当連結会計年度(平成26年7月1日~平成27年6月30日)における我が国経済は、株価上昇や円安傾向の継続から、緩やかな回復基調で推移しましたが、新興国経済の成長鈍化や欧州経済の不安定要因により、懸念材料が払しょくされない状況が続いております。
このような環境のもと、ソーシャルメディア事業においては、閲覧数向上のため複数の施策を実施しました。エンタープライズソリューション事業においては、製品の機能追加と合わせて、複数製品を組み合わせた総合提案を推進しました。ナレッジマーケット事業においては、複数のサイトを提供開始し、会員獲得に努めました。加えて、多言語CRM事業では、地方自治体や商業施設等に向けた営業を強化し、潜在ニーズの発掘を行いました。
以上の結果、一部サービスの縮小が計画通り進捗したことにより、売上高は2,737,363千円(前年連結会計年度比15.5%減)となりましたが、費用の最適化が進み、営業利益は13,716千円(前連結会計年度349,313千円の損失)、経常利益は47,582千円(前連結会計年度344,014千円の損失)となりました。また、業績回復に伴い繰延税金資産を計上するとともに、収益性の低下がみられた固定資産について、減損損失を計上し、当期純利益は21,282千円(前連結会計年度410,040千円の損失)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
なお、各事業分野のセグメント利益は、全社費用505,178千円(前連結会計年度617,479千円)を含まない額であります。
ソーシャルメディア事業では、日本最大級のQ&Aコミュニティ「OKWAVE(オウケイウェイヴ)」のほか、Q&Aから派生した様々なサービスを運営しています。
当期においては、スマートフォンサイトの利便性向上施策やソーシャルログインへの対応の結果、閲覧数が順調に増加しました。加えて、楽天スーパーポイントやAmazonギフト券のプレゼントキャンペーンによる、新規会員獲得と既存会員の活性化に取り組みました。さらに、広告枠を増設し収益機会を拡大しました。しかしながら、一部取引先との契約変更の影響により広告収入は減少しました。
費用面ではサービスの選択と集中が固定費削減とリソース配分の最適化につながりました。
以上の結果、ソーシャルメディア事業の売上高は447,135千円(前連結会計年度比130,600千円減)となりましたが、売上高の減少幅を費用削減効果で吸収し、セグメント利益は15,448千円(前年連結会計年度比117,696千円増)となりました。
エンタープライズソリューション事業では、FAQ(よくある質問と回答)を作成、編集、公開する一連の流れを搭載した、特許技術を有するシステム「OKBIZ(オウケイビズ)」など、企業向けのソリューションを提供しています。
当期においては、「OKBIZ」に個人情報保護の強化機能を追加したほか、利用者の利便性向上のため、スマートフォンからの画像添付を可能としたお問い合わせフォームを実装しました。さらに、当社の主要サービスであるQ&Aコミュニティ「OKWAVE」を利用することで導入企業のお客様の自己解決を支援する製品「OKBIZ for Community Support」の販売促進を行い、「OKBIZ」との同時受注も獲得いたしました。
費用面では、新機能追加にかかる開発費用が先行発生しましたが、外注費等の固定費削減に努めました。
以上の結果、売上高は1,212,670千円(前連結会計年度比22,086千円増)、セグメント利益は517,742千円(前連結会計年度比5,666千円増)となりました。
ナレッジマーケット事業では、知識流通という概念で、複数の著名人の課金制モバイルサイト(※)と、専門家からの回答が得られるQ&Aコミュニティを運営しています。
複数の課金制モバイルサイトを立ち上げ、広告宣伝費の投下及びサイト間の相互送客による会員獲得に努めました。弁護士や税理士、医師等の専門家が質問に回答する「OKWAVE Professional」では、有料プランの提供を開始しました。専門家から、集客に対する手数料を月額で課金することで、新たな収益機会の拡大を狙いました。
費用面では、複数のサイトを「OKWAVE Premium」として一元管理することで開発、運用の効率化を狙いました。一方、課金制モバイルサイトの立ち上げによる開発費と、新規サイトの会員獲得に向けた広告宣伝費が発生しました。
以上の結果、売上高は159,829千円(前連結会計年度比10,778千円減)となり、費用の先行発生により、セグメント損失は、68,724千円(前連結会計年度比100,192千円増)となりました。
(※)スマートフォンや従来型携帯電話向けに提供している課金制サイト
連結子会社株式会社ブリックスの主要な事業である多言語CRM事業では、24時間365日体制で運営する多言語のコンタクトセンターを運営し、カスタマーサポート業務を提供するとともに、バイリンガルや技術者の派遣等を行っております。
