文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
「Oshiete(教えて)」と「Kotaeru(答える)」という気持ちを、波(WAVE)のように広げることで、世界中のあらゆる問題を解決へつなげていくことを目指し、当社は、「互い助け合いの場の創造を通して、物心両面の幸福を実現し、世界の発展に寄与する」を理念に掲げております。
法人向けに提供しているFAQシステム「OKBIZ.」を中心とした法人向けサービスと誰でも気軽に質問と回答ができるQ&Aサイト「OKWAVE」とを発展させシナジーを生み出すことで、より多くのユーザーを獲得し、企業価値を高めてまいります。
当社は収益性及び成長性の観点から売上高・営業利益・企業向けサービスの導入数・サイトの月間利用者数(UU)・ページビュー(PV)数・Q&A数を重要な経営指標としております。また、ユーザー満足率の観点から「ありがとう数」を重視しております。
当社は、創業来続けてきたQ&Aサイト「OKWAVE」を軸に「良いことをしたら、その善意や感謝により加点され、社会の様々な場面で優待される」新しい経済圏を目指しており、社会の様々な場面で優待されるために必要となると考えていたフィンテック事業をさらに成長させるべく注力しておりました。しかしながら、今期決算の状況から、財務情勢が厳しい状況にあることから、これまで主にM&Aにより拡大してきたフィンテック事業の戦略は見直し、足元は財務体質の改善に注力いたします。また、その先は、当社のMISSIONとして掲げる「互い助け合い」の精神をもとに、よりコアとなるソリューションやビジネス、技術などを中心とした方向性にシフトいたします。
当社グループの事業は基本的にインターネットを介したサービスであり、同業界においては様々なプレイヤーや新しいテクノロジーが常に創出され続けています。そういった外部環境や市場変化に対応できるサービスや体制作りが当社事業における基本的な経営課題になると考えております。
また、2019年後半から続いております新型コロナウイルス感染症への対応に関しては、ステークホルダーや従業員の安全衛生に配慮しながら刻々と変化する状況に迅速かつ適切に対処してまいります。
このような状況の中、当社グループが対処すべき重要な課題は、以下のとおりであります。
① コーポレートガバナンスの改善・強化
当社グループは、当連結会計年度における業績の悪化及び財務基盤の課題を受け、早急の改善及び今後の成長戦略を支えるための経営基盤を強化していくため、取締役会及びそのサポート機能の強化に加え、経営幹部の教育や研修を通じリスク管理やコンプライアンスへの意識向上、コンプライアンス徹底のためのチェック機能の強化に取り組んでまいります。
② 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループには、「第2 事業の状況 2 事業のリスク(4)継続企業の前提に関する重要事象等について」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在しておりますが、「第2 事業の状況 2 事業のリスク(4)継続企業の前提に関する重要事象等について」に記載した対応策の実施により当該事象の解消に努めております。
当社グループのMISSION(企業理念)は互い助け合いの場の創造を通して、物心両面の幸福を実現し、世界の発展に寄与することであります。
現在、当社グループでは企業理念の実現に向けて、安定的な収益貢献のある企業向けFAQシステムの提供のほか、グローバル展開を視野に入れた新サービス、暗号資産取引所の運営、ブロックチェーン開発受託等を展開しております。このような新規事業分野の発展による収益構造や外部環境の変化を見据え、事業のリスクに対して適切かつ迅速に対処できる環境を整えるため、リスク管理についても組織的に取り組んでおります。
具体的には、月に1度開催される各事業責任者が参加するリスクマネジメント委員会において、主に経営管理本部長が中心となり、事業活動に悪影響を与える可能性のある事項(リスク)の洗い出し、リスクを低減させるための対策、リスクが顕在化した場合の対処法を検討しております。その検討の結果、重要性が認められると委員会が判断した場合には、当該事項を取締役会及び監査役会に報告し、対応の検討を進めます。
下記に示しておりますリスクは有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当事業年度末日(2020年6月30日)において投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスクであると当社が判断しているものであり、全てが網羅されているとは限りません。記載されたリスク以外のリスクが顕在化することで、それらが当社事業に悪影響を与える可能性があります。
