第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、テクノロジーを活用することにより、価値ある製品を市場に提供し、顧客の満足を得る一方で、適正に得られた利益を株主と従業員に還元し、グローバル化の推進と企業価値を高める経営を継続することで全世界の人々に貢献してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、安定的経営を重視し、「企業体質を強化するために内部留保を充実し、経営基盤の強化をはかる」ことを経営方針の一つとして掲げ、株主資本の充実を図ってまいりました。

こうした考えに基づき、当社グループが目指す経営指標としては、自己資本比率80%以上(当期実績80.4%)、売上高経常利益率3%以上(当期実績△11.8%)を目標として、その達成に努めております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の見通しといたしましては、中東やウクライナをはじめとした国際政治情勢の不安定化に加え、米国の保護主義的な貿易政策、エネルギーや資源価格の変動、さらに不安定な為替変動など、世界経済および日本経済の先行きについては予測が大変困難な状況となっております。

当社グループを取り巻く事業環境も中国市場の回復遅れ、ならびに熾烈なグローバル競争も併せて、国内外において企業間競争、価格競争は一段と厳しくなると予想されます。

このような事業環境の中で、EV、情報通信、産業機器、医療機器、省エネ・環境分野における国内外市場での新規開拓に向け、中国・香港・欧州営業とともに販売拡大を図りながら、海外生産工場の継続的な品質改善や経費削減に向けた取り組みを推進し利益重視の体制を強化してまいります。重点課題として以下の3点に取り組みます。

① EV等の電池管理システム・車内通信システム、RFID、通信基地局、データ・センター、

  電源・半導体製造装置・産業用工作機械、医療機器等を主体とする新規受注の獲得

② 原価低減に向けた品質改善と製造設備刷新、省力化、自動化、DXの推進

③ 高信頼性、高効率化、小型・高周波化を目的とした材質開発の推進

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティへの取り組みは、「環境方針」及び環境目標を設定して、2004年11月に環境国際規格ISO14001を認証取得しており、ISO14001の要求事項に適合する環境マネジメントシステムを構築し、維持管理するとともに、順守義務を満たし、環境パフォーマンスの向上に向け継続的な改善活動を行っております。

当社の環境方針及び環境目標は以下のとおりです。

当社本社工場は、豊かな自然との共生を図りながら、活力ある環境保全の推進を経営上の重要課題と位置づけ環境目的及び目標を設定し、定期的見直しを行い、地球・地域社会への環境保全及び生態系保護を積極的に推進するとともに、継続的な環境改善を実施します。

環境目標としては、「汚染防止」、「廃棄物の低減」、「地球環境負荷の軽減」の3項目としております。

また、職場環境においては、担当役員を委員長とする「安全衛生委員会」を設け、年度計画の策定や定期的な社内パトロールを実施し、職場環境の保全に向けた活動を行い、取締役会は、定期的に活動報告を受け、監督を行っておりますが、今後、さらに経営戦略・経営課題との整合性を意識した情報の開示ができるよう取り組んでまいります。また、BCP・危機管理の強化など総合的に対応を図りつつ企業活動としての人権の尊重や従業員の健康・労働環境への配慮や公正、適切な処遇などを取り組み、CSR を配慮しながら持続可能な社会への貢献を行ってまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

 

(1) ガバナンス

当社のコーポレート・ガバナンス体制は「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりで、サステナビリティ関連のリスク等に対するガバナンス体制についても、この体制のもとで運営しており、取締役会を最終的な監督の責任と権限を有する機関としております。また、リスクの詳細につきましても、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(2) 人的資本に関する戦略

(人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備に関する方針)

当社の人事考課制度は、性別、年齢、国籍等の属性によらない評価基準に基づき、個人の一定期間の業績成果及び行動・プロセス等を評価し、能力開発の適正化を図るとともに、人事管理の公正、かつ民主的運営を促進して、社員の労働意欲の高揚、経営能率の向上を図ることを目的としております。人材育成については、職位・職責に応じた教育機会を設けており、部門及び社員のニーズに合わせた教育機会を提供しております。

 

(3) リスク管理

当社グループは、リスクの識別、管理に関する「リスク管理規程」を定めており、リスクの防止及び会社損失の最小化を図ることを目的としております。突発的なリスクに対し、全社的な対応が重要である場合、社長をリスク管理統括責任者とする緊急事態対応体制を取るものとし、また、リスク管理の全社的推進とリスク管理に必要な情報の共有化を図るため、「リスク管理委員会」を置くものとしております。

