業務執行取締役等に対し、対象事項に関する進捗、検討状況その他の事項の報告及び情報提供を随時求める権限、(d)その役割を果たすために必要な範囲で、自らのため選任又は承認したファイナンシャル・アドバイザー・第三者評価機関やリーガル・アドバイザー等(以下「アドバイザー等」といいます。)を当社の費用負担により選任する権限、及び当社のアドバイザー等を評価し、選任について意見し、又は承認(事後承認を含みます。)する権限を付与いたしました。その上で、当社は2024年10月29日に公開買付者から本公開買付価格を1株あたり2,753円とする提案を受領いたしました。当該価格提案に関して、当社は本特別委員会に諮問し、本特別委員会は、2024年11月28日に開催された第5回の特別委員会において、みずほ証券から当社株式に係る株式価値の初期的な算定結果の共有を受けるとともに、公開買付者の提案価格は株式価値算定結果のレンジの範囲内にあり、企業価値評価の観点から公開買付者の提示価格が低すぎると主張することは難しいと考えられるものの、当社の少数株主の皆様の利益の最大化のため、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認いたしました。その後、本特別委員会は、2024年12月4日付けレターにて、本公開買付価格の引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2024年12月10日付けレターにて、本公開買付価格を2,776円に引き上げる旨の回答を受領いたしました。これを受け、本特別委員会は、2024年12月12日付けレターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2024年12月16日付けレターにて、本公開買付価格を2,785円に引き上げる旨の回答を受領いたしました。本特別委員会は、上記2回の価格の引き上げ要請を通じて、一定程度の価格の引き上げに成功したものの、当社の少数株主の皆様の利益の最大化のため、更なる価格の引き上げを目指して、2024年12月18日付けレターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請いたしました。これに対して、公開買付者からは、2024年10月29日において提案した価格は、元々上方修正余地を残していないベスト・オファーとして提案したものであり、その後、本特別委員会からの一連の要請を踏まえ、価格の引き上げを検討したが、更なる価格の引き上げを提案することはできないとの回答を受領いたしました。本特別委員会は、2024年12月20日に開催された第9回特別委員会において、公開買付者からの上記回答を踏まえ対応を検討した結果、少数株主利益の最大化のため、本取引の公表予定日の直前まで価格交渉を継続することを決定し、2024年12月20日付けレターにて、再度本公開買付価格の引き上げを要請しましたが、公開買付者からは、2024年12月23日付けレターにて、2024年12月16日付けレターにて提示した本公開買付価格2,785円は当社の企業価値を最大限高く評価した上で提案したものであり、更なる価格の引き上げを提案することはできないとの回答を受領いたしました。このように公開買付者からは二度にわたり価格引き上げを拒絶する回答がありましたが、本特別委員会は本特別委員会としての最終的な決定を行う前に、もう一度公開買付者に対して公開買付価格の引き上げを要求すべきと判断し、同月25日に、公開買付者との面談を行い、富士通からの自己株取得価格を低く抑えることで、一般株主向けの公開買付価格を引き上げることも含め、公開買付価格の引き上げの再検討を要請いたしました。そうしたところ、同日、公開買付者によれば、富士通と交渉した結果、富士通からの自己株取得価格を低く抑えることで一般株主向けの公開買付価格を引き上げる旨の協議は調わなかったとのことですが、本特別委員会は、公開買付者から、最終的な提案として、買収総額を最大限に引き上げることで、当社株式1株当たりの株式価値評価額を2,450円、公開買付価格を2,808円とする再提案を受領いたしました。以上の交渉経緯からして、本特別委員会は、本公開買付価格2,808円は、これ以上交渉を継続しても引き上げの余地のない公開買付者からの最終提案価格であると判断いたしました。

 

 また、本公開買付価格である2,808円は、本公開買付けの開始予定の公表日(2025年1月6日)の前営業日である2024年12月30日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,327円に対して20.67%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じ。)、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値2,206円(小数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じ。)に対して27.29%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値2,075円に対して35.33%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値2,018円に対して39.15%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっており、過去における当社平均株価に対しても相応にプレミアム水準が付与されているものと認められ、また、本件類似事例(下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び当社における特別委員会からの答申書の取得」の「(b)答申理由」の「2.本取引の取引条件の妥当性の検討」の「(1)本公開買付価格の妥当性」の「c.プレミアムの分析」において定義します。)の過去3ヶ月及び過去6ヶ月のプレミアム水準と比較して、遜色のないプレミアム水準が付与されているものと認められることから、一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された公正かつ妥当な価格であるものと考えております。なお、2024年10月24日の2025年3月期の連結業績予想の下方修正の開示を受けて一時的に当社の株価は下落したものの、その下落幅は限定的であり、その後2週間程度で株価は下方修正開示前の株価に回復しており、下方修正の開示が当社株価に与えた影響は軽微であるものと考えております。

 

 以上より、当社は、2025年1月6日開催の取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしておりました。

 なお、公開買付者によれば、2025年1月6日付公開買付者プレスリリースにおいて公開買付者が公表していたとおり、本公開買付けは、本公開買付前提条件が充足された場合又は公開買付者により放棄された場合に速やかに開始することを予定していたとのことです。2025年1月6日時点で、公開買付者は、日本、欧州連合、インド、サウジアラビア、及びアメリカの競争法の手続に関する国内外の法律事務所との協議等を踏まえ、2025年7月上旬を目処に本公開買付けを開始することを目指していたとのことですが、今般、公開買付者は、上記「(1)本公開買付けに関する意見の内容」に記載のとおり、2025年4月25日までに、本公開買付前提条件がいずれも充足されたことを確認したことから、同日、本公開買付けを2025年4月28日より開始することを決定したとのことです。

 当社は、2025年3月14日、公開買付者から、本クリアランス取得の状況を踏まえ、かかる見込みを前提として、本公開買付けを2025年4月上旬又は中旬に開始することを見込んでいる旨の連絡を受けました。そして、2025年4月2日、当社は、公開買付者から、本公開買付前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2025年4月28日より開始することを予定している旨の連絡を受けました(その後、2025年4月7日、当社は、公開買付者から本クリアランス取得が完了したとの連絡を受けました。)。

 これに対し、当社は、2025年3月14日、本特別委員会に対して、本特別委員会が2025年1月6日付で当社の取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、当社の取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問したところ、本特別委員会から、2025年4月25日付で、本特別委員会が2025年1月6日付で当社の取締役会に対して行った答申内容(当該答申内容及び当該答申に係る本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び当社における特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を変更する必要はないものと考える旨の2025年4月25日付答申書の提出を受けたことから、2025年4月25日付答申書の内容及び2025年1月6日の取締役会開催以降の当社の業績や市場環境の変化等を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件の内容について改めて慎重に協議・検討いたしました。

 その結果、当社は、2025年4月25日時点においても、本公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は、当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された公正かつ妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであることから、当社の株主の皆様にとって妥当であると考えており、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであるとの2025年1月6日時点における当社の本公開買付けに関する判断を変更すべき要因はないと考えたことから、2025年4月25日開催の取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。また、当社は、2025年4月25日、公開買付者に対して、同日時点において、未公表の、当社に係る業務等に関する重要事実又は当社株券等に関する公開買付け等の実施に関する事実が存在しない旨の報告を行っております。

 当社の上記取締役会の決議の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

 なお、当社が本取引を検討している過程で、当社は、公開買付者以外の第三者(プライベートエクイティファンド)から、当社株式の上場を維持することを前提に、市場株価よりも低い公開買付価格での自己株公開買付け(いわゆるディスカウントTOB)を実施することにより当社が富士通から富士通の所有する当社株式の取得を可能とする取引に係る提案(以下「本第三者提案」といいます。)を受領しております。そのため、当社は本第三者提案について真摯に検討いたしましたが、(a)本第三者提案は法的拘束力のない提案であり、当該第三者から法的拘束力のある提案を受領するためにはデュー・デリジェンスを受け入れる必要があることに加え、法的拘束力のある提案を受けるまでに数ヶ月要することが見込まれたこと、(b)本取引から期待されるシナジーの内容と比較して、本第三者提案で示されているシナジーの内容は具体的なものとはいえず、その根拠も十分とはいえないことから、企業価値向上の観点から本第三者提案の内容が公開買付者の提案内容よりも優れているとは評価できないこと、(c)市場株価よりも低い公開買付価格による自己株公開買付けに応募する以外に売却機会がない点において富士通以外の当社の一般株主の皆様に対して必ずしも合理的な価格での売却機会を付与するものではないことに加え、本第三者提案の内容を採用した場合に上場を維持しつつ一般株主の皆様に提供できると見込まれる利益の水準が公開買付者の提案内容よりも優れているとは評価できないこと等を踏まえ、本第三者提案については検討を中止することといたしました。

(注12) 情報通信技術(Information and Communication Technology)を活用したサービスを提供する企業です。

 

(3)算定に関する事項

 本項の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

(ⅰ)第三者算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者、富士通及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券に対し、当社株式価値の算定及び付随する財務分析を依頼し、みずほ証券から、2024年12月30日付で、株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)を取得いたしました。なお、みずほ証券は、公開買付者、富士通及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。なお、みずほ証券のグループ企業である株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)は、富士通及び当社に対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を実施しており、また、当社の株主でありますが、みずほ証券は金融商品取引法第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令第70条の4に従い、みずほ証券とみずほ銀行間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行の貸付人及び株主の地位とは独立した立場で当社の株式価値算定を行っているとのことです。本特別委員会は、みずほ証券の算定機関としての実績に加え、みずほ証券とみずほ銀行との間において適切な弊害防止措置が講じられていること等に鑑み、本取引における財務アドバイザー及び第三者算定機関として職務を行うにあたり十分な独立性が確保されており、当社がみずほ証券に対して当社株式の株式価値算定を依頼することに関し、特段の問題はないと判断しております。また、本取引に係るみずほ証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれておりますが、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれることを以って独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりみずほ証券を当社の独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

 なお、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者、富士通及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、みずほ証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。

 

(ⅱ)当社株式に係る算定の概要

 みずほ証券は、複数の算定手法の中から当社の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価基準法を、当社と比較的類似する事業を営む上場会社が存在し、類似企業との比較による株式価値の類推が可能であることから類似企業比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法を採用して当社株式価値算定を行いました(注1)。上記各手法において算定された当社株式1株当たり株式価値の範囲は、それぞれ以下のとおりです。

 

市場株価基準法:2,018円~2,327円

類似企業比較法:1,703円~3,056円

DCF法     :2,403円~3,691円

 

 市場株価基準法では、本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日である2024年12月30日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値2,327円、同日までの直近1ヶ月間(2024年12月2日から2024年12月30日)の終値単純平均値2,206円、同日までの直近3ヶ月間(2024年10月1日から2024年12月30日)の終値単純平均値2,075円、同日までの直近6ヶ月間(2024年7月1日から2024年12月30日)の終値単純平均値2,018円を基に、当社株式1株当たり株式価値の範囲を2,018円から2,327円と算定しております。

 類似企業比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を行い、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,703円から3,056円までと算定しております。

