当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「誰もが安心して暮らせる社会」の実現を目指し、不動産賃貸管理の様々な課題に対応するソリューションサービスを提供しています。「三方よし」の精神を基盤に、お客様本位のホスピタリティと信頼・安心を提供し、新たなサービスの創出に挑戦してまいります。
(2) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、更なる企業価値の向上を図るべく、中期経営計画を下記の通り策定いたしました。
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2026年1月期 |
2027年1月期 |
2028年1月期 |
売上高(百万円) |
13,236 |
13,988 |
15,424 |
営業利益(百万円) |
1,017 |
1,478 |
2,005 |
営業利益率 |
7.7% |
10.6% |
13.0% |
EBITDA(百万円) |
1,720 |
2,104 |
2,642 |
(3) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき課題
賃貸不動産市場における経営環境としては、単身世帯の増加や外国人労働者の受け入れが拡大しており、賃貸市場の規模は今後も緩やかに拡大すると見込まれます。また、家賃保証業界では、保証サービスの利用が一般化し、今後も需要は増加すると見込まれております。
① 営業戦略の推進
当社グループは、社会やお客様のニーズが多様化するなかで、より良いサービスを追求し続けるために、社員一人ひとりが、お客様本位の精神と挑戦マインドを持つことで持続的な事業成長を目指してまいります。保証事業の拡大に向け、営業体制の強化と採用を加速し、新規代理店の開拓と既存取引先の利用促進を進めております。また、ニーズが高まる事業用賃貸市場に対応するために、専門チームを新設し、商業施設や飲食店専門の仲介会社との連携を強化しております。今後も効果的な営業戦略を推進し、さらなる売上拡大を目指します。
家主向けには、COMPASSが当社の家賃保証の強みを活かし、賃貸経営の支援サービスを提供しております。家賃保証に加え、部屋の設備トラブルやクレーム等の入居者対応や更新手続きなどを一括管理できるシステムを提供していくことで、自主管理家主市場でのシェア拡大を進めてまいります。
また、管理会社や家主における入居者対応などのコスト業務をプロフィットセンターのコールセンターでBPOサービスとしてサービスの付加価値を図ってまいります。
② 売上原価の圧縮
利益の拡大に関しては、売上原価の圧縮が重要な課題です。貸倒引当金の適正化を図り、債務者ごとの管理手法とリスク管理を徹底し、求償債権の早期回収と債権残高の圧縮を推進してまいります。また、与信管理の精度を高めてリスクを適切に評価し、滞納発生の抑制と回収プロセスの効率化を図ってまいります。
③ 保証DXに向けた取り組み
保証サービスの拡大と顧客ニーズに応えていく上で、オペレーション業務の煩雑化、複雑化が生じてきます。事業の拡大を図っていく上で、適切な人員の獲得と配置が求められます。その中で、各業務オペレーションの正確性に加え、業務効率やコスト管理が重要になってきます。そこで保証DXとして、事務業務のRPAによる自動化や業務のBPOを推進し、また業務プロセスを見直しすることで業務効率の向上を図ってまいります。審査や回収においてはAIを活用した与信、回収モデルの精度向上に努めてまいります。また、経営管理面では、生成AIを活用した企画、調査、評価等の仕組みを構築するとともに、専門人材の採用とナレッジマネジメントを図ることで組織全体の生産性を向上させてまいります。
④ 社会課題の解決に向けた取り組み
当社グループは、ひとり親世帯の安定した生活を支援するため、家賃債務保証や養育費保証事業を展開しております。養育費保証サービスを通じてシングルマザーの経済的不安を軽減し、安心して子どもを育てられる環境づくりを支援するとともに、自治体や企業と連携しひとり親の経済的自立支援にも取り組んでおります。すべての子どもが安心して成長できる社会を目指し、多様なパートナーと協力しながら、社会課題の解決に取り組んでまいります。
⑤ 人材の確保と育成
当社グループは、持続的な成長のために、適切な人材の確保と育成が重要な課題です。企業理念に共感できる人材を確保し、「三方よし」の精神のなかで、社員に求める「専門性」「部門間の協調」「挑戦マインド」を重視し、環境づくりを進めてまいります。社員一人ひとりが「やり甲斐」と「誇り」を持ち積極的に挑戦できる風土を醸成してまいります。
⑥ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、コンプライアンスとリスク管理の強化を重要な課題と考え、健全な経営基盤の確立に取り組んでおります。その一環として、コンプライアンス委員会を設置し、取締役会や内部監査室と連携しながら、継続的な改善を推進してまいります。さらに、社内研修やガイドラインの整備を通じて、コンプライアンスや情報セキュリティの意識を高めてまいります。これらの取り組みにより、安全で信頼性の高い事業運営を目指してまいります。
