文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社は、食を通じてコミュニティの場を提供するとともに、従業員にとっての自己実現の場を提供し、企業として市場の需要への対応、市場において競争力を確保、社会から信用されることを経営の基本理念として、事業の運営と発展に努め、株主の皆様をはじめとする社会の期待に応えてまいります。
それを実現させるために、いかなる従業員であっても、「誇りのある職場づくり」を志すことにより、クオリティの高いサービス及び商品を提供できる店舗づくりに日々心掛け、徹底したコスト管理と品質の高いサービスの提供に取り組むことを経営の基本方針としております。
当社は74店舗(FC4店舗を含む)を展開しております。東海地区を基盤として、関東地区、関西地区へ出店エリアを広げ、更なる拡大を目指してまいります。
当社は高い収益性を維持し企業価値を向上させていくため、原価率の低減やコスト管理に努めることにより、事業活動の成果を図ることができる、売上高前期比率、売上総利益率、総人件費対売上高比率、経常利益率を経営指標として掲げております。
具体的な課題は以下のとおりであります。
①商品開発と仕入の強化
原材料のうち、近年特に仕入価格の高騰が顕著である野菜類及び米について、仕入先等との仕入価格交渉等による原価管理を徹底していくことにより、原価率改善を行い、季節メニュー(フェアメニュー)の企画等についても積極的に取り組みます。また、主力材料であります牛肉についても為替の影響はありますが、常に情報を集めて安定供給に対する取り組みと新たな産地開拓も進めて参ります。
②サラダバーの充実
新鮮な野菜類と共にあさくまの名物であります、コーンスープ、カレーソース、焼き立てパン等の充実を行い、更に地元密着の地産地消等も取り入れて独自の開発を行います。多くの店舗で導入している温かいメニュー「ホットバー」を含むサラダバーの品目数を増やし、久しぶりに来ていただいたお客様が、あっと驚くような品揃えができるように取り組んでまいります。
③人材の確保及び育成
優秀な人材の確保及び社内での人材教育の推進により、品質を落とすことなく店舗運営サービスを効率的に進めていくことが必要不可欠と考えております。人材不足・人件費上昇の課題に対応するため、当社では、独自の取組みとして、スタッフとお客様との境界線を出来る限り排除する「カンタレス経営」(カンタレスとは、お客様と当社従業員との間にあるカウンターをなくす「カウンターレス」を意味する造語であります。)を進めております。また、外国人の採用について、2024年12月~2025年1月には新たに3名のミャンマー人・ベトナム人が入社し、2025年4月までにさらに21名が入社予定であり、集合研修において初めに日本での生活についての基本事項から教え、結果的に短期間で店舗において即戦力として活躍させる事が出来た経験を活かし、今後も進めてまいります。
④新規出店と既存店舗のブラッシュアップ
当社は、今後も新規出店に積極的に取り組んでまいりますが、先行きの見通し困難な中、その都度、経営判断を行いながら出店について決めてまいります。既存店舗につきましては、店舗の改装やクリーニングを主体とした投資をする等、既存店舗の建物設備の向上を図り、快適な空間を作ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社は、飲食業に携わる者として「お客様第一」を掲げ、「いつも安心」で「いつも安全」な品質の商品提供を心掛けております。
常日頃より大量の食品・飲料を取り扱っており、持続可能な商品をお客様に提供し続けるためにも、事業活動を通じ、特に環境問題の解決に取り組むべきと考えております。
(2) サステナビリティへの取り組み
当社では、あらゆるリスク及び機会を早期に把握し、経営に大きく影響を及ぼす項目について、代表取締役社長を中心にこれに対応し、必要に応じ適切な人員を集め、取り組んでおります。
サステナビリティに関連するリスク及び機会につきましても、上記と同様に、リスクの解決と機会の拡大を図ってまいります。
食品廃棄ロス
当社では、食材を取り扱っており、食品廃棄ロス(フードロス)が、重要な課題であると認識しております。この食品廃棄ロスについては、大きく「売れ残り」と「食べ残し」という2つの側面があると考えており、これらの削減について、対応策の策定をしております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社における人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、店長であれば、店舗運営に当たり必要なスキルを身に付けているか、等を判定し、未達であればサポートする体制を作っております。性別・国籍に関係なく適切な人員配置ができるよう上長が人材の育成を行っております。
当社では、サステナビリティに関連するリスク及び機会について、専任の部署はないものの、代表取締役社長をはじめ幹部社員が中心となり、リスク管理を行っております。特に環境面においては、食品廃棄物の削減に取り組んでおります。
食品廃棄ロスに関する指標及び目標は、上記③リスク管理にありますとおり、今後具体的な指標及び目標を計画することとなります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針の指標については女性管理職比率を用いておりますが、これについて、4年後の2029年度までに30%以上とする目標を掲げております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
