文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
「Oshiete(教えて)」と「Kotaeru(答える)」という気持ちを、波(WAVE)のように広げることで、世界中のあらゆる問題を解決へつなげていくことを目指し、当社は、「互い助け合いの場の創造を通して、物心両面の幸福を実現し、世界の発展に寄与する」を理念に掲げております。
誰でも気軽に質問と回答ができるQ&Aサイト「OKWAVE」や法人向けに提供しているFAQシステム「OKBIZ.」を発展させ、同時にフィンテック事業による新たな価値とのシナジーを創出することで、企業価値を高めてまいります。
当社は収益性及び成長性の観点から売上高・営業利益・企業向けサービスの導入数・サイトの月間利用者数(UU)・ページビュー(PV)数・Q&A数を重要な経営指標としております。また、ユーザー満足率の観点から「ありがとう数」を重視しております。
当社は、創業来続けてきたQ&Aサイト「OKWAVE」を軸に「良いことをしたら、その善意や感謝により加点され、社会の様々な場面で優待される」新しい経済圏を目指しております。社会の様々な場面で優待されるためには、フィンテックによる技術の利便性が不可欠であると考えており、現在はフィンテック事業をさらに成長させるべく注力しております。
中長期的には、以下の取り組みを戦略として取り組んでまいります。
1.Q&AサイトやFAQサイトのユーザー数の拡大
2.フィンテック事業として有する機能および子会社の事業推進
3.パランティア社の事業推進
当社グループの事業は基本的にインターネットを介したサービスであり、同業界においては様々なプレイヤーや新しいテクノロジーが常に創出され続けています。そういった外部環境や市場変化に対応できるサービスや体制作りが当社事業における基本的な経営課題になると考えております。
加えて、前連結会計年度より事業セグメントにしております「フィンテック事業」については、暗号資産に関する事業を含んでおります。暗号資産に関する法律を含めた環境整備が現在進行中であることから、これらの動向や状況を鑑みた対応、体制整備についても課題になると考えており、調査及び研究に力を入れております。
以下については、当社グループの将来的な事業展開その他に関し、リスクとして具体化する可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスクの可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努める方針であります。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(2019年6月30日)現在において判断したものであり、すべてのリスク要因が網羅されているわけではありません。
① コンシューマー・サービス事業
当事業では、Q&Aサイト「OKWAVE」のプラットフォームを活用したサービスを運営しており、主に有料サイト提供による月額固定収入を得ています。新たな企画や機能開発を行うことで、利用者数の増加に努めておりますが、Q&Aサイト市場の競争激化が起こった場合、利用者数の減少を招く可能性があります。また通信事業者側の制限や端末の技術革新が起こった場合、適時に適切なコンテンツの配信が出来なくなる可能性があることから、業績に影響をもたらす可能性があります。同じく同事業に含む、マーケティングサポートの分野でも、市場の競争激化により顧客の減少から業績に影響をもたらす可能性があります。
② エンタープライズ・ソリューション事業
当事業では、Q&Aコミュニティーの運営ノウハウやシステムを各クライアント企業へ、特にカスタマーリレーションを目的として提供することで収入を得ております。Q&Aコミュニティを長年運営してきた当社グループならではのソリューションにより、他社との差別化に取り組んでおりますが、CRM市場の動向や競合他社との価格競争等によっては当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。
③ インバウンド・ソリューション事業
当事業では、24時間365日稼働の多言語コンタクトセンターを運営しております。当事業のサービスは通訳、翻訳など人的リソースを基盤としているため、今後何らかの理由により必要なバイリンガル人材の確保が計画通りに進まなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当事業は電話通信を基盤としており、当社グループは安定的な運用のためのシステム強化に努めておりますが、ウイルスの侵入、自然災害、長期的な大規模停電、事故等によりシステムがダウンした場合、当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。
④ フィンテック事業
