当連結会計年度(平成25年7月1日~平成26年6月30日)における我が国経済は、経済政策の効果を背景に安定的に推移し、景気は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、米国の金融緩和縮小による影響や新興国の経済成長への減速懸念もあり、先行きに不透明さも残っております。
このような環境のもと、当社におきましては、主要なサービスである「OKWave」のスマートフォン対応を進めたほか、企業向けサービス「OKBiz」の機能強化に合わせたマーケティングの実施による拡販・シェアの確保に取り組みました。一方で、業績進捗を鑑み、多様なサービス展開を縮小し主力製品へ注力することが望ましいと判断し、不採算サービスからの撤退を行いました。
以上の結果、売上高は企業向けサービスが堅調だったことに加え、携帯電話向けの課金制サイトの会員数が増加したこと、また、連結子会社株式会社ブリックスを通期連結したことにより、3,241,182千円(前年同期比20.1%増)となりました。利益面では、体制強化に伴う固定費の増加や広告宣伝費、開発費の積極投下により、営業損失は349,313千円(前年同期94,146千円の損失)、経常損失は344,014千円(前年同期97,924千円の損失)となりました。当期純損失は連結子会社OKWave Inc.ののれん及び撤退サービスの固定資産にかかる減損損失等の特別損失の計上、並びに繰延税金資産の取崩しにより410,040千円(前年同期361,936千円の損失)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
なお、第1四半期より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。また、各事業分野のセグメント利益は、全社費用617,479千円(前年同期641,282千円)を含まない額であります。
ソーシャルメディア事業では、日本最大級のQ&Aコミュニティ「OKWave(オウケイウェイヴ)」のほか、Q&Aから派生した様々なサービスを運営しています。
当連結会計年度におきましては、サイト全面を使うことにより、短期間で高い広告効果が得られるジャック広告や、Q&Aビッグデータを分析したうえで投稿にマッチした広告を配信するターゲティング広告を新たに提供開始し、広告単価上昇を狙いました。また、スマートフォンサイトのリニューアルが奏功し、スマートフォン経由の利用者数が増加しました。しかしながら、市場全体での広告単価低下やPC経由の閲覧数減少による影響を補い切れず、売上高は前期比減少となりました。
費用面では、新商品やスマートフォン対応にかかる開発費用が発生しました。加えて、子会社OKWave Inc.において、新規サービスの収益化に時間を要したことから、当期においては費用が先行し、損失を計上しております。
以上の結果、ソーシャルメディア事業の売上高は577,735千円(前連結会計年度比14,070千円減)、セグメント損失は102,247千円(前連結会計年度比119,525千円減)となりました。
エンタープライズソリューション事業では、FAQ(よくある質問)を作成、編集、公開する一連の流れを搭載した、特許技術を有するシステム「OKBiz(オウケイビズ)」など、企業向けのソリューションを提供しています。
当連結会計年度におきましては、「OKBiz」にコールセンターでの電話応対対応機能を搭載し、大型案件獲得に向け営業体制を強化したことから、新規導入企業が増加しました。また、当社の主要サービスであるQ&Aコミュニティ「OKWave」を利用することで導入企業のお客様の自己解決を支援する製品「OKBiz for Community Support」と同事業の主力製品「OKBiz」を組み合わせた統合製品「OKBiz for Support Enterprise Suite」の提供を実現しました。
以上の結果、エンタープライズソリューション事業の売上高は1,190,584千円(前連結会計年度比161,119千円増)、セグメント利益は512,076千円(前連結会計年度比85,498千円増)となりました。
ナレッジマーケット事業では、知識流通という概念で、複数の課金制モバイルサイト等(※)を運営しています。
片付けコンサルタント近藤麻理恵さんの片づけレッスンを受けたり、本人に質問ができる課金制モバイルサイト「こんまり♪片付けレッスン」が、集客力の高いauのスマートフォン向けサービス『auスマートパス』に採用され、新規会員獲得数が増加しました。また、新たに育児に関するコンテンツを配信し、医師などの専門家に直接電話相談ができるサイト「らくらく育児モバイル」の提供を開始し、サイトラインナップを拡充しました。「myFave」ではソーシャルメディア事業のサービス「OKWave」のQ&Aコミュニティとの連携を開始したほか、商品点数の充実による利便性向上に努めました。費用面では、開発費及び広告宣伝費が売上に対し先行発生しました。
以上の結果、ナレッジマーケット事業の売上高は170,608千円(前連結会計年度比122,534千円増)、セグメント損失は168,917千円(前連結会計年度比26,411千円減)となりました。
(※)スマートフォンや従来型携帯電話向けに提供している課金制サイト