 DCF法では、当社が作成し、本特別委員会による承認を受けた当社事業計画における財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として(注2)、当社が2025年3月期第3四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことによって、当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式1株当たり株式価値の範囲を2,403円から3,691円までと算定しております。なお、当該財務予測においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれています。具体的には2027年3月期にかけて、北米・欧州・インドを重点市場と捉えリソースを集中投下することを想定しており、北米における営業体制の拡充や欧州における販売網の拡大、インドにおける高いブランド力を活かした高級機の拡大などに注力する計画です(当該計画は、本取引の検討前より策定されていたものです。)。その結果、2025年3月期においては、営業利益で対前年度比60.2%(小数点以下第二位を四捨五入しております。以下、対前年度比の営業利益の計算において同じです。)増となる一方で、上記のとおり重点市場に対する投資等の増加を予定していること等により、フリー・キャッシュ・フローにおいては2024年3月期と比較して63.5%減となることを見込んでおります。また、2026年3月期においては売上高の増加や利益率の向上が見込まれることから営業利益で対前年度比123.4%増となる一方で、引き続き重点市場に対する投資等を継続予定であることからフリー・キャッシュ・フローにおいては赤字となることを見込んでおります。また、重点市場への投資効果が現れる2027年3月期においては、営業利益で対前年度比40.5%増、フリー・キャッシュ・フローにおいては黒字化を見込んでおります。なお、当該事業計画は、本公開買付けの実行を前提としたものではないため、本公開買付けにより実現することが期待されるシナジー効果については、当該事業計画には加味しておりません。

(注1) みずほ証券は、当社の株式価値算定に際して、当社から提供を受けた情報、ヒアリングにより聴取した情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全であること、当社の株式価値算定に重大な影響を与える可能性がある事実でみずほ証券に対して未開示の事実はないこと等を前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証は行っておりません。また、みずほ証券は、当社及びその子会社・関連会社の資産及び負債(デリバティブ取引、簿外資産・負債、その他偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自の評価又は鑑定を行っておらず、第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。また、かかる算定において参照した当社の財務見通しについては、当社により2025年1月6日時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に準備・作成されたこと、並びにかかる算定は2024年12月30日現在の情報と経済情勢を反映したものであることを前提としております。

(注2) 当社事業計画においては、2025年3月期から2027年3月期までの3期分を対象期間としておりますが、これは、当社の主力である空調事業において、各国における脱炭素化に伴う規制強化の動向等、市場環境が目まぐるしく変化しており、合理的に予測可能と当社が判断した期間が3年間であるためです。

 なお、当社の取締役会は、2025年1月6日開催の取締役会から2025年4月25日時点までにおいて、当社株式価値算定書の前提とした当社を取り巻く事業環境及び当社事業計画等の当社株式の本源的価値に影響のある事実に重大な変更はないことから、みずほ証券から受けた助言も踏まえ、当社株式価値算定書は引き続き有効であると考えております。

 

② 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

(ⅰ)第三者算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

 公開買付者は、本公開買付けを含む本取引を行うにあたり、公開買付者、富士通及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるBofA証券に対し、当社の株式価値評価分析を依頼し、2024年12月30日付でBofA証券から株式価値算定書(以下「公開買付者株式価値算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載の諸要素を総合的に考慮し、かつ当社との協議・交渉を経て本公開買付価格を判断・決定しているため、BofA証券から本公開買付価格又は本公開買付けの公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておらず、BofA証券はかかる意見を一切表明していないとのことです。なお、BofA証券は、公開買付者、当社及び富士通の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。また、公開買付者は、公開買付者株式価値算定書取得時点から2025年4月25日時点までの状況を考慮しても、公開買付者株式価値算定書に影響を与える前提事実に大きな変更はなく、また、当社グループや業界を取り巻く事業環境にも特段の変化はないと判断したことから、新たに当社株式の価値に関する株式価値算定書を取得していないとのことです。

 

(ⅱ)当社普通株式に係る算定の概要

 BofA証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、市場株価分析、類似企業比較分析、類似取引比較分析及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー分析(以下「DCF分析」といいます。)の各手法を用いて、下記(注3)に記載の前提条件その他一定の条件の下で、当社の株式価値評価分析を行ったとのことです。上記各手法において分析された当社株式の1株当たり株式価値の範囲は、それぞれ以下のとおりとのことです。BofA証券による公開買付者株式価値算定書の作成及びその基礎となる評価分析に関する前提条件、留意事項等については、下記(注3)の記載をご参照ください。

 

市場株価分析  :2,018円~2,327円

類似企業比較分析:1,662円~2,875円

類似取引比較分析:1,495円~3,286円

DCF分析     :1,809円~3,223円

 

 市場株価分析では、2024年12月30日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値2,327円、同日までの過去1ヶ月間(2024年12月2日から2024年12月30日)の終値単純平均値2,206円、同日までの過去3ヶ月間(2024年10月1日から2024年12月30日)の終値単純平均値2,075円、同日までの過去6ヶ月間(2024年7月1日から2024年12月30日)の終値単純平均値2,018円を基に、当社株式1株当たり株式価値の範囲を2,018円から2,327円までと分析しているとのことです。

 類似企業比較分析では、当社と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を通じて当社の株式価値を分析し、当社株式1株当たり株式価値の範囲を1,662円から2,875円までと分析しているとのことです。

 類似取引比較分析では、本公開買付けと比較的類似性があると判断される過去に実施された公表取引における取引価格や収益等を示す財務指標との比較を通じて、当社株式の1株当たりの価値の範囲を1,495円から3,286円までと算定しているとのことです。

 DCF分析では、当社の2025年3月期から2027年3月期までの事業計画、直近までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮して公開買付者が策定した2025年3月期から2032年3月期までの当社の将来の財務予測に基づき、当社が将来生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて、当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式1株当たり株式価値の範囲を1,809円から3,223円までと分析しているとのことです。なお、BofA証券がDCF分析に用いた当社の将来の財務予測については、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれていないとのことです。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジーを2025年1月6日時点において具体的に見積もることは困難であることから、当該財務予測は本取引の実行を前提として作成されたものではないとのことです。

 本公開買付価格である2,808円は、本公開買付けの開始予定の公表日(2024年1月6日)の前営業日である2024年12月30日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,327円に対して20.67%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値2,206円に対して27.29%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値2,075円に対して35.33%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値2,018円に対して39.15%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっているとのことです。

(注3) 上記の公開買付者株式価値算定書は、公開買付者の取締役会がその立場において本公開買付価格を財務的見地から検討することに関連し、かつ、かかる検討を目的として公開買付者の取締役会に対してその便宜のために提出されたものとのことです。公開買付者株式価値算定書は、当社の株主又は富士通が受領する対価の相違を含め、本取引に関連して関係当事者のいかなる種類の証券の所有者、債権者その他の利害関係者が受領する対価について、何ら見解又は意見を表明するものではないとのことです。公開買付者株式価値算定書は、本公開買付価格の公正性又は本取引の条件その他の側面若しくは結果(本取引の形態若しくはストラクチャー又は本取引その他の点に関してなされた契約、取り決め若しくは合意を含みますがこれらに限られないとのことです。)について、何ら意見又は見解を表明するものではなく、また、公開買付者にとり採用可能であるか若しくは実行する可能性のある他の戦略又は取引と比較した場合における本取引の相対的な利点又は本取引の推進若しくは実施に関する公開買付者の業務上の意思決定について、何ら意見又は見解を表明するものではないとのことです。また、BofA証券は、公開買付者の指示に基づき、当社、富士通、公開買付者及び本取引に関する法律、規制、会計、税務その他の類似の点についても何ら見解又は意見を表明しておらず、公開買付者による評価に依拠しているとのことです(それらの点について公開買付者は専門家から必要とされる助言を得たものと理解しているとのことです。)。更に、本取引の当事者の役員、取締役又は従業員に対するいかなる報酬の金額、性質その他の側面に関する、本公開買付価格その他の点との比較における公正性(財務的か否かを問わないとのことです。)について、何らの意見又は見解も表明するものではないとのことです。公開買付者株式価値算定書は、本取引が公表又は開始された後を含むいずれかの時点において当社株式が取引されるべき価格に関して何ら意見を述べるものでもないとのことです。

公開買付者株式価値算定書を作成し、その基礎となる評価分析を行うにあたり、BofA証券は、かかる情報その他の公開されている又は同社に対して提供され若しくは同社が別途検討若しくは協議した財務その他の情報及びデータについて独自の検証を行うことなく、それらが正確かつ完全であることを前提とし、かつその正確性及び完全性に依拠しており、また当該情報又はデータがいかなる重要な点においても不正確となる又は誤解を招くおそれのあるものとなるような事実又は状況を認識していないという公開買付者の経営陣の表明に依拠しているとのことです。更に、BofA証券は、公開買付者株式価値算定書の前提とした公開買付者によって提供された当社の財務予測(以下「本財務予測」といいます。)について、それらが当社の将来の業績に関する公開買付者の経営陣による、2025年1月6日時点で入手可能な最善の予測と誠実な判断を反映し、本財務予測に反映された将来の財務的な業績の達成可能性に関する公開買付者の評価に基づき合理的に作成されたものである旨の表明を公開買付者より受けており、また、公開買付者の指示により、分析を行う際の前提としているとのことです。公開買付者株式価値算定書は、必然的に、(当該分析に別段の記載がある場合を除き)公開買付者株式価値算定書の日付時点の金融、経済、為替、市場その他の条件及び情勢を前提としており、かつ、同日現在においてBofA証券が入手可能な情報に基づいているとのことです。公開買付者株式価値算定書の日付以降に発生する事象が公開買付者株式価値算定書の内容に影響を与える可能性がありますが、BofA証券は、公開買付者株式価値算定書を更新、改訂又は再確認する義務を負うものでないことが了解されているとのことです。

上述のとおり、上記のBofA証券による分析の記載は、同社が上記の公開買付者株式価値算定書に関連して公開買付者の取締役会に提示した主要な財務分析の概要であり、公開買付者株式価値算定書に関連してBofA証券が行った全ての分析を網羅するものではないとのことです。公開買付者株式価値算定書の作成及びその基礎となる分析は、財務分析手法の適切性及び関連性並びに手法の特定の状況への適用に関する様々な判断を伴う複雑な過程であり、したがって、BofA証券による分析は全体として又は文脈に沿って考慮される必要があるとのことです。更に、あらゆる分析及び考慮された要因又は分析に関する説明のための記載全てを考慮することなく一部の分析や要因のみを抽出したり表形式で記載された情報のみに着目することは、BofA証券による分析の基礎をなす過程についての誤解又は不完全な理解をもたらすおそれがあるとのことです。ある特定の分析が上記概要において言及されていることは、当該分析が同概要に記載の他の分析よりも重視されたことを意味するものではないとのことです。

BofA証券は、分析を行うにあたり、業界の業績、一般的な事業・経済の情勢及びその他の事項を考慮しておりますが、その多くは公開買付者及び当社により制御できないものとのことです。BofA証券による分析の基礎をなす当社の将来の業績に関する予測は、必ずしも実際の価値や将来の結果を示すものではなく、実際の価値や将来の結果は、当該予測と比較して大幅に良好なものとなる又は悪化したものとなる可能性があるとのことです。BofA証券の分析は、公開買付者株式価値算定書の分析の一環としてなされたものであり、公開買付者株式価値算定書の提出に関連して公開買付者の取締役会に対して提供されたものとのことです。BofA証券の分析は、鑑定を意図したものではなく、企業若しくは事業が実際に売却される場合の価格又は何らかの証券が取引された若しくは将来取引される可能性のある価格を示すものでもないとのことです。したがって、上記の分析に使用された予測及び同分析から導かれる評価レンジには重大な不確実性が本質的に伴うものであり、それらが当社の実際の価値に関するBofA証券の見解を示すものと解釈されるべきではないとのことです。

公開買付者株式価値算定書は、上述のとおり、公開買付者の取締役会が(当該立場において)本取引を検討するに際して考慮された多くの要因の一つにすぎず、公開買付者の取締役会又は経営陣の本取引又は本公開買付価格についての見解を決定付ける要因と解釈されてはならないとのことです。