当社グループが運営するQ&Aサイト「OKWAVE」に提供される質問・回答、商品、サービスに関する評価情報等は、全て利用者から提供される情報であり、利用者に質問・回答を強制することはできません。加えて、他のWebサイトと同様、Q&Aサイトには有用で好意的な回答だけでなく、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答も寄せられる可能性があります。当該リスクの発生可能性、発生時期は予測不能であり想定しておりませんが、何らかの原因により利用者から質問・回答等が提供されない状況が続いた場合や、誤った内容や誹謗中傷等の悪意的な内容の回答、第三者の著作権やプライバシー権等の権利を侵害する内容の回答が続いた場合、サイトの利用価値が薄れ、利用者からの信頼を失い当社グループの経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、健全で質の高いサイト運営を実現させるため、参加度合に応じたOK-チップの付与等、参加意欲の醸成を図っております。
企業向けサービスの提供においては、Q&Aコミュニティの運営ノウハウやシステムを各クライアント企業へ、特にカスタマーリレーションを目的として提供することで収入を得ております。今後CRM市場の動向や競合他社との価格競争等によっては当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。当該リスクの発生可能性、時期については当社グループの提供するシステムやマーケティング戦略が競合他社と比較して劣る場合には常態的に存在するものと考えております。また、同サービスは直近の事業年度における当社グループの収益基盤であり、当該リスクが顕在化した場合には当社グループの業績に与える影響が大きいと認識しております。
当社グループでは当該リスクへの対策として、Q&Aサイトを長年運営してきたノウハウにより他社との差別化に取り組んでいるほか、競合他社の動向を注視し、適切な販売価格の設定に取り組んでおります。さらに、新規事業領域の拡大に向けた新製品の開発、マーケティングの実施に取り組んでおります。
当事業では、ブロックチェーン・ベースのシステムの受託開発を行っております。ブロックチェーンは、セキュリティやマイニングの面で画期的な技術ですが、何らかの技術革新が起こり、ブロックチェーンが汎用的に開発可能なシステムとなる可能性があります。当該リスクの発生可能性、時期については予測不能であり想定しておりませんが、発生した場合には当社グループが保っていた優位性がなくなり、当社グループの業績に影響をもたらす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、システム開発会社をマレーシアに有する強みを生かし、利便性が高く安全かつ柔軟な機能開発により、顧客満足度の高いシステムの開発、提供を行うことで優位性を保ち、同時に国内と連携したマーケティング活動を実施することで顧客の確保に努めております。
暗号資産交換業者として、資金決済に関する法律及び関連法令による各種規制並びに自主規制機関である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会の定める諸規則に服しております。これらの関連法令、諸規則、業界の自主規制ルール等の制定又は改変等が行われる可能性があります。また、暗号資産の会計基準については、現在最も適切と考えられる方法を採用しておりますが、今後新たな会計方針の制定がなされる可能性があります。このようなリスクが発生する時期は、金融庁及び各自主規制機関等での問題検知によることが考えられますが、これにより予定通りに事業を推進できないことや、会計方針を変更する必要が生じることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、情報の収集に努め、また何らかの変更があった際には外部機関とも連携し組織的に対応できるような体制の構築に努めております。
当社グループでは、収益基盤をさらに拡大するために、今後も新規事業への取り組みを進めていく方針ですが、事業環境の変化等により、新規事業が当社グループの目論見どおりに推移しない場合があります。このようなリスクの発生可能性、時期については新規事業への取り組みの際には必ず発生するものと考えております。新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、新規事業への参入の際には市場環境、参入障壁に関して事前に綿密な情報収集を行い、外部からの意見も取り入れながら当社グループの利益計画を検討することで、新規事業が想定通り推移しなかった場合の撤退基準や対応策を定めたうえで取り組みを開始します。
当社は、会社法第236条、第238条、第239条及び第240条の規定に基づき、新株予約権を付与しています。また、今後も新株予約権を発行、付与する可能性があります。現在付与している新株予約権及び今後付与される新株予約権が行使された場合、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。2020年6月30日現在、第三者割当により発行した新株予約権の行使により今後増加する可能性のある株式数は7,535,140株であり、発行済株式総数9,519,918株に対して、79.2%に相当します。この新株予約権の権利行使については、当社と新株予約権付与対象者との間で締結した契約書に基づき、権利行使可能な期間及び行使可能株数等の条件を定めています。また、2020年6月30日現在、当社は役員に対するインセンティブを目的として新株予約権を発行しておりますが、この新株予約権の権利行使については、当社と新株予約権付与対象者との間で締結した契約書に基づき株価コミットメント型の行使の条件が定められており、2020年6月30日現在、この条件を満たしておりません。