 

(4) 指標及び目標

当社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等で特に制限は設けておらず、多様性の確保に取り組んでおります。中長期的な人材育成方針と社内環境整備方針については検討を進めてまいります。

現時点におきましては、女性管理職は1名でありますが、育児休業規程や積立有給休暇取扱規程により育児に関する福利厚生を規定しており、各種研修への女性の参加も推進しておりますので、今後、女性の活躍・登用により女性比率は向上していくものと期待しております。

今後、目標とする登用比率については、20%として現状より増やし、多様性確保を推進してまいります。 

 

3 【事業等のリスク】

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経済情勢及び景気動向について

当社グループの主な販売先は、日本国内及び東アジアであり、その地域の経済情勢や製品需要動向による販売減少等により、当社グループの財政状況及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替変動について

為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債の日本円換算額に影響を与える可能性があります。また、外貨建で取引されている製品の価格及び売上高等にも影響があり、当社グループの財政状況及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 販売価格について

当社グループが事業展開している電子部品業界は激しい価格競争に直面しております。先進技術の成果を反映させ、顧客ニーズに対応した製品をタイムリーに開発し、海外生産により製造コストを低減して有利な価格決定をすることに努めておりますが、これをもってしても対抗しがたい事態が生じる場合には、当社グループの財政状況及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 新素材及び製品開発投資について

当社グループは、成長性の確保を目的として、積極的に新素材及び製品開発のため必要な先行投資を行っております。先行投資に応じた結果、収益を確実に予測することは困難であり、需要が予測に比べて低迷する可能性を含んでおります。そのため、一定期間内で投資に応じた成果、収益が上げられなかった場合には、当社グループの財政状況及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 原材料価格について

当社グループが提供する製品の原材料の主なものは酸化鉄並びに非鉄金属であります。非鉄金属は国際取引相場に影響を受け、近年としては上昇傾向にあります。当社グループでは、徹底したコストダウンにより極力吸収してまいりますが、当社グループの財政状況及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 保有有価証券について

連結貸借対照表に計上されている投資有価証券については、全て当社保有の有価証券であります。なお、これらの有価証券については保有意義や資産の健全化等を考慮しながら随時見直しを行っております。

また、市場価格のある有価証券については今後の経済環境や企業収益の動向により、時価が変動し、市場価格のない有価証券については、当該株式の発行会社の財政状況が変動することにより、当社グループの財政状況及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 減損会計について

当社グループは、事業用不動産として複数の土地及び建物を所有しております。固定資産の減損に係る会計基準及び適用指針を適用し、所有する固定資産に減損損失が発生した場合には、当社グループの財政状況及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害や停電等について

当社グループは、大規模な自然災害や長時間にわたる停電により、国内外の製造拠点及び製造体制が深刻な被害を被った場合、販売活動に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 生産体制について

当社グループの提供する製品は日本国内でも生産しておりますが、主な生産場所は中国の子会社並びに委託先であります。中国政府による法律、税制、規則等の変更や地方政府による最低賃金の改定により、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、イスラエルおよび周辺国における紛争が勃発して不安定な政治情勢となる中、個人消費が堅調な米国を除き、世界的に景気が低迷しました。とりわけ中国の不動産不況に起因する景気減速は大きく影響を及ぼし、先行き不透明感が広がりました。日本経済においては、世界経済の失速による影響で需要が低迷し、エネルギー価格や各種原材料価格の高騰ならびに物価上昇がさらに進行するなど景気回復の見通しが厳しい状況となりました。

このような市場環境の中で当社グループは、フェライトコアならびにコイルトランス製品の製造原価低減と品質改善に取り組み、世界競争に打ち勝つことのできる高性能で高品質の製品を生産すべく活動を続けてまいりました。

その結果、当連結会計年度において、フェライトコア販売は、中国市場においては、顧客の在庫調整が解消に向かいましたが、需要の回復が伸び悩みました。日本市場においては産業機器関連、工作機械関連、半導体製造装置関連において顧客の在庫調整が長引き、また、需要低迷により低調に推移しました。コイルトランス販売も産業機器関連ならびに半導体製造装置関連が伸び悩み、売上高は14億2千1百万円(前期比4.7%減)となりました。損益面では、原価率の改善、ならびに経費等の削減に努めたものの、営業損失は1億7千1百万円(前期は2千7百万円の営業損失)となりました。経常損失は1億6千7百万円(前期は2千3百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は1億7千1百万円(前期は3千3百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