当社グループは、サステナビリティに関する方針と活動について、以下のように定めております。
なお、本書に記載された将来に関する内容は、当連結会計年度末時点での当社グループの見解に基づいております。
当社グループは、健全な住環境の維持と生活文化の発展を支えることで、豊かな社会の実現を目指しております。
この理念のもと、「三方よし」の精神を基盤とし、当社グループと関係するすべての人々にとって価値のあるサービスを提供することを使命としております。その実現のために、安定した財務基盤の確立と不動産市場の活性化を通じた社会貢献に取り組んでおります。
これまで当社グループは、入居者・家主・管理会社向けに付加価値の高いサービスを提供するため、家賃保証のDX化を推進してまいりました。また、業務プロセスの効率化と収益向上を目的として基幹システムも刷新いたしました。今後は、ステークホルダーをつなぐ不動産DXを推進し、新たな顧客体験を創出することに注力しながら、「誰もが安心して暮らせる社会」の実現に向けて、グループ全体で取り組んでまいります。
この方針に基づき、当社グループはサステナビリティ実現に向けて、以下の重点項目に取り組んでおります。
(1)ガバナンス
当社グループは、健全な住環境の維持を通じて、多様なステークホルダーとの良好な関係を築きながら、地域社会の持続的な発展に貢献する企業を目指しております。そのために、お客様本位の経営方針を徹底し、コーポレート・ガバナンスの継続的な強化に努めてまいります。また、コンプライアンスとリスク管理の強化を重要な課題と位置づけ、コンプライアンス委員会を設置し、取締役会や内部監査室と連携しながら、継続的な改善を推進しております。
(2)戦略
① 人的資本戦略
持続的な成長のためには、適切な人材の確保と育成が不可欠です。当社グループは、企業理念に共感できる人材を確保し、「三方よし」の精神のもと、「専門性」「部門間の協調」「挑戦マインド」を重視し、社員一人ひとりが「やり甲斐」と「誇り」を持ち、積極的に挑戦できる風土を醸成してまいります。
「行動規範」
・お客様の信頼を大切にし、常に誠実な姿勢で対応します。
・探求心を持ち、成長し続け、自らの夢を実現する意欲を持ちます。
・社員一人ひとりを尊重し、活気ある職場環境をつくります。
② 気候変動対策
当社グループは、気候変動が経営に与える影響を認識し、持続可能な社会の実現に向けたリスク低減の取り組みを推進しております。環境負荷の軽減策として、WEB申込や電子契約の利用促進、社内申請書類の電子化による紙資源の削減を進めております。また、社用車のエコドライブ推進、労働時間短縮による電力消費の削減などにも取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社グループは、内部統制システムの基本方針に基づき、リスクマネジメント基本規程を定め、事業リスクの予防及びリスク発生時の影響最小化に取り組んでおります。「コンプライアンス・リスクマネジメント委員会」を設置し、委員長は取締役会が選任したコンプライアンス・オフィサーが務めております。
この委員会は原則として毎月開催され、各種リスクの発生状況や管理方針について協議し、各リスク管理部門に対策を指示しております。
(4)社会課題の解決に向けた取り組み
当社グループは、ひとり親世帯の安定した生活を支援するため、家賃債務保証や養育費保証事業を展開しております。養育費保証サービスを通じてシングルマザーの経済的不安を軽減し、安心して子どもを育てられる環境づくりを支援するとともに、自治体や企業と連携し、ひとり親の経済的自立支援にも取り組んでおります。すべての子どもが安心して成長できる社会を目指し、多様なパートナーと協力しながら、社会課題の解決に努めてまいります。
(5)指標及び目標
当社グループは、上記「(2)戦略 ①人的資本戦略」において記載した創造性豊かな企業文化の醸成と多様な人材の活用を通じて、持続的な成長を実現する組織づくりを推進しており、その一環として、女性管理職の採用と登用に取り組んでおり、下記の指標について目標を設定しております。
当連結会計年度における当該指標の目標と実績については下記のとおりです。
指標 |
目標 |
実績 |
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当社グループが現在認識している主要なリスクには、以下のものがあります。 これらは、有価証券報告書に記載した事業・財務の状況等の中でも、経営者が当社グループの見通し状態、経営成績、及びキャッシュ・フローに重要な影響を与える可能性があると認識している事項です。
※記載に関する内容は、当連結会計年度末現在における当社グループの判断に基づいております。
(1) 景気や賃貸市場の変動による影響
当社は家賃債務保証事業を展開しており、家賃相場の変動、住宅建設の動向、不動産関連法や税制の改正、人口減少などにより賃貸市場が縮小した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 法規制や制度変更によるリスク