当事業では、ブロックチェーン・ベースのシステムの受託開発や、金融商品の販売、暗号資産取引所の運営等を行っております。ブロックチェーンは、セキュリティやマイニングの面で画期的な技術ですが、限られた技術者のみが開発できる技術であるため、開発者のリソースや新たな人員が確保できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、何らかの技術革新が起こり、ブロックチェーンが汎用的に開発可能なシステムとなった場合には、当社グループが保っていた優位性がなくなり、当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。その他、フィンテック事業は、株式市場等マーケットの状況により影響を受けますが、特に金融商品等の販売についてはその影響を大きく受けます。また、暗号資産取引所の運営は、現在仮想通貨交換業者としての申請をしておりますが、認可を受けられる見通しについては不明であり、認可が長引けば、業績に影響をもたらす可能性があります。
当社グループが運営するQ&Aサイト「OKWAVE」に提供される質問・回答、商品、サービスに関する評価情報等は、全て利用者から提供される情報です。より健全で質の高いサイト運営を実現させるため、参加度合に応じたOK-チップの付与等、参加意欲の醸成を図っておりますが、利用者に質問・回答を強制することはできません。
また、他のWebサイトと同様、Q&Aサイトには有用で好意的な回答だけでなく、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答も寄せられる可能性があります。
何らかの原因によりQ&Aサイト利用者から質問・回答等が提供されない状況が続いた場合や、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答が続いた場合、サイトの利用価値が薄れ、利用者からの信頼を失い当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、収益基盤をさらに拡大するために、今後も新規事業への取り組みを進めていく方針ですが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されることから、当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当社グループの目論見どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが運営するサービスはインターネット関連技術を基盤としております。当社グループは多様化する顧客ニーズに対応できるよう、最新の技術への迅速な対応及び情報の蓄積・分析に努めます。
しかしながら、今後の技術革新や顧客ニーズの変化によって即座に対応できなくなった場合、今後の事業展開に悪影響が出る可能性があります。
当社グループの事業は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダー責任制限法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」「資金決済に関する法律」、「金融商品取引法」等の制約を受けますが、当社グループでは遵法精神のもと各法に従って業務を遂行しております。
しかしながら、今後、各省庁等における現行の法解釈に何らかの変化が生じた場合、または、新たにインターネット関連業者を対象とした法的規制等が制定された場合、当社グループの業務の一部が制約を受ける可能性や、新たな対応を余儀なくされる可能性があります。このような場合には、当社グループの業績、及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループが保有する利用者等の個人情報、特定個人情報及び顧客企業に関する情報の取り扱いについては、個人情報保護法の施行に先駆け、2005年1月にISMS(現ISO27001(※))を取得し、厳重に社内管理並びに委託先管理を行っております。
しかしながら、不正アクセス者等からの侵入や委託先管理不備により、上記の情報が外部に漏えいし、不正使用される可能性が完全に排除されているとはいえません。また、不正使用等に備え、当社は個人情報漏えいに対応する保険に加入しておりますが、全ての損失を完全に補填されるとは限りません。
したがってこのような事態が起こった場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社情報セキュリティマネジメントに対する信用の失墜により、当社グループの事業推進及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(※)ISO27001:企業等の組織が情報を適切に管理し機密を守るための包括的な枠組みの国際規格。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)適合性認証制度がISO27001に移行されました。
当社グループの事業はインターネットを中心にした通信ネットワークに依存しており、当社グループは安定的な運用のためのシステム強化、セキュリティ強化、負荷分散、ディザスタ・リカバリー(災害時におけるシステム障害からの復旧、修復体制)等、通信環境安定化に努めております。
しかしながら、ウイルスの侵入、自然災害、長期的な大規模停電、事故等によりネットワークが切断された場合、または事業所の損壊やその他の理由により業務継続が困難になった場合は、Webサイト運営に支障が生じ、当社グループの経営に大きな影響を与えます。また、外部からの不正アクセスやウイルスの攻撃等による犯罪、職員の過失等によりデータの書き換え、データの消去や不正流出の恐れがあります。