セグメント別の業績では、電子部品材料事業は前段の記載内容により、当事業の売上高は13億5千6百万円(前期比4.9%減少)となり、セグメント損失は2億1千7百万円(前期は7千4百万円のセグメント損失)となりました。また、不動産賃貸事業の売上高は6千5百万円(前期比0.0%減少)となり、セグメント利益は4千6百万円(前期比1.7%減少)となりました。

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計度末と比べ8千8百万円増加し、47億8千5百万円となりました。

当連結会計年度末における負債は、前連結会計度末と比べ2千1百万円増加し、9億3千8百万円となりました。

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計度末と比べ6千6百万円増加し、38億4千7百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7千万円減少し、12億4千8百万円(前期は13億1千8百万円)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって減少した資金は、1億9百万円(前期は7千7百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失の増加及び売上債権の増加によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によって減少した資金は、1億1千8百万円(前期は4千万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によって増加した資金は、7千8百万円(前期は1億7千7百万円の増加)となりました。これは主に、自己株式の処分による収入によるものであります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当社グループ(当社及び連結子会社)の電子部品材料事業の生産、受注及び販売の状況については、製品別に記載しております。なお、不動産賃貸事業は生産実績には含まれておりません。

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

 

区分

金額(千円)

前年同期比(%)

電子部品材料

 

 

 フェライトコア

1,099,035

103.1

 コイル・トランス

213,921

72.1

 その他

127

合計

1,313,084

96.4

 

(注) 金額は、販売価格で表示しております。

 

(2) 受注状況

当社グループ(当社及び連結子会社)の電子部品材料事業の生産、受注及び販売の状況については、製品別に記載しております。なお、不動産賃貸事業は受注状況には含まれておりません。

当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。

 

区分

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

電子部品材料

 

 

 

 

 フェライトコア

1,131,385

101.2

91,492

96.1

 コイル・トランス

216,340

76.6

10,439

130.2

 その他

7,734

126.3

合計

1,355,460

96.4

101,932

98.8

 

(注) 金額は、販売価格で表示しております。

 

(3) 販売実績

当社グループ(当社及び連結子会社)の電子部品材料事業の生産、受注及び販売の状況については、製品別に記載しており、また、当社の国内不動産の有効活用は主要な収益源であるため、不動産賃貸収入は販売実績に含めております。

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

区分

金額(千円)

前年同期比(%)

電子部品材料

 

 

 フェライトコア

1,135,083

100.9

 コイル・トランス

213,921

72.1

 その他

7,734

126.2

電子部品材料計

1,356,739

95.1

不動産賃貸

65,189

100.0

合計

1,421,929

95.2

 

(注) 金額は、販売価格で表示しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末における資産、負債の金額、及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

この連結財務諸表の作成に当たりまして、過去の実績や法制度の変更など様々な要因に基づき、見積り及び判断をおこなっております。実際の結果は、見積り特有の不確定要素が内在するため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(2) 財政状態及び経営成績の状況

(資産の部)

当連結会計年度末の資産の部合計は、47億8千5百万円(前期末は46億9千7百万円)となり、8千8百万円増加しました。

流動資産は、25億7千2百万円(前期末は25億8千3百万円)となり、前期末に比べ1千1百万円減少しました。その主な要因は、現金及び預金の減少によるものであります。

固定資産は、22億1千3百万円(前期末は21億1千4百万円)となり、前期末に比べ9千9百万円増加しました。その主な要因は、建物及び構築物の増加、機械装置及び運搬具の増加によるものであります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末の負債の部合計は、9億3千8百万円(前期末は9億1千7百万円)となり、2千1百万円増加しました。

流動負債は、2億1千6百万円(前期末は2億2百万円)となり、前期末に比べ1千4百万円増加しました。その主な要因は、支払手形及び買掛金の増加、及び未払費用の増加によるものであります。

固定負債は、7億2千2百万円(前期末は7億1千5百万円)となり、前期末に比べ7百万円増加しました。その主な要因は、役員退職慰労引当金の増加によるものであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産の部合計は、38億4千7百万円(前期末は37億8千万円)となり、6千6百万円増加しました。その主な要因は、為替換算調整勘定の増加、及び自己株式の減少によるものであります。

