第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループの経営の基本方針は、「誠実を旨とし、テクノロジーの可能性を切り拓く挑戦者として、顧客、生活者、社会の進化と共存に寄与する。」と定義した企業理念(ミッション)の実現に向け、事業活動を推進することです。企業理念はさらに、ビジョンとして当社グループが向かうべき方向を、行動指針として当社グループが大切にすべき価値観をそれぞれ定めており、従業員の日々の行動が企業理念全体の実現に繋がるよう、目標と戦略を経営計画に落とし込むとともに、従業員への浸透活動を積極的に実施しております。

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(2)事業環境認識と中長期的な会社の経営戦略

 変化が激しく将来が予測しづらい時代ではあるものの、デジタル社会の形成に向けた取り組みの加速、サステナブルな社会の実現に向けた企業の意識や責任の変化、国内の人口減少に伴う労働環境の変化、テクノロジーのさらなる進化の4点は、今後も大きく変わることのないメガトレンドであり、持続可能性と成長性の両立を目指す社会と企業の変革ニーズはさらに拡大するものと考えております。

 

 当社グループは、このような変化の中で成長機会を確実に捉えるためには、長期の視点をグループで共有することが必須との認識から、2030年に向けた長期経営ビジョン「Vision 2030」を策定するに至り、2022年2月にこれを発表いたしました。

 

長期経営ビジョン「Vision 2030」

1. Vision 2030ステートメント

電通総研グループは、社会と企業の変革を実現する存在“X Innovator”を目指し、自己変革していく

 

2. 2030年のありたき姿

 当社グループの2030年のありたき姿は、企業理念を体現する高付加価値企業として、社会、企業、生活者からの期待に応える存在になることです。そのためには、1985年に自ら標榜した“システムインテグレータ”の枠から脱却し、人とテクノロジーの多様性を備えた、社会や企業の変革を実現する存在へと自己変革していく必要があると認識しています。このありたき姿を当社グループは、「“X Innovator” ~X Innovationの実践を通して社会と企業の変革を実現する存在~」と定義します。“システムインテグレータ”から“X Innovator”への自己変革により成長性を高め、2030年には、社会や企業の変革を実現するに相応しい多様な人材、多彩なテクノロジー、多種のソリューションを持つ集団として、売上高3,000億円規模の企業グループになることを目指します。

 

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3. 2030年に向けた活動方針

 ありたき姿の実現に向けて、4つの自己変革を推進します。

事業領域の拡張
(拓くチカラ)

事業領域を、企業の個別業務課題を解決するビジネスから、企業全体の課題解決や社会の変革を支援するビジネスへと、拡張を図ります。

新しい能力の獲得
(創るチカラ)

テクノロジー実装の強みをさらに高めるとともに、社会や企業変革を導くために必要となる様々なケーパビリティを新たな強みとして獲得します。

収益モデルの革新
(稼ぐチカラ)

ソリューションの拡充・強化に加え、新たなデリバリーモデルの構築等を通して、収益モデルの多様化と収益性の向上を図ります。

経営基盤の刷新
(支えるチカラ)

自己変革のスピードを加速させるため、また、将来の環境変化に柔軟に適応する能力を獲得するため、経営の基盤を刷新します。

 

 

 

4. 2030年までのステップ

 2022年から2030年までの9年間を、3か年ごと3回にわけて中期経営計画を立案し、推進していく予定であります。各期間の基本的な位置づけは以下のとおりとなります。

① 2022-2024年

成長を加速させつつ、将来に向けた布石として、当社グループの新しい基盤を構築していく期間とします。

② 2025-2027年

2025年に当社グループは創立50周年を迎えます。新しい当社グループとして、オーガニック・インオーガニック両面で従来以上の積極的なチャレンジを行い、さらに高い成長を目指す期間とします。

③ 2028-2030年

ありたき姿の実現に向けて、積極的なチャレンジを継続するとともに、2030年以降を見据えた新しい長期経営ビジョンを検討する期間とします。

 

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(3)対処すべき課題と対策

 長期経営ビジョン「Vision 2030」のもと、第1回目の位置づけとなる中期経営計画「X Innovation 2024」において、当社グループが対処すべき課題と対策について、基本方針および重点施策に取りまとめております。

 

中期経営計画「X Innovation 2024」

1. 基本方針

X Innovationの深化により成長を加速させつつ、

2030年のありたき姿を見据え、電通総研グループの新しい基盤を構築していく

 

2. 重点施策

 Vision 2030で定義した4つの自己変革に、合計10の重点施策をもって取り組みます。

 

A. 事業領域の拡張(拓くチカラ)

 当社グループは企業の事業活動を、モノやサービスなどの価値を創り出す活動(価値創出)と、ブランディングやマーケティングなどを通じて価値を訴求し提供する活動(価値提供)の2面で捉えており、それぞれの領域で当社グループならではの競争優位性を確立し、事業の拡大を目指します。

① 価値創出の領域は、当社グループが従来から強みを持つコアの事業領域であります。既存4セグメント間の戦略的な人員配置と連携等により、前中期経営計画に続く継続的な成長を目指します。

② 価値提供の領域は、電通グループとしての強みを生かして拡大してきた事業領域であります。この領域では、各部門のマーケティング関連ビジネスに関わる人材を集約し、全社横断で推進する体制を整え、「顧客接点改革事業」として確立させ、より高い成長を目指します。

③ 価値創出および価値提供の両領域における、当社グループと電通グループの強みを掛け合わせ、新たに企業全体の変革と事業成長を支援する「企業変革支援事業」、ならびに社会の変革を支援する「社会変革支援事業」を立ち上げ、将来のコア事業とすべく全社横断で推進します。

 

B. 新しい能力の獲得(創るチカラ)

④ 喫緊の課題である人員不足の解消に向けて、採用方法を見直し、人員数の拡大ペースを高めるとともに、多様な外部調達を推進します。

⑤ 企業変革支援の事業確立に向けて、事業やサービスの構想力、デザイン力、ビジネスプロデュース力を高めるべく、コンサルティングのケーパビリティを強化・獲得します。

⑥ 先端テクノロジー人材の集約をさらに進め、全社横断で、テクノロジー実装における競争優位性を高めます。

 

C. 収益モデルの革新(稼ぐチカラ)

⑦ ソフトウェア製品・商品のラインアップ拡充および機能強化を推進します。

⑧ サブスクリプション型、SaaS型、レベニューシェア型ビジネスの強化、BPOビジネスの強化、パートナー協創モデルの拡大等、ビジネスモデルの多様化を推進します。

 