家賃債務保証事業には直接的な規制法は存在しませんが、2017年10月に国土交通省による任意登録制度が開始されました。今後この制度の義務化や新たな規制の導入、既存規制の改正等により、当社グループの事業展開や業績に影響が生じる可能性があります。
(3) レピュテーションリスク
当社グループは、「人々の健全な住環境の維持」を企業理念とし、入居者の生活環境や収入状況の変化に応じて、支払い方法の調整や分割返済の相談に対応しております。
しかしながら、当社グループや家賃債務保証業界に関して、コンプライアンス遵守への懸念を含む否定的な報道や風評が生じた場合、それが事実か否かを問わず、当社グループの評価に影響を及ぼす可能性があります。その結果、事業活動に支障をきたし、業績や財務状況に悪影響を及ぼすリスクがあると考えられます。
(4) 自然災害等について
当社グループは全国に事業を展開しておりますが、主要な営業拠点及びオペレーション部門を含む本社機能を東京都に置いております。また、家賃債務保証サービスの対象となる賃貸物件も首都圏に集中しております。
そのため、東京都を中心とする首都圏で地震などの大規模災害が発生した場合、本社機能の停止やシステム障害などによりオペレーション業務に深刻な影響が生じる可能性があります。これにより、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼすリスクがあると考えられます。
(5) 信用リスク
① 代位弁済について
当社グループは、保証委託契約を締結した賃借人が家賃を滞納した場合、賃貸人に対して代位弁済を行います。代位弁済額を抑制するため、蓄積した賃借人の属性や家賃支払状況に関するデータを活用し、独自の与信管理体制を構築することで滞納の発生を抑制しております。
しかし、国内外の経済環境や雇用環境が著しく悪化し、賃借人の家賃支払いに影響が及んだ場合、代位弁済の増加により、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 貸倒引当金について
当社グループは、家賃債務保証による求償債権に係る貸倒引当金を計上しております。従来は、過去の貸倒実績をもとに一律の評価を行っておりましたが、家賃債務保証の特性を踏まえると、債務者ごとにリスクを段階的に評価することが望ましいのではないかと考え、貸倒引当金の見積もり方法を見直しました。当連結会計年度に基幹システムの入れ替えを行ったことにより、求償債権データの分解・解析が進み、精緻な分析・管理が可能になりました。また、債権管理手法と活動方針に合わせた組織に再編し、一層の回収強化を図る体制を構築しました。このような当社の債権管理の環境変化を踏まえ、貸倒引当金の会計上の見積り方法の見直しを行いました。具体的には、家賃債務保証における顧客管理、債権管理、資産保全の考え方に合わせ、債権単位のリスク管理から債務者の契約単位ごとのリスク管理に変更しました。同時に、滞納月数と回収不能の兆候に応じて、債権を分類したうえで一定の評価を行う仕組みを取り入れました。
しかし、今後の経済状況や債務者の支払い能力の変化により、貸倒リスクが再び高まる可能性があります。その結果、実際の貸倒が想定を超えた場合には、追加の損失計上が必要となり、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(6) のれんに関するリスク
当連結会計年度末(2025年1月31日)における、当社グループの総資産額は15,774,102千円であり、そのうち、旧㈱Casaを吸収合併したことにより発生したのれんが2,269,808千円、株式会社プロフィットセンターの株式を取得し、連結子会社化したことによるのれんが248,356千円を占めており、また、のれんの効果が発現する期間を合理的に見積り、当該期間にわたり均等償却しております。当該無形固定資産について減損が生じていると判断される場合、当社グループは減損損失を計上する必要があり、当該減損損失の計上は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) システムリスク
当社グループは業務のシステム化を推進し、審査や保証契約の管理、債権管理、お客様の個人情報の記録・保存・管理などを、安定したシステム運用に依拠して行っております。万が一に備え、バックアッププランを含む緊急対応体制を整備し、システム全般に適切なセキュリティ対策を講じております。しかし、事故、火災、自然災害、停電、人為的ミス、ソフトウェアの不具合、外部からの不正アクセスなどにより、システムの安定運用が困難となった場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 情報漏洩に関するリスク
当社グループは、個人情報を含む多くのお客様情報を保有しております。個人情報の適切な管理を徹底するため、「プライバシーマーク」を取得し、関連規程・細則の整備や従業員教育を通じて、情報漏洩の防止に努めております。
しかし、万が一、個人情報の紛失・漏洩・不正利用や外部からの不正アクセスが発生した場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 事務リスク