 

(売上高)

当連結会計年度における売上高の概況は、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(経営成績等の状況の概要)(1)業績」をご参照ください。

 

(営業利益)

売上原価は、原価率の改善、経費等の削減に努めたものの、11億3千8百万円(前期は10億8千2百万円)となりました。また、販売費及び一般管理費は、4億5千4百万円(前期は4億3千7百万円)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の営業損失は、1億7千1百万円(前期は2千7百万円の営業損失)となりました。

 

(経常利益)

営業外収益は、受取利息及びスクラップ売却益、金型売却益の発生により3千2百万円(前期は1千9百万円)となりました。

営業外費用は、撤去費用の発生及び為替差損等の発生により2千8百万円(前期は1千5百万円)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経常損失は、1億6千7百万円(前期は2千3百万円の経常損失)となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は1億6千7百万円(前期は2千4百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、法人税、住民税及び事業税の発生により、1億7千1百万円(前期は3千3百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金及び設備投資等の長期資金の調達につきましては、自己資本を基本としております。

また、当社は前連結会計年度において、2023年5月17日に行使価額修正条項付新株予約権を発行し、当連結会計年度においては当該新株予約権が行使されたことにより、8千5百万円の資金調達を行いました。

 

(4) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な市場情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社グループを取り巻く事業環境はグローバル経済の変動に直接影響を受けるという図式に変りはなく、引き続き厳しい状況が予想されます。従って、激化する一方のグローバル競争に負ける事なく、当社グループが進化し成長して行く事が最重要課題であると認識いたしております。

その様な認識に基づき、当社グループといたしましては、研究開発、特に先端的フェライト材質開発及びコイル・トランスの設計開発を強化推進すると同時に、中国工場において品質安定と効率生産を推進するとともに、自動化・省力化並びに徹底した仕入材料や経費の見直しによりコストを削減し、利益重視の生産体制を構築してまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

A.研究開発活動の体制

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発活動は主として当社総合技術部において行っております。その主な内容は、フェライト材質開発とフェライトコアの設計・試作及びコイル・トランスの設計開発・試作です。

フェライトに関しては、新材質開発、既存材質の改良を行い、市場ニーズに即した優れた材質を提供してフェライトコアの最適設計に役立っております。EV用として2G5シリーズ、並びに2H4シリーズ、また半導体製造装置用として新規開発したB2Cシリーズ筆頭に各周波数に応じた各種材質を多数採用頂いております。更に世界トップクラスである2Nシリーズは車載・医療・通信・産機・セキュリティーの多分野で、6NシリーズはRFID等の分野で採用頂いております。

コイル・トランスの設計開発に関しては、回路の高密度化・高集積化に伴い小型・効率化に向け、自社フェライトと融合させ研究開発を行っております。

顧客要求及び市場ニーズ対応へのスピードアップを図るべく、研究開発要員の強化並びに試験設備・機器を積極的に導入し、より効果的な研究開発が出来る体制をとっております。

 

B.今後の新製品、新技法について

EV、AI、RFID、IDC等の先端分野からIoT及び自動運転への応用、並びに電子機器の小型化・高機能化・高周波化に伴う高精度・高性能・広帯域温度特性・省エネ対応として更なる低損失・高飽和磁束密度・高透磁率フェライトコアの開発・改良等を進めております。特に電源トランスは次世代ワイドバンドギャップ半導体の採用による高周波化が加速している状況であり、将来の主流となる可能性を秘めている事より開発に集中しております。また製造方法におきましても、フェライトコアの成型技術・焼成技術・精密加工技術の高度化、低コストの製品設計、試作期間の短縮等を図り顧客の開発スピードに寄与いたしております。

更に、これらの高性能フェライトコアを使用した応用製品である車載用コンバータートランス、トランスポンダーコイル、センサーコイル、医療用電源トランス、産機用センサーコイル、各種SMDトランスの開発等、製品領域の拡大に取り組んでおります。また、EVの電池管理システム向、半導体製造装置のパワーアンプ向、RFID(自動認証)、WPT(非接触充電)用のフェライト製品を開発しており、今後は更に顧客と共同した開発案件を増加させて参ります。

なお、当連結会計年度に支出した研究開発費は、46百万円であります。

また、当社グループの研究開発活動は電子部品材料事業に関するものであります。