D. 経営基盤の刷新(支えるチカラ)

⑨ サステナビリティ方針のもと、サステナブルな社会の実現に貢献する経営を推進します。

⑩ 経営管理基盤、人事・教育制度、グループ/組織構造、ブランドの変革等を実施します。

 

(4)商号変更と機能強化

 当社グループは、Vision 2030において、2030年のありたき姿を「社会、企業、生活者からの期待に応える存在」と定めるとともに、社会や企業の変革をリードする多様な人材、多彩なテクノロジー、多種のソリューションを持つ企業を目指し、自己変革を遂行すると掲げております。この自己変革の受け皿となるに相応しい新たな企業体およびブランドを構築することを目的に、2024年1月1日付けで当社の商号を、「株式会社電通国際情報サービス」から「株式会社電通総研」に変更しました。

 また、本商号変更にあわせて、完全子会社である株式会社アイティアイディおよび株式会社ISIDビジネスコンサルティングの当社への統合と、電通グループの日本事業を統括する「dentsu Japan」内のシンクタンク「電通総研」の機能の当社への移管を行いました。

 

 新商号「株式会社電通総研」のもと、社会や人に対する洞察力や情報発信力、事業やサービスの構想力、デザイン力やビジネスプロデュース力など、社会や企業の課題解決に資するケーパビリティをさらに確立・強化するとともに、コーポレートブランドの一新を通して案件および人材の獲得力を高め、長期にわたる持続的な成長に繋げてまいります。

 

(5)目標とする経営指標

 当社グループは、顧客に提供する付加価値の最大化および企業価値の向上を重視しております。中期経営計画においては、「売上高」「営業利益」「営業利益率」「ROE」の4項目を業績指標に掲げるとともに、成長投資と株主還元を重要な経営指標に定めております。

 経営指標の定量目標については、第2四半期連結会計期間において、営業利益、営業利益率、ROEが計画策定当初の計画を大きく上回って進捗していたことから、2023年7月31日に、これらの目標を当初計画から上方修正いたしました。

 

<業績指標>

項目

2024年12月期中期経営計画目標

当初計画

(2022年2月9日発表)

見直し後

(2023年7月31日発表)

売上高

1,500億円

1,500億円

営業利益

180億円

225億円

営業利益率

12%

15%

ROE

15%

18%

 

 なお、2024年12月期の業績予想において、売上高予想については、見直し後の定量目標をさらに上回る数値を設定しております。

 

 

<成長投資>

項目

目標

方針

人材

2024年末の連結人員数

4,200名超

旺盛なニーズに対応すべく、2021年12月末比約1,000名の増員を目指します。採用・教育改革に加え、新しい働き方の構築に取り組みます。

テクノロジー

3か年累計投資額

170億円

先端テクノロジーの実装力の向上、開発技術の高度化、新製品・サービスの開発等へ、前中期経営計画比約2倍の投資を実行します。

M&A

3か年累計投資額

100億円以上

高い成長目標の実現に向けて、M&Aを積極的に推進します。

 

<株主還元>

 当社グループは、2013年12月期以降、事業成長を通して増配を継続し、2019年12月期からは連結配当性向40%以上を維持してまいりました。今後も引き続き、「持続的な成長を実現するための内部留保を確保しつつ、適正かつ安定的な配当の継続」を配当の基本方針に、「連結配当性向40%以上」を配当性向の目安として掲げ、株主還元の充実を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

 当社グループは、以下のサステナビリティ方針のもと、サステナブルな社会の実現に貢献する経営を推進しております。

 

サステナビリティ方針

 

 当社グループは、「誠実を旨とし、テクノロジーの可能性を切り拓く挑戦者として、顧客、生活者、社会の進化と共存に寄与する。」と定めた企業理念のもと、テクノロジーの活用・実装を通して、サステナブルな社会の実現を目指します。

 

・豊かな地球環境の保全と、人々が幸福感をもって暮らせるサステナブルな社会づくりに貢献します。

・人権と多様性を尊重し、健康に配慮した働きやすい環境を整備します。

・当社グループ全体を包含する、透明性の高いガバナンス体制を構築します。

 

活動の範囲と指針

・当社グループが関わるバリューチェーン全体を活動の範囲とします。

・すべてのステークホルダーに対して、適切な情報公開と責任ある対話を行います。

・当社グループすべての従業員へ教育を行い、エンゲージメントの向上を促し、活動の浸透を図ります。

・取締役会の適切な監督のもと、継続的改善活動を通して強固なサステナビリティ推進体制を構築します。

 

 

 

① ガバナンス

 サステナビリティに関する取り組みを総合的に推進することを目的に、代表取締役社長を議長とし、経営会議メンバーおよび監査等委員である常勤社外取締役で構成する「サステナビリティ推進会議」を設置し、運営しております。本会議は、傘下の委員会や関連する部署と連携して、サステナビリティに関する活動方針や重要事項の決定・モニタリング、全社的なリスク管理に関する活動計画の承認・モニタリング等を実施し、その内容を取締役会に報告しております。

 

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 開催頻度は原則年3回、必要に応じ追加開催しており、これまでの活動状況は以下のとおりです。

開催実績

2022年:2月・8月・9月・12月の計4回、2023年:2月・8月・12月の計3回

主な議題

重要課題(マテリアリティ)の特定、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に

基づく情報開示、エンゲージメント調査の結果報告、最重要リスクの特定とモニタリング、

傘下の委員会の活動報告等

 

② 戦略

 当社グループはサステナビリティ方針のもと、中期経営計画「X Innovation 2024」における重点施策の1つとして「サステナビリティ推進」を掲げ、ステークホルダーと当社グループの双方にとって特に重要であり優先的に取り組むべき事項として、「人」「テクノロジー」「ガバナンス」に関する3つの重点テーマと関連する11の重要課題を2022年9月に特定いたしました。当社グループは、重要課題に対して実効性のある活動を進め、サステナブルな社会づくりに貢献してまいります。

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 なお、重要課題の特定プロセスは以下のとおりです。

 

1.課題要素の抽出

 SDGs等のイニシアチブ、GRIスタンダードやSASBスタンダード等の国際的なガイドライン、FTSEやMSCIをはじめとするESG評価機関等が求める事項を参照・分析し、40項目の課題要素を抽出しております。