連結子会社株式会社ブリックスの主要な事業である多言語CRM事業では、24時間365日体制で運営する多言語のコンタクトセンターを運営し、カスタマーサポート業務を提供するとともに、バイリンガルや技術者の派遣等を行っております。
当連結会計年度におきましては、既存案件の継続受注が堅調に推移しました。加えて、東京入国管理局の窓口対応業務と羽田空港内の通訳業務を受託し、公共事業の初受注となりました。また、技術者派遣につきましても大手検索エンジン企業の受注があり、事業の安定化につながりました。
以上の結果、多言語CRM事業の売上高は870,277千円(前連結会計年度比347,911千円増)、セグメント利益は61,030千円(前連結会計年度比97,331千円減)となりました。
連結子会社株式会社ブリックスの事業である営業アウトソーシング事業では、通信回線販売業界において、短期・中期的に、顧客企業が必要とする販売スタッフの労働力を、業務請負及び派遣契約により提供しています。
東京エリアや福島、栃木の拠点は堅調に推移しましたが、多言語CRM事業へリソースを集中させたため、不採算拠点からの撤退を行うこととなりました。
以上の結果、営業アウトソーシング事業の売上高は431,975千円(前連結会計年度比74,889千円減)、セグメント損失は33,776千円(前連結会計年度比121,200千円減)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度と比べ464,566千円減少し、654,833千円となりました。また、各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(ア)営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純損失により、100,919千円の支出となりました。(前連結会計年度は106,077千円の収入)
(イ)投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主にソフトウェア開発のための無形固定資産の取得及び関係会社株式の取得による支出により、344,154千円の支出となりました。(前連結会計年度は426,704千円の支出)
(ウ)財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済により、23,050千円の支出となりました。(前連結会計年度は14,410千円の支出)
当社グループは、生産に該当する事項がないため記載を省略しております。
当社グループは、受注から納品までが短期間のため記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
大手のポータルがQ&Aコミュニティを運営してきており、今後も他社による参入が予想されますが、当社は15年間のQ&Aサイトの運営実績を糧に、他サイトとの差別化に取り組んでおります。さらに、当社の保持するQ&Aデータの価値を高めていくとともにソーシャルQ&Aサービスのトレンドをリードすることで業界での地位を確立してまいります。また、当社はQ&Aコミュニティ運営と企業向けのソリューションを融合させたビジネスモデルを構築しており、こうした独自性において他社との差別化を図ってまいります。
当社では、Q&Aコミュニティ「OKWave」をはじめとするサービスの持続的な成長を目指し、新たな収益モデルの構築やサービス強化に取り組んでまいります。これらのサービスの機能向上、認知度向上に対応していくため、企画力と開発力を強化する必要があると考えております。
当社では、会員情報や契約者情報等、個人情報を扱っており、コーポレートサイト上にて「プライバシーポリシー」「セキュリティポリシー」を公開し、当社の方針を宣言しております。これを管理する手法として第三者機関による信頼性の高い評価認定制度である「ISO27001」を取得し万全な体制を整えております。今後も「ISO27001」の維持に向けたチェック機能と対処プログラムを徹底する必要があると考えております。
インターネット業界を取り巻く環境では、従来型携帯電話やPCからスマートフォンやタブレット端末への利用者の移行が急速に進んでいます。このため、スマートフォン及びタブレット端末への対応をさらに加速させることが今後の当社の事業運営において重要であると考えております。当社グループでは、市場環境に対応し新たな技術への積極的な対応を図ってまいります。
ソーシャルQ&Aサービスが世界的に広まり始めている中で、当社は「OKWave」以外にも、ユーザーニーズにマッチしたサービスを提供しておりますが、これらのサイトバリューを高め、収益力を強化することが必要です。また、当社の代表的なサービスである「OKWave」と当社が運営する複数のサービスにおいて、相互送客や顧客データの分析等に取り組み、最大限の相乗効果を追求していくことが重要であると考えております。
当社は「“ARIGATO”で世界をつなぎ幸せで満たす」といったミッションを掲げておりますが、これに必要なグローバルな人材の育成を図るとともに、グループ内で、グローバル展開に対する企画力をさらに向上させていく必要があると考えております。
7 コンプライアンス体制の強化について
