当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.経営方針
当社グループは経営理念として、“「独創的」な製品作りに情熱を持って「挑戦」し、会社と社員の永遠の幸福を目指す”を掲げ、1963年の創業以来、技術を原点としたハイテクに情熱を傾ける技術集団として、高い信頼性を得て社会の発展に努力してまいりました。今後も、高付加価値製品の技術開発に注力し、既存市場のみならず、新規市場の開拓を続けてまいる所存であります。この経営理念実現のために、以下のことを当社グループ一丸となって推進してまいります。
(1) 世界一の技術集団として永遠の成長を目指す。
(2) 「人」を大切にし、活躍の場を提供する。
(3) 地域に根ざした企業活動を通じ、経済社会に貢献する。
2.目標とする経営指標
当社グループは本業に加え為替変動等、営業外のリスクも考慮した経営管理を行うことを目的に売上高経常利益率を経営指標としております。コア技術の深掘り、横展開による新製品開発、新市場の開拓及び低コスト化の推進により、常に安定的な収益と永続的成長を目指してまいります。
3.経営環境
当社グループの経営環境は次のとおりであります。
(電子機器部品製造装置)
プリント基板分野では、当社グループはプリント基板の製造工程における研磨、表面処理を行う装置を販売しております。当連結会計年度はスマートフォンやパソコン等の民生機器向けの半導体需要に減速感が出ており、パッケージ基板の需要が減少し同分野での設備投資が減少したことなどから前連結会計年度と比較し売上高は減少しました。
液晶関連分野におきましては、当社グループは塗布のスピード・均一性に優れた大型液晶パネル向けのインクジェットコーターを販売しております。当連結会計年度におきましては、液晶パネル需要の大幅な回復は見られないものの、新規参入需要を取り込み、液晶パネル製造装置の販売が増加したことなどから、売上高は前連結会計年度を上回りました。長期的には液晶パネル需要は縮小し、大型液晶パネル向けの投資も減少していくものと予想しております。
(ディスプレイ及び電子部品)
自動車向け印刷製品は、顧客の生産調整が続き前連結会計年度と比較して売上高は減少いたしました。
工作機械及び産業用機械分野については、当社グループは機械の操作パネルを供給しております。内部基板、表示シートを一貫生産し顧客ニーズに的確に対応することを強みとしております。当連結会計年度におきましては、顧客の生産調整の影響を受け売上高は前連結会計年度と比較し減少しております。
連結子会社であるJPN,INC.はフィリピンでシルク・ラベル印刷製品を生産しております。当連結会計年度におきましては新規顧客開拓を進めたことにより売上高は前連結会計年度並みとなりましたが、利益面では原材料価格上昇等の影響から前連結会計年度を下回りました。
電子部品実装を主力とする上海賽路客電子有限公司においても中国経済の減速が続き電子部品実装需要が減少していることから、前連結会計年度と比較して減収減益となりました。
今後も中国経済全般の動向、アメリカの政策動向に起因する減産リスクに留意する必要があります。
4.経営戦略及び対処すべき課題
このような経営環境のもと、当社グループが認識している対処すべき課題及び対応策は次のとおりであります。
(1) 高収益の技術集団を目指す
当社グループは創業以来、顧客ニーズに即した新製品の開発を行うとともに新規顧客の開拓に取り組んでまいりました。今後も顧客に対して、高い生産性の装置を提供すること、オンデマンドに製品提供を行うことが、当社グループの安定と成長に結びつくものであると考えております。そのために、成長見込みの高い分野に対しての開発力強化、不要な在庫の削減、着実なコストダウンの実現など、製造業の原点回帰に注力いたします。また、変化が速くグローバルな市場環境において成長するため、今後も適時・適材・適所をボーダレスに実現する人事制度の再構築を進める所存であります。
(2) 財務体質の強化
機動的な経営を実現するために、財務的基盤を安定させることが重要であると考え、連結キャッシュ・フロー改善を推進してまいります。業務効率改善推進による在庫の削減、債権回収の早期化、歩留りの向上による短納期・低コスト化に挑戦し続けてまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上の課題
① さらなる事業の安定化と特定事業領域への依存からの転換
当連結会計年度において、自動車向け印刷製品は顧客の生産調整の影響を受け売上高は減少いたしました。
市場規模の大きい自動車業界において同事業を安定的に拡張していくため、当社の印刷技術を応用して加飾部品などの意匠性の高い車載部品を提案できるよう取り組みを続けております。
液晶関連分野におきましては当連結会計年度においては液晶パネル需要の大幅な回復は見られないものの、新規参入需要を取り込み、液晶パネル製造装置の販売が増加したことなどから売上高は増加しました。一方で長期的な視野に立てば今後液晶パネル需要は減少していくことが想定され、環境変化に対応していく必要があります。
インクジェット塗布技術は、環境負荷低減の観点から様々な分野から注目されております。当社グループの持つ塗布技術を液晶関連以外の市場においても展開できるよう取り組みを続けております。