近年の日本人気の高まりや円安の影響で訪日外国人観光客が増加していることから、主要サービスの多言語コンタクトセンターやバイリンガル派遣の需要が高く、自治体や旅行業へのサービス提供が好調に推移し、加えて、中央省庁の窓口業務、大型のシステム開発業務などの新規案件の獲得、通信事業者のフィールド調査の受託業務が堅調に進みましたが、他方、技術者、人材派遣案件は計画通り縮小しました。
費用面では、体制強化により人件費が増加しました。
以上の結果、売上高は842,270千円(前連結会計年度比28,007千円減)、セグメント利益は48,258千円(前連結会計年度比12,772千円減)となりました。
連結子会社株式会社ブリックスの事業である営業アウトソーシング事業では、大手通信事業者の回線販売業務の受託を行っておりましたが、近年の観光客増加の時局に鑑み、事業リソースを多言語コンタクトセンターへ移行いたしました。当連結会計年度内に当事業における株式会社ブリックスの東京本社以外の支社の閉鎖を実施し、東京本社も規模を縮小いたしました。
以上の結果、売上高は75,457千円(前連結会計年度比356,518千円減)、セグメント利益は6,171千円(前連結会計年度比39,947千円増)となりました。なお同事業は当連結会計年度にて終了しました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度と比べ207,796千円増加し、862,630千円となりました。また、各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(ア)営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に減価償却費及び売上債権の減少により、206,069千円の収入となりました。(前連結会計年度は100,919千円の支出)
(イ)投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出があったものの、関係会社の整理による収入があったことにより、18,430千円の収入となりました。(前連結会計年度は344,154千円の支出)
(ウ)財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済により、27,749千円の支出となりました。(前連結会計年度は23,050千円の支出)
当社グループは、生産に該当する事項がないため記載を省略しております。
当社グループは、受注から納品までが短期間のため記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
大手のポータルがQ&Aコミュニティを運営してきておりますが、当社は16年間のQ&Aサイトの運営実績を糧に、当社の保持するQ&Aデータの価値を高めていくとともに今後のQ&Aサービスのトレンドをリードすることで業界での地位を確立してまいります。さらに、当社はQ&Aコミュニティ運営と企業向けのソリューションを融合させたビジネスモデルを構築しており、こうした独自性において他社との差別化を図ってまいります。
当社では、Q&Aコミュニティ「OKWAVE」をはじめとするサービスの持続的な成長を目指し、新たな収益モデルの構築やサービス強化に取り組んでまいります。これらのサービスの機能向上、認知度向上に対応していくため、企画力と開発力を強化する必要があると考えております。
インターネット業界を取り巻く環境では、従来型携帯電話やPCからスマートフォンやタブレット端末への利用者の移行が急速に進んでいます。このため、スマートフォン及びタブレット端末への対応をさらに加速させることが今後の当社の事業運営において重要であると考えております。当社グループでは、市場環境に対応し新たな技術への積極的な対応を図ってまいります。
Q&Aサービスが世界的に広まり始めている中で、当社は「OKWAVE」以外にも、ユーザーニーズにマッチしたサービスを提供しておりますが、これらのサイトバリューを高め、収益力を強化することが必要です。また、当社の代表的なサービスである「OKWAVE」と当社が運営する複数のサービスにおいて、相互送客や顧客データの分析等に取り組み、最大限の相乗効果を追求していくことが重要であると考えております。
当社は「互い助け合いの場の創造を通して、物心両面の幸福を実現し、世界の発展に寄与する」といったミッションを掲げておりますが、これに必要なグローバルな人材の育成を図るとともに、グループ内で、グローバル展開に対する企画力をさらに向上させていく必要があると考えております。
当社では、会員情報や契約者情報等、個人情報を扱っており、コーポレートサイト上にて「プライバシーポリシー」「セキュリティポリシー」を公開し、当社の方針を宣言しております。これを管理する手法として第三者機関による信頼性の高い評価認定制度である「ISO27001」を取得し万全な体制を整えております。今後も「ISO27001」の維持に向けたチェック機能と対処プログラムを徹底する必要があると考えております。
7 コンプライアンス体制の強化について
サービスや取引の量が増え、組織の規模が拡大するに伴って、経営資源を効率よく配分し、コンプライアンスを強化することが重要であると認識しております。そのため、当社及び当社子会社から成る企業集団における業務の適正性を確保するための体制を整備し、グループ全体の内部統制が有効に機能する仕組みを構築、運用していくことが重要であると認識しております。