 

2.課題要素の重要度評価

 上記1.で抽出した課題要素について、「ステークホルダー」と「当社グループ」の2つの視点から重要度の評価を実施しております。(当社グループの視点については、「社会や環境が自社グループに与える影響」や「自社グループが社会や環境に与える影響」を考慮し、機会とリスクの両面から評価しております。)

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3.内容の整理と妥当性の確認

 上記2.で抽出した重要度が高い課題要素に対して、企業理念、長期経営ビジョン「Vision 2030」、中期経営計画「X Innovation 2024」、電通グループの取り組み等との関連性も踏まえて内容を整理するとともに、KPIや目標等を検討しております。また、外部有識者にも意見を仰ぎ、妥当性を確認しております。

 

4.重要課題の特定

 サステナビリティ推進会議での決議を経て、3つの重点テーマと関連する11の重要課題を特定しております。

 

③ リスク管理

 取締役会の監督のもと、「サステナビリティ推進会議」が主体となり、グループ全体を俯瞰したリスクマネジメントを行っております。事業活動を行うにあたって想定されるリスク(経営目標の達成や事業活動の継続を脅かす要因)の識別と評価、最重要リスクの抽出、リスク所管部署や責任者の決定、リスク対応計画の策定指示、対策実行状況等のモニタリングを実施しております。リスク管理の詳細は「3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 特定した重要課題ごとにKPIと目標を設定し、サステナビリティ推進会議および取締役会で取り組みの進捗を確認しております。

重要課題

(注)1

KPI

目標

達成

時期

対象

範囲

(注)2

当連結

会計年度

実績

人的資本の強化

人員数

連結人員数4,200名超

2024年

連結

3,652名

ダイバーシティ・

エクイティ&

インクルージョン(DE&I)の推進

女性管理職比率

8%

2026年

単体

5.8%

女性採用比率

20%以上

(直近3事業年度平均)

毎年

単体

20.6%

ワークスタイル

トランスフォー

メーションの推進

定期健康診断受診率

100%

毎年

単体

98.6%

(注)3

エンゲージメントスコア

「働きがいのある会社」調査のスコア向上

毎年

単体

肯定的回答割合 72%

社会・環境課題の

解決への貢献

テクノロジー投資

3か年累計投資額170億円

2024年

連結

35億円

コーポレート

ガバナンスの強化

取締役会の実効性評価

実効性の確保・向上

毎年

連結

実効性は

確保されていると評価

倫理コンプライアンスの徹底と人権の尊重

重大な法令違反件数

0件

毎年

連結

1件

倫理コンプライアンス関連(ハラスメント含む)の

研修(eラーニング)受講率

100%

毎年

国内G

98.5%

品質の向上

レビューボード(RB)

実施率

100%(1億円以上の

提案)

毎年

単体

100%

情報セキュリティ

管理の強化

全社セキュリティ教育/

訓練等の年間実施回数

6回/年(2か月に

1回)

毎年

単体

6回/年

重大な顧客案件関連情報

および個人情報の漏えい

事故件数

0件

毎年

国内G

1件

(注)1.重要課題のうち「オープンイノベーションによる新規事業の創出」「技術実装力の発揮」および「適切なリスクマネジメントの実践」については、KPIは設定せず、毎年の活動実績を別途公表しております。

2.単体:当社単体、国内G:国内連結子会社をカバー、連結:国内外連結子会社をカバー

3.4月1日から3月31日までの1年間を集計期間としているため、2022年4月1日から2023年3月31日までの実績を記載しております。

 

(2)気候変動

 気候変動への対応については、TCFDフレームワークに準拠して記載しております。

 

① ガバナンス

 当社は、「(1) サステナビリティ全般 ①ガバナンス」に記載のとおり、グループ全体のサステナビリティに関する取り組みを総合的に推進することを目的に、「サステナビリティ推進会議」を設置しております。気候変動への対応については、本会議傘下の「エコ・プログラム推進委員会」にて、環境負荷の低減や環境保全に寄与する取り組みを推進するとともに、TCFD提言に基づく情報開示を進めております。

 

② 戦略

 当社グループは、気候変動への対応を中長期的な企業価値に影響を与える重要な課題と認識しており、2つのシナリオ(1.5℃シナリオと4℃シナリオ)を設定し、2030年と2050年を基準年として気候変動関連の機会とリスクの分析および評価を行いました。なお、シナリオ設定にあたりインパクトを試算する際のパラメーターは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、国際エネルギー機関(IEA)の情報を参考に1.5℃シナリオ、4℃シナリオを使用しております。

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 その結果、どちらのシナリオにおいても移行リスク(低炭素社会へ移行した際に想定されるリスク)および物理的リスク(気候変動による物理的変化に関するリスク)ともに財務等への大きな影響はない一方、1.5℃シナリオを前提とした場合にはソリューションの提供拡大や収益増加が機会として見込まれることから、当社グループの事業活動は持続可能であり、レジリエンス(強靭性)があると評価しております。

 

 

■機会への主な対応

 当社グループは、気候変動対策に関連するビジネス機会において、テクノロジーの可能性を切り拓くべく、脱炭素化・サーキュラーエコノミーの実現や ESG 経営を支援するソリューションの新規開発および提供において、電通グループ各社や企業・団体と連携し、積極的に取り組んでおります。また当社は、2023年から「GX リーグ」に参画し、市場創造のためのルールづくり等に取り組んでおります。

 

■リスクの低減に向けた主な対応

 気候変動リスクによる財務的影響は、当社グループにおいては限定的であると分析しておりますが、さらにリスクを低減すべく、ISO14001に沿った環境マネジメントシステムの確実な運用とともに、再生可能エネルギー比率の向上やカーボン・クレジット等の活用を通して、CO排出量の削減を図ります。

 

 CO排出量による財務影響の1つとして、政府の環境規制強化に伴う炭素税の導入によるものが考えられます。当社のCO排出量が2021年度と同等の場合の1.5℃シナリオおよび4℃シナリオにおける、2030年および2050年の炭素税導入による影響額試算は下図のとおりです。

 

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③ リスク管理

 気候変動に関するリスク管理の詳細は「3.事業等のリスク (3)主要なリスク ②その他重要リスク へ.気候変動に関するリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 当社は、気候変動における機会とリスクの測定および管理に用いる指標をCO排出量とし、当社のCO排出量(Scope1+2)について、2030年度にカーボンニュートラルとする目標を設定しております。これまでのCO排出量の推移は下図のとおりです。