当社グループは、不正確な事務処理や事故、不正行為によるオペレーション品質の低下を防ぐため、各種規程や業務マニュアルに基づく事務処理を徹底しております。また、業務のシステム化を進め、人為的ミスの少ない効率的な事務処理体制の構築に努めております。しかし、事務手続き上の故意又は重過失が発生した場合、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)投資リスク
当社グループは、競争力強化及び事業拡大を目的として株式を保有しております。しかし、投資先の事業が計画どおりに進まず、実質価額が著しく下落し、回復の見込みがないと判断された場合、評価損の計上が必要となります。これにより、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)代理店との関係
当社グループは、主に代理店である不動産管理会社等を通じて家賃債務保証事業を展開しており、入居者との契約に基づく売上を計上しております。そのため、不動産管理会社等からの新規賃借人の紹介が何らかの事情で減少した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)新規事業について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するため、新規事業への取り組みを積極的に進めております。新規事業が安定した収益を生み出すまでには一定の期間を要することが予想され、その間に全体の利益率が低下する可能性があります。また、将来的な事業環境の変化等により、新規事業が当初の計画通りに進行しない場合、投資に対する十分な回収が実現できない可能性があり、これが当社グループの業績に影響を及ぼすことが考えられます。
(13)特定人物への依存リスク
当社グループの事業推進を担ってきた代表取締役社長宮地正剛は、当社グループの事業に関する豊富な知識と経験を有しており、経営方針や事業戦略の決定をはじめ、当社グループの事業活動全般において極めて重要な役割を果たしております。
当社グループでは、過度に同氏に依存しない体制を構築するため、経営幹部の育成と権限委譲を進めており、経営組織の強化に努めております。とはいえ、何らかの理由で同氏が業務を遂行できなくなった場合、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、事業発展のために必要なマネジメント力、コンプライアンスに精通した人材等の確保及び定着を目的として、取締役及び執行役員に対して新株予約権を付与しております。当連結会計年度末現在、新株予約権による潜在株式数は1,438,600株であり、潜在株式を含む株式総数12,961,100株に対し、11.1%にあたります。発行された新株予約権の行使により発行される新株式は、将来、当社グループの株式価値の希薄化や株式売買の需給への影響をもたらし、当社グループ株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費は、一部に足踏みが残るものの、持ち直しの動きが見られ、雇用情勢も改善の動きが見られるなど、緩やかに回復しております。
当社グループの関連する賃貸不動産市場においては、2024年2月から2025年1月までの賃貸住宅の新設住宅着工件数は341,750戸となり、前年同期の344,534戸から0.8%微減となっております。
賃貸物件のうち住居用物件では、家賃保証の利用が賃貸借契約において一般化し、その重要性とニーズが引き続き高まっております。また、企業や個人事業主の経営環境が不透明さを増す中、倒産件数の増加が見られることから、オーナー側が滞納リスクを懸念し、保証会社を利用する傾向が一層強まっております。
このような事業環境のもと、当社グループは「誰もが安心して暮らせる社会」の実現を目指し、不動産賃貸管理における様々な課題に対応するソリューションサービスを提供しております。家賃保証に加え、入居者の設備トラブルや近隣トラブルに対応する付帯サービスを展開し、安心して住み続けられる環境をサポートしております。さらに、住居用物件だけでなく、事業用物件への事業展開も強化し、テナントや不動産オーナーへの支援を一層強化しております。
当連結会計年度における家賃債務保証事業では、既存代理店の利用拡大、新規代理店の獲得、営業人員の増強などにより、新規契約件数は、135,831件(前年同期比4.5%増)となりました。特に事業用保証サービスについては、専門部署を設立し、大型商業施設や飲食店を扱う専門仲介会社との連携を強化することで、新規契約件数は、9,726件(前年同期比13.3%増)となり、初回保証料金額に占める割合は22.8%(前年同期比3.0pt増)へと拡大いたしました。また、事業用保証サービスに係る保証料の平均単価も13,646円の上昇となっております。
自主管理オーナー市場において、一棟所有オーナーや複数物件を所有する大規模オーナーが直面する家賃滞納、設備の不具合、近隣トラブルといった様々な課題に対し、オーナーに代わって入居者対応を行う多様な代行サービスを提供しております。