② 仕入価格の高騰及び調達納期の長期化
原油価格の高騰等に起因して、原材料価格の高騰や仕入納期の長期化が続いております。当社グループでは各種製品の販売価格の見直し、及び購買先の多様化、まとめ買いによる在庫の確保等の対策を講じております。
③ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みについて
上場企業である当社にとって「企業価値の向上」は重要課題であり、東京証券取引所からも「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請されています。
当社グループのPBRは近年1倍割れが続いており、収益性、IR活動、株主還元を課題として認識し当連結会計年度においては以下の取り組みを行ってまいりました。
(収益性の向上)
・営業所の統廃合による販売体制の効率化
・一部製品の生産を外部委託し生産体制を合理化
・成長分野への参入を目指した研究開発活動の継続
・人的資本経営の推進
(IR活動の拡充)
・個人株主様向けの当社工場見学会の制度化
・当社ホームページの刷新
(株主還元)
・配当金額の増額
・自己株式取得
※自己株式の取得は2025年3月14日開催の当社取締役会で決議いたしました。
当社グループは今後も積極的に「企業価値の向上」に取り組んでまいります。
当社グループは、事業活動を通じて持続可能な社会に貢献するとともに企業価値向上を目指していくことが重要であると考えております。気候変動が事業の持続的な成長へ影響を及ぼすとの認識から「気候変動」と、また企業の最大の資源は人であるとの認識から「人的資本」の2点をマテリアリティ(重要課題)として取り組みを進めております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社常務取締役所管の管理本部及びコンプライアンス委員会にて取り組み状況の審議、協議を行っております。審議、協議された重要課題は当社取締役会に報告され、当社取締役会が重要課題について監督を行います。
(2)戦略
① 気候変動
気候変動が当社グループの持続的な成長へ影響を及ぼすとの認識から環境配慮・脱炭素社会への取り組みを推進します。
② 人的資本
当社グループが持続的に成長する上で「人」が重要かつ不可欠であるとの認識から社員が最大限に能力を発揮できる職場環境の実現を整備します。
(3)リスク管理
当社管理本部、コンプライアンス委員会において以下の方針でリスク及び機会の管理に努めております。
① 気候変動
気候変動に伴う自然環境の変化は長期間に渡り当社グループの事業活動に大きな影響を与え、また、気候変動に関する情報開示要請の高まりに対応していくことが、企業評価低下のリスクを低減させ、企業評価を高める機会につながると考えております。関係する政策や法規制に留意しながら積極的な省エネルギー対応、情報開示を進めてまいります。
② 人的資本
必要な人材の確保、適切な育成をすることで事業停滞のリスクを低減し、企業価値を高める機会につながると考えております。従業員の適切な労働時間管理、健康増進を図ることなどでリスク低減を図ってまいります。
(4)指標及び目標
各マテリアリティへの具体的な取り組みは、当社グループすべての会社では行われておらず、当社グループにおける記載が困難であるため、提出会社である当社のものを記載しております。
① 気候変動
気候変動が事業活動の継続に重大な影響を与えるとの認識から再生可能エネルギーの利用推進、LED照明への切り替えなどの省エネルギーの実現に向けて努めております。
当該指標に関する具体的な目標設定はしておりませんが、温室効果ガスの排出量を管理し削減目標の策定に取り組んでいく方針であります。
当連結会計年度においては、当社内の管理整備を行いScope1、Scope2の排出量算定の体制を整えました。今後はScope1、Scope2の排出量を算定し現状を把握したのち、削減に向けた取り組みを検討してまいります。また、Scope3についても算定方法の検討を進めてまいります。
なお、当社は2024年12月に広島県発行のグリーンボンドへの投資を行い、広島県の環境負荷を軽減する施策に貢献しております。
Scope1:燃料使用などによって自社が直接排出した温室効果ガスの量
Scope2:自社に供給される電気の使用に伴って排出される温室効果ガスの量
Scope3:サプライチェーンにより排出される温室効果ガスの量
② 人的資本
企業の最大の資源は人であるとの認識から社員が安心、安全に働ける職場環境の実現を目指しております。
a.健康経営
当社の経営理念「会社と社員の永遠の幸福」を実現するために、2023年6月29日に「健康宣言」を行いました。社員一人ひとりが心身ともに健康でイキイキと働ける職場環境の整備を進め、取り組みの指標のひとつである認定制度に向けた活動を推進しております。
当連結会計年度において当社は、健康経営の取り組みを積極的に行っている企業として東京電子機械工業健康保険組合から健康優良企業「銀の認定」を取得しております。
b.短時間勤務制度、時間有休制度