 

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(3)人的資本

① ガバナンス

イ.重要課題に対するモニタリング

 当社グループは、多様なプロフェッショナルを競争力の源泉と捉え、「(1) サステナビリティ全般 ②戦略」に記載のとおり、「多様なプロフェッショナルの創出と活躍」を重点テーマの1つに掲げております。これに関連する重要課題として「人的資本の強化」「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進」「ワークスタイルトランスフォーメーションの推進」の3つを特定しており、これらの対応状況については、サステナビリティ推進会議および取締役会でモニタリングしております。

 

ロ.推進体制

 2023年1月に人事機能に特化する人材戦略本部を新設し、人的資本のさらなる強化を進めております。全社的な人事関連施策は、各本部・事業部長をメンバーとする組織人事委員会で検討しており、そのうち重要な施策については経営会議で決定しております。なお、施策の立案にあたっては、労使委員会と衛生委員会における従業員との積極的な対話や全従業員を対象に実施しているエンゲージメント調査等を通じて、労働環境の整備を含むさまざまな課題の把握に努めております。

 

② 戦略

イ.人的資本の強化

 当社グループは、積極的な採用や成長機会の拡大、人事制度・報酬制度の充実等、人的資本へのさまざまな投資と人材育成を進めております。さらに、「人的資本への投資および人材育成」を起点として、従業員の「エンゲージメント向上・イノベーション創出」「企業競争力の強化」「事業の成長」の4要素によるサイクルを回すことにより、企業価値の向上を目指しております。

 

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■人材育成

(1)人材育成方針:一人ひとりが“X Innovator”

 当社の人材育成は、従業員一人ひとりの自律的な成長を促すことに加え、成果を創出する組織の醸成にも並行して取り組むことを方針としております。

 顧客を含めた市場全体から認められ、高く評価される「プロフェッショナル人材」を輩出すべく、当社は従業員の持つ専門性を高め、拡げる支援だけでなく、その従業員が持つ「人間魅力」そのものを高める支援にも注力してまいります。加えて、すべての従業員がX Innovatorとなるために、一人ひとりはもとより、組織、チーム、プロジェクトとして当社の行動指針「AHEAD~先駆けとなる~」にふさわしい行動をとることを促進いたします。この行動に終わりはなく、自己革新を続け、イノベーションを実現し続けることが、当社における「成長」であり、一人では成し得ない大きな成果を生み出すことにつながると当社は考えております。

 また、施策の推進にあたっては、効果的かつ効率的に進めるため、独自に計測するさまざまなHR(Human Resources)データを積極的に活用してまいります。

 

 

(2)人材育成施策

人材育成方針に基づき以下のような施策を実施しております。

・幅広いスキルや専門領域に対応した教育プログラムの提供および学習コンテンツの継続的拡充を図っております。当連結会計年度の受講者数は2021年以降3年間で約2.5倍となっております。

・ワークショップ等を通じた従業員一人ひとりの自律的なキャリア形成支援を実施しております。当連結会計年度は前期比2倍と参加者が拡大しております。

・自由でフラットに話し合えるオープンな企業文化の中、多様性を尊重し、個人では達成困難な成果を組織で創出することを目的とした施策の推進に取り組んでおります。具体的には、上司や同僚との1対1の対話の全社展開・浸透、キャリア入社者の組織適応促進および早期能力発揮のためのオンボーディングプログラムの展開、組織成果を創出するマネジメント能力向上を狙いとした新任管理職研修の実施等の施策を行っております。

・2022年12月期に「ピープルアナリティクスプロジェクト」を部門横断で立ち上げ、人的資本に関する各種データの見える化とその活用に取り組んでおります。当連結会計年度には、管理職向けのHRデータ活用ツールとしてダッシュボードを開発し、HRデータの月次提供を開始いたしました。また、人的資本開示の国際標準である「ISO30414」の認証取得を目指し準備を進めております。

 

■採用

 当社グループは、2022年から2024年の3年間で1,000人の増員を目標とし、組織横断プロジェクトを発足させるとともに採用に特化した専任部署を設け、広告等の採用ブランディング活動の実施や、従業員紹介制度の導入等の施策により、積極的な採用を進めております。その結果、就職・転職関連の優良企業ランキングで高評価を獲得するなど採用市場での存在感が高まり、当連結会計年度末までの2年間で連結人員数は412人増加したことに加え、2024年4月の新卒入社数は148名、前年比約1.5倍を予定しております。

 

ロ.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進

 新たな価値の創造と持続的な成長には、多様な人材がいきいきと働き協調することが不可欠であります。当社グループは、人種、宗教、国籍、性別、性自認および性的指向、年齢、学歴、障がいの有無等にかかわらず、当社グループで働くすべての人々が自分らしく働き、持てる能力を発揮して活躍できるよう、DE&Iを推進しております。

 

■女性活躍の推進

 2026年までに女性管理職比率を8%(単体)とする目標の達成に向け、女子学生向け採用施策の継続実施や女性従業員向けキャリア形成支援ワークショップの実施等、管理職候補となる母集団の形成促進やキャリア形成支援に取り組んでおります。

 

■LGBTQ+対応

 性自認および性的指向にかかわらず、一人ひとりが自分らしく活躍できることを支援しております。当連結会計年度は、休暇関係や給与手当・出張関係等の人事諸制度を改定し、「法律婚」「事実婚」「同性パートナー」の区分を廃止いたました。

 

■障がい者雇用

 当社および「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく特例子会社である株式会社ISIDブライト(現 株式会社電通総研ブライト)は連携して、障がいのある社員がいきいきと働くことができる就労機会の創出に努めており、マッサージルームの運営や各種事務サポート体制の構築、ハーブ栽培やコーヒー焙煎事業等を行っております。

 

ハ.ワークスタイルトランスフォーメーションの推進

■環境整備方針

 当社グループは、サステナビリティ方針で掲げている「人権と多様性を尊重し、健康に配慮した働きやすい環境の整備」の実現に向け、従業員一人ひとりがライフステージに応じた柔軟な働き方を選択し、能力を最大限発揮できることを目指しております。

 

 