これらの障害が発生した場合には、当社グループに直接損害が生じるほか、当社グループシステムへの信頼が低下し当社グループの事業、業績並びに企業としての社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。
当社はQ&Aシステム、ヘルプデスクシステム等について、特許を複数出願し、うち一部は特許権を取得しておりますが、その他の特許取得の可否及び時期についてはまだ明らかになっておりません。Q&Aサイトシステム、FAQ/ヘルプデスクシステムに関する特許出願は他社によっても複数行われており、当社は充分に調査を行ってはおりますが、当社が実施済みの技術について、もし競合他社が当社よりも先に特許権を取得した場合、当社は他社の特許を侵害するおそれがあります。さらに、他社から訴訟を提起される等により当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社はインターネット上で質問と回答を交換するQ&Aサイトのブランドとして「OKWAVE」を商標として用いており、当該商標をはじめ、当社のサービスに関連する商標権を数十件取得しております。当該ブランドは、商標権の取得により法的に保護されているとはいえ、他の事業者または個人等により無断で商標を使用された場合には、当社ブランドの信頼性が揺らぐ危険性があり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社はブランドも事業活動における重要な財産と認識しており、現在取得済みの商標権以外にも、積極的に取得する方針であります。
しかしながら、当社が使用している商標について競合他社が先に権利を取得した場合、当社の競争力の減退や、当社への訴訟が発生することが考えられ、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社が運営するQ&Aサイト「OKWAVE」上の投稿内容の著作権を有しております。「OKWAVE」上の投稿内容が当社の許可なく第三者によって使用されている事実が発覚した場合、著作権の価値の低下に止まらず、「OKWAVE」のユーザーや当社の取引先からの当社管理体制に対する信用の低下を引き起こす可能性があります。
① Q&Aコミュニティ「OKWAVE」の運営に関する訴訟リスク
当社が運営するQ&Aサイト「OKWAVE」においては、サイト閲覧者が自由に質問・回答、及び商品、サービスに関する様々な評価を書き込み、他の閲覧者に情報発信が出来る仕組みになっており、他のWebサイト同様、Q&Aサイトには質問に対する有用で好意的な回答だけでなく、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の書き込みも寄せられる可能性があります。
当社におきましては、コミュニティサイト内の情報等については何等の責任を負わない旨を当該サイト内で明示するとともに、システムにより24時間365日体制で自動的にチェックしております。更には社内に専任の投稿監視担当者を配置し、当該担当者は目視でサイト内の書き込み内容を監視し、明らかに誤った内容のものや、誹謗中傷等に該当するような書き込み、第三者の権利侵害の可能性のある書き込みを発見した場合は当該部分を削除します。併せてユーザーが、不適切な投稿を当社に通知できる仕組みも導入することで、より健全で質の高いコミュニティの運営が遂行できるよう努めております。
しかしながら、サイト閲覧者により誹謗中傷や明らかに間違った回答等の書き込みがなされ、当社がそれを発見できなかった場合、発見が遅れた場合、もしくは当社の判断で妥当な回答であると判断して削除しなかった場合には、「OKWAVE」に対するユーザー等の信頼性が低下し、Webサイト運営者として当社の責任が問われ訴訟を提起される可能性があります。
② エンタープライズ・ソリューション事業およびインバウンド・ソリューション事業に関する訴訟リスク
エンタープライズ・ソリューション事業におけるASPサービスでは、多数のクライアント企業に対し共有サーバーによる運用を原則行っていることから、当社の責めに帰すべき事由によるシステムの障害や不正アクセス等により多数のクライアント企業に対し損害を被らせる事態が生じた場合、多数のクライアント企業から同時期に訴訟を提起される可能性があります。その結果として、多数のクライアント企業に同時期に損害賠償義務を負うことになった場合、多額の損害賠償金の支払いが発生し、当社グループの事業及び業績に大きな影響を与える可能性があります。
インバウンド・ソリューション事業におけるコンタクトセンター業務においても、多数のクライアント企業に対し、共通のシステムを利用して業務を行っていることから、前記のエンタープライズ・ソリューション事業と同様の訴訟リスクが想定されます。
③ フィンテック事業に関する訴訟リスク
ブロックチェーン・ベースのシステムの受託開発においては、受託業務の複雑性から契約や仕様書に関してクライアント企業との認識の相違が生じること、具体的には成果物の内容、業務範囲、納期等について認識の相違が生じることを原因として、訴訟を提起される可能性があります。その結果としてクライアント企業から損害賠償義務を負うことになった場合、多額の損害賠償金の支払いが発生し、当社グループの事業及び業績に大きな影響を与える可能性があります。
暗号資産の取引所運営においては、セキュリティに対するあらゆる対策を講じているものの、いわゆる暗号資産の流出のような事故が発生した場合、訴訟を提起される可能性があります。