当社は、育児や介護に携わる社員を支援するため短時間勤務制度を設けております。また、取得のしやすさや有給休暇の使い方の選択肢が広がる時間有休制度を設け、働きやすい職場環境の整備に取り組んでおります。
c.異動の自己申告制度
「人を大切にし、活躍の場を提供する」という経営理念のもと、当社では「自己申告制度」を利用し、適材適所の人員配置を社員の希望や能力、適性に基づいて行っております。制度を通して社員の自主性や意欲、新たな一面を発見することで組織全体が活性化し、社員と企業がともに成長することを実現してまいります。
d.人材の多様性確保
当社では人材の多様性の確保を含む人材の育成に関して以下の指標を用いております。
指標 |
実績(当事業年度) |
|
|
|
|
育児休業取得率(%) 女性 男性 |
100.0 |
50.0 |
(注)連結グループにおける記載が困難であるため、連結グループにおいて主要な事業を営む提出会社単体の記載としております。
当社は製造業であり社員は男性の比率が高いため、女性管理職比率は相対的に低くなります。また、賃金格差も男女の管理職の人数の差異が影響しております。職能等級や成果が同じであれば人事制度上性差による差異はありません。女性管理職比率、賃金格差の是正について具体的な数値目標は設定しておりませんが、女性社員のキャリア形成支援については働きやすい環境の整備(育児休暇、短時間勤務等)を進め、職場への復帰を容易にし、子育てをしながらも昇格、昇進を目指すことができるよう努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 新製品開発について
当社グループは、新製品開発にあたっては顧客要求・市場分野・開発製品を慎重に選択したうえで、効率的な研究開発活動に努めておりますが、将来のニーズに見合った新製品をタイムリーに開発することは容易ではありません。市場動向が当社の開発内容と異なる方向に向かった場合、当社の新製品の開発が遅れた場合には当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは開発部門を有し、同部門が市場環境の把握、技術的課題解決、新製品開発を効率的に行なうことでリスク低減に努めております。
(2) 固定資産の減損処理について
経営環境の変化に伴う経営成績の動向如何によっては、保有資産の将来キャッシュ・フロー等の算定見直しを行い、固定資産減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 資材調達について
当社グループは、生産活動にあたり、資材、部品その他サービス等の供給を適宜に調達しておりますが、急激な環境の変化等により供給が逼迫し、原材料価格が高騰したり、一時的に確保が困難となる可能性があります。その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、複数社を利用する購買先の多様化、事前のまとめ買いによる在庫の確保等を行いリスク分散に努めております。
(4) 退職給付債務について
当社グループの従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と相違した場合には、退職給付債務及び費用が増加し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害等について
当社グループは、開発・製造効率を高めるため、製造能力の大部分及び研究開発の大部分を広島県の本社工場周辺に集中させております。地震や台風などの自然災害によって、当社グループの生産・開発拠点等が甚大な被害を被る可能性があり、その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で保険を付保し損害軽減を図るとともに、定期的な設備点検、従業員の衛生管理等可能な範囲で予防措置を行っております。
(6) 輸出製品に係る入金条件について
当社グループでは、機械装置の輸出に関して、売上代金の一部は機械装置の据付検収後に入金される場合があり、据付検収が長引けば、売上代金の入金が遅延することがあります。その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、機械装置の据付工事の進捗管理を慎重に行い、早期に検収が完了するように努めております。
(7) 製品保証について
当社グループでは、電子機器部品製造装置については、品質不良あるいは製品不具合に対して、検収後一定期間の無償保証期間を設けております。製品保証に伴い発生する費用に対しては、過去の実績等に基づき期末時点で見積金額を計上しておりますが、新製品など従来とは異なる仕様の製品については、当該見積金額以上の保証費用が発生する可能性があります。その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、顧客とのコミュニケーションを密に行い、製品の瑕疵が発生しないよう徹底した品質管理に努めております。
(8) 有利子負債について
当社グループの、総資産に対する有利子負債残高の割合は下表のとおりとなっております。
|
前連結会計年度 (2024年1月31日) |
当連結会計年度 (2025年1月31日) |
有利子負債残高(百万円) |
3,672 |
2,008 |