以下については、当社グループの将来的な事業展開その他に関し、リスクとして具体化する可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスクの可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努める方針であります。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(平成27年6月30日)現在において判断したものであります。
①ソーシャルメディア事業
当事業では「OKWAVE」のほか、Q&Aに紐づく様々なサービスを運営し、バナー広告やテキスト広告等による収入を得ています。当社では、互い助け合いの場を提供するサービスの展開を行うことで、利用者数の増加に努めておりますが、インターネット広告市場の環境の変化によっては、当事業の業績に影響が出る可能性があります。また、Q&Aサイト市場の競争激化による市場環境の変化が、当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。
②エンタープライズソリューション事業
当事業では、Q&Aコミュニティの運営ノウハウやシステムを各クライアント企業へ、特にカスタマーリレーションを目的として提供することで収入を得ております。Q&Aコミュニティを長年運営してきた当社グループならではのソリューションにより、他社との差別化に取り組んでおりますが、CRM市場の動向や競合他社との価格競争等によっては当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。
③ナレッジマーケット事業
当事業では、著名人が利用者の質問に答える月額制の携帯電話・スマートフォン向けサイト及び専門家や企業が利用者の質問に答えるQ&Aコミュニティを運営しております。当社グループでは、顧客データを分析・活用し利用価値のあるコンテンツの提供に努めておりますが、利用者にとって魅力的かつ有益なコンテンツを適時に提供できない場合には、利用者数の減少を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、技術における変化の激しい携帯電話・スマートフォン向けのサービスであるため、新たな端末の機能に当社が適時適切に対応できなくなった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。加えて、当事業では一部サイトをキャリアが運営するスマートフォン向けのサービスに提供することで、集客促進を行っておりますが、これらキャリアの今後の方針や動向によっては、当社の業績に影響をもたらす可能性があります。
④多言語CRM事業
当事業では、24時間365日稼働の多言語コンタクトセンターを運営しております。当事業のサービスは通訳、翻訳など人的リソースを基盤としているため、今後何らかの理由により必要なバイリンガル人材の確保が計画通りに進まなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当事業は電話通信を基盤としており、当社グループは安定的な運用のためのシステム強化に努めておりますが、ウイルスの侵入、自然災害、長期的な大規模停電、事故等によりシステムがダウンした場合、当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。
⑤営業アウトソーシング事業
当事業につきましては、当連結会計年度にて終了しました。
当社グループが運営するQ&Aコミュニティ「OKWAVE」に提供される質問・回答、商品、サービスに関する評価情報等は、全てコミュニティの利用者から提供される情報です。当社グループは、より健全で質の高いコミュニティ運営を実現させるため、利用者の投稿度合いに応じたポイントの付与や期間限定のキャンペーン、投稿タイミングに応じた投稿誘因メールの利用者自動送付等による参加意欲の醸成を図っておりますが、利用者に質問・回答を提供してもらうよう強制することはできません。
また、他のWebサイトと同様、コミュニティには有用で好意的な回答だけでなく、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答も寄せられる可能性があります。