■働きやすい環境づくり

 当社では、環境整備方針に基づき、以下のような施策を実施しております。

・従業員が仕事と育児・介護等を両立できるよう、育児・介護休業制度を含む休暇制度について法定を上回る水準で設定しております。

・柔軟で生産性の高い働き方を支援するため、フレックスタイム制および裁量労働制を導入しております。また、すべての従業員がテレワーク勤務を活用できる制度設計ならびにインフラ環境の整備を行い、自宅や出張先、サテライトオフィス等からの業務を可能としております。2022年4月には旅行先でテレワーク勤務が行える国内休暇型ワーケーション制度を新設し、従業員の柔軟な働き方を支援しております。
一方、偶発的なコミュニケーションの機会や新しいアイデアの創発という点で、対面で働くことも重要と認識しております。当社は今後も、出社とテレワークそれぞれの特徴を生かしたハイブリッドワークを推進してまいります。

 

■健康経営

 従業員およびその配偶者やパートナーを含む家族の心身の健康が、当社グループの持続的な成長に向けての基盤であります。専任担当部署である健康管理室は、人事部や衛生委員会と連携し、従業員の勤務状況や職場環境等について把握し、改善策を講じております。疾病の予防につながる取り組みにも一層注力することで、健康経営をさらに推進してまいります。

 

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③ リスク管理

 人的資本に関するリスク管理の詳細は「3.事業等のリスク (3)主要なリスク ①最重要リスク ロ.人材確保・育成、労務管理に関するリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 「(1)サステナビリティ全般 ④指標及び目標」に掲げている表のうち、「人的資本の強化」「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進」「ワークスタイルトランスフォーメーションの推進」をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループは、経営目標の達成を阻害する、あるいは事業活動の継続を脅かす要因等を識別し、顕在化させないための予防策および顕在化した場合の影響を最小化するための対策として、リスク管理規程を制定しております。当規程に則り、想定されるリスクに関する情報を適時かつ組織横断的に集約し、全社的な観点から適切なリスク管理を推進しております。

 なお、記載事項のうち将来に関する事項は、特に断りがない限り有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) リスク管理体制

 当社グループでは、サステナビリティに関する取り組みを総合的に推進する「サステナビリティ推進会議」のもと、グループ全体を俯瞰したリスク管理を行っております。

 サステナビリティ推進会議は、当社グループが事業活動を行うにあたって想定されるリスクの識別と評価、最重要リスクの抽出、リスク所管部署や責任者の決定、リスク対応計画の策定指示、対策実行状況等のモニタリングを実施し、その結果を取締役会に報告しております。

 

 当社グループにおけるリスク管理体制は次のとおりです。

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取締役会

・リスク管理状況のモニタリングおよび管理体制の有効性確保

サステナビリティ推進会議

・各事業部/本部およびグループ会社からのリスク情報収集、リスク識別と評価

・最重要リスクおよびリスク所管部署/責任者の決定

・グループ横断的課題への対応方針検討および調整

・リスク対応計画の進捗状況およびリスク状況のモニタリング

リスク所管部署・各委員会

・リスク対応計画の策定およびリスク対策の実施

各社リスクマネジメント部門

・自社の最重要リスクの抽出、リスク対応計画の策定と実施

 

 

 

(2) リスク管理のプロセス

(リスクの識別・評価)

 サステナビリティ推進会議は、経営環境や経営戦略、事業管理、危機管理、人事労務、経理財務、法務、コーポレートガバナンス、情報セキュリティ、倫理コンプライアンス等の観点から、顕在化する可能性のあるリスクを各事業部や本部、グループ会社へのヒアリング等により網羅的に識別しております。識別したリスクについては、定期的に「発生可能性」「影響度」によりリスク評価を行います。

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(最重要リスクの抽出)

 サステナビリティ推進会議は、リスク評価の結果より、事業継続に大きな影響を及ぼす可能性が高いと判断したリスクを「最重要リスク」に定め、それぞれのリスクについて、所管部署および責任者を選定します。

 

(リスク対応計画の策定)

 リスク所管部署・グループ会社のリスクマネジメント部門は、「最重要リスク」に関してリスクが顕在化しないための予防策および顕在化した場合の影響を最小化するためのリスク対策をリスク対応計画としてまとめ、サステナビリティ推進会議の承認または助言を得ます。

 

(リスク対応計画の実施とリスクモニタリング)

 リスク所管部署・グループ会社のリスクマネジメント部門は、策定したリスク対応計画に沿って活動を遂行するとともに、必要に応じて規程類や対策マニュアル等の整備・維持に努めております。サステナビリティ推進会議は、リスク対応計画の進捗状況およびリスクの状況についてモニタリングを実施し、その結果を取締役会に報告しております。さらに、リスクの顕在化等があった場合は、必要に応じてリスク対策の追加、計画の改善と実施を指示します。

 

(3) 主要なリスク

 当社グループの経営目標の達成を阻害する、あるいは事業活動の継続を脅かす可能性がある主要なリスクを以下のとおり記載しております。しかしながら、これらのリスクは必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

 

① 最重要リスク

イ.システム開発に関するリスク

 当社グループが提供するシステム構築サービスは、開発工程中に想定外のトラブルが発生すること等により開発費用が増加し、収益性が低下する可能性があります。また、納品後に重大な不具合が発生し、顧客の業務に支障が生じた場合、当該システムの品質回復にかかる費用発生や損害賠償請求、信用失墜等が生じる可能性があります。

 このため当社グループでは、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)委員会を設置し、提案前の段階から、要求仕様の内容、技術的難易度、受注金額、開発期間、開発費用見積等の計画につき評価を行うことに加え、受注から納品にいたる過程においても、計画に対する進捗状況の確認を随時行い、開発にともなうリスク管理を徹底しております。さらに、トラブル発生の可能性を極小化すべく、開発プロセス標準化やノウハウの共有等、技術に関する教育諸施策を積極的に推進しております。

ロ.人材確保・育成、労務管理に関するリスク

 当社グループが必要とする優秀な人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合、あるいは労働環境の悪化等により生産性が低下した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社グループでは、新卒・中途採用活動および従業員教育・研修の強化、適切な人材配置を図るとともに、裁量労働制や65歳定年制、フェロー制度、育児・介護等と仕事の両立を支援する各種制度の導入・充実に加え、適正な労働時間の管理や従業員の健康管理への取り組みを積極的に行うなど、従業員のワーク・ライフ・バランス実現、人材の確保・育成および労働環境の整備に向けた人事諸施策を実施しております。