BofA証券は、当社、富士通、公開買付者又はその他のエンティティの資産又は負債(偶発的なものか否かを問わないとのことです。)について独自の鑑定又は評価を行っておらず、また、かかる鑑定又は評価を提供されておらず、また、同社は、当社、富士通、公開買付者又はその他のエンティティの財産又は資産の実地の見分も行っていないとのことです。また、BofA証券は、公開買付者の同意を得て、適切な引当金、補償契約又はその他の規定が設けられていない、当社若しくはその他のエンティティの又はこれらに関連する重大な未開示の負債は存在しないことを前提としているとのことです。BofA証券は、破産、支払不能又はこれらに類似する事項に関するいかなる地域、国その他の法令の下でも、当社、富士通、公開買付者又はその他のエンティティの支払能力又は公正価値について評価を行っていないとのことです。

BofA証券は、本取引に関して公開買付者の財務アドバイザーを務め、かかるサービスに対し手数料(その全額が、本公開買付けの完了を条件としているとのことです。)を受領するとのことです。

BofA証券及び同社の関係会社は、フルサービスの証券会社かつ商業銀行であり、幅広い企業、政府機関及び個人に対して、投資銀行業務、コーポレート及びプライベート・バンキング業務、資産及び投資運用、資金調達及び財務アドバイザリー・サービス並びにその他商業サービス及び商品の提供を行うとともに、証券、商品及びデリバティブ取引、外国為替その他仲介業務、及び自己勘定投資に従事しているとのことです。BofA証券及び同社の関係会社は、その通常の業務の過程において、公開買付者、当社、富士通並びにそれぞれの関係会社の株式、債券等の証券又はその他の金融商品(デリバティブ、銀行融資又はその他の債務を含むとのことです。)について、自己又は顧客の勘定において投資し、それらに投資するファンドを運用し、それらのロング・ポジション若しくはショート・ポジションを取得若しくは所有し、かかるポジションにつき資金を提供し、売買し、又はその他の方法で取引を実行することがあるとのことです。

BofA証券及び同社の関係会社は、公開買付者及びその関係会社の一部に対して、投資銀行サービス、商業銀行サービスその他の金融サービスを過去及び現在において提供しており、また将来においてもそのようなサービスを提供する可能性があり、かかるサービスの提供に対して手数料を受領しており、また将来においても手数料を受領する可能性があるとのことです。

更に、BofA証券及び同社の関係会社は、富士通、当社及びそれらの関係会社の一部に対して、投資銀行サービス、商業銀行サービスその他の金融サービス(2023年3月に公表された富士通によるGK Software SEの買収案件に関して、富士通の財務アドバイザーを務めたことを含むとのことです。)を過去及び現在において提供しており、また将来においてもそのようなサービスを提供する可能性があり、かかるサービスの提供に対して手数料を受領しており、また将来においても手数料を受領する可能性があるとのことです。

BofA証券は、法律、会計又は税務に関連する助言は行っていないとのことです。

 

(4)上場廃止となる見込み及びその事由

 当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、公開買付者は、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けが成立し、その後、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」のとおり、当社の株主を公開買付者及び富士通のみとするための本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことであり、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、当社株式が上場廃止となった後は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。

 

(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

 公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社を公開買付者の完全子会社とする方針であり、本公開買付けが成立し、公開買付者が当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式及び富士通が所有する本不応募株式を除きます。)を取得することができなかった場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、当社において以下の手続の実行を要請し、当社の株主を公開買付者及び富士通のみとするための一連の手続を実施することを予定しているとのことです。

 具体的には、当社に対し、会社法第180条に基づき当社株式について株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2025年7月下旬頃を目処に開催することを要請する予定とのことです。なお、公開買付者及び富士通は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。

 本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになるとのことです。

 当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(ただし、当社及び富士通を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定とのことですが、公開買付者は、当社に対して、公開買付者及び富士通が当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(ただし、当社及び富士通を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定とのことです。

 上記手続に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の手続として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、当社の株主は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができ、かつ裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができるとのことです。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(ただし、当社及び富士通を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定とのことですので、本株式併合に反対する当社の株主は、上記申立てを行うことができるようになる予定とのことです。なお、これらの申立てがなされた場合における、当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになるとのことです。

 上記手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況等によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があるとのことです。ただし、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(ただし、当社及び富士通を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該当社の株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。

 以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者が当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税務専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

 

(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

 2025年1月6日及び本書提出日現在のいずれにおいても、公開買付者は当社株式を所有しておらず、本公開買付けは、支配株主による公開買付けには該当いたしません。また、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することも予定されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメントバイアウト取引にも該当いたしません。もっとも、公開買付者は、2025年1月6日付で、当社を持分法適用関連会社とする主要株主兼筆頭株主である富士通(本書提出日現在において、当社株式46,121,000株(所有割合:44.02%)を所有)との間で本取引基本契約を締結したことに鑑み、富士通と当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性もあることを踏まえ、本公開買付けの公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定の公正性、透明性及び客観性を確保し、利益相反を回避する観点から、以下の①から⑥までの措置を実施しました。

 なお、公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、富士通が当社株式46,121,000株(所有割合:44.02%)を所有しているところ、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定していないものの、以下の①から⑥までの措置が講じられていることから、当社の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。

 また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。

 

① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 当社は、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、公開買付者、富士通及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券に対し、当社株式価値の算定を依頼し、2024年12月30日付で、当社株式価値算定書を取得いたしました。当社株式価値算定書の概要については、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「(ⅱ)当社株式に係る算定の概要」をご参照ください。なお、みずほ証券は、公開買付者、富士通及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。また、当社は、公開買付者、富士通及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、みずほ証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。

 また、本取引に係るみずほ証券に対する報酬は、成功報酬が含まれておりますが、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合であっても当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案の上、上記の報酬体系によりみずほ証券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しました。

 

② 当社における外部の法律事務所からの助言の取得

 当社は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、外部のリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。なお、長島・大野・常松法律事務所は、公開買付者、富士通及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、長島・大野・常松法律事務所に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。

 

③ 当社における独立した特別委員会の設置及び当社における特別委員会からの答申書の取得

 当社は、当社の筆頭株主である富士通が当社株式の売却を企図しており、当社と大株主である富士通との間の合意に基づく取引になる可能性があることや、スクイーズアウトを伴う取引になる可能性もあることも踏まえ、富士通が検討中の本取引を当社として検討・判断するにあたり、当社の取締役会に対して意見を述べることを目的として、2024年9月25日に、公開買付者、富士通及び当社から独立した大澤善雄氏(独立社外取締役)、寺坂史明氏(独立社外取締役)、桑山三恵子氏(独立社外取締役)及び中島圭一氏(独立社外取締役)の4名から構成される、公開買付者、富士通及び当社のいずれからも独立した本特別委員会を設置いたしました。なお、特別委員の中島圭一氏は、2024年12月11日に逝去され、同日をもって取締役を退任しており、同日以降の本特別委員会は大澤善雄氏、寺坂史明氏及び桑山三恵子氏の3名から構成されております。

 また、当社取締役会は、本特別委員会に対し、本公開買付けを含む本取引に関して、(a)本取引の目的は合理的か(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含む。)、(b)本取引に係る取引条件・スキームの公正性・妥当性が確保されているか、(c)本取引において、公正な手続を通じた当社の一般株主の利益への十分な配慮がなされているか、(d)本取引の手法として公開買付けが用いられる場合には当該公開買付けについて当社取締役会が賛同意見を表明すべきか否か及び当社の株主に対して当該公開買付けへの応募を推奨すべきか否か、(e)上記(a)乃至(d)を前提に、本取引を行うことの決定が当社の一般株主にとって不利益なものでないか(以下「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申を当社に提出することを委託いたしました。当社取締役会は、本公開買付けに関する決定を行うに際して、本特別委員会の答申を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の取引条件を妥当でないと判断した場合には、本公開買付けに賛同しないことを併せて決議しております。なお、本公開買付けに係る意見表明は、本公開買付けの完了後に完全子会社化手続が実施されることを前提として検討しております。当社取締役会は、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の交渉に実質的に関与する権限(必要に応じ、交渉方針に関して当社に指示・要請を行い、自ら交渉を行うことを含む。)、(ⅱ)必要に応じ、本特別委員会の外部アドバイザーを当社負担で選任する権限、又は当社の外部アドバイザーを指名・承認(事後承認を含む。)する権限、(ⅲ)当社役職員から本取引に関する検討と判断に必要な情報を受領する権限を付与いたしました。

 本特別委員会は、当社の第三者算定機関であり、かつファイナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券及びリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ、当社の第三者算定機関及びファイナンシャル・アドバイザー、リーガル・アドバイザーとして承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。

 なお、本特別委員会の委員の職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定報酬を支払うこととされており、本取引の成立等を条件とする成功報酬制は採用されておりません。

 本特別委員会は、2024年10月22日から2025年1月6日までの間に合計11回(合計約18時間)にわたって、それぞれ本特別委員会を構成する委員全員出席のもと開催され、本特別委員会の各開催日間においても電子メール等を通じて審議・意思決定等を行う等して、本諮問事項に関して、慎重に協議及び検討を行いました。

 具体的には、本特別委員会は、当社から、本取引の目的や意義、当社の事業に対する影響等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を実施し、公開買付者に対して質問事項を提示し、公開買付者から、本取引の目的及び背景、本取引後の経営方針等についてレター形式及びインタビュー形式により質疑応答を実施しております。また、その前提として、当社事業計画について、その内容、重要な前提条件及び作成経緯等について合理性を確認し、承認しております。また、リーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所から、本取引における公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容その他本取引に関する事項全般について法的助言を受けています。

 さらに、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、みずほ証券は、当社事業計画における財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として当社株式の価値を算定しておりますが、本特別委員会は、みずほ証券が実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けるとともに、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認しております。

 加えて、本特別委員会は、当社の公開買付者との交渉について、随時、当社及びみずほ証券から報告を受け、審議・検討を行い、当社の交渉方針につき、適宜、必要な意見を述べました。具体的には、本特別委員会は、公開買付者からの本公開買付価格に関する提案を受領次第、それぞれの提案について報告を受け、みずほ証券から対応方針及び公開買付者との交渉方針等についての分析・意見を聴取した上で、みずほ証券から受けた財務的見地からの助言を踏まえて検討を行いました。その上で、本特別委員会は当社に対し、当社としての本取引の意義・目的を達するために公開買付者との間で協議すべき事項について意見を述べる等、当社と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引の条件に関する協議・交渉過程の全般において関与いたしました。さらに、本特別委員会は、当社の執行側と共に公開買付者と面談し、公開買付者の本取引の目的に関する見解等についてヒアリングを実施し、また、本特別委員会は、2024年12月25日に特別委員会の委員のみで公開買付者との価格交渉及び本合意書に関する交渉も実施することで、同日、当社は公開買付者から本公開買付価格を1株当たり2,808円とすることを含む提案を受けて公開買付価格の引上げを実現し、結果として、当社は公開買付価格について合計6回の提案を受け、最初の価格提案から2.0%の価格の引上げを受けるに至っております。

 また、本特別委員会は、長島・大野・常松法律事務所から、複数回、当社が公表した2025年1月6日付「株式会社パロマ・リームホールディングスによる当社株式に対する公開買付けの開始予定に係る賛同の意見表明及び応募推奨に関するお知らせ」のドラフトの内容について説明を受け、適切な情報開示がなされる予定であることを確認しております。

 

 本特別委員会は、以上の経緯の下、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2025年1月6日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致により、当社取締役会に大要以下の内容の2025年1月6日付答申書を提出いたしました。

 