何らかの原因によりコミュニティ利用者からの質問・回答等が提供されない状況が続いた場合や、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答が続いた場合、サイトの利用価値が薄れ、利用者からの信頼を失い当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの売上高及び利益は、エンタープライズソリューション事業への依存度が高くなっております。同事業における競合他社との競争の激化や、クライアント企業におけるアウトソーシングニーズの低下等があり同事業の売上高が減少した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、収益基盤をさらに拡大するために、今後も新規事業への取り組みを進めていく方針ですが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。このため、当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当社グループの目論見どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが運営するサービスはインターネット関連技術を基盤としております。当社は多様化する顧客ニーズに対応できるよう、最新の技術への迅速な対応及び情報の蓄積・分析に努めます。
しかしながら、今後の技術革新や顧客ニーズの変化によって即座に対応できなくなった場合、今後の事業展開に悪影響が出る可能性があります。
当社の事業は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダー責任制限法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」等の制約を受けますが、当社グループでは遵法精神のもと各法に従って業務を遂行しております。
しかしながら、今後、各省庁等における現行の法解釈に何らかの変化が生じた場合、または、新たにインターネット関連業者を対象とした法的規制等が制定された場合、当社グループの業務の一部が制約を受ける可能性や、新たな対応を余儀なくされる可能性があります。このような場合には、当社グループの業績、及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
当社が保有する利用者等の個人情報及び顧客企業に関する情報の取り扱いについては、個人情報保護法の施行に先駆け、平成17年1月にISMS(現ISO27001(※))を取得し、厳重に社内管理並びに委託先管理を行っております。
しかしながら、不正アクセス者等からの侵入や委託先管理不備により、上記の情報が外部に漏洩し、不正使用される可能性が完全に排除されているとはいえません。また、不正使用等に備え、当社は個人情報漏洩に対応する保険に加入しておりますが、すべての損失を完全に補てんするとは限りません。
したがってこのような事態が起こった場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社情報セキュリティマネジメントに対する信用の失墜により、当社グループの事業推進及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(※)ISO27001:企業等の組織が情報を適切に管理し機密を守るための包括的な枠組みの国際規格。
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)適合性認証制度がISO27001に移行されました。
当社グループの事業はインターネットを中心にした通信ネットワークに依存しており、当社グループは安定的な運用のためのシステム強化、セキュリティ強化、負荷分散、ディザスタ・リカバリー(災害時におけるシステム障害からの復旧、修復体制)等、通信環境安定化に努めております。
しかしながら、ウイルスの侵入、自然災害、長期的な大規模停電、事故等によりネットワークが切断された場合、または事業所の損壊やその他の理由により業務継続が困難になった場合は、Webサイト運営に支障が生じ、当社グループの経営に大きな影響を与えます。また、外部からの不正アクセスやウイルスの攻撃等による犯罪、職員の過失等によりデータの書き換え、データの消去や不正流出の恐れがあります。
これらの障害が発生した場合には、当社グループに直接損害が生じるほか、当社グループシステムへの信頼が低下し当社グループの事業、業績並びに企業としての社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。
当社はQ&Aシステム、ヘルプデスクシステム等について、特許を複数出願し、うち一部は特許権を取得しておりますが、その他の特許取得の可否及び時期についてはまだ明らかになっておりません。Q&Aコミュニティシステム、ヘルプデスクシステムに関する特許出願は他社によっても複数行われており、当社は充分に調査を行ってはおりますが、当社が実施済みの技術について、もし競合他社が当社よりも先に特許権を取得した場合、当社は他社の特許を侵害するおそれがあります。さらに、他社から訴訟を提起される等により当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社はインターネット上で質問と回答を交換するQ&Aコミュニティのブランドとして「OKWAVE」を商標として用いており、当該商標をはじめ、当社のサービスに関連する商標権を数十件取得しております。当該ブランドは、商標権の取得により法的に保護されているとはいえ、他の事業者または個人等により無断で商標を使用された場合には、当社ブランドの信頼性が揺らぐ危険性があり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社はブランドも事業活動における重要な財産と認識しており、現在取得済みの商標権以外にも、積極的に取得する方針であります。