金融商品取引業においては、顧客本位の活動を基本とし、セキュリティやコンプライアンスを重視した運営をしておりますが、何らかのトラブルにより訴訟を提起される可能性があります。
(10) 許認可に伴うリスクについて
当社はフィンテック事業の中に、暗号資産の取引所を含んでおり、現在はいわゆる「みなし業者」の区分となっており、正式に金融庁の認可を受けておりません。現在申請中であり、認可が受けられない、或いは、受けた後に剥奪、というような場合においては、事業を継続することができなくなります。
また、同じくフィンテック事業に金融商品取引業者である証券会社を含んでおり、同社についても金融商品取引業の登録が剥奪されれば、事業の継続ができなくなります。
(11) 国際化に伴うリスクについて
国際的な事業展開を行っていくうえでは、各国の法令、制度、政治・経済・社会情勢、文化、商慣習、為替等様々な潜在的リスクが存在し、これらのリスクに対処できないことなどにより事業推進が困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(12) 資本業務提携及びM&Aについて
当社は、リソースの強化及び収益獲得機会の拡大を目的に企業買収や業務提携を実施しております。対象となる企業については十分な審査によるリスクの把握に努めておりますが、買収後に不測の債務などが発生した場合や業績が悪化した場合、買収時に想定した当社事業との相乗効果が十分に得られなかった場合、当社グループの業績、または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 内部統制について
当社は、グループを通じて内部統制強化のための連携を行い、当社グループに属する企業への監視や助言を継続的に行っておりますが、事業の急速な拡大等、なんらかの事情により当社が子会社の状況を十分に把握できない場合や、内部管理体制の構築が追い付かないという状況が生じた場合、社会的信用を失墜させ、当社グループの業績、または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) インターネット等による風評被害に関するリスク
当社グループは、プレスリリース及び適時開示情報開示等により信頼の維持・向上を図っておりますが、インターネット掲示板への憶測や誤った認識による、正確な事実に基づいていない書き込みや、それらを要因とする風評・風説の流布が発生、拡散した場合には、当社グループの業績及び株価に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 開発体制について
当社グループは今後も、新機能追加によるサービスの強化や、新たなシステム開発を進めていく方針であります。
今後の事業成長を確たるものにするためには、優秀な人材を十分に確保し、育成することが重要であると考えておりますが、これらの体制構築が順調に進まない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化
当社は、会社法第236条、第238条、第239条及び第240条の規定に基づき、新株予約権を付与しています。また、今後も新株予約権を発行、付与する可能性があります。現在付与している新株予約権及び今後付与される新株予約権が行使された場合、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
2019年6月30日現在、新株予約権の行使により今後増加する可能性のある株式数は1,532,200株であり、発行済株式総数9,073,300株に対して、16.9%に相当します。この新株予約権の権利行使については、当社と新株予約権付与対象者との間で締結した契約書に基づき、権利行使可能な期間及び行使可能株数等の条件を定めています。
(17) 税務について
当社グループを構成する事業法人は、各国の税法に準拠して税額を計算し、適正な納税を行っており、適用される各国の移転価格税制など国際税務のリスクについても注意を払っておりますが、税務当局との見解の相違等により、追加課税が発生する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2018年7月1日~2019年6月30日)において、コンシューマー・サービス事業においてはブロックチェーン導入・運用コンサルテーションならびにマーケティングサポートが堅調であったこと、エンタープライズ・ソリューション事業においても法人向けの主力製品の売上が堅調に拡大しています。また、インバウンド・ソリューション事業やフィンテック事業においても順調に売上を伸ばした結果、当連結会計年度の売上高は4,892,359千円(前連結会計年度比29.2%増)と、増収となりました。
利益面においては、とりわけ子会社における専門性の高い付加価値サービスの提供や開発案件による原価構造の改善をはじめ、業務効率の改善、外注費や広告宣伝費等の適正な運用を継続して進めましたが、今後のさらなる成長に向けて新規事業構築関連や人材関連の費用がかさんだことや、投資有価証券評価損などを計上したことから、営業利益は1,071,197千円(前連結会計年度比11.9%減)、経常利益は901,884千円(前連結会計年度比24.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は629,437千円(前連結会計年度比41.3%減)と前連結会計年度を下回りました。