 

ハ.事業継続に関するリスク

 大地震や豪雨等の自然災害の発生、重大感染症の流行、社会情勢の変化等の事象が発生した場合は、対応に係る費用の発生のほか、サービスの提供遅滞等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社グループでは、危機発生に備えた各種対応マニュアルや適時適切に対策を講じるための体制、円滑な業務を可能とするリモートワーク勤務制度および環境を整備し、従業員やパートナースタッフの安全確保と事業の継続性確保に努めております。

 

ニ.情報セキュリティに関するリスク

 コンピューターウイルスやサイバーテロ、過失等により、情報システムサービスの中断や個人情報・機密情報の漏洩等が発生した場合、顧客や個人からの損害賠償請求や信用失墜、事業の停滞等が生じる可能性があります。

 このため当社グループでは、グループ全体の情報セキュリティマネジメントを統括する情報セキュリティ委員会のもと、各種規程類やガイドラインを整備・運用し、グループ一体となって情報セキュリティ管理に取り組んでおります。また、システム・ネットワークの継続的なセキュリティレベルの向上を図るとともに、全役員と従業員を対象にセキュリティ教育プラットフォームを導入し、教育・訓練を継続的に実施するなど、総合的なサイバーセキュリティ対策を推進しております。なお、当社グループでは、当社をはじめとする主要各社において、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC27001:2013」および本規格をもとにJIS化された「JISQ27001:2014」の認証を取得しているほか、「プライバシーマーク」の付与認定を受けております。

 

ホ.コンプライアンスに関するリスク

 コンプライアンス上の問題、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの信用が失墜し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社グループでは、電通グループの行動規範である「電通グループ行動憲章」および「暴力団等反社会的勢力排除に対しての基本方針」、ならびに当社グループの行動規範である「私たちの行動宣言」を採択し、会社法、金融商品取引法、個人情報保護法をはじめ各種法令等の遵守を最優先に事業を推進しております。また、全役員と従業員を対象とするコンプライアンス教育の実施や、公益通報者保護制度に基づく通報窓口の設置等の施策を通じ、法令遵守の徹底を図っております。

 

ヘ.M&A等の出資・投資に関するリスク

 当社グループの事業成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場における優位性の確立に資するなどの効果が見込める場合は、国内外の企業への出資や新規事業への投資を実施する場合があります。しかしながら、事業環境の著しい変化等により、事業計画どおりに遂行できなかった場合、当該投資が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社グループでは、投資の実施に当たり、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績・財政状況、技術優位性等を確認し、事業性を十分に検討した上で実施すべく努めております。また、経営会議または取締役会の決議事項とされるものに関する事前審議機関として投資委員会を設置し、案件の審査、出資先の経営状況モニタリング、出資時の事業計画から乖離が出た場合の適時対策を講じる体制を構築しております。

 

 

② その他重要リスク

イ.顧客の経営方針転換等に関するリスク

 社会や経済の情勢の変動等により顧客の情報化投資動向が急変した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社グループでは、国内外の経済動向を注視するとともに、市場ニーズに適合する経営戦略の立案や新規ソリューションの開拓および開発等、適時対策を講じております。

 

ロ.提供サービスの競争力に関するリスク

 情報サービス業界における顧客ニーズおよび情報技術の進化は激しく、新規参入業者も多く競争が激化しているため、急速な顧客ニーズの変化あるいは技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社グループでは、積極的な研究開発の実施、グループ体制・組織の最適化、国内外の企業への出資や提携等の各種経営施策を通じ、市場ニーズに適合する経営戦略の立案や新規ソリューションの開拓および開発等、適時対策を講じております。また、ソフトウェア製品の機能強化やサービスの拡充等により提供価値の向上に努めております。

 

ハ.仕入先・協力会社に関するリスク

 当社グループは、顧客に対しソリューションを構築・提供するにあたり、その業務の一部を外部の協力会社に委託しているため、協力会社の人員の逼迫や委託単価が上昇するなどの場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に海外の協力会社への業務委託につきましては、海外現地における社会情勢により、予期せぬ状況が発生する可能性があります。また、当社グループが仕入販売しているソフトウェア商品および情報機器については、当該仕入先の経営方針および事業計画等が変更された場合、顧客に対する商品およびサービスの提供に支障が生じる可能性があります。特に、CAD/PLMにおける重要な仕入先であるシーメンス株式会社の経営方針の変化は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社グループでは、業務委託先に対し、システム開発標準化や生産性向上等に共同で取り組むほか、提供価格への適正な転嫁や、協力会社の新規開拓などコスト構造の最適化努力を継続的に推進することにより、収益性の維持・向上を図っております。また、商品の仕入先に対しては、共同で販売戦略を立案するなど、緊密な関係を維持するほか、国内外で最先端技術を保有し、競争力の高い商品・サービスを有した企業をいち早く発掘すべく継続的に努力しております。

 

ニ.知的財産に関するリスク

 当社グループの提供するシステム、ソフトウェア製品、サービス等に対して第三者から知的所有権の侵害を理由とする訴訟提起または請求を受け、その結果当社グループが損害賠償を負担するほか、代替技術の開発のための費用が発生する可能性があります。また、当社グループ自身が保有する知的財産権についても、他社からの侵害、また業務用ソフトウェアの性質上、その機能の模造・類似品の出現により、期待される収益が失われ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社グループでは、第三者が保有する特許権、商標権などの調査や、プロジェクトからの各種相談対応、教育研修等を通じて、知的財産権に対する従業員の意識向上に努めております。

 

ホ.研究開発投資に関するリスク

 当社グループは、将来に向けた事業機会の創出および高付加価値ソリューションの提供を実現するため、研究開発へ積極的に投資することを経営戦略に掲げております。しかしながら、研究開発投資が計画どおり進まない場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社グループでは、製品・サービスにかかわる研究開発等の投資に関する審査機関として投資委員会を設置しており、当委員会を通じて、案件の審査・進捗確認、投資および回収状況の監視を行い、リスクの顕在化を未然に防ぐ体制を構築しております。

 