サービスや取引の量が増え、組織の規模が拡大するに伴って、経営資源を効率よく配分し、コンプライアンスを強化することが重要であると認識しております。そのため、当社及び当社子会社から成る企業集団における業務の適正性を確保するための体制を整備し、グループ全体の内部統制が有効に機能する仕組みを構築、運用していくことが重要であると認識しております。
以下については、当社グループの将来的な事業展開その他に関し、リスクとして具体化する可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスクの可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努める方針であります。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(平成26年6月30日)現在において判断したものであります。
①ソーシャルメディア事業
当事業では「OKWave」のほか、Q&Aに紐づく様々なサービスを運営しバナー広告やテキスト広告による収入を得ています。当社では、互い助け合いの場を提供するサービスの展開を行うことで、利用者数の増加に努めておりますが、インターネット広告市場の環境の変化によっては、当事業の業績に影響が出る可能性があります。また、Q&Aサイト市場の競争激化による市場環境の変化が、当社の業績に影響をもたらす可能性があります。
②エンタープライズソリューション事業
当事業では、Q&Aコミュニティの運営ノウハウやシステムを各クライアント企業へ、特にカスタマーリレーションを目的として提供することで収入を得ております。Q&Aコミュニティを長年運営してきた当社ならではのソリューションにより、他社との差別化に取り組んでおりますが、CRM市場の動向や競合他社との価格競争等によっては当社の業績に影響をもたらす可能性があります。
③ナレッジマーケット事業
当事業では、専門家や著名人が利用者の質問に答える月額制の携帯電話・スマートフォン向けサイトを運営しております。当社では、顧客データを分析・活用し利用価値のあるコンテンツの提供に努めておりますが、利用者にとって魅力的かつ有益なコンテンツを適時に提供できない場合には、利用者数の減少を招き、当社の業績に影響を与える可能性があります。また、技術における変化の激しい携帯電話・スマートフォン向けのサービスであるため、新たな端末の機能に当社が適時適切に対応できなくなった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。加えて、当事業では一部サイトをキャリアが運営するスマートフォン向けのサービスに提供することで、集客促進を行っておりますが、これらキャリアの今後の方針や動向によっては、当社の業績に影響をもたらす可能性があります。
④多言語CRM事業
当事業では、24時間365日稼働の多言語コンタクトセンターを運営しております。当事業のサービスは翻訳、通訳など、人的リソースを基盤としているため、今後何らかの理由により必要なバイリンガル人材の確保が計画通りに進まなかった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。また、当事業は電話通信を基盤としており、当社は安定的な運用のためのシステム強化に努めておりますが、ウイルスの侵入、自然災害、長期的な大規模停電、事故等によりシステムがダウンした場合、当社の業績に影響をもたらす可能性があります。
⑤営業アウトソーシング事業
当事業では、通信回線販売業界において、短期・中期的に顧客企業が必要とする販売スタッフの労働力を、業務請負及び派遣契約により提供しています。当事業における収益基盤である光回線販売市場の縮小傾向が懸念されるなか、当社では他のビジネスモデルへの移行を図っておりますが、移行の完了前に当社の想定を超える速さで市場縮小が進んだ場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社が運営するQ&Aコミュニティ「OKWave」に提供される質問・回答、商品、サービスに関する評価情報等は、全てコミュニティの利用者から提供される情報です。当社は、より健全で質の高いコミュニティ運営を実現させるため、利用者の投稿度合いに応じたポイントの付与、投稿タイミングに応じた投稿誘因メールの利用者自動送付等による参加意欲の醸成を図っておりますが、利用者に質問・回答を提供してもらうよう強制することはできません。
また、他のWebサイトと同様、コミュニティには有用で好意的な回答だけでなく、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答も寄せられる可能性があります。