(事業別の概況)
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
・コンシューマー・サービス事業の概況
コンシューマー・サービス事業の当連結会計年度においては、「感謝経済」プラットフォームの構築に注力しながらも、マレーシアに設立したグループ会社OKfinc LTD.によるブロックチェーン導入・運用コンサルテーションの提供、ならびに当社がQ&Aサイト「OKWAVE」の運営で培ってきたノウハウに基づくマーケティングサポートの継続的な提供により、堅調に推移しました。
以上の結果、売上高は718,822千円(前連結会計年度比43,643千円増)、セグメント利益は150,401千円(前連結会計年度比136,684千円増)となりました。
・エンタープライズ・ソリューション事業の概況
エンタープライズ・ソリューション事業は、FAQシステム「OKBIZ.」や企業向けAIなどの製品導入の際の初期構築費と月額利用料にて構成する、いわゆる「サブスクリプション(定期購読型ビジネス)」のビジネスモデルであり、継続利用により月額収入を安定的に得るための仕組みである「リテンションビジネス」体制を独自ノウハウにて構築しています。
当連結会計年度においては、主力製品「OKBIZ.」やAI製品などの新規受注が堅調に推移し、特に当連結会計年度の成長戦略であるパートナービジネスを通じた間接販売の拡大により、大きく伸長いたしました。
以上の結果、売上高は1,842,805千円(前連結会計年度比453,847千円増)、セグメント利益は906,560千円(前連結会計年度比161,311千円増)となりました。
・インバウンド・ソリューションの概況
国策としての訪日観光振興や東京五輪、万博開催決定等を追い風とした訪日外国人客の増加により、行政機関や地方自治体、医療分野、鉄道などの案件が増加しております。これにより多言語コンタクトセンターの基幹サービスである電話通訳や、通訳業務委託の新規受注に至るなど、堅調に本業の成長を図ることができました。
以上の結果、売上高は846,268千円(前連結会計年度比229,035千円増)、セグメント利益は209,581千円(前連結会計年度比44,176千円増)となりました。
・フィンテック事業の概況
前連結会計年度第4四半期から開始したフィンテック事業では、企業・団体からの受託により、当社グループ会社OKfinc LTD.がブロックチェーンの戦略的設計を行い、同じくOK BLOCKCHAIN CENTRE SDN.BHD.がシステムの開発を行っております。
また、当社グループに新たに加わったOKプレミア証券株式会社による、顧客の資産運用サポートが本事業に含まれます。
当連結会計年度は前連結会計年度同様、ブロックチェーン・ベースのシステム開発案件を継続的に受託し、伸長することができました。
以上の結果、売上高は1,484,462千円(前連結会計年度比379,062千円増)、セグメント利益は1,048,205千円(前連結会計年度比6,454千円増)となりました。
(負債)
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度と比べ79,622千円増加し、1,658,322千円となりました。また、各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加はあるものの主に税金等調整前当期純利益、減価償却費、のれん償却額及び投資有価証券評価損により、82,375千円の収入となりました。(前連結会計年度は926,255千円の収入)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券、有形固定資産及び無形固定資産の取得、連結の範囲の変更を伴う子会社株式への出資による支出等があったことにより、3,597,203千円の支出となりました。(前連結会計年度は250,139千円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に株式の発行による収入、短期借入れによる収入及び転換社債型新株予約権付社債の発行による収入により、3,629,689千円の収入となりました。(前連結会計年度は101,937千円の収入)
a.生産実績
当社グループは、生産に該当する事項がないため記載を省略しております。
b.受注状況
当社グループは、受注から納品までが短期間のため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
(売上高の状況)
コンシューマー・サービス事業においてはブロックチェーン導入・運用コンサルテーションならびにマーケティングサポートが堅調であったこと、エンタープライズ・ソリューション事業においても法人向けの主力製品の売上が堅調に拡大しています。また、インバウンド・ソリューション事業やフィンテック事業においても順調に売上を伸ばした結果、当期の売上高は4,892,359千円(前年同期比29.2%増)と、増収となりました。
(営業利益の状況)