当社では当該リスクへの対策として、新株予約権の行使により得た資金を事業運営に的確に投資し収益性を高めていくことで希薄化を上回る株式価値の上昇に取り組んでおります。
当社は、2020年5月29日開催の取締役会において、CVI Investments, Inc.(以下「割当先」といいます。)の保有する第2回新株予約権付社債及びこれと同時に当該割当先に対して発行した第16回新株予約権の買入消却並びに割当先に対する第3回新株予約権付社債、第19回新株予約権及び第20回新株予約権の発行を決議いたしましたが、第3回新株予約権付社債に係る割当先との間の買取契約においては、各転換価額修正日において、修正後の転換価額が下限転換価額以下となる場合、当社は、原則として、第3回新株予約権付社債の総額の35分の1に相当する額又は残存する第3回新株予約権付社債の総額のうちいずれか低い額に係る部分を、各社債の金額100円につき111円で償還しなければならないことが定められます。したがって、第3回新株予約権付社債の各転換価額修正日において、修正後の転換価額が下限転換価額以下となり、かつ、当社が償還のための資金を適時に調達できない場合には、割当先との間でリファイナンスの協議及び交渉を行う必要が生じる可能性がありますが、かかる協議及び交渉の結果次第では、割当先にとって、より有利な条件でのリファイナンスを実施せざるを得ず、株式価値が希薄化する可能性があります。また、かかる協議及び交渉が不調に終わった場合、当社が償還義務を履行することができず、当社に買取契約上の債務不履行責任が発生すること等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、償還の条件である下限転換価額以下とならないよう株価対策を実施し、万が一償還義務が発生した場合に備え財務基盤の安定化に努めております。
当社は、リソースの強化及び収益獲得機会の拡大を目的に企業買収や業務提携を実施しております。買収後に不測の債務などが発生した場合や業績が悪化する場合があります。このようなリスクは企業買収や業務提携を開始する際に常時発生すると考えておりますが、買収時に想定した当社事業との相乗効果が十分に得られず、当社グループの業績、または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、対象となる企業については十分な審査によるリスクの把握に努めているほか、当社独自の利益計画を策定し、買収後の事業運営状況に関して管理、調整を行っております。
当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。しかしながら、当社グループでは多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があり、その内容によっては当社グループの信用状況や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、事業に関連する各種法令、規制を遵守するとともに、知的財産権の適切な管理、契約内容の明確化、相手方との協議の実施により紛争の発生を未然に防ぐよう努めております。また、経営管理部を中心に関連会社の法務担当及び顧問弁護士等と連携し、体制の強化に努めております。
当社グループの事業は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダー責任制限法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「資金決済に関する法律」、「金融商品取引法」等の制約を受けますため、今後、法的規制の変更等により新たな対応を余儀なくさる場合があります。このようなリスクが発生するのは各省庁等における現行の法解釈に何らかの変化が生じた場合、または、新たにインターネット関連業者を対象とした法的規制等が制定された場合と考えております。当社グループの業務が制約を受け想定通りに事業運営が進まなくなる等、当社グループの業績、及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、遵法精神のもと各法に従って業務を遂行しております。また、経営管理部を中心に関連会社の法務担当及び顧問弁護士等と連携し、体制の強化に努めております。