へ.気候変動に関するリスク

 当社グループの気候変動リスクとしては、政策・法規制・技術・市場の変化が生じることに起因する移行リスクと、気候変動に起因する自然災害の増加等によるサービスの提供遅滞等が発生する物理的リスクがあり、これらへの対応が遅れた場合、経営成績および中長期的な企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」のフレームワークに基づき、気候変動対策に関するガバナンスの強化や、リスク・機会の分析とその財務的な影響等を踏まえたシナリオ分析を進め、気候変動リスクへの対応に取り組んでおります。気候変動リスクによる財務的影響は、当社グループにおいては限定的であると分析しておりますが、さらにリスクを低減すべく、ISO14001に沿った環境マネジメントシステムの確実な運用を行うとともに、再生可能エネルギー比率の向上やカーボン・クレジット等の活用を通して、CO2排出量の削減を図ります。また同時に、気候変動対策に関連するビジネス機会の創出を目指し、脱炭素化・サーキュラーエコノミーの実現やESG経営を支援するソリューションの新規開発および提供にも取り組んでおります。

 

ト.株式会社電通グループとの資本関係について

 株式会社電通グループは、当連結会計年度末現在、当社の発行済株式総数のうち61.8%を所有しています。

 当社グループは、親会社グループとの事業シナジーを最大限に活かした事業運営に取り組んでおりますが、事業展開における業務執行上の重要事項については、独立社外取締役が過半数を占める取締役会にて合議の上決定します。上場会社としての自主性・独立性を確保しつつ、親会社グループと連携して事業成長・発展に努めることは、非支配株主の利益につながるものと認識しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

(1)財政状態及び経営成績等の状況

① 経営成績

 当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調が続きました。当社グループを取り巻く事業環境についても、世界的な金融引締め等による海外景気の下振れが日本経済を下押しするリスクはあるものの、企業のデジタル投資意欲は強く、堅調に推移しました。

 

 かかる状況のもと、当社グループは、長期経営ビジョン「Vision 2030」および2024年12月期を最終年度とする3か年の中期経営計画「X Innovation 2024」を推進しております。当中期経営計画では、4つの活動方針「事業領域の拡張」「新しい能力の獲得」「収益モデルの革新」「経営基盤の刷新」のもと、事業成長の加速と自己変革に取り組んでおります。

 

 2年目となる当連結会計年度は、2030年に向けた当社グループの変革をさらに推し進めるため、2024年1月1日付での「株式会社電通総研」への商号変更と、コンサルティング機能の強化およびシンクタンク機能の拡充を目的とした組織変革を実施することを決定し、そのための準備を進めてまいりました。

 新たにスタートした電通総研は、「システムインテグレーション」「コンサルティング」「シンクタンク」の3つの機能が融合する企業グループへと進化してまいります。

 

 当連結会計年度の業績は、売上高142,608百万円(前期比110.5%)、営業利益21,028百万円(同113.1%)、経常利益21,244百万円(同115.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益14,663百万円(同116.4%)となりました。

 

 売上高については、4つのセグメントすべてにおいて増収となりました。利益につきましても、人件費、販売促進費および研究開発費を中心に販売費及び一般管理費は増加したものの、増収効果により、すべての段階利益で増益となりました。

 

 これにより、売上高および各段階利益のいずれも6期連続で過去最高を更新しました。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

増減

前期比

売上高

129,054

142,608

+13,554

110.5%

営業利益

18,590

21,028

+2,438

113.1%

営業利益率

14.4%

14.7%

+0.3p

経常利益

18,354

21,244

+2,890

115.7%

親会社株主に帰属する

当期純利益

12,598

14,663

+2,065

116.4%

 

 

 

 

 

ROE

18.1%

18.7%

+0.6p

 

 

② 財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して11,441百万円増加し、133,333百万円となり

ました。流動資産は、取引規模の拡大に伴う売上債権および契約資産が増加、契約負債の増加により預け金が増加したほか、顧客向けサービスのためのサブスクリプション契約・保守契約に係る前渡金が増加したことにより、前連結会計年度末と比較して11,714百万円増加し、114,813百万円となりました。固定資産は、有形リース資産・ソフトウェアの新規取得等による増加はあったものの、減価償却が進んだことによる減少や繰延税金資産の減少により、前連結会計年度末と比較して273百万円減少し18,520百万円となりました。

(負債)

 当連結会計年度末における総負債は、前連結会計年度末と比較して2,341百万円増加し、50,362百万円となりました。流動負債は、仕入債務の増加、保守・サブスクリプション型サービス提供に伴う契約負債の増加を主因として、前連結会計年度末と比較して1,935百万円増加し、47,622百万円となりました。固定負債は、主に有形リース資産の増加に伴うリース債務の増加により、前連結会計年度末と比較して406百万円増加し、2,739百万円となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、剰余金の配当があったものの、主に当社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加した結果、前連結会計年度末と比較して9,099百万円増加し、82,971百万円となりまし

た。

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金および現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して4,210百万円増加し、57,515百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

売上債権及び契約資産の増加、法人税等の支払等による資金の減少を税金等調整前当期純利益および減価償却費が上回り、資金は13,046百万円増加しました。

前年同期との比較においては、主として税金等調整前当期純利益の増加等により1,132百万円の収入増となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

ソフトウェア等の固定資産の取得等により、資金は2,359百万円減少しました。

前年同期との比較においては、主に有形固定資産やソフトウェアの取得による支出の減少、投資有価証券の取得による支出の減少により、773百万円の支出減となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金の支払およびリース債務の返済等により、資金は6,702百万円減少しました。

前年同期との比較においては、配当金支払額の増加により1,283百万円の支出増となりました。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

 当連結会計年度において、生産実績及び販売実績が著しく増加しました。これは、主にビジネスソリューションおよび製造ソリューションセグメントの事業が好調に推移したことによるものです。

 当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります

① 生産実績

報告セグメント

生産高(百万円)

前期比(%)

金融ソリューション

24,544

108.6

ビジネスソリューション

15,274

134.9

製造ソリューション

11,393

118.9

コミュニケーションIT

23,525

105.8

合計

74,738

113.7

(注)金額は、販売価格に換算して表示しております。

 

② 受注実績

報告セグメント

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

金融ソリューション

30,591

107.2

7,775

99.9

ビジネスソリューション

20,752

87.8

7,877

77.0

製造ソリューション

46,130

117.5

23,114

126.1

コミュニケーションIT

47,385

96.4

15,132

98.8

合計

144,858

103.1

53,899

104.4

 

 

③ 販売実績

報告セグメント

販売高(百万円)

前期比(%)