(a)答申内容

(ⅰ)本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は合理的であると認められる。

(ⅱ)本公開買付けにおける本公開買付価格その他の本取引に係る取引条件・スキームの公正性・妥当性は確保されていると認められる。

(ⅲ)本取引に係る手続においては十分な公正性担保措置が講じられており、当社の一般株主の利益への十分な配慮がなされていると認められる。

(ⅳ)当社取締役会は、本公開買付けについて賛同意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議すべきである。

(ⅴ)本取引を行うことの決定は当社の一般株主(少数株主を含む。)にとって不利益なものではない。

 

(b)答申理由

1.本取引の目的が合理的か(当社の企業価値の向上に資するか否かの検討を含む。)

(1)公開買付者の見解

 当委員会が公開買付者に対して行った本取引に関する質問に対する回答及び公開買付者が作成した本公開買付けの開始予定に係るプレスリリース(2025年1月6日付公開買付者プレスリリース)のドラフトによれば、公開買付者の考える本取引の意義・目的及び本取引により期待されるシナジーの概要は以下のとおりとのことである。

ア.公開買付者による本取引の検討の背景

 気候変動・温暖化の影響により、空調機の需要は近年世界的に拡大をしていると考えている。また、空調・給湯は、人々の生活に密接にかかわるエネルギーインフラの領域であり、家庭用エネルギー消費の大きな割合を占めていると考えている。そのため、脱炭素化に伴う規制強化に対応した製品への置き換え需要も加速すると見られており、温室効果ガス排出量削減を可能とするイノベーションが切望されると同時に、競合企業同士の競争もグローバルスケールで激しさを増していると考えている。とりわけ近年では、より効率的な研究開発・製造・販売を可能とすることを企図して、公開買付者の競合となるグローバル大手によるM&Aが活発化していると考えている。

 このような事業背景を踏まえ、公開買付者は2024年3月29日に持株会社体制に移行したが、その大きな目的の一つは、持株会社である公開買付者においてM&A等の戦略的意思決定をスピーディーに実施する体制を整える点にあった。

 公開買付者は、持株会社体制移行後に、M&A等の戦略的・専門的な経営判断を行うための人的リソース・体制の整備を整えた上で、公開買付者による本取引の可能性を検討した結果、以下に記載するような大きな潜在的なシナジーがあると確信するに至った。

 

イ.本取引により公開買付者が期待するシナジー

① 北米地域における販路の拡充

 北米においては既にリームと当社との間には北米空調機事業における相互製品供給や共同開発を含む協業関係があるが、本取引を通じて当社が公開買付者グループの一員となることにより、公開買付者グループの有する北米における空調機及び給湯器の広範な販売チャネルを通じた当社製品の販売についてより幅広い製品群に関する踏み込んだ協業が可能になると考えている。現在の両社の製品ポートフォリオは、リームはダクト式空調を主とし、当社はダクトレス・VRF製品に強みを有していることから、両社間での製品の競合なくシナジーを創出できるものと考えている。

 

② グローバルな製造・販売地域の多角化

 公開買付者グループの空調機事業は北米地域に集中しているため、北米以外にも日本を含むアジア及び欧州に事業を展開する当社とは地域的な補完関係にあると考えている。そのため、公開買付者グループの北米における製造拠点における当社製品の生産や、当社のアジアにおける製造拠点における公開買付者製品の生産を行うことによる生産コストの削減や物流の最適化を行う等、本取引後に複雑な製造・販売拠点の統廃合を行うことなく当社の既存の事業基盤を活かす形で、よりグローバルかつ効率的に事業を展開することが可能になると考えている。

 

③ 原材料調達等におけるコストメリット

 本取引を通じて事業規模が拡大することに伴い、原材料のより効率的な調達が可能になることが期待される。とりわけ、鉄、銅、アルミニウム、半導体、樹脂等については給湯器と空調機で類似する原材料を使用することから、当社が公開買付者グループの傘下となり公開買付者グループとして原材料の調達数量が増大することによるボリュームメリットや各々で調達した原材料の融通を通じたコストシナジーの実現が可能と考えている。

 

④ 空調・給湯技術の融合に向けた基幹技術への積極投資

 空調製品におけるエネルギー消費削減が世界規模の課題となっている現在、当社の有するヒートポンプ及びVRF技術、とりわけその核心となるインバータ及び圧縮機は、その課題解決に寄与する極めて重要な技術であると考えている。また、給湯分野においても、空調機の基盤技術であるヒートポンプを活用したヒートポンプ型給湯器が台頭していることから、空調機と給湯器の基盤技術は近い将来融合することが予想される。公開買付者グループは、既存事業から創出されるキャッシュフローをもとに、当社の有する基盤技術・製品への投資を加速することにより、次世代の空調機・給湯器の開発をこれまで以上に加速することを企図している。

 

⑤ 日本における技術開発の推進

 公開買付者は、日本発のモノづくりや研究基盤をグローバルに展開していくことを経営戦略の核として位置付けている。そのために、グローバルに活躍できる人材の育成や、海外の人材の招聘を積極的に行うことにより日本を技術開発の中核拠点、すなわちセンターオブエクセレンスとして機能させることを目指している。当社はグローバルに事業を展開しながらも、日本において根幹技術の開発拠点を有していることから、両社が一体となることにより、これまで以上に日本における技術開発の強化を推進することができると考えている。

 

(2)当社経営陣の見解

ア.本取引において期待されるシナジー

 当委員会が実施したヒアリング等で聴取した当社担当者からの説明その他当委員会の審議の過程における説明によれば、当社が本取引において期待しているシナジーは以下のとおりとのことである。

① 公開買付者グループの北米製造・物流拠点(米国・メキシコ)の活用による地産地消体制の構築

 当社グループが、その事業課題の一つであるグローバル生産体制の構築を進める中、公開買付者グループは米国、メキシコにおいて生産拠点を有しており、本取引を通じて当社グループが公開買付者グループに加わることにより、当該生産拠点の活用による地産地消を加速し、北米市場向けのタイムリーな製品供給や輸送費をはじめとしたコストダウン、関税強化など保護貿易政策への対応等が期待できると考えている。

② 北米市場における販路・ブランドの相互活用、製品相互供給の加速(深化)

 北米市場において、当社グループと公開買付者グループの空調機の製品ポートフォリオは補完関係にあり、既に協業関係にある公開買付者グループの販路・ブランドを活用した当社グループ製品の販売及び当社グループの販路・ブランドを活用した公開買付者グループ製品の販売のさらなる拡大、並びに協業関係の発展が期待できると考えている。

③ 公開買付者グループとの共同開発・生産による北米・日本・豪州等のヒートポンプ給湯・暖房ビジネスへの参入

 当社グループは、欧州におけるヒートポンプ式給湯・暖房ビジネスを、中長期的な成長ポテンシャルの高い今後の重点事業の一つと位置づけているが、現状の欧州の一部地域のみの展開にとどまらず、公開買付者グループとの共同開発・生産や販路の活用等の連携を通じて、北米・日本・豪州など他の地域においても同ビジネスを展開し、さらなる事業拡大が期待できると考えている。

④ 日本における公開買付者グループの製造・開発・販売・物流拠点の活用及びサービス部門の協業

 当社グループの日本国内向け空調機事業において、公開買付者グループが有する日本国内の各拠点の活用を通じた販路の拡大と製造・開発・物流の高度化・効率化が期待できると考えている。また、サービス部門の協業により、サービス体制・機能の強化・効率化が期待できると考えている。

⑤ 原材料・部品の共同購買、製品の共同配送によるコストダウン

 当社グループと公開買付者グループが使用する原材料・部品等には、鉄、銅、アルミニウム、半導体、樹脂等、類似するものが多くあり、共同購買によるスケールメリットの享受、製品の共同配送等を通じたコストダウンが期待できると考えている。

 

イ.本取引により生じうるデメリット

 当委員会が実施したヒアリング等で聴取した当社担当者からの説明その他当委員会の審議の過程における説明によれば、本取引により生じうるデメリットとしては、以下のようなものが考えられるとのことである。

① 欧州における公開買付者グループとのコンフリクトによる重要な協業企業の離脱

 当社グループは欧州において、多くの販売代理店と長年にわたり良好な関係を構築・維持しており、一部の販売代理店は当社グループの中核パートナーである。一方、公開買付者グループも欧州でビジネスを展開しており、主に給湯分野で競合関係の発生が見込まれ、当社グループの欧州におけるビジネスに悪影響を及ぼす可能性がある。

② ブランドの切替えに伴う既存販売代理店の離脱

 富士通ブランドは、インドなどを除く全世界において、当社グループの空調機器の製品ブランドとして広く浸透しており、空調機事業の企業価値の源泉となっている。本取引を通じて、既存販売代理店の意向を汲まずに短期間のうちにブランドを変更するなど、ブランドの切替えを円滑に行えない事態が生じると、既存販売代理店の離脱により、多くの地域で当社グループのビジネスに悪影響を及ぼす可能性がある。

③ 公開買付者グループ主導の開発計画による負荷増大

 地球温暖化を背景に脱炭素化に向けた取組みが世界中で進展する中、当社グループの有するヒートポンプ技術やインバータ技術は、その課題解決に大きく寄与すると考えている。また同技術は、給湯分野においても広く活用されており、空調機と給湯器の基盤技術は近い将来融合するであろうことは十分に予想される。本取引を通じて、公開買付者グループが当社グループに求める開発要望により、従来当社グループが進めてきた空調機分野における開発計画の変更を余儀なくされ、空調機ビジネスの競争力に悪影響を及ぼす可能性がある。

④ 株式の非公開化に伴い想定される一般的なデメリット

 当社グループが本取引を通じて公開買付者グループに加わり当社株式が非公開化された場合、上場企業としてこれまで維持してきたコーポレート・ガバナンス体制や機能、情報開示の透明性が不十分となるおそれがあり、従業員の士気や今後の優秀な人材確保、顧客・取引先をはじめとする社会的信用力など、様々なステークホルダーとの関係に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

ウ.本取引により生じうる公開買付者グループが享受するメリット

 当委員会が実施したヒアリング等で聴取した当社担当者からの説明その他当委員会の審議の過程における説明によれば、本取引により生じうる公開買付者グループが享受するメリットとしては、以下のようなものが考えられるとのことである。

① 公開買付者グループが有していないヒートポンプ・インバータ技術及び基幹部品となるコンプレッサー、モーターの開発・生産に係る高度な技術の獲得

 地球温暖化を背景に脱炭素化に向けた取組みが世界中で進展する中、当社グループの有するヒートポンプ技術やインバータ技術は、その課題解決に大きく寄与する重要な技術と考えている。当社グループの完全子会社化により、公開買付者グループは、独自技術を含めた当社グループがこれまで開発し、磨き上げてきたヒートポンプ・インバータ技術、またそれらの基幹部品となるコンプレッサー、モーターの開発・生産、それらの最終製品化等に係る高度な技術を獲得することができると考えられる。

② 当社グループのタイ、中国生産拠点の活用

 公開買付者グループが生産拠点を有していないタイ、中国において、当社グループは、空調機事業における高度な生産技術・効率性を有する生産拠点を有しており、長年操業してきた実績・経験がある。公開買付者グループがこれらの生産拠点を活用することにより、生産キャパシティの拡大や生産の高度化・効率化、地産地消の推進を図ることができると考えられる。