外食産業は、成熟した市場となっており、企業間における価格競争、弁当・惣菜等の中食市場の成長等により、一層厳しい市場環境となっております。また、他業界と比較すると参入障壁が低いため、新規参入企業が多く、厳しい競合状態が続いております。その中で当社は、人材の育成、接客サービスの向上、商品レベルの強化、メニューの改定等により他社との差別化を図り、店舗収益を維持向上することが重要であると考えております。しかし、お客様に満足頂ける商品・サービスが提供できなかった場合やお客様の嗜好の変化等に伴う来店客数の減少により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、食材市況の変動等により食材を安定的に確保することが難しい状況になった場合や新型コロナウイルス感染症のような大きな社会的環境の変化や法令の改正等により、お客様へ提供する食材の調達や加工に新たな設備や作業等が必要になった場合にも、当該変動要因に係る費用が発生するため、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「ステーキのあさくま」以外に複数の業態を展開しております。しかしながら、売上収益の大半は「ステーキのあさくま」によるものでございます。引き続き多店舗展開等に取り組んでまいりますが、今後何らかの不祥事により「ステーキのあさくま」ブランドの毀損が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
外食産業におきましては、一部企業による産地偽装や賞味期限の改ざん等、食の安全性だけではなく、商品表示の適正性、信頼性等においても消費者の信用を失墜する事件が発生しております。当社は、取引のある事業規模が大きな信頼性の高い納入業者から仕入を行い、適正な商品表示に努めておりますが、その表示内容に重大な誤り等が発生した場合、社会的信用の低下により来店客数が減少し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が提供する商品・メニューは、いずれも食品衛生法による規制を受けております。食品衛生法は、食品衛生の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他措置を講ずることにより、飲食に起因する危害の発生を防止し、国民の健康を図ることを目的としております。当社では、都道府県知事より飲食店の営業許可を取得するとともに、各店舗に食品衛生責任者を置き、定期的な衛生点検を実施する等、安心安全な商品・メニューをお客様に提供するための衛生管理を徹底しておりますが、万が一、食中毒等の事故が起きた場合は、食品衛生法の規定に基づき、食品等の廃棄処分、一定期間の営業停止、営業許可の取消し等処分を受ける恐れがあり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の全従業員のうち、主な従業員はパートタイマー、アルバイト(以下、合わせて「パート」という。)であります。社会保険及び労働保険をはじめとした労働関連法令の改正等があった場合、人件費関連費用が増加し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」による規制を受けており、食品廃棄物の発生の抑制、減量化、再利用に取り組むことを義務付けられております。今後、同法の規制が引き上げられた場合、新たな設備投資等の費用が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、未成年者飲酒禁止法及び道路交通法等による規制を受けております。各店舗にてアルコール類飲料を注文されたお客様に自動車等の運転がないか、また、未成年者の可能性がある場合には未成年者ではないかを確認するとともに、誤提供防止の啓蒙ポスター表示等を通じ、十分に注意喚起を行っております。しかしながら、未成年者の飲酒及びお客様の飲酒運転に伴う交通事故等により当社及び従業員が法令違反等による罪に問われる、あるいは店舗の営業が制限された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の店舗のうち、深夜0時以降も営業する店舗については深夜営業の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」により規制を受けており、所轄警察署への「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書」により届出を行い、法令の順守に取り組んでおります。しかしながら、法令違反等が発生した場合、一定期間の営業停止が命じられ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「ステーキのあさくま」以外にもその他業態を複数有しております。商標権については当社の事業展開上、重要なものと位置付けており、識別性が無い等の理由により、その性質上商標の登録が困難なものを除き、全ての商標の登録を行う方針としております。