総資産残高(百万円) |
16,681 |
15,700 |
有利子負債依存度(%) |
22.0 |
12.8 |
(注)1.有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)、リース債務の合計であります。
2.有利子負債依存度は、有利子負債残高を総資産残高で除した数値を記載しております。
当社グループの有利子負債依存度は上記のとおりであります。
このような状況のなか、金融政策の変化、当社の信用力の低下等により資金調達に制約を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、主要取引金融機関とのコミットメントライン契約及びタームローン契約に「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりの財務維持要件が付されております。これに抵触した場合には当該借入金の返済を求められ、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、今後も安定的な資金調達ができるよう取引金融機関と良好な関係を維持するとともに、さらなる関係強化に努めてまいります。
(9) 法規制リスク
当社グループは事業活動を行う上で環境関連、労務関連、会計基準や税法等の様々な法規制の適用を受けております。これらの法規制を遵守し従業員のコンプライアンス意識の向上にも努めておりますが、管理体制上の問題が発生する可能性は皆無ではなく、法令に反する場合は罰則が科されたり、当社グループの事業活動が制限されるなど、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社のリスク管理体制は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。また、社内体制も適時必要に応じて見直しをしております。
(10) 製造物責任について
当社グループは、厳格な品質管理のもとに製品の製造を行っておりますが、製品に重大な欠陥が発生しないという絶対的な保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、大規模な製造物責任賠償につながる事故が発生した場合、当社グループの製品の信頼性に重大な影響を与え、当該保険で十分にカバーできず多額の費用が発生することとなり、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは今後も品質向上に注力することでリスク低減に努めてまいります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、堅調な企業業績を背景にした雇用・所得環境の改善に加え、インバウンド需要の回復が持続したことなどから緩やかな回復が続きました。一方で、中東地域での紛争、ロシアによるウクライナ侵攻など不安定な海外情勢の長期化や、中国経済の停滞、不安定な為替相場、今後のアメリカの政策動向など、先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
当社グループにおきましては、プリント基板分野においては、スマートフォンやパソコン等の民生機器向けの半導体需要に減速感が出ており、パッケージ基板の需要が減少しております。液晶関連分野におきましても液晶パネルの大幅な需要回復は見られず、中国においても現地経済の停滞に伴い電子部品実装需要の調整局面が続いております。
このような環境のもと、当連結会計年度の売上高は148億21百万円(前連結会計年度比11.4%減)となり、営業利益は9億7百万円(前連結会計年度比42.6%減)、経常利益は11億9百万円(前連結会計年度比35.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億88百万円(前連結会計年度比28.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(電子機器部品製造装置)
プリント基板分野では、半導体向けパッケージ基板の需要減少に伴い同分野での設備投資が減少したことなどから前連結会計年度と比較し売上高は減少しました。
液晶関連分野におきましては、液晶パネル需要の大幅な回復は見られないものの、新規参入需要を取り込み、液晶パネル製造装置の販売が増加したことなどから、売上高は前連結会計年度を上回りました。
その結果、売上高は45億77百万円(前連結会計年度比1.5%減)、営業利益は6億47百万円(前連結会計年度比0.2%増)となりました。
(ディスプレイ及び電子部品)
自動車向け印刷製品及び工作機械並びに産業用機械向け操作パネルについては、顧客の生産調整が続き、売上高は前連結会計年度と比較し減少いたしました。
連結子会社におきましても、JPN,INC.は主要顧客の生産調整が続く中、新規顧客開拓を進めたことにより売上高は前連結会計年度並みとなりましたが、利益面では原材料価格上昇等の影響から前連結会計年度を下回りました。上海賽路客電子有限公司においても中国経済の減速が続き電子部品実装需要が減少していることから、前連結会計年度と比較して減収減益となりました。