③ コーポレート・ガバナンス及び情報開示に係る体制強化

 当社は1955年以来、上場会社としてコーポレート・ガバナンス体制の強化とともに、上場規則や関連法令の遵守はもちろんのこと、日本の株式市場やグローバル社会の様々なステークホルダーの要請に応える適時適切な財務・非財務情報の開示を行うための体制強化を進めてきた。当社グループの完全子会社化によって、非上場会社である公開買付者グループにおける体制強化や人的リソースとノウハウの取得・活用により、情報開示の高度化と企業価値向上に寄与することができると考えられる。

 

(3)当委員会の見解

 以上を踏まえて、当委員会において慎重に審議・検討をしたところ、本取引により期待されるシナジーについての公開買付者及び当社の説明は一定の具体性を有しており、合理的な説明であると認められる。

 上記(2)イのとおり、本取引によりデメリットが生じる可能性は否定できないものの、まず欧州における公開買付者とのコンフリクトについては、リームが欧州において販売している製品のほとんどが給湯器であり、当社製品との競合は限定的であることを前提とすれば、既存代理店の離脱による影響は大きくないと考えられる。

 また、富士通が当社株式を売却する意向を有している中で、富士通が当社株式を売却する取引を実行する場合にはいずれかのタイミングで富士通ブランドからの切替えは必要となり、このような潜在的なデメリットは避けられないところ、富士通との間では、円滑なブランドの切替えのために必要な期間は継続して富士通ブランドを使用することができる内容の合意ができていること、また、公開買付者との間では、ブランドの切替えにあたって当社のみならず当社の既存代理店の利益にも配慮すること及び新ブランドの普及に協力することについて合意していることを踏まえれば、既存代理店への影響を最小限に抑えつつ、ブランドの切替えを実現することも合理的に期待できる。

 更に、公開買付者主導の開発計画による負荷増大については、確かに一時的には開発費用を増加させる可能性があるものの、開発の成果が将来的には売上の増大につながるとも期待できる。公開買付者は、当社グループの経営の独立性・自主性を維持・尊重することに同意しており、将来的な開発計画についても公開買付者との間で協議をしつつ、当社グループの経営に過度な負荷を掛けることなく進めていくことも期待できる。

 また、株式の非公開化に伴い想定される一般的なデメリットについても、公開買付者との間で当社グループの組織体制及び運営体制(コーポレート・ガバナンス体制及びオペレーション構造を含む。)を維持することに合意ができており、コーポレート・ガバナンス体制や機能が不十分なものとなるリスクも限定的であると考えられる。また当社が長年の事業活動により培った採用市場における優位性や社会的信用性は上場廃止により失われるものではないと考えられる。

 このように本取引を実行することによるデメリットは重大なものとは考えられない一方、本取引を実行することでそのようなデメリットを上回るシナジーの発現を期待することができ、本取引は当社の企業価値向上に資するものであると認められる。

 

2.本取引の取引条件の妥当性の検討

(1)本公開買付価格の妥当性

a.事業計画の策定手続及び内容

 当社は、当社、富士通及び公開買付者のいずれからも独立した第三者算定機関としてみずほ証券に当社の株式価値の算定を依頼し、2024年12月30日付で、当社株式価値算定書を受領している。

 当社は本取引の検討を開始する以前から、2024年6月18日開催の当社株主総会で承認された役員変更後の新経営陣の下で2025年3月期から2027年3月期までの事業計画に検討を重ねてきていたが、本取引の検討にあたり改めてその内容を検証し、当社株式価値算定書の前提とすべき当社事業計画の作成を行った。当委員会の委員は、当社事業計画の策定段階からその策定に深く関与しているが、当社事業計画の策定経緯に公正性を疑うべき事情は存在せず、その内容に不合理な点は見受けられないものと判断の上、当社事業計画を承認している。

 

b.算定結果の検討

 当社株式価値算定書の内容に関するみずほ証券の当委員会に対する説明及び当委員会との質疑応答に基づけば、(ⅰ)みずほ証券が採用した株式価値の算定手法は、非公開化取引における株式価値算定において一般的に利用されている算定手法であり、各算定手法の採用理由に不合理な点は認められず、また、(ⅱ)みずほ証券による算定内容の合理性についても不合理な点は認められない。したがって、当委員会は、当社株式の株式価値の評価に当たり、当社株式価値算定書に依拠することができるものと判断している。

 当社株式価値算定書における当社株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりである。当社株式価値算定書に付されている、その作成並びにその基礎となる評価分析に関する前提条件及び留意事項については、下記(注)のとおりである。

市場株価基準法:2,018円~2,327円

類似企業比較法:1,703円~3,056円

DCF法     :2,403円~3,691円

(注) みずほ証券は、当社の株式価値算定に際して、当社から提供を受けた情報、ヒアリングにより聴取した情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全であること、当社の株式価値算定に重大な影響を与える可能性がある事実でみずほ証券に対して未開示の事実はないこと等を前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証は行っていない。また、みずほ証券は、当社及びその子会社・関連会社の資産及び負債(デリバティブ取引、簿外資産・負債、その他偶発債務を含む。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自の評価又は鑑定を行っておらず、第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っていない。また、かかる算定において参照した当社の財務見通しについては、当社により2025年1月6日時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に準備・作成されたこと、並びにかかる算定は2024年12月30日現在の情報と経済情勢を反映したものであることを前提としている。

 本公開買付価格は、当社株式価値算定書における当社株式の価値算定結果のうち、市場株価基準法による算定結果のレンジの上限値を上回り、かつ、類似企業比較法及びDCF法による算定結果のレンジ内である。

 

c.プレミアムの分析

 本公開買付価格(当社株式1株当たり2,808円)は、2025年1月6日付答申書作成日の前営業日である2024年12月30日の東京証券取引所における当社株式の終値2,327円に対して20.67%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じ。)、過去1ヶ月間の終値単純平均値2,206円(小数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じ。)に対して27.29%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,075円に対して35.33%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値2,018円に対して39.15%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となっている。

 経済産業省策定の「公正なM&Aの在り方に関する指針」の公表日である2019年6月28日以降に公表された上場会社の完全子会社化を目的とした公開買付けの事例の中で2024年11月29日時点までに公開買付けが公表された事例のうち、公開買付実施前の公開買付者(親会社及び子会社を含む。)による対象者株式保有割合が15%未満の事例(ただし、マネジメントバイアウトや敵対的公開買付け、発表前日のプレミアムがディスカウントとなっている事例を除く。以下「本件類似事例」といいます。)106件におけるプレミアム水準の中央値(公表前営業日の終値に対して39.60%、公表前営業日の過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して38.07%、公表前営業日の過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して40.53%及び公表前営業日の過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して44.89%)と比較すると、前営業日の過去3ヶ月間の終値単純平均値及び前営業日の過去6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムとしては遜色のない水準であると認められる。前営業日の過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムについては、これらの事例と比較して低いプレミアム率になっていることは否めないが、当社の終値は前営業日の過去1ヶ月間において、2,053円から2,327円まで上昇しており、この上昇率(13.35%)は同期間における東証株価指数(TOPIX)の騰落率を上回る水準であり、本取引についての報道があった12月26日より前は同期間に本取引自体に関する報道はなかったものの、同期間と近接した時期に富士通による当社株式の売却を示唆する報道があったため、市場参加者の思惑に基づく売買の結果として上昇したものと推認することも合理的である。したがって、前営業日の過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム率が本件類似事例のプレミアム水準を下回っていることをもって、本公開買付価格のプレミアム率が他社事例と比較して不合理に低い水準であると評価する必要はないと考えられる。

 

d.本公開買付価格の交渉経緯

 当社は2024年10月29日に公開買付者から本公開買付価格を1株あたり2,753円とする提案を受領した。

 当委員会は、2024年11月28日に開催された第5回特別委員会において、みずほ証券から当社株式に係る株式価値の初期的な算定結果の共有を受けるとともに、公開買付者の提案価格は株式価値算定結果のレンジの範囲内にあり、企業価値評価の観点から公開買付者の提示価格が低すぎると主張することは難しいと考えられるものの、少数株主利益の最大化のため、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。

 その後、当委員会は、2024年12月4日付けレターにて、本公開買付価格の引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2024年12月10日付けレターにて、本公開買付価格を2,776円に引き上げる旨の回答を受領した。

 これを受け、当委員会は、2024年12月12日付けレターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2024年12月16日付けレターにて、本公開買付価格を2,785円に引き上げる旨の回答を受領した。

 当委員会は、上記二回の価格の引き上げ要請を通じて、一定程度の価格の引き上げに成功したものの、少数株主利益の最大化のため、更なる価格の引き上げを目指して、2024年12月18日付けレターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請した。これに対して、公開買付者からは、2024年10月29日において提案した価格は、元々上方修正余地を残していないベスト・オファーとして提案したものであり、その後、当委員会からの一連の要請を踏まえ、価格の引き上げを検討したが、更なる価格の引き上げを提案することはできないとの回答を受領した。

 当委員会は、2024年12月20日に開催された第9回特別委員会において、公開買付者からの上記回答を踏まえ対応を検討した結果、少数株主利益の最大化のため、本取引の公表予定日の直前まで価格交渉を継続することを決定し、2024年12月20日付けレターにて、再度本公開買付価格の引き上げを要請したが、2024年12月23日付けレターにて、2024年12月16日付けレターにて提示した本公開買付価格2,785円は当社の企業価値を最大限高く評価した上で提案したものであり、更なる価格の引き上げを提案することはできないとの回答があった。

 このように公開買付者からは二度にわたり価格引き上げを拒絶する回答があったが、当委員会は当委員会としての最終的な決定を行う前に、もう一度公開買付者に対して公開買付価格の引き上げを要求すべきと判断し、2024年12月25日に公開買付者との間との協議を行った。なお、当該協議の中において、当委員会は、公開買付者に対して、富士通からの自己株取得価格を低く抑えることで、一般株主向けの公開買付価格を引き上げることを検討することも求めた。かかる協議の結果、同日、公開買付者から、当委員会に対する最終提案として、本公開買付価格を2,808円とする提案がなされた。

 以上の交渉経緯からして、当委員会は、本公開買付価格2,808円は、これ以上交渉を継続しても引き上げの余地のない公開買付者からの最終提案価格であると判断した。

 

 以上からすれば、本公開買付価格は、当社が、公開買付者との間で、株主にとってできる限り有利な取引条件で買収が行われることを目指して、真摯な交渉の結果決定されたものと認められる。

 

e.マーケットチェック

 一般論として、入札プロセス等の積極的なマーケットチェックを行うことは、一般株主にとってできる限り有利な取引条件での取引を確保する上で有効な手段ではある。

 もっとも、富士通及び当社は、2022年12月頃より、富士通が保有する当社株式の売却を実現できる取引についての提案を勧誘すべく、公開買付者を含む複数の事業会社及びプライベートエクイティファンドの参加する入札プロセスを実施したものの、いずれの候補者からも法的拘束力のある提案を受領することがないまま入札プロセスを終了したという経緯があり、積極的なマーケットチェックは既に完了しているとも考えられる。

 公開買付者から本取引の提案を受領したことを受けて改めて積極的なマーケットチェックを行うことも考えられるところではあるが、富士通からは、意向表明書の条件を含む提案内容が経済合理性、取引の迅速性及び取引実現の蓋然性の観点を踏まえても検討に値する内容であると判断しており、主に情報拡散への懸念から積極的なマーケットチェックは行わないという意向であることが示され、また、当社としても、以前の入札プロセスにおいていずれの候補者からも法的拘束力のある提案を受領することができなかった要因の一つが一部報道により当社株式の市場株価が高騰した点等にあったことを考えると、情報管理を徹底するために再度の積極的なマーケットチェックは行わないという判断も合理的であるとの結論に至った。