当社が保有する商標権について、保護策の相談や侵害状況の調査依頼を顧問弁護士や弁理士に行っておりますが、商標使用時における当社の調査が十分でなく、当社が使用した商標が第三者の登録済み商標権を侵害していると認定され、商標の使用差止や損害賠償請求が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、国内の食肉卸を通してメニューに使用する牛肉の必要量を確保しておりますが、為替相場の大幅な変動や国内外の需要が大幅に増大した場合は、牛肉の仕入価格が高騰する可能性があります。その場合には、仕入コストが増加し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、その他の原材料につきましても、急激な仕入価格の高騰、数量の確保が困難に陥った場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社を含む外食産業全体では、慢性的な人手不足に伴う人件費増加や原材料価格の高騰による企業収益低下への対処として販売価格の値上げに踏み切る企業が相次いでおります。当社において販売価格の値上げを実施した際は、定期的な販売促進等のキャンペーンの実施により集客数の維持に努めてまいりました。しかしながら、値上げの影響がそのような販売促進等の効果を上回る場合においては、当社の集客力が低下し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当事業年度末時点において、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、茨城県の1都8県下に直営店70店舗を展開しております。今後の継続的な成長を実現させるため、東海地方及び関東地方を中心に各地域への出店をしていく方針ですが、当社の新規出店水準に見合う物件の確保が困難となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、店舗等について居抜物件(床・天井・壁・厨房・お手洗等、店舗内の主要設備が残っている状態で今すぐにでも開店出来るような物件)を活用した新規出店を基本方針としており、物件の賃貸に際しては賃貸人に対して、保証金・敷金を差入れた上で土地及び建物を賃借しております。今後、賃借物件の貸主(家主)の経済的破綻等により差入保証金等の一部又は全部の回収が不能となる場合がある他、店舗営業の継続に支障等が生じる可能性があります。また、当社の都合で賃貸借契約を中途解約する場合には、契約上の規定から差入保証金等を放棄せざるを得なくなる場合があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、店舗の環境変化や経済環境の要因により店舗ごとの収益性が損なわれた場合、固定資産についての減損損失を認識し、当該減損損失の計上により当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。今後、商圏人口、交通量、競合店状況等の変化によって店舗の業績が悪化した場合、店舗閉鎖に伴い遊休資産が発生した場合には減損損失を計上するため、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、飲食事業を営んでおり、主な従業員はパートであります。当社の出店エリアにおいては同業他社が年々増加しているだけでなく、一部出店エリアについては従業員確保が極めて困難であるため、パートの時間給引き上げに歯止めがかからず人件費が急激に増加しております。これらの人件費負担増加等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、店舗運営マニュアルに基づく開店前研修や「FC担当マネージャー」を通じた店舗運営指導により、FC加盟契約者への教育を行い、店舗運営レベルの維持向上に努めております。しかしながら、当社によるFC加盟契約者への教育及び運営指導が十分に行き届かない場合には、お客様からFC加盟店に対する苦情等が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、新規の店舗展開と既存店の店舗運営及び内部管理体制を強化するために、優秀な人材の確保が必要であります。当社の計画に基づいた人材の確保及び育成が未達成となった場合、当然ながら新規出店も未達成となるため、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
外食産業における需要は、天候不順、異常気象、災害・紛争等の発生等により、消費者の外食機会及び外食意欲が減少し変動する場合があります。これらの天候不順等に伴う需要の変動の影響により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、主として東海地区及び関東地区で事業活動をしております。そのため、将来これらの地域で地震等の大規模災害が発生した際には、営業店舗の損傷等による営業日数及び営業時間の減少が発生するため、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、お客様からのメールや電話等で取得した情報及び社員、パート等の個人情報を取り扱っております。当該個人情報の管理は、取得時は利用目的を予め説明し、取得後にはデータの漏洩、滅失又は毀損が発生しないように万全を期しております。