これにより、オーナーの煩雑な業務負担を軽減し、円滑な運営をサポートしております。また、当社サービスの認知拡大を図るため、YouTubeを活用した情報発信をはじめ、利用促進を目的とした各種イベントへの参加、大家団体向けの定期的な講演・セミナーの開催など、多角的なアプローチを展開しております。これらの施策の結果、2025年1月末時点のオーナー向け賃貸管理システムの利用者数は10,289人となり、前年同月末比24.6%増と順調に成長しております。
当社は養育費保証を通じて、ひとり親家庭を支援し、「こどもの未来を守る」ことを目指しております。最近は「離婚後のパパママと考える子どもの養育費座談会」や湘南ベルマーレフットサルクラブとの協業イベントを実施するなど、社会全体で養育費の課題に対する理解を深める取り組みを積極的に行っております。
2024年9月に子会社化したコールセンターを運営する株式会社プロフィットセンターと事業基盤の強化を目的に、人材交流や管理機能の統合を進めております。今後は、事業拠点の統合を実施し、さらに連携を深めるとともに、コールセンター運営のノウハウを融合させてまいります。これにより、入居者、不動産管理会社、自主管理家主向けに新たな付加価値サービスを提供し、企業価値の向上を目指してまいります。
売上原価においては、貸倒引当金繰入額は1,979,016千円(前年同期比25.5%減)、訴訟・処分費用は1,206,086千円(前年同期比16.9%増)となりました。貸倒引当金繰入額の減少は、2024年2月の基幹システム入れ替えにより、求償債権データの精緻な分析・管理が可能となり、求償債権の性質の再識別を実施いたしました。また、2024年11月1日付で求償債権管理部門を再編し、回収強化に向けた体制を構築いたしました。こうした債権管理の環境変化を踏まえ、求償債権に係る貸倒引当金の会計上の見積り方法の変更を実施いたしました。具体的には、家賃債務保証における顧客管理、債権管理、資産保全の考え方に基づき、債権単位でのリスク管理から、債務者の契約単位ごとのリスク管理へと変更いたしました。また、滞納月数や回収不能の兆候に応じて債権を分類し、一定の評価を行う仕組みを導入いたしました。
販売費及び一般管理費は、新家賃保証システムの稼働に伴う租税公課の一時費用や減価償却費、保証DXシステムへのシステム投資により業務委託費などが発生したことで6,084,202千円(前年同期比13.7%増)となりました。
営業外収益においては、債権回収体制強化を進めた結果、損失済債権の回収が進み、償却債権取立益が256,933千円(前年同期比62.0%増)となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は12,157,323千円(前年同期比8.3%増)、EBITDAは2,178,773千円(前年同期比66.4%増)、営業利益は1,303,171千円(前年同期比65.6%増)、経常利益は1,564,333千円(前年同期比62.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は602,467千円(前年同期比0.4%減)となりました。
なお、販売費及び一般管理費にのれん償却額291,210千円を計上しております。
※ 当社グループの報告セグメントは家賃債務保証事業のみであり、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメントごとに記載しておりません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ721,478千円減少し、2,982,412千円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べて1,126,874千円収入が減少し、13,660千円の収入となりました。これは主に、求償債権の増加額1,541,775千円、法人税等の支払額663,214千円、未収入金の増加額438,009千円等の減少要因があった一方、税金等調整前当期純利益1,079,474千円、減損損失457,542千円、預り金の増加額324,042千円、のれん償却額291,210千円、減価償却費239,548千円等の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べて322,818千円支出が増加し、334,067千円の支出となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出220,614千円、無形固定資産の取得による支出72,642千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ86,348千円支出が増加し、401,071千円の支出となりました。これは主に、配当金の支払額301,327千円、自己株式の取得による支出77,460千円、長期借入の返済による支出61,201千円等があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
受注活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループの報告セグメントは家賃債務保証事業のみであり、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、売上科目別に記載しております。