何らかの原因によりコミュニティ利用者からの質問・回答等が提供されない状況が続いた場合や、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答が続いた場合、サイトの利用価値が薄れ、利用者からの信頼を失い当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの売上高及び利益は、エンタープライズソリューション事業への依存度が高くなっております。同事業における競合他社との競争の激化や、クライアント企業におけるアウトソーシングニーズの低下等があり同事業の売上高が減少した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、下記のとおり当社の事業運営上重要と思われる契約を締結しております。契約先とは現在密接な関係にあり、今後も良好な関係を維持するよう最善を尽くしてまいりますが、取引条件や、ビジネスの方針に関して、両社で合意に達しないケースや契約更新ができないことがあった場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、収益基盤をさらに拡大するために、今後も新規事業への取り組みを進めていく方針ですが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。このため、当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当社グループの目論見どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が運営するサービスはインターネット関連技術を基盤としております。当社は多様化する顧客ニーズに対応できるよう、最新の技術への迅速な対応及び情報の蓄積・分析に努めます。しかしながら、今後の技術革新や顧客ニーズの変化によって即座に対応できなくなった場合、今後の事業展開に悪影響が出る可能性があります。
当社の事業は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダー責任制限法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」等の制約を受けますが、当社では遵法精神のもと各法に従って業務を遂行しております。しかしながら、今後、各省庁等における現行の法解釈に何らかの変化が生じた場合、または、新たにインターネット関連業者を対象とした法的規制等が制定された場合、当社の業務の一部が制約を受ける可能性や、新たな対応を余儀なくされる可能性があります。かような場合には、当社の業績、及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
当社が保有する利用者等の個人情報及び顧客企業に関する情報の取り扱いについては、個人情報保護法の施行に先駆け、平成17年1月にISMS(現ISO27001(※))を取得し、厳重に社内管理並びに委託先管理を行っております。
しかしながら、不正アクセス者等からの侵入や委託先管理不備により、上記の情報が外部に漏洩し、不正使用される可能性が完全に排除されているとはいえません。また、不正使用等に備え、当社は個人情報漏洩に対応する保険に加入しておりますが、すべての損失を完全に補てんするとは限りません。したがってこのような事態が起こった場合には、当社への損害賠償請求や当社情報セキュリティマネジメントに対する信用の失墜により、当社の事業推進及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(※)ISO27001:企業等の組織が情報を適切に管理し機密を守るための包括的な枠組みの国際規格。
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)適合性認証制度がISO27001に移行されました。
当社の事業はインターネットを中心にした通信ネットワークに依存しており、当社は安定的な運用のためのシステム強化、セキュリティ強化、負荷分散、ディザスタ・リカバリー等、通信環境安定化に努めております。しかしながら、ウイルスの侵入、自然災害、長期的な大規模停電、事故等によりネットワークが切断された場合、または事業所の損壊やその他の理由により業務継続が困難になった場合は、Webサイト運営に支障が生じ、当社の経営に大きな影響を与えます。また、外部からの不正アクセスやウイルスの攻撃等による犯罪、職員の過失等によりデータの書き換え、データの消去や不正流出の恐れがあります。
これらの障害が発生した場合には、当社に直接損害が生じるほか、当社システムへの信頼が低下し当社の事業、業績並びに企業としての社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。
当社はQ&Aシステム、ヘルプデスクシステム等について、特許を複数出願し、うち一部は特許権を取得しておりますが、その他の特許取得の可否及び時期についてはまだ明らかになっておりません。Q&Aコミュニティシステム、ヘルプデスクシステムに関する特許出願は他社によっても複数行われており、当社は充分に調査を行ってはおりますが、当社が実施済みの技術について、もし競合他社が当社よりも先に特許権を取得した場合、当社は他社の特許を侵害するおそれがあります。さらに、他社から訴訟を提起される等により当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社はインターネット上で質問と回答を交換するQ&Aコミュニティのブランドとして「OKWave」を商標として用いており、当該商標をはじめ、当社のサービスに関連する商標権を数十件取得しております。