金融ソリューション

30,598

108.8

ビジネスソリューション

23,107

124.2

製造ソリューション

41,118

112.8

コミュニケーションIT

47,784

104.2

合計

142,608

110.5

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社電通グループ

及びそのグループ会社

24,081

18.7

22,691

15.9

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の経営成績につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績等の状況 ① 経営成績」に記載のとおりであります。

 

 報告セグメント別の経営成績の状況につきましては、以下のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

 

単位:百万円

報告セグメント

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

増減額

売上高

営業利益

営業

利益率

売上高

営業利益

営業

利益率

売上高

営業利益

金融ソリューション

28,125

1,611

5.7%

30,598

3,498

11.4%

+2,473

+1,887

ビジネスソリューション

18,608

4,704

25.3%

23,107

5,770

25.0%

+4,499

+1,066

製造ソリューション

36,453

4,179

11.5%

41,118

5,106

12.4%

+4,665

+927

コミュニケーションIT

45,867

8,095

17.6%

47,784

6,652

13.9%

+1,917

△1,443

合計

129,054

18,590

14.4%

 142,608

21,028

14.7%

+13,554

+2,438

(注)報告セグメントの情報につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」も併せてご参照ください。

 

金融ソリューション

 金融機関をはじめ企業における各種金融業務を支援するITソリューションの提供を主たる事業としております。

 当連結会計年度は、会計を中心としたコアバンキング領域および顧客接点改革領域におけるソフトウェア商品の販売・導入が銀行業向けを中心に拡大したことにより、増収増益となりました。

 

ビジネスソリューション

 会計・人事を中心に経営管理業務を対象とするITソリューションの提供を主たる事業としております。

 当連結会計年度は、注力する4つのソリューション、統合人事ソリューション「POSITIVE」、連結会計ソリューション「STRAVIS」、会計ソリューション「Ci*X」、経営管理ソリューション「CCH Tagetik」の販売・導入が商社および製造業を中心に拡大したことにより、増収増益となりました。

 

製造ソリューション

 製造業の製品開発/製造/販売/保守にわたる製品ライフサイクル全般を対象とするITソリューションの提供を主たる事業としております。

 当連結会計年度は、システムグランドデザインやエンジニアリングを支援するコンサルティング、3次元CAD「NX」、PLMソリューション「Teamcenter」、構想設計ソリューション「iQUAVIS」等が輸送機器および機械業を中心に拡大したことにより、増収増益となりました。

 

コミュニケーションIT

 マーケティングから基幹業務領域まで企業のバリューチェーンやビジネスプロセスの最適化を支援するITソリューションの提供を主たる事業としております。

 当連結会計年度は、SAPソリューションの導入が製造業を中心に拡大したことにより、増収となりました。利益につきましては、受託システム開発およびアウトソーシング・運用保守サービスの収益性が低下したこと等により、減益となりました。

 

 なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① キャッシュ・フローの状況

 当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループにおける資金需要は、通常の運転資金に加え、事業拡大を目的としたソフトウェア製品の開発及び資本提携・M&A等のための投資資金がありますが、いずれも自己資金を充当することを基本としております。また、当社及び当社国内子会社の間ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、グループ内の資金の流動性を高めるよう努めております。

 なお、流動資産に計上している預け金は、親会社である株式会社電通グループに対し同社が運営するCMSを通じて預け入れた資金であり、当連結会計年度末は52,405百万円を預け入れております。これは、直ちに利用可能な財源であることから、連結キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物に含めております。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成にあたっては、連結会計年度末日における財政状態並びに連結会計年度の経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社グループは、過年度の実績や現状を踏まえ、合理的と判断される前提・仮定に基づき、かかる見積り・予測を行っておりますが、実際の結果はこれと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(4)経営上の目標の達成状況について

 当社グループは、当中期経営計画において「売上高」「営業利益」「営業利益率」「ROE」の4項目を業績指標に掲げております。2年目となる当連結会計年度の進捗状況は以下のとおりであります。

項目

2024年12月期目標

2023年12月期実績

差異

売上高

1,500億円

1,426億円

△74億円

営業利益

225億円

210億円

△15億円

営業利益率

15%

14.7%

△0.3p

ROE

18%

18.7%

+0.7p

※営業利益、営業利益率、ROEについては、2023年7月31日に目標値を上方修正しております。

 

 なお、当社グループが取り組むべき経営課題への対応につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題と対策」に記載のとおりであります。

5【経営上の重要な契約等】

会社名

相手方の名称

国名

契約の名称

契約内容

契約期間

株式会社電通国際情報サービス(現 株式会社電通総研)

株式会社電通

日本

情報システムに関する業務委託基本契約書

情報システムに関する業務の委託契約

自 2023年4月

至 2024年3月

1年毎自動更新

株式会社ISID-AO(現 株式会社電通総研セキュアソリューション)

株式会社電通

日本

情報システムに関する業務委託基本契約書

情報システムに関する業務の委託契約

自 2023年4月

至 2024年3月

1年毎自動更新

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発活動の金額は2,046百万円となりました。主な研究開発活動の概要は以下のとおりであります。

(1)金融ソリューションセグメント

当セグメントの研究開発活動の金額は412百万円となりました。主な活動内容は、セキュリティチェックシート回答提案サービス「Securate」開発、および新規事業開発に関する研究であります。

 

(2)ビジネスソリューションセグメント

当セグメントの研究開発活動の金額は392百万円となりました。主な活動内容は、会計ソリューション「Ci*X」の新製品開発、および人事管理ソリューション「POSITIVE」のシステム基盤改良に関する研究であります。

 

(3)製造ソリューションセグメント

当セグメントの研究開発活動の金額は321百万円となりました。主な活動内容は、次世代空モビリティの性能評価手法開発、およびソフトウェア・ファーストに関する研究であります。
※システム製品の設計において、ハードウェアに先行してソフトウェアを開発し、システム全体の価値を向上させる考え方

 

(4)コミュニケーションITセグメント

当セグメントの研究開発活動の金額は181百万円となりました。主な活動内容は、日本製薬工業協会策定の「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」に対応した情報公開Webサービスの機能強化、およびデータクラウド「Snowflake」の導入テンプレート開発に関する研究であります。

 

(5)その他

上記セグメントに属さない研究開発活動の金額は738百万円となりました。主な活動内容は、開発基盤「aiuola」の機能強化、都市OSソリューション「CIVILIOS」の機能拡張、および脱炭素化サービスとプロダクト開発に関する研究であります。