システム障害、外部からの不正アクセス当社グループの事業はインターネットを中心にした通信ネットワークに依存しております。そのため、ウイルスの侵入、自然災害、長期的な大規模停電、事故等によりネットワークが切断される場合や、事業所の損壊やその他の理由により業務継続が困難になる場合があり、Webサイト運営に支障が生じ、当社グループの経営に大きな影響を与える可能性があります。また、外部からの不正アクセスやウイルスの攻撃等による犯罪、職員の過失等によりデータの書き換え、データの消去や不正流出の恐れがあります。これらの障害や不正の発生可能性、時期は予測不可能であるため想定しておりませんが、発生した際には当社グループに直接損害が生じるほか、当社グループシステムへの信頼が低下し当社グループの事業、業績並びに企業としての社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、安定的な運用のためのシステム強化、セキュリティ強化、負荷分散、ディザスタ・リカバリー(災害時におけるシステム障害からの復旧、修復体制)等、通信環境安定化に努めております。
不正アクセス者等からの侵入や委託先管理不備により、当社グループが保有する利用者等の個人情報、特定個人情報及び顧客企業に関する情報が外部に漏洩し、不正使用される可能性があります。これらの事態の発生可能性、時期はは予測不可能であるため想定しておりませんが、このような事態が起こった場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社情報セキュリティマネジメントに対する信用の失墜により、当社グループの事業推進及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、当社グループが保有する利用者等の個人情報、特定個人情報及び顧客企業に関する情報の取り扱いについては、ISO27001を取得し、厳重に社内管理並びに委託先管理を行っております。また、不正使用等に備え、当社は個人情報漏洩に対応する保険に加入しておりますが、全ての損失が完全に補填されるとは限りません。
今後、人材獲得の激化による既存社員の流出や新たな人材の確保ができない場合があります。また、主にブロックチェーン開発に関しては限られた技術者のみが開発できる技術ですが、開発者の流出や新たな人員が確保できない場合があります。このようなリスクは当社の職場環境、待遇が競合他社に比較して劣る場合には常態的に発生すると考えておりますが、発生した場合には十分なリソースの確保ができず当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、従業員の成長とやりがいの充足のため、定期的に新規事業創出の機会を与えております。また、働き甲斐のある職場環境の醸成にむけ執行役員CHROを中心として成長性のある組織環境を従業員同士で対話を通じて検討するなどの機会を設けて整えております。
自然災害が多く発生している昨今において大地震、水害、気候変動に伴うその他の自然災害により当社グループの事業運営が停滞し、開発や販売活動に支障をきたした場合、当社グループの業績に影響を与える影響があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、緊急対策室を中心にBCP(事業継続計画)の策定、強化を行っております。またBCP訓練を定期的に実施し、緊急時の対応に関する社員教育を行っております。データに関してはディザスタ・リカバリー(災害時におけるシステム障害からの復旧、修復体制)等の対策を行っております。
中国・湖北省武漢において初めて確認された新型コロナウィルスによる呼吸器疾患の最近の流行を含む広範な感染症の流行により、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。本日時点において、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う業績及び財政状態に及ぼす影響は認識していないものの、新型コロナウィルスによる呼吸器疾患を始めとした感染症の流行による影響は、広範かつ予測が困難であり、問題が長期化した場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは当該リスクへの対策として、リモートワーク、外出自粛といった外部環境の変化のなかで求められるサービスの提供を進めております。加えて、業務執行体制、販売体制においても従前と同様の対応をリモートにて行えるよう措置を講じております。
(4) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、子会社の赤字や償却負担等により、当連結会計年度において営業損失926百万円、経常損失996百万円を計上しております。また、投資有価証券評価損及び減損損失の計上等により、親会社株主に帰属する当期純損失2,952百万円を計上しております。上記により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
当該重要事象等を解消するため、フィンテック事業において、当初想定した計画通りに進捗していなかったグループ会社について売却を決定したほか、グループ全体として、計画の見直しや修正を実施し、財務の健全化、収益体制の強化を推し進めてまいりました。
今後、より一層の経営基盤の安定化に向けた各事業の経営体制の再編と利益重視の強化の施策を実行し、当該重要事象等の解消を図ってまいります。
具体的には、以下の施策を実行してまいります。
1.グループ・事業再編