当該ブランドは、商標権の取得により法的に保護されているとはいえ、他の事業者または個人等により無断で商標を使用された場合には、当社ブランドの信頼性が揺らぐ危険性があり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社はブランドも事業活動における重要な財産と認識しており、現在取得済みの商標権以外にも、積極的に取得する方針であります。しかしながら、当社が使用している商標について競合他社が先に権利を取得した場合、当社の競争力の減退や、当社への訴訟が発生することが考えられ、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社が運営するQ&Aコミュニティ「OKWave」上の投稿内容の著作権を有しております。「OKWave」上の投稿内容が当社の許可なく第三者によって使用されている事実が発覚した場合、著作権の価値の低下に止まらず、「OKWave」のユーザーや当社の取引先からの、当社管理体制に対する信用の低下を引き起こす可能性があります。
① Webサイト「OKWave」の運営に関する訴訟リスク
当社が運営するQ&Aコミュニティ「OKWave」においては、サイト閲覧者が自由に質問・回答、及び商品、サービスに関する様々な評価を書き込み、他の閲覧者に情報発信が出来る仕組みになっており、他のWebサイト同様、コミュニティには質問に対する有用で好意的な回答だけでなく、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の書き込みも寄せられる可能性があります。
当社におきましては、コミュニティサイト内の情報等については何等の責任を負わない旨を当該サイト内で明示するとともに、システムにより24時間365日体制で自動的にチェックしております。更には社内に専任の投稿監視担当者を配置し、当該担当者は目視でサイト内の書き込み内容を監視し、明らかに誤った内容のものや、誹謗中傷等に該当するような書き込み、第三者の権利侵害の可能性のある書き込みを発見した場合は当該部分を削除します。併せてユーザーが、不適切な投稿を当社に通知できる仕組みも導入することで、より健全で質の高いコミュニティの運営が遂行できるよう努めております。
しかしながら、サイト閲覧者により誹謗中傷や明らかに間違った回答等の書き込みがなされ、当社がそれを発見できなかった場合、発見が遅れた場合、もしくは当社の判断では妥当な回答であると判断して削除しなかった場合には、「OKWave」に対するユーザー等の信頼性が低下し、Webサイト運営者として当社の責任が問われ訴訟を提起される可能性があります。
② 金融商品取引法の規定に関する訴訟リスク
当社は、平成25年6月期第3四半期の連結決算作業の際、連結子会社である株式会社ブリックスにおいて不適切な会計処理があったことが判明し、平成25年6月に、平成25年6月期第2四半期報告書について訂正を行いました。
当該訂正により、金融商品取引法の規定に基づく当社の法的責任が生じる場合には、株主から当社または当社役員に対する責任追及の訴訟が提起される可能性があります。さらに、当社または当社役員が損害賠償責任を負うこととなった場合には、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、今後、当社グループ全体において、不正行為を予防し、適時適切に不正の兆候等を把握するために、役員及び従業員のコンプライアンス意識の向上を図ると共に、内部監査体制を強化し、さらに内部通報窓口を設置することにより、不正の監視機能を強化しております。
グローバルな事業展開を行っていくうえでは、各国の法令、制度、政治・経済・社会情勢、文化、商慣習、為替等様々な潜在的リスクが存在し、これらのリスクに対処できないことなどにより事業推進が困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(13)資本業務提携及びM&Aについて
当社は、リソースの強化及び収益獲得機会の拡大を目的に企業買収や業務提携を実施しております。対象となる企業については十分な審査によるリスクの把握に努めておりますが、買収後に不測の債務などが発生した場合や、買収時に想定した当社事業との相乗効果が十分に得られなかった場合、当社グループの業績、または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)子会社の内部統制について
当社は、グループを通じて内部統制強化のための連携を行い、当社グループに属する企業への監視や助言を継続的に行っておりますが、事業の急速な拡大等、なんらかの事情により当社が子会社の状況を十分に把握できない場合や、内部管理体制の構築が追い付かないという状況が生じた場合、社会的信用を失墜させ、当社グループの業績、または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社を設立した兼元謙任は設立以来代表取締役社長に就き、当社の経営方針及び経営戦略全般の決定、その遂行において重要な役割を果たしております。また、取締役副社長である福田道夫は兼元を補佐し当社の事業実現の原動力となっております。当社では、取締役会等の経営組織の整備、経営幹部役職員の育成及び権限移譲による業務執行体制の構築等により、両氏に過度に依存しない体制の構築を図っておりますが、何らかの理由により両氏が業務を執行できない事態となった場合、当社の事業戦略及び業績その他に重要な影響を与える可能性があります。