しかしながら、何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償請求の発生や社会的信用の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、店舗の売上管理及び損益管理、食材の受注及び発注業務、勤怠管理及び給与計算、会計処理及び支払業務等、情報処理の運営管理は、当社管理部で集中的に行っており、バックアップやウイルス対策等、データや処理のセキュリティ強化に取り組んでおります。しかしながら、自然災害や情報機器の故障、ネットワークの障害等不測の事態が発生した場合、業務に支障をきたすことにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の親会社である株式会社テンポスホールディングスは、当社の株式公開後も当社発行済普通株式の過半数を所有しております。その結果、当社の取締役の選任・解任、合併その他組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の配当等の基本的事項についての決定権又は拒否権に関して、他の株主の意向に関わらず株式会社テンポスホールディングスが影響を与える可能性があります。
株式会社テンポスホールディングス及びグループ各社との取引をはじめとした関連当事者取引については、独立性確保の観点を踏まえ取引の解消を進めてまいりますが、関連当事者と新たに取引を行う場合は、取締役会の諮問機関である関連当事者取引検証委員会での意見表明を受けた上で、取締役会の承認を得なければならないこととしております。また、重要な取引については、取引開始時の検証を行うとともに定期的に取締役会へ報告・確認を行っております。
このように、関連当事者取引については、取引の合理性(事業の必要性)と取引条件の妥当性を十分に検討し、健全性及び適正性確保の仕組みを構築しております。
(16) インターネット等による風評被害について
ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上での書き込みや店内画像により、マスコミ報道による風評被害が発生・拡散する事案が今日散見されております。当社においては、このような風評被害を防ぐためにソーシャルメディア利用に関するコンプライアンス研修も実施しておりますが、このような防止策にも関わらずソーシャルメディア利用が要因となる風評被害が発生・拡散した場合、当社の経営成績又は財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 感染症流行について
新型インフルエンザや新型コロナウイルス等による感染症が流行・拡大し、外出自粛や店舗営業の自粛もしくは営業時間の短縮等をせざるを得ない場合には、客数の減少により当社の経営成績又は財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症が国内のみならず、全世界規模で発生・流行した場合、当社に関わる仕入業者、物流業者、生産工場及び販売先等のサプライチェーン全体への影響が懸念され、感染症流行抑制のための移動制限や都市封鎖等により仕入物品の入荷や販売商品の納入に遅れが出る等、当社の経営成績又は財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社は、2025年1月31日付にて、当社の完全子会社であった株式会社あさくまサクセッションを吸収合併したことにより連結子会社が存在しなくなり、非連結決算会社となっております。そのため、当期の経営成績は、2024年2月1日から2025年1月30日における株式会社あさくまサクセッションの業績が反映されておりません。また、前事業年度と対象期間が異なっているため、比較分析は行っておりません。
文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において当社が判断したものであります。なお、当社は、飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
当事業年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善するなか、景気は緩やかな持ち直しの動きが見られますが、不安定な国際情勢や円安の長期化等の影響による物価の上昇が生じており、先行き不透明な状況が続いております。
外食産業においては、長引く不安定な国際情勢に伴う原材料価格・エネルギーコストの高止まり、人手不足による人件費の高騰等のあらゆるコスト上昇により厳しい経営環境が継続しております。
このような環境の下、当事業年度における当社の取り組みといたしましては、経営理念である「“食”を通じて、社会に貢献していく」に基づき、お客様にびっくりしてもらうをゴールに取り組んでおります。目指す姿としましては、店舗人員を少なくしながらも、お客様から「サービスが良くなったね」と言っていただくことです。しかしながら、目下のところ、トレーニングが追いついておらず、店舗のQSC(商品品質・接客サービス・清潔さ)についてのクレームを多くいただくようになってしまい、これが来店客数の戻りが鈍い原因ではないかと考え、前期以降引き続き、クレームの改善と、サラダバーの充実に注力してまいりました。