不採算会社・事業の一部売却ならびに再編を実施することで、来期以降の成長につながる基盤を構築。
2.経費削減
再編を実施することで管理コストを圧縮。また、ムリ・ムダ・ムラを徹底的に排除し、合理的な組織へ。
3.営業損益及び営業キャッシュフロー向上
顧客データの分析により事業の成長性を見極め、確実性が高い分野へリソースを再配分することで、営業損益及び営業キャッシュフローの向上を目指す。
これらの施策を実行することにより、継続企業の前提に関する重要事象等を解消できるものと考えており、継続企業の前提に関する不確実性は認められないものと判断しております。
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2019年7月1日~2020年6月30日)において、ソリューション事業やインバウンド・ソリューション事業においては、前期に引き続きマーケットにおける需要の高まりなどもあり順調に推移いたしました。一方、フィンテック事業においては、前期まで受託していた大型案件終了の影響を埋めるには至らず、また子会社の赤字や償却負担などが大きく、厳しい状況となっております。
また、日本国内の社会環境において2020年3月頃から大きな影響を及ぼしているいわゆる新型コロナウイルスについて、ソリューション事業における商談が停滞するなど、主に新規の顧客獲得における影響が出ておりますが、収益構造としてはサブスクリプションのビジネスモデルであることから、その影響は限定的なものであります。
上記の状況に加え、保有する各種資産において複数の減損損失を計上したこと等もあり、当連結会計年度の業績については減収減益となりました。
(事業別の概況)
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「1.報告セグメントの概要(2)報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおり、報告セグメントを変更しております。このセグメント変更に伴い、以下の前期比較については、前期の数値を変更後の新セグメントに組み替えて表示しております。
<ソリューション事業>
ソリューション事業の売上高は、主に法人向けサービス「OKBIZ.」シリーズの販売が牽引しており、同サービスについては引き続き需要が高まっていることや、安定して高水準の継続率を維持できていること、加えて当社サービスがマーケット内でも評価を受けており、導入企業からの口コミでの引き合いも増え、順調に成長を続けており売上高は2,305,410千円(前連結会計年度比344,956千円増)、セグメント利益は583,616千円(同120,054千円増)の増収増益となりました。
<インバウンド・ソリューション事業>
国際的なスポーツイベント等外部環境の好況や、昨年10月に株式会社JTBグローバルアシスタンスの多言語サービス事業に係るオペレーション機能を移管したことにより、売上高は934,044千円(前連結会計年度比87,776千円増)と伸長したものの、昨年よりも全体的に受託案件の利益率が低い案件が多くなったことや、引き続き人材開発を強化していること等からセグメント利益は162,115千円(同47,465千円減)の増収減益となりました。なお、2020年6月に、インバウンド・ソリューション事業を行っていた子会社の株式会社ブリックスの全株式を譲渡しました。
<フィンテック事業>
戦略的な提携と位置付けて業務受託契約を締結したビート・ホールディングス・リミテッドからの案件受託が売上、利益に貢献したものの、大口案件が業績を牽引した前期ほどには及ばず、利益面では金融子会社の収益が改善できず引き続き赤字であること等から売上高は1,556,063千円(前連結会計年度比529,573千円減)、セグメント損失は327,277千円(同1,968,883千円減)となりました。
(負債)
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度と比べ774,356千円減少し、883,966千円となりました。また、各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失ではあるものの、主に売上債権の増減額、暗号資産の増減額、減損損失及び投資有価証券評価損により、864,939千円の収入となりました。(前連結会計年度は82,375千円の収入)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出等があったことにより、1,895,206千円の支出となりました。(前連結会計年度は3,597,203千円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に株式の発行による収入により、255,278千円の収入となりました。(前連結会計年度は3,629,689千円の収入)
a.生産実績
当社グループは、生産に該当する事項がないため記載を省略しております。
b.受注状況
当社グループは、受注から納品までが短期間のため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
(売上高の状況)