その結果、売上高は102億33百万円(前連結会計年度比15.2%減)、営業利益は2億60百万円(前連結会計年度比72.1%減)となりました。
b.財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ9億81百万円減少の157億円となりました。
流動資産は、101億32百万円となり前連結会計年度末と比べ9億32百万円減少いたしました。これは現金及び預金が3億92百万円増加したものの、受取手形が7億38百万円、売掛金が3億42百万円、棚卸資産が2億72百万円それぞれ減少したことなどによるものであります。
固定資産は、55億67百万円となり前連結会計年度末と比べ49百万円減少いたしました。これは投資その他の資産合計が73百万円増加したものの、無形固定資産合計が86百万円、有形固定資産合計が36百万円それぞれ減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比べ20億33百万円減少の59億61百万円となりました。
流動負債は、38億24百万円となり前連結会計年度末と比べ16億26百万円減少いたしました。これは支払手形及び買掛金が2億2百万円、短期借入金が11億56百万円それぞれ減少したことなどによるものであります。
固定負債は、21億36百万円となり前連結会計年度末と比べ4億7百万円減少いたしました。これは長期借入金が4億21百万円減少したことなどによるものであります。
純資産は、97億38百万円となり前連結会計年度末と比べ10億52百万円増加いたしました。これは剰余金の配当を1億22百万円実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を7億88百万円計上し、利益剰余金が6億66百万円増加したこと、為替換算調整勘定が3億80百万円増加したことなどによるものであります。
この結果、自己資本比率は62.0%になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億2百万円増加し、23億29百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は22億92百万円(前連結会計年度比308.2%増加)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益11億3百万円、減価償却費6億41百万円、売上債権の減少額11億95百万円であり、主な減少要因は法人税等の支払額3億17百万円、仕入債務の減少額2億61百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6億26百万円(前連結会計年度比55.7%減少)となりました。主な増加要因は定期預金の払戻による収入25億47百万円であり、主な減少要因は定期預金の預入による支出27億16百万円、有形固定資産の取得による支出4億31百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は17億85百万円(前連結会計年度は1億22百万円の獲得)となりました。主な減少要因は短期借入金の純減額11億63百万円、長期借入金の返済による支出4億21百万円、配当金の支払額1億22百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
電子機器部品製造装置 |
2,837 |
87.8 |
ディスプレイ及び電子部品 |
8,428 |
88.1 |
その他 |
1 |
78.7 |
合計 |
11,267 |
88.0 |
(注) 金額は製造原価によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
電子機器部品製造装置 |
4,353 |
121.1 |
3,214 |
93.5 |
ディスプレイ及び電子部品 |
9,779 |
86.4 |
963 |
68.0 |
その他 |
9 |
86.9 |
- |
- |
合計 |
14,142 |
94.8 |
4,178 |
86.0 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
電子機器部品製造装置 |
4,577 |
98.5 |
ディスプレイ及び電子部品 |
10,233 |
84.8 |
その他 |
9 |
86.9 |
合計 |
14,821 |
88.6 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年2月1日 至 2024年1月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年2月1日 至 2025年1月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
SHANGHAI SUN-WA TECHNOS CO.,LTD. |
2,286 |
13.7 |
- |
- |
(注) 当連結会計年度のSHANGHAI SUN-WA TECHNOS CO.,LTD.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は148億21百万円(前連結会計年度比11.4%減)となりました。