 なお、後述のとおり、本公開買付けの予定を公表した2025年1月6日から本公開買付けの開始までの期間は6ヶ月程度となる予定であり、この間に公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は確保されており、間接的なマーケットチェックは有効に機能することが期待できる。

 

f.小括

 以上の検討によれば、(ⅰ)当社株式価値算定書における当社株式の価値算定結果のうち、市場株価基準法による算定結果のレンジの上限値を上回り、かつ、類似企業比較法及びDCF法による算定結果のレンジ内であること、(ⅱ)本公開買付価格のプレミアム水準は、他社事例と比較して不合理に低い水準であるとまでは認められないこと、(ⅲ)当社と公開買付者との間で、真摯な交渉の結果決定されたものと認められること、(ⅳ)本公開買付価格は、一定のマーケットチェックを経た上で提案された取引価格であるとの評価が可能であることを踏まえると、本公開買付価格は公正かつ妥当であると評価できる。

 

(2)スキームの妥当性

 本取引において採用されている、一段階目として、本公開買付け後に公開買付者及び富士通が合計で当社の総議決権数の3分の2以上を取得することとなる株式数を買付予定数の下限に設定して公開買付けを行い、二段階目として、当社の株主を公開買付者及び富士通のみとするための株式併合によるスクイーズアウトを実行し、当該株式併合の効力発生後に当社が富士通の所有する当社株式の全てを取得するというスキームは、親会社が存在する上場会社の非公開化の手法として比較的一般的に採用されている方法であり、公開買付価格に不満のある当社株主は、裁判所に対する株式買取請求後の価格決定の申立てが可能である。下記3(7)のとおり、本公開買付けにおいては強圧性が排除されていることも踏まえて、当委員会として、本取引のスキームに不合理な点は認められず、妥当であると認める。

 

(3)小括

 以上のとおり、(ⅰ)本公開買付価格は公正かつ妥当であると評価できること、及び(ⅱ)本取引のスキームは妥当であると認められることから、本取引の取引条件は公正かつ妥当な条件であると認める。

 

3.本取引の検討手続の公正性の検討

(1)当社における独立した特別委員会の設置等

 当社は、2024年9月25日付の取締役会決議により、当委員会を設置し、当委員会の委員の候補となる当社の独立社外取締役の独立性及び適格性等について確認を行うとともに、公開買付者との間で重要な利害関係を有していないこと、及び本取引の成否に関して一般株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことについても確認を行った上で、当社の独立社外取締役の寺坂史明氏(当社独立社外取締役)、桑山三恵子氏(当社独立社外取締役)、大澤善雄氏(当社独立社外取締役)及び中島圭一氏(当社独立社外取締役)の4名を当委員会の委員の候補として選定した(なお、当委員会の委員長には大澤善雄氏が就任しており、また、中島圭一氏が逝去されたことにより退任された点を除き、当委員会の委員は設置当初から変更していない。)。また、当社は、長島・大野・常松法律事務所の助言を得つつ、本取引に係る検討・交渉等を行うにあたっては、当委員会の設置をはじめとする本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置を十分に講じる必要がある旨等を個別に説明するとともに、本取引においては潜在的な利益相反のおそれを慎重に排除するために手続の公正性を十分に確保する必要がある旨、並びに当委員会の役割等についての説明及び質疑応答を行った。なお、当委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、社外取締役としての報酬とは別に、固定額の報酬を支払うものとされており、本取引の公表や成立を条件とする成功報酬は含まれていない。

 

 また、当社は、上記取締役会決議において、当社取締役会において本取引に関する重要な決定を行うに際しては、当委員会の答申を最大限尊重し、本取引の取引条件について当委員会が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は、本公開買付けに賛同せず、応募推奨をしない旨を決議している。併せて、当社は、上記取締役会決議に基づき、当委員会に対して、(a)業務執行取締役等による本取引の検討について、必要な助言を行う権限、(b)公開買付者との本取引に関する協議及び交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、本取引に関する協議及び交渉について意見を述べ、当社取締役会に対して勧告や要請を行い、また、必要に応じて法令上許容される範囲で公開買付者を含む第三者と直接協議・交渉を行う権限、(c)業務執行取締役等に対し、対象事項に関する進捗、検討状況その他の事項の報告及び情報提供を随時求める権限、(d)その役割を果たすために必要な範囲で、自らのため選任又は承認したアドバイザー等を当社の費用負担により選任する権限、及び当社のアドバイザー等を評価し、選任について意見し、又は承認(事後承認を含む。)する権限を付与した。

 

 このように、当委員会は、当社において独立した特別委員会であり、本取引の検討手続において有効に機能するための権限を付与され、実際に有効に機能したと考えられる。

 

(2)当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、上記2.(1)aのとおりみずほ証券から当社株式価値算定書を取得している。なお、本取引に係るみずほ証券の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬に加えて、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれている。なお、当社は、みずほ証券から本公開買付価格の公正性に関する評価(フェアネス・オピニオン)を取得していないが、本取引の検討のためにとられた公正担保措置等を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされており、手続の公正性に疑義を生じさせるものではないと考えられる。

 

(3)当社における独立したファイナンシャル・アドバイザーからの専門的助言

 当社は、本取引に関する当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、当社、富士通及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてみずほ証券を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む財務的見地からの専門的助言を受けた。

 なお、みずほ証券の説明によれば、みずほ証券は、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことである。

 

(4)当社における独立したリーガル・アドバイザーからの専門的助言

 当社は、本取引に関する当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、当社、富士通及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する法的助言を含む専門的助言を受けた。

 なお、長島・大野・常松法律事務所の説明によれば、長島・大野・常松法律事務所は、当社、公開買付者及び富士通の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことである。また、長島・大野・常松法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれていない。

 

(5)当社における独立した検討体制の構築

 当社は、本取引に係る潜在的な利益相反のおそれを排除する観点から、公開買付者及び富士通から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築した。

 具体的には、当社は、2024年9月19日に公開買付者から本公開買付けに関する初期的打診を受領した時点以降、当社及び公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程において、潜在的な利益相反のおそれを排除する観点から、富士通の役職員を兼任若しくは兼務する当社の役員である窪田隆一氏及び広瀬陽一氏の2名を関与させないこととした。

 なお、2024年4月に富士通から当社に転籍した富士通出身役員である増田幸司氏及び川西俊幸氏の2名については、(a)当社の経営戦略・事業計画の策定を主導する立場又は策定に深く関与する立場にあり、公開買付者の買収提案を企業価値向上の観点からスタンドアローンでの企業価値向上策と比較しつつ検討・評価していくという面において、プロジェクトチームへの参加が不可欠と考えられること、(b)本取引で富士通は当社株式を売却する側であり、親会社又は大株主が買収者となる取引と比較して、富士通と当社の一般株主との利益相反の度合いは類型的に大きいわけではないこと、(c)富士通出身役員は現在富士通グループの役職員を兼務しておらず、富士通グループに将来帰任する予定もなく、富士通グループから指示を受ける立場にないこと、(d)富士通出身役員は本取引に関して、富士通グループ側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことを踏まえ、特別委員会への限定的な関与を含め、プロジェクトチームへの参加は差し支えないと整理した。

 ただし、潜在的な利益相反のおそれを極力排除する観点から、以下の措置を講じることとした。

●富士通出身役員は、本取引に関して、富士通グループあるいは公開買付者との直接の交渉その他のやりとりは行わない(公開買付者との交渉は特別委員会名義で行う)。

●特別委員会は、富士通出身役員の関与によって公正性等の見地から問題が生じているか又はそのおそれがあると判断する場合、富士通出身役員による関与の中止又は是正等を勧告でき、特別委員会自体への参加も制限できることとする。

●増田幸司氏及び川西俊幸氏が特別委員会に参加する場合には、以下のような対応の工夫を講じ、特別委員会の独立性に配慮した議事運営を行っていることを対外的に説明可能とする。

・特別委員会において(a)経営戦略その他本取引が企業価値向上に資するか判断するための議題と(b)取引条件その他一般株主の利益確保について判断するための議題とを区別し、両名が(a)に限って審議に参加できる体制を整える。

・両名が特別委員会の審議に参加する場合であっても、原則として、その関与はあくまで説明者・オブザーバーとして、当社の経営戦略の観点から特別委員に対する説明を行い、場合により執行側としての意見を伝える、といった程度にとどめる。

・特別委員会において、両名が参加したセッションの後に、特別委員(及び富士通出身役員ではないオブザーバー)のみが(両名が退席した場で)審議するセッションを設ける。

 以上のとおり、公開買付者及び富士通から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築した。

 かかる本取引の検討体制については、独立性及び公正性の観点から当委員会の意見も確認しながら構築したものである。

 

(6)公開買付期間

 本公開買付けにおいて、公開買付期間は21営業日とすることが予定されているが、2025年1月6日時点で、本公開買付けについては、日本、欧州連合、インド、サウジアラビア、及びアメリカの競争法等の手続及び対応に一定期間を要することが見込まれているため、本公開買付けの予定を公表した日から本公開買付けの開始までの期間を含めると、実質的には法令に定められた最短期間よりも長期にわたる期間設定となる予定となり、少数株主を含む当社株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会(間接的マーケットチェックの機会)は確保されている。

 

(7)強圧性の排除

 本取引においては、一段階目として行われる本公開買付けにおいて、買付予定数の下限は、本公開買付け成立後に公開買付者及び富士通が合計で当社の総議決権数の3分の2以上を所有することとなるように設定されていることで、本公開買付けが成立した場合、成立後のスクイーズアウトが確実に実行できるスキームになっている。また、当該スクイーズアウト手続において、スクイーズアウトされる当社株主に対価として交付される金銭は、本公開買付価格に当該各株主の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定される予定であり、その旨が本公開買付けの開始に際して公表される予定である。したがって、少数株主を含む当社株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮されていると認められる。

 

(8)小括

 上記(1)から(7)のとおり、本取引の検討に際しては上記の各公正性担保措置が講じられていることから、本取引の検討に際して公正な手続が実施されており、これを通じた当社株主の利益への十分な配慮がなされているものと認められる。

 

 なお、富士通が保有する当社株式の合計は46,121,000株(所有割合:44.02%)であるため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考えられる。また、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないことについて、当委員会は、他の公正性担保措置が十分に講じられていると解されること等に鑑みると、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えられる旨判断している。

 

4.総括

 上記1から3のとおり、本公開買付けは、当社の企業価値向上に資すると考えられ、その取引条件も公正かつ妥当であり、公正な手続も実施されている。そこで、当委員会は、当社は本公開買付けについて賛同の意見を表明するとともに、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議すべきであり、本取引を行うことの決定は当社の一般株主(少数株主を含む。)にとって不利益なものではないと判断する。

 なお、当社が本取引を検討している過程で、公開買付者以外の第三者(プライベートエクイティファンド)から当社株式の上場を維持することを前提に当社が富士通から富士通の所有する当社株式の取得を可能とする取引に係る提案(以下「本提案」といいます。)を受領した。もっとも、(a)本提案は法的拘束力のない提案であるところ、当該第三者から法的拘束力のある提案を受領するためにはデュー・デリジェンスを受け入れる必要があることに加え、法的拘束力のある提案を受けるまでに数ヶ月要することが見込まれたこと、(b)本取引から期待されるシナジーの内容と比較して、本提案で示されているシナジーの内容は具体的なものとは言えず、その根拠も十分とは言えないことから、企業価値向上の観点から本提案の内容が公開買付者の提案内容よりも優れているとは評価できないこと、(c)富士通以外の一般株主に対して必ずしも合理的な価格での売却機会を付与するものではないことに加え、本提案の内容を採用した場合に上場を維持しつつ一般株主に提供できると見込まれる利益の水準が公開買付者の提案内容よりも優れているとは評価できないこと等を踏まえると、本提案を受領していることは、当社が本公開買付けについて賛同の意見を表明するとともに、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議することを妨げるものではない。