しかしながら、当社が使用している商標について競合他社が先に権利を取得した場合、当社の競争力の減退や、当社への訴訟が発生することが考えられ、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社が運営するQ&Aコミュニティ「OKWAVE」上の投稿内容の著作権を有しております。「OKWAVE」上の投稿内容が当社の許可なく第三者によって使用されている事実が発覚した場合、著作権の価値の低下に止まらず、「OKWAVE」のユーザーや当社の取引先からの、当社管理体制に対する信用の低下を引き起こす可能性があります。
① Q&Aコミュニティ「OKWAVE」の運営に関する訴訟リスク
当社が運営するQ&Aコミュニティ「OKWAVE」においては、サイト閲覧者が自由に質問・回答、及び商品、サービスに関する様々な評価を書き込み、他の閲覧者に情報発信が出来る仕組みになっており、他のWebサイト同様、コミュニティには質問に対する有用で好意的な回答だけでなく、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の書き込みも寄せられる可能性があります。
当社におきましては、コミュニティサイト内の情報等については何等の責任を負わない旨を当該サイト内で明示するとともに、システムにより24時間365日体制で自動的にチェックしております。更には社内に専任の投稿監視担当者を配置し、当該担当者は目視でサイト内の書き込み内容を監視し、明らかに誤った内容のものや、誹謗中傷等に該当するような書き込み、第三者の権利侵害の可能性のある書き込みを発見した場合は当該部分を削除します。併せてユーザーが、不適切な投稿を当社に通知できる仕組みも導入することで、より健全で質の高いコミュニティの運営が遂行できるよう努めております。
しかしながら、サイト閲覧者により誹謗中傷や明らかに間違った回答等の書き込みがなされ、当社がそれを発見できなかった場合、発見が遅れた場合、もしくは当社の判断では妥当な回答であると判断して削除しなかった場合には、「OKWAVE」に対するユーザー等の信頼性が低下し、Webサイト運営者として当社の責任が問われ訴訟を提起される可能性があります。
② エンタープライズソリューション事業および多言語CRM事業に関する訴訟リスク
エンタープライズソリューション事業におけるASPサービスでは、多数のクライアント企業に対し共有サーバによる運用を原則行っていることから、当社の責めに帰すべき事由によるシステムの障害や不正アクセス等により多数のクライアント企業に対し損害を被らせる事態が生じた場合、多数のクライアント企業から同時期に訴訟を提起される可能性があります。その結果として、多数のクライアント企業に同時期に損害賠償義務を負うことになった場合、多額の損害賠償金の支払いが発生し、当社グループの事業及び業績に大きな影響を与える可能性があります。
また、多言語CRM事業におけるコンタクトセンター業務においても、多数のクライアント企業に対し、共通のシステムを利用して業務を行っていることから、前記のエンタープライズソリューション事業と同様の訴訟リスクが想定されます。
グローバルな事業展開を行っていくうえでは、各国の法令、制度、政治・経済・社会情勢、文化、商慣習、為替等様々な潜在的リスクが存在し、これらのリスクに対処できないことなどにより事業推進が困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(12)資本業務提携及びM&Aについて
当社は、リソースの強化及び収益獲得機会の拡大を目的に企業買収や業務提携を実施しております。対象となる企業については十分な審査によるリスクの把握に努めておりますが、買収後に不測の債務などが発生した場合や業績が悪化した場合、買収時に想定した当社事業との相乗効果が十分に得られなかった場合、当社グループの業績、または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)内部統制について
当社は、グループを通じて内部統制強化のための連携を行い、当社グループに属する企業への監視や助言を継続的に行っておりますが、事業の急速な拡大等、何らかの事情により当社が子会社の状況を十分に把握できない場合や、内部管理体制の構築が追い付かないという状況が生じた場合、社会的信用を失墜させ、当社グループの業績、または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社を設立した兼元謙任は設立以来代表取締役社長に就き、当社グループの経営方針及び経営戦略全般の決定、その遂行において重要な役割を果たしております。また、取締役副社長である福田道夫は兼元を補佐し当社グループの事業実現の原動力となっております。