当社では液晶関連分野において液晶パネル需要の大幅な回復は見られないものの、新規参入需要を取り込み、液晶パネル製造装置の販売が増加したことなどから、売上高が増加いたしました。一方でプリント基板分野では半導体向けパッケージ基板の需要減少に伴い同分野での設備投資が減少したこと、工作機械及び産業用機械向け操作パネルにおいても、顧客の生産調整が続きともに売上高が減少いたしました。当社全体ではプリント基板分野、工作機械及び産業用機械向け操作パネルの減収の影響が大きく、売上高は全社ベースで前連結会計年度の実績を下回りました。
連結子会社においてもJPN,INC.では主要顧客の生産調整が続く中、新規顧客開拓を進めたことにより売上高は前連結会計年度並みとなりましたが、上海賽路客電子有限公司では、中国経済の減速が続き電子部品実装需要が減少したことから前連結会計年度の実績を下回りました。当社及び上海賽路客電子有限公司が減収となったことを要因としてグループ全体でも売上高は前連結会計年度の実績を下回る結果となりました。
売上高が減少したことが主要因となり、営業利益は9億7百万円(前連結会計年度比42.6%減)、経常利益は11億9百万円(前連結会計年度比35.5%減)となりました。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、本業に加え為替変動等、営業外のリスクも考慮した経営管理を行うことを目的に売上高経常利益率を重要な経営指標ととらえ、その向上を目指して経営に取り組んでおります。
当連結会計年度における売上高経常利益率は売上高減少、原材料価格の上昇等を要因として営業利益率が悪化したことなどから7.5%となり、前連結会計年度比2.8ポイント減少いたしました。当社グループは、売上総利益率の改善や販売費及び一般管理費の削減など引き続き当該指標の向上に努めてまいります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(電子機器部品製造装置)
当セグメントの事業環境は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3.経営環境」に記載のとおりであります。
売上高は前連結会計年度比1.5%減の45億77百万円となりました。液晶関連分野で、新規参入需要を取り込み、液晶パネル製造装置の販売が増加したものの、プリント基板分野において半導体向けパッケージ基板の需要減少に伴い同分野での設備投資が減少しプリント基板製造装置の販売が減少したことなどからセグメント全体で売上高は前連結会計年度の実績を下回りました。営業利益は6億47百万円(前連結会計年度比0.2%増)となりました。セグメント全体で販売費及び一般管理費が減少したことなどが要因であります。
(ディスプレイ及び電子部品)
当セグメントの事業環境は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3.経営環境」に記載のとおりであります。
売上高は前連結会計年度比15.2%減の102億33百万円となりました。
当社において顧客の生産調整が続き工作機械及び産業用機械向けの操作パネルの販売が減少し、連結子会社の上海賽路客電子有限公司でも、中国経済の減速が続き電子部品実装需要が減少したことから売上高が前連結会計年度の実績を下回ったことなどが要因であります。
営業利益は2億60百万円(前連結会計年度比72.1%減)となりました。セグメント全体で売上高が減少したこと、原材料価格の上昇等から製造原価率が上昇したことなどが要因であります。
財政状態の分析は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要は主に運転資金需要と設備資金需要があります。
運転資金は、製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであり、設備資金は、生産設備の能力増強、合理化、更新のための必要資金であります。
これらの資金需要については自己資金及び金融機関からの借入金により資金調達しております。このうち、借入金による資金調達は当社において、極度額2,500百万円のコミットメントラインを含む総額4,600百万円のシンジケートローンを組成して調達しております。資金の流動性については現金及び現金同等物に加え、コミットメントラインを締結することで十分な流動性を確保しております。
なお、当連結会計年度末の借入金を含む有利子負債の残高は2,008百万円であります。
また、原材料価格の高騰等により先行きが不透明な中、不測の事態に対しては、コミットメントラインから追加資金を確保できる体制(当連結会計年度末未実行残高2,000百万円)を整えており、当面安定的な経営が可能な状態にあります。事業環境の急激な変化にも対応できるよう、引き続き、適時に必要資金を確保できる体制を維持してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) 販売に関する契約
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