サラダバーにおいては、提供アイテム数を15品目から45品目に増やした店舗を順次拡大しております。また、温かいメニュー“ホットバー”の導入、体験型デザートの充実により、アンケートによるお客様の声からも、喜んでもらえている手応えを感じております。新型コロナウイルス感染症流行前の2019年と比べ、既存店の来店客数の戻りは鈍く、2022年は2019年比で70%を切っている状態でした。2024年の4月からはほぼ100%に近づいてきており、6月以降は2019年の来店客数を超えるまでになり、“ステーキのあさくま”業態全店では2025年1月までで、25カ月連続2桁増収となりました。一方で課題としましては、サラダやデザートのアイテム数や“ホットバー”を実施する店舗を増やしても、商品の補充や清掃がうまくできていないと、お客様の満足感が得られず、逆に不満足を与えてしまうということが分かりました。そのため、当期においては、徹底することが非常に難しいのですが、補充と清掃のチェックとトレーニングに諦めずに全力で取り組みながら、更なるサラダバーの充実を図って、お客様にびっくりしてもらえるものを目指してまいりました。また、コストをかけてでも来店客数増を目指すとして取り組んでおりますが、利益を増やすまでの増加に至っておらず、ここが踏ん張りどころだと思っております。
商品の施策においては、高単価のごちそうメニューとして、“和牛のひつまぶし御膳”、“和牛のステーキ重”、“和牛の焼肉膳”と“ロブスターのテルミドール”の販売を継続して行ってきました。これらの新商品はアンケートで喜んでいただけている手応えの反面、販売数がまだまだ少なく、まずはお勧めして1度食べてもらうことが課題と感じております。今後も高単価のごちそうメニューシリーズをさらに増やし、お客様に喜んでいただけるメニュー開発を行ってまいります。
採用と教育においては、前期以降、積極的に外国人の採用と教育を行ってまいりました。2024年12月~2025年1月には新たに3名のミャンマー人・ベトナム人が入社し、2025年4月までにさらに21名が入社予定で、早期に店長を目指せる人材に育ててまいります。
お客様と一緒になってお店を作る(カンタレス経営)についてですが、お客様でもあるあさくまアプリ会員の方と一緒にメニューを開発する“お料理プランナーさん”の取り組みとして、季節に合わせたサラダバーに並べるメニュー、“白菜人参の柚子味噌和え”や“大根と厚揚げのみぞれあん”、“いちごのティラミス”などの商品開発を行ってまいりました。今後も季節に合わせたメニューを提供できるように継続して取り組んでまいります。
以上の結果、当社の当事業年度における業績は、売上高が8,350,136千円、営業利益は179,671千円、経常利益は184,711千円、当期純利益は567,974千円となりました。
なお、当事業年度における店舗展開につきましては、直営店で新規に1店舗増加したことに対して、1店舗の退店を行っております。また、2025年1月31日の株式会社あさくまサクセッションとの吸収合併により、8店舗の承継を行っております。
上記の結果、当事業年度末現在における当社の店舗数は70店舗にFC店4店舗を加えて74店舗となっております。
② 財政状態の状況
当事業年度末における総資産は4,355,733千円となり、前事業年度末に比べて712,409千円増加しました。その内容は、以下のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は2,601,490千円となり、前事業年度末に比べて170,816千円増加しました。主な要因は売掛金で59,142千円、未収入金で57,402千円、現金及び預金で37,452千円それぞれ増加したことによります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は1,754,243千円となり、前事業年度末に比べて541,593千円増加しました。主な要因は繰延税金資産で447,499千円、長期預金で50,000千円それぞれ増加したことによります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は1,107,886千円となり、前事業年度末に比べて120,014千円増加しました。主な要因は買掛金で84,458千円、未払費用で33,771千円、未払金24,055千円、それぞれ増加したことによります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は176,956千円となり、前事業年度末に比べて24,283千円増加しました。主な要因は、長期借入金で65,760千円増加したことに対して、投資損失引当金で48,289千円減少したことによります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計の残高は3,070,889千円となり、前事業年度末に比べて568,111千円増加しました。主な要因は、利益剰余金が567,974千円増加したことによるものです。