 

 その後、2025年3月14日、当社は、公開買付者から、本クリアランス取得の状況を踏まえ、本公開買付けを2025年4月上旬又は中旬に開始することを見込んでいる旨の連絡を受けました。そして、2025年4月2日、当社は、公開買付者から、本公開買付前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2025年4月28日より開始することを予定している旨の連絡を受けました(その後、2025年4月7日、当社は、公開買付者から本クリアランス取得が完了したとの連絡を受けました。)。そのため、当社は、2025年3月14日、本特別委員会に対して、本特別委員会が2025年1月6日付で当社の取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、当社の取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問いたしました。

 これを受けて、本特別委員会は、2025年3月21日及び2025年4月25日の2回、本特別委員会を構成する委員全員出席のもと開催され、これらの各開催日間においても電子メール等を通じて審議・意思決定等を行う等して、本特別委員会が2025年1月6日付で当社の取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かに関して、慎重に協議及び検討を行いました。具体的には、2025年1月6日以降、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討いたしました。その結果、本特別委員会は、2025年1月6日以降、2025年1月6日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらず、2025年1月6日付答申書において表明した意見を変更する必要はないことを確認し、当社取締役会に対し、委員全員の一致により、その旨を内容とする2025年4月25日付答申書を提出いたしました。なお、2025年4月25日付答申書によれば、2025年1月6日付答申書提出時点では、本クリアランス取得に要する期間を踏まえると、本公開買付けの予定を公表した日から本公開買付けの開始までの期間は6ヶ月程度となる予定であるとされており、本特別委員会も、この間に公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は確保されており、間接的なマーケットチェックは有効に機能することが期待できると判断していたところ、公開買付者によれば、実際には本クリアランス取得の完了時期が当初の想定よりも早まり、これに伴って本公開買付けの開始時期も当初の想定より2ヶ月半程度早まることとなったとのことです。もっとも、本公開買付けの予定を公表した日から本公開買付けの開始までの期間を含めると、実質的には法令に定められた最短期間よりも長期にわたる公開買付け期間の設定となる予定となり、少数株主を含む当社株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会(間接的マーケットチェックの機会)は確保されているといえるとされています。また、本公開買付けに係る買付け等の期間は、当初の想定である21営業日から20営業日へと短縮されていますが、このことは以上の結論に何ら影響を及ぼすものではないとされています。

 

④ 当社における独立した検討体制の構築

 当社は、2024年9月19日に公開買付者から本公開買付けに関する初期的打診を受領して以降、当社及び公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関して、本公開買付けを含む本取引における潜在的な利益相反のおそれを排除する観点から、富士通の役職員を兼任若しくは兼務する当社の役員である窪田隆一氏及び広瀬陽一氏の2名を関与させない形で交渉を行ってまいりました。

 なお、2024年4月に富士通から当社に転籍した富士通出身役員である増田幸司氏及び川西俊幸氏の2名については、(a)当社の経営戦略・事業計画の策定を主導する立場又は策定に深く関与する立場にあり、公開買付者の買収提案を企業価値向上の観点からスタンドアローンでの企業価値向上策と比較しつつ検討・評価していくという面において、プロジェクトチームへの参加が不可欠と考えられること、(b)本取引で富士通は当社株式を売却する側であり、親会社又は大株主が買収者となる取引と比較して、富士通と当社の一般株主との利益相反の度合いは類型的に大きいわけではないこと、(c)富士通出身役員は現在富士通グループの役職員を兼務しておらず、富士通グループに将来帰任する予定もなく、富士通グループから指示を受ける立場にないこと、(d)富士通出身役員は本取引に関して、富士通グループ側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことを踏まえ、本特別委員会への限定的な関与を含め、プロジェクトチームへの参加は差し支えないと整理しております。

 なお、このような本取引の検討体制に関して、独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認も得ております。

 

⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見

 2025年1月6日までに、当社の取締役会は、当社株式価値算定書の内容及び長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から取得した2025年1月6日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か及び本公開買付価格を含む本取引に関する諸条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議及び検討を行いました。

 その結果、当社の取締役会は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は、当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された公正かつ妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであることから、当社の株主の皆様にとって妥当であると考えており、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年1月6日開催の取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議しました。また、本公開買付けは、2025年1月6日付公開買付者プレスリリースにおいて公開買付者が公表していたとおり、本公開買付前提条件が充足された場合又は公開買付者により放棄された場合に速やかに開始することを予定しており、2025年1月6日現在、公開買付者は、日本、欧州連合、インド、サウジアラビア、及びアメリカの競争法の手続に関する国内外の法律事務所との協議等を踏まえ、2025年7月上旬を目処に本公開買付けを開始することを目指していたとのことですが、今般、公開買付者は、上記「(1)本公開買付けに関する意見の内容」に記載のとおり、2025年4月25日までに、本公開買付前提条件がいずれも充足されたことを確認したことから、同日、本公開買付けを2025年4月28日より開始することを決定したとのことです。

 当社は、2025年3月14日、公開買付者から、本クリアランス取得の状況を踏まえ、本公開買付けを2025年4月上旬又は中旬に開始することを見込んでいる旨の連絡を受けました。そして、2025年4月2日、当社は、公開買付者から、本公開買付前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2025年4月28日より開始することを予定している旨の連絡を受けました(その後、2025年4月7日、当社は、公開買付者から本クリアランス取得が完了したとの連絡を受けました。)。

 これに対し、当社は、2025年3月14日、本特別委員会に対して、本特別委員会が2025年1月6日付で当社の取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、当社の取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問したところ、本特別委員会から、2025年4月25日付で、本特別委員会が2025年1月6日付で当社の取締役会に対して行った答申内容(当該答申内容及び当該答申に係る本特別委員会の具体的な活動内容等については、上記「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び当社における特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を変更する必要はないものと考える旨の2025年4月25日付答申書の提出を受けたことから、当該答申書の内容及び2025年1月6日の取締役会開催以降の当社の業績や市場環境の変化等を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件の内容について改めて慎重に協議・検討いたしました。

 その結果、当社は、2025年4月25日時点においても、本公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は、当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された公正かつ妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであることから、当社の株主の皆様にとって妥当であると考えており、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであるとの2025年1月6日時点における当社の本公開買付けに関する判断を変更すべき要因はないと考えたことから、2025年4月25日開催の取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。また、当社は、2025年4月25日、公開買付者に対して、同日時点において、未公表の、当社に係る業務等に関する重要事実又は当社株券等に関する公開買付け等の実施に関する事実が存在しない旨の報告を行っております。

 上記取締役会においては、当社取締役8名のうち、増田幸司氏、川西俊幸氏及び窪田隆一氏を除く当社取締役5名が審議及び決議に参加し、決議に参加した取締役全員一致で上記意見を表明する旨の決議を行いました。上記取締役会には、当社の監査役3名のうち富士通の監査役を兼任している広瀬陽一氏を除く当社監査役2名全員が出席し、上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。

 なお、窪田隆一氏は、富士通の執行役員を兼任していることから、利益相反のおそれを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、上記取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において、本取引に関して公開買付者及び富士通との協議及び交渉にも一切参加しておりません。増田幸司氏及び川西俊幸氏は、2024年4月に富士通から当社に転籍しており、富士通の役員を兼任しているわけではないものの、より慎重に利益相反のおそれを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、上記取締役会における審議及び決議には一切参加しておりません。なお、増田幸司氏及び川西俊幸氏については、上記「④ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、本特別委員会に対する関与の方法を限定的なものとしつつ、本取引に係るプロジェクトチームへの参加は差し支えないと整理しております。同様に、広瀬陽一氏は富士通の監査役を兼任していることから、利益相反のおそれを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、上記取締役会における審議には一切参加しておらず、また、当社の立場において、本取引に関して公開買付者及び富士通との協議及び交渉にも一切参加しておりません。

 

⑥ 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、公開買付者、富士通及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるBofA証券に対し、当社の株式価値評価分析を依頼し、2024年12月30日付でBofA証券から公開買付者株式価値算定書を取得したとのことです。なお、BofA証券は、公開買付関係者、富士通及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有していないとのことです。また、公開買付者は、公開買付者株式価値算定書取得時点から2025年4月25日時点までの状況を考慮しても、公開買付者株式価値算定書に影響を与える前提事実に大きな変更はなく、また、当社グループや業界を取り巻く事業環境にも特段の変化はないと判断したことから、新たに当社株式の価値に関する株式価値算定書を取得していないとのことです。なお、公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載の諸要素を総合的に考慮し、かつ当社との協議・交渉を経て本公開買付価格を判断・決定しているため、BofA証券から本公開買付価格又は本公開買付けの公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておらず、BofA証券はかかる意見を一切表明していないとのことです。

 公開買付者株式価値算定書の詳細は、上記「(3)算定に関する事項」の「② 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。

 

(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項

① 本合意書

 当社は、公開買付者との間で、2025年1月6日付で、本合意書を締結いたしました。本合意書の概要は、以下のとおりです。

ⅰ.本取引に関する事項

a.公開買付者は、本合意書に従い、本公開買付けの開始日において上記「(1)本公開買付けに関する意見の内容」(注1)記載の本公開買付前提条件が充足されていることを条件として、本公開買付けを開始する義務を負う。ただし、本公開買付前提条件は、公開買付者の任意の裁量により、放棄することができる。

b.当社は、本公開買付けに関し、(ⅰ)本合意書の締結日において、その取締役会において、利害関係のない取締役全員の一致をもって、本公開買付けに賛同し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明に係る決議を行い(以下、当該意見を「本意見」といいます。)、法令等に従い本意見を公表し、かつ、(ⅱ)本合意書の締結日から本公開買付けの買付期間が満了するまでの間、本意見を撤回又は変更せず、これと矛盾する決議を行わない。

c.当社は、公開買付者以外の者から本公開買付けと競合、矛盾若しくは抵触し、若しくはその実行を困難にする又はそれらのおそれのある取引(公開買付け、第三者割当て、組織再編その他の方法を問いません。)の提案を受けた場合、公開買付者に対し、その旨及び当該提案の内容(公開買付者との間の協議に合理的に必要な範囲に限ります。)を通知し、その対応について公開買付者との間で誠実に協議する。

d.当社は、当社が本契約に定める義務に違反することなく、公開買付者以外の者から、本公開買付価格を上回る買付価格による当社の普通株式に対する公開買付け、第三者割当て、組織再編その他の取引に係る法的拘束力を有する書面による提案を受けた場合であって、かかる提案を受けてもなお当社の取締役会において本意見を維持することが、当社の取締役としての善管注意義務に違反する蓋然性が高いと合理的に認められる場合には、当社は、b.の義務を負わない。

 