子会社における専門性の高い付加価値サービスの提供や開発案件による原価構造の改善をはじめ、業務効率の改善、外注費や広告宣伝費等の適正な運用を継続して進めましたが、今後のさらなる成長に向けて新規事業構築関連や人材関連の費用がかさんだことから、営業利益は1,071,197千円(前年同期比11.9%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益の状況)
税金費用等の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は629,437千円(前連結会計年度比41.3%減)となりました。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費を中心とした売上原価や販売費及び一般管理費であります。また、継続的なソフトウェアの開発、事業拡大のための株式や事業の取得に関する投資を目的とした資金需要があります。
当該資金につきましては、内部留保による手元資金のほか、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を基本としております。
(1) 当社は、2018年10月15日付の取締役会において、Palantir Technologies Inc.(以下「Palantir社」といいます。)との間でセキュリティ分野に関する業務提携契約について決議し、2018年11月14日の取締役会において同業務提携契約(以下「本業務提携」といいます)を締結しました。
また、当社は、2018年10月15日及び2018年11月14日開催の取締役会決議に基づき、2018年12月27日までに個人株主からの譲受により、同社株式を取得しました。
本業務提携の期間は5年間で、Palantir社の製品サービスの初期取扱費用として2,000万米ドルの支払いを2018年11月14日(日本時間)に行っております。
この度のPalantir社との本業務提携は、同社が開発するビッグデータ分析製品等を主要なアジア各国の仮想通貨取引所に対して販売する権利を当社が付与され、Palantir社は当社に対し同社製品のトレーニングサービスを提供し、共同マーケティング等の協業を行うものとなります。
Palantir社が開発するビッグデータ分析製品は、非構造化データの統合・分析を容易に実現できる汎用性の高さを強みに、テロ対策、災害支援、サイバーセキュリティ、金融犯罪摘発、データ駆動型処理、生体研究、顧客審査等の幅広い用途に用いられています。
本業務提携により、当社は情報セキュリティ市場に新規参入し、仮想通貨取引所に対しPalantir社製品を共同して販売することで、ハッキング防止を実現するサイバーセキュリティソリューション及びアンチマネーロンダリング対策サービス(KYC/AML)を提供してまいります。
当社は、Q&Aサイト「OKWAVE」やFAQシステム「OKBIZ.」等の自社製品サービスへのブロックチェーン技術の応用、海外子会社によるブロックチェーン導入及び運用コンサルティングの提供、ならびに仮想通貨周辺製品の取り扱いを進めています。当社は、Palantir社との本業務提携により、当社のブロックチェーン/仮想通貨領域での事業アセットと、当社自身の運営サービスや製品における情報セキュリティの取り組みによって蓄積してきた知見にPalantir社の高度な製品を組み合わせてソリューションを提供することで、仮想通貨周辺における情報セキュリティ市場への進出を図ってまいります。
なお、今後の協業の展開等については、当社とPalantir社でつくるSteering Committeeにおいて検討してまいります。また、Octave Ventures LLC及びキャンターフィッツジェラルド証券株式会社とは当社の価値をより高めるため、今後も様々な面で協調していく方針であります。
※Palantir社の業績については非公開情報のため記載しておりません。
2018年11月14日
当社は、上記(1)-①業務提携契約について-(イ)契約の目的及び内容に記載のとおりPalantir社と当社は、当社がこれまで蓄積してきた技術と大手企業へのシステム導入実績をベースに、Palantir社の製品サービスの日本市場での展開を図ることにつき、業務提携契約を締結することに合意し、この Palantir社との協業の一環で同社の株式を取得することといたしました。
上記①業務提携契約について-(ロ)契約の相手先(Palantir社)の概要に記載のとおりであります。
(ハ)株式取得の相手方の概要
本株式取得の相手先は、海外在住の個人株主4名であり、いずれも当社との資本関係、人的関係及び取引関係はございません。
(二)契約の概要
(ホ)日程
(2) 当社は、2019年1月23日開催の取締役会において、株式会社LastRoots(以下「LastRoots社」といいます。)との間で業務提携契約を締結することを決議し、2019年1月24日付で契約を締結しました。
また、当社は、2019年2月13日開催の取締役会決議に基づき、SBI Ventures Two株式会社との間で、LastRoots社とのパートナーシップをより強固にする目的で、2019年2月27日付で株式譲渡契約を締結しました。
同じく、当社は、2019年3月13日開催の取締役会決議に基づき、同持分法適用会社であるLastRoots社の仮想通貨交換業者の登録完了を早期に目指すため、2019年3月25日付で総数引受契約を締結しました。
(イ)契約の目的