売上科目 |
当連結会計年度 (自 2024年2月1日 至 2025年1月31日) |
前年同期比(%) |
初回保証料(千円) |
6,063,148 |
107.2 |
継続保証料(千円) |
5,873,795 |
107.5 |
その他売上(千円) |
220,378 |
211.0 |
合計 (千円) |
12,157,323 |
108.3 |
(注)1.その他売上は、主にシステム事業売上、不動産事業売上及びコールセンター事業売上であります。
2.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債の残高及び収益・費用の金額に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績や現在の状況並びに現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りを採用しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、既存代理店の利用拡大、新規代理店の獲得、事業用保証サービスの強化等により、12,157,323千円(前年同期比8.3%増)となりました。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、4,769,948千円(前年同期比6.2%減)となりました。これは主に、支払報酬が141,003千円増加した一方で、貸倒引当金繰入額が676,657千円減少したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は、7,387,374千円(前年同期比20.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、6,084,202千円(前年同期比13.7%増)となりました。これは主に、給与及び手当が18,970千円減少した一方で、租税公課が151,454千円、業務委託費が105,040千円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、1,303,171千円(前年同期比65.6%増)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、主に償却債権取立益256,933千円の発生により、266,634千円となりました。また、営業外費用は5,472千円となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、1,564,333千円(前年同期比62.0%増)となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、2,100千円となりました。また、特別損失は、主に減損損失457,542千円の発生により、486,958千円となりました。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、1,079,474千円(前年同期比10.1%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計477,007千円を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、602,467千円(前年同期比0.4%減)となりました。
b.財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ997,215千円増加の15,774,102千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,510,047千円増加の9,155,079千円となりました。これは主に、現金及び預金が716,278千円減少した一方で、求償債権が1,541,775千円、未収入金が438,229千円、売掛金が161,237千円増加し、貸倒引当金が29,603千円減少したことによるものであります。このうち、求償債権の増加には貸倒引当金の会計上の見積り方法の変更による増加420,379千円を含んでおります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ512,832千円減少の6,619,023千円となりました。これは主に、ソフトウエアが702,049千円、繰延税金資産が180,985千円増加した一方で、ソフトウエア仮勘定が1,033,663千円、のれんが398,958千円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ715,285千円増加の8,256,963千円となりました。これは主に、買掛金が54,254千円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)が21,065千円減少した一方で、預り金が326,325千円、前受金が173,808千円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ281,929千円増加の7,517,139千円となりました。これは主に、利益剰余金が剰余金の配当により301,670千円減少し、自己株式を77,267千円取得した一方で、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により602,467千円増加したことによるものであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(財務政策)