㈱石井表記 (当社) |
㈱アマダ |
日本 |
湿式バリ取り機 |
販売権の許与 |
自 1996年12月11日 至 1998年12月10日 契約期間延長継続中 |
(2) シンジケートローン契約
当社は、2022年4月26日開催の取締役会決議に基づき、既存のシンジケートローンのリファイナンスを行い、当社グループの財政状態を安定化させ、運転資金を安定的かつ効率的に調達するために、以下のシンジケートローン契約を締結しております。
① シンジケートローン契約(タームローン契約)
1) 借入金額 2,100百万円
2) アレンジャー 株式会社もみじ銀行
3) ジョイントアレンジャー 株式会社三菱UFJ銀行
4) 借入先 株式会社もみじ銀行・株式会社三菱UFJ銀行・株式会社広島銀行
株式会社三井住友銀行
5) 契約締結日 2022年5月26日
6) 契約期間 2022年5月31日から2027年5月31日の5年間
7) 返済方法 2022年8月31日を初回とする3ヵ月毎の元金均等返済
8) 担保の有無 有:所有不動産に対する既存根抵当権3,456百万円(第一順位)
9) 財務維持要件 イ)各事業年度の末日における借入人の、連結及び単体の貸借対照表における純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期の末日における借入人の連結及び単体の貸借対照表における純資産の部の金額の75%以上にそれぞれ維持すること。
ロ)各事業年度にかかる連結及び単体の損益計算書上の経常損益に関して、それぞれ2期連続して経常損失としないこと。
10)借入残高 1,049百万円(当連結会計年度末現在)
② シンジケートローン契約(コミットメントライン契約)
1) 極度額 2,500百万円
2) アレンジャー 株式会社もみじ銀行
3) ジョイントアレンジャー 株式会社三菱UFJ銀行
4) 借入先 株式会社もみじ銀行・株式会社三菱UFJ銀行・株式会社広島銀行
株式会社三井住友銀行
5) 契約締結日 2022年5月26日
6) 借入期間 2024年5月31日から2025年5月31日の1年間
7) 返済方法 各基準貸付期間後の応答日に一括返済
8) 担保の有無 有:所有不動産に対する既存根抵当権3,456百万円(第一順位)
9) 財務維持要件 イ)各事業年度の末日における借入人の、連結及び単体の貸借対照表における純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期の末日における借入人の連結及び単体の貸借対照表における純資産の部の金額の75%以上にそれぞれ維持すること。
ロ)各事業年度にかかる連結及び単体の損益計算書上の経常損益に関して、それぞれ2期連続して経常損失としないこと。
10)借入残高 500百万円(当連結会計年度末現在)
当社グループは、技術革新の著しい経営環境において、企業の成長に研究開発活動が不可欠であることを認識し、既存市場における技術の深掘りを行うとともに、将来成長が期待できる新規分野への参入を目指し、半導体関連分野、自動車関連部品分野などの幅広い視野に立って研究開発活動を行ってまいりました。
当連結会計年度における試験研究費の総額は
(1) 電子機器部品製造装置
新規市場分野、既存市場分野の双方向での新製品投入を目指し、当社の主力製品である、インクジェットコーター、プリント基板及び自動車関連部品研磨装置における機能・価格共に競争力のある装置の開発に取組んでまいりました。
① インクジェットコーター
インクジェットの特徴である少液化や非接触印刷技術を用いて、配線形成、成膜、立体物への印刷などを半導体関連、エレクトロニクス関連、電子デバイス関連など有望な展開先に向けた研究開発を推進しております。
インクジェット塗布技術は、昨今のサステナビリティの観点から様々な分野から注目されております。
② プリント基板及び自動車関連部品研磨装置
プリント基板業界におきましてこれまでの細線化、薄膜化、高スループット化に高多層化を加えた顧客ニーズに対応すべく各ユニット製品の開発と改良を進めております。
需要の高まっているAIデータセンターやサーバー市場に使用される半導体関連部品やその他電子部品に、新しい研磨装置や専用研磨材を用いて提案の準備を進めております。
メッキ関連については高機能材料へのメッキ処理技術開発を行い製品ラインナップの拡充を進めております。
(2) ディスプレイ及び電子部品
さらなる事業の安定化を図るべく車載部品分野への展開を目標に置き、当社の印刷技術を活かした部品開発に取組んでまいりました。
① 車載部品分野
車載部品分野におきましては、当社の印刷技術を応用した自動車内装部品の開発を行い、加飾部品、ハードコート成形品など意匠性の高い特徴的な車載部品を提案することが可能となり、顧客ニーズに合わせた要素技術を開発しております。
同技術に関しましては、車載部品に限らず応用展開可能なものであり、一般産業製品に向けての製品開発も推進しております。
② 表示器分野
社会における表示機のニーズの高まりとともに、顧客ニーズの多様化が顕著になりつつあります。耐環境性の高い屋外でも使用できる製品を開発し、機能の強化及び価格ラインナップの拡充を推進しております。