当社は、Q&Aサイト「OKWAVE」のユーザー同士、組織内メッセージングサービス「OKWAVE GRATICA」を利用する企業等に所属するユーザー同士が感謝の気持ちとしてお互いに贈り合うことができるサイト内トークン「OK-チップ」(※1)を貯めることで、ユーザーが貯めた「OK-チップ」に応じて企業等からの優待や特典を受けられる新しい経済圏「感謝経済」プラットフォームの構築を進めています。
当社は「感謝経済」プラットフォームならびに「OK-チップ」の拡大を目的に、独自仮想通貨「c0ban」を発行し「c0ban」を活用したブロックチェーンエコシステムによる広告事業ならびにみなし仮想通貨交換業者(※2)として仮想通貨取引所事業を展開するLastRoots社との業務提携を締結いたしました。
(注)LastRoots社は、2018年4月6日に関東財務局より、①経営管理態勢の構築②マネーロンダリング及びテロ資金供与に係る管理態勢の構築③利用者財産の分別管理態勢の構築④システムリスク管理態勢の構築の4点について、適正かつ確実な業務運営を確保するための措置を講じるよう業務改善命令を受けました。現在、経営管理体制の一層の充実や、コールドウォレット対応やマルチシグ化などのご指摘いただいた事項について、全社一丸となり改善に取り組んでおります。
※1 「OK-チップ」は資金決済法上の仮想通貨ではありません。「OK-チップ」の売買はできません。「OK-チップ」は「感謝経済」プラットフォーム内でのみ利用できる当社が提供するサービスです。
※2 改正資金決済法施行前から仮想通貨交換業を行い、同法に基づいた登録審査中の事業者を「みなし業者」といいます。登録が認められない際には、将来的に交換業務を取り止める場合があります。なお、LastRoots社が発行する仮想通貨c0banの取り引きは同社が運営するc0ban取引所が中心となっているため、交換業務を取り止めた場合、c0banの換金ができなくなるリスク、c0banが無価値になるリスクがあります。
2019年1月24日
両社がブロックチェーン関連技術の相互強化を目的として広範な業務を提携することとしています。具体的には、当社は、LastRoots社に対して、経営管理態勢のさらなる強化及び万全なKYC/AML体制の構築を支援し、サイバーセキュリティ技術の提供を行うことで、LastRoots社の仮想通貨交換業登録及び事業成長をサポートしてまいります。
(注)LastRoots社の業務改善の状況如何では資金決済法での仮想通貨交換業登録が認められない恐れもあり、その場合は当社が想定している十分な事業シナジーが実現しない可能性もあります。
(イ)契約の目的
当社は、上記(2)-①業務提携契約について-(イ)契約の目的に記載のとおり、LastRoots社と業務提携契約を締結いたしました。
LastRoots社と当社とのパートナーシップをより強固にし、「感謝経済」プラットフォームならびに「OK-チップ」の拡大を目的に両社のサービスの連携を速やかに図ることを目的とし、LastRoots社の発行済株式の34.15%をSBI Ventures Two株式会社より取得し、LastRoots社を当社持分法適用関連会社とすることといたしました。
また、先に締結したLastRoots社との業務提携の第1段階として、LastRoots社が目指す仮想通貨交換業者登録に向けた取り組みをサポートすることとしており、本件株式取得に伴い、LastRoots社においては、当社が提供する仮想通貨分野に特化したアンチマネーロンダリング(KYC/AML)対策サービスを今後提供していくことなどにより、LastRoots社の当該取り組みに寄与していく考えでおります。
なお、当社はLastRoots社の運転資金とする目的で新株予約権付社債への転換が可能な金銭の貸付を行っておりますが、今回の株式取得に関しましては、新株予約権付社債への転換とその新株予約権の行使によるものではありません。したがって、当社は上記新株予約権付社債への転換と新株予約権の行使が可能ですが、現段階ではその予定はありません。
上記①業務提携契約について-(ロ)契約の相手先(株式会社LastRoots)の概要に記載のとおりであります。
(ニ)契約の概要
(イ)契約の目的
当社は、上記①業務提携契約について-(イ)契約の目的及び②株式取得について-(イ)契約の目的に記載のとおり、LastRoots社と業務提携契約の締結、ならびに株式取得による持分法適用会社化をしております。
上記②株式取得について-(イ)契約の目的に記載の目的をさらに推進すること及び同社の仮想通貨交換業者登録をサポートすることで、早期に登録が完了することを目的として、第三者割当を引き受ける総数引受契約を取り交わしております。
(ロ)異動する子会社の概要
上記①業務提携契約について-(ロ)契約の相手先(株式会社LastRoots)の概要に記載のとおりであります。
(ハ)日程
(ニ)取得株式数及び取得前後の所有株式の状況
インターネット関連技術は技術革新の進歩が著しく、またそれに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するため、新技術も相次いで登場しております。そこで当社グループの研究開発活動は、ユーザー満足度の向上に資するため、これらの新技術への対応を随時進行しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は