ⅱ.その他の事項

a.当社は、本合意書の締結日から本取引の完了までの間、自ら又はその子会社をして、善良な管理者の注意をもって、本合意書の締結日以前に行われていたのと重要な点で実質的に同様かつ通常の業務運営の範囲内で業務を遂行し、また遂行させる。

b.公開買付者は、本取引の完了後も、当社グループが掲げる企業理念を維持・尊重し、中長期的観点で当社グループの企業価値向上に寄与する。

c.公開買付者は、本取引の完了後も、当社グループの経営の独立性・自主性を維持・尊重するとともに、当社グループの2025年1月6日時点における組織体制及び運営体制を維持する。ただし、当社グループを含む公開買付者グループの企業価値の向上の観点から、かかる組織体制及び運営体制の変更が合理的に必要となる場合には、公開買付者は、かかる変更について、当社の経営陣との間で誠実に協議の上かかる変更を実施する。

d.公開買付者は、本取引の完了後も、当社事業計画を尊重し、これら当社事業計画の実現・達成及び本取引によるシナジーの追求のために協力する。また、当社事業計画の実現可能性を高める観点から、本取引完了後も少なくとも当社事業計画の対象期間中(2027年3月31日まで)は本合意書締結日時点における当社経営陣を変更せず、公開買付者の指名により新たに就任する当社の取締役は非常勤の取締役のみとする。ただし、当社グループを含む公開買付者グループの企業価値の向上の観点から、当社事業計画の取扱い及び当社経営陣の処遇の変更が合理的に必要となる場合には、公開買付者は、かかる変更について、当社の経営陣との間で誠実に協議の上かかる変更を実施する。

e.公開買付者は、本取引の完了後も、当社グループの既存顧客及び事業パートナーとの関係維持及び連携強化に協力する。

f.公開買付者は、本取引に伴い必要となる当社グループが提供する製品及びサービスの「富士通」ブランドから新規ブランドへの移行にあたっては、当社の意向を尊重し、当社グループ及びその取引先の利益にも十分配慮の上、新規ブランドの決定を行うとともに、スムーズなブランドの移行及び新規ブランドの普及に努める。

g.公開買付者は、本取引の完了後に、公開買付者の商号の変更につき当社の経営陣と誠実に協議し、また、本取引の完了後に当社の商号を変更する場合、公開買付者は、当社の経営陣と誠実に協議の上、当社の経営陣との間で合意の上でかかる変更を実施する。

h.原則として、公開買付者は、本取引の完了後3年間、当社グループの従業員の雇用を維持するとともに、雇用条件を不利益に変更しない。

i.本公開買付けが2025年9月30日までに開始されなかった場合若しくは本公開買付けが成立せずに終了した場合又は本取引基本契約が終了した場合には、本合意書は自動的に終了する。

 

② 本取引基本契約

 本公開買付けに際し、公開買付者は、富士通との間で、2025年1月6日付で本取引基本契約を締結しているとのことです。

 本取引基本契約において、富士通は、(ⅰ)本不応募株式について、本公開買付けに応募しないこと、(ⅱ)直接又は間接に(当社を通じて行う場合を含むとのことです。)、本公開買付けと競合、矛盾又は抵触し、若しくはその実行を困難にし又はそれらの具体的なおそれのある取引(以下、総称して「競合取引」といいます。)について、公開買付者以外の第三者に対して又は公開買付者以外の第三者との間で、連絡、情報提供、勧誘、協議、検討及び合意をしてはならないこと、並びに、(ⅲ)自ら又は当社が公開買付者以外の者から競合取引の提案を受け、又はかかる提案を受けたことを知った場合、実務上可能な限り速やかに、公開買付者に対し、その旨及び当該提案の内容を通知し、その対応について公開買付者との間で誠実に協議することを合意しているとのことです。ただし、富士通が、本取引基本契約に定める自らの義務に違反することなく、公開買付者以外の者から、適格公開買付け(以下に定義します。)の要件を満たす公開買付けを行う旨の書面による真摯な提案(以下「適格対抗提案」といいます。)を受けた場合において、当該適格対抗提案を行った第三者に対して必要最小限度の範囲で情報提供を行い、又は当該第三者との間で当該適格対抗提案に関して実務上合理的な範囲で協議を行うことができるものとされているとのことです。

 また、本取引基本契約締結後、公開買付期間の末日までに、適格対抗提案を行った公開買付者以外の者により、(ⅰ)本公開買付価格を一定割合以上上回る金額に相当する取得対価(金銭に限るとのことです。)により、当社の普通株式の全てを取得する旨の公開買付け(本取引と同様に、公開買付けと自己株式取得を組み合わせる取引を含み、以下「適格公開買付け」といいます。)に係る書面による法的拘束力を有する提案(適格公開買付けを適法に完了させるために必要な国内外の全ての許認可等が取得されることを含む全ての前提条件が充足されることの確実性及び資金調達の確実性等を踏まえた実現可能性について合理的な疑義がないものであることを要するとのことです。)が富士通又は当社に対してなされた場合、(ⅱ)適格公開買付けが開始された場合、又は、(ⅲ)適格公開買付けを開始する旨が公表された場合(以下、(ⅰ)乃至(ⅲ)を併せて「適格公開買付け等」と総称します。)には、富士通は、本取引基本契約に定める自らの義務の違反がない場合に限り、公開買付者に対して、本公開買付価格及び本自己株式取得価格の変更について協議を申し入れることができるとのことです。当該協議を申し入れた場合において、(ⅰ)公開買付者が当該申入れの日から起算して10営業日を経過する日又は公開買付期間の末日の前日のうちいずれか早い方の日までに本公開買付価格を適格公開買付けに係る取得対価を上回る金額に変更し、かつ、本自己株式取得価格を、その算定の際に用いたものと同様の手法に基づいて、適格公開買付けに係る取得対価を基準に本自己株式取得による税効果を考慮して算定される金額を実質的に上回る金額に変更しないとき、又は(ⅱ)富士通が本取引基本契約に基づき本取引を実施すること若しくは適格公開買付け等に応じないことが富士通の取締役の善管注意義務に違反する蓋然性が高いと合理的に認められるときには、富士通は、本不応募株式の全て(一部は認められないとのことです。)について適格公開買付けに応じることができるものとされているとのことです。

 加えて、本取引基本契約においては、本公開買付けの前提条件(上記「(1)本公開買付けに関する意見の内容」に記載の「本公開買付前提条件」)、公開買付者及び富士通による表明保証事項(注1)、富士通の義務(注2)、公開買付者の義務(注3)及び契約終了事由(注4)が定められているとのことです。

(注1) 本取引基本契約において、公開買付者は、①設立、存続及び本取引基本契約の締結及び履行に必要な権能の存在、②本取引基本契約の有効性及び執行可能性、③本取引を適法に完了させるために必要な国内外の全ての許認可等の取得及び履践、④本取引基本契約の締結及び履行についての法令等との抵触の不存在、⑤倒産手続等の不存在、⑥反社会的勢力に該当しないこと及び反社会的勢力との関係の不存在、⑦資金調達について表明及び保証を行っているとのことです。また、本取引基本契約において、富士通は、①設立、存続及び本取引基本契約の締結及び履行に必要な権能の存在、②本取引基本契約の有効性及び執行可能性、③本取引基本契約の締結及び履行に必要な許認可等及びその他必要な手続の取得及び履践、④本取引基本契約の締結及び履行についての法令等との抵触の不存在、⑤倒産手続等の不存在、⑥反社会的勢力に該当しないこと及び反社会的勢力との関係の不存在、⑦本不応募株式の適法かつ有効な所有、⑧当社の株式に関する事項、⑨2022年4月1日以降に提出された当社の有価証券報告書等の正確性、⑩当社グループが反社会的勢力に該当しないこと及び当社グループと反社会的勢力との関係の不存在について表明及び保証を行っているとのことです。

(注2) 本取引基本契約において、富士通は、大要、①本不応募株式について本公開買付けに応募せず、また譲渡等を行わない義務、②本スクイーズアウト手続の実施に関する義務、③当社において本資金提供における第三者割当増資及び本減資等を実施させる義務、④本自己株式取得の実施日までに当社の株主総会が開催される場合における富士通による株主権の行使に関する公開買付者との事前の協議及び合意に関する義務、⑤本自己株式取得の実施に係る義務、⑥本公開買付前提条件充足のための協力及び努力義務、⑦富士通及び公開買付者が合理的に満足する様式及び内容の富士通が保有する商標権を対象とするライセンス契約(以下「本ライセンス契約」といいます。)の締結のための努力義務、⑧本取引基本契約締結後一定期間の当社の役職員に対する勧誘禁止義務、⑨自己の表明保証又は義務違反があった場合における補償義務等を負担しているとのことです。

(注3) 本取引基本契約において、公開買付者は、大要、①本公開買付前提条件が充足された日以降、本公開買付けを開始する義務、②本クリアランス取得の完了に係る努力義務、③本スクイーズアウト手続の実施に関する義務、④当社において本資金提供における第三者割当増資及び本減資等を実施させる義務、⑤本自己株式取得の実施に係る義務、⑥本公開買付前提条件充足のための協力及び努力義務、⑦富士通の事前の書面による承諾なく、本合意書を変更又は終了させない義務、⑧本取引基本契約締結後一定期間の当社の役職員に対する勧誘禁止義務、⑨自己の表明保証又は義務違反があった場合における補償義務等を負担しているとのことです。

(注4) 本取引基本契約において、公開買付者及び富士通は、①相手方当事者につき、重要な点において表明保証の違反があり、当該違反の通知から5営業日以内に当該違反を是正しなかった場合、②相手方当事者につき、本契約上の義務に重要な点において不履行又は不遵守があり、当該違反の通知から5営業日以内に当該違反を是正しなかった場合、③相手方当事者につき、倒産手続等の開始の申立てがなされた場合、④2025年9月30日までに本公開買付けが開始されない場合(ただし、自らの責に帰すべき事由による場合を除きます。)、⑤公開買付者について、議決権の行使又は契約上の権利の行使を通じて公開買付者を直接又は間接に実質的に支配する者の変更その他の支配権の変更があった場合、⑥富士通が本取引基本契約の規定に違反することなく本不応募株式の全てについて適格公開買付けに応じ、かつ、適格公開買付けが成立した場合には、本取引基本契約を解除することができるものとされているとのことです。また、本取引基本契約において、①公開買付者が、金融商品取引法その他適用ある法令等に従い、適法に本公開買付けを撤回した場合、②本公開買付けに係る応募株券等の総数が買付予定数の下限に満たなかった場合、③公開買付者及び富士通により契約が解除された場合のいずれかに該当する事由が生じた場合には、本取引基本契約は自動的に終了するものとされているとのことです。

 

4【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

氏名

役職名

所有株式数(株)

議決権の数(個)

増田 幸司

代表取締役社長

CEO(Chief Executive Officer)

兼 CTrO(Chief Transformation Officer)

兼 CSuO(Chief Sustainability Officer)

4,169

41

寺坂 史明

取締役

3,700

37

桑山 三恵子

取締役

1,700

17

長谷川 忠

取締役

執行役員副社長

COO(Chief Operating Officer)

兼 テックソリューション部門長

兼 TrO(Transformation Officer)

(テックソリューション事業)

兼 CTO(Chief Technology Officer)

兼 テックソリューション部門 電子デバイス事業本部長

兼 富士通将軍電子(蘇州)有限公司 董事長

12,763

127

川西 俊幸

取締役

執行役員副社長

COO

兼 空調機部門長

兼 TrO(空調機事業)

兼 空調機部門 戦略・企画本部長

3,002

30

大河原 進

取締役

上席執行役員

CSO(Chief Strategy Officer)

兼 TrO(経営基盤)

兼 CL&RMO(Chief Legal & Risk Management Officer)

兼 経営企画本部長

兼 経営企画本部CEO室長

兼 法務知財・リスクマネジメント本部長

18,519

185

井上 彰

常勤監査役

5,200

52

宮嶋 嘉信

常勤監査役

17,054

170

66,107

661

 (注1) 役職名は本書提出日現在のものです。

 (注2) 所有株式数および議決権の数は2024年9月30日現在のものです。

 

5【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

 該当事項はありません。

 

6【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

 該当事項はありません。

 

7【公開買付者に対する質問】

 該当事項はありません。

 

8【公開買付期間の延長請求】

 該当事項はありません。