ソリューション事業やインバウンド・ソリューション事業においては、前期に引き続きマーケットにおける需要の高まりなどもあり順調に推移いたしました。一方、フィンテック事業においては、前期まで受託していた大型案件終了の影響を埋めるには至らず、当期の売上高は4,795,518千円(前年同期比96,840千円減)となりました。
(営業利益の状況)
前期に引き続き子会社における専門性の高い付加価値サービスの提供や開発案件による原価構造の改善をはじめ、業務効率の改善、外注費や広告宣伝費等の適正な運用を継続して進めましたが、今後のさらなる成長に向けて新規事業構築関連や人材関連の費用がかさんだこと、また移転による消耗品費や通信費の増加や、当期から連結された子会社の影響もあり、営業損失は926,613千円(前年同期比1,997,810千円減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益の状況)
期中購入した投資有価証券の評価損、減損損失の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は2,952,254千円(前連結会計年度比3,581,692千円減)となりました。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費を中心とした売上原価や販売費及び一般管理費であります。また、継続的なソフトウェアの開発、事業拡大のための株式や事業の取得に関する投資を目的とした資金需要があります。
当該資金につきましては、内部留保による手元資金のほか、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入、株式発行による収入を基本としております。
(1)業務提携契約について
(2)OKプレミア証券株式会社の株式譲渡契約について
2020年5月25日開催の取締役会において、連結子会社であるOKプレミア証券株式会社の当社保有の全株式を第一商品株式会社に譲渡することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結し株式譲渡を実行しました。これによりOKプレミア証券株式会社は当社の連結子会社ではなくなりました。
① 株式譲渡の理由
OKプレミア証券については、2018年6月に全株式を取得し、当社のフィンテック事業における戦略の一旦を担うことを企図しておりましたが、当初想定していた計画通りには進捗しておらず、まだまだ大きな成果を達成するには時間を要すると考えておりました。また一方、現在当社は足元の資金繰りについては弱く、財務健全性を高める必要性がありました。この度第一商品よりOKプレミア証券の買収についての提案を頂き、協議を重ねた結果、当社持分の全てを譲渡することとなりました。
金銭を対価とする株式譲渡契約
③ 株式譲渡の相手先の名称
第一商品株式会社
④ 株式譲渡の実行日
2020年5月25日
※変動譲渡価格については、2021年6月末に決済予定となっており、OKプレミア証券株式会社の2021年3月期の当期純利益に応じた金額となっております。
フィンテック事業
(3)株式会社ブリックスの株式譲渡契約について
2020年6月17日開催の取締役会において、連結子会社である株式会社ブリックスの当社保有の全株式をブリックス出資組合に譲渡することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結し、2020年6月26日に株式譲渡を実行しました。これにより株式会社ブリックスは当社の連結子会社ではなくなりました。
① 株式譲渡の理由
株式会社ブリックスは、2012年に連結子会社化しており、同社のインバウンド・ソリューション事業は、当社の既存ビジネスであるソリューション事業とともに当社グループの収益の柱として事業を進めておりました。その後当社グループはフィンテック事業を新設し、3つのセグメントで事業を展開しております。このような中、当社ではAI、ブロックチェーン、情報セキュリティの各技術を組み合わせた感謝経済プラットフォームの拡大に向け様々なリソースを再配置するなど、選択と集中を進めております。また、同時に足元の資金繰りについては弱く、財政基盤強化が必要な状況であり、財務健全性を高める必要性があります。当社としては、好条件での売却を意図して様々な選択肢を検討して参りましたが、その中でMBOによる株式譲渡が当社にとって最善の選択肢であると判断するに至ったことから、保有する全株式について譲渡することといたしました。
金銭を対価とする株式譲渡契約
③ 株式譲渡の相手先の名称
ブリックス出資組合
④ 株式譲渡の実行日
2020年6月26日
インバウンド・ソリューション事業
インターネット関連技術は技術革新の進歩が著しく、またそれに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するため、新技術も相次いで登場しております。そこで当社グループの研究開発活動は、ユーザー満足度の向上に資するため、これらの新技術への対応を随時進行しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は