当社グループでは、取締役会等の経営組織の整備、経営幹部役職員の育成及び権限移譲による業務執行体制の構築等により、両氏に過度に依存しない体制の構築を図っておりますが、何らかの理由により両氏が業務を執行できない事態となった場合、当社グループの事業戦略及び業績その他に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは今後も、新機能追加によるサービスの強化や、コミュニティサイトの運営により蓄積された様々なコンテンツ、運営ノウハウ、システムノウハウをサービス化して販売するための新たなシステム開発を進めていく方針であります。
今後の事業成長を確たるものにするためには、優秀な人材を十分に確保し、育成することが重要であると考えておりますが、これらの体制構築が順調に進まない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
楽天株式会社は、平成27年6月30日現在、当社発行済株式総数の18.3%を保有しており、当社の主要株主であります。当社は同社に対しサービスを提供しております。また、当社は経営に関する総合的な助言を得るため、同社の執行役員を務める濱野斗百礼氏を社外取締役として招聘しております。
MICROSOFT CORPORATIONは、平成27年6月30日現在、当社発行済株式総数の10.3%を保有しており、当社の主要株主であります。
株式会社インプレスホールディングスは、平成27年6月30日現在、当社発行済株式総数の5.0%を保有しており、当社の大株主であります。当社は同社子会社に対しサービスを提供しております。
これら株主の意向によっては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、役員、従業員及び社外の協力者に対し、ストック・オプション制度を採用しております。今後につきましてもストック・オプション制度の利用を検討する可能性があり、現在付与している新株予約権に加えて、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在における新株予約権による潜在株式数は220,600株であり、発行済株式総数8,703,000株の2.5%に相当します。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
なお、当連結会計年度において、以下のとおり解除した重要な契約があります。
インターネット関連技術は技術革新の進歩が著しく、またそれに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するため、新技術も相次いで登場しております。そこで当社グループの研究開発活動は、ユーザー満足度の向上に資するため、これらの新技術への対応を随時進行しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、12,232千円であり、主にソーシャルメディア事業における新規サービス開発のための支出となります。
当連結会計年度における流動資産は、主に現金及び預金が増加したことにより、当連結会計年度末残高1,228,136千円(前連結会計年度比100,364千円増加)となりました。
固定資産においては、当連結会計年度末残高460,649千円(前連結会計年度比185,850千円減少)となっております。これは主に、関係会社株式の清算による投資有価証券の減少及び貸付金の減少によるものであります。
当連結会計年度における流動負債は、主に買掛金、未払金及び未払費用、1年以内返済予定の長期借入金が減少したことから、当連結会計年度末残高330,524千円(前連結会計年度比87,759千円減少)となりました。
固定負債においては、当連結会計年度末残高67,017千円(前連結会計年度比13,170千円減少)となっております。これは主に、長期借入金の減少によるものであります。
当連結会計年度における純資産の部は、主に利益剰余金の増加により、当連結会計年度末残高1,291,243千円(前連結会計年度末比15,443千円増加)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの売上高
当連結会計年度における売上高は、一部サービスの縮小が計画通り進捗したことにより、2,737,363千円(前連結会計年度比15.5%減)となりました。
当連結会計年度における営業利益は、費用の最適化を進めたことにより、13,716千円(前連結会計年度は349,313千円の営業損失)となりました。
当連結会計年度における経常利益は、持分法による投資損失の計上があったものの、貸倒引当金戻入額及び為替差益等が計上されたことにより、47,582千円(前連結会計年度は344,014千円の経常損失)となりました。
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、受取保険金の計上があったものの、固定資産の減損損失等の特別損失の計上により44,871千円(前連結会計年度は304,926千円の税金等調整前当期純損失)となりました。
「第2 事業の状況 1 業績等の概況 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。