当社グループが営む家賃債務保証事業における資金需要の主なものは、代位弁済請求に対応する運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用及び設備資金があります。
これらの資金需要に対し、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。また、運転資金、営業活動費用及び設備資金は主に自己資金で賄っております。
d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
e.主要な経営指標の状況
当社グループの経営成績に影響を与える主要な経営指標として代理店社数及び保有契約件数があり、その増加を図ってきた結果、継続保証料が増加しております。それぞれの経営指標に対する当社グループの取組み及び初回保証料・継続保証料を含む経営指標の推移は以下のとおりとなっております。
(新規代理店獲得社数及び代理店社数)
当社グループは連帯保証を求める不動産管理会社等のニーズに応え新規代理店を増やしてまいりました。近年の傾向として、連帯保証を依頼する保証人がいない入居希望者や、連帯保証を第三者に依頼したくない入居希望者、保証人による連帯保証のみでは不安に感じる賃貸人や不動産管理会社等が増加していること、また、2020年4月の民法改正等の影響により、家賃債務保証に対するニーズは高まっていると考えております。こうした状況を踏まえ、当社グループは、新規契約の拡大を図るべく未提携不動産管理会社等に対する代理店契約締結に向けたアプローチを継続しており、最近3年間の新規代理店獲得社数及び代理店社数の推移は以下のとおり推移しております。
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(単位:社) |
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2023年1月期 |
2024年1月期 |
2025年1月期 |
新規代理店獲得社数 |
1,008 |
1,149 |
1,050 |
代理店社数合計 |
11,890 |
13,039 |
14,089 |
(新規契約申込件数及び保有契約件数)
当社グループは、代理店社数の増加に取組むとともに既存不動産管理会社等に対する利用促進のための提案等を継続し、賃貸人や不動産管理会社等のニーズに沿った商品・サービスを提供することにより、保有契約件数の増加を図っております。この取組みの結果、新規契約申込件数及び保有契約件数の最近3年間の推移は、以下のとおり推移しております。
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(単位:件) |
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2023年1月期 |
2024年1月期 |
2025年1月期 |
新規契約申込件数 |
165,265 |
188,471 |
207,410 |
保有契約件数 |
586,476 |
620,709 |
645,624 |
(初回保証料及び継続保証料)
当社グループは、初回保証料に加え継続保証料も受領するストック型ビジネスであることを特徴としており、これら初回保証料及び継続保証料を増加させていくため、代理店数の増加、保有契約件数の増加を図っております。その結果、最近3年間の初回保証料及び継続保証料は、以下のとおり推移しております。
(単位:千円)
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2023年1月期 |
2024年1月期 |
2025年1月期 |
初回保証料 |
4,996,338 |
5,654,358 |
6,063,148 |
継続保証料 |
5,237,749 |
5,465,268 |
5,873,795 |
f.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因についての詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
当社は、2024年9月17日開催の取締役会において、株式会社プロフィットセンターの発行する全株式を取得し、子会社化することを決議いたしました。これに基づき、同日付で株式譲渡契約を締結し、2024年9月18日付で全株式を取得し、同社を連結子会社といたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。