当社は今後も、新機能追加によるサービスの強化や、コミュニティサイトの運営により蓄積された様々なコンテンツ、運営ノウハウ、システムノウハウをサービス化して販売するための新たなシステム開発を進めていく方針であります。
今後の事業成長を確たるものにするためには、優秀な人材を十分に確保し、育成することが重要であると考えておりますが、これらの体制構築が順調に進まない場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
楽天株式会社は、平成26年6月30日現在、当社発行済株式総数の18.3%を保有しており、当社の主要株主であります。当社は同社に対しサービスを提供しております。また、当社は経営に関する総合的な助言を得るため、同社の執行役員を務める濱野斗百礼氏を社外取締役として招聘しております。
Microsoft Corporationは、平成26年6月30日現在、当社発行済株式総数の10.3%を保有しており、当社の主要株主であります。当社は同社に対しサービスを提供しております。
株式会社インプレスホールディングスは、平成26年6月30日現在、当社発行済株式総数の5.0%を保有しており、当社の大株主であります。当社は同社に対しサービスを提供しております。また、当社は経営に関する総合的な助言を得るため、同社の業務執行者である井芹昌信氏を社外取締役として招聘しております。
これら株主の意向によっては、当社の業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、役員、従業員及び社外の協力者に対し、ストック・オプション制度を採用しております。今後につきましてもストック・オプション制度の利用を検討する可能性があり、現在付与している新株予約権に加えて、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在における新株予約権による潜在株式数は262,000株であり、発行済株式総数8,699,000株の3.0%に相当します。
インターネット関連技術は技術革新の進捗が早く、またそれに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するため、新技術も相次いで登場しております。そこで当社グループの研究開発活動は、ユーザー満足度の向上に資するため、これらの新技術への対応を随時進行しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、23,015千円であり、その全額がソーシャルメディア事業における新規サービス開発のための支出となります。
当連結会計年度における流動資産は、主に現金及び預金、有価証券が減少したことにより、当連結会計年度末残高1,127,771千円(前連結会計年度比596,533千円減少)となりました。
固定資産においては、当連結会計年度末残高646,500千円(前連結会計年度比27,959千円減少)となっております。これは主に、固定資産の減損損失の計上及び繰延税金資産の取崩しによるものであります。
当連結会計年度における流動負債は、主に買掛金、短期借入金が減少したことから、当連結会計年度末残高418,283千円(前連結会計年度比269,326千円減少)となりました。
固定負債においては、当連結会計年度末残高80,187千円(前連結会計年度比18,491千円増加)となっております。これは主に、長期借入金の増加によるものであります。
当連結会計年度における純資産の部は、主に利益剰余金の減少により、当連結会計年度末残高1,275,800千円(前連結会計年度末比373,658千円減少)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの売上高
当連結会計年度における売上高は、企業向けサービスが堅調だったことに加え、携帯電話向けの課金制サイトの会員数が増加したこと、また、連結子会社ブリックスを通期連結したことにより、3,241,182千円(前連結会計年度比20.1%増)となりました。
当連結会計年度における営業損失は、体制強化に伴う固定費の増加や広告宣伝費、開発費の積極投下により、△349,313千円(前連結会計年度は△94,146千円の営業損失)となりました。
当連結会計年度における経常損失は、貸倒引当金繰入額及び雑損失等の影響があったものの、貸倒引当金戻入額及び雑収入等が計上されたことにより、△344,014千円(前連結会計年度は△97,924千円の経常損失)となりました。
当連結会計年度における税金等調整前当期純損失は、連結子会社OKWave Inc.ののれん及び撤退サービスの固定資産にかかる減損損失等の特別損失の計上により△304,926千円(前連結会計年度は△383,155千円の税金等調整前当期純損失)となりました。
「第2 事業の状況 1 業績等の概況 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。