この結果、総資産は前事業年度末より19.6%増加し4,355,733千円、負債は前事業年度末より12.7%増加し1,284,843千円、純資産は前事業年度末より22.7%増加し3,070,889千円となり、自己資本比率は70.5%(前期比68.7%)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比較し37,452千円(連結子会社の合併による増加額7,622千円を含む)増加し、2,062,036千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。なお、当事業年度より単体での開示となっているため、前事業年度との比較分析は行っておりません。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、314,907千円の収入となりました。これは主に、税引前当期純利益109,880千円、減価償却費111,438千円、減損損失80,258千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、287,998千円の支出となりました。これは主に、これは主に、有形固定資産の取得による支出280,315千円、長期預金の預入による支出50,000千円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,921千円の収入となりました。これは、長期貸付金の回収による収入4,000千円を計上したこと等によるものであります。
該当事項はありません。
当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。
(注)1.金額は、売上原価によっております。
2.前事業年度は、決算期の変更により、2023年4月1日から2024年1月31日までの10ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
該当事項はありません。
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)前事業年度は、決算期の変更により、2023年4月1日から2024年1月31日までの10ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当事業年度におきまして当社は、従業員教育によるお客様満足度の向上、販売促進、品質・エンターテイメント性を重視した商品開発に取り組んでまいりました。外食産業においては、人材不足に伴う人件費関連コストの増加、原材料価格の高騰、物流コストの増加が懸念されるところであり、これらのコストを吸収しつつ収益力を維持・拡大させていくために、付加価値の高い商品開発、リピート率の高い店舗体制の構築が引き続き課題であると認識しております。
商品開発に関しましては、体験型レストランとして、お客様が単に食事をするだけでなく自ら作って楽しめる空間作りや、サラダバー・デザートバーの充実を図ることで、ファミリー層のリピート率を高める商品の開発に注力してまいりました。また、当社グループのスケールメリットを活かした取引先との仕入価格交渉及び仕入先選定の見直し、物流コスト負担の軽減についての施策等に継続的に取り組むことで、コストの増加に対応しております。
人材不足に伴う人件費関連コストに関しましては、増加傾向は続くものと考えておりますが、効率化を進め、当事業年度における総人件費対売上高比率は25.7%(前年比0.1%減)となっております。慢性的な人材不足を背景に、従業員の離職等による採用コスト及び教育関連コストの増加、パートの最低時給の上昇などが継続しておりますが、正社員の勤務時間の柔軟化を図り、正社員の採用枠を広げてパートを正社員として積極的に雇用し、有給休暇や連続休暇等の年間休日日数の増加、女性従業員向けの子育て支援制度等の福利厚生制度の充実化に積極的に取り組み、人財育成や生産性の向上に努めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源として、その資金の範囲内で新規出店及び改装等で必要な投資キャッシュ・フローを賄うことを基本的な姿勢としております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計方針は、「第5 経理の状況、1財務諸表等、財務諸表、注記事項」に記載のとおりでありますが、財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、円安傾向による仕入価格高騰の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。これらの見積りにおいて用いた仮定には不確実性が伴うため、翌事業年度に係る財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
完全子会社の吸収合併
当社は、2024年11月13日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社あさくまサクセッションを吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。
(1)合併の目的
株式会社あさくまサクセッションは複数業態の飲食事業を手掛けておりますが、合併により、販促施策などのシナジー効果の創出並びにグループ内における節税や税務・労務の諸手続きの簡略化など重複している業務の削減を目的に同社を吸収合併することといたしました。
(2)合併の方式
当社を存続会社、株式会社あさくまサクセッションを消滅会社とする吸収合併であります。
(3)吸収合併に係る割当ての内容
完全子会社との合併のため、本合併に際して新株式の発行及び金銭等の交付はありません。
(4)合併の日程
(5)引継資産・負債の状況
当社は、合併の効力発生日において、株式会社あさくまサクセッションの資産、負債及びその他一切の権利義務を承継いたしました。
(6)吸収合併存続会社となる会社の概要
本合併による当社の名称、資本金及び事業内容に変更